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地球でハナだけ
《君に会いたくて、二万光年を飛びこえたんだ。》 人間と宇宙人の、想像を超え、時空を越えた、一途でさわやかなSFラブストーリー。 -------------------------------------- やさしい心を持つハナは、つき合って11年になるキョンミンに振り回されてばかり。 この夏休みだってハナを置いて、流星群を見にカナダへひとりで出かけてしまう。 そしてカナダで隕石落下事故が起こり音信不通に。 心配をよそに無事帰国したキョンミンだが、どうも様子がおかしい。 いつもとは違ってハナを思いやり、言葉づかいだってやさしい。 嫌いだったナスも食べている。 ついには……口から青いビームを出しはじめて……。 -------------------------------------- もう二度とこれほど甘い話を書くことはできないと思います。 ——チョン・セラン -------------------------------------- -
残星を抱く
第73回日本推理作家協会賞短編部門受賞『夫の骨』の著者、受賞後初の長編ミステリー! 罰を受けるべきなのは誰―― 次々と身の回りで起こる不穏な出来事に、刑事の妻・柊子は追いつめられていく。 愛する家族を護るため、彼女が取った行動は――!? 「あなたを、殺したいと思って」 母娘二人だけのドライブの帰り道、青沼柊子は峠の展望台で、暴行の現場を目撃する。 暴漢たちは柊子たちを逃がすまいと車の前に立ち塞がるが、構わず柊子がアクセルを踏むと、サイドミラー越しに、男の影が崖下へと転落していくのが見えた。 あの男は死んだのか? 思い悩む柊子だが、県警捜査一課の刑事を務める夫の哲司には、正直に話せない。 すると翌日、マンションのポストに告発文めいた脅迫状が投函されており……。 血の因縁が浮かび上がらせる、二十年越しの真実! -
生きるために闘う
元気ですよ! 幾多の名勝負を繰り広げ、ファンを熱狂させた”燃える闘魂”。現在もまた、難病の「全身性トランスサイレチンアミロイドーシス」と闘う姿を公表し、多くの人に生きる勇気を与え続けている。そんなリングのレジェンドが、かつて魂をぶつけ合ったライバルとの名勝負を解説する。ドリー・ファンク・ジュニア、ジョニー・バレンタイン、ルー・テーズ、カールゴッチ、アンドレ・ザ・ジャイアント、モハメド・アリ、タイガー・ジェットシン、ローラン・ボック、マサ斎藤、ストロング小林、ラッシャー木村、長州力、藤波辰爾、タイガー・キング、前田日明他、40試合について言及している。 -
煉獄蝶々
明治三十八年、岡山。名家・大鹿家に拾われた一人の赤子。保和と名付けられた彼は、大鹿の養子として乳母の春に育てられることに。春の語る残酷な怪異譚を聞きながら、愛憎渦巻く名家で青年となった彼は、この世ならざるものを感じることができた。昭和四年、失踪していた文学の師で放蕩者の作家・金光から保和に帳面が届く。そこには、自ら殺し、そして蘇らせた妻とのおぞましくも妖しい旅行記がつづられていた。金光の記録に魅せられ、読みこんでいくうちに精神を浸食される保和。日常さえも次第に歪められていく中、彼はことの真相を確かめるべく、金光夫妻が逗留しているという新嘉坡へ向かう。 -
結婚するとは思いませんでした。
ずっと一人で生きると思ってた \BTSのRMも読んだ!/ 韓国で大人気! 結婚+猫のコミック・文章エッセイ 「『男はこうすべきで、女はこうすべき』という恋愛セオリーがある。それに従わないと妻がいなくなる気がして不安だった。でもそれを捨てて初めて、僕らの本当の恋愛は始まった。」 韓国で大人気の漫画家「ジェス」のイラストエッセイ。恋とは無縁で寂しがりやだった「僕」が「隊長」と出会い結婚し、3匹の元野良猫とくらす日常を描く。 「ここに書いてくれた嫌いなこと10個は、これからも絶対にしないから、僕とつきあいませんか?」 恋と無縁だった漫画家「ジェス」が「隊長」と出会い結婚し、3匹の元野良猫とくらすことに。韓国で大人気のイラストエッセイ。 装画・漫画 ジェス 装丁 名和田耕平デザイン事務所 目次 1章 僕らの出会い 2章 結婚したとたん4人家族 3章 隊長! 僕の隊長 4章 これからは5人家族 5章 ジェスの話 6章 一緒に歩く -
モノクロの夏に帰る
海の向こうでは、戦争で毎日人が死んでいる。 でも遠くない将来日本からは、戦争を経験した人がいなくなる。 まだ若い僕たちは、この事実とどう向き合えばいいのだろう。 「僕は祖父の戦争体験を捏造したことがある」 戦時中のモノクロ写真をカラーにして掲載した『時をかける色彩』という写真集が刊行された。祖父母ですら戦争を知らない二十代の書店員がそれを店頭に並べたことで、やがて世界が変わり始める。保健室登校の中学生、ワーカホリックのテレビマン、アメリカから来た少年と、福島で生まれ育った高校生。遠い昔の話のはずだった「戦争」を近くに感じたとき、彼らの心は少しずつ動き出す。 平和を祈る気持ちが、小さな奇跡を呼ぶ。 読み終えたとき、少しだけ世界が優しく見える感動の青春小説。 -
小説3.11 海は憎まず
巨大津波は人間の虚飾を剥いだ。愛、喪失、差別、そして希望。瓦礫の下から奇跡のように生まれた災害文学。 (※本書は2013/4/1に発売された書籍を電子化したものです) -
消えない音
阪神淡路大震災から20年。困難を乗り越えて生きた人たちが空と海の間で奏でる魂の音は、未来への光となるだろう。(※本書は2015/3/1に発売された書籍を電子化したものです) -
プリズム
この恋が永遠でないことを知っている。 けれど感じることができるのは現在だけだ。 『アーモンド』『三十の反撃』の著者が贈る、 四人の男女の、揺れ動く心の移ろいを繊細に描いた、大人の恋の物語。 ひとつの恋が終わると、すぐに次の「愛する人」を見つけてしまうイェジン。 「いい人」とよく言われるものの、他人と一定の距離を保つドウォン。 離婚した元夫と、不毛な逢瀬を重ねつづけるジェイン。自らを危険人物とみなし、恋愛とは無縁な人生を歩んできたホゲ。 同じ建物で働くイェジンとドウォンは、休憩時間に互いを知るようになり、ジェインのベーカリーでアルバイトをするホゲは、オフ会でイェジンと知り合った。偶然四人が出会ったとき、ドウォンとジェインが十年ぶりの再会を果たし…。 「普通の恋愛小説とは違うものにしたかった。ナイーブな失敗を重ねて迷いながら成長していこうとする、不安な若さを描きたかった」 ――ソン・ウォンピョン 過去の傷や闇を抱えた四人の男女が、人との出会いを通して自分を見つめ直し、成長してゆく姿を繊細に描いた、大人のための恋愛小説。 -
こんな日のきみには花が似合う
※この商品はタブレットなど大きいディスプレイを備えた端末で読むことに適しています。また、文字だけを拡大することや、文字列のハイライト、検索、辞書の参照、引用などの機能が使用できません。 文筆家・蒼井ブルーとアニメーター・新井陽次郎による実力派のふたりが初コラボ! 「恋愛って、つきあったらそれで終わりじゃない。好き同士になってからも、気持ちは日々、増えたり減ったりを繰り返している。 一組のカップルの何気ない日々の中で儚くきらめく、このうえなく愛おしい瞬間の数々を描いた無垢でまっすぐな物語。男女の日常にある見落としてしまいそうな小さな喜びや幸せを、丁寧に噛みしめながらふたりの一年の時々を紡ぎます。 大切な人との、笑ったり、泣いたり、時にケンカしたりといった何気ない日々は、その瞬間ひとつひとつが愛おしく、それが続くだけで小さな奇跡。 若い世代や女性を中心に絶大な支持を得る、蒼井ブルーさんの文章と新井陽次郎さんのイラストは、優しく温かく、ときに切なさを伴ってエモーショナルに心を揺さぶり、読後はきっと、いま目の前にある日常がさらに慈しみ深いものになるはず。 -
セレナーデ【電子特典付き】
シンガーUruが自身の楽曲を元に書いた短編集、デビュー記念日に発売! ライブ会場での朗読やファンクラブ会員限定で発表している自身の曲を素に書かれた短篇物語「しあわせの詩」「鈍色の日」、そこに書き下ろし「セレナーデ」を加えて刊行いたします。 また、物語の元になる「セレナーデ」はドラマ日曜劇場『マイファミリー』の主題歌としても話題を呼ぶニューシングル「それを愛と呼ぶなら」のカップリングとして収録されます。 ■収録作品■ 「しあわせの詩」 私は病院で不思議な光を浴びてから、体に異変を感じるようになる。夫と息子の3人の幸せな日々に、予測できない奇妙な運命が待っていた。 「鈍色の日」 僕が自死を決意した日、実家で暮らす母から荷物が届いて――。 「セレナーデ」 摂食障害で悩んでいる、高校三年生の葵。ある出来事を境に、恋人の隼人、幼馴染の陽との関係が崩れていく。瑞々しい青春群像劇。 ※電子特典として、巻末にUruからのメッセージを収録しています。 -
いずれすべては海の中に
最新の義手が道路と繫がった男の話(「一筋に伸びる二車線のハイウェイ」)、世代間宇宙船の中で受け継がれる記憶と歴史と音楽(「風はさまよう」)、クジラを運転して旅をするという奇妙な仕事の終わりに待つ予想外の結末(「イッカク」)、並行世界のサラ・ピンスカーたちが集まるサラコンで起きた殺人事件をサラ・ピンスカーのひとりが解決するSFミステリ(「そして(Nマイナス1)人しかいなくなった」)など。 奇想の海に呑まれ、たゆたい、息を継ぎ、泳ぎ続ける。その果てに待つものは――。静かな筆致で描かれる、不思議で愛おしいフィリップ・K・ディック賞を受賞した異色短篇集。 アーシュラ・K・ル=グウィンや、ケリー・リンクの作風を受け継ぎながら、彼女自身の不屈の声が全面に響いている。 ――〈カーカス・レビュー〉 幻想的な要素を含みながら、同時に、現実にある身近な喪失と痛みに根ざしたほろ苦い物語だ。この物語には、美しい繊細さがある。思索的(スペキュレイティヴ)な要素で読者の頭を殴ることはなく、物語の多くの側面を行間に残している。ピンスカーはサブテキストを非常に巧みに扱い、ページ上ではひとつの物語しか描かれていないが、読者にはふたつの完全な物語が提示されている。 ――A・C・ワイズ(作家) 【短篇集として】 2020年度フィリップ・K・ディック賞受賞作 2020年度ローカス賞短篇集部門候補作 2020年度世界幻想文学大賞候補作 【収録作品一覧】 「一筋に伸びる二車線のハイウェイ」(2015年度ネビュラ賞短篇部門候補作) 「そしてわれらは暗闇の中」 「記憶が戻る日(リメンバリー・デイ)」 「いずれすべては海の中に」(2017年度ネビュラ賞短篇部門候補作) 「彼女の低いハム音」 「死者との対話」 「時間流民のためのシュウェル・ホーム」 「深淵をあとに歓喜して」(2014年度シオドア・スタージョン賞短篇部門受賞作、ネビュラ賞中篇部門候補作) 「孤独な船乗りはだれ一人」 「風はさまよう」(2018年度ヒューゴー賞中篇部門候補作、ローカス賞中篇部門候補作、ネビュラ賞中篇部門候補作) 「オープン・ロードの聖母様」(2016年度ネビュラ賞中篇部門受賞作、ヒューゴー賞中篇部門候補作、シオドア・スタージョン短篇部門候補作) 「イッカク」(2020年度ローカス賞中篇部門候補作) 「そして(Nマイナス1)人しかいなくなった」(2016年度ヒューゴー賞ノヴェラ部門候補作、シオドア・スタージョン短篇部門候補作、ローカス賞ノヴェラ部門受賞作) -
バーナビー・ラッジ
第一の魅力はプロットの網を巧妙に張りめぐらした物語の面白さである。ことにヘアデイル邸の惨殺事件をめぐる部分は、完全な推理小説。ポーが最初の部分を読んだだけで、トリックを見破ったと豪語したのは有名な話だ。人物造形の面白さはどうかというと、ゴードン卿の描写をはじめ、実在・架空を問わず、ディケンズ独自の細密画のようなペンによって、見事に提示されている。特に絶品なのは女性、しかもいやな女の描写で、ヴァーデン夫人やミッグズなどは、一緒に暮したら生きているのがいやになってしまうだろうが、読んでいると金縛りにかけられたような魅力を感じざるを得ない。本作の主人公はいつの間にか英雄になってしまうバーナビーであろう。最初の主人公である理性の人ゲイブリエルがバーナビーという白痴にその名誉ある地位をあけ渡したのは、作者が作品全体のライト・モティーフを、理性から狂気へと変えて行ったからに違いあるまい。(訳者あとがきより) -
ダンシング玉入れ
暗殺者のターゲットは宝塚のトップスター! 元花組男役の天真みちる氏推奨! 「ダンシング玉入れってなに!?と思ったアナタ、絶対読んでください!」 byダンシング玉入れ出場経験者 ——天真みちる(元宝塚歌劇団花組) 著者4年ぶりとなる最新小説は、 宝塚×ノワール=コメディ!? 孤高の殺し屋コリオレイナスに新たな依頼が届く。 ターゲットは宝塚歌劇団月組のトップスター・三日月傑。 ヅカオタの協力員ハーミアとともにトップスターの命を付け狙うのだが――。 果たして殺し屋は任務を完遂できるのか!? 『男役』『娘役』『銀橋』の宝塚シリーズで宝塚小説という新しいジャンルを確立し、 『ゼロ・アワー』でノワールに挑戦した中山可穂が、 それぞれのスピンオフともいえる新境地小説を4年ぶりに書き下ろした。 ダンシング玉入れとは、一体何だ? めくるめく秘密の花園に足を踏み入れた殺し屋がたどる数奇な運命とは!? 『ゼロ・アワー』でおなじみの殺し屋組織・沙翁商会のメンバーも登場! 魅惑のサンバにのって暗殺者とターゲットの摩訶不思議なドラマが幕を開ける。 -
鑑識レコード倶楽部
ピーター・バラカン 「持ち寄ったレコードを黙って聞き、意見を一切言わない。この極度のオタク行為に潜む意義はあるのか、答えはまだ出ませんが、一気に読んでしまいました」 直枝政広(カーネーション) 「明かされるタイトルだけを頼りに、読みながらプレイリストを作った。音楽の迷路に迷い込む気持ち良さを存分に味わった。答え合わせは後のお楽しみだ」 月曜の夜、パブの小部屋に3枚のレコード盤を持ち寄り、厳格なルールのもとにただ黙って聴く──ストイックな倶楽部は順調に育っていくかに見えたが、やがてライバルが出現し、分裂の危機に揺さぶられる……トマス・ピンチョンがデビュー作を賞賛、イギリスならではの乾いたユーモアの名手が送る現代社会の寓話。 作中には60年代以降のロック、ポップスのタイトルが無数に登場するが、ミュージシャンやバンド名はいっさいナシ。そんな意地の悪い小説だが、作者本人がSpotifyに“The Official Forensic Records Society Playlist by Magnus Mills”と題したプレイリストを公開中! 訳者・柴田元幸によるあとがき、注解とマグナス・ミルズの著作ガイドとともにお楽しみ下さい。 訳者あとがきより─── 人物の過去も背景も示さず、ほかに何をやっているかも伝えず、ひたすらひとつの営みに携わるさまを、比喩などのレトリックにも頼らず描く。そうやって自主的に素材を貧しくすることを通して、この作家ならではの、オフビートな可笑し味が生まれてくる。無表情で可笑しいことを言ったりすることを英語ではdeadpanと呼ぶが、マグナス・ミルズほどdeadpan humourに長けた書き手もそうザラにいない。 -
恋せぬふたり
この社会に生きる全ての人々がきっと笑顔になれる、唯一無二の“ラブでない”コメディ 「恋愛や性的な話を振られてもよくわからない。でも愛想笑いをしていれば大丈夫……」 咲子は、そんなもやもやとした気持ちを家族や友人、同僚に理解されないまま、恋愛や結婚を促され続け、居心地の悪さを感じていた。そんなある日、「アセクシュアル・アロマンティック」というセクシュアリティを自認する男性・高橋と出会い、驚くと同時にどこか救われた気持ちになる。 誰にも恋愛感情を抱かず、性的にも惹かれないふたりが、自分たちなりの生き方を模索すべく始めた共同生活は、家族、同僚、元彼、ご近所と周囲に波紋をひろげていく。その生活の先にある、それぞれの「幸せ」のあり方とは!? NHKで話題沸騰のドラマ「恋せぬふたり」の小説版! ドラマの脚本を手がける作家・吉田恵里香による完全書き下ろし! 〈目次〉 第1章 「兒玉咲子、高橋を知る」 第2章 「高橋羽、擬態を試みる」 第3章 「咲子、自分語り再び」 第4章 「高橋、未知との遭遇」 第5章 「咲子、お別れをする」 第6章 「咲子、次に進む」 第7章 「咲子と高橋と、一人の女」 第8章 「恋せぬふたり」 -
ヨーゼフ・ロート ウクライナ・ロシア紀行
言語・文化・宗教のモザイク世界、ウクライナ・ロシアの諸都市の人々の暮らしと現実、1920年代の記録。 カフカと同じ時代を生きたオーストリアの文豪ヨーゼフ・ロートが、作家・記者の目で観た東欧諸都市の景観と人々の暮らしを独特のスタイルで書き綴った魅力あふれる紀行文で、未発表のまま残されていたウクライナとロシアの旅の報告から、珠玉の17篇を収録。 【目次】 一 東からの便り+D26:G26新流行 ウクライナ少数民族 リヴィウ 障害者の葬列 二 ロシアの風景 トコジラミと過ごした夜 レニングラード 三 ソビエトの現実 国境のネゴレロイエ モスクワの亡霊 ヴォルガ川をアストラハンまで アストラハンの不思議 カフカスの民族模様 ロシアの大通り アメリカを目指すロシア 女性と新しい性道徳と売春 教会、無神論、宗教政治 村に広がる町 世論と新聞と検閲 ロシアの神 あとがき 編集者あとがき 謝辞 【著者】 ヨーゼフ・ロート 1894年、東ガリシアのブロディに生まれる。1939年、亡命先のパリで死亡。1923年からドイツの代表紙「フランクフルト新聞」の特派員となり、ヨーロッパ各地を巡ってユニークな紀行文を書き送り、売れっ子ジャーナリストとなった。その傍ら創作にも手を染め、1930年の長編小説『ヨブ─ある平凡な男のロマン』は現代のヨブ記と称された。1932年にはかつての祖国ハプスブルク帝国の没落を哀惜の念を込めて描いた『ラデツキー行進曲』を発表し、小説家ロートの名をも不動のものにした。 ヤン・ビュルガー 1968年生まれ。文学研究科、小説家。文芸雑誌『リテラトゥーレン』編集者。2002年からは、マールバッハ所在のドイツ文学アーカイブにて従事。ハンス・へニー・ヤン、マックス・フリッシュおよびゴットフリート・ベンに関する著書の他に、『ネッカー川、ある文学旅行』がある。 長谷川圭 高知大学卒業後、ドイツのイエナ大学でドイツ語と英語の文法理論を専攻し、1999年に修士号取得。同大学での講師職を経たあと、翻訳家および日本語教師として独立。訳書に『樹木たちの知られざる生活』(早川書房)、『カテゴリーキング Airbnb、Google、Uberはなぜ世界のトップに立てたのか』(集英社)、『「おいしさ」の錯覚 最新科学でわかった、美味の真実』(角川書店)、『ポール・ゲティの大富豪になる方法』(パンローリング)、『メイク・ザット・チェンジ』(日曜社、共訳)などがある。 -
不屈の達磨
従業員5300人を擁する一部上場企業ジャパンテックパワー。日本の将来を背負って、再生可能エネルギーの送電施設を開発・運営する期待の企業は大きく揺れていた。株主総会を間近に控えたある日、社長が失踪。それに端を発した後継者争いが激化していく。混乱を極める会社に追い討ちをかけるように、中国系ファンドの介入も噂されはじめ……。社内派閥、恫喝、誘惑、陰謀、権謀術数、手練手管。保身と欲にかられた者たちが暗躍する権力闘争。一部上場企業の現役役員として現実を知り尽くす著者が圧倒的リアリティで描く経済エンターテインメント。文芸評論家・関口苑生氏絶賛、組織に働くすべての人の胸を打つ、人間ドラマの誕生! -
僕の狂ったフェミ彼女
韓国でドラマ化・映画化決定! 初恋の人がフェミニストになった!? 「愛」も「権利」もゆずれない、2人の戦争のような恋愛が始まる。 主人公「僕」の視点で描かれる、フェミニストの彼女の姿。 そこには、今を生きる私たちの「現実」が詰まっている――。 本国では「『猟奇的な彼女』のフェミニストバージョン」といわれ、台湾版刊行時には「キム・ジヨンが結婚前にこの小説を読んでいたら人生が変わっていたかも」とキャッチコピーがつけられた、今をいきる、あなたのための物語。 <あらすじ> 就活を前に不安な僕を癒してくれた、愛らしい僕の彼女。毎日のようにベッタリで、付き合って1周年を迎えた。そんなとき僕は、1年間の海外インターンシップに行くことに。遠距離は不安だけど、彼女なら安心だ、待っていてくれるはず――。しかし、出国当日。空港にいたのは、涙ぐむ彼女を抱きしめる僕ではなく、別れのメールをもらってメンタルが崩壊した僕だった。 そんな初恋を引きずりながら 大企業に就職し3年目を迎えた「僕」ことスンジュン。周囲はほとんど結婚して、「まだ独身なの?」とからかわれることも多い。結婚する女性を選ぶだけなのに、なかなか結婚への意欲がわかない。そんなある日、初恋の彼女と出くわした! 心がまた動き出す……ところが、彼女はこともあろうにフェミニストになっていた! 【目次】 プロローグ 1 偶然出会った君 2 いっそ現れないでほしかった 3 どうせ現れたなら 4 メガルの道理と百万ウォン 5 スタートはしたけれど 6 彼女は本当におかしい 7 週末のデート 8 家族のイベント 9 意外な事件 10 彼女の決断 11 僕のチャンス 12 計画通りに進んでる 13 結婚式場で 14 再び、光化門で エピローグ 著者あとがき 日本の読者の皆さんへ 訳者あとがき -
ユ・ウォン
『アーモンド』を生んだ「チャンビ青少年文学賞」受賞作品! ――私を苦しめたのは、善意。 マンション火災事故の「奇跡の生存者」ユ・ウォン。 ユ・ウォンの姉は、幼い妹を布団で巻いて11階から投げ落とした後、帰らぬ人となった。 地上で彼女を受け止めたおじさんは、足に重い障害を負った。ユ・ウォンは奇跡の象徴として、おじさんは英雄として、一躍、時の人となった。 あれから12年。いまだに世間は「あの事件の子」という眼差しで彼女を見る。姉は神格化され、「英雄」のおじさんは家をたびたび訪ねてきてはお金を無心していく。 そんななか、ユ・ウォンは同じ高校に通うスヒョンと知り合う。自分とは正反対のスヒョンに影響され、初めて他人に心を開いていくが……。 誰にも言えない、生き残ったことの罪悪感、自己嫌悪、葛藤、矛盾―― 数々の痛みを乗り越え、自らの力で人生を取り戻そうとする少女の成長を、瑞々しく描いた感動作! -
おしゃべりな部屋
※この商品はタブレットなど大きいディスプレイを備えた端末で読むことに適しています。また、文字だけを拡大することや、文字列のハイライト、検索、辞書の参照、引用などの機能が使用できません。 近藤麻理恵が片づけてきた1000以上の部屋にまつわる実話を基に、 川村元気が紡ぐ7つの部屋の物語。 気鋭の絵本作家・大桃洋祐のカラーイラストを40点以上収載。 読売新聞連載時から話題沸騰の小説がついに単行本化! わたし、橙木ミコには、誰にも言えない秘密がある。 部屋にある、モノの声が聞こえてしまうのだ。服や靴、本や家具がみな、話しかけてくる。 わたしは、依頼された家の“片づけ”を手伝う仕事をしている。 今、わたしの隣にいる片づけの相棒はボクス。おしゃべりな小箱だ。 どうして、片づけが仕事になったのか? どうやって、モノの声が聞こえるのか? そもそも小箱が相棒って、どういうこと? きっとあなたは不思議に思うだろう。けれども、これはどれも本当の話。 わたしが片づけてきた部屋は、千を超えた。 服を手放せない主婦、本を捨てられない新聞記者、なんでも溜め込んでしまう夫婦、好きなものが見つけられない少女、死の間際に片づけを決意する老婦人……。 部屋の数だけ、そこに暮らす人と、おしゃべりなモノたちとの思い出がある。 今からすこしだけ、その話を聞いてもらえたらと思う。 これはわたしが実際に体験した、すこし不思議な七つの部屋にまつわる物語だ。 -
四十過ぎたら出世が仕事
誰が言ったか「四十にして惑わず」、 大いに悩める会社員たちの人生賛歌 四十歳で課長に昇進した阿南智弘は、着任早々に前代未聞のトラブルを抱える。 阿南の同期で三年前から課長を務める石渡泰之は、無能な上司に怒りが収まらない。 中途入社組で阿南と同い年、新任課長の和田果穂には、誰にも言えない秘密があった。 同期では唯一総務畑に進み、社長秘書となった吉本検司は、近頃なぜか社長から冷遇される。 平松透は、創業社長の息子であることを一切笠に着ず頑張るものの、失敗続きで……。 同じ節目を迎えた仲間と悩み、ぶつかりながら、阿南たちは奮闘する。 -
あかり野牧場
夢は大きく、ダービー制覇! 一頭の馬が人の心を揺り動かし、夢舞台へと駆り立てる―― すべての人を元気にする、感動の競馬小説。 家族経営の零細牧場「あかり野牧場」で生まれた一頭の馬は、「北の大地に灯りがともれば」とキタノアカリと名付けられた。 中央競馬デビュー以来、圧倒的着差をつけて連勝し、いよいよG1に挑む。 広大な町の狭いコミュニティーは、アカリの話題で持ちきりだった。 大牧場が席捲するG1戦線で、世代7000頭超の頂点に立つことなどできるのか? 牧場を営む家族、馬産地の仲間たち、崖っぷちの騎手…… 多くの想いを背に載せて、希望の灯りがターフを駆ける。 -
高望の大刀
第13回日経小説大賞受賞作の主人公は、桓武天皇の曾孫というやんごとなき出自にして、日本の武士の起源ともされる謎多き人物、平高望(たいら の たかもち)。平安前期の裏面史を大胆に創作した歴史活劇である。当時、京のみやびな世界の外では、早くも「もののふ」が勃興してきていた。史実における平高望は、朝廷への反乱を鎮圧した功により上総介に任官され、京から上総国(いまの千葉県中部)に東下し土着したとされる。しかし、その生涯は現在もなお謎に包まれる。平安末期に武士として栄華を極めた平清盛の系譜も、元をたどれば高望につながり、後に源頼朝の鎌倉政権樹立を助け、有力御家人となった北条氏を代表とする「坂東平氏」にも系譜が連なるとされている。そして高望の孫は、平将門である。平安中期、関東を制圧して朝廷に反旗を翻し「新皇」を名乗って東国独立をはかった。「祟り(たたり)」で有名な首塚が東京都心に残るように、関東では今も将門信仰が根強い。比類なき武芸の達人で、民衆に慕われた将門には、数々の伝説が残る。その生涯は小説になり、歌舞伎になり、NHKの大河ドラマにもなった。この「将門伝説」を頭の片隅において読めば、本書の物語はより深く愉しめる。桓武平氏の祖として京を離れて東国に武家の基盤を築いた高望の生涯も、将門伝説のように波瀾万丈でドラマチックであるに違いない。平安前期は京の貴族社会を除くと、ほとんどの民は、過酷な環境のもと、死と隣り合わせのむき身で生きていた。生き抜くことに懸命な人たちの「生」そのものが描かれる歴史ファンタジーの中で、無骨で不器用なスーパーヒーローが、縦横無尽に疾駆する。 -
ぶなの森の葉がくれに―小説 昭和の旅路
夏が来れば思い出す。60年前、日本は灼熱の太陽に灼けていた。紀男・5歳の夏…。 (※本書は2007/8/1に発売し、2022/2/10に電子化をいたしました) -
想い出だけが通りすぎてゆく―小説 昭和の旅路
昭和27年、昭和32年、昭和35年―あなたはなにをしていましたか。なにを考え、なにを夢見て、なにを悩んでいましたか。激動の昭和を駆け抜けた青春。 (※本書は2007/12/1に発売し、2022/1/27に電子化をいたしました) -
最果ての向日葵
藤谷和子、昭和2年樺太生まれ。引き揚げ後に俳句と出会い、以後60年、北海道俳壇の最前線で俳句を作り続ける。大輪の向日葵のような魅力的な笑顔に惹かれた著者の手による、俳句を辿りながらのインタビューを対話形式で収録。9回に及ぶインタビューを重ねる内に浮き彫りになったのは、俳句に寄せる思いや実作の方法と同時に、戦中戦後を生き抜いてきた一人の女性の人生でもあった。その人生の道連れであり、旅の杖ともなった世界最小のポエジー「俳句」。これは現代俳句のユニークな入門書であり、俳人には示唆を含む書であり、俳句とともに生きた女性のものがたりである。 -
タイム・スリップ芥川賞
小説を読まずにわかる日本文学入門。 芥川賞は、「戦後日本人の歴史」そのものだった。 前代未聞の「文学エンターテインメント」!! たとえばマーケティングや経営戦略の入門書に、「とにかく原典を読んでください」というものは少ないでしょう。しかし、「文学の入門書」だけは「とにかく読みましょう」というものが多い。そりゃそうです。文学は、読まないとわからない。体験しないとわからない。でも、それが文学好きと文学嫌いとの断絶を助長している側面があるのではないでしょうか。 本書は、1冊も小説を読んだことのない少年が、文学好きな科学者と一緒にタイム・マシンに乗って、歴代芥川賞受賞作家に会いに行く設定のストーリー形式で進みます。 主人公は、作品が生まれる瞬間や作者のその後に「実際に立ち会い」、文学への理解を深めていきます。そして、芥川賞とその時代背景にある日本の高度経済成長、民主主義、政治の変遷、都市と辺境、日米関係、ポップカルチャーやインターネットの台頭などを同時に振り返ります。 文学の意義やおもしろさ、日本の戦後史と芥川賞の関係、そして「人間と文学」の関係まで明らかにする「教養としてのエンタメ文学」です。 -
言の葉の森――日本の恋の歌
何かを偶然共有するというよりも、手を繫ぐようにして、私たちは同じものを持つ。 言葉が違っても、国が違っても。――最果タヒ 太宰治や宮沢賢治、茨木のり子、最果タヒ、崔実などの作品を手がける韓国の人気翻訳家が「日本の恋の歌」をめぐって綴る情感ゆたかなエッセイ。 小野小町、紫式部、清少納言、伊勢、和泉式部……が詠んだ熱烈で芳潤な65首をモチーフに、二つの言語の間を行き来しながら日々の生活や仕事について描く。 君がため 春の野にいでて 若菜摘む わが衣手に 雪は降りつつ 그대 위하여 봄 들판으로 나가 어린 순 뜯네 나의 옷소매에는 눈송이 흩날리고 〈百人一首や古今和歌集の三十一文字の世界を日本語と韓国語の両言語で併記〉 千年の時と国境を超え、〈恋の歌〉が今もなお瑞々しく響く。 韓国の人気翻訳家による65首の和歌をめぐる情感ゆたかなエッセイ。 【目次】 ■序文 二つの言語を行き来する旅 ■一章 言の葉の森で ■二章 翻訳家の仕事場 ■三章 孤独を応援します ■四章 悲しみではなく、愛 ■日本の読者の皆さんへ ■訳者あとがき -
あした、この国は崩壊する ポストコロナとMMT
コロナ後の世界、MMT(現代貨幣理論)を採り入れた日本経済を描いた、まったく新しい経済SF小説です! いつまでも続くデフレ。 そしてそれに追い打ちをかけるかのようなコロナ禍。 果たしてこれまで日本の経済政策というのは正しかったのか? MMTに根差した正しい財政出動が行われていたら、 各地で甚大な被害を起こしている異常気象へのインフラ整備、 そしてコロナ禍の際に逼迫した医療機関も、 もっと有効に機能していたのではないか……。 この国の未来を憂い、希望を見出すためにこの小説を書きました。 まだ遅くはありません。 今、私たちの手の上には二つの未来があります。 ───黒野伸一(著者)! 【目次】 序章 二〇四〇年 第一章 遠雷 第二章 煽動 第三章 覚醒 終章 二〇四三年 【著者】 黒野伸一 一九五九年、神奈川県生まれ。『ア・ハッピーファミリー』(小学館文庫化にあたり『坂本ミキ、14歳。』に改題)で第一回きらら文学賞を受賞し、小説家デビュー。過疎・高齢化した農村の再生を描いた『限界集落株式会社』(小学館文庫)がベストセラーとなり、二○一五年一月にNHKテレビドラマ化。『脱・限界集落株式会社』(小学館)、『となりの革命農家』(廣済堂出版)、『国会議員基礎テスト』(小学館)、『AIのある家族計画』(早川書房)、『お会式の夜に』(廣済堂出版)など著書多数。 中野剛志 評論家。元京都大学大学院工学研究科准教授。東京大学教養学部(国際関係論)卒業後、通商産業省(現・経済産業省)に入省。二〇〇〇年よりエディンバラ大学大学院に留学し、政治思想を専攻。〇一年に同大学院にて優等修士号、〇五年に博士号を取得。論文“Theorising Economic Nationalism”(Nations and Nationalism)でNations and Nationalism Prizeを受賞。著書は『日本思想史新論』(ちくま新書、山本七平賞奨励賞受賞)、『目からウロコが落 -
三十の反撃
2022年本屋大賞翻訳小説部門第1位! ベストセラー『アーモンド』の著者が放つ、すべての人に勇気をくれる傑作。 『アーモンド』が人間という存在そのものへの問いかけだとすれば、『三十の反撃』は、どんな大人になるかという問いへの答えである。 ーーーソン・ウォンピョン 1988年ソウルオリンピックの年に生まれ、三十歳になった非正規職員のキム・ジへ。 88年生まれに一番多い名前「ジヘ」と名付けられた彼女はその名の通り、平凡を絵に描いたような大人になっていく。 大企業の正社員を目指すジヘの前に現れたのは、同じ年の同僚ギュオク。 彼の提案する社会への小さな反撃を始めることになったジヘは、自信を見つめなおし、本当にしたかったことを考えるように。 そして、ついに「本当の自分」としての一歩を踏み出すことになるーー。 世の中という大きな壁と闘うすべての人に贈る、心温まるエール!第5回済州4・3平和文学賞受賞作品。 -
かけがえのない心
お母さん、聞こえますか? 私はこうして生きています。 幼少期、海外養子縁組に出されたナナは、フランスで役者兼劇作家として暮らす。 そんな彼女に突然、人生を変える2つの知らせが届く。 別れた恋人との間に子どもを妊娠したことと、韓国から来た、自分の人生を追ったドキュメンタリー映画への出演依頼と。 生みの親を知らないナナは、生まれてくる子どものためにも自分が“誰なのか”を見つけようとソウルへ向かう。そして、思いもしなかった人たちとの出会いから、35年前、駅に捨てられた暗い記憶の糸が少しずつほぐれていき……。 海外へ養子に出された子どもたち、米軍の基地村で生きた女性たち……。 現代韓国の歴史の中でなきものとされてきた人たちに、ひと筋の光を差し込む秀作長編小説。 第27回大山文学賞受賞作 韓国系国際養子のルーツ探しというこの小説の「特殊な」主題が、日本の読者の方々に「普遍的な」ものとして届くようにと、そして誰かがこの作品を読んでいるとき、生命への尊重や人と人との絆への信頼という明かりが灯ってくれたらと願っています。(「日本の読者のみなさまへ」より) -
パーティは明日にして
16歳から27歳までの385句を収録した第一句集。 あたらしくって、なつかしい。サイダーから噴き出す、あの夏の虹みたいに、十七音を駆け抜ける、カラフルな言葉たち。ひりひりと光り出す、やさしい記憶。 ─神野紗希(俳人) 【収録句より】 春光にさらして角砂糖かわいい さっきまでピアノの部屋の蝶だった 桜蘂降る自転車は海の色 ラズベリータルト晴天でよかった シェパードのにおいして今日も雷 蛇衣を脱ぐや瞳に爛と艶 コンビニの花火がしょうもなくて笑う 目をほそめ三日月を研ぐペダル漕ぐ 抱けばきみ定形外や藍の花 漫才師去る足揃う三十三才 【目次】 Ⅰ ひかり Ⅱ 水 Ⅲ エナメル Ⅳ 絵の具 Ⅴ たぶん Ⅵ 艶 【著者】 木田智美 1993年大阪府生まれ。2009年、俳句甲子園出場をきっかけに俳句を始める。俳句雑誌「奎」同人。 -
みんな蛍を殺したかった
――みんな誰かを殺したいほど羨ましい。 美しい少女・蛍が線路に身を投じる。 儚く散った彼女の死は後悔と悲劇を生み出していく―― 京都の底辺高校と呼ばれる女子校に通うオタク女子三人、校内でもスクールカースト底辺の扱いを受けてきた。そんなある日、東京から息を呑むほど美しい少女・蛍が転校してきた。生物部とは名ばかりのオタク部に三人は集まり、それぞれの趣味に没頭していると、蛍が入部希望と現れ「私もね、オタクなの」と告白する。次第に友人として絆を深める四人だったが、ある日、蛍が線路に飛び込んで死んでしまう。真相がわからぬまま、やがて年月が経ち、蛍がのこした悲劇の歪みに絡みとられていく―― 少女の心を繊細に描く名手による初のミステリ作品。 「女による女のためのR-18文学賞」優秀賞受賞者である著者が、原点に立ち返り、少女たちのこころの中に巣くう澱みを鮮烈な感性で抉り出す。 紺野真弓・装画 -
恋するラジオ Turn on the radio
70年代、80年代、90年代~行間からヒット曲が聴こえる。 2039年。 今まさに、この世を去ろうとしているラジヲ君は、 音楽の神様から、「恋するラジオ」を渡された。 「恋するラジオ」は、音楽を愛した者だけに手渡されるもので、 人生の中で、とりわけ印象的だった音楽と、その音楽が響き渡った街を、 一つひとつ確かめる時間旅行への操縦桿のようだ。 ―――あの日、あの時に戻れたら…… あなたの「恋するラジオ」からは何が流れるだろう? あなたが、人生の最期に聴きたいのは誰の曲? アリス、サザン、達郎、オザケン、クイーン、そして、ビートルズ・・・ 恋するラジオに誘われて、時空を超えた音楽の旅が今、始まる! 懐かしくも甘ずっぱい、著者初の「音楽私小説」。 -
春くれなゐに
「私には、『思い出の色』が視えるんです」 触れたモノの“色”にまつわる大切な記憶が視えてしまう少女・藤宮紅。 その体質が原因で人付き合いがうまくいかず悩んでいた彼女は、心機一転、幼い頃に見た「思い出の和菓子」を訪ねて、いざ京都へ。そこで和菓子屋『静閑堂』の店主・大江樒と出会い、紅の人生は徐々に色づき始めていく。他界した妻が残した紺碧の謎、さる貴人に頼まれた奇妙な注文、すれ違いの祝い菓子など『静閑堂』では様々な想いと悩みを持つ者との出会いが待っていて……。 しっとり切なく心を癒す、四季彩まとう優しい和菓子の物語をご賞味あれ。 -
黄昏公園におかえり
「逝ってらっしゃい」「おかえりなさい」 ――どうか、あの空の向こう側が、優しくおだやかな場所でありますように。 タカヤは代々除霊師を輩出する有名な寺の跡取り息子。しかし、本人は除霊師のパートナーと言える使い魔も持たず、ある理由から除霊もできないポンコツ除霊師。 ある日、「ゆうやけ公園」で白いモフモフのポメラニアン……もとい、狛犬の「しろがね」と出会い、使い魔を得たタカヤの人生は一変する(およそ、大変な方向で……)。 毎週飛び降りる習性を持つ未婚の花嫁幽霊、幽霊たちを引き連れバイクを爆走させる「百鬼夜行ライダー」、消えるタクシー乗客伝説を作るおじいちゃん――そんな未練を残した厄介で訳ありな幽霊達を助けるため、タカヤはあちこち奔走することに!? これは新米除霊師と白いモフモフが半人前になるために奮闘する、泣いて笑えるハートフル“助”霊物語。 -
マーティン・チャズルウィット
恐ろしいほどの利己心がチャズルウィット一家の特徴である。マーティン老は、周囲の人間はみな自分の財産を狙っていると疑う。信頼するのは孤児メアリーだけだ。だが孫のマーティンは、メアリーと密かに婚約し、老人に追い出される。孫も自己中心的で、縁戚にあたる建築家のペックスニフの元に身を寄せる。このペックスニフは徹底した偽善者だった。マーティンを迎えたのも、むろん欲得ずくだ。彼の仕事も、かつての生徒で彼を師と仰ぐトムに任せていた。ある日ペックスニフと2人の娘は、マーティン老から、孫が勝手に婚約したので追い出したと聞きショックを受けるが、老人の希望どおり、青年を体よく追い出す。宿無しとなったマーティンは、アメリカで一旗揚げようと考える。メアリーと最後の逢瀬を楽しんだあと、マーティンはアメリカに向かう。イギリスでは、マーティン老の弟のアンソニーが急死する。アンソニーも利己主義者だったが、その息子ジョーナスも同様で、父親の居場所は棺の中が最適だと考えるような人間だった。葬式の後、ジョーナスは打算からペックスニフの次女マージーと結婚し、濡れ手で粟の詐偽商売に肩入れしはじめる。ペックスニフにはマーティン老の衰えがわかった。彼は遺産を確実に手に入れようと、メアリーに言い寄る……人間の暗部とこっけいさを徹底して描ききったディケンズの代表作のひとつ。長谷部史親氏は「作中における人物造形の巧みさと場面ごとの面白さ、犯罪にかかわる謎の要素が推理小説を思わせる」と述べ、本書を高く評価している。 -
スーパーエンジェル
全知全能のアルゴリズム=マザーに支配され、 生まれながらに階級で選別されて生きる人類。 異端の少年と中古アンドロイドが世界を変えるSF冒険物語 総合プロデュース・指揮:大野和士 台本:島田雅彦 作曲:渋谷慶一郎 子どもたちとアンドロイドが創造する、まったく新しいオペラを小説化! 何も知らない人はいう。パンドラの箱を開けるなと。でも蓋は開けるためにあるんだよ。 希望はここにしかないんだよ。 ある学園の卒業式。卒業生たちは15歳になると適性検査で選別され、全知全能AI「マザー」の管理下に置かれる。 アキラは判定により開拓地に送られることになり、教育係のヒューマノイド型AI「ゴーレム3」と出会う。 ゴーレム3はアキラとの深い心の交流を通じ、恋の切なさや夢見る力を感じとりながら、 世界の秩序を覆す、とてつもないものを創り出そうとしていた――。 -
究極の俳句
俳句では、たった十七音しか使えない。だから俳人は劇薬を扱う化学者の注意深さでもって、言葉の一つ一つを吟味し、どう組み合わせれば最大の効果を与えるかを戦略的に思考する。俳人とは疑りぶかい言葉の化学者なのである――。俳諧を芸術へと高めた芭蕉以降の数々の名句を味わいながら、その根底にはつねに、常識への批評精神にもとづく新しい価値の創造があったことを明らかにする。俳壇の俊英による創見に満ちた俳句論。 著者略歴 1980年、静岡県浜松市生まれ。早稲田大学教育学研究科博士前期課程修了。専門は芭蕉の発句表現。俳句実作は藤田湘子に師事。2004年、第19回俳句研究賞受賞。現在、俳句結社「鷹」編集長。読売新聞朝刊「KODOMO俳句」選者。早稲田大学講師。句集に『未踏』(第1回田中裕明賞)、『寒林』、評論集に『凜然たる青春』(第22回俳人協会評論新人賞)、『どれがほんと? 万太郎俳句の虚と実』、鑑賞書に『芭蕉の一句』『蕉門の一句』『名句徹底鑑賞ドリル』など。2017年度、Eテレ「NHK俳句」選者。 -
溶ける街 透ける路
――わたしの旅は言葉の旅でもある。多言語の中を通過しながら、日本語の中をも旅する―― 「エッセイの元祖」モンテーニュ縁のサンテミリオン、神田神保町を彷彿させる「本の町」ヴュンスドルフ、腕利きのすりが集まるバーゼル、ヘルダーリンがこもったチュービンゲン、エミリー・ディキンソンが生涯過ごしたアマスト、重い記憶を残すアウシュヴィッツ。ブダペストからリガ、アンマンまで、自作の朗読と読者との対話をしながら世界四十八の町を巡り、「旅する作家」が見て、食べて、出逢って、話して、考えた。心と身体を静かに揺さぶる、五十一の断章。 -
最後の挨拶 His Last Bow
いつか、ここに、遠くに、存在した誰か。 言葉によって、わたしたちは出会える。 ――柴崎友香さん推薦 シャーロック・ホームズの翻訳者だった父が倒れ、四姉妹の末っ子リブロは家族の歴史をたどりなおす。 時空を超えて紡がれる、風変りでいとしいファミリー・ストーリー。 「そこでは、もうとっくのむかしに死んでしまった人たちが、みんな生きていた。リブロの目の前、ここに、生きていた。」 百年前のロンドンから、戦争と震災をへて現在まで、家族の記憶とホームズの物語が鮮やかに交錯する――。 無数の喪失を超えて生き続ける言葉の奇跡を描く、注目作家・小林エリカの最新傑作小説。 -
歌集 地上絵
第二回笹井宏之賞永井祐賞を受賞した著者の第一歌集。 I am a 大丈夫 ゆえ You are a 大丈夫 too 地上絵あげる 第二回笹井宏之賞永井祐賞を受賞した著者の第一歌集。 大胆な間違いで鷲掴みされるほんとうのこと、 私にとって橋爪の短歌の最大の魅力はこれだ。 ────宇都宮敦(歌人) 【目次】 Ⅰ 地上絵 星とカメレオン 世界中の鳥の名前 ドレス! わたしの絶望 愛の犬 てんらんかい サイダーの匂い 熱帯夜 岩 階段 夢中 日々 着地 Ⅱ とおざかる星 うかぶわ 風なら 息の根を呼びとめて 銀色の靴 灯台 崖の街 かがやくゼリー 舌を出してね 感覚 ミニチュア 解説 地上絵もらう 宇都宮敦 あとがき 【著者】 橋爪志保 1993年、京都市生まれ。2013年に「京大短歌」に入会し、作歌を始める。現在は、同人誌「羽根と根」の同人として活動中。2020年、「とおざかる星」50首で第二回笹井宏之賞の永井祐賞を受賞。 -
声をあげます
地球の滅亡、感染症、種の絶滅、大量消費…… 《 解決の鍵はいつだって未来にある! 》 身に覚えのないことで突然、収容所に監禁された英語教師のスンギュン。16名もの教え子が殺人者になっているという。 そして、その原因が自分の“ 声” にあるというのだが……(「声をあげます」) 『フィフティ・ピープル』『保健室のアン・ウニョン先生』の人気作家が放つ初めてのSF短編集。 文明社会の行きづまりを軽やかに描き出し、今を生きる女性たちにエールを贈る、シリアスでポップな8つの物語。 二十三世紀の人たちを怒らせるのではないかと思うと私は恐ろしい。 この正常ではない、腹立たしい豊かさは最悪の結果に終わってしまうだろうと思う。 未来の人々に軽蔑されずにすむ方向へ軌道修正できたらいいのに。(「あとがき」より) -
小さな心の同好会
——私たちは、なぜ分かりあえなかったんだろう? 2019年、韓国文壇最高峰「李箱文学賞」を受賞したユン・イヒョン、待望の最新作品集。 社会から軽んじられてきた主婦たち、いつのまにか生じた溝にゆれるLGBTカップル、社内での性暴力を告発した女性……。 すこしの誤解やすれ違いから愛する人や大切な仲間を一瞬にして失う痛み……私たちは、なぜ分かりあえなかったんだろう? やり場のない怒りや悲しみにひとすじの温かな眼差しを向け、〈共にあること〉を模索した十一の物語。 私に似た誰かが、あなたに似た誰かといつか出会う想像をする。 異なる、よく知らないという理由で彼らがお互いを憎み、永遠に背を向けることがないようにと願う気持ちから、私が過ごしてきたある時間を束ねた。 この壊れて粉々になった言葉、まだ答えを知らない問いかけが対話のはじまりになってくれたらうれしい。——著者「あとがき」より 【目次】 ■ 小さな心の同好会 ■ スンヘとミオ ■ 四十三 ■ ピクルス ■ 善き隣人 ■ 疑うドラゴン——ハジュラフ1 ■ ドラゴンナイトの資格——ハジュラフ2 ■ ニンフたち ■ これが私たちの愛なんだってば ■ スア ■ 歴史 ■ あとがき ■ 訳者あとがき -
捜査一課OB ぼくの愛したオクトパス
初老の巡査長・鉄太郎と、若手キャリアの警部・賢人が取り組む連続強盗傷害事件の捜査は難航していた。そんな折、賢人と母の久子は瀕死のタコを海で助け、自宅で飼うことに。夫を亡くしてから元気のなかった久子が、タコにソクラテスと名付け世話をするうちに明るさを取り戻していくのを見て、最初は馬鹿にしていた賢人もタコの持つ不思議な能力を認めるようになっていった。鉄太郎の身勝手な捜査に振り回されて悩んでいた賢人は、ソクラテスとの触れ合いによって事件解決のヒントを得て、次第に犯人に迫っていく――。 「SRO」「警視庁ゼロ係」など人気シリーズの著者、最新作書き下ろし! -
ヒポクラテスの悔恨
これから一人だけ誰かを殺す。自然死にしか見えないかたちで――。 斯界の権威・光崎に宛てた犯行予告。悪意に潜む因縁とは!? 斯界の権威・浦和医大法医学教室の光崎藤次郎教授がテレビ番組に出演した。日本の司法解剖の問題点を厳しく指摘し、「世の中の問題の九割はカネで解決できる」と言い放つ。 翌朝、放送局のホームページに『親愛なる光崎教授殿』で始まる奇妙な書き込みが。それは、自然死に見せかけた殺人の犯行予告だった。 早速、埼玉県警捜査一課の古手川刑事とともに管内の異状死体を調べることになった助教の栂野真琴は、メスを握る光崎がこれまでにない言動を見せたことに驚く。 光崎は犯人を知っているのか!? やがて浮かび上がる哀しき“過ち”とは……? 死者の声なき声を聞く法医学ミステリー「ヒポクラテス」シリーズ、慟哭の第4弾! -
シグマフォース シリーズ⑭ タルタロスの目覚め【上下合本版】
もしタルタロスを目覚めさせたのならば、 それは最後の目覚めとなり、 次の眠りは永遠のものになるであろう…… ホメロスの叙事詩『オデュッセイア』は空想の産物なのか? それとも真実なのか? 世界35カ国で翻訳、全世界累計2,000万部突破 ベストセラー・シリーズ最新作! ■歴史的事実から──ホメロスによる二大叙事詩『イリアス』と『オデュッセイア』 ホメロスが実在の人物なのかは疑問がある一方で、物語そのものは実際に起きた大きな戦争を記述したらしいという説は、今では受け入れられている。事実、二作の叙事詩は古代ギリシアの「暗黒時代」として知られ、ギリシアのミケーネ、アナトリアのヒッタイト、そしてエジプトという三つの青銅器文明が崩壊した激動の時代に光を当てている。なぜ、どのようにして、文明の崩壊が起きたのか? 最近の発見から、地中海一帯が立て続けに複数の争いに見舞われたことが明らかになった。戦いが広範囲に及んだことから、一部の歴史家はそれが初めての世界規模での大きな戦争に当たると主張、「第零次世界大戦」とまで呼んでいる。この暗黒時代の争いの多くは謎に包まれたままだが、今では考古学者の間から、この戦いに第四の文明が関与していたとの見解も示されている。その文明はほかの三つの文明を駆逐した後、歴史の流れの中に消えてしまったという。それが本当ならば、その失われた人々は何者なのか? ホメロスの物語はその文明の起源と行方について、手がかりを提供してくれるのか? ――神々や怪物たちの登場する物語のすべてがフィクションだとは限らない……。 タルタロス―― それはギリシア版の地獄であり、 苦痛と苦難の奈落。 そこはハデスの一角で、オリュンポスの十二神に先立つ巨神族の、 タイタンが封じ込められていた場所。 それらはすさまじい力を持つ神々で、炎と破壊の化身……。 -
石の来歴 浪漫的な行軍の記録
現実と非現実の交錯を描く芥川賞受賞作。石に異常な執着を示す男の人生。長男の死、妻の狂気、次男の学生運動、夢と現実の交錯のなかで描かれる奥泉光の芥川賞受賞作。他に「浪漫的な行軍の記録」所収――太平洋戦争末期、レイテで、真名瀬は石に魅せられる。戦後も、石に対する執着は、異常にも思えるほど続くが、やがて、子供たちは死に弄ばれ、妻は狂気に向かう。現実と非現実が交錯する、芥川賞受賞作「石の来歴」。兵士たちの、いつ終わるとも知れぬ時空を超えた進軍、極限状況の中でみたものは……。帝国陸軍兵士の夢と現を描く、渾身の力作、「浪漫的な行軍の記録」所収。 -
セルフ・デベロップメント・ゴールズ SDGs時代のしあわせコットン物語
サラリーマンがボトムアップで取り組むSDGsのケーススタディとなる1冊! 自分の関わる仕事の延長線上に、誰かが苦しんでいるという事実を知った時、そこから目を背けず、何かできることはないか。1人のサラリーマンが、そんな思いから、インドのオーガニックコットン栽培支援を開始、みんなが幸せになれる循環を生み出すために奔走した。SDGsへの取り組みが広く叫ばれるなか、本当の支援とは? 持続可能な社会とは?という命題に向き合う1冊。 サステナブルビジネスの本質に迫る 「会社人」から「社会人」になるためのバイブル インドでつむいだ「みんなを笑顔にするコットン」 オーガニックコットンであることに意味があるのではなく、農家や大地の未来のことを考える人たちがたくさん集まっていくことに意味があるのです。「有機的(オーガニック)」な「つながり」こそが、僕たちが求めていかなければならないことなのです。――――サラリーマンが所属を超えて挑む「永続的な発展」 -
たいせつな気づき
※この商品はタブレットなど大きいディスプレイを備えた端末で読むことに適しています。また、文字だけを拡大することや、文字列のハイライト、検索、辞書の参照、引用などの機能が使用できません。 コロナウイルスの世界的大流行をきっかけとして発信されたのち、世界中で6千万回以上再生され20を超える言語に翻訳された、ポストコロナに希望を見出す励ましの物語。新たな暮らしに適応し、古い慣習を捨て、本当に大切なことは何なのかについて深く考えはじめた世界中の何百万もの人々の想いが、不思議な魅力をもって増幅されている。より公正で思いやりにあふれ、愛のある持続可能な世界を夢見る、あらゆる読者のための物語。 -
大都会の愛し方
彼を抱きしめると、俺はこの世のすべてを手に入れたような気がした。 光と影が渦巻く大都市ソウル。 最低賃金のバイトをしながら、くずみたいな文章を書きなぐって暮らす〈俺〉は、どれだけ派手に遊んでも、消せない孤独を抱えている。 そんな日々のなか、梨泰院(イテウォン)のクラブでバーテンダーとして働くギュホと出会い、愛を分かちあう。 しかし〈俺〉には、人に言えない〝秘密〟がある……。(「大都会の愛し方」) 喧騒と寂しさにあふれる大都会で繰り広げられる多様な愛の形。 さまざまに交差する出会いと別れを切なく軽快に描く。 韓国で新時代の文学として大きな話題を呼んだベストセラー連作小説。 【もくじ】 ・ジェヒ ・メバル一切れ宇宙の味 ・大都会の愛し方 ・遅い雨季のバカンス ・あとがき ・訳者あとがき -
君と、君がいる彼方
相原孝之は一級建築士で、妻の貴美子と中学1年生の娘・美加、小学2年生で料理好きの息子・康文の4人家族だ。ある日、息子が車にはねられ意識不明の重体に陥るが、時を同じくして、孝之の不倫や娘が学校でいじめられていることが発覚し、家族は瓦解寸前に。そんなとき、認知症の老人が相原家の前に何度も現れ、孝之の心にさざ波が立つ。孝之には幼い自分と母を捨て駆け落ちした父親がいたのだ。一方、康文の意識が戻らない中、老人とのふれあいを重ねるうちに、貴美子と美加の2人は驚くべき事実に気づくことに……。 不倫、いじめ、交通事故、そして認知症老人の作る手料理――崩壊寸前の家族に訪れた奇蹟の13日間。江戸川乱歩賞作家が満を持して贈る書き下ろし感動長編小説 -
利生の人 尊氏と正成
第12回日経小説大賞(選考委員:辻原登氏・髙樹のぶ子氏・伊集院静氏)受賞! 鎌倉幕府滅亡から建武の新政へ。人が生きる甲斐のある世をつくる――後醍醐帝と志を同じくする楠木正成と足利尊氏。三人はその志をかなえるためにともに戦い、志をゆがめぬために敵味方に分かれた。やがて南北朝の動乱を経て、室町幕府による武家政権に移る混沌とした世の人間ドラマを、最新の研究成果も取り込みながら描き、まったく新しい足利尊氏、楠木正成、そして後醍醐帝を造形。選考会では確かな歴史考察と文章の安定感、潔いまっすぐな作柄が評価された、歴史小説期待の新鋭の登場だ。 「利生」とは「《「利益衆生」の意》仏語。仏・菩薩が衆生に利益を与えること。また、その利益」(大辞苑)。本作では「上下の別なく、民が国を想う志を持ち寄って各々の本分を為せば、きっと日本は悟りの国になれる」と後醍醐帝と尊氏、正成は理想の世にかかげる。 <あらすじ> 時は鎌倉末期。討幕の動きが発覚し後醍醐天皇は隠岐に流されるが、幕政への不満から、治世の主体を朝廷に取り返すという近臣たちの討幕運動は幕府内にも広がっていく。幕府の重職にあった足利高氏(尊氏)が、帝方の楠木正成に呼応するように寝返り、鎌倉幕府は滅亡。後醍醐帝が京に戻り、建武の新政がはじまる。 しかし、武家も公家も私利私欲がうごめく腐敗した政治は変わらず、帝の志を実現しようと心をひとつにする尊氏と正成の運命は、陰謀に翻弄され、引き裂かれていく。
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