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1949年。祖父が死に、愛する牧場が人手に渡ることを知った16歳のジョン・グレイディは、自分の人生を選びとるために親友と愛馬と共にメキシコへ越境した。途中で年下の少年を一人、道連れに加え、三人は予想だにしない運命の渦中へと踏みこんでいく。至高の恋と苛烈な暴力を鮮烈に描く永遠のアメリカ青春小説。
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Posted by ブクログ
イアン・マキューアンを読んで以来、現代海外文学の面白さに気づき、いろいろ読んでみたくなった。で、コーマック・マッカーシーを手に取ってみた。 本作はメキシコが舞台の辺境3部作の一冊。 いや〜面白かった。なんだろう。久しぶりの感覚。起承転結ありの正統派小説。血生臭くてグロくてあまりにも残酷な成長物語。...続きを読む 馬と暮らしたい、牧場で働きたいとの漠然とした気持ちからグレイディは友達のロリンズと馬に乗り、テキサス州からメキシコへ国境を越えて行く。野宿をし銃で狩った兎をバラして食べ、川の水を飲み行く宛を探しながら旅をする。命の危険と隣合わせの旅。途中で見ず知らずの少年に会う。この少年も銃と立派な馬を持っているが、得体が知れずでまかせばかりを話す。厄介な事が起こりそうなそんな矢先…。 メキシコの自然の描写が素晴らしい。会話文が文章の中に入り込んでいて、ややこしいんだけど慣れてくると自然に感じる。朴訥とした会話の中に人生観や哲学がある。成り行き任せ。老成した感もあるけど、しかし、彼らはまだ17歳。そこが味噌。若いからこそ怖い物知らずなんだよね。 主人公のグレイディがいいんだなぁ。寡黙で朴訥、強くて正直者で馬を愛する男。真っ直ぐなのよ。 周りに翻弄されながらも苦難に立ち向かう姿に感動させられる。 この時代のメキシコ情勢や国柄、人々の暮らしぶりが興味深い。闇も伺い知れる。 馬の調教シーンが印象的。グレイディにとって馬は家族であり、乗り物であり、財産であり、生きる目的なのだ。馬が居ればそれでいい。 不条理な目に合いながらも、自分の行いが正しかったのかどうかを自問自答するグレイディ。歩みを進める孤独な彼が行き着く場所はどこなのだろうか。
全米図書賞と全米批評家協会賞受賞。映画化されている本作は、後の『越境』と『平原の町』を合わせて〈国境三部作〉と呼ばれる一作目。過酷な運命に翻弄される少年の成長を描く、ロードムービー的冒険譚の名作だと思います。 あらすじ: 16歳のジョン・グレイディ・コールは、祖父の死とともに牧場を失うと、一つ上の...続きを読む親友レイシー・ロリンズを誘って旅にでます。それは、高速道路に車が走る時代に、愛馬に乗って自らの居場所を求める越境の旅でした。途中、荒涼とした大地を旅するうちに、後に彼らの運命を翻弄することになる年下の少年と出会い、連れ立って旅を続けた一向に待ち受けていたものとは……。 翻訳がいいのか、クセのある濃厚な文体ですがスグに慣れます。そんなことより、目に浮かぶような風景描写の妙味や、友情ありロマンスありヴァイオレンスありと、少年たちに突きつけられる理不尽で過酷な運命や、所々に表される箴言めいた哲学的な言葉の数々、そしてなにより読み進むほど先が気になる展開に夢中になってしまいました。また、ヴァイオレンスと言っても同著者の『ブラッド・メリディアン』のような残酷な描写はないし、同じくSF要素のあるロードムービー的な『ザ・ロード』にも引けを取らない名作だと思います(本作は『ザ・ロード』とともに、刑務所内での読書会を描いたアン・ウォームズリー『プリズン・ブック・クラブ』の作中で褒められていましたね)。また、馬に関する描写がたくさんあるので、馬を愛して止まない人にはおすすめです。 あと余談ですが、やたら”煙草”のワードが出てくるので気になって数えたら154回……。ただし、情景描写や動作の一環や道具立てとして書かれている場面が多く、アルカジイ&ボリス・ストルガツキー兄弟のSF小説『ストーカー』(こちらは60回)のように、必ずしも喫煙者なら”ここで火をつける”だろうなという場面ばかりではないです。そのため、登場人物たちの内面があまり垣間見えないどことなくドライなタッチの文章が、より強調されてる気がしましたね。 正誤(5刷) P497の12行目 全米書評家協会賞→全米批評家協会賞
一家の営む牧場の売却を知った少年が自分らしく生きられる地を求め愛馬と共に越境して経験する喪失と再生の物語。単なる青春小説の枠に収まらぬ深遠で非情な世界は著者ならでは。中盤からの激しくも哀しい展開が心を揺さぶる 我々は兎角人生の分岐点を運命と云う言葉で表現しがちだが本作のなかでアレハンドラの大叔母が...続きを読む語るようにそれはコインの裏表で未来を占う以前の鋳造段階からすでに結果が決められているものなのかもしれない
ブラッド・メリディアンでコーマック・マッカーシーのこと大好きになったけど今作もやっぱり面白かった。 よく感動した作品などに心に刺さるって表現をするが本作は精神に沈み込んでくるような感覚を覚える。ゆっくりと読み進めてじわじわと精神に作用してくるような。 にしてもボーリングのピンを立てる仕事ってなんなん...続きを読むだ
「…世界の美しさに秘密が隠されていると思った。世界の心臓は恐ろしい犠牲を払って脈打っているのであり世界の苦悩と美は互いにさまざまな形で平衡を保ちながら関連し合っているのであって、このようなすさまじい欠陥のなかでさまざまな生き物の血が究極的には一輪の花の幻影を得るために流されるのかもしれなかった。」(...続きを読む459頁) マッカーシーの名を知ったのは映画『ノーカントリー(No Country for Old men)』を観てから。マシーンのように冷徹に人を殺していくシガー(ハビエル・バルデム)が印象的な映画だった。 これ、原題をちゃんと見ないとタイトルの意味するところが全然伝わらない。原題は「古い世代の人たちに最早居場所はない」という意味らしい。 そして、このタイトルの意味はそのまま『すべての〜』にも通ずる。 主人公ジョン・グレイディ・コールは17歳の牧童(カウボーイ)だけれど、自分の愛する牧場が手放されることを機に“相棒”であるレイシー・ロリンズとメキシコへの旅に出る。 当初から「メキシコに行く」というように目的地を設定したわけでもないのだけれど、とりわけ第1部の大自然の描写はアメリカとメキシコとの境界を非常に強く意識させるし、“相棒”ロリンズとの会話以外はほとんど全編にわたってスペイン語で話される。 しかもご丁寧に会話文の横にスペイン語の発音がカタカナでルビ振られている。 2人は旅の道中で大きな牧場に住み込みで働くことになり、ジョン・グレイディはその牧場主の娘に恋をする。その描写も全然全く甘ったるいものではない。 そこから感じるのは娘アレハンドラを見つめるジョン・グレイディの眼差しをさらに遠くから見つめる目だ。その先にはどうにもならない哀しみが待っていることを予期しているかのような、突き放した視点。 そして、タイトルにもあるように、「馬」に関するこれまでに読んだことのないような美しく綿密で、そして畏怖の念を抱いた記述が特筆すべき点だと思う。 「彼(ジョン・グレイディ)にとっては馬を愛する理由こそ人を愛する理由である、それは彼らを駆る血とその血の厚さだ。彼が敬い慈しみ命のかぎり偏愛するのは熱い心臓を持ったものでありそれはこれから先もずっと変わることはないだろう。」(10頁) 「最後に老人は自分は馬の魂を見たことがあるがそれは見るからに恐ろしいものだといった。それは一頭の馬の死に立ち会ったときにある種の条件がそろうと見えるがそれというのも馬という生き物は全体でひとつの魂を共有しており一頭一頭の生命はすべての馬たちをもとにしていずれ死すべきものとして作られるからだ。だから仮に一頭馬の魂を理解したならありとあらゆる馬を理解したことになると老人はいう。」(185頁) ジョン・グレイディの馬に対する接し方はかなり細かく描かれていて、カウボーイの文化(?)に関しての知識がそんなになくても馬への愛情、そして馬の息吹が伝わってくる。 冒頭で『ノーカントリー』と通ずる部分があると述べたけれども、それは「居場所がない」という点だ。ジョン・グレイディは「ここに自分の居場所はない」と考えて、メキシコへと馬を向ける。 そのことを象徴するように、ペレスという男にこう言われるのだ。 「きみははみ出し者(オベハ・ネグラ)だな、ちがうか? 黒い羊(オベハ・ネグラ)だ。」(316頁) この『すべての美しい馬』も『ノーカントリー』と同様に映画化されている。というか、俺は先に映画を見たので、ある程度風景をイメージできたから読みやすかったのかもしれない。 主演はマット・デイモン、娘役はペネロペ・クルス。何気にちょい豪華キャストだった。自然を綺麗に撮ってあって、映画としてもなかなかよかったように思う。退屈と思う人もいるかもしれないけれど…。 あと『ロード・オブ・ザ・リング』3部作でものすげーカッコよかった人間の王、アラゴルン役のヴィゴ・モーテンセンが主演でマッカーシー原作の『ザ・ロード』も映画化されてるので、手っ取り早くマッカーシーの作品を味わいたいのなら映画を先に観るのも手だな。 3本ともそれぞれかなり毛色が違いますけれど。
野生馬を乗りこなしていく調教シーンの臨場感といったらもう。。メキシコの話でトルティーヤがやたらと出てくるのでこないだ食べてきました。
少年二人が馬にのってメキシコへ行く、その旅の小説。 俺の勝手な先入観もあると思うが、いかにも「アメリカ」な小説だと思った。解説にもあったがウエスタンの雰囲気を色濃く漂わせているのと、少年たちの旅が、旅を通しての成長が「スタンドバイミー」を思い出させたからかもしれない。 この小説に盛り込まれている要...続きを読む素に、あまり目新しいものはないかもしれない。旅、旅の途上でのトラブル、新天地での生活、恋、挫折、急転直下の苦難、そして故郷への帰還。どれをとっても意外な展開などない。 にもかかわらず、この小説が与えてくれる感動は一体何なのか。これほど多くのシーンが目に心に焼きついた小説も珍しい。 現在の生活から飛び出したい、未知の世界へ飛び込みたい、若いころ多くの人が抱いた想いが追体験できるからかもしれない。 不思議と心に残る、傑作である。
1949年。祖父が死に、愛する牧場が人手に渡ることを知った16歳のジョン・グレイディ・コールは、自分の人生を選びとるために親友ロリンズと愛馬とともにメキシコへ越境した。この荒々しい土地でなら、牧場で馬とともに生きていくことができると考えたのだ。途中で年下の少年を一人、道連れに加え、三人は予想だにしな...続きを読むい運命の渦中へと踏みこんでいく。至高の恋と苛烈な暴力を鮮烈に描き出す永遠のアメリカ青春小説の傑作。
米国文学の巨匠コーマック・マッカーシーの国境三部作の第一作目。テキサス州からメキシコに至る道はさながら青春ロードムービーのようであり、美しい情景が目に浮かぶような自然描写。牧歌的な叙事のあとに訪れる理不尽で強烈な暴力の数々。原初的な人々が織り成す激情の衝突は、近代アメリカが封殺した善悪を増幅したよう...続きを読むな沸騰する生命力を感じさせる。一番の驚きは物語終盤に完璧なタフガイに成長した主人公が16歳ということか。荒野に佇む余韻の味わえる良質な小説。
てっきり競馬か何かの話かと思ったが全く違った。 国境を足で超えるって一つのロマンだなぁと思う。 恋愛、暴力、生死の不条理さの描かれ方は上手い。 なぜマッカーシはメキシコ、テキサスそして国境をこれだけ描写できるのだろうか。
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