歴史・時代小説作品一覧

  • 双調平家物語1 序の巻 飛鳥の巻
    3.5
    1~16巻921~1,152円 (税込)
    これは、「栄華」という幻想に憑かれた男達の物語である。話は、平清盛から始まらず、その栄華の原型を作った藤原氏、更には、本朝が範とした中国の叛臣伝から始まる。秦の趙高、漢の王莽、粱の朱い、唐の安禄山。彼等は真実、叛臣なのか。そして、万世一系の我が朝に、果たして真実、叛臣はあるのか。
  • 手習重兵衛 母恋い
    3.5
    江戸は白金村に戻り、手習所を再開した興津重兵衛。家主の娘おそのを妻に迎えるはずだったのが、重兵衛を仇と思いこんだ正体不明の女と同居する羽目に……。一方、村では半月ほど前から住み着いた謎の女が、男たちの好奇の的になっていた。
  • 手習重兵衛 隠し子の宿
    3.5
    おそのと正式に婚約を交わしたばかりの重兵衛だったが、朋友の作之助と吉原に行ったことが判明。さらに、隠し子がいることが村の噂となり、品川の女郎宿に出入りしているのも目撃され……。はたして重兵衛は、許嫁おそのに与えた誤解をとくことができるのか。(書き下ろし)
  • 亜智一郎の恐慌
    3.5
    雲見番番頭の亜智一郎は、日がな一日ぼんやりと空を眺めている。だがそれは仮の姿であり、実際は将軍直属の隠密方であった。しかも彼を取り巻く人々は、かつての泡坂作品に登場した人物たちと、因縁浅からぬ関係が!?尊王攘夷に揺れる幕末で次々に起こる怪事件を、雲見番が粛々と解決してゆく連作短編集。

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  • 本朝金瓶梅
    3.5
    『金瓶梅』とは赤裸々な性描写で有名な中国の小説。この筋立てを花のお江戸に移したのが本書です。札差の西門屋慶左衛門は金もあれば美男子で、評判の女好き。かたや少女の頃から妾稼業をし、男をたらし込んで生きてきたおきん。そんなふたりがまぐわってしまったから、さあ大変。慶左衛門の妾のほうが100倍幸せとばかりに、おきんは自分の夫に毒を盛る。念願かなって妾になっても、慶左衛門はいろんな女にうつつを抜かし……。恋愛小説の名手が描く、官能時代小説!
  • 羊羹合戦
    3.5
    秀吉の“紅羊羹”を超える羊羹を作れ――。直江兼続より、来年の関白主催の花見の会での、上杉家の羊羹作りをすることになった庄九郎。まだ練り羊羹を味わったこともなかった、庄九郎の戦いが始まった。さらに、雪国越後ならではの羊羹を求めていたが……(「羊羹合戦」)。国学者・荷田春満が忠臣蔵の一件に関わっていたという、「桂籠」。亡き父親の想いを胸に、藩主の命による黒鯛釣りに士道を尽くす男を描く「釣って候」など、さまざまな趣向を凝らした全8篇。2009年のNHK大河ドラマ「天地人」原作者による、珠玉の時代小説集。

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  • 日蓮
    3.5
    立正安国は法華経にあり! 南無妙法蓮華経! 捧げるは男の情熱。信ずるはその一念――安房国小湊の漁家に生を享けた善日丸は幼くして清澄山に入った。以来、救国の道を求めて懸命に切磋琢磨、勉学に励む。だが時の政権も民衆もいっかな眼を開こうとしない。……迫害を超えて、信念を貫く炎の聖者の半生。
  • 戦国名軍師列伝
    3.5
    天下を争う武将たちの帳幕にあって、組織の命運を握る作戦の立案と完璧な遂行を求められた軍師たち。持てる軍学のすべてを駆使して信玄を大大名に押し上げた山本勘介、高潔な人柄と卓越した軍略で秀吉の天下取りを支えた竹中重治(半兵衛)、家康を討死寸前にまで追い込んだ戦国屈指の勇将・真田信繁(幸村)など、名将・智将・謀将・勇将の機略の数々と人間像を描き出す人物評伝。

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  • 報復の峠 無茶の勘兵衛日月録7
    3.5
    大野藩次期後継直明の不行跡に端を発する陰謀は、着々と進行しつつあった。その中心に幕府大老酒井忠清があり、越後高田、越前福井の両藩が実行役として牙を剥き始めた……。一方、耳役として江戸在勤の落合勘兵衛に、不吉な一報がもたらされた。勘兵衛を討つ、と富田流小太刀の名手丹生文左衛門父子が大野藩を脱藩したのである。
  • 刺客の爪 無茶の勘兵衛日月録5
    3.5
    邪悪の潮流は越前大野から江戸へ。そして大和郡山藩に及んでいた。大野藩若君の不行跡は幕府老中の知るところとなったのである。苦悩する落合勘兵衛を打ちのめすかのように更に悲報が舞い込んだ。藩随一の手練れといわれている塩川重兵衛が、江戸潜伏中と思われていた山路亥之助に斬殺されたという……なぜ? どうしてなのか?
  • 残月の剣 無茶の勘兵衛日月録3
    3.5
    無茶勘こと落合勘兵衛は帰途、浅草猿屋町で病に倒れていた一人の老剣客を助けた。医師によれば重い肝の臓の病で、余命は一ヵ月との診立てである。男の名は百笑火風斎。大和国吉野天河郷に住し、後村上天皇から位衆傅御組の名を賜り代々天皇守護の務めをする家柄という。驚く無茶勘だったが、やがて凄絶な藩主後継争いの渦に巻き込まれて……。
  • 土方歳三(一) 試斬
    3.5
    浪人の咽を水平に薙いだ。咽のあたりの肉がめくれた。それが一瞬、白く見えた。肉の白さだ。女の肌よりも白かった――。徳川幕府に落日が迫る。土方歳三は待っていた。おのれの血を燃やす何かが起こる、と。その日までに人の屠り方を覚えねばならぬ。歳三は試し斬りの獲物を物色し始めた。幕末の京洛を血に染めた斬殺軍団・新撰組を率いた男の凄絶な生を描く長篇小説第一弾! 【解説】縄田一男

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  • お役者文七捕物暦 比丘尼御殿
    3.5
    お江戸八百八町に、淫らな噂が乱れ飛んでいた。市中に比丘尼御殿なるものがあり、主の尼御前が家来に見目よい男を攫ってこさせ、精を吸い尽くしたあげくに捨てさせる、というのだ。だが、いかに調べても、尼御前の正体も屋敷も判然としないのである。大岡越前守を悩ます怪事究明に乗り出した、もと歌舞伎役者の文七は、事件の背後にただならぬものを直感した……。

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  • 松平春獄
    3.5
    黒船来航を機に徳川二百数十年の太平が揺らぎ、倒幕運動が高まりをみせた激動の時代、「幕末四賢侯」と呼ばれる4人の賢君が登場し、政局の中心にあって活躍した。土佐の山内容堂、薩摩の島津久光、宇和島の伊達宗城、そして越前福井藩・松平春嶽である(4人の選定には諸説あり)。福井県出身の女流作家が、春嶽の少年時代から筆を起こし、同時代を生きた様々な英傑との関係を軸に、激動の只中を歩んだその半生を描いた長編小説。著者ならではの想像力で、みずみずしい春嶽の人物像を見事造形した力作!

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  • 弾正の鷹
    3.4
    死する定めの刺客たち、最後の愛とは―― 直木賞作家の原点を収録した傑作時代小説集! 信長の首を獲る。 それは堺の商人だった父を殺された 桔梗の悲願。 信貴山に籠もり信長への叛旗を企む松永弾正の側女となり仇討ちの機会をうかがっていた。弾正から鷹を使った暗殺法を知らされた桔梗は、韃靼人の鷹匠頭と契り秘術を体得。ついに信長との謁見の場を得るが……。(「弾正の鷹」)
  • おふうさま
    3.4
    江戸時代初期、加賀前田家利常公四女・富姫(おふうさま)が、京・桂離宮を造営したことで有名な八条宮家へ嫁ぐことに。それは徳川将軍家の顔色をうかがいつつも、朝廷と良好な関係を築くための政略結婚。入輿に際して「おふうさま」付きの侍女となった小蝶は、女主人を守っていくことを決心し奔走します。加賀前田家を快く思わない公家衆の陰謀や予期せぬ災難を乗り越えながらも、「おふうさま」は妃としての使命と秘めた恋に揺れ動いていました――侍女だけが知る「おふうさま」の心の内、その悲願とは。
  • 藁化け 古道具屋 皆塵堂
    3.4
    幽霊が見えて、数々の幽霊話を解決してきた太一郎の幼馴染みの巳之助は、浅草の道具屋の若旦那の太一郎とは対照的に、鬼も逃げ出すいかつい風貌で怪力の持ち主だ。なぜか深川の皆塵堂には、昔から出入りしていて、力仕事に重宝されている。 長屋のかみさん連中に魚を売る、気ままな棒手振りで、まるで女っ気がなかった巳之助は、札差の大店大和屋の、とびきりの美人女中お志乃に一目惚れ、なんとか嫁さんにもらいたいと願う。 誰がどうみても、お志乃は高嶺の花。皆塵堂の主、伊平次たちも面白がって、呪い話で手に入った藁人形を巳之助に手渡し、四日の内に次々交換して、お志乃さんにふさわしい価値ある贈り物に替えてみせることができたら、材木商鳴海屋のご隠居清左衛門にかけあってもらい、みんなで背中を押そう、と巳之助をけしかける。 藁人形がはたしてどこまで化けるのか、巳之助の涙ぐましい奮闘がはじまる。 そうこうするうちにも、皆塵堂には、次々と怪異話が舞い込んで……。 皆塵堂シリーズきっての強力キャラ、自称江戸一の猫好き、棒手振りの巳之助が巻き起こす一世一代の「わらしべ長者」奮戦記!
  • 勘定侍 柳生真剣勝負〈一〉 召喚
    3.4
    大坂商人、柳生一族の陰謀に巻き込まれる! 時は寛永十三年――江戸城黒書院に呼び出された、惣目付を務める柳生但馬守宗矩。 上段の間の襖が開くと、老中の堀田加賀守より、「役目に奨励をもって、四千石を加増する」との旨が伝えられた。 本禄の六千石と合わせて、ついに一万石となり、晴れて大名となった柳生家。 だが、宗矩の顔は沈んでいた。 大名を監察する惣目付が、大名になっては都合が悪いためだ。 案の定、宗矩は即日惣目付を解かれ、監察される側に回されてしまう。 惣目付時代に買った恨みから、痛くもない腹まで探られてはかなわない。 なにしろ旗本から大名になれば、典令や家政が大きく変わるため、隙を生みやすいのだ。 一族最大の危機から逃れるべく、策を講じなければならなくなった宗矩は、なかでも武士が苦手とする金勘定が危ういと考え、ある秘策を思いつく。 なんと、大坂一と言われる唐物問屋淡海屋七右衛門の孫である一夜を召し出すという。 いったい柳生家と一夜は、どんな関わりがあるのか? 武士となった一夜に、宗矩の嫡男である十兵衛は、柳生家の者として剣術を身につけよと新陰流を指南するが……。 果たして一夜は柳生家を救えるのか? 痛快時代小説シリーズ第一弾!
  • 海風
    3.4
    迫られる攘夷か、開国か――。嘉永六年(一八五三年)六月、浦賀にその姿を現した四隻のアメリカ軍艦。幕府は強大な武力をもって開国を求める艦隊司令長官・ペリーの対応に苦慮していた。清国がイギリスとの戦争に敗れ、世界の勢力図が大きく変わろうとするなか、小姓組番士・永井尚志は、老中首座・阿部伊勢守正弘により、昌平坂学問所で教授方を務める岩瀬忠震、一足先に目付になっていた岩瀬の従兄弟・堀利煕とともに、幕府の対外政策を担う海防掛に抜擢される――。迫り来る欧米列強を前に、新進の幕臣たちが未曾有の国難に立ち向かう。現代へと繋がる日本の方向性を決定づけた重要な転換期を描く幕末歴史小説! 「隠蔽捜査」シリーズをはじめ警察小説の名手が、“薩長史観”に一石を投じる!
  • きりきり舞い
    3.4
    『東海道中膝栗毛』の作者・十返舎一九の娘、舞。酒びたりで奇行ばかりの父、押しかけ弟子の浪人や葛飾北斎の娘であるお栄たち居候に翻弄される日々だった。十八歳だというのに縁談はみな父が壊してしまう。そんな舞を武家の若者、野上市之助が見初めた。今度こそ恋が実るか!? 奇人変人に囲まれた娘が懸命に生きる姿を、ユーモアと人情味たっぷりに描く時代連作集。
  • 最後の甲賀忍者
    3.4
    幕末・ミッション・インポッシブル! MISSION 『幕末最後の戦いで見事活躍し、甲賀忍者ここにありと知らしめ、武士の地位を獲得せよ!』 幕末、江戸幕府が大政奉還をし、旧幕府と薩摩・長州の間で大きな戦が起ころうとしているその時、〝元〟忍びの里・甲賀は揺れていた。忍びとして戦国では大いに活躍したにもかかわらず、戦がなくなると時の権力者たちは難癖をつけて身分と領地を没収。気づけば忍びの術は失われ、百姓として困窮するまでになっていた。そんな折の大戦。忍びの技を再び世に示し、甲賀忍者ここにありと知らしめれば、武士の身分につけるのでは――。そんな願いのもと、集められた甲賀の里の若者たち。その中でも、鬼っ子・山中了司、宮司見習い・安井金左衛門、箱入り息子・大原伴三郎、誇り高き血筋・鵜飼当作、少々年の行った薬術師・間瀬勘解由の五人組は喧嘩ばかりのはちゃめちゃで!? 幕末を駆け抜けた「最後の忍者」の活躍を描くノンストップ・エンターテインメント時代小説!
  • 人撃ち稼業
    3.4
    時は天保十二年。丹沢で熊獲り名人と呼ばれている玄蔵は、恋女房の希和とふたりの子どもと共に幸せに暮らしていた。そんなある日、御公儀徒目付の多羅尾と名乗る武士が突然玄蔵の元にやって来て、「お前、江戸に出て武家奉公をしてみないか」という。どうやら己の鉄砲の腕が欲しいらしい。とんでもないと断ろうとした玄蔵だが、「お前の女房は耶蘇なのか」と脅され、泣く泣く多羅尾と共に江戸へ……。孤立無援の玄蔵を待ち受けている苛酷な運命とは!? 人気作家による、手に汗握る熱望の書き下ろし時代小説、新シリーズ。
  • デウスの城
    3.4
    【電子書籍特典】 『デウスの城』発刊記念対談「これからの宗教の役割」を収録。 関ヶ原の戦い、大坂の陣、 そして日本史上最大級の内戦・島原の乱。 幕府軍12万vs一揆軍3万7000 三人の若きキリシタン侍に待ち受ける試練。 信仰の自由を懸けた最後の戦いが始まる! 歴史小説の第一人者、新たなる代表作! 神とは。信仰とは。生きるとは。 天下分け目の関ヶ原の戦いに西軍で参陣した小西行長の小姓・彦九郎と善大夫、そして肥後の地で守りにつく佐平次。彼らは幼馴染みの若きキリシタン侍だった。敗れて主家を失った三人はそれぞれ全く別の道を歩むことに。やがて、激しい弾圧と苛政に苦しむ島原・天草の民が、奇跡を起こすという四郎という少年の下に起ち上がった。この地で、三人は立場を変え、敵同士となって再会を果たすことに――。魂震わせる大河巨篇! 【目次】 第一章 生きてこそ 第二章 神はいずこに 第三章 武士と十字架 第四章 運命の変転 第五章 われらの祈りを聞き給え 第六章 讃美歌の海
  • 福音列車
    3.4
    「福音の列車が、やっと日本にも来る。このやかましく、血なまぐさい戦闘の騒音とともに」 国と国の歴史が激突するその瞬間、その時代を活写した5つの物語。 明治維新の後、アメリカの海軍兵学校に留学した佐土原藩主の三男・島津啓次郎。彼はスピリチュアル(黒人霊歌)と出会い、これにぞっこんに。しかし、歌うにはソウルとガッツが必要だと言われる。「ゴスペル・トレイン」 上野戦争で死に損ない、妻と二人で「虹の国」ハワイへ移住して再起を図ろうとした伊奈弥二郎。待っていたのはサトウキビ農場での重労働だった。威圧的な白人農場主たちに、弥二郎とハワイ人労働者のエオノはストライク(労働争議)を決行する。「虹の国の侍」 第一次大戦後、日本が委任を受けて統治していた南洋のパラオにて。海軍大尉・宮里要は諜報目的で潜入した米軍将校・エリスの死体を検分したが、旅券からは肝心の顔写真が剥ぎ取られていた。「南洋の桜」 シベリア出兵にて、どうしても従えない命令を忌避して脱走兵になった、騎兵一等卒・鹿野三蔵。彼はモンゴルで、黒旗団(ハラ・スルデ・ブルク)という馬賊団に参加。生まれや人種を越えて、自らの国(ウルス)を探そうとする。「黒い旗のもとに」 神戸で生まれ育ち、祖国のためにインド国民軍婦人部隊、ラーニー・オブ・ジャンシー聯隊に志願した、少女・ヴィーナ。元サラリーマンの陸軍少尉で、インド独立指導者のチャンドラ・ボースに心酔する青年・蓮見孝太郎。インパール作戦で、近くて遠い二人の人生が交錯する。「進めデリーへ」
  • 蘭方医・宇津木新吾 : 1 誤診
    3.4
    長崎帰りの見習い蘭方医・宇津木新吾は、町医者の幻宗の治療にかける真摯な姿勢と見事な腕前に傾倒していく。しかし、新吾の養父・順庵は、新吾を自分の出世の道具にしようと、表御番医・上島漠泉のひとり娘・香保との縁談を進めていた……。
  • 一膳めし屋丸九
    完結
    3.4
    日本橋北詰の魚河岸のほど近く、「丸九」という小さな一膳めし屋がある。うまいものを知る客たちにも愛される繁盛店だ。たまのごちそうより日々のめしが体をつくるという、この店を開いた父の教えを守りながら店を切り盛りするのは、今年二十九となったおかみのお高。たとえばある日の膳は、千住ねぎと薄揚げの熱々のみそ汁、いわしの生姜煮、たくわん漬け、そして温かいひと口汁粉。さあ、今日の献立は?しあわせは、うまい汁とめし、そしてほんの少しの甘いもの。おいしくて、にぎやかで、温かい人情派時代小説。
  • はぐれ牡丹
    3.4
    一乃は夫・鉄幹と四歳になる幹太郎と三人、深川冬木町の裏店に暮らしている。日本橋両替商の跡取り娘であった彼女は、かけ落ちして鉄幹と一緒になったが、貧しくとも幸福な日々を送っていた。そんなある日、一乃がにせ一分金を見つける。一方同じ裏店のおあきが人さらいにあってしまう。一乃たちは、おあきを助けるために立ち上がるが……。助け合い、明るくたくましく生きる市井の人々を情感こめて描く長篇時代小説の傑作。   (解説・清原康正)
  • 怨返し 古道具屋 皆塵堂
    3.4
    日光街道の越ヶ谷宿の旅籠で働かせてくれた恩人・仁兵衛の遺品には幽霊が憑いていた。仁兵衛が若い時分に、江戸で借金の取り立て屋「すっぽんの桑次郎」という異名をとっていたことを知った甥の藤七は、遺品の数々を元の持ち主に返す旅に出ることになった。道中、「刀狩りの男」と呼ばれる浪人に襲われ川に落ちた藤七は、深川亀久橋近くの古道具屋「皆塵堂」で目を覚ました。 三十年前に仁兵衛が手に入れた遺品の数々は、「すっぽんの桑次郎」の借金の形なのか。優しかった伯父が人々に恨まれる非情な取り立て屋だったことがどうしても信じられない藤七は、限られた七日間の江戸滞在のうちに、遺品の持ち主を捜し出し、憑いている幽霊の謎を解き明かし、伯父の正体をつきとめることができるのか? 材木商のご隠居・清左衛門、力自慢の魚屋・巳之助、有能な小僧・峰吉らの助けも借りながら、「知りたがりの藤七」は江戸でも行く先々で幽霊をみることに……。 怪談+とぼけた笑いで人気の「皆塵堂」シリーズ、第十弾!
  • ミカドの淑女
    3.4
    その歌の才により皇后の寵愛を受け、「歌子」と名付けられた女官がいた。しかし、その後女は“妖婦”と新聞で取り上げられる。明治の宮廷を襲った一大スキャンダルの真相を暴く、林真理子最初の歴史小説。
  • 破蕾
    3.4
    まさか、官能小説で泣くなんて!!! 現世の業に囚われた女たちを待ち受ける、淫靡で切なすぎる運命――。 山科理絵氏の豪華挿絵入りでおくる、禁断の「時代×官能」絵巻!! 旗本の屋敷に差し入れを届けたお咲。不相応な歓待に戸惑う中、ある女に科せられた「市中引廻し」の身代わりになれと命じられる。驚く間もなく緊縛された彼女を待ち受けていたのは、想像もしなかった淫靡な運命だった――。 「咲乱れ引廻しの花道」 「さぁ、もっと……わたくしをお聞き下さって」 夫の殺害未遂で囚われた芳乃(よしの)。その身体からは得も言われぬ薫香が漂い――。 「香華灯明、地獄の道連れ」 「どうせなら、こちらに来ませんか」 道場の娘・景(けい)が目にしたのは、睦(むつ)み合う二人の兄弟子の姿だった。 「別式女、追腹始末」 業に囚われた女たちの切なく儚い性を描いた傑作官能連作集!
  • まんぷく旅籠 朝日屋 なんきん餡と三角卵焼き
    3.4
    「てめえに売る魚なんかねえ! とっとと帰れ!」日本橋魚河岸で怒声を浴びた慎介とちはる。振り向くと仲買人の鉄太が仁王立ちしていた。うまい料理とおもてなしで客足を取り戻した旅籠「朝日屋」に対し、鉄太は拭えぬ怒りを抱えていた――(第一話「まことの味」)挫折の味を知る人が笑顔を取り戻す朝日屋、今日も開店! 文庫書き下ろし 目次 第一話 まことの味 第二話 幸せの膳 第三話 小さな日輪 第四話 一陽来復の朝
  • 重蔵始末
    3.4
    火盗改(かとうあらため)・近藤重蔵、21歳。強者揃いの御先手鉄砲組でも際立つ偉丈夫。傍若無人の言動で毀誉褒貶(きよほうへん)半ばする。ロシアの謎の大男、美女のかたき討ち、茶屋の狂歌殺人事件……。寛政の世を揺るがす怪事件を型破りの手法で重蔵が解く。後に北方探検家として名を馳せた奇才を主人公に描く、著者初の本格時代小説。
  • 天保十四年のキャリーオーバー
    3.4
    七代目市川團十郎vs悪の奉行・鳥居耀蔵。積もり積もった100万両をめぐる史上最大の騙し合いが始まる! 天保十四年十一月。七代目市川團十郎は、自分を捕縛し江戸から追放した南町奉行・鳥居耀蔵を討つべく、息を潜めてその時を待っていた。絶好の機会が訪れ、短刀を抜いたその瞬間、何者かの拳をくらい気絶してしまう……。それが、父・矢部定謙を無実の罪で陥れられ、同じく鳥居への復讐に燃える鶴松との出会いだった。聞けば、鶴松は別の方法で鳥居に復讐しようとしていた。なんと、鳥居が富くじの裏で溜め込んだ、100万両を根こそぎ奪おうというのだ。果たしてその方法とは!? 『1985年の奇跡』『リカ』の著者が、『安政五年の大脱走』『相棒』に続いて贈る、一気読み必至の歴史エンタテインメント。
  • レギオニス 秀吉の躍進
    3.4
    織田家の軍団長(レガトゥス・レギオニス)で、最後に生き残るのは誰だ? 畿内の広範囲を勢力下に置く三好三人衆を降し、足利義昭を奉じて京に入った信長。主に上洛戦の先鋒を命じられるなど、その信頼を取り戻しつつある柴田権六勝家は、家中での存在感を増していく。だが、「天下布武」に邁進する信長に付き従う勝家らの前に、北近江の浅井長政、越前の朝倉義景、越後の上杉謙信、石山本願寺、一向一揆など、多くの敵が立ちはだかるのであった――。 武将たちの出世争いを描き、働くすべての人が感涙必至の大好評戦国絵巻、第三弾。「戦国の家は、まるで現代の会社だ!」
  • 洛陽の姉妹
    3.4
    動乱の時代、姉妹を襲う苛酷な運命……。ときの皇帝の正后で、世間で最も恐れられるという南風(なんぷう)。その異母姉である春暉(しゅんき)は、斉の国から洛陽へと、妹に会うためにやってきた。だが、春暉には会おうともしない南風には、姉への複雑な思いがあった……。時代が生んだ姉妹の運命を、力強くまっすぐな視線で描く表題作など、抒情あふれる中国短篇小説5編を収録。
  • 天璋院と和宮
    3.4
    幕末という時代に徳川将軍家の妻となった二人の女性の、波瀾万丈の人生を描いたものである。激動する時代のなか、徳川幕府は大きく揺れ動いていた。そんな時、第十三代将軍・家定の正室として、薩摩藩主・島津斉彬の養女・天璋院が大奥に入る。そして数年後に将軍が逝去すると、第十四代将軍・家茂の妻として孝明天皇の妹・和宮が京都からやってくる。はからずも姑と嫁の関係になった二人は、始めは、まったく違った環境と仕来りの中で育ったこと、周りに多くの女性が仕えており直接の会話が難しい状況から、なかなか心の交流をもてなかったが、それも時とともに解消していく。やがて二人は、時代が江戸幕府の滅亡、戊辰戦争の開始と急展開する中、互いに力を合わせ、江戸無血開城、徳川宗家の存続という歴史に残る事績を成し遂げていくことになる。「大奥」という舞台から幕末の激動を描いた本書は、歴史を見る新しい視点を読者に提供してくれることだろう。
  • 三国志外伝
    3.4
    「いつの世でも、人が生きてゆくということは、むずかしいものである」(序より) 正史にもとづいた大作『三国志』全12巻を書き上げた著者が、時代の潮流の外にいながらも忘れがたい12人の生涯をたどった。 『三国志』をあらわした陳寿(ちんじゅ)、輝ける倫理観と志望をもっていた太史慈(たいしじ)、魏の名臣・王粲(おうさん)・・・。 ある者は、権力者や政治の中心に近づきながら、遠ざかることを余儀なくされた。その苦難をどのようにしのいだのか。曹操、孫権、劉備、関羽といった英傑たちとはことなり、歴史の中で一瞬だけ輝いた人生。その輝きが愛惜の念とともに描かれる。 著者による後漢・三国年表つき。
  • 風かおる
    3.4
    鍼灸医・菜摘は「妻敵討ち」の旅から戻った養父・佐十郎と十年ぶりの再会を果たす。しかし、死病に侵された佐十郎にかつての優しい面影はなく、帰藩は妻敵討ちを唆した者との果し合いのためだという。討たれると知りながら治療を施すことに葛藤を覚えた菜摘は果し合いの相手を探るが、やがて哀しい真実に突き当たり――。哀歓溢れる傑作時代小説。
  • 耳袋秘帖 白金南蛮娘殺人事件
    3.4
    渋谷の南、白金あたりで立て続けに、裕福な家の若い娘四人が行方知れずとなった。およそ半月ほど前の話だという。この一件が奉行所には届いていないことに不審を覚えた南町奉行・根岸は探索を命じた。同じ頃、江戸の街のそこかしこで、紅髪碧眼の大柄な娘が目撃された。人を探しているようであったというのだが……。無関係に思えた二つの事件だったが、やがて一つとなっていく。果たしてその真相は?
  • 影踏み鬼 新撰組篠原泰之進日録
    3.4
    生きている限り、人は何事かをなすことができる 伊東甲子太郎を慕い新撰組に入隊、後に伊東とともに新撰組を脱退した久留米藩脱藩隊士、篠原泰之進。 彼の目を通じて見た新撰組の隆盛と凋落。 伊東が近藤たちに暗殺された後、相良総三の赤報隊に身を投じるも、官軍に弊履のごとく捨てられる。 しぶとく動乱の日々を生き抜いた彼の疾風怒濤の半生を描く。
  • 燦 1 風の刃

    3.4
    少年たちの葛藤と成長を描く、文庫書き下ろしシリーズ第1弾。江戸から遠く離れた田鶴藩。その藩主が襲われた。疾風のように現れた刺客は鳥獣を操り、剣も達者な謎の少年・燦(さん)。筆頭家老の嫡男・伊月(いつき)は、その矢面に立たされるが、2人の少年には隠された宿命があった――。尋常でない能力を持つ「神波(かんば)の一族」の正体とは? 一気読み必至のエンターテインメント時代小説。江戸の世を少年たちが駆ける!
  • 灼恋
    3.4
    徳川の中期、将軍綱吉の時代。零落した公家の娘染子は侍女として大奥に出仕する。綱吉に見初められてその寵愛を受けるが、大奥に囚われるのを拒んだ染子は、重臣柳沢吉保の側室となり、綱吉の子を生す。二人の男との三つ巴の関係のなかで激しい恋情に身を焦がす染子。絢爛な元禄の歴史を背景に、権謀術数の渦中でも、志に燃え恋に心解き放つ女と男の、強靭な恋愛を描く長編小説。
  • 真田を云て、毛利を云わず(上) 大坂将星伝
    3.4
    豊臣秀吉最古参の家臣を父に持つ毛利勝永は若くして、九州豊前一万石の大名となる。天下統一を成した秀吉は高邁な理想の下、朝鮮に出兵するが……。石田三成の薫陶を受け、豊臣政権の次代を担う器と目された勝永の眼前に、徳川家康が立ちはだかる。戦国の世、志を貫いた男を爽快に描く歴史小説。(『大坂将星伝』改題)
  • 吹毛剣 楊令伝読本
    3.4
    「替天行道」の志を受け継いだ楊令の闘いと、熱き漢たちの生き様を壮大なスケールで描いた、北方謙三の『楊令伝』。文庫版全十五巻完結を記念して、公式読本が文庫オリジナルで登場。地図や年表、厖大な登場人物たちを網羅した人物事典、著者のエッセイや対談、さらにはここでしか読めない担当編集者のウラ話など、『楊令伝』の世界をもっと楽しむためのコンテンツが満載。
  • 歳三からの伝言
    3.4
    新選組副長にして幕末一のモテ男・土方歳三。賊軍とされて京を追われ、江戸から末期の地となる蝦夷(えぞ)へ敗走しつつも、歳三は常に信じる道を突き進んだ。命を削る戦いの中で女を泣かせ、だが多くの女を惹きつけた志士の生き様を、鳥羽・伏見の戦いから慶応5年5月のその日まで、情感豊かに描く傑作長編時代小説。
  • 伊賀の残光
    3.4
    その誇りに、囚われるな――。鉄砲百人組の老武士、山岡晋平。伊賀衆ながら伊賀を知らず、門番の御役目とサツキ栽培で活計(たつき)を立てていた。だがある日、伊賀同心の友が殺される。大金を得たばかりという友の死の謎を探る中、晋平は裏の隠密御用、伊賀衆再興の企て、そして大火の気配を嗅ぎ取った。老いてこそ怯まず、一刀流の俊傑が江戸に澱む闇を斬る。『流水浮木―最後の太刀―』改題。
  • 決戦!三國志
    3.4
    累計7万部突破「決戦!」シリーズに三国志が登場!舞台は大陸。広大なスケールで贈るファン必読の書き下ろし豪華絢爛! 英雄たちの無双演舞田中芳樹 『アルスラーン戦記』『銀河英雄伝説』東郷 隆 『信長 覇王の海』『センゴク兄弟』木下昌輝 『宇喜多の捨て嫁』『人魚ノ肉』天野純希 『信長 暁の魔王』『破天の剣』吉川永青 『戯史三國志シリーズ』『誉れの赤』
  • 真田幸村 家康が怖れた男の生涯
    3.4
    群雄割拠する戦国の乱世にあって、幾度かの人質生活、兄・信幸との対立、屈辱的な蟄居時代など、様々な苦渋を味わいながらも、天下取りの機を探り、大望を賭けた大坂夏の陣で散った名戦術家・真田幸村の生涯を綴る長編歴史小説。

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  • 大盗禅師
    3.4
    大坂落城から三十年。摂津住吉の浦で独自の兵法を磨く浦安仙八の前に、ひとりの僧が現れる。妖しの力をあやつる怪僧と、公儀に虐げられる浪人の集団が、徳川幕府の転覆と明帝国の再興を策して闇に暗躍する。これは夢か現か―全集未収録の幻想歴史小説が、三十年ぶりに文庫で復活。
  • くじら組
    3.4
    巨大クジラとの死闘に挑む! 土佐国室戸岬で威勢を誇った鯨組。深い智恵と高度な技を駆使して鯨を仕留める漁師集団である。嘉永六年、沖をはしる黒船を発見した鯨組に、幕府から召し出しの話が舞い込む。その栄誉の前に、仲間の命を奪った巨大マッコウクジラとの死闘が待っていた――。海の男たちの心意気、命がけの連係プレーに酔う、迫力に満ちた長篇時代小説。
  • いすゞ鳴る
    3.4
    江戸時代のツアコン“御師”を描く痛快時代小説! 奉納船を携え伊勢参りに向かう、土佐の荒くれ鯨漁師たち。いっぽう安政の大地震の傷も癒えぬ江戸からは、豪商・伊勢屋の一行が船で伊勢を目指す。庶民の夢の旅を先導する御師(おんし)の見識と器量が人の縁を豊かに結んでゆく。「伊勢で出会う江戸のこどもは、いずれ土佐に来る」御師の予言が成就するとき、現れた景色とは――。熱く爽快な時代長篇。
  • 星火瞬く
    3.4
    その男が、幕末を動かした――清河八郎 小栗忠順 勝海舟 高杉晋作 動乱の地で会わなければならなかった日本の「革命家」とは、誰なのか?時代小説の正統派が描く、まったく新しい幕末青春小説。作家・葉室麟がどうしても書きたかった時代、人物、物語がここにある。
  • 徳川四天王 家康に天下を取らせた男たち
    3.4
    表情を少しあらためて家康は言った。「憚りながら、徳川家には、いざとなれば、水火を厭わぬ五百ほどの勇士がおります。これが、わが家の宝といえば宝かと……」秀吉の表情は曇った――終生、豊臣秀吉が羨んだ徳川家康の家臣団。その筆頭ともいえるのが「徳川四天王」である。家康に采配を教えた酒井忠次、武勇で戦局を一変させた本多忠勝と榊原康政、そして、赤備えを率いた井伊直政……。本書は、そんな名臣たちの知略と武勇のほどを、新解釈を交えて活写した力作長編である。はたして四天王は、今川家に翻弄された草創期、強敵・武田家との死闘、信長・秀吉政権下の苦境、そして天下分け目の関ヶ原に至るまで、いかに家康を支えたのか……。

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  • 岩倉具視 言葉の皮を剥きながら
    3.4
    明治維新の立役者の一人、岩倉具視。下級公家に生まれ、クーデターの画策などで幾度となく追放されながら、いかにして彼は権力の中枢までのぼりつめたのか。本作の構想を長年温めてきた著者が、卓越した分析力と溢れる好奇心で史料と対峙。「尊王攘夷」や「佐幕」といった言葉を剥きながら、新たな岩倉具視像を立ち上げることに成功した永井文学の集大成!
  • 随筆集 柚子は九年で
    3.4
    「自分の残り時間を考えた。十年、二十年あるだろうか。そう思った時から歴史時代小説を書き始めた。老いを前にした焦りかと思ったが、二度とあきらめたくなかった」――50歳で創作活動を始め、第146回直木賞を『蜩ノ記』で受賞した、いま最も中高年に支持されている作家・葉室麟、初めての随筆集。若き日々への回想や出会った人々や書物、直木賞受賞後のあれやこれや。江戸時代の博多を舞台にした短篇小説「夏芝居」も収録。
  • 石燕夜行 骨きりの巻
    3.4
    江戸・日本橋で夜な夜な町の誰かが骨だけにされて見つかる。そんな奇怪な噂が立っていたある日、町絵師・鳥山石燕の元に塗楽という奇妙なご隠居がやってきた。事件を解決するため彼の力を借りたいというのだが、その正体は妖怪の棟梁で……。異能の青年絵師が妖怪たちと、江戸を騒がす怪異を断つ!新たな伝奇妖怪エンタテインメントのはじまり、はじまりぃ――。
  • 狂い咲き正宗 刀剣商ちょうじ屋光三郎
    3.4
    命をやりとりする刀に魅せられた光三郎。駆け引きたっぷりの裏世界、町人たちの人情、心意気を直木賞作家が描く。幼いころから、刀がもつ摩訶不思議な美しさに憑かれてきた光三郎。将軍家の刀管理を司る御腰物奉行の長男に生まれながら、名刀・正宗を巡って父・勝義と大喧嘩をし、刀剣商に婿入りする。ある日、絶縁したはずの父が弱り果てて訪ねてくるが……。親子、夫婦、師弟の人情をじっくり描く時代小説。(講談社文庫)
  • 迷子石
    3.4
    本業は医師(見習い)、副業はおまけ絵描き。そんな男がお家騒動を解決? 薬売りに託した絵が藩の命運をにぎる!見習い医師・孝之助は、趣味で版画絵を描いている。「富山の薬売り」が売る薬に付けるおまけ絵だ。絵で小遣いを稼ぐ、宙ぶらりんのおまけ者のつもりが、偶然、富山藩の存亡に関わるお家騒動に巻き込まれる。江戸家老の大陰謀を国許に知らせなければ、お国が乗っ取られる!?(講談社文庫)
  • ねこみせ、がやがや 大江戸もののけ横町顛末記
    3.4
    高利貸しの銀蔵に井戸の中へ突き落とされた十二歳の勝太。起きたら、そこは人の子が一人もいない妖怪の町だった。勝太は「人の子」であるがゆえに、妖怪奉行の犬神に捕まってしまう。だが、すんでのところで黒猫の猫又・サジに救われ、河童の九助、お茶ばかり飲んでいるぬらりひょん、男女の妖怪・青行灯とともに、「黒猫サジの妖怪飛脚」で働くことになる。しかし今度は、文福茶釜が営む茶屋の売り上げを盗んだと疑われてしまい――。はたして勝太は人の世に帰れるのか。待望の新シリーズ開幕!
  • 夏ほたる 見届け人秋月伊織事件帖
    3.4
    「蛍の舞う頃にはまた戻る」と言い残して去った男を尋ねて上京した、箱根の宿の女主人おみねだが、運悪く持ち金を掏られてしまう。現場に居合わせた見届け人秋月伊織は、途方に暮れるおみねの探索を助け、紙問屋の倅と名乗った男の行方を追う。しかし語られた身の上は偽りであった。文庫書下ろし第六弾! (講談社文庫)
  • 大江戸妖美伝
    3.4
    洗練された品々が並ぶ日本橋十軒店の雛市。上野・寛永寺の清水堂から眺める桜と不忍池。屋根船に乗って、深川洲崎の潮干狩り。水道橋の名店・森山のうなぎに舌鼓……。現代から文政の江戸へ転時した洋介と、辰巳芸者いな吉が、春から初夏にかけての江戸を巡り歩く。好評「大江戸シリーズ」第7弾! (講談社文庫)
  • 関東郡代 記録に止めず 家康の遺策
    3.4
    将軍家から格別の恩恵を賜っている伊奈家は、関東郡代を世襲し権勢を誇っていた。その裏には神君家康が隠匿した莫大な遺産を護るという役目が。だが、逼迫した財政を立て直すべく、幕府重鎮・田沼意次がその奪略をもくろむ。当主・半左衛門は武と智を尽くして応戦するが……。やがて迎えた対決の時、死してなお世を揺るがす家康の策略が明らかになる!
  • 耳袋秘帖 八丁堀同心殺人事件
    3.4
    与力同心組屋敷がある八丁堀で、立て続けに、同心が殺された。地元・八丁堀での同心殺しは、威信にかかわると、北町奉行の小田切は気が気でない。だが、白昼堂々、次なる同心殺しが起き……。根岸肥前守が、江戸の怪異を解き明かす「耳袋秘帖」殺人事件シリーズ第2弾。若き日の根岸を描いた、書き下ろし短編「河童の銭」を特別収録。
  • 一人ならじ
    3.4
    合戦の最中、敵が壊そうとする橋を支える丸太がわりに自分の足を使い、片足を失う『一人(いちにん)ならじ』。敵の武将を倒しても首級(しるし)を掻き取ることをせず、すばやく次の敵を求めて前進する『石ころ』。ほかに『三十二刻』『殉死』『さるすべり』など、名を求めず、立身栄達も望まず、黙々としておのれの信ずる道を生きる無名の武士たちとその妻の心ばえを描いた“武家もの”の傑作全14編を収める。

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  • 忍者丹波大介
    3.4
    豊臣秀吉歿後、諸国大名の勢力は二つに分れ、関ヶ原の合戦で徳川方が勝利をおさめる。激変する時代の波のなかで、信義をモットーにしていた甲賀忍者のありかたも変質していく。丹波大介は甲賀の立場をすて一匹狼となり、自分が信ずるものにだけ従い、黒い刃風をくぐって活躍する。さまざまの武将の去就と歴史の裏側で暗躍する忍びの者の裸形を痛快に描く長編時代小説。
  • 縮尻鏡三郎(上)
    3.4
    拝郷(はいごう)鏡三郎は、もと勘定方勤めで順風満帆の役人人生……だったのだが、いささかの仔細あって、クビとなった。かつての上司の尽力あって、今は八丁堀近くの“大番屋”の元締として再就職を果す。大番屋とは、江戸の仮牢(かりろう)兼調所(しらべどころ)。持ち込まれる相談ごとは、町人の釈放嘆願から天下の将軍さまの悩みごとまで。ハテ、どうしたものか? と悩むうち、強運と顔の広さ、いや鏡三郎の能力なのか? いつしか見事解決に至る。
  • 波に舞ふ舞ふ 平清盛
    3.4
    武士が貴族よりも一段下に見られていた、平安末期。平家の総領息子・平清盛は、瀬戸内の海賊討伐の際、流れ矢に当たって命を落とした厳島神社の宮司の娘のことを忘れられずにいた。そんなある日、ふとしたきっかけで出会った幼い四の宮から「ホトトギスの子か」という言葉を投げかけられる。それはつまり、清盛が、父・忠盛の本当の子ではないという意味で、白川上皇を父に持つということだった。自分だけがそれを知らなかったという事にショックを受ける清盛だが……。傷つき、迷いながらも成長する青年・清盛を鮮やかに描く書き下ろし大河ロマン!
  • 天女湯おれん
    3.4
    粋で婀娜な、天女湯の女あるじ・おれん23歳。お江戸八丁堀の真ん中にあるこの湯屋には仕掛けがあった。男湯に隠し階段、女湯には隠し戸、どちらも隠し部屋につながっている。おれんは番台に座って男女の仲を取り持つという案配。辻斬り、窃盗、心中、お家騒動。次々と起こる騒動の中、おれんの恋は実るか!?
  • 新装版 若き獅子
    3.4
    高杉晋作は、幼い頃から文武に秀で、鬼才と呼ばれた。「脱藩」しては主家に戻り、たちまちにゆるされた。これは異例のことである。いかに彼の才能が頼まれていたかがわかる(「若き獅子」より)。ほかに浅野内匠頭、葛飾北斎、明治の逆賊・小栗忠順など、時代を動かした英雄たちの激烈な人生を描く短編集。
  • 天王船
    3.4
    天文十七年夏。宵祭を楽しむ十五歳の信長の眼前に、見慣れぬ船が現われた。数百の提灯に彩られた船上から、甘い唄声と異形の舞が信長を密やかな剣戟に誘う(表題作)。松永久秀と斎藤道三をペルシア渡来の暗殺秘術の兄弟弟子として描き、戦国史を異形の活躍で彩った刮目の長篇『黎明に叛くもの』の外伝四篇を収録。
  • 桜花(さくら)を見た
    3.4
    日本橋「いせ辰」の手代・英助には誰にも言えない秘密があった。母が死に際に遺した「お前のお父っつぁまは北町奉行の遠山様なのだよ」という言葉である(表題作)。北斎の娘・お栄の、婚家と実家を行き来する胸の内(「酔いもせず」)。名家老であり、その画業で“松前の応挙”と讃えられた蠣崎波響の選んだ道(「夷酋列像」)など、実在の人物に材をとった時代小説5篇。所収の「シクシピリカ」は、著者の『蝦夷拾遺 たば風』の「錦衣帰郷」と呼応する佳品です。
  • 闇の歯車
    3.4
    川端にひっそりとある赤提灯で、互いに話すこともなく黙々と盃を重ねる4人の常連。30過ぎの浪人と危険なにおいの遊び人。白髪の隠居と商家の若旦那。ここに4人を〈押し込み強盗〉に誘う謎の男があらわれた。そして、それぞれに関わる女達。誰が操るのか、皮肉なさだめに人を引き込む、闇の歯車が回る。
  • 徳川家光(1) 三代の風の巻
    3.4
    父秀忠の命で甲府に蟄居している弟駿河大納言忠長の処遇に苦慮する三代将軍家光。その忠長は自刃して果てる。寛永11年(1634)6月、家光は30万を越す供を従え京に入った。この上洛は、禁裏と幕府間のしこりをとき、泰平の空気をかもし出す大きな役割を果たした。生まれながらの将軍の一生。
  • 獅子王アレクサンドロス
    3.4
    紀元前4世紀、わずか10年余でギリシアからインドに及ぶ大帝国を築き上げたアレキサンダー大王。その少年時の師は哲人アリストテレスであった。いかなる劣勢、いかなる謀略にも屈しなかった最強の武将の真の姿とは? 勇気と知性と一途な夢をもって駆け抜けた波瀾の生涯を圧倒的スケールで描く長編小説。
  • 魔食 味見方同心(一) 豪快クジラの活きづくり
    3.3
    魚之進のもとに嫁いできたおのぶは、より積極的に事件の解明に関わるようになった。そして早速、二人で小網町を歩いていると、「クジラの活きづくり」の話を聞きつける。あまりに豪快で突拍子もない料理の仕方に、魚之進は味見方としてほっておけなくなる。奉行の筒井に報告すると死人も出ているという。相談の上、クジラ肉を商う「海獣屋」という店のことを魚之進が調べてみることに……。大人気「味見方同心」、待望の新シリーズ開始!
  • 寿司銀捕物帖 イカスミの嘘
    3.3
    日本橋で寿司屋「すし銀」を営む銀蔵は、かつて定廻り同心だった。ある日、かつての相棒が店を訪れ、「もういちど十手を預かってくれ」と頼み込む。銀蔵は、江戸を守るため再び立ち上がろうとするが……。
  • 仕立屋お竜
    3.3
    表の顔は腕の良い仕立職人、裏の顔は達人に仕込まれた剣術で悪を成敗する「地獄への案内人」。仕立屋お竜の活躍を描く痛快時代小説開幕! 第一話は、いたいけな少女・おしんがお竜と名を変えて「地獄への案内人」の道を歩むまでが描かれます。幼い頃に父からDVを受けてきたおしんは、母と家を逃げ出すが、その母も過労で亡くなり天涯孤独の身に。母親の薬代のためにつくった借金を抱えたおしんだが、親切顔で近づいてきたやくざの林助に騙され、盗品の運び屋や、美人局の片棒を担がされるなど、悪の道にひきづりこまれてしまいます。  とあることがきっかけで、武芸の達人・北条佐兵衛に助けられて自由の身となったおしんは、天賦の才があったのか、達人から教えてもらった武術を乾いた砂が水を吸うようにわがものにしてゆきます。「お前の才能は、お前のように困っている女性のために使うのだ」という師匠の言葉を胸に、師匠の紹介で仕立屋「鶴屋」から仕事をもらうようになります。そしてお竜と名を変えて、女をいたぶる悪人を退治することを決意。そんなある日、因縁の男と再会することになって……。  お竜の庇護者となる仕立屋の主・鶴屋孫兵衛、鶴屋の碁敵で謎のご隠居・文左衛門、そして鶴屋の用心棒で、ちょっととぼけた吉岡流剣術の使い手・井出勝之助など、お竜の脇を固める登場人物たちも魅力たっぷり。そして何よりの読みどころは、お竜の艶やかさと痛快アクションシーンです!
  • 龍と謙信
    3.3
    上杉謙信と、その妻・於龍 「奇妙(クィア)」なふたりは 憎悪も、愛情も、超えてゆく! 大藪春彦賞受賞後第一作 謙信の妻を描く、初の歴史小説 「抗え、戦え、歩みを止めるな。 かつても今も在り続ける魂の叫びに寄り添う物語」 澤田瞳子、推薦 父から越後守護代を奪った長尾景虎(後の上杉謙信)への復讐のため、母から“女”を捨てさせられた於龍。彼女は景虎を激しく憎むが、当人はどこ吹く風で、於龍のことを「面白(おもしょ)い奴」と気に入ってしまう。長尾の重臣たちが二人の婚姻を越後支配のために利用する一方で、甲斐の武田晴信(後の信玄)は隣国侵攻の調略を始めようとしていた――。史料を丹念に読み解き最新研究を踏まえ、生涯独身と言われてきた上杉謙信と、その妻の半生を鮮やかに描く。 謙信の妻・於龍は、どんな女性だったのか? そしてなぜ、歴史の陰に消えたのか? 装幀 二見亜矢子 装画 とびはち
  • 烈風を斬れ
    3.3
    「神山藩シリーズ」で人気の著者による戦国歴史ロマン小説。豊臣秀次の遺児である孫七郎は、「大坂の陣」前夜、大坂方の密使として全国に散らばる牢人たちを説得する役目を受ける。家臣の源蔵、そして大坂方からの目付である左門とともに、最初に向かったのは紀州・九度山に蟄居する真田幸村のもとだった――。なぜ父や兄弟たちは無残な死を遂げたのか、己は何者なのか。若者は旅を通して自らに向き合い、そして成長していく。戦国の烈風にさらされながらも、前を向き歩く若者たちの物語。
  • 隋唐演義一 群雄雌伏ノ巻
    完結
    3.3
    六世紀末の中国、隋によって天下は統一され、平和と安定がもたらされるかに思われた。しかし、政治はさらに乱れ、激動の時代はつづく。数多の英雄、豪傑、智将、そして美女たちが織りなす歴史絵巻。『三国志演義』に勝るとも劣らぬ演義の傑作、第一巻。
  • この世の花
    3.3
    徳川譜代の名門で七千石の旗本の妾の娘・花。母・ふきは商人の娘ながら父・真島兼続に惚れられて娶られ、母子ともに兼続から愛されていた。だが、それを正妻、そして他の妻は妬み嫉み、事あるごとに虐げる。兼続の長男・一成やその親友・青山信義や保坂勇里は花の健気な姿に目を掛けているのだが、それがまた他の娘たちには気にくわない。そんな中、ふきが病に倒れ――。激動の時代に、苦難を乗り越え健気に輝く、一人の少女の物語。
  • めおと旅籠繁盛記
    3.3
    無宿者と寂れた旅籠。奮闘の再出立物語!  やくざ者の下働きをして暮らす無宿者の直次は、ある日、賭場検めに現れた捕り方を誤って傷つけてしまう。もう、江戸にすら居場所はない……自らも重傷を負い朦朧としながら逃げてきた中仙道で、直次は追剥に襲われていた娘の危機を救う。  気を失った直次が目覚めると、そこは助けた娘・お路の両親が営む板橋宿の旅籠松丸屋だった。主人のお人好しが災いし、借金も抱える今にも潰れそうな松丸屋だが、その上、近頃は徒党を組んだ追剥が出没し、板橋宿全体が寂れ始めていると言う。  怪我の完治までせいぜい利用してやろうと決めた直次だが、穿鑿もせず受け入れてくれる松丸屋の居心地を、悪くないと感じ始める。提灯屋の若旦那・定之助をはじめ、余所者の直次を警戒する者も多いが、その働きぶりに少しずつ直次を認める住人も出て来た。  そんな折、いよいよ追剥被害が頻発。なぜ、板橋宿近辺ばかりが狙われるのか。直次は「最後の恩返し」として、道中奉行の命を受けた江戸四宿見廻り役・恩間満之助と共に解決に乗り出す。 全てを失った無宿者が旅籠を盛り立て、帰る場所を作ってゆく、奮闘の再生物語。 (解説・理流)
  • ばけもの好む中将 平安不思議めぐり
    3.3
    十二人の姉が居る以外は、ごく平凡な中流貴族の宗孝。御所に鬼が出たという噂を聞き、仲間たちと度胸試しで確かめに行くが、そこに居たのは家柄もよく容姿端麗で完璧な貴公子だが、怪異を愛する変人と名高い名門貴族・宣能だった。なぜか彼に気に入られてしまった宗孝は、彼と共に鬼の正体を追うことになり…。結局、人の仕業とわかって落胆する宣能だったが、その後も続く怪異の裏には、とある陰謀が隠れていて…。新感覚の平安冒険譚シリーズ第1巻!
  • さらば故里よ 助太刀稼業(一)
    3.3
    毛利藩を飛び出した武士コンビの冒険! 新シリーズ 時代は文化文政。 豊後毛利家の徒士並・神石嘉一郎は貧しい生活を強いられていたが、三神流の遣い手として、武士の勤めを果たしていた。しかしある日、身に覚えのない罪を着せられて脱藩を余儀なくされてしまう。 豊後を離れて、大阪へ向かう船で嘉一郎を待ち構えていたのは、豊後毛利藩の三男で、藩では「控え」「もどき若様」などと軽んじられていた毛利助八郎。この助八郎が家宝の刀を持って藩から抜けようとしたことで、 騒ぎは大きくなっていき―― なぜか旅をともにすることになったものの、カネもない、伝手もない。 果たしてこの「負け組コンビ」に未来はあるのか? 待望の新シリーズ始動!
  • 陥穽 陸奥宗光の青春
    3.3
    「日本外交の父」が辿った波瀾万丈の若き日々。幕末維新史を一新する「19世紀クロニクル」 明敏な知性が、野望に心を奪われる時――師・坂本龍馬と目指した新たな国家像、理念と実践の狭間で犯した愚状とは 陸奥は紀州藩で重用された父の失脚により所払いとなり、高野山の学僧から身を起こそうと、尊皇攘夷の嵐の中、洋学を志す。勝海舟の海軍塾に学び、坂本龍馬の海援隊へ。薩長連合を実現させた龍馬の許で、桂小五郎、後藤象二郎らに接近。若き日の伊藤博文、アーネスト・サトウらと心を通わせる。しかし維新後、陸奥は新政府内で苦境に立つ。時代の流れは、龍馬が構想した世界とは違う方向に進んでいる。薩摩で西郷が蜂起し、これを千載一遇の好機と捉えた陸奥は、身の破滅に向かって最初の一歩を踏み出した……。
  • 運命 二人の皇帝
    3.3
    明を建てた洪武帝は、孫を後継者に指名して世を去った。廷臣たちは、気弱な二代目・建文帝を守ろうと、皇族の粛清を進める。これに対し、洪武帝の四男・燕王が兵をあげた。叔父と甥、二人の皇帝の運命はいかに!? 幸田露伴の名作をリライトした中国歴史小説。
  • 琉球警察(文庫版)
    3.3
    奄美諸島徳之島出身の東貞吉は、琉球警察名護警察署配属時に、米軍現金輸送車襲撃事件で手柄をたて公安担当になった。 そして沖縄刑務所暴動で脱獄した人民党の島袋令秀に接近し、自分の作業員に育てることにした。 人民党の瀬長亀次郎に心酔していく令秀に影響を受け、次第に瀬長を敬愛していく貞吉は、公安としての職務を全うできるのか? 米軍の横暴に立ちはだかった瀬長亀次郎と知られざる沖縄の姿を描く傑作小説! (解説・内田 剛)
  • 無間の鐘
    3.3
    修験者のなりをして国々を放浪する謎の「十三童子」。 役者と見まがうこの色男は、錫杖を鳴らし銀のキセルをふかしながら、欲にまみれた人間たちをこう誘う。 ーー来世で地獄に堕ちてもよいなら、ひとつだけ願ってこの鐘を撞け。 ただし、撞いた者は来世に底なしの無間地獄に堕ち、子も今生で地獄に堕ちる。 撞くか撞かぬは、本人次第。さあ、あなたならどうする? 人の欲をためす不思議の鐘、鳴らすか、やめるか? 今が人生の分かれ道。 ストーリーテリングの凄さ際立つ新星が放つ傑作時代小説! 心の奥底に響く物語。深い、深すぎる。ー細谷正充(文芸評論家) 読むと、心のひだをじゃらんと撫でる音が聞こえる。ー三宅あみ(ジャパネスク・ナビゲーター/江戸文化研究家)
  • 柳橋ものがたり 船宿『篠屋』の綾
    3.3
    しっとりとした筆致で、江戸に生きる人の綾を時代推理の俊英が描く 訳あって武家の娘・綾は、江戸一番の花街の入り口に建つ船宿の住み込み女中に。 そこで遭遇した思いがけぬ六つの謎と事件の行方……。 船宿『篠屋』の勝手口から端正な侍が飛び込んで来て、追われていると言う。予約客の寺侍・梶原だ。女将のお廉は梶原を二階に急がせ、まだ目見え(試用)の女中・綾に、あんたも急いで二階に上がり、湯文字ひとつで梶原様の床に入るんだ、と叫ぶ。追手の足音も迫る。同衾を装うための芝居をしろというのだ。綾は床で丸くなって考えていた。この船宿は断ろうと。だが……。 6つの謎と事件の行方新シリーズ第1弾!
  • 気散じ北斎
    3.3
    希代の絵師・葛飾北斎とその娘・お栄。 数十年にわたる奇妙な親子の絆。 そして蔦重や写楽、歌麿らとの 交わりのなかで浮かび上がる、驚愕の真実とは? 25年大河ドラマ主人公・蔦屋重三郎も登場の傑作時代小説! あんたは私で私はあんた―― 絵師・葛飾北斎は後妻の連れ子であるお栄(後の葛飾応為)と初めて出会ったとき、 手本と寸分たがわぬ線で蛇の絵を見事に描く姿に驚く。 お栄が酒癖の悪い実の父親から虐待を受けていたことを告白すると、 北斎は一生をかけてお栄を守ると誓うが… 合わせ鏡のような北斎とお栄の奇妙な親子関係と版元の蔦屋重三郎、東洲斎写楽、喜多川歌麿、渓斎英泉ら絵師との交わりのなかで、 ある驚愕の真実が浮かび上がる――綿密な時代考証と斬新な着想で描く傑作長編小説! 「「狂」を生きる北斎の知られざる豊かなエピソードを活写した傑作」 菊池仁(文芸評論家)
  • 美濃の影軍師
    3.3
    竹中半兵衛と木下藤吉郎を唸らせた遠慮深謀。 時は戦国時代。 不破与三郎は、美濃国主・斎藤龍興に仕える西美濃四人衆のひとり、不破光治の弟だ。ある日、身の覚えのない百姓一家皆殺しの濡れ衣を着せられ、捕縛されてしまう。不破家にとって、貧しい地侍の娘を母に持つ与三郎は家督相続に邪魔な存在なのだ。あやうく斬首されかけられるも、立会人として同座していた菩提山城主・竹中半兵衛の助けを得、真犯人探しを許される。 しかし、与えられた余裕は三日間。 与三郎は身の潔白を証明するため奔走するが、殺しを解く鍵を次々に封じ込められ、ついに八方塞がりに。脱走を図るも絶望する与三郎の前に、謎の男・木下藤吉郎が現れて……。 青雲の志を抱く若武者を描いた、文庫書き下ろし戦国小説。
  • 闇試し 古道具屋 皆塵堂
    3.3
    古道具屋銀杏屋の若旦那太一郎は、幽霊が見える。修業先だった曰く物ばかり集める皆塵堂に降りかかる幽霊騒ぎの数々にかかわってきた。 銀杏屋に浅草森田町の札差大和屋の養女お縫がやって来た。まだ十歳くらいに見えるが、年は十三歳。綺麗な女中と下男を連れ、ふるまいは堂に入っていて、売りたい壺があるという。太一郎は壺に執着する幽霊に気づき、札差を贔屓にしたい番頭の勧めで壺を買おうとする。お縫は太一郎を一軒の袋物屋に連れて行く、その家で太一郎は壺に執着するおかみさんの幽霊を見るが、それに気づいたお縫は、皆の目の前で壺を叩き割ってしまう。壺に執着していた幽霊は消え去ってしまった。 お縫は、太一郎が幽霊が見えるのを知っていて、自分にも見えないものか試したくて、幽霊の出そうなあちこちに太一郎を引きずりまわしたいらしい。 だが太一郎は、お縫の人懐っこい笑顔に悪い予感を抱いていた……。 太一郎のように幽霊を見たいお嬢様に皆塵堂の面々が翻弄される。はたしてその正体は? 「皆塵堂」シリーズに新キャラクター登場!
  • うぽっぽ同心十手綴り 凍て雲
    3.3
    天は照々として誠を照らす――。斬首に立ち会った臨時廻り同心の長尾勘兵衛は、罪人の最期の言葉を受け取ってしまった。多くの者に慕われていた医師は、己の命と引き換えに、一体何を守ろうとしたのか……。「正義を貫くってのは難しいことよのう」生きざまに筋を通すため、この一件、決着をつけねばならぬ。傑作捕物帳シリーズ第四弾!
  • 雇足軽 八州御用
    3.3
    己が命、武士の矜持のみに賭す―― 大ヒット「風の市兵衛」の著者の新たなる代表作! 日当わずか八十文。関八州取締出役の艱難辛苦の旅の一年を、郷愁豊かに描く。 越後宇潟藩の竹本長吉は上役の罪に連座し失職、故郷に妻子を残して江戸に仕事を求めてきた。 様々な職の中、請人宿で選んだのは《雇足軽》だった。関八州取締出役の蕪木鉄之助の元、数名で一年をかけて関東の農村を巡回し治安を維持する、勘定所の臨時雇いである。 日当わずか八十文。二八蕎麦が十六文、鰻飯なら二百文が相場だった。討捨ても御免だが、刀を抜くことは珍しい。多くは無宿の改め、博奕や喧嘩、風俗の取り締まり、農間渡世の実情調査や指導などの地道なものだった。 巡る季節のなか、土地土地で老若男女の心の裡に触れる長吉は、妻子を想い己が運命と葛藤する。 そんな時、残忍非道な押し込み強盗一味の捕縛を命じられ―― ときに鬼神と化し、ときに仏の慈悲を施す八州廻りを、郷愁豊かに描く!
  • 江戸染まぬ
    3.3
    江戸に生きる人々が織りなす鮮やかな人生。 “青山流時代小説”の真骨頂! 旗本の次男坊で部屋住みの俺は、武家であらねばならぬ、などとは思っていない。 堅物の兄が下女に好意を寄せているのを見て取って、 わざと下女にちょっかいを出そうとするが、気づくと女は身籠っていた。 しかも父親は、隠居の祖父だという。 六十九歳の老人に女で負けた俺がとった行動は――。 直木賞受賞作『つまをめとらば』に連なる傑作短編集。 史実から生まれた圧巻の7編。 ※この電子書籍は2020年11月に文藝春秋より刊行された単行本の文庫版を底本としています。
  • 高家表裏譚1 跡継
    3.3
    幕府と朝廷の礼法を司る「高家」に生まれた吉良三郎義央(後の上野介)は、十三歳になり、吉良家の跡取として将軍にお目見えを願い出た。三郎は無事跡取りとして認められたが、大名たちに不穏な動きが──。
  • 狸穴あいあい坂
    3.3
    結寿(ゆず)は、十七の娘盛り。元火盗改の祖父と麻布狸穴で暮らしている。新春、ムジナを探す八丁堀同心・妻木と出会う。精悍だがどこか飄然とした佇まいに、ほのかな恋心を抱く結寿。だが、火盗改方と同心は、手柄を競い合う仇敵関係だ。その頃、夜道で金品を奪う“ムジナ”が出没し……。二人は、祖父に内緒で、狸穴界隈で起こる不思議な事件の謎を解いていく。恋と捕り物の行方を温かな人情のなかに描く連作時代小説。
  • 蝦夷拾遺 たば風
    3.3
    体が不自由になった許嫁との結婚を反対され他家に嫁いだ女を、 男は想い続ける――表題作「たば風」ほか、夫との離縁を目論む女が 息子に課された難題に奮闘する「恋文」、松前藩主の正室に仕えるべく 集められた娘たちの青春「血脈桜」など、江戸後期から明治初期にかけて 蝦夷地で生命を燃焼させた男女を描く傑作六編。 自身の郷土を舞台とした時代小説短編集。 解説=梶よう子 ※この電子書籍は2023年5月に刊行された文春文庫(新装版)を底本としています。
  • 兵、北の関ヶ原に消ゆ 前田慶次郎と山上道牛
    3.3
    戦国時代に異彩を放つ二人の男がいた。一人は、北条、上杉と戦い、織田信長、豊臣秀吉に仕えた猛将の山上道牛。そして一人は天下の傾き者・前田慶次郎。相反する二人はどのように邂逅したのか──1556年秋、山上城城主の山上氏秀は、関東を席巻する北条軍に城を包囲されていた。近隣諸侯に援軍を求めるも、北条を怖れて二の足を踏む事態に、氏秀は徹底抗戦を余儀なくされる。武勇で鳴らす氏秀の活躍も空しく、城は陥落寸前。重臣たちの説得により降伏を選択した氏秀は、北条氏康により領地追放となる。城を失った城主……己にできることは北条と戦うのみ。出家し、山上道牛となった男は、北条に敵対する佐野家を頼り、新たな戦場を求めるが──。
  • 春風同心十手日記〈一〉
    3.3
    弱い心に縄を打つ、あの男に捕まりたい。 定町廻り同心の夏木慎吾が殺しのあったという深川の長屋に出張ってみると、包丁で心臓を刺されたままの木場人足の竹三が土間で冷たくなっていた。 近くに女物の匂い袋が落ちていたところを見ると、一月前に家を出ていった女房のおくにの仕業らしい。 竹三は酒癖が悪く、毎晩飲んでは、暴力をふるっていたらしいのだ。さっそく、岡っ引きの五郎蔵や女医の華山らに助けを借りて、探索をはじめた慎吾だったが、すぐに手詰まってしまい……。 頭を抱えて帰宅した慎吾の前に、なんと北町奉行の榊原忠之が現れた!? しかも、娘の静香を連れて来ているのは、一体なにがあったのか? あいつが歩けば春風がそよぐ――気さくで、うっかり者だが、飛びっきりの優しさで、町人みなから慕われる定町廻り同心・夏木慎吾の八面六臂の活躍を描く、捕物活劇シリーズ第一弾!

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