ビジネス・実用 - 中公文庫作品一覧
-
3.8日本人のイスラム観はかなり偏っている。礼拝、ラマダン、一夫多妻制……。最近ではそれにテロが加わり、「恐い」というイメージも定着しつつある。本書においてはそれら「イスラムに対する偏見」を取り除くために、彼らが大好きなジョークを通じてイスラムの日常生活を紹介した。
-
-
-
-著者の自序に曰く、「日米開戦前後の交渉事項や太平洋を舞台とした戦争の経過などについては、すでに多くの資料や記録が刊行されているが、枢軸側三国を結ぶ〝ベルリン〟を中心とした世界史の一章は、いまだに秘められたまま今日にいたっている」――世界史転換の動機をつくった日独伊三国の枢軸側がなぜ敗戦の運命を共にしたのか? という問いへの答えを、「当時いずれも最高の機密に属し、外部への発表を禁ぜられていた貴重な史料」に基づき、反省を込めて綴った回想記。 著者は一九四〇年から三年にわたりベルリンに駐在し、日独伊三国同盟の軍事委員として独伊との作戦調整にあたった。本国からの情報不足や、日独の戦争方針の違いといった困難に直面する様は、当事者ならではの臨場感にあふれている。ドイツからのUボート回航を担ったのち、東条内閣末期に海軍大臣、その後は海上護衛司令長官などを歴任し、終戦に向けての動きも知る存在であった。 海軍の要職を務めた人物の手記として、私家版の『自叙 八十八年の回顧』、および「サンデー毎日」に寄稿した「東條内閣崩壊の真相」を収録した史料的価値も高い貴重な一次資料である。 解説は『独ソ戦』(岩波新書)の大木毅氏。 【目次より】 『潜艦U‐511号の運命』 序文 一 的はずれになって行く三国条約の効果 二 日独伊協力戦の実相 三 日本側在独者のベルリン会談 四 潜艦U・511号とともに 「東條内閣崩壊の眞相」 『自叙 八十八年の回顧』 解説 大木毅
-
5.0戦後の「正義」に抗い、自身の「私情」に忠実であることを表明した「戦後と私」、三島由紀夫、石原慎太郎、大江健三郎を論じた卓越した批評「神話の克服」。「私」三部作ほか、癒えることのない敗戦による喪失感と悲しみを文学へと昇華した批評・随想集。自作回想「批評家のノート」初収録。 〈解説〉「江藤淳と『私』」平山周吉 【目次】 Ⅰ 文学と私/戦後と私/場所と私/文反古と分別ざかり/批評家のノート Ⅱ 伊東静雄『反響』/三島由紀夫の家/大江健三郎の問題/神話の克服 Ⅲ 現代と漱石と私/小林秀雄と私 解説 江藤淳と「私」(平山周吉)
-
-
-
5.0
-
3.3栄西、道元、大応、大燈、関山、一休、正三、沢庵、桃水、白隠、盤珪、良寛などの禅僧の生涯と思想について語る。世俗を否定し、超越する本来の禅を「純禅」とする著者が、「純禅」に生きた先達の生き様を描く。達磨以来の中国禅の系譜に始まり日本で独自に発展した禅の歴史を一度に知ることができる名著を初文庫化。 第一章 それは達磨から始まった 第二章 臨済禅を築いた祖師たち 第三章 反時代者道元希玄の生き方 第四章 曹洞大教団の誕生 第五章 一休宗純の風狂破戒 第六章 三河武士鈴木正三の場合 第七章 沢庵宗彭体制内からの視線 第八章 雲渓桃水と白隠禅師の自由自在 第九章 日本禅の沈滞を破る明国からの波 第十章 大愚良寛「無住の住」の生涯 終章 民衆が純禅を支える
-
3.0僕の門下生からこんな面白いものをかく人が出るかと思うと先生は顔色なし。――新刊の感想から、門下生の作品添削、雑誌への売り込みまで。漱石の書簡に現れる同時代文学評を、佐藤春夫が編年でまとめ、解説を付し、「書簡中に見る諸家作品選集」を編集する。 〈巻末付録〉エッセイ=内田百閒/漱石宛て書簡=芥川龍之介・久米正雄
-
3.0第二次世界大戦下、激しい空爆をさけて疎開した文豪が、きれぎれに思いかえす平和な日の記憶。表題作と、戦後すぐに発表した随筆を収めた『月と狂言師』をもとに、文庫初収載になる戦時下の永井荷風、吉井勇との往復書簡などを増補した谷崎版「終戦日記」。 〈註解〉細川光洋〈解説〉千葉俊二
-
5.0なぜ日本的組織は硬直化するのか? 変革を阻むものの正体は? 日本史における巨大組織の盛衰から組織の「死に至る病」を検証し、未来への処方箋を提示する。作家・経済評論家にして経済企画庁長官を務めた著者の二十年以上にわたる組織論研究の集大成。著者解説「今こそ、読んで欲しい作品」を収録した決定版。 〈目次〉 はじめに 第1章 巨大組織の生成から崩壊まで――三つのケース・スタディー (1)豊臣家――人事圧力シンドロームと成功体験の失敗 (2)帝国陸海軍――共同体化で滅亡した機能組織 (3)日本石炭産業――「環境への過剰適応」で消滅した巨大産業 第2章 組織とは何か (1)組織の要素 (2)「良い組織」とは (3)組織の目的 (4)共同体と機能体 (5)強い機能組織を作った織田信長――もう一つのケース・スタディー 第3章 組織管理の機能と適材 (1)人間学と組織論 (2)トップの役割 (3)現場指揮者と参謀 (4)得難い補佐役 (5)後継者 第4章 組織の「死に至る病」 (1)機能体の共同体化 (2)環境への過剰適応 (3)成功体験への埋没 (4)組織体質の点検 (5)組織気質の点検 第5章 社会が変わる、組織が変わる (1)知価革命と組織変化 (2)情報技術の変化 (3)高齢化社会と人事圧力シンドローム 第6章 これからの組織――変革への五つのキーワード (1)経営環境の大変化 (2)三比主義からの脱却 (3)「価格-利益=コスト」の発想 (4)「利益質」の提言 (5)ヒューマンウェア(対人技術)の確立 (6)経営の理念=あなたの会社の理想像は 著者解説 今こそ、読んで欲しい作品 (1)日本経済の曲がり角に著した自慢の著作 (2)二〇二〇年のあとこそ重大
-
-ラッセル・カークから始まる、現代アメリカを形作ってきた思想家たちを訪ねる“旅” 。彼らの思索の中核には何があるのか。保守、リベラルといった概念の真の意味とは――。著者の精緻な読み解きが、アメリカ文化の複雑さと奥深さ、そしてパラドクスをも浮かび上がらせる。文庫化にあたり〈「トランプ現象」とラディカル・ポリティクス〉を収録。 目次 プロローグ メコスタ村へ 第一章 戦後保守思想の源流――ラッセル・カーク 第二章 ネオコンの始祖――ノーマン・ポドレッツ 第三章 キリスト教原理主義――J・グレシャム・メイチェン 第四章 南部農本主義――リチャード・ウィーバー 第五章 ネオコンが利用した思想――レオ・シュトラウス 第六章 ジャーナリズムの思想と機能――H・L・メンケン 第七章 リベラリズム――ジョン・ロールズ 第八章 リバタリアン――ロバート・ノジック 第九章 共同体主義――ロバート・ニスベット 第十章 保守論壇の創設者――ウィリアム・バックリー 第十一章 「近代」への飽くなき執念――フランシス・フクヤマ 第十二章 「歴史の終わり」から「歴史の始まり」へ――フランシス・フクヤマ(続)第十三章 「トランプ現象」とラディカル・ポリティクス エピローグ 戦後アメリカ思想史を貫いた漱石の『こころ』
-
4.0
-
-七十歳をすぎてなお数々の傑作を書き続けた文豪谷崎の生涯は、一方でスキャンダルと逸話にみちた生涯でもあった。三度の結婚、妻譲渡事件、人妻との密通、あいつぐ発禁――。本書は伝説や通説に惑わされることなくその実像に肉迫する本格的評伝である。 目 次 まえがき――大谷崎と私 第一章 作家の「誕生」 第二章 汽車恐怖症前後 第三章 長男としての潤一郎 第四章 結婚と支那旅行――大正中期の谷崎 第五章 小田原事件――佐藤春夫と妻千代 第六章 関東大震災前後――横浜から関西へ 第七章 妻君譲渡事件と和田六郎――昭和初年の谷崎 第八章 古川丁未子の真実――谷崎第二の妻 第九章 「松子神話」の完成まで 第十章 谷崎をめぐる人々 第十一章 『源氏物語』から敗戦まで 第十二章 京の谷崎――戦後の日々 第十三章 渡辺千萬子と晩年の谷崎 第十四章 「女中綺譚」と「猫犬記」 最終章 終 焉 主要参考文献 跋文〔元本あとがき〕 文庫版のためのあとがき 谷崎関連家系図 人名索引
-
3.8何気ないからこそ、身にしみる。 辛かった心が、スーッと軽くなる――。 600万人が集う人気掲示板「発言小町」で大反響を呼んだ伝説のトピ 「他人の何気ない一言に助けられた」 の書き込みを厳選し、一冊にまとめました。 〈恋愛・結婚〉 〈仕事〉 〈家族〉 〈出産・育児〉 〈健康・体〉、 そして新型コロナウイルス流行下での〈マスクをしながら〉。 6つのテーマで気になるところを開けば、 あなたがいま必要としている「一言」に出会えるはずです。 1~2ページごとにまとまっているので、 いつでも、どこからでも、好きなようにお読みいただけます。 ※本書は2011年に刊行された単行本『他人の何気ない一言に助けられました。』に新たな内容を加え、改題したものです。
-
4.0
-
4.5太宰治から「会ってくれなければ自殺する」という手紙を受けとってから、師として友として、親しくつきあってきた井伏鱒二。井伏による、二十年ちかくにわたる交遊の思い出や、太宰の作品解説を精選集成。「あとがき」を小沼丹が寄せる。中公文庫版では井伏の没後に節代夫人が語った「太宰さんのこと」を増補。 目 次 I 太宰治の死 亡 友――鎌滝のころ 十年前頃――太宰治に関する雑用事 点 滴 おんなごころ 太宰治のこと 太宰と料亭「おもだか屋」 琴の記 太宰治と文治さん II あの頃の太宰君 「ダス・ゲマイネ」の頃 御坂峠にいた頃のこと 「懶惰の歌留多」について 余 談 戦争初期の頃 甲府にいた頃 報告的雑記 太宰君の仕事部屋 御坂峠の碑 蟹田の碑 III あとがき〔『富嶽百景・走れメロス』〕 解 説〔『太宰治集上』 あとがき(小沼丹) 太宰さんのこと(井伏節代)
-
5.0センスに惚れた。笑わせられた。この談志を客に選びやがった――愛嬌と哀愁が漂う任侠の男・落田八郎。不思議な天才ウエスタン歌手・ジミー時田。そして親友・毒蝮三太夫。人生の師匠に捧げた『酔人・田辺茂一伝』に続き「書き残しておきたい」と綴られた、三人の友への家元流ラブレター。〈解説〉毒蝮三太夫
-
4.0
-
4.0第一章 わび茶の創造 特異なる文化 孤独な茶の湯 日本文化の特殊性 日本と朝鮮 千利休の位置 にじり口と廻しのみ にじり口の誕生 廻しのみ 第二章 中世からの離脱 茶会の構造 『喫茶往来』 切りすてられた後段 茶会の空間 市中の山居 露地のふるまい 籠る なぜ点前か 点前か手前か 亭主と客の空間 茶立人から亭主へ 第三章 茶人のふるまい あぐらから正坐へ 混みあう茶会 片膝とかしこまる あるきかたの源流 あるく文化 練りあるく 地に足がつく 茶人のすがた 客の心得 新シキガヨシ 茶名と十徳 仮りの名前 十徳とは何か 第四章 茶会の趣向 趣向の成立 ハプニング 淋間茶湯 『祭礼草紙』の問題 風呂のあがりや 風流・やつし・見立て 風流 やつしの美 利休の趣向 付合と見立て 季節感の登場 時候のあいさつ 茶会のなかの季節 ばせを忌に薄茶手向くる寒さ哉 第五章 わび茶の周辺 茶筅の歴史 茶筅のおいたち 王服茶筌由来記 茶筅の民俗性 茶屋の歴史 煎じ物売り 檜垣茶屋 利休亡魂 史料による茶の歴史
-
-日中双方のふところの中で育ち、自ら現地を視察し事業展開する著者が、繁栄に向けて離陸した中国の知られざる素顔と、両国人の気質の差異を実務・文化の両面からわかりやすく解説する。アジアの時代をむかえた今、巨大な隣国とどうつきあうか……。
-
-二十世紀を代表する歴史家ホイジンガが、フランスとネーデルラントにおける十四、五世紀の人々の実証的調査から、中世から近代にかけての思考と感受性の構造を、絶望と歓喜、残虐と敬虔の対極的な激情としてとらえ、歴史の感動に身をおく楽しみを教える。中世人の意識と中世文化の全像を精細に描きあげた不朽の名著。 【目次】 第一版緒言 Ⅰ はげしい生活の基調 Ⅱ 美しい生活を求める願い Ⅲ 身分社会という考えかた Ⅳ 騎士の理念 Ⅴ 恋する英雄の夢 Ⅵ 騎士団と騎士誓約 Ⅶ 戦争と政治における騎士道理想の意義 Ⅷ 愛の様式化 Ⅸ 愛の作法 Ⅹ 牧歌ふうの生のイメージ ⅩⅠ 死のイメージ ⅩⅡ すべて聖なるものをイメージにあらわすこと 史料解題
-
-二十世紀を代表する歴史家ホイジンガが、フランスとネーデルラントにおける十四、五世紀の人々の実証的調査から、中世から近代にかけての思考と感受性の構造を、絶望と歓喜、残虐と敬虔の対極的な激情としてとらえ、歴史の感動に身をおく楽しみを教える。中世人の意識と中世文化の全像を精細に描きあげた不朽の名著。 “この書物は、十四、五世紀を、ルネサンスの告知とはみず、中世の終末とみようとする試みである。中世文化は、このとき、その生涯の最後の時を生き、あたかも思うがままに伸びひろがり終えた木のごとく、たわわに実をみのらせた。古い思考の諸形態がはびこり、生きた思想の核にのしかぶさり、これをつつむ、ここに、ひとつのゆたかな文化が枯れしぼみ、死に硬直する――、これが、以下のページの主題である。この書物を書いていたとき、視線は、あたかも夕暮れの空の深みに吸いこまれているかのようであった。ただし、その空は血の色に赤く、どんよりと鉛色の雲が重苦しく、光はまがいでぎらぎらする。 いま、書いたものをよみかえしてみて、こう思う、もうすこし、この夕暮れの空に視線をとどまらせていたならば、にごった色もしだいに澄み、ついにはまったき澄明さにいたったのではなかったか、と。“(「第一版緒言」より)
-
4.0ちょっと変わっているけれど、なんだか懐かしい……東京の近郊でも旅人気分に浸れる不思議な味わいの宿に泊まり、近所をそぞろ歩いてつづったエッセイ集。
-
4.0江戸時代の思想の理解なくして近代日本の理解はない。伊藤仁斎、荻生徂徠、本居宣長……鎖国と封建制という厳しい条件下で発展を遂げた思想の諸相を明快に解説、その潜在的な近代性を明らかにする。江戸思想史の全体像をつかむうえで最上の入門書。新たに巻末エッセイ「自分と出会う」を付す。〈解説〉小島康敬 【目次より】 序 徳川時代の再検討 第一章 朱子学とその受容 第二章 陽明学とその受容 第三章 古学思想の形成とその展開 第四章 武士の道徳 第五章 町人と商業肯定の思想 第六章 十八世紀の開明思想 第七章 経世家の思想と民衆の思想 第八章 国学運動の人々 第九章 幕末志士の悲願 終 章 幕末から明治へ
-
3.7
-
-
-
4.0二十八日ノ船デ暑イ所ヘ行ツテ来マス――。一九四一年に南洋庁の官吏としてパラオに赴任した中島敦。その目に映った「南洋」とは。小品『南島譚』『環礁』に加え、南洋群島(ミクロネシア)から妻子に宛てて毎日のように綴られた多くの書簡を収録。 〈巻末エッセイ〉土方久功 【目次】 南島譚 幸福 夫婦 雞 環礁――ミクロネシヤ巡島記抄―― 寂しい島 夾竹桃の家の女 ナポレオン 真昼 マリヤン 風物抄 書簡 昭和十六年六月―昭和十七年三月 巻末エッセイ トン 土方久功
-
4.0欧米人は、なぜ動物をと畜して食う一方、動物を愛護するのか? 本書は、ヨーロッパ思想の原型を、歴史的・地理的条件に由来する食生活の伝統に求め、それに基づき形成された思想的伝統を明らかにし、日本とも比較しながら平易に説く。食という新しい視点で西洋の歴史を見直す、西洋史学究の問題作。
-
4.0「させていただく」は丁寧か、馬鹿丁寧か。「先生」の読み方は本当に「センセイ」? よく知っているつもりの言い回しも、日本語教師の視点で見るとこんなにおもしろい! ヨシタケシンスケさんの、クスッと笑える絵とともに、身近な日本語のもうひとつの顔をのぞいてみませんか? 【『日本人の日本語知らず。』を増補改題】 目 次 まえがき 1 日本語は難しい、か? 2 ところでひらがな、ぜんぶ読めてます? ほんとに? 3 しつこいようですが、ひらがなはエライ! 4 らぬき、れたす、さいれ 5 ナウい人とナウな人、どっちがナウ? 6 品詞の谷間 7 お茶が入りました。 8 日本語はあいまい? 非論理的? 9 みなまで言うな。 10 米洗ふ前を螢の二ツ三ツ 11 私はこれでやめました。 12 ウチ向きな日本の私 13 ウチとソトの交流 14 しぇんしぇー、ちゅくえ 15 ありますですかそれともありますですか? 16 ててったってっ。 17 トンネルを抜けると鴨川でマスオさんが 18 飾り飾られ 19 4番の、カードを、お持ちの、お客さま 20 先生はとても上手に教えました。ありがとうございます。 21 お~星さ~ま~ギーラギラ♪ 日本語は美しい。――あとがきにかえて 文庫版あとがき
-
-わが国最初の正史。720年(養老4年)5月、舎人親王らが完成させた。神代から持統天皇の代までを漢文で編年体で記す。30巻。添えられた系図一巻は散逸。六国史の第一で、『日本紀』とも呼ばれ、『古事記』と併せて「記紀」という。しかし編集に使われた資料は『古事記』のように特定の帝紀や旧辞だけでなく、諸氏や地方の伝承、寺院の縁起、朝鮮や中国の歴史書なども参照している。文学性のある『古事記』に比べ、『書紀』は敬遠されがちだった。だが、「日本誕生」を知るには、『書紀』のほうがより重要だ。日本古代史の専門家による、わかりやすい現代語によって『書紀』はぐんと身近になった。 上巻は、神代(巻第一)~武烈天皇(巻第十六)を収録。 下巻は、継体天皇(巻第十七)~持統天皇(巻第三十)を収録。六世紀から七世紀にいたる時代。中国・朝鮮半島からの制度・文物の流入により、天皇を中心とした国家的統一が完成する。 巻末寄稿・『日本書紀』と史実とのあいだ 大津 透
-
-わが国最初の正史。720年(養老4年)5月、舎人親王らが完成させた。神代から持統天皇の代までを漢文で編年体で記す。30巻。添えられた系図一巻は散逸。六国史の第一で、『日本紀』とも呼ばれ、『古事記』と併せて「記紀」という。しかし編集に使われた資料は『古事記』のように特定の帝紀や旧辞だけでなく、諸氏や地方の伝承、寺院の縁起、朝鮮や中国の歴史書なども参照している。文学性のある『古事記』に比べ、『書紀』は敬遠されがちだった。だが、「日本誕生」を知るには、『書紀』のほうがより重要だ。日本古代史の専門家による、わかりやすい現代語によって『書紀』はぐんと身近になった。 上巻は、神代(巻第一)~武烈天皇(巻第十六)を収録。
-
3.0
-
4.0「西洋と東洋の美」「中国と日本の美の相違」から始まり、日本の文学に通底する「もののあわれ」「わび」「幽玄美」などを語り、「世界における日本の美の位置」「日本の美を貫くもの」を探究する。ほかに『近代美の研究』から機械やスポーツに関する論考とさらに全集未収録のエッセイ「現代日本画の一つの課題」を増補。初文庫化。 『日本の美』 1 西洋の美と東洋の美 2 中国と日本の美 3 日本のこころと日本の美 4 文学――さやけさ・もののあわれ 5 文学――幽玄・わび 6 文学――軽み・いき 7 美術 1 8 美術 2 9 美術 3 10 音楽 11 舞台 12 世界における日本の美の位置 13 日本の美を貫くもの 『近代美の研究』より 現代における美の諸性格 機械美の構造 スポーツ気分の構造 近代美と世界観 思想的危機における芸術ならびにその動向 (全集未収録論考) 現代日本画の一つの課題次より
-
4.7星の文人・野尻抱影が三十余年の歳月をかけ蒐集した、星の和名七百種の集大成。各地に埋もれた星の方言をまとめ、四季の夜空をいろどる星の生い立ちを、農山漁村に生きてきた人々の生活のなかに探る。日本の夜空に輝く珠玉の星名が、該博な知識と透徹した詩人の直観力とをもって紡がれていく。 〈解説〉石田五郎
-
-民俗学とは何か。表題作ほか「国史と民俗学」「実験の史学」など学問実践の体系化を目指した論考によって「方法としての民俗学」を浮き彫りにする文庫オリジナル論集。折口信夫との対談、生涯と学問について語った「村の信仰」を併せて収める、柳田学入門の決定版。〈解説〉佐藤健二 【目次】 I 日本の民俗学 郷土研究ということ/日本の民俗学/Ethnologyとは何か/日本の民俗学/ 郷土研究の将来 /国史と民俗学/実験の史学/ 現代科学ということ/日本を知るために Ⅱ 柳田国男・折口信夫対談 日本人の神と霊魂の観念そのほか 民俗学から民族学へ――日本民俗学の足跡を顧みて Ⅲ 村の信仰――私の哲学
-
3.0ありもしない怪異がなぜ起り、居もしない幽霊がなぜ出没するのか。昔なつかしいお化けのエピソードも豊かな民俗学者の幽霊研究。〈解説〉矢代静一
-
4.5発火、料理、消毒、肥料、発酵、製紙、染料、陶芸のほか香道や茶道にも道具や材料として、灰は日本人の生活を支えてきた。また童話の中には「灰かぶり姫(シンデレラ姫)」に似た話が世界にあることを見出す。食生活、社会、風俗、宗教、芸術に分け入り、身近な生活必需品=灰の科学と神秘性を解き明かす。灰の負のイメージを払拭する画期的な作品。 目次 Ⅰ 灰の生いたち 灰の誕生と埋火(うずみび)のこと 灰の成分と用途、そして灰屋のこと Ⅱ 灰と食 食べものと灰 酒と灰 醤油・味噌と木灰 海藻と灰 料理と灰汁(あく) Ⅲ 灰の恵み 和紙・織物と木灰 染料・染色と木灰 やきものと灰 Ⅳ 灰の効能 薬と灰 「秘術伝書」と灰 Ⅴ 灰の恐怖 火山と灰 死の灰 Ⅵ 灰と高貴 茶道・香道と木灰 習俗・宗教と灰 文学と灰
-
3.7
-
-噺家・八代目林家正蔵(後の彦六)が残した膨大な日記より、昭和一六年一二月一日から二〇年八月三一日の記述を摘録。清貧に徹した長屋での暮らしぶり、謹厳実直で「トンガリ」とあだ名された反骨精神がにじむ活き活きとした筆致に、蝶花楼馬楽時代の名人の素顔が窺える。戦時下における東京下町の日常を伝える貴重な一級資料でもある。 目 次 おぼろげな父の記憶 花柳衛彦 優しかった父 藤沢多加子 昭和十六年(十二月一日から) 昭和十七年 昭和十八年 昭和十九年 昭和二十年(八月三十一日まで) 巻末エッセイ 林家正雀 他人様を思って生きた師匠 戦い抜いた師匠 文庫版刊行に寄せて 編者解説 瀧口雅仁 馬楽時代の戦中日記をまとめて 正蔵が確かな目で見続けたもの 文庫版のためのあとがき 登場人物・登場日付索引
-
-南北朝の激しい抗争の余韻が尾を曳き、不安定な世相が続いた室町時代。 大和猿楽座に生まれた世阿弥は、父・観阿弥が洗練させた能を受け継ぎ、辛苦を重ねて大成させた。 逃れられない“血”の宿命を背負い、「能」とだけ向き合って芸の道を究め、後世に残る真の芸術の粋へ高めた世阿弥の感動の生涯を描く傑作歴史小説。〈解説〉澤田瞳子
-
3.7
-
3.0人はなぜ「生」に執着し「色」に執着するのか。幼少時代の誦読と棚経を回想、一休和尚や正眼国師(盤珪禅師)の訳や解釈を学び直し、原点から人間の性を見つめ直す。色と欲に煩悶した日々を顧み、生き身のありがたさ、女性は弥勒菩薩など独自の境地に辿り着く。愚かさを見すえ、人間の真実に迫る水上版「色即是空」。<解説>高橋孝次 「般若心経」全文 序 章 「まかはんにゃはらみたしんぎょう」 第一章 漢字「般若心経」にめぐりあう 第二章 正眼国師の『心経抄』と私 第三章 一切は「空」である 第四章 私版「色即是空」の世界 第五章 一休における「色即是空」の世界 第六章 死して百日紅や椿の花となる 第七章 不浄を美しいと思うときもある 第八章 六根・六塵の本体は無である 第九章 無明とは何か 第十章 四苦八苦を成敗するには 第十一章 のたうちまわって生きるしかない
-
-
-
5.0
-
4.0フランス革命直後からパリに陸続と生まれたガラス天井の通り抜けを、「パサージュ」という。オペラ座、パノラマ、グラン・ブールヴァール……時代ごとの街の名所に、パリ市民を導いてきた。夢と欲望が吹き抜けたパサージュの歴史は、パリ近代化の歴史でもある。現存する19のパサージュを、フォトグラファー鹿島直の写真で辿る新しいパリガイド。 【目次】 まえがきに代えて Ⅰ パサージュへ時間旅行の手引き パサージュの定義 パサージュガイド19の散歩路 01 ギャルリ・ヴェロ=ドダ 02 ギャルリ・ヴィヴィエンヌ 03 ギャルリ・コルベール 04 パサージュ・ショワズール 05 パサージュ・デ・パノラマ 06 パサージュ・ジュフロワ 07 パサージュ・ヴェルドー 08 パサージュ・デ・プランス 09 ギャルリ・ド・ラ・マドレーヌ 10 パサージュ・ピュトー 11 パサージュ・デュ・アーヴル 12 パサージュ・ヴァンドーム 13 パサージュ・デュ・グラン=セール 14 パサージュ・ブール・ラベ 15 パサージュ・デュ・ケール 16 パサージュ・デュ・ポンソー 17 パサージュ・デュ・プラド 18 パサージュ・ブラディ 19 アルカード・デ・シャン=ゼリゼ パサージュの歴史 Ⅱ パサージュ文学全集 失われたパサージュを求めて ギャルリ・ド・ボワ ギャルリ・ドルレアン パサージュ・ド・ロペラ(オペラ・パサージュ) パサージュ・デュ・ポン=ヌフ パサージュ・デュ・ソモン パサージュを読む パサージュ・デ・パノラマ パサージュ・ショワズール あとがきに代えて 文庫版のためのあとがき
-
4.5日本人の美的世界・倫理的世界を善意な眼差しで概観しながらも、「慇懃と粗暴」「礼儀正しさとモラル破壊」「思慮深さと見栄っ張り」「同情心と冷淡」「慎み深さと思い上がり」といった相反する要素が両立する謎について、言語・風土・社会的要因から解明する。一九七〇年代にベストセラーとなった稀有な日本人論を初文庫化。
-
-今日という日はいつも新しくこれからの人生の始まり。でも、けっして孤独ではありません。まわりの人々に支えられて、自宅の小さな菜園で野菜作りを楽しむ。しかも、新聞や雑誌の特集を持ち、社会的な意義を持つ会合には出席するという行動力を維持している生き方には、中高年読者に勇気を与えてくれています。本書におさめられている一編一編のエッセイによって、毎日の小さな喜びを大事にする生き方が、いかに心を明るく前向きにし、周囲にも良い感化を及ぼすかも納得できます。いま望むのは、悔いの残らない毎日を過ごすこと。病気や病院とどうつきあっていくか?日々大事にしていることは? 101歳の吉沢さんが教えてくれた人生の知恵。
-
-
-
3.5「婦人と言えども人である」などと言われた創刊期より一世紀。 女の公と私、上半身と下半身を見つめ続けた一四〇〇冊余を繙けば、祖母が、母が、私たちが歩んだ時代が浮かび上がる。 大正の「非モテ」、女タイピストの犯罪者集団、ウーマン・リブとセックス、主婦論争…… トンデモ事件から時代を動かした論文までを読み解く! 「表紙ギャラリー」も収録 〈解説〉中島京子
-
-名著『阿房列車』シリーズでお馴染みヒマラヤ山系氏による百鬼園文学の副読本。「百閒先生日暦」「『冥途』の周辺」「漱石をめぐって拾遺」ほか七篇を収録。「百閒先生書簡註解」は、昭和二十三年五月から二十六年九月までの著者宛の書簡に丹念な註解を施した貴重な資料である。〈解説〉田村隆一 【目次】 百閒先生日暦/漱石山房圖そのほか/漱石書簡/「冥途」の周邊/ 漱石をめぐって拾遺/百鬼園先生御馳走帖/阿房列車小遣帖/ 百閒座談抄/雑爼 附・鬼苑先生當用帖/鬼苑先生映像そのほか 百閒先生書簡註解 〈解説〉田村隆一
-
4.1すべての人は笑う前に驚いている――。数々のヒットCMで知られる広告クリエイティブの第一人者が、「起承転結のワナ」「オムニバス禁止令」「ポストイット脚本術」など、豊富な事例を挙げながら、映像や脚本づくりのテクニックを公開。クリエイターのみならず、「伝わる」表現とは何か知りたいあらゆる人に役立つ本。〈解説〉佐渡島庸平
-
-夫、武田泰淳と過ごした富士山麓での十三年間を、澄明な目と無垢な心で克明にとらえ、天衣無縫の文体で映し出す日記文学の白眉。愛犬の死、湖上花火、大岡昇平夫妻や土地の人々との交流……。執筆に加え講演、選考会など多忙をきわめる夫、季節のうつろい、そして夫の病。「忙しくくたびれて」日記を付けられなかった二年間をはさんで、ふたたび丹念に綴られた最後の一年。昭和三十九年七月から五十一年九月までの日記を収録。田村俊子賞受賞作。巻末に関連エッセイを収録。
-
4.5
-
-ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団首席ティンパニ奏者だった著者が、二大巨匠の芸術と人間を論じる。二人の指揮者とは、いわば上司・部下の関係であった著者が、自身の体験にもとづき、その本質に迫った証言の書でもある。そして、カラヤン晩年、一つの時代の終焉を予告し、指揮者とオーケストラの関係について総括する。フルトヴェングラーの指揮の一挙手一投足やカラヤンの閉じた目など、語られるエピソードも数多い。人間観察の書としての魅力も十分である。 (目次)ヴィルヘルム・フルトヴェングラー/ヘルベルト・フォン・カラヤン/フルトヴェングラーとカラヤン/ベルリン・フィルハーモニー・オーケストラ/支配人たち/音楽学生たち/危機へ至る道/大危機/その後/ヘルベルト・フォン・カラヤン財団の国際指揮者コンクール/ベルリン・フィルのオーケストラ・アカデミー/即興演奏/私のカラヤン作品
-
5.0数学が人間からかけ離れた絶対的な真理であるという思想、あるいは神が数学を創り人間に与えたとする神話は、古代から現代まで姿をかえてたえず登場してきた。だが、すでにできあがった数学を天下り式に子供に注入する教え方は、数学をつまらなくさせてはいないか? 人類と数学の出会いから今日の数学理論に至る発達史や、初等教育における分数の計算や数の抽象化の難しさなどを平明に語り、自然や人の営みと数学の関わりを説き明かす。 「数学には甘い菓子のようなおいしさはない。しかし、暑いときに飲む冷い真水のようなうまさはある」と語る著者の業績は、数学的側面だけでなく数学教育から障害児教育まで幅広く、かつ、学問・科学・芸術に対する深い造詣と、そこから教育や人間を捉える真摯な洞察に満ちている。本書は、50年代半ばから70年代前半に発表された、数学と文化について語った文章を集めたもので、著者の思想と、数学の面白さや奥深さを知る格好の入門書となっている。「数学勉強法」「数学と社会も変わった」の二篇を増補し、吉本隆明の追悼文を再録。 【目次より】 Ⅰ 数学はあらゆる分野に浸透する これからの社会と数学 数学と現代文化 専門の違った人たちとダベってみる その一 専門の違った人たちとダベってみる その二 Ⅱ 数学はどんな学問か 数学は単純で素直である 数学は特殊な言語である 数学は学問的に孤立する危険をもつ 数学も時代の支配的イデオロギーに規定される 数学は自然や社会を反映する客観的知識 数学も人間を形成する 数学はほんとうに論理的か 数学と方法 数学の発展のために Ⅲ 数学はどう発展したか 数学の歴史的発展 現代数学の主役=構造とはなにか 構想力の解放 Ⅳ 科学を学んでいくために 科学への道――女性に与う三つの原則 数学勉強法 数学も社会も変わった あとがき 巻末エッセイ 遠山啓――西日のあたる教場の記憶(吉本隆明)
-
4.0シャン=ゼリゼあるいはプルースト、パレ=ロワイヤルあるいはバルザック、モンパルナスあるいはボーヴォワール……24の名所・旧跡と24人の文学者をつないで描く、パリの文学的トポグラフィ。文学のエピソードから新しいパリが見つかる、鹿島流パリの歩き方。
-
-無垢な少女から妖艶な熟女まで一一。鴎外、花袋、荷風、漱石、谷崎、安吾、太宰たちが、憧れ、翻弄された女性たちを描く。女性は思春期を経て、恋愛・婚約・結婚に。悩みや荒みを抱えながら、やがては倦怠または不倫へと至ることも? 時代の変化に応じて、社会的自立や自覚が芽生えた主人公の生き様からは、近代日本の「女の一生」がみえてくる。 (収録作品) 森鴎外「杯」 田山花袋「少女病」 立原道造「白紙」 永井荷風「庭の夜露」 山川方夫「昼の花火 泉鏡花「雪の翼」 夏目漱石「硝子戸の中」 中島敦「下田の女」 谷崎潤一郎「青い花」 芥川龍之介「なぜソロモンはシバの女王とたった一度しか会わなかったか?」 高見順「強い女」 堀辰雄「辛夷の花」 坂口安吾「いずこへ」 久生十蘭「姦」 太宰治「葉桜と魔笛」
-
3.0文豪たちは味覚も鋭い。そして案外、健啖家。近代日本を作り出した文豪それぞれの好みを反映した「食」の物語には、時代の精神も刻まれていた。食べることは血肉を作り、生きることに他ならない。そこには思想もあれば主張もある。鴎外は他人と間合いを測りながらつつく牛鍋を弱肉強食の闘争に例え、独歩は和洋折衷・官民融和の理想を重ねた。江戸っ子の漱石は蕎麦、西国出の芙美子はうどんと、好みには生まれも反映する。美食を追求する者もいれば、ただひたむきに食うもの、大志を立てて粗食をする者もいる。本当に「食べる」ことは奥が深い。『文豪と食』同様、いろいろな食べ物を取り揃えてみました。 目次 森鷗外「牛鍋」……牛鍋 国木田独歩「牛肉と馬鈴薯」……ビフテキ 夏目漱石「吾輩は猫である」より……蕎麦 林芙美子「小さい花」……うどん 正岡子規「御所柿を食いし事」……柿 幸田露伴「菊―食物としての」……菊 永井荷風「風邪ごゝち」……葱鮪 谷崎潤一郎「美食倶楽部」……美酒美食 芥川龍之介「魚河岸」……洋食いろいろ 泉鏡花「湯どうふ」……湯豆腐 岡本かの子「鮨」……鮨 夢野久作「お茶の湯満腹記」……茶懐石 斎藤茂吉「食」……鰻 山本周五郎「尾花川」……饗応と大志 太宰治「チャンス」……雀焼
-
4.0一九五五年、京都大学の学術探検隊に同行し、西アジア諸国を歴訪した著者。その体験から生まれた視点により、対立ではなく平行進化として東西の近代化を捉え、〈中洋〉を提唱する。六〇年代にかけての東南アジア、アフリカ各国訪問を経て、比較宗教論へと連なる論考の集成に、著者の到達点を示す「海と日本文明」(二〇〇〇年)を増補する。 〈解説〉谷泰
-
-ジムのトレーナー時代に著者が出会った怠惰で憶病な練習生達。彼らを、戦のない時代、暇に任せて刀を磨くばかりだった「武士」に重ね合わせ、闘いたい(が怖くて闘えない)男たちの心理に迫る。
-
3.0あらゆる書物は見えない連関(ネットワーク)で結ばれている。その解読の驚きと愉しみ、秘術と実践。 自分だけの「知の見取り図」は、いつの時代も蔵書から生まれる。20世紀前半、人文知再編の震源地となったアビ・ワールブルクの研究所およびワイマール文化を発端に、本書自体が、文化人類学的思考を通じてオルタナティヴな精神史・思想史を発見するための架空ライブラリーとして展開する、著者の代表作。 美術、演劇、音楽、文学、宗教学、人類学……さまざまな文化/学問領域の隠れたネットワークを、おびただしい過去の書物をたぐりながら曼荼羅のように描き出す、みずみずしい驚きに満ちた知的アクロバット。 1970~80年代のニューアカデミズム・ブームを牽引し、後世に巨大なインパクトを与えた伝説の一冊にして、普遍的な知の技術を示し/実践した名著を凱旋復刊。 まさに「文庫の中の文庫」といえるコンパクトにして圧倒的な情報量が詰まったこの神話的迷宮は、21世紀の今も来る者すべてに開かれている。 巻末に、「図書館」に関する講演録・エッセイを新たに増補。 〈解説〉山本貴光 【目次】 第一章 二十世紀後半の知的起源 第二章 ユダヤ人の知的熱情 第三章 モーツァルトと「第三世界」 第四章 「社会科学」としての芸能 第五章 もう一つのルネサンス 補 遺 物語作者たち [新増補] 歴史と記憶(1995) 図書館との出遭い(2000) 解説 山本貴光
-
-「君の魂のゴミタメのなかにしか荒野は見いだされないことを、君は知っているのか?」ぼくの内なる戦場、ロマン・ロラン論、関西 学院大学での演説、ロビンソン宣言、石井輝男やゴダールなどの映画論。また演劇論から賭博論まで、時代を抉り対峙した批評やエッセイを収録。反時代的な著作の初文庫化。〈解説〉宇野亞喜良
-
3.0〝珍しい〟車のナンバーとは? 鏡はなぜ左右は入れ替わるのに上下を逆さに映さないのか? 五対五の男女から理想のペアをどう見つける? 営業マンが歩く最適ルートとは? 野崎先生と二人の高校生の対話形式で、日常の疑問やパズルをきっかけに、数学的・論理的思考へと導いていく。中公新書のロングセラー『詭弁論理学』『逆説論理学』の著者の手による本書は、語り口の柔らかさと論理の明晰さでスムースに読者を数学の世界に誘いながら、さらに奥深い哲学的な命題も垣間見せてくれる。息抜きとしてパズルを解いていくと考える力がついてくる、著者曰く「受験に役立つ本ではないが、人生の役に立つ」一冊。 〈目次より〉 第一章 言葉のつかいかた 第二章 占いをめぐって 第三章 推理のすすめかた 第四章 鏡は気まぐれ 第五章 結婚定理 第六章 一筆がきと、その裏返し 第七章 コンピューターに負けるな!「歴史編」 第八章 コンピューターに負けるな!「現代編」 第九章 あみだくじの秘密 第十章 ギャンブラーは分数がお好き? 第十一章 「数」のよろず話 第十二章 数学嫌いの根をたどる
-
5.0
-
-芥川・谷崎に勝る博識で「日本のアナトール・フランス」と呼ばれ、文学的成功を願いながらも、無軌道な生活の末に失敗した作家、武林無想庵。その親友山本露葉の息子として、若き日にパリで生活を共にした著者、山本夏彦。無想庵と彼をめぐる人々について哀惜深く綴り始めた評伝はやがて、著者自身の青春の謎と絡まりだす……。〈辛口コラムの達人〉が遺した唯一の長篇作品にして、最高傑作との評価も高い、第41回読売文学賞受賞作。復刊に際し関連エッセイ二篇を増補。 〈カバーイラスト〉辻まこと 〈解説〉finalvent
-
4.0
-
3.0
-
-人間の本能は現実との接触を失っており、適応の機能を果たさない。本能の代わりに自我がその機能を果たさなければならない。――日本は黒船来航ショックを病因的精神的外傷とする精神分裂病質であると診断した「日本近代を精神分析する」以下、歴史、性から自己まで、五つのテーマに迫る唯幻論の代表作。 〈解説〉伊丹十三 〈対談〉橋本治 (目次より) 歴史について 日本近代を精神分析する/吉田松陰と日本近代/国家論/日常性とスキャンダル 性について 性の倒錯とタブー/エロスの発達/性欲論/性的唯幻論/恋愛論/何のために親は子を育てるか 人間について 擬人論の復権/時間と空間の起源/言語の起源/現実と超現実/精神分裂病 心理学について 一人称の心理学/心理学者の解説はなぜつまらないか/心理学無用論 自己について ナルチシズム論/自己嫌悪の効用/セルフ・イメージの構造/自我構造の危機/詩人のなりそこね/我発見被殴打的根本原因/忙しい人とひまな人/一期一会/わたしの原点 あとがき 解説 伊丹十三 対談「幻想と妄想」 橋本治×岸田秀
表示されていない作品があります
セーフサーチが「中・強」になっているため、一部の作品が表示されていません。お探しの作品がない場合は、セーフサーチをOFFに変更してください。