ビジネス・実用 - 中公文庫作品一覧

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  • 富士日記(上中下合本) 新版
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    夫、武田泰淳と過ごした富士山麓での十三年間を、澄明な目と無垢な心で克明にとらえ、天衣無縫の文体で映し出す日記文学の白眉。愛犬の死、湖上花火、大岡昇平夫妻や土地の人々との交流……。執筆に加え講演、選考会など多忙をきわめる夫、季節のうつろい、そして夫の病。「忙しくくたびれて」日記を付けられなかった二年間をはさんで、ふたたび丹念に綴られた最後の一年。昭和三十九年七月から五十一年九月までの日記を収録。田村俊子賞受賞作。巻末に関連エッセイを収録。
  • 自殺論
    4.8
    自殺は個人的気質の結果か、それとも社会的事実か? 十九世紀ヨーロッパにおける自殺率の統計を仔細に分析し、自殺を「自己本位的」「集団本位的」「アノミー的」「宿命的」の四タイプに分類。生の意味喪失や疎外感など、現代社会における個人の存在の危機をいち早く指摘した、近代社会学の礎となる古典的名著の完訳。
  • 演劇入門 増補版
    4.0
    生涯に一度、私の演劇観を具体的に述べ、一冊にまとめておきたい――。演劇人、シェイクスピアの翻訳者としての旺盛な著作活動の中から戯曲論、翻訳論、演出論、演技論等を自ら厳選。待望された著者唯一の入門書であると同時に演劇理論家としてのエッセンスを提示する。全集未収録の単行本版に「醒めて踊れ」を増補した決定版。 〈解説〉福田 逸 ■目次 Ⅰ 劇と生活/演劇の特質/劇場への招待 Ⅱ 戯曲読法/ことばの二重性/シェイクスピア劇のせりふ Ⅲ 演技論 Ⅳ 演出論/シェイクスピア劇の演出 Ⅴ 日本新劇史概観 * 醒めて踊れ あとがき 解説 演劇理論家としての福田恆存 福田逸
  • 日本語の論理 増補新版
    4.5
    日本語は本当に非論理的なのか――欧文との構成の違いを不連続の点と線、豆腐と煉瓦でたとえ、その独自の論理性と創造性を明らかにする。一方で、文学偏重の国語教育に対し、抽象論理的な思考に基づく「日本語」教育の重要さを説く。「島国考」、「知識と思考」(講演)を増補。 (目次より) Ⅰ 日本語の論理/日本語と創造性/文章構成の原理/思考の組み立て Ⅱ 日本語の姿/日本語点描 Ⅲ 言語と思考/外国語の学習と思考/アイランド・フォーム/エレガントな対立/外国文化三つの顔/外国語論 Ⅳ 映像と言語/映像と言語の二重文化/不同調の美学 文庫版のあとがき * 島国考 〈講演〉知識と思考
  • 文明の生態史観 増補新版
    4.0
    一九五五年、京都大学の学術探検隊に同行し、西アジア諸国を歴訪した著者。その体験から生まれた視点により、対立ではなく平行進化として東西の近代化を捉え、〈中洋〉を提唱する。六〇年代にかけての東南アジア、アフリカ各国訪問を経て、比較宗教論へと連なる論考の集成に、著者の到達点を示す「海と日本文明」(二〇〇〇年)を増補する。 〈解説〉谷泰
  • ロシア的人間 新版
    4.0
    今やロシアは世界史の真只中に怪物のような姿をのっそり現して来た――。千変万化するロシア国家の深奥にあって、多くの人を魅了する魂のロシアとは何か。プーシキンからドストイェフスキー、チェホフにいたる十九世紀の作家たちの精神を辿りつつ、「ロシア的なるもの」の本質に迫る。 〈巻末エッセイ〉江藤 淳〈解説〉佐藤 優 目 次 序 第一章 永遠のロシア 第二章 ロシアの十字架 第三章 モスコウの夜 第四章 幻影の都 第五章 プーシキン 第六章 レールモントフ 第七章 ゴーゴリ 第八章 ベリンスキー 第九章 チュチェフ 第十章 ゴンチャロフ 第十一章 トゥルゲーネフ 第十二章 トルストイ 第十三章 ドストイェフスキー 第十四章 チェホフ 後記(北洋社版) 後記 井筒先生の言語学概論 江藤 淳 解説 佐藤優
  • 獄中手記
    4.0
    「天皇陛下 何と云う御失政でありますか」「皇祖皇宗に御あやまりなされませ」。貧富の格差に憤り国家改造を目指して蹶起した二・二六事件の指導者が獄中で綴った、叫びにも似た言葉の数々は、三島由紀夫の「英霊の聲」等にも影響を与えた。未刊行の手記や書簡もあわせて収録。 〈解説〉筒井清忠
  • 増補改訂版 追跡・アメリカの思想家たち
    -
    ラッセル・カークから始まる、現代アメリカを形作ってきた思想家たちを訪ねる“旅” 。彼らの思索の中核には何があるのか。保守、リベラルといった概念の真の意味とは――。著者の精緻な読み解きが、アメリカ文化の複雑さと奥深さ、そしてパラドクスをも浮かび上がらせる。文庫化にあたり〈「トランプ現象」とラディカル・ポリティクス〉を収録。 目次 プロローグ メコスタ村へ 第一章 戦後保守思想の源流――ラッセル・カーク 第二章 ネオコンの始祖――ノーマン・ポドレッツ 第三章 キリスト教原理主義――J・グレシャム・メイチェン 第四章 南部農本主義――リチャード・ウィーバー 第五章 ネオコンが利用した思想――レオ・シュトラウス 第六章 ジャーナリズムの思想と機能――H・L・メンケン 第七章 リベラリズム――ジョン・ロールズ 第八章 リバタリアン――ロバート・ノジック 第九章 共同体主義――ロバート・ニスベット 第十章 保守論壇の創設者――ウィリアム・バックリー 第十一章 「近代」への飽くなき執念――フランシス・フクヤマ 第十二章 「歴史の終わり」から「歴史の始まり」へ――フランシス・フクヤマ(続)第十三章 「トランプ現象」とラディカル・ポリティクス エピローグ 戦後アメリカ思想史を貫いた漱石の『こころ』
  • 江戸の健康食
    -
    「朝茶はその日の難のがれ」「大根くうたら葉っぱ干せ」。身近な食材をつかって病気にならないように工夫した先人の知恵に学ぶ。海の幸、山の幸、発酵食品から、酒の飲み方まで、様々な文献から当時の料理法や養生法を紹介、現代の栄養学に照らしながら、わかりやすく解説する。さらに著者独自のお勧めメニューの作り方を指南する。
  • 文豪と女 憧憬・嫉妬・熱情が渦巻く短編集
    3.0
    無垢な少女から妖艶な熟女まで一一。鴎外、花袋、荷風、漱石、谷崎、安吾、太宰たちが、憧れ、翻弄された女性たちを描く。女性は思春期を経て、恋愛・婚約・結婚に。悩みや荒みを抱えながら、やがては倦怠または不倫へと至ることも? 時代の変化に応じて、社会的自立や自覚が芽生えた主人公の生き様からは、近代日本の「女の一生」がみえてくる。 (収録作品) 森鴎外「杯」 田山花袋「少女病」 立原道造「白紙」 永井荷風「庭の夜露」 山川方夫「昼の花火 泉鏡花「雪の翼」 夏目漱石「硝子戸の中」 中島敦「下田の女」 谷崎潤一郎「青い花」 芥川龍之介「なぜソロモンはシバの女王とたった一度しか会わなかったか?」 高見順「強い女」 堀辰雄「辛夷の花」 坂口安吾「いずこへ」 久生十蘭「姦」 太宰治「葉桜と魔笛」
  • 文豪と食 食べ物にまつわる珠玉の作品集
    4.0
    文豪たちは味覚も鋭い。そして案外、健啖家。近代日本を作り出した文豪それぞれの好みを反映した「食」の物語には、時代の精神も刻まれていた。食べることは血肉を作り、生きることに他ならない。そこには思想もあれば主張もある。鴎外は他人と間合いを測りながらつつく牛鍋を弱肉強食の闘争に例え、独歩は和洋折衷・官民融和の理想を重ねた。江戸っ子の漱石は蕎麦、西国出の芙美子はうどんと、好みには生まれも反映する。美食を追求する者もいれば、ただひたむきに食うもの、大志を立てて粗食をする者もいる。本当に「食べる」ことは奥が深い。『文豪と食』同様、いろいろな食べ物を取り揃えてみました。 目次 森鷗外「牛鍋」……牛鍋 国木田独歩「牛肉と馬鈴薯」……ビフテキ 夏目漱石「吾輩は猫である」より……蕎麦 林芙美子「小さい花」……うどん 正岡子規「御所柿を食いし事」……柿 幸田露伴「菊―食物としての」……菊 永井荷風「風邪ごゝち」……葱鮪 谷崎潤一郎「美食倶楽部」……美酒美食 芥川龍之介「魚河岸」……洋食いろいろ 泉鏡花「湯どうふ」……湯豆腐 岡本かの子「鮨」……鮨 夢野久作「お茶の湯満腹記」……茶懐石 斎藤茂吉「食」……鰻 山本周五郎「尾花川」……饗応と大志 太宰治「チャンス」……雀焼
  • 数学受験術指南 一生を通じて役に立つ勉強法
    3.8
    1巻712円 (税込)
    人間は誰だって、「分からない」に直面している。「分からない」とどう付き合って、これをどう味方にするか。受験数学を超えて人生を指南する一書。
  • 赤ちゃんポストの真実
    4.0
    慈恵病院(熊本市)が開設した「赤ちゃんポスト」は“命を救う”という理念のもと、理解を広げてきた。だが、実際の運用は想定外の連続である。2023年3月までに預けられた170人。そのうち病院が想定した早期新生児は76人。残りの約半数が、ある程度育った赤ちゃんだった。開設第一号は3歳児だ。障害児や外国人の赤ちゃんもいる。出産状況が分からないため医療者の負担も大きい。育った子は「出自を知る権利」を持ち合わせていない。さらに同病院は19年末、妊婦が匿名のまま病院で出産できる「内密出産」も導入した。そして近年では、別の団体が新たなポスト開設の構想まで公言し始めている。開設されて16年――赤ちゃんポストが日本社会に問いかけたものとは何か?「命」を巡るノンフィクション。 文庫化にあたり、慈恵病院が新たに始めた内密出産の現状や、関西、北海道、東京でポスト開設を試みる人々への取材など、近年の動向を大幅加筆。
  • 朝比奈隆 ベートーヴェンの交響曲を語る
    -
    ベートーヴェン生誕250年記念文庫化。全9曲を第一人者が徹底解説! ベートーヴェンの九つの交響曲について、新日本フィルハーモニー交響楽団との連続演奏会(チクルス)をふまえて、指揮者・朝比奈氏がみずから、スコアと実際の演奏に即して楽曲の細目(技術面・演奏家心理・演奏習慣・解釈比較など)について語る。演奏論であると同時に作品論。ベートーヴェンの交響曲を聞き込んだ人にも、驚きと興味を持って受け止められることとなろう。
  • 欺かれた歴史 松岡洋右と三国同盟の裏面
    -
    内外から余りにも誤解されている松岡外交の正しいすがたを、世に明らかにすることが本書公刊の目的である――外務省外交顧問として松岡洋右を支えた著者が、三国同盟交渉の内情を中心に、内外勢力の狭間にあって戦争回避を模索した外交政策の真意をつづる。
  • 甘辛の職人
    -
    どじょう、牛鍋、すし、和菓子……日本の食文化を支えてきた職人が守ってきた道とは何か。風土に根付く食文化に、いろいろな角度から迫る、食の職人の世界。
  • ある昭和史 自分史の試み
    -
    昭和・光と影 この時代の波瀾の歴史を民衆の経験の質感の連鎖として捉えてみたい――庶民生活、十五年戦争、常民の足跡、天皇像の四つを主題に自らの同時代人としての歩みとともに、昭和の五十年を描く。「自分史」を提唱した先駆的な著作に新たに「昭和の終焉」を増補。毎日出版文化賞受賞作。   〈解説〉成田龍一
  • 安政の大獄 井伊直弼と長野主膳
    -
    ペリー来航以来、揺らぎ始めた幕府の権威を維持強化するため、大老井伊直弼が断行した安政の大獄は、吉田松陰・橋本左内ら英才俊傑のみならず、幕府内の人材も一掃することとなった。侘しい埋木舎時代の井伊直弼と国学者長野主膳との異常に親密な師弟関係・主従関係から説きおこし、大獄へと突き進む二人を描く。 〈解説〉家近良樹
  • アーバン・アウトドア・ライフ
    4.3
    庭や公園にある小さな自然の楽しみ方。都会から足を運ぶハイキング案内。そしてはるかな原野に想いを馳せる本や音楽――。ナチュラリストでフライフィッシャー、そして日本にアウトドアの概念を持ち込んだ芦澤一洋が「自然を愛する眼と心さえ持っていれば、都会でも発見に満ちたアウトドア・ライフを送ることができる」ことを提唱したガイド・エッセイ、待望の復刊。巻末付録として妻・紗知子とエイアンドエフ創業者・赤津孝夫による特別対談を収録。
  • イエス伝
    3.5
    私のイエスは、「教会」には留まらない。むしろ、そこに行くことをためらう人のそばに寄り添っている――気鋭の批評家とともに、『新約聖書』マタイ・マルコ・ルカ・ヨハネの四福音書を丹念に読み直す。キリスト教の視点や学問的なアプローチから論じるだけでは見えてこない、今に生きるイエスに出会う。文庫化にあたり「イエスの涙と悲しみの石」を追加。
  • イエス伝 マルコ伝による
    4.0
    イエスが神の子であるのは、奇跡や神秘性ではなく真実と愛に基づくものである。四福音書の中で、最も古く、事実に即して、人としてのイエスの伝道の生涯を中心に記した「マルコの福音書」によるイエス伝を、作者マルコの意図を汲み取りながら、イエスの愛にあふれた言行を活き活きと映し出す。巻末に著者による「キリスト教早わかり」を収録。 目次 第一章 福音の始め 一 マルコ伝の特徴 二 イエスの聖召 第二章 伝道の始め 一 最初の説教 二 最初の奇蹟 第三章 戦闘の始め 一 敵の出現 二 パリサイ人 三 イエスの対敵態度 四 敵味方の分解 第四章 伝道第二段 一 伝道方法の変更 二 種播きの譬話 第五章 湖水の彼岸此岸 一 湖上の突風 二 ゲラセネの豚 三 血漏の女 四 ヤイロの娘 付 奇蹟論 第六章 地方伝道 一 故郷訪問 二 弟子の派遣 三 洗礼者の死 四 五千人のパン 第七章 ゲネサレ行 一 丘のいのり 二 食物論争 第八章 異邦の彷徨 一 スロ・フェニキヤ 二 ガリラヤの海 三 ピリポ・カイザリヤ 第九章 ヘルモン山 一 山頂の変貌 二 山麓の治癒 第十章 エルサレムに向かう 一 ガリラヤを過ぐ 二 ヨルダンのかなた 三 エルサレム街道 四 エリコを過ぐ 第十一章 最後の入京 一 驢 馬 二 無花果 三 宮 四 山 第十二章 最後の論戦 一 資格問題 二 納税問題 三 復活問題 四 誡命問題 五 追 撃 付 最後の論戦に現われたるイエスの神観 第十三章 最後の預言 一 神殿の崩壊 二 荒すにくむべき者 三 無花果の樹よりの譬 付 補 講 第十四章 葬の備え 一 祭司長・学者 二 ベタニヤのマリヤ 三 イスカリオテのユダ 第十五章 最後の晩餐 一 準 備 二 「我を売る者」 三 過 越 四 晩 餐 第十六章 ゲッセマネ 一 途にて 二 園にて 三 外にて 四 ゲッセマネの祈りの意味 第十七章 イエスの裁判 一 大祭司の法廷 二 ペテロの否認 三 ピラトの法廷 四 不法と虐待 第十八章 イエスの十字架 一 侮 辱 二 十字架の上にて 三 イエスの十字架の意味 第十九章 イエスの復活 一 埋 葬 二 復活の晨 三 追 加 付 イエスの復活の記事について 基督教早わかり 一 信仰の力 二 天の父 三 罪のあがない 四 体の復活 五 宇宙の完成 六 聖霊の働き 七 神中心の生活 あ と が き
  • 石原慎太郎・大江健三郎
    3.0
    一九五〇年代半ばの鮮烈なデビューから〝怒れる若者たち〟の時期を経て、それぞれの一九六八年へ――。同世代随一の批評家が、盟友・石原慎太郎と好敵手・大江健三郎とに向き合い、その文学と人間像を論じた批評・エッセイを一冊にした文庫オリジナル作品集。 〈解説〉平山周吉 ■目次 【一九六八年】 知られざる石原慎太郎 私にとって「万延元年のフットボール」は必要でない 【石原慎太郎】 石原慎太郎論/「肉体」という思想/「言葉」という難問/『完全な遊戯』/『日本零年』  * 顔/石原慎太郎と私/石原慎太郎のこと/『石原慎太郎文庫』によせて/偉大なアマチュア 【怒れる若者たち】 新しい作家達/政治と純粋  * シンポジウム「発言」序跋/文学・政治を超越した英雄たち/今はむかし・革新と伝統/生活の主人公になること 【大江健三郎】 大江健三郎の問題/自己回復と自己処罰/『死者の奢り・飼育』/『個人的な体験』/私の好敵手/大きな兎/谷崎賞の二作品/大江健三郎氏のノーベル文学賞受賞
  • イタリア おばあちゃんの倹約の知恵
    -
    お金をかけないでエレガントな生活を目指したい。百円で豪華なランチ、手作り化粧水・洗剤の作り方、人付き合いの仕方から、ご近所トラブルの防止など……生活のアイディアが満載。これで家計のやりくり万全、家庭崩壊にストップ! 日本と同様に少子・高齢化が進むイタリアのおばあちゃん(ノンナ)の知恵から新世紀を生き抜くヒントを発見する。
  • イタリア 謎だらけ 名言で読み解いてはみたけれど
    4.0
    家族、食生活、ファッションと美容、教育、政治・経済、習慣といまどき事情、男と女の恋模様などの不思議を、古代ローマから現代までの格言・諺を紹介しながら解き明かす。
  • 犬と話そう
    -
    犬の気持ちがわかると、犬とのコミュニケーションがもっと楽しくなります――犬と家族が、もっともっと幸せになるために、獣医さんが教える犬の言葉
  • ウソとマコトの自然学 生物多様性を考える
    -
    昆虫類のすさまじいまでの減少の理由とは。田舎の里山を保全するための現実的な方策はどこに。メディアと政治のコトバと化した「生物多様性」擁護・懐疑両派の怪しげな言説を問いただし、イキモノと日本各地の自然環境の実像について興味深い事実を数多く紹介しながら、自然を守る本当の手だてを視野広く述べた秀作。
  • 歌丸 不死鳥ひとり語り
    4.0
    噺を残すのは、噺家の使命。あたしたちの代で噺の数を減らしたら先人に申し訳ない――。小学四年生で噺家になると決心、「笑点」出演で一躍人気者になるとともに、古典落語の掘り起こしに取り組み続けた生涯をたどる、粋なひとり語り。持ちネタの舞台裏を語る「あたしのネタ帳」と口演速記『ねずみ』も収録。『恩返し 不死鳥ひとり語り』を改題。
  • 宇宙からの帰還 新版
    4.3
    宇宙から地球を見る。この極めて特異な体験をした人間の内面には、いかなる変化がもたらされるのか。 十二名の宇宙飛行士の衝撃に満ちた内的体験を、卓越したインタビューにより鮮やかに描き出した著者の代表作。 宇宙とは、地球とは、神とは、人間とは――。知的興奮と感動を呼ぶ、壮大な精神のドラマ。 〈巻末対談〉野口聡一×立花隆 〈巻末エッセイ〉毛利衛 【目次より】 宇宙からの帰還  第一章 上下・縦横・高低のない世界  第二章 地球は宇宙のオアシス 神との邂逅  第一章 伝道者になったアーウィン  第二章 宇宙飛行士の家庭生活  第三章 神秘体験と切手事件 狂気と情事  第一章 宇宙体験を語らないオルドリン  第二章 苦痛の祝賀行事  第三章 マリアンヌとの情事 政治とビジネス  第一章 英雄グレンとドン・ファン・スワイガート  第二章 ビジネス界入りした宇宙飛行士  第三章 宇宙体験における神の存在認識 宇宙人への進化  第一章 白髪の宇宙飛行士  第二章 宇宙体験と意識の変化  第三章 宇宙からの超能力実験  第四章 積極的無宗教者シュワイカート
  • 馬の世界史
    4.1
    馬は、人間社会のなかで、多種多様な役割を担わされてきた。太古には狩猟の対象になり、やがて車を引き、人を乗せ、人間の世界に深く入りこんだ。人が馬を乗りこなさなかったら、歴史はもっと緩やかに流れていただろう。戦争、交易、世界帝国……、馬から歴史を捉え直す。JRA賞馬事文化賞受賞作
  • 疫病と世界史(上)
    完結
    3.9
    アステカ帝国を一夜にして消滅させた天然痘など、突発的な疫病の流行は、歴史の流れを急変させ、文明の興亡に重大な影響を与えてきた。紀元前五〇〇年から紀元一二〇〇年まで、人類の歴史を大きく動かした感染症の流行を見る。従来の歴史家が顧みなかった流行病に焦点をあてて世界の歴史を描き出した名著。(全二巻)
  • 江戸川乱歩トリック論集
    4.3
    探偵小説にとってトリックとは何か? 戦後、江戸川乱歩は海外作品を渉猟し、「なぜ小説を書かぬ?」と揶揄されながらも、独自のトリック研究に没頭した。 物理トリックは本当に出尽くしたのか。これからのミステリが進むべき道とは……。 多くの追随者を生んだ、全推理ファン必読の名篇「類別トリック集成」、およびその随筆版として自身が編んだ『探偵小説の「謎」』。ほか、乱歩のトリック論を精選し、初めて一冊に。 巻末に、トリック研究の只中に行われた横溝正史との対談「探偵小説を語る」(1949)を付す。 さらに、乱歩没後、松本清張指揮のもと研究を引き継いだ中島河太郎・山村正夫による「トリック分類表」(1969)を書籍初収録。 「類別トリック集成」という伝説を乗り越え、来たるべき探偵小説を模索するための、文庫オリジナル。 『江戸川乱歩座談』(中公文庫)に続く生誕130年記念刊行。 【目次】 1 類別トリック集成 2 探偵小説の「謎」 3 トリック各論・補遺:珍らしい毒殺の話/微視的探偵法/自動車と探偵小説 4 トリック総論:探偵小説のトリック/トリックを超越して/「謎」以上のもの/トリックの重要性/一人の芭蕉の問題/本陣殺人事件/探偵小説と子供心/創意の限度について/探偵小説の特殊性への執着/トリックについて 5 トリック分類表(中島河太郎・山村正夫)/探偵小説を語る(対談・横溝正史) 解説 新保博久
  • 江戸小咄散歩
    -
    粋な江戸っ子たちは、実際にどんな生活を送っていたのか? 当時の生活風景を映し出す小咄や川柳を引きながら、由緒ある江戸の町名ごとに市井の様子をよみがえらせる。現住所も併記し、江戸に思いをはせながら散歩するのに最適な一冊。
  • 江戸の温泉三昧
    -
    草津では小林一茶が江戸との往復時にたちより、俳句を詠んだ。一茶自身湯治が好きで覚え書きや感想を残している。また熱海を訪れた中級武士たちは新鮮な海の幸に感激してグルメ三昧、弁当を持って寺社詣でに出かけた。道後・有馬などの大歓楽地では、小金のある連中が名産・名物を買い漁り……。古代の湯浴みに始まり、江戸期に急速に広がった温泉文化の有り様や魅力を語る。
  • 鳶魚で江戸を読む 江戸学と近世史研究
    -
    江戸学の開祖・三田村鳶魚が見た江戸の姿はどのようなものだたのか。近世史家の著者が、アカデミズムの観点から鳶魚の業績をたどりつつ、江戸の風俗・社会についてわかりやすく解説。現代歴史学の立場にたった客観的な視点を通して、江戸学の大家の思想と歴史観を浮かび上がらせる好著。
  • 王将・坂田三吉
    -
    映画「王将」で知られる反骨の棋士・坂田三吉(一八七〇~一九四六)。その明治・大正・昭和三代にわたる破天荒な人生を村松梢風「二人の王将」、織田作之助「聴雨」「勝負師」、藤沢桓夫「阪田三吉覚え書」の名篇でたどる。巻末に北條秀司、内藤國雄らの随筆を併録。文庫オリジナル。    〈解説〉西上心太 【目次】 二人の王将         村松梢風 聴雨/勝負師        織田作之助 阪田三吉覚え書       藤沢桓夫 坂田三吉をめぐって            坂田三吉氏のこと      菊池 寛 坂田三吉          吉屋信子 坂田翁への手紙       北條秀司 一芸に秀でた風格を示す   吉田美代 名人・その世界 坂田三吉  内藤國雄 解 説           西上心太
  • 大江戸商売ばなし
    4.0
    「玉や玉屋」とさぼん玉売り、石見銀山鼠取り。季節の雛売り、朝顔売り。鍋釜直す鋳掛屋など。棒振り商いから大店、大道芸に至るまで、江戸の町はあらゆる商売で賑わっていた。江戸っ子たちの売買は軽快な掛け合いで、時に人情が溢れでる。気の利いた川柳や流行の小咄が当時の活気を今に伝える、読めば江戸の日常が脳裏に蘇る楽しい一冊。
  • 大江戸長屋ばなし
    -
    江戸庶民のほとんどが住んでいた長屋。大家は親も同然といわれ、入居希望者の人柄の見極めに始まり、夫婦喧嘩の仲裁冠婚葬祭の仕切りまで、店子たちの世話を焼いていた。一方、店子は年に一度の井戸浚いや、煤払いなど、季節の行事の取り決めを守りつつ貧しくも長閑に暮らしていた。そんな江戸っ子の日常を小咄、落語に絡めて活写する一冊。
  • 大野伴睦回想録
    4.0
    第一章 生いたちの記   幼年学校に落第・上京   アルバイト・明大入学   イザリになって小説家志願 第二章 青春日記   焼打ち事件で監獄行き   政友会の院外団入り   アジ演説でまたも投獄   監獄数え歌   演説会荒らし   「伴ちゃん、えらくなったわネ」   世界一周旅行へ   禁酒国で大酒宴   蔣介石氏夫妻のこと 第三章 陣笠時代   公認返上、クソ喰らえ!   翼賛選挙で落選   原敬首相と私 第四章 恩讐の政界   鳩山先生との出会い   ほととぎす、九天高く   吉田首相と私   広川和尚の謀略   吉田さんと喧嘩   吉田退陣劇の内幕   ワンマンの横顔   大臣づくり秘話   池田蔵相の誕生   昭電事件の真相   総裁公選敗戦の記 第五章 戦後傑物伝   政敵三木武吉と握手して   新聞記者と鬼ごっこ   三木さんの思い出   緒方竹虎の風格   西尾末広君との勝負 第六章 忘れ得ぬ人々   快男児・小林徳一郎   「御三家」の思い出   女傑・松本フミ 第七章 私の素顔   待合政治論   仏像物語   虎と私   母のおもかげ   頼みごと   新聞にもの申す   議会政治論   私の句碑
  • 男のイメージ 男らしさの創造と近代社会
    -
    「男子たるものかくあるべし」。現代社会で共有される理想の男性像は、いかに成立し、ナショナリズムの主要素となったのか。騎士道精神の継承、ギリシア的美の礼賛、体操の普及と肉体美の称揚、男性同盟と戦争、そしてナチスによるユダヤ人・同性愛者の迫害へ――。近代社会の成立から二〇世紀末までを射程に描く〈男らしさ〉の近現代史。
  • おなか ほっぺ おしり 〔完全版〕
    4.0
    あ、気持ちいい。あ、かわいい。育児に疲れた母親を癒すのは、子どもたちのやわらかい身体。かつての自分の奮闘を、3人の子を育てた25年後の比呂美さんが見つめる「完全版」エッセイシリーズ第2弾。
  • おばあちゃんの台所修業
    4.0
    自然の恵みの中で生きることを大切に――。米のおいしい炊き方や、だしの引き方、自然の調味料あれこれ、むだなし料理のすすめといった、料理や生活の基本から、一介の主婦が「北畔」という店を持つようになる話まで。明治生まれの「おばあちゃん」料理研究家による、台所のいろは。
  • 女と文明
    4.1
    「男と女の、社会的な同質化現象はさけがたい」――今や当たり前にも思えることを六十年前に民族学者の立場から徹底的に論じた梅棹忠夫。発表するや賛否両論の大反響を巻き起こした「妻無用論」「母という名のきり札」を含む慧眼の書。有賀薫氏、酒井順子氏、花田菜々子氏推薦。 〈解説〉上野千鶴子 【目次】 まえがき 女と文明 アフガニスタンの女性たち   タイの女性たち 家庭の合理化 妻無用論 母という名のきり札 家事整理の技術について――家事整理学原論Ⅰ   すてるモノとすてられないモノ――家事整理学原論Ⅱ あたらしい存在理由をもとめて 女と新文明 情報産業社会と女性 『女と文明』――追記 解説 「妻無用論」から半世紀をへて  上野千鶴子
  • 〈女らしさ〉の文化史 性・モード・風俗
    -
    貞淑で慈愛に満ち献身的、清潔で若々しく、優雅に振る舞う……。近代社会において〈女らしさ〉はどのように規範化され、いかに共有されたのか。フランスの文学・絵画表現からモード、礼儀作法書まで「見られる女/見る男」の変遷を辿り、歴史空間のなかで規制されてきた女性の身体を浮き彫りにする。新章を書き下ろした増補改訂版。図版63点収載。
  • 回顧録(合本)
    -
    維新の功臣大久保利通を父に生まれた伸顕は、少年時アメリカに学び、長じてヨーロッパに使し、のち大臣、重臣として近代日本そのものの生涯を送った。政治・外交の表裏にわたる貴重な証言。 近代日本のオーラル・ヒストリーの白眉(聞き手=吉田健一・中村光夫)。〈巻末エッセイ〉小泉信三、中谷宇吉郎
  • 開戦神話 対米通告を遅らせたのは誰か
    5.0
    ワシントンの日本大使館が対米開戦を通告したのは真珠湾奇襲が始まった後だった。米国民は日本の「騙し討ち」に戦意を高揚させる。日本大使館員のミス、あるいはルーズベルトの陰謀とされてきた対米通告遅延の真因は? 新たな史料発掘の結果、意外な犯人が浮かび上った。渾身の労作!
  • 回想十年(合本)
    -
    1巻4,620円 (税込)
    昭和二十九年十二月に政界を引退した吉田茂が、その二年後から数年をかけ、池田勇人や佐藤栄作らを相手に語った回想記。
  • 回想の織田信長 フロイス「日本史」より
    3.5
    厚い信任を受けたポルトガル人宣教師フロイスの見た織田信長の素顔。一五六八年の初めての謁見から安土築城、八二年の本能寺の変、直後の明智光秀の死まで。戦国日本の第一級史料「日本史」から信長に関する章を訳出し、詳解する。文庫化にあたり新たに人名索引を付す。 〈解説〉和田裕弘 (目次より) Ⅰ 回想の信長 第一章 信長の素性、およびその性格、権勢、富、ならびに彼が到達した顕位と公方様の複位について Ⅱ 信長とフロイス 第六章 ルイス・フロイス師が、信長の許で援助を求めるために美濃国に赴いた次第、ならびに彼(信長)が彼に示した寵愛について 第八章 公方様と信長の葛藤、ならびに上京焼失の際、教会に生じたこと Ⅳ 安土山にて 第一六章 信長がその富、権力、身分のために陥った大いなる慢心と狂気の沙汰について Ⅴ 本能寺の変・山崎合戦 第一七章 明智が謀叛により、信長、ならびに後継者の息子を殺害し、天下に叛起した次 第一九章 明智の不運と十一日後の死去について など
  • 海賊列伝(上) 歴史を駆け抜けた海の冒険者たち
    3.0
    本書が書かれたのは十八世紀前半の英国。著者の正体はダニエル・デフォーという説もある。西インド諸島とマダガスカル島を拠点に大洋を荒らし回った、実在した海賊たちの貴重な史料である。上巻は、海賊黒髭や、女海賊として有名なメアリー・リードとアン・ボニーといった名だたる海賊たちの列伝を紹介する。『イギリス海賊史』改題
  • 海賊列伝 上下合本 歴史を駆け抜けた海の冒険者たち
    -
    今日語り伝えられている海賊物語の多くは本書をもとにしており、三百年近くにわたり欧米で版をかさねてきた奇書。著者の正体ははダニエル・デフォーという説もある、西インド諸島とマダガスカル島を拠点に大洋を荒らし回った実在した海賊たちの貴重な史料である。 「海賊黒髭」や、女海賊として有名なメアリー・リードとアン・ボニー、「キャプテン・キッド」としてバラッドにも唄われた人物の伝記をはじめ、海賊たちの鉄の掟や、海賊として法廷で裁かれた男たちの証言を紹介する。 『イギリス海賊史』を改題。
  • 書きあぐねている人のための小説入門
    4.2
    小説を書くときにもっとも大切なこととは?実践的なテーマを満載しながら、既成の創作教室では教えてくれない、新しい小説を書くために必要なことをていねいに追う。読めば書きたくなる、実作者が教える〈小説の書き方〉の本。 著者の小説が生まれるまでを紹介する、貴重な「創作ノート」を付した決定版。
  • カジノの歴史と文化
    4.0
    「本書の目的は、我が国にできるであろうカジノを含め、賭け事をするという人間が本来持っている『密やかな欲望』を充足する場所として、現在、世界の100か国以上で提供されている『適切に管理された賭博場』であるカジノを、カジノに馴染みのない日本人に、賢く、かつスマートに楽しんでもらいたいことに尽きる」(著者)。 カジノのルールやマナーをわかりやすく示し、世界のカジノ事情を紹介しながら、IR推進法、実施法をもとに、日本でのカジノについて多面的に考察を加えた本書は、賛成派・反対派を問わず、まずはカジノについて正確な知識を持ってもらうために最適な一冊である。
  • 花鳥風月の科学
    3.6
    「花鳥風月」に代表される日本文化の重要な十のキーワードをとりあげ、歴史・文学・科学などさまざまな角度から分析、その底流にひそむ「日本的なるもの」の姿を抉出させる。著者一流の切り口が冴えわたる、卓抜の日本文化論。
  • 彼女が演じた役 原節子の戦後主演作を見て考える
    3.0
    『東京物語』を初めて見た著者は、紀子役を演じた原節子に魅せられる。『晩春』『麦秋』を含めた紀子三部作を中心に、彼女が主演した戦後映画十一本を精細に論じて、「クリエイティブな能力を無限に持った」原節子の魅力と、それを引き出した小津安二郎監督の卓越した演出を分析した異色の映画論。
  • かぶき讃
    -
    「なまめける歌舞妓びとすら ころされて、いよ 敗れし悔いぞ 身に沁む」(昭和二十一年)と詠んだ折口信夫は、戦中から戦後、歌舞伎について度々論ずるようになる。防空壕の中で死んだ中村魁車、上方歌舞伎の美の結晶実川延若、そして六代目尾上菊五郎。役者論を軸に、豊穣な知とするどい感性で生き生きと描く独特な劇評集。
  • 神やぶれたまはず 昭和二十年八月十五日正午
    3.0
    昭和二十年八月十五日、終戦の玉音放送を拝したラジオの前の人びとは、一瞬の静寂のうちに、何を聞きとったのだろうか。太宰治、三島由紀夫、吉本隆明らによる、その日の言説を繙きながら、歴史の彼方に忘れ去られた至高の瞬間をさぐる、精神史の試み。 *目次から 第一章 折口信夫「神 やぶれたまふ」 第二章 橋川文三「『戦争体験』論の意味」 第三章 桶谷秀昭『昭和精神史』 第四章 太宰治「トカトントン」 第五章 伊東静雄の日記 第六章 磯田光一『戦後史の空間』 第七章 吉本隆明『高村光太郎』 第八章 三島由紀夫『英霊の聲』 第九章 「イサク奉献」(旧約聖書『創世記』) 第十章 昭和天皇御製「身はいかになるとも」 *著者紹介 長谷川三千子 1946年東京生まれ。祖母は作家・野上弥生子。東京大学文学部哲学科卒業、同大学院博士課程中退。東京大学文学部助手などを経て、埼玉大学教授。2011年退官、同大学名誉教授。2013年よりNHK経営委員。著書に『からごころ――日本精神の逆説』(中公叢書・中公文庫)、『バベルの謎――ヤハウィストの冒険』(中公文庫、和辻哲郎文化賞)、『民主主義とは何なのか』(文春新書)、『日本語の哲学へ』(ちくま新書)、『九条を読もう!』(幻冬舎新書)など。
  • からごころ - 日本精神の逆説
    4.0
    「日本人であること」を探究する第一歩とは……。日本人の内にあり、必然的に我々本来の在り方を見失わせるもの――本居宣長が「からごころ」と呼んだ機構の究明を通し、日本精神を問い直す。戦後世代の大東亜戦争論として、論壇に衝撃を与えた初期論考を含む、鋭く深い思索の軌跡。
  • 患者力 弱気な患者は、命を縮める
    4.5
    重い病気にかかったり、手術を受けなければならなくなった時、あなたならどうする? すべて医師任せというのは絶対にいけない。患者は自分の意志をしっかりと医師に伝えなければならない。その際に必要な知識・テクニックを、わが国屈指の心臓外科医が、あくまで患者の立場に立って伝授する。
  • 完全版 ゴッホの遺言
    4.7
    一枚の贋作からゴッホの最期のメッセージを読み解き、自殺の真相を鮮やかに解き明かした衝撃の日本推理作家協会賞受賞作。〈解説〉木下長宏
  • 完本 昭和史のおんな(上)
    -
    1~2巻1,320~1,430円 (税込)
    〈昭和100年〉ほんの百年前を生きた女たちの苦闘。 東郷青児と情死をはかった西崎盈子、夫の出陣前夜に殉死した井上中尉夫人・千代子、保険殺人をはかった母子・徳山はつ/光子、堕胎罪に問われた女優・志賀暁子、ソ連へ亡命した女優・岡田嘉子……。 昭和のメディアを「騒がせた」女たちの苦闘に寄り添い、その人生を追ったノンフィクション。 文藝春秋読者賞受賞。昭和100年に際し文庫化。 ■上巻 目次■ 妻たちと東郷青児 井上中尉夫人「死の餞別」 保険金殺人の母と娘 志賀暁子の「罪と罰」 杉山智恵子の心の国境 チフス饅頭を贈った女医 性の求道者・小倉ミチヨ 桝本セツの反逆的恋愛 初代女性アナ翠川秋子の情死 擬装結婚の愛と真実
  • 完訳 フロイス日本史 大友宗麟篇(合本)
    -
    信長秀吉から庶民まで西欧人が戦国期の日本を描き、現代語訳された初めての日本史(全12巻)。毎日出版文化賞、菊池寛賞受賞。大友宗麟篇Ⅰ・Ⅱ・Ⅲ(6~8巻)を収録する。 大友宗麟篇Ⅰ(第6巻) 弥次郎との邂逅に始まるザビエル来朝の経緯や、布教の拠点が山口から宗麟の豊後に移る様子を取り上げる。草創期のキリシタンと宗麟の周辺を描く。 大友宗麟篇Ⅱ(第7巻) フランシスコの教名で改宗した大友宗麟は、キリシタンの理想郷建設を夢みて日向に進出。しかし、耳川の合戦で島津軍に敗れ、宗麟は豊後にもどる。 大友宗麟篇Ⅲ(第8巻) 島津軍に敗れた大友宗麟は、関白秀吉に援軍を請い、キリシタン宗門も豊後を追われる。国主宗麟の死後、嫡子吉統は棄教し、キリシタンを迫害する。
  • 完訳 フロイス日本史 大村純忠・有馬晴信篇(合本)
    -
    信長秀吉から庶民まで西欧人が戦国期の日本を描き、現代語訳された初めての日本史。全12巻。毎日出版文化賞、菊池寛賞受賞。 大村純忠・有馬晴信篇Ⅰ・Ⅱ・Ⅲ・Ⅳ(9~12巻)を収録する。 大村純忠・有馬晴信篇Ⅰ(第9巻) フロイスが横瀬浦で日本での布教の第一歩を踏み出してから後、十年余りの五島列島・島原・天草における布教、及び長崎の開港、有馬義貞の改宗を描く。 大村純忠・有馬晴信篇Ⅱ(第10巻) 西国諸侯の改宗相次ぐ中、佐賀の竜造寺隆信の軍勢が島原に侵攻。島津の援兵を得た有馬軍は宗門の命運を賭した死闘のすえにこれを潰滅させる。 大村純忠・有馬晴信篇Ⅲ(第11巻) 黒田官兵衛の改宗、関白秀吉の九州征伐やバテレン追放令、大村純忠・大友宗麟・コエリュ師の死去など、重大事件があいつぎ、西九州は動揺する。 大村純忠・有馬晴信篇Ⅳ(第12巻) 弾圧と迫害の中、着実にしかも強固に信仰の広がりを見せる天草・島原のキリシタンや、日本人初のイエズス会員ロレンソを描く。 キリシタン年表付。
  • 完訳 フロイス日本史 織田信長篇(合本)
    -
    信長秀吉から庶民まで西欧人が戦国期の日本を描き、現代語訳された初めての日本史(全12巻)。毎日出版文化賞、菊池寛賞受賞。織田信長篇Ⅰ・Ⅱ・Ⅲ(1~3巻)を収録する。 織田信長篇Ⅰ(第1巻) 信長前史と堺の殷賑を描く。 織田信長篇Ⅱ(第2巻) フロイスの観察と描写は委曲をつくし、わけても信任厚かった信長の人間像は躍如としている。仏僧との激越な論争や、南蛮寺建立の顛末も興味深い。 織田信長篇Ⅲ(第3巻) 信長の安土築城とセミナリオの建設、荒木一族の処刑と本能寺での信長の劇的な死、細川ガラシア・名医曲直瀬道三の改宗等、戦国史での重要事件を描く。
  • 完訳 フロイス日本史(全12巻合本)
    -
    信長秀吉から庶民まで西欧人が戦国期の日本を描き、現代語訳された初めての日本史。全12巻合本版。毎日出版文化賞、菊池寛賞受賞。 【全巻構成】 1 将軍義輝の最期および自由都市堺(織田信長篇Ⅰ) 2 信長とフロイス(織田信長篇Ⅱ) 3 安土城と本能寺の変(織田信長篇Ⅲ) 4 秀吉の天下統一と高山右近の追放(豊臣秀吉篇Ⅰ) 5 「暴君」秀吉の野望 (豊臣秀吉篇Ⅱ) 6 ザビエルの来日と初期の布教活動(大友宗麟篇Ⅰ) 7 宗麟の改宗と島津侵攻(大友宗麟篇Ⅱ) 8 宗麟の死と嫡子吉統の背教(大友宗麟篇Ⅲ) 9 島原・五島・天草・長崎布教の苦難   (大村純忠・有馬晴信篇Ⅰ) 10 大村・竜造寺の戦いと有馬晴信の改宗   (大村純忠・有馬晴信篇Ⅱ) 11 黒田官兵衛の改宗と少年使節の帰国   (大村純忠・有馬晴信篇Ⅲ) 12 キリシタン弾圧と信仰の決意   (大村純忠・有馬晴信篇Ⅳ )
  • 完訳 フロイス日本史 豊臣秀吉篇(合本)
    -
    16世紀後半に来日し30年余り滞在したイエズス会の宣教師フロイスによる「日本史」の完訳版。毎日出版文化賞、菊池寛賞受賞作。全12巻のうち豊臣秀吉篇Ⅰ・Ⅱ(4・5巻)を収録する。 豊臣秀吉篇Ⅰ(4巻) 大坂築城がなりバテレン一行を接見する秀吉と城内の様相を臨場感豊かに描く。諸国征伐を終えた秀吉は、高山右近を追放し、キリシタン禁教令を布く。 豊臣秀吉篇Ⅱ(5巻) 後陽成天皇の聚楽行幸、遣欧使節の謁見、小田原北条氏征伐など、全盛期の秀吉を描く。天下人となった「暴君」秀吉の野望はついに朝鮮侵寇に至る。
  • 外交五十年
    4.0
    大正末期から昭和初期にかけて二度にわたり外務大臣を務め、「幣原外交」とよばれる国際協調政策を推進した外交官は、敗戦後に総理大臣に就任する。「未来永劫」戦争をしないとの「信念」から新憲法に軍備放棄を盛り込んだという著者が綴る貴重な外交秘史。 〈解説〉筒井清忠
  • 教科書名短篇 科学随筆集
    4.3
    科学者にして名文家であった寺田寅彦、中谷宇吉郎、湯川秀樹。国語教科書で彼らの文章と出会い、科学への扉を開かれた者は多い。この三人を中心に、岡潔、矢野健太郎、福井謙一、日髙敏隆の名随筆を収録する。考えるよろこび、知る楽しみを味わえる「教科書名短篇」シリーズ唯一の随筆集。  文庫オリジナル 【目次】 科学者とあたま他六篇/寺田寅彦 (科学者とあたま/簑虫と蜘蛛/蜂が団子をこしらえる話/茶碗の湯/藤の実/鳶と油揚/蜻蜒)  地球の円い話他三篇/中谷宇吉郎 (科学以前の心/地球の円い話/立春の卵/科学の限界) 詩と科学他八篇/湯川秀樹 (詩と科学/原子と人間(詩)/科学と環境/目と手と心/単数と複数/具象以前/創造性の尊重/少数意見/アインシュタイン先生の想い出) 発見の鋭い喜び/岡 潔 科学的なものの考え方/矢野健太郎 広く学ぶ心/福井謙一 チョウの飛ぶ道/日髙敏隆
  • 偽満州国論
    5.0
    評論家・武田徹の「共同体論」三部作、文庫化第二弾のキーワードは「満州」。近代日本における国家イメージは、満州を舞台にいかに展開されたか。
  • 國破れて マッカーサー
    3.7
    1巻1,414円 (税込)
    アメリカによる「占領」は未だ終わらざる日本の惨敗物語だ。米政府の極秘資料をもとに、占領政策の欺瞞を暴き、日本人の変節を問う。平和と民主主義の代償として憲法第九条の中に埋葬された日本人の誇りを取り戻すために、いま明かされる「占領の真実」。
  • 暮らしのアート 素敵な毎日のために
    -
    パリに暮らすなかで学んだ、豊かで快適な生活のためのフランス流“衣食住の芸術”。 〈目次より〉 日曜の昼は家族とごちそう/ひいきの店で学ぶ生活の知恵/フランス人はクロワッサンを食べない/初めて出合った極上の家庭料理/狭くても工夫に満ちた台所/心ときめく白いナプキン/主婦を気遣う皿の使い方/フランス式夕食会のエスプリ/ワイングラスの安全地帯/グラスは上等なほど長持ちする/“布の魔術”で模様替え/アンチックに新しい命を吹き込む/人も家も見られて美しく/ひとつのアクセサリーを愛おしむ粋/一流レストランは女を磨く/絹のスカーフの手洗い/誰が決めたの? 「語学は若いうちに」/お世辞や社交辞令は知的なゲーム ほか
  • くらべない生き方-人生で本当に大切にするべき10のこと
    3.0
    がんばらないで、生きぬく――ベストセラー作家2人による対談集。失業、うつ、介護など、さまざまな悩みを抱える人が溢れる現代、“幸せ”を感じるために必要な心掛けとは? 「くらべない」「ゆるす」「伝える」「無理をしない」「繰りかえす」「つくりあげる」「泣いてみる」「さらけだす」「寄りかかる」「つないでいく」――困難な時代に生きづらさを感じるあなたへ贈る一〇のメッセージ。単行本未収録の語り下ろし対談「子どもの『いのち』をめぐって」を同時収録。疲れ果てたとき、ゆっくり休む“椅子代わり”になってくれる書。
  • 君主論 新版
    3.9
    「人はただ結果だけで見てしまう」「加害行為は、一気にやってしまわなくてはいけない」「愛されるより恐れられるほうが、はるかに安全である」等の文言で、目的のため手段を選ばない権謀術数の書とレッテルを貼られ「マキアヴェリズム」という言葉を生んだ古典的名著の隠された真髄。
  • 剣闘士 血と汗のローマ社会史
    5.0
    奴隷制、円形闘技場……ローマ史を流血で彩った剣闘士(グラディエーター)の光と影。「ローマの平和」(パクス・ローマーナ)と讃えられた地中海世界帝国において、数百年にわたり、史上唯一の公認殺人競技がなぜ続いたのか? 剣闘士競技の起源や仕組みはどうなっているのか? 民衆はなぜ流血の見世物に熱狂したのか? 膨大な財政負担にもかかわらず、為政者や富裕者は何を期待して見世物を施そうとしたのか? 剣闘士とその競技を通して、ローマ帝国の権力、社会の構造の深層をさぐり、帝国の繁栄と変容、終焉への過程を辿る。
  • 軍国日本の興亡 日清戦争から日中戦争へ
    3.0
    明治維新後、日本は数十年にして近代民族国家としての自立に成功した。この近代化は同時に軍国化にほかならず、日本は帝国主義の時代に参加して日清・日露戦争に勝利した。 しかし、国際社会の一員として世界各国と協力し、互いに主権と独立を守という精神は次第に忘れられ、日本は軍国主義化の色彩を強めていく。軍部は立憲国家の枠を越えて独走、日本は国際的孤立化に陥った。施政者と世論を巻き込んで、大東亜戦争あるいは太平洋戦争へ至った経緯を詳説する。 巻末に著者の回想「軍国日本に生きる」を併録 目次 第一章 近代化と日清戦争/第二章 北清事変と日英同盟/第三章 日露戦争(Ⅰ)/第四章 日露戦争(Ⅱ)/第五章 韓国の併合/第六章 日米関係の緊張と軍国化/第七章 明治から大正へ/第八章 第一次世界大戦とロシア革命/第九章 軍縮と大正デモクラシー/第一〇章 金融恐慌と張作霖爆殺/第一一章 ロンドン会議と〝金解禁〟/第一二章 陸軍の発酵/第一三章 満洲事変/第一四章 五・一五事件と国際連盟脱退/第一五章 ヒトラー政権/第一六章 軍国主義化/第一七章 広田内閣/第一八章 自爆戦争へ/付録 「軍国日本に生きる 猪木正道回顧録」
  • 決定版 オーケストラ楽器別人間学
    4.0
    あなたの運命は選んだ楽器が決めていた! まさかと思ったホルン奏者のあなたは山奥育ちですね。チェロを始めたあなたは、最近お人好しになっていませんか。楽器と性格の関係を、N響首席オーボエ奏者が爆笑的にプロファイリングする禁断の音楽書。演奏者必携の名著を大幅リニューアル。指揮者、ソリスト、声楽家などを考察した「オーケストラ周辺の人々学」、「アマチュア・オーケストラ専門用語集」などを増補した決定版。 〈巻末マンガ〉二ノ宮知子
  • ケルトの歴史と文化(上)
    5.0
    1~2巻1,430円 (税込)
    ヨーロッパ文化の基層の一つをなすケルト文化。その古代から現代にいたる広大な流れを、一書にまとめたのが本書である。めざましく進化・進展しているケルト研究の現状をふまえ、旧版から増補・補遺、表記の修正などをほどこしたうえで、増補新版として中公文庫化した。 専門性を意識しながらも、一般読者層にも広く読まれるように、わかりやすい記述を心がけており、図版を比較的多く掲載しているのも本書の特徴となる。ケルト人の歴史と文化を知るうえで、必要な知識と情報を幅広く集めた雄編だといえよう。
  • 藝術のパトロン 松方幸次郎、原三溪、大原二代、福島コレクション
    -
    コレクションにその名を残した裕福な美術愛好家、松方幸次郎、原三渓、大原孫三郎・総一郎、福島繁太郎との交遊を回想する。松方コレクションの買い付けやモネとの交渉、仏文学者成瀬正一との思い出、原三溪邸に滞日中のタゴールの通訳として寄宿したことを契機に日本美術に目覚めた青年時代、大原コレクションを担った児島虎次郎とのエピソードなどがユーモア豊かに語られる。〈解説〉越川倫明
  • 原子力は誰のものか
    4.0
    第二次世界大戦中、ロス・アラモス研究所所長として世界で初めて原爆を完成させ、「原爆の父」と呼ばれたオッペンハイマー。 戦後、原子力委員会のメンバーとなるが、アメリカの水爆開発に反対の立場を表明し、公職を追放された。原爆の父はなぜ水爆に反対したのか? 天才物理学者が全存在をかけて、政治・社会・科学のあり方を問う。〈解説〉松下竜一・池内 了 (目次) まえがき/原子力時代と科学者/核爆発/今日の問題としての原子力/とわられぬ心/原子兵器とアメリカの政策/科学と現代 〈付録〉 オッペンハイマー追放の経過(訳者)/米国原子力委員会事務総長 ニコルズ少将の書簡/オッペンハイマーの弁明/現著者について(訳者) * 文庫版への訳者あとがき * パンドラの箱をあけた人 松下竜一 解 説 池内 了
  • 源氏供養(上下合本) 新版
    -
    「源氏物語」は紫式部の〝復讐心〟から始まった――? 輝く美貌を持つ男・光源氏と女たちの恋物語に織り込まれた作者のたくらみとは? 『窯変 源氏物語』の著者が日本最古の長篇小説をひもとき、天才女性作家・紫式部の思考に迫るスリリングなエッセイ。座談会「物語の論理・〈性〉の論理」(三田村雅子・河添房江・松井健児・橋本治)収録。
  • 源氏供養(上) 新版
    4.3
    「源氏物語」は紫式部の〝復讐心〟から始まった――? 輝く美貌を持つ男・光源氏と女たちの恋物語に織り込まれた作者のたくらみとは? 『窯変 源氏物語』の著者が日本最古の長篇小説をひもとき、天才女性作家・紫式部の思考に迫るスリリングなエッセイ。座談会「物語の論理・〈性〉の論理」前篇(三田村雅子・河添房江・松井健児・橋本治)収録。
  • 現代語訳 豆腐百珍
    -
    江戸・天明期に、豆腐料理を初めて紹介した第一級史料「豆腐百珍」「豆腐百珍続編」「豆腐百珍余録」の現代語訳。メニューを尋常品、通品、佳品、奇品、珍品、絶品の六等級に分類。料理法を並べるだけでなく、登場する素材の故事来歴をはじめ、中国・日本の文人による豆腐への讃辞と逸話を収録。〈解説〉松井今朝子
  • 黒死病 ペストの中世史
    3.0
    ある日、人びとは「この世の終わり」が来たことを知った―― 14世紀の欧州を覆い尽くした史上最悪の疫病に、 あらゆる角度から迫った克明な叙事詩。 目次 はじめに 第一章 オイメダム――さまよう病 第二章 「やつらは怪物だ、人間ではない」 第三章 恐怖の跫音 第四章 シチリアの秋 第五章 ヴィラーニかく記せり 第六章 テンプル騎士団総長の呪い 第七章 新しいガレノス医学 第八章 死という日常風景 第九章 頭を西に、足を東に向けて 第十章 ユダヤ人大虐殺 第十一章 「ああ、信仰薄き者たちよ」 第十二章 始まりの終わり 後記 黒死病はペストではなかった?
  • 国富論I
    3.5
    スミスは資本主義社会における人間の本性と社会的生産力の全構造を究め、「見えざる手」に導かれる社会原理を明らかにして経済学に体系を与えた。この古典経済学と近代自由主義の原典に、独自の要約的小見出しや詳細な訳注を配して甦らせた邦訳の決定版。Ⅰ巻には先駆的労働価値論を展開する第一篇、資本蓄積を論じる第二篇を収録する。【全三巻】 定評あるロングセラー翻訳書を厳選し、読みやすくした新版
  • 国富論(合本)
    -
    スミスは急激に勃興してくる資本主義社会における人間の本性と社会的生産力の全構造を究め、「見えざる手」に導かれる社会原理を明らかにして、新しい科学=経済学にはじめて体系を与えた。『国富論』の決定的な影響は人文、社会科学のあらゆる分野に及び、その故に、『資本論』とともに経済学の古典中の古典とされる。この古典経済学と近代自由主義の原典に、独自の要約的小見出しや詳細な訳注を配して甦らせた邦訳の決定版。 第一篇では、労働に価値の源泉と尺度を求めるスミスが、分業・商品・賃金・利潤・地代の解明を通して先駆的労働価値論を展開。 第二篇では、生産的労働と不生産的労働によって資本蓄積を論じる。第三篇では、資本投下の「自然な順序」を逆転させた国家による経済活動の政策的介入の歴史を究明し、第四篇では重商主義を徹底的に批判する。第五篇では、国家義務たる国防・司法・公共施設、また租税・公債のあり方を述べて、独自の国家観を展開する。 巻末に、各版の異同、邦訳少史、年譜、小見出し一覧、索引等、精細な研究の手引きを付す。 〈巻末対談〉大竹文雄×出口治明「アダム・スミスを誤解の海から解き放とう」 定評あるロングセラー翻訳書を厳選し、読みやすくした新版
  • 小堀遠州茶友録
    3.5
    幕府奉行職にして多くの建築・庭造りに参画。 当時のデザイン感覚をリードした茶の宗匠・遠州は、「綺麗さび」「遠州好み」という言葉をも生み出した。 本書は将軍をはじめ、大名、公家、僧侶、町衆に至るまで各界50人との幅広い交流とその行方を描く。 寛永文化を代表する数寄大名・マルチアーティストを多角的な観点から研究した稀なる外伝。図版多数。
  • 五・一五事件 橘孝三郎と愛郷塾の軌跡
    4.0
    五・一五事件は軍国主義の幕開けになり、日本ファシズムの導火線となったとされる。単なるテロ事件に終始せず、多くの農民が実行犯の減刑を嘆願した事件の背景には、注目すべき”大衆”の情緒があった。人道主義の系列にあった橘孝三郎と愛郷塾が、五・一五事件と結びついたのはなぜか。本人への取材に基づき、歴史を変えた大事件を検証する。
  • 後水尾天皇
    3.0
    朝幕対立の時代に即位した青年天皇は、徳川和子を妃に迎え学問と芸道を究める。 幕府の莫大な資金を引き出しながら宮中の諸儀式を復させ、修学院離宮を造営する。 〈葵〉の権力から〈菊〉の威厳を巧みに守りつつ、自ら宮中サロンを主宰。池坊専好、千宗旦、本阿弥光悦らを輩出した、雅と風流の寛永文化を花開かせた帝の、波瀾の生涯を描く評伝の決定版!
  • ごめんあそばせ 独断日本史
    4.0
    奈良時代の律令制度もある意味“押しつけ憲法”/公平な勤務評定があった鎌倉武士団/定家は出世亡者/清盛と田中角栄の日中国交回復/貞奴と一葉は女性史の表と裏――古代から明治へ、小説家としての立場で自由闊達に語り合い、埋もれた歴史の事実を掘り起こす。おもしろさ抜群の日本史。
  • 細菌と人類 終わりなき攻防の歴史
    4.5
    ペスト、コレラ、赤痢、チフス、ジフテリア、結核、梅毒、破傷風、炭疽菌……。〈見えない敵〉の存在を、人類はいかに見いだし闘ってきたのか。古代人の鋭い洞察から、細菌兵器の問題まで、感染症の研究に身を投じた学者たちの豊富なエピソードとともに、直観と誤解、発見と偏見の連綿たる歴史を克明にたどる。
  • 斎藤一 新選組最強の剣客
    3.5
    新選組でも一、二を争う剣客・斎藤一。激動の幕末維新を経て大正時代まで命をながらえながら、遺された史料はほとんどない。度重なる改名の理由、なぜ会津藩士として生きたのか……「自らの過去を封じた」ともいえる謎に満ちたその生涯を、新選組の組織や掟という視点から読み解く斬新な書き下ろし評伝。
  • 作品集 講釈場のある風景
    4.0
    漱石・荷風ら文豪が愛した高座の空気。小島政二郎が筆をふるった芸人の生きざま。談志がかきくどく名人たちへの思慕。寂聴が小説に描いた古老の語り口――講談専門の寄席「講釈場」をめぐる明治から昭和期の随筆、小説を集成したオリジナルアンソロジー。 〈対談〉神田伯山・長井好弘 目次 第一部 随筆  講釈場のある風景  『硝子戸の中』より  夏目漱石  『日和下駄』より 第七 路地  永井荷風   築地草  永井荷風   鴎外、漱石、荷風と講釈  有竹修二   席亭の風景  有竹修二   八丁堀一夕話  有竹修二  講釈を語る   講談はどこが面白いか  小島政二郎   釈場通い  小島政二郎 三代目神田伯山のこと  有竹修二   講釈師たち  立川談志 第二部 小説   世話物  小島政二郎   一枚看板  小島政二郎   花野  瀬戸内寂聴    著者略歴  本書に登場する主な講談師たち  巻末対談  あのころの客席から講談の未来が見える  ――明治、大正、昭和の講談ファンが語り継いできたもの  長井好弘×六代目神田伯山  人名索引
  • さっぱりと欲ばらず
    -
    自分に正直に生きることが、人生を幸せに過ごせる秘訣です。人は人、自分は自分。くよくよせず笑って毎日を楽しく生きる。「できない」を受け入れて小さな工夫の暮らし。先々の不安を思うより今を元気に。101歳で大往生した吉沢さんの欲ばらない人生の知恵。ご機嫌に生きるためのエッセイが満載! 解説/谷川俊太郎
  • サド侯爵の生涯 新版
    4.0
    『悪徳の栄え』の著者、サディズムの祖として知られるマルキ・ド・サド。 この公序良俗に対決しつづけた18世紀フランスの貴族の生涯を、誕生から性的醜聞、幽囚生活、孤独な晩年まで描ききる。 無理解と偏見に満ちた従来のイメージを覆し、サドの実像を捉えた、著者渾身の作にして、三島由紀夫『サド侯爵夫人』の典拠となった画期的評伝。 〈解説〉出口裕弘 【目次より】 第一章 誕生より結婚まで(一七四〇―一七六三年) 第二章 リベルタンの出発(一七六三―一七六七年) 第三章 アルクイユ事件の周辺(一七六八―一七七二年) 第四章 マルセイユ事件の周辺(一七七二―一七七三年) 第五章 ラ・コストの城にて(一七七三―一七七八年) 第六章 ヴァンセンヌの鐘楽(一七七八―一七八四年) 第七章 自由の塔(一七八四―一七八九年) 第八章 革命とともに(一七八九―一七九二年) 第九章 恐怖時代に生きる(一七九二―一八〇〇年) 第十章 精神病院の晩年 (一八〇一―一八一三年) 第十一章 死 (一八一四年) 補遺(1) 死後の評価 補遺(2) その生涯の最後の恋 補遺(3) ジャンヌ・テスタル事件
  • 明治維新 三大政治家 大久保・岩倉・伊藤論
    -
    明治の論客三山が大久保利通・岩倉具視・伊藤博文の眉目を描き、長薩勤王佐幕が活きたまま現前する。漱石序。付録・人物論23篇。〈解説〉司馬遼太郎
  • 幸せガイドブック 傾斜宮占い
    -
    『婦人公論』で長年人気を誇る占いのエッセンスがここに! 古代中国の五行思想と易を組み合わせた中津川流は、人間の本質をズバリ見抜きます。面倒な計算は一切不要、生年月日から簡単にわかる9つの宮ごとに、あなたの明日のハッピーを招きます。話題を呼んだ『傾斜宮占い入門』を増補。
  • シェイクスピア
    -
    愛、嫉妬、復讐心、懐疑。悪のどん底までおりていった先に待ち受ける罰と、衝動からの解放――。実生活ではとても生きられぬ激しい人生を生き抜いたという実感を味わう喜びを与え、時代や国を超えて人々を激情の渦に巻き込むシェイクスピアの主要19作品を解題。 日本におけるシェイクスピア翻訳の礎を築いた著者が、定本や改訂についての考証、作品に影響を与えた歴史的背景や先行作品の紹介などを交えつつ、シェイクスピアの天稟の才がきらめく壮大な作品世界を解き明かす。 〈巻末エッセイ〉福田 逸 【目次】 シェイクスピアの魅力 リチャード三世/タイタス・アンドロニカス/じやじや馬ならし/夏の夜の夢/ロミオとジュリエット/リチャード二世/ヴェニスの商人/ヘンリー四世/空騒ぎ/お気に召すまま/ジュリアス・シーザー/ハムレット/マクベス/オセロー/十二夜/リア王/アントニーとクレオパトラ/コリオレイナス/あらし 〈巻末エッセイ〉福田 逸
  • 舌 天皇の料理番が語る奇食珍味
    3.5
    舌は味覚の器であり愛情の触覚でもある。半世紀以上を天皇の料理番として様々な食材を知り尽くした著者が、古今東西の箴言や寓意を織り交ぜながら、秘食・強精について大いに語り、イカモノ談義に華を咲かせる。また味と香りだけではなく歯切れや舌触りなどの触感に焦点をあてた名著。半世紀を経て復刊・初文庫化。
  • 首里城への坂道 鎌倉芳太郎と近代沖縄の群像
    5.0
    大正末期から昭和初期、大々的な琉球芸術調査を行い、貴重かつ膨大な資料を残した研究者・鎌倉芳太郎。稀代の記録者の仕事を紹介する本邦初の評伝であるとともに、彼に琉球文化の扉を開いた人々の姿、そしてそれが現代に繋がるまでの熱きドラマを描く。第二回河合隼雄学芸賞、第十四回石橋湛山記念早稲田ジャーナリズム大賞をダブル受賞。
  • シュレディンガーの哲学する猫
    3.5
    ある日作家のもとに現れた、哲学者の言葉を語る不思議な猫。「語の意味とは何か?」「〈私〉は誰?」――哲学の諸問題を、猫と作家が案内する。サルトル、ウィトゲンシュタイン、ハイデガー、小林秀雄……古今東西の哲学者、思想家たちの核心を紹介。時空を旅する猫とでかける、「究極の知」への冒険ファンタジー。
  • 小説を書くということ
    -
    フィクションとは、はじめ私が考えていたような、作者の勝手気ままによって、どのようにもなるというものではなく、むしろ、ある必然の動きをもって作者に迫ってくるものだ、ということができます。フィクションとは、全体の真実を、生きた形で表わすための、必要な新しいパースペクティヴなのです――作家志望者に向けた講座(「言葉の箱」)、フィクション論から自作歴史小説での史料活用法まで。貧血化し機能化する散文に対する、豊饒な文学世界の実現へと誘う創作講義。文庫オリジナル。 〈あとがき〉辻 佐保子〈解説〉中条省平 (目次より) 言葉の箱  Ⅰ 小説の魅力  Ⅱ 小説における言葉  Ⅲ 小説とは何か フィクションの必然性  「語り」と小説の間  小説家への道  小説家としての生き方 なぜ歴史を題材にするか  『春の戴冠』をめぐって  歴史小説を書く姿勢 『言葉の箱』あとがきほか  辻佐保子   あとがきにかえて――記憶と忘却のあいだに    文庫版へのあとがき  中条省平   解説
  • 昭和史再掘 〈昭和人〉の系譜を探る15の鍵
    3.0
    「GHQが演出した熊沢天皇」、「中野正剛はなぜ自殺に追いこまれたか」、「挫折した日本の原爆製造計画」など歴史の闇に消えた史実を掘り起こし検証する。著者の昭和史観がうかがえる一冊。

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