何かしらの偶然でこの本を知り、読めた。本の価値とは決してボリュームではないことを確信できる。
今までは「銃鉄病原菌」が最高と思ってきたが、マクニールの素晴らしさで目から鱗。
中高で学んだ「歴史を塗り替える」とは戦争で打ち勝つこと、民族は前に進んで行ったという論理。
だが、この本を読むと 救いのない
...続きを読む大量の死は神の存在すらも排除。過去の事実のみならず、未来を予知しようとするとき、感染症の役割を除外しできない。如何なる社会的手法のレベルに関係なく、感染ウィルスの侵入に対し 人類は全く 脆弱な存在であるという事実は眼前たる事実。地球上に、たんぱく質物体が登場した後 人類に先駆けて活動を始めたウィルス。感染症は人類と共存し続けることは当然の理。かつてホーキングが「絶対に人類は未知との遭遇をしてはならない」と述べたことはむべなるかな。
マラリア、ペスト、天然痘、結核、コレラ、梅毒。古来より疫病は、社会共同体の発生とともに常にあり、紀元前よりいくつものターニングポイントを記して来た。遊牧帝国の繁栄とペスト、中南米、新大陸を破滅させてきた侵略者の感染症。近代史の頁はハンセン症と共に開幕。
コロナと酷似するスペイン風邪の記述が興味深い。
モヘンジョダロ遺跡の分析から始まるインド。筆者のカースト制度の分析がことのほか面白く~
「異なった免疫をもつ民族を支配下に入れた際に相互に安全な距離を保つために、接触をタブーとしたことに起因する」には唸らされた。
今後も 人類が「寄生する形の生物の侵入に対し 極めて脆弱な存在である」点は変わらないと確信できた。