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歌詠み姫と晴明の鬼弟子
時は平安。和歌を詠み、人の悩みを解決し癒やす力を持つ貴族の姫君・沙良に、怪しい気配が忍び寄る。沙良を守るためにと送り込まれたのは、陰陽師・安倍晴明の弟子、暁と名乗る鬼の青年だった!? 笛の名手とお調子者の若君、秘伝の香袋を作る姫君など、貴族たちを助けるうちに沙良と暁の絆はしだいに深まっていく。しかし人々に悪しき影響を与える鬼・鬼童丸が沙良の力を狙っていて――。 心優しい姫君と鬼の青年が京の事件とお悩みを解決する、平安ファンタジー! ◇◇主な登場人物◇◇ ・沙良(さら) 貴族・小野家の姫君。和歌の女神の加護を受け、歌を詠むことで人を癒やす力を持つ。 ・暁(あかつき) 大江山の鬼だが、人を殺めることができずに追い払われた。晴明に出会い、助けられる。 ・安倍晴明(あべのせいめい) 京に名を馳せる陰陽師で暁の師匠。式神を操り、沙良と暁に助力してくれる頼もしい味方。 -
心獣の守護人
第30回電撃小説大賞《メディアワークス文庫賞》受賞の東洋宮廷ファンタジー! 二つの民族が混在する秦國の都で、後頭部を切り取られた女の骸が発見された。文官の水瀬鷲は、事件現場で人ならざる美貌と力を持つ異端の民・鳳晶の万千田苑閂と出会う。 宮廷一の閑職と噂の、文化財の管理を行う博宝局。局長の苑閂は、持ち主の心の闇を具現化し怪異を起こす “鳳心具”の調査・回収を極秘で担っていた。皇子の命で博宝局員となった鷲も調査に臨むが、怪異も苑閂も曲者で!? 優秀だが無愛想な苑閂と、優しさだけが取柄の鷲。二人はやがて国を脅かすある真相に辿り着く。 ◆◆◆登場人物◆◆◆ 【万千田 苑閂 (まちだ えんさん)】 無愛想だが非常に端正な顔立ちで、若くして博宝局の局長を務める。愛称は苑。 先住の民・鳳晶の血を引き、優れた身体能力と五感を持つ。 【水瀬 鷲 (みなせ しゅう)】 博宝局に配属された文官の青年。 心優しいがそれ以外に取柄が無く、自分に自信を持てずにいる。 -
親愛なるカンパニュール
【電子版巻末には池上幸輝先生によるカバー用イラストをそのまま収録!】 ――私はいつも、人を傷つける言葉ばかりが得意だ。 他人と距離を置く孤独な女子高生の桔帆(きほ)は、バイト先の花屋で「毎月20日、必ず奥さんのために花を買いに来る」お日様のような笑顔を放つ謎の大学教授・東明(しのあき)に出会う。 夏休みに入った頃、東明は彼女にある提案をもちかけた。 「自分がバカンスへ行く間、家の庭の世話をしてほしい」 戸惑いながらも了承した桔帆が、東明の自宅へ向かうと。 「……なんだお前、やっぱストーカーとかだったわけ?」 以前、桔帆が大学に花を届けに行ったときに、彼女を東明のストーカー扱いした「東明の弟子」と呼ばれる不機嫌そうな大学院生・綾瀬(あやせ)がそこで待ち構えていて――。 東明が仕組んだ、不思議な「同居生活」。 三人はいつしか、かけがえのない「友人」となるが、その奇妙であたたかな生活は、ある日突然終わりを迎える――。 -
私のことだま漂流記
すがすがしく力強い声がする。 この先、人間として小説家として迷ったとき、 私はこの本の言葉に奮い立たされることになるだろう。 ーー宇佐見りん 山田詠美は常に今を生きている。それも常に今に迎合せずに。 だからこそ、誰よりも文学を愛した少女は、誰よりも文学に愛される作家となったのだ。 ーー吉田修一 初めて「売文」を試みた文学少女時代、挫折を噛み締めた学生漫画家時代、高揚とどん底の新宿・六本木時代、作家デビュー前夜の横田基地時代、誹謗中傷に傷ついたデビュー後、直木賞受賞、敬愛する人々との出会い、結婚と離婚、そして…… 積み重なった記憶の結晶は、やがて言葉として紡がれる。「小説家という生き物」の魂の航海をたどる本格自伝小説。 私は、この自伝めいた話を書き進めながら、自分の「根」と「葉」にさまざまな影響を及ぼした言霊の正体を探っていこうと思う。 ーー山田詠美 -
レペゼン母
なんと潤沢な物語だろうか。 強烈なパンチラインであり、まさに「ブレイク」作品なのだ。 ――逢坂冬馬さん 予想する「面白い」の1000倍面白い! ――大垣書店京都本店 荒川夏名さん マイクを握れ、わが子と戦え! 山間の町で穏やかに暮らす深見明子。 女手一つで育て上げた一人息子の雄大は、二度の離婚に借金まみれ。 そんな時、偶然にも雄大がラップバトルの大会に出場することを知った明子。 「きっとこれが、人生最後のチャンスだ」 明子はマイクを握り立ち上がる――! 第16回小説現代長編新人賞受賞作。 ーーーーーー 選考委員も激賞! こんなにスカッと面白い作品が新人賞なら、いっそ清々しいじゃないか!(中略)おかんのラップが響く今宵、この余韻! ――朝井まかて 「親との戦い」ではなく、親の側から「子との戦い」を力強く描いた、大人の小説であると感じさせられた。 ――宮内悠介 -
いまこそガーシュウィン
シリーズ累計180万部突破! 暗殺者の標的はコンサート会場に! 流れるのは憎しみの血か感動の涙か。 石塚真一さん(漫画家/『BLUE GIANT』) 音楽と人生の接点のドラマ、それ自体が音楽みたい……。 怒涛のラストはジャズのソロのようだった。 菊池亮太さん(ピアニスト・作曲/編曲家・YouTubeクリエイター) 想いは人種-ジャンル-を超え、重なり合う旋律となる。 それぞれの人生が交差する展開はセッションのよう。 【著者について】 中山七里 なかやま・しちり。一九六一年、岐阜県生まれ。『さよならドビュッシー』にて第八回『このミステリーがすごい!』大賞・大賞を受賞し二〇一〇年デビュー。ほかの著書に『いまこそガーシュウィン』『連続殺人鬼カエル男』『総理にされた男』『護られなかった者たちへ』『境界線』(以上、宝島社)、『能面検事』(光文社)『氏家京太郎、奔る』(双葉社)、『棘の家』(KADOKAWA)、『ヒポクラテスの困惑』(祥伝社)、『作家刑事毒島毒島の暴言』(幻冬舎)、『彷徨う者たち』(NHK出版)など多数。 -
茜さす日に嘘を隠して
「誰かに言えるわけない」私がこう思っている時、あなたは。 若者の真実を描く感動共作!! 就活面接でうまく話せず、彼氏とも疎遠な日々に思い詰める皐月、 寂しさを埋めるため、急に人と会いたくなる衝動を抑えきれない愛衣、 自分の経験を切り売りして曲を作り、シンガーとして活動する文、 大切な友達に言えない秘密を抱えながら過ごす智子ーー 誰かに理解してほしい葛藤をひとりで抱える、"大人未満"の4人の物語。 『青く滲んだ月の行方』(青羽悠)と繋がる世界ーー ●カツセマサヒコ(小説家) 教室の隅で捻くれてた自分に、この物語を読ませたかった。 ●本間悠(うなぎBOOKS) 友人でも恋人でもないあやうい関係性。 みんな、誰かと繋がりたくて、もがいている。 <第1話 さんざんな朝> 就活生の皐月は、ある面接で「あなたを売ってください」という質問を受ける。うまく答えられず落ち込んでいると、大学の先輩のSNSで、恋人の浮気場面らしき写真を見つけてしまう。社会人の彼とは最近うまくいっていない。自分の気持ちに正直に生きたいけれど、私だけが、取り残されてしまうのかーー? <第2話 砂が落ちる> 「好き」は終わりの始まりだ。パパもバイト先の先輩も、彼氏も、マッチングアプリで出会った男の子たちも、みんなあたしの元からいなくなった。わかっているはずなのに、愛衣は新たな誰かを探す衝動が抑えられない。砂時計の砂が落ちていくように、人間関係にもタイムリミットがある。それでも、と願う愛衣が出した答えとは? <第3話 手紙> 井ノ坂文は、SNSで人気のシンガーソングライター・ふみとして活動している。自分の経験をひとつずつ切り出して楽曲を作り、誰かの「自分のための曲」を作ることはできても、楽曲を通して誰とも繋がれないことに不安を感じていた。新曲の制作が進まない文は、ふと男子高校生の自殺のニュースを目にして――。 <第4話 あと1歩> 「男女の友情なんて成立しない」。男同士、女同士だって、友情が成立しないことはあるのに、どうして男女の間だけーー? 智子が、愛衣と涼太と飲む場所は、ラブホテルが定番だ。恋バナをしたり、就活の相談をしたり、定番となった三人で飲む時間だったが、その中で智子はある思いを抱えていてーー <第5話 色を変えて> 大学4年11月、先が見えない毎日を送る皐月。キャリアセンターでの面談を終えてスマホを見ると、サークル仲間の奈美から卒業旅行の誘いの連絡が。「私は皐月のこと、大事な友達だと思ってるよ」。友達って何なのか、そして、私って一体どういう人間なんだろうーー? -
あえてよかった
「今」を生きる子どもたちが教えてくれる光。 大地(58歳)は妻に突然先立たれ、自暴自棄の状態。愉しみは三日月の夜に現れる妻の気配と会話すること。そこで亡き妻から、彼女の切実な願いだった「子どもを育てること」の実践を頼まれてしまう。しぶしぶ学童保育所のバイトを発見し働き始める大地。ある程度働いたら、自分も妻の後を追うつもりだった。 そこで出逢う令和の子どもたちとのやりとりは想定外のことばかり。親の離婚、発達障害、愛着障害、不登校・・・子どもたちの悩みや心の傷、ピュアな思いにふれるうちに、知らず知らず大地にも大きな変化が訪れていく。子どもも、大人も、みんな「うまくいかない」何かを抱え、もがきながら生きている。 そんなある日、ある保護者から、大地は思いもかけない大きなギフトを受け取る。それは、亡き妻からの大切な思い--「生きる希望」。 そして、大地はある決心をするのだった。 ※この作品は過去に単行本として配信されていた『あえてよかった』 の文庫版となります。 -
星狩る獣の後宮
豚になるな。狼になるな。ただ強き獣になれ。 三百年の歴史を刻む星殷国には、建国以来、受け継がれている契約があった。それは代々、東方の少数民族で特異な力をもつ『影守の民』の巫女を皇后に迎えること。 だが、新皇帝瑛学と恋仲にあった巫女ソマリが皇后に迎えられた半年後、契約は最悪の形で破られる。 妹のククナは姉の復讐のため、宮女として後宮に潜り込むが、美貌の皇子・白悠に気に入られて――。 心に獣を宿す少女が人の皮を被ったケダモノたちを狩る、壮絶なる中華後宮復讐譚。 -
サラブレッドを殺すのは誰?
第14回『このミステリーがすごい!』大賞・優秀賞受賞作家の、文庫書き下ろし最新作! 来る東京五輪の代表を目指す美人馬術選手、立花詩野。 彼女はその相棒に元競走馬の老いたサラブレッド、ローレンスを選んだ。 競馬情報誌「パドック」で、彼女らの特集を組んだ記者の和久井は、 編集部に届いた立花への応援メッセージの中に、一通の不審なメールを見つけた。 それは立花宛てではなく、ローレンス宛てのメール。 そこには十三年前に起きたある誘拐事件の顛末が綴られていた。 しかもその事件では、立花詩野が重要な役割を果たしていたという。 それにしてもなぜ、馬宛てにメールを……? 和久井はその誘拐事件について、調査を始めるが――。 -
神様の本
現存する最古の日本語訳聖書を追い、その謎を紐解く古書店の女店主・栞子(三上延「ビブリア古書堂の事件手帖」)、「ゴッド オブ 、神様 団子」と言い残して倒れた青年と、あるミステリー作家(似鳥航一「下町和菓子 栗丸堂」)、パパ活中の女子大生と『人間失格』(紅玉いづき「カミサマは待ちぼうけ」)、落ちぶれた元人気作家が「本の神様」に導かれ、宮沢賢治の物語世界に迷い込み……(「深夜0時の司書見習い」)、天国にある出版社が聖書の矛盾を修正すべく神の監修のもと奔走(杉井光「ハレルヤ出版編集部」)、光源氏の最期を記したといわれる『源氏物語』幻の帖「雲隠」を求め、神と御用人の良彦が大奔走!(浅葉なつ「神様の御用人」) 温かくほろりと泣けて、時にユーモラスで大胆。豪華執筆陣が「神×本」というテーマで紡ぐ、珠玉の6編。心満たされる至福のアンソロジー。 【参加作家一覧】 三上 延/似鳥航一/紅玉いづき/近江泉美/杉井光/浅葉なつ -
有限会社さんず スーサイド・サポート・サービス
極限のどんでん返しが続く、劇薬ミステリ。 とある業者が誘う、「死にたい」という願望の先の、驚愕の結末。 極限のどんでん返しに翻弄される、息もつかせぬ“劇薬“ミステリー。 雇っていたバイトが自殺未遂し、周囲の態度と激務に苦悩するコンビニの雇われ店長。 愛する人のため、一刻も早く行方不明になりたいと言う女。 蝶のコレクションをふさわしい人に譲ってから、蝶の毒で死にたいマニアの男。 保険金がほしい元半グレの居酒屋店主。 赴任先の同僚から日常的に性暴力を受けるようになってしまった女性教師。 「死にきれないあなたのお手伝いをいたします」 死を望む者のもとにどこからともなく届けられる白いカードは、自称「自殺幇助業者」への連絡手段。 そこにある二次元コードは人々を、そして業者自身をも、思わぬ結末へと導いていく。 ※この作品は過去に単行本として配信されていた『さんず』 の文庫版となります。 -
放課後、星空喫茶で謎解き遊びを
【電子版巻末には雪丸ぬん先生によるカバー用イラストをそのまま収録!】 プラネタリウム好きの高校生・碓氷十夜(うすい・とうや)は、ある日クラスメイトの・桐山涼(きりやま・りょう)から出された「謎」を解いたことがきっかけで、放課後に謎解き遊びをする「星空探偵」の活動に誘われる。 彼らの活動拠点は「高い天井を持ち、滑らかな壁面いっぱいに、しっとりとした夜空と、それを彩る宝石箱をひっくり返したような星々を全視界に映す――プラネタリウムと喫茶店を融合させた空間」――『星空喫茶』だ。 満天の星々の煌きのもと、星座の逸話に絡む日常の謎を解くうちに、 彼らは、自分自身に纏わるひとつの大きな謎と向き合うことに……!? -
おもてなし旅館の契約花嫁と旦那さま
5000万円の資金援助の条件は、老舗旅館〈彩景館〉の一人娘・夏希が女将になって、支援者の御曹司・遼介と結婚すること!? 急逝した父が遺した滅茶苦茶な契約のため、かつての夢を取り戻すため、夏希は契約結婚に踏みきるが――。 料理人探しやお客さまトラブルなどなど、慣れない女将業は日々問題だらけ! おまけに夫は完璧主義の採点魔!? 借金を返済したら離婚すると誓った夏希だけど……? 契約夫婦のおもてなしロマンス開幕! -
忘れものは絵本の中に
切ない夜は、ここへおいで――。 疲れた大人を癒す、不思議な「絵本バー」へ。 懐かしい絵本の中に隠された 《真実と愛》を探す旅に出る。 落涙必至、珠玉の物語! 繁華街の片隅に、「絵本Bar クレヨン」はある。 亡くなった祖父が託したという本を求め、青柳由良は店へ通うことに。 バーの客は過去に大切なものを置き忘れた大人ばかり。 飼い猫との思い出に浸る男、実母と確執のあるOL、息子に過干渉な母親、妻の介護に追われた夫……。 切ない別れも伝えられなかった言葉も、そして明日を目指す勇気も、 すべては、あの「絵本」の中にある。 名作絵本を手に、彼らは今日も、自らの心の迷宮に足を踏み入れる――。 これは「本当の自分」を取り戻す、「迷える大人」のための物語。 最高に心温まる、奇跡の感動作!! ラスト、あなたはきっと涙する!! -
私のカレーを食べてください
おいしくて、泣けて、元気が出る物語。 古びた喫茶店の装いながら、本格的なスパイスカレーを出す「麝香猫」。そこで働く山崎成美は調理師学校に通う19歳。 成美は幼い頃に両親が離婚、育ててくれた祖母も失踪してしまい、天涯孤独の身であった。そんな彼女の運命を変えたのは、小学校の先生が作ってくれた一杯のカレーライス。 成美はその味を自分でも作りたい一心で調理を始め、ようやくきっかけを掴みはじめていた。そんな矢先、ある事情から「麝香猫」が店を閉めることになってしまい――。 理想のカレーを追い求める成美のひたむきさと、人々の人情に、涙が止まらない。おいしい×青春×お仕事小説! ※この作品は過去に単行本として配信されていた『私のカレーを食べてください』 の文庫版となります。 -
水族館メモリーズ
大ヒット作『水族館ガール』の興奮と感動がよみがえる! アクアパークの飼育員・嶋由香はとある休日、お気に入りの写真を眺め思い出に浸る。 初夏の眩しい日差しに照らされながらのクラゲ採集、同僚の娘・ミユちゃんの自由研究で一緒に挑戦したクラゲ飼育、 悪戦苦闘のペンギントレーニング、子どもたちにペンギンの飛ぶ姿を見せたくて…!? 子どもも大人も夢中になれる新いきもの&お仕事ノベル。 <<水族館大好き芸人 男性ブランコさん激推し!>> 水族館への愛が、水族への愛が、人間への愛が、あふれています。 水族館のリアルな裏側、水族と人間の関係性、水族館の楽しみ方がまた一つ増えました。ああ、早く水族館へ行きたい…! ――男性ブランコ・平井まさあきさん 楽しんでいつの間にか水族館に詳しくなっています!!嬉しい! ――男性ブランコ・浦井のりひろさん -
小江戸・川越 神様のペットカフェ楓庵
【電子版巻末にはゆいあい先生によるカバー用イラストをそのまま収録!】 会社から給料カットに遭い新しい仕事を探していた美乃里は、謎の男の子・ソラを助けたことがきっかけでカフェ「楓庵」で働くことになる。 そこは、何らかの理由で上手にお別れができない飼い主とペットが訪れる場所。 飼い主とペットは言葉を交わすことができ、お別れの準備が整えば、ペットは天国に送られる。 不思議なカフェでお客様たちを見守りながら、少しずつ仕事にやりがいを見出していく美乃里。 そんな中、彼女自身の心残りにも向き合う時が訪れる――。 大正浪漫のお店が連なる小江戸・川越。 神様がいると噂のペットカフェを覗いてみませんか? -
私が愛した余命探偵
その真実に、きっと涙する――。 洋菓子店で起こるささやかな事件が、二人の未来を照らし出す。 六年間、夫の闘病生活を支えた著者。亡き夫に捧ぐ、勇気をもらえる愛の物語。 「今日はどんなお客さんの話?」 西荻窪にあるコイズミ洋菓子店で働く二葉には、腹部に肉腫を抱え長期入院中の夫、一星がいる。 一星は大のケーキ好きだが、禁食のため空腹と暇を持て余しており、いつしか、二葉が店から持ち帰るささやかな謎を解き明かすことが二人の楽しみとなった。 幼い女の子が香りを頼りに一人探し続ける「楽しいお菓子」とは? 実家を出た娘の誕生日ケーキを毎年購入し、記録し続けた亡き両親の真意とは? そして、謎に隠された様々な想いに触れた二人が選ぶ未来とは――。 「ほどなく、お別れです」シリーズ著者、渾身の書き下ろし。 -
天久鷹央の推理カルテ 完全版 1
お前の病気(ナゾ)、私が診断してやろう。 200万部突破の大人気シリーズ、第一弾! 新カバー×書き下ろし掌編収録の完全版!! 天久鷹央。天医会総合病院、 統括診断部の部長を務める彼女は、 明晰な頭脳と圧倒的な知識で、あらゆる疾患を看破する。 そんな天才医師の元には各科で「診療困難」となった患者が集まり……。 原因不明の意識障害。河童を目撃した少年。 人魂に怯える看護師。 その「謎」に秘められた「病」とは? 現役医師が描く本格医療ミステリー、ここに開幕! 書き下ろし掌編「蜜柑と真鶴」収録。 出版社名「新潮社」より過去に配信された作品に加筆修正し、新たに書き下ろし掌編を加えた『完全版』となります。重複購入にはご注意ください。 〈目次〉 プロローグ Karte.01 泡 Karte.02 人魂の原料 Karte.03 不可視の胎児 Karte.04 オーダーメイドの毒薬 エピローグ 書き下ろし掌編 蜜柑と真鶴 -
鐘を鳴らす子供たち
復興の希望・伝説のラジオドラマの舞台裏。 物語は高度成長期と呼ばれる昭和48年、『鐘の鳴る丘』に出演した当時小学生の一人、良仁への一本の電話から始まる。この日、戦後を代表する劇作家であり、『鐘の鳴る丘』の脚本家・菊井一夫が逝去。電話は菊井の葬儀の知らせだった。知らせを受けて菊井との記憶に思いを馳せる良仁の脳裏には、いつしか「緑の丘の赤い屋根 とんがり帽子の時計台…」と、少年少女たちの歌声が流れ始めていた。 昭和22年。ようやく給食が再開したものの、ほとんどの子どもがいつもお腹を空かせていた時代。東京・練馬区の小学校に通う良仁は親友の祐介と全力で遊びまわる日々を送っていた。そんなある日、良仁と祐介、そして、隣のクラスの実秋を含めた数名が、NHKのラジオ放送劇『鐘の鳴る丘』に出演することに。良仁たちが演じるのは、当時、社会問題となっていた戦後浮浪児の役。戦争への負い目を胸に抱えた大人たちと共に、伝説となるラジオドラマ『鐘の鳴る丘』をつくる日々が始まる。 戦後の混乱期、ラジオが唯一の娯楽ともいえた時代、作り手側に立つことになった子どもたちが見た世界とは。戦争への後悔を抱えた大人達と一緒に希望を模索する日々の行方は・・・。 -
最後の記憶 〈新装版〉
患者・秋山和雄を診察したのは7月の終わりだった。CTスキャンの結果、脳底部に腫瘍影が認められた。脳外科医の俺は秋山を自分の大学病院に入院させた。それが事件の発端だった。手術の前日、執刀医が俺であることを確認した秋山は突然言った。「眼鏡を、かけられたほうがいいかと、思うのです」…何を言っているのかわからないままに、手術当日になった。頭部切開の最中、ふとしたはずみで秋山の髄液が目に飛び込んできた。俺の脳裏におかしな映像が映るようになったのはそれからだった。脳外科医の身に何が起きたのか?『蟻の棲み家 』(新潮文庫)の大ヒットで俄然注目が集まる著者による、本当に怖い長篇サスペンス! -
地先
日本経済新聞2019年8月15日夕刊で、通常、時代小説の書評を担当されている縄田一男氏が例外的に『地先』を取り上げた。 「今回は破格の一巻として、乙川優三郎の現代もの短編集『地先』を扱う。 表題作の”地先”とはその土地から先へつながっている場所という意味の言葉。 巻頭の「海の縁」と巻末にすえられた表題作は対で、御宿の海岸を舞台に、人生の後半にさしかかった主人公がいま一歩踏み出そうとする姿を描いている。 前者は谷内六郎の生涯を己に投影し、後者は風来坊の画家が海女を思わせる民宿の娘と出会うことでそれは成される。 ……希望や諦観を瑞々しい筆致で描く8つの物語……そこからさざ波のようにわきあがってくるのは真の小説と出会った感動にほかならない」と絶賛。 ブック・ジャーナリスト内田剛氏は「なんと熟成された物語なのだろう…。人生の艱難辛苦を味わい尽くした究極の大人の文学だ!」と絶賛。 圧倒的な筆力で、数々の賞を総なめにしてきた乙川優三郎が到達した地平! 「悲しみ、苦しみのないものを書こうと思わない」という意図のもと、楽しいだけの話ではなく、「苦しみの末のハッピーエンドを予感させる物語」を描く。 *恋人と一緒の南国のリゾート。遊覧飛行の事故で、恋人のみが死亡。 傷ついて故郷の海辺の町に帰ってきた女。 自由な恋と仕事に人生を過ごした女が、海辺の町で、地に足着けて自分の夢を実現しようとする男と再会。ささやかな生きる希望が生まれる。…(「すてきな要素」) *絵描きになる夢をあきらめ、平凡な主婦生活を送っていた幸代。娘の作品が美術展に入賞したため、上野に連れ立って出かけた。 そこで、青春時代、芸術家としての才能を信じ、尽くしていた男が、街頭で絵を売っている姿をみる。 動揺する幸代が帰宅して描いたのは…。(「言葉さえ知っていたら」) 御宿を舞台に描く『海の縁』『地先』など珠玉の8篇! -
アルマジロと銃弾
住宅業界大手の九輝ハウジングに入社した意欲あふれる青沼洋祐とちょっと不真面目な織田謙伸。ふたりは入社式で知り合い仲良くなったが2年目になると、青沼は職場でのパワハラなどで鬱病となり休職し、謙伸は転職雑誌を愛読するようになり…。青沼から引き継いだ一軒家建設の仕事は、妻は前向きなのに刑務官の夫が何度も直前で反対して進まず、社内では成約直前にライバル会社の帝国ホームに顧客を奪われる案件が続出。さらには条例違反の別荘を建てろという客まで現れて…。パワハラ、噂される産業スパイ、そして厄介な客たちに巻き込まれた青年たちの人生の行方は? 気鋭の著者がおくる、サラリーマン・エンタメ小説! -
前略、今日も事件が起きています 東部郵便局の名探偵
東京東部郵便局では日夜さまざまな業務が行なわれ、そしてさまざまな事件が起きている。窓口担当の心香の友人は、婚約者から届いた令和元年10月1日消印の手紙の真意に悩む。コールセンターのしのぶは、宛先不明で長期間保管されていた“お手玉”を引き取りに名古屋からわざわざ新幹線で来るという発送人に違和感を覚える。配達員の青山は配達中に何者かに襲われ……。窓口担当の桐山は、郵便局から個人情報が漏洩しているとしか考えられないとクレームをつけてきた漫画家に困惑する。局員たちの心情を察した局内食堂の上條さんが、美味しいごはんとともに解決のヒントをくれる、心温まる郵便局ミステリー! -
スクールカースト復讐デイズ 正夢の転校生
山田悠介氏(作家)絶賛! 「ラストの衝撃に、息を呑むこと間違いなしです!」 カバーイラストは四宮義俊氏(映画『君の名は。』回想シーン演出・原画・撮影) 映画『リアル鬼ごっこ』『がっこうぐらし! 』の柴田監督が小説家デビュー! 瑞々しい青春ミステリーです。 夢で見たことが現実で起こる――。転校生がやってきてから、中学生の颯太はそんな不可思議な現象に悩まされるようになる。転校生の名前は咲良。美少女だが人を突き放すような態度で孤立し、すぐにいじめに遭いはじめた。夢でいじめを予見した颯太は、阻止しようとしたが空回りし、自分まで標的にされてしまう。奇妙な夢と残酷な現実に苦悩する颯太はかつての親友である優也を訪ねるが……。 -
こちら後宮日陰の占い部屋 オリジナルエピソード付き特別版
★電子書籍オリジナルの書き下ろしエピソードを加えた特別版!★ いつも御簾の向こうにいて姿が見えず、助手の翔夢鈴に鑑定結果を耳打ちするだけだが、その占いは驚くほど当たると噂だ――。そんな凜可馨の正体はゴツいオネエ。翔夢鈴のプロデュース力を使って活躍している男性占い師なのである。そんな二人のもとに、後宮から使いがやってきた。多額の謝礼に目がくらんだ二人は、正体を隠して後宮入りするのだが…… -
アンサング・シンデレラ 病院薬剤師の処方箋
患者の未来と、向き合っている。見えないところで、支えている。 フジテレビ系木曜10時放送中!> 連ドラ初「病院薬剤師」が主人公の新・医療ドラマのノベライズ 葵みどりは萬津総合病院薬剤部に勤務する薬剤師。一人でも多くの患者を救いたいと、 つい患者に深入りしすぎてほかの薬剤師からはもっと効率的に仕事をすべきと叱られる こともしばしばだ。ある日、薬剤室で医師から次々と届く処方箋の調剤に忙しくしていると、 みどりは医師の処方箋に疑問を抱く。すぐにみどりはその医師に疑義照会(処方箋を出した 医師への問い合わせ)をするが――。 “アンサング”とは「褒められない」という意味。 医師のように頼られず、看護師のように親しまれなくても、 “縁の下の力持ち(=アンサングヒーロー)”として患者のために奮闘する 病院薬剤師たちの日常を描くヒューマンストーリー。 -
カウントダウン
半年後までに、邪魔なものはみんな“片付ける”――。海老名亜希子は「お掃除コンシェルジュ」として活躍する人気エッセイスト、五十歳・独身。歩道橋から落ちて救急車で運ばれ、その時の検査がきっかけで癌が見つかった。余命は半年。潔く“死”を受け入れた亜希子は、“有終の美”を飾るべく、梅屋百貨店の外商・薬王寺涼子とともに“終活”に勤しむ。元夫から譲られた三鷹のマンションの処分。元夫と結婚した妹との決着。そして、過去から突きつけられる数々の課題。亜希子は邪魔なものを“片付けて”終活に奮闘するが、マンションのクローゼットに大きな秘密を抱えていた――。イヤミスの女王が放つ二転三転の“終活”ミステリー、待望の文庫化です。 -
杜の都であやかし保護猫カフェ
東京での社畜生活に疲れ、杜の都・仙台から少し離れた港町の実家でニート生活を送っていた美琴は、散歩の途中で保健所に連れていかれそうになっていた猫を助ける。アレルギーを持つ母のため、家で飼えない美琴は、商店街に開店したと聞く「保護猫茶房・猫又」へ……。そこにいたのは、妖しいほどの美貌を持つ青年店主・透真と、もふもふ白猫の銀之助。実は、この保護猫カフェには、ある秘密が隠されていた! しかも、美琴は「猫にまつわる力」を見込まれアルバイトとして働くことになり――。ひと癖もふた癖もある保護猫たちと、さまざまな事情を抱えたお客様。猫たちのしあわせな“ニャン生”のため、本日も「保護猫茶房・猫又」営業中です! -
あなたの思い出紡ぎます 霧の向こうの裁縫店
一度だけ、死んだ人に会えるとしたら、誰に会いますか? 惚れた男に大金を貢ぎ、仕事も家も失った宇山真琴。途方に暮れた彼女は、死んだ祖父が頼れと言っていた店、「鳥居の見える裁縫店」で雇ってもらおうと、その店を訪ねる。しかしそこは普通の裁縫店ではなかった。そこは、死んだ人に一度だけ会うことができる場所、此岸と彼岸を縫い合わせることができる裁縫店だったのだ――。そして「真琴のことを知っている」という店に住み着く少年の幽霊・ユキオ。偏屈な店主・鳴瀬やユキオに翻弄されながらも、真琴は死者に会いたいと願う人々を手伝っていく。ユキオは一体何者なのか? -
死なないで<新装版>
病気で倒れた 母を思う 娘の気持ち。 あなたを 殺すのは、 私なのだから。 闇を抱えた 孤独な少女。 物語が行き着く 思いがけない 結末。 衝撃や号泣ではなく 確かな感動がここにある。 二十歳の誕生日目前、急病に倒れた瀕死の母親を見て、 路子はやり場のない怒りを抱く。 「お母さん、病気なんかで死なないで。あなたは、私が殺すんだから……」 路子は看病に没頭する。 治して、また自ら殺すための看病の日々。 真摯な医師・鷺森、難病の少女・彩乃らとの交流は、 愛情薄い両親への復讐心に凝り固まった路子の心を 解すことができるのか……? 感涙のドラマ。 -
定本 バブリング創世記
筒井康隆の世紀の奇書が 〈定本〉として三十七年ぶりに復刊! 筒井康隆の毒と笑いをご堪能あれ。 〈ドンドンはドンドコの父なり。ドンドンの子ドンドコ、ドンドコドンを生み……〉 ジャズ・スキャットで使われるバブリングを駆使し、 奇想天外なパロディ聖書として読書界を驚倒させた表題作ほか、 初刊文庫で未収録だった実験作品「上下左右」 (イラストは雑誌掲載時の真鍋博)を収録した完全版。 書下しの自作解説を併録。全十篇。 (解説 井上ひさし) 〈目次〉 バブリング創世記 死にかた 発明後のパターン 案内人 裏小倉 鍵 上下左右 廃塾令 ヒノマル酒場 三人娘 自作解説 筒井康隆 解説 井上ひさし -
空に牡丹
ご先祖に思いを馳せるファミリーヒストリー。 私のご先祖様には花火に魅せられ、一財をつぎ込んで生きた静助さんという人がいる。 ―――時は明治初期。江戸から東京になったが、地方ではいまだ江戸と呼ばれていた時代。その江戸から遠くない村で大地主の次男坊として生まれた静助は、ご一新で世間が大きく変わるなか、何不自由なく暮らしていた。 ある日、静助は母親と出かけた両国の隅田川で打ち上げ花火を見物し、ひと目で心奪われる。江戸の花火屋たちは、より鮮やかな花火を上げるため競い合っているという。 村に戻ってからも花火への情熱が消えない静助は、潤沢な資金を元に職人を雇い、花火作りに夢中になるが、富国強兵へ向かう時代の波が、次第と静助一族を呑み込んでいく……。 ※この作品は、『空に牡丹』(単行本版)の文庫版となります。 -
就職先はネジ屋です
ヤル気が出る!女子社員のモノづくり小説。 就活中のユウ(三輪勇)は、第一志望の商社を最終面接で落とされた。その後、母親が社長を務めるミツワネジ(従業員130名)に正式エントリーして、入社することになった。海外で働きたいと考えるユウにとって、ミツワネジにフィリピン支社があることが大きな志望動機になった。 入社後、ひとり暮らしをはじめたユウ。同期入社は同じく営業に配属された辻の2名だった。ユウは、長谷川螺子兄弟社というネジ会社で三か月の現場研修に入り、「緩み」が生じないようにと、ひと工夫したU字ボルトを作った。 営業の取引先は、ネジを扱う顔なじみの商社ばかりだった。何とか直接メーカーに対して提案型の営業もしたいと思いはじめたユウは、飛び込みでメーカーを回り始めるが、相手にされない。ある日、荒川の河川敷で消波ブロックを作る現場を見たユウは、型枠を締めたり緩めたり簡単にできるボルトを作れないかと考えた。 前例のないことを始めようと行動するユウは、幾度もしがらみと闘いながら、仲間や業界のスペシャリストとともに新しい世界を切り開いていく。 読めばヤル気が出る!新入女子社員のモノづくり小説。文庫オリジナル。 -
挑戦 巨大外資(小学館文庫)
【ご注意】※お使いの端末によっては、一部読みづらい場合がございます。お手持ちの端末で立ち読みファイルをご確認いただくことをお勧めします。 1970年、世界的コングロマリット「ワーナー・パーク」の日本法人に経理本部長としてヘッドハンティングされた池田岑行は、入社早々にしてメーンバンクの変更、経理部門の再編など、停滞していた社内に次々と改革を成し遂げる。しかし、その裏で彼を待ち受けていたものは、追い落としを図ろうとするライバルたちの卑劣な罠だった-。公私混同著しい上司との対決、陰謀と策略渦巻く、一瞬の隙も許さぬ人事抗争、相次ぐCEOの解任…。"非情の外資"を、その卓越した財務戦略で30年にわたって生き抜いた唯一無二の日本人、「奇蹟のCFO」と呼ばれた男の目をとおして見た、巨大外資企業の真実。 -
0マイル
父と子のふたり旅が紡ぐ新感覚ロードノベル。 かつて新進気鋭の写真家として脚光を浴びた吉川士朗は、出張中に身重の妻が緊急手術をしたことが原因で、長期の旅行を伴う撮影をやめてしまった。日々の仕事に埋没していた折、旧知の編集長から米国フロリダを旅する紀行写真の企画を持ちかけられる。これは「最後のチャンス」かもしれない……。そんな思いを抱きながら、病弱の妻を日本に残して、小学2年生の息子・登士を「助手」として連れていくことになった。 「世界でいちばん美しい道」を息子と一緒に見にいきたい----。マイアミ国際空港から米本土最南端「0(ゼロ)マイルの街」キーウエストを目指してドライブする「ふたり旅」。ホテル内を無断で撮影しようとして警備員に拘束されたり、夜の繁華街で息子が行方不明になったりと、トラブルの連続で思うように仕事ができない士朗は、つい息子にきつくあたってしまう。しかし、些細なことでケンカをしながらも、旅先で様々な人たちとの出会いを経て、「助手」から「相棒」へと、親子の距離も少しずつ変わっていく。そして「世界でいちばん美しい道」の果てで、士朗たちが出会ったのは……!? 父と息子の交流を描いた感涙必至の紀行小説、待望の電子化。 【ご注意】※この作品はカラー写真が含まれます。 -
長生き競争!
日本初? 笑って泣けるお年寄りファンタジー 「どうせなら金を賭けないか? 誰が一番長生きするか」 聡、弘、明男、正輝、博夫、規子の6人は、小学校時代からの幼なじみの76歳。全員ヒマな上、比較的元気なので、時折同窓会を開いている。しかし話題は、暗いものばかり。そんなある日、6人の中でも最も明るくマッチョな明男がそんなラテンな提案をする。皮肉にも、酔狂な賭けを通じて彼らはお互いのことをよく知るようになるのだが……。生と死、老いと人生を切なくもユーモラスに描き、高齢化社会を希望で照らす、ヒューマン・エンタテインメント。賭け金総額五千七百万円、『長生き競争!』ここに開幕。 -
忠臣蔵異聞 二人の大石
忠臣蔵の発端となった浅野内匠頭による吉良上野介刃傷沙汰、松の廊下の事件は、その後の処理を含め謎の多い事件だ。解明されない裏の事情があるのだろうか。この物語は、吉良を巡る噂話、憶測から始まる。刃傷事件を起こした浅野は弁解もないまま即日切腹、お家断絶と急な展開を見せ、臥薪嘗胆のときを経て、赤穂藩家老・大石内蔵助を中心に四十七士が本所吉良邸へ討ち入り、見事敵を討つまでを描く。だが、その裏には「大石一族」の強い絆があった。赤穂藩士・堀部安兵衛を仲立ちに、二人の大石、内蔵助と津軽藩士・大石郷右衛門の侍としての矜持があった。新しい人物像で描く「忠臣蔵」への新アプローチ。 -
サツ飯
『銀座「四宝堂」文房具店』著者の異色作! 「もうガマンできませんっ。いただきます!!」 満腹度120%、「銀座「四宝堂」文房具店」シリーズが大人気の著者による、異色グルメ小説。 PR会社に勤める桜花(さくら・はな)・30歳は、大食いで食べっぷりがいいところを認められ、Y県警の職員向け広報誌「桜花(おうか)」の人気連載〈サツ飯! 拝見〉を担当することに。サツ飯を作る人・食べる人に話を聞き、その料理に絡んだ出来事や思い出を聞くコーナーだ。 取材初日、県警総務部の長山修二と、町のそば屋・長寿庵を訪ねる。 丼のふちまで盛られた、ふんわり甘じょっぱい香りのカツ丼を、笑顔で噛みしめる「食べる人」警部補・西田。その光景を嬉しそうに見つめる店主夫婦。 警察についてステレオタイプ的な知識しかなかった桜花が、そこで見て聞いて食べて、呟いた意外な一言とは――。 事件は起こらずとも、腹はすく。“警察のごはん”を食べて驚きの“内部事情”を知る、どこにもないグルメ小説! 文庫書き下ろし。 カバーイラストはイシヤマアズサさん。 -
横浜元町洋菓子譚 春といちごのホームメイド
甘酸っぱくてちょっとビターな連作短編集! 「ホテルクラシカル猫番館」「若旦那さんの『をかし』な甘味手帖」シリーズで大人気の著者が、文春文庫に初登場! 祖父の洋菓子店を引き継ぎ、パティシエとして店を守ってきた花丘春。 経営が厳しくなり、激務がたたって体を壊してしまう。 これから来るクリスマス期を乗り切れるか悩んでいたところに、かつて共に修業した有沢壱悟が突然現れる。 よく似た顔立ちの女の子・璃々花を連れて…。 ショートケーキ・バタークリームケーキ・いちごのタルト・ シュークリーム・コーヒーゼリー… 様々な思い出がつまった、懐かしの洋菓子が続々登場。 山手にあるあのホテルもちらっと出てくるかも…!? 横浜の元町を舞台に、人々を笑顔にするケーキ作りに 奮闘する春と、 何やら事情を抱えた壱悟と璃々花が織りなす、 甘酸っぱくてちょっとビターな連作短篇集。 -
花贄さまの初恋
シリーズ累計33万部突破!「龍に恋う」著者のやさしさ満載の最新作。 皇都から離れた、緑豊かな花森村。 草花を自由に咲かせる能力をもつ霜子は、その異能ゆえに身内に蔑まれ、ついには陸軍中尉・晴晃との婚約を強いられてしまう。しかし予想に反して、晴晃は快活な青年だった! 二人が徐々に距離を縮める中、不穏な“惑い花”の呪いが村を蝕み始め――。 瑞々しく美しい和風恋愛ファンタジーの開幕! ■ 登場人物紹介 鹿屋野霜子(かやの・そうこ) 16歳のときに、神から見出されて異能を開花した。現在は「花贄」として村で孤独に暮らす。 丹羽晴晃(にわ・はるあき) 陸軍中尉。見た目に反して快活で素直。霜子の婚約者としてやってきたが、その目的は……? -
90メートル
山時聡真・菅野美穂主演 映画『90メートル』(2026年3月27日[金]公開)ノベライズ。 山時聡真(『君たちはどう生きるか』)×菅野美穂(『ディア・ファミリー』)W主演! 『か「」く「」し「」ご「」と「』新進気鋭の監督・中川駿、初のオリジナル脚本を映画化。 〈物語〉 小学生の頃からバスケットボール一筋だった佑(たすく)。高校2年のとき、母・美咲が難病を患ったことで、母子家庭で育った佑はバスケを辞め、美咲の世話を優先せざるを得なくなる。 ヘルパーの支援はあるものの24時間体制ではないため、佑が美咲のケアをしながら家事をこなす日々を送っていた。 高校3年生になった今、東京の大学に進学したい気持ちはあるが、美咲を一人にするわけにはいかず、常に手元にある呼び出しチャイムの音が、佑の心に重くのしかかる。その看病が一生続くかのように、自分の夢や希望はすべて諦めかけていたある日、担任の先生から自己推薦での受験を勧められる――。 人生の岐路に立つ高校生の息子と、難病を抱えながら我が子の希望ある明日を願うシングルマザー。 複雑な想いを抱える親子の絆と揺るぎない愛を綴った感涙物語。 -
喫茶ガクブチ 思い出買い取ります
「いらっしゃいませ。喫茶ガクブチへようこそ!」 東京・高円寺の街角――〈あなたの思い出買い取ります〉と書かれたド派手な看板と、元気な掛け声に吸い寄せられるように入ったカフェは、壁が大小様々な額で覆われていた。 中には靴紐や映画の半券、玩具など“誰かの思い出の品”らしきもの……? そこは、父親の跡を継いだ美咲兄妹が切り盛りする額縁店。寂れた店を復活させようと、妹の真日留は一階をカフェに大改造。兄の伸也はお客さんから持ち込まれた”思い出の品“を額装。額は客が大切に持ち帰ることもあれば、カフェの壁に飾られ、別の誰かが買っていくこともある。 店を訪れるのは、〈かつて世界中を旅し、いまは親の介護に明け暮れる多喜子〉〈カメラが趣味だった夫の遺言で、個展を開こうとしている郁恵〉〈無職の夫へのイライラが止らない梨々花〉〈大切なUFOの玩具を手にした、結婚を控える一直〉〈隣りの”おじいちゃん”の絵を持ってきた中学生の蒼空〉……。 生まれ変わった思い出が、傷ついた心と体を癒し、いつしか新しい出会いに繋がっていく。 『人生写真館の奇跡』『天国からの宅配便』著者が贈る、とっておきのハートウォーミング・ストーリー。文庫書き下ろし。 -
本売る日々
本を愛し知識を欲する村人たちを描く! 文政5(1822)年。月に1回、城下の店から在へ行商に出て、 20余りの村の寺や手習所、名主の家を回る本屋の「私」。 上得意先のひとり、小曾根村の名主・惣兵衛は 近頃、孫ほどの年の少女を後添えにもらったというが、 彼女に何か良い本を見繕って欲しいと言われ―― 用意した貴重な画譜(絵本)が、目を離した隙に2冊なくなっていた。(本売る日々) 村の名主たちは、本居宣長の『古事記伝』、塙保己一が編纂した『群書類従』など 高価な本を購い、書店主と語り合う。 村人が決して実用的でない知識を求めるのはなぜなのか。 徐々に彼らが知識を、特に古代や朝廷を研究する「国学」を求める 理由が分かってくる。 江戸時代の豊かさは村にこそ在り、と 考える著者が、本を行商する本屋を語り部にして 本を愛し知識を欲し人生を謳歌する 人びとの生き生きとした暮らしぶりを描いた中編集。 解説 平松洋子 単行本 2023年3月 文藝春秋刊 文庫版 2025年6月 文春文庫刊 この電子書籍は文春文庫版を底本としています。 -
タイムマシンに乗れないぼくたち
愛され度200%! 大人気著者初の短篇集 商店街で働く南優香は、いまよりほんの少し愉快に生きるためのライフハックを思いつく。今日から私、殺し屋になる――(「コードネームは保留」)。 博物館の片隅で現実逃避に余念のないサラリーマンと小学生。つい悩みを吐露し合ってしまった二人の本当の願いは……(表題作)。 読むほどに心が楽になる、7つの物語。 解説・森川すいめい 目次 (1)コードネームは保留 (2)タイムマシンに乗れないぼくたち (3)灯台 (4)夢の女 (5)深く息を吸って、 (6)口笛 (7)対岸の叔父 単行本 2022年2月 文藝春秋刊 文庫版 2025年2月 文春文庫刊 この電子書籍は文春文庫版を底本としています。 -
アスク・ミー・ホワイ【文春文庫版】
【この電子書籍は、2024年8月刊行の文春文庫版を底本としています。文春文庫版特別付録として「『港颯真』という生き方」を収録しています。】 傷を抱えた二人の男子、感動のラブストーリー アムステルダムの街で恋に破れたヤマトは、出会ってしまった。元俳優の港くんと――。港くんはスキャンダル報道で、芸能界から姿を消していた。過去の傷を抱えながらも、互いの距離は次第に近づいていき……出会うはずのなかった二人が織りなす、切なくも感動的なラブストーリー。巻末に特別付録「『港颯真(みなとそうま)』という生き方」収録。 異国の地で出会ったのは引退したはずの人気俳優だった。彼に新しい世界を見せられた僕は―― 「過去はね、変えられるはずなんだよ。もしかしたら、未来よりずっと簡単に」 『昭和元禄落語心中』『いとしの猫っ毛』の雲田はるこ 描きおろしイラスト満載! 【登場人物】 ●ヤマト……彼女と一緒にアムステルダムに移住したが、浮気され失恋。飲食店で働きながら鬱屈した日々を過ごす ●港颯真……元人気俳優。薬物使用疑惑で芸能界を去る。マッチングアプリでヤマトと出会い、ゲイであると告白 単行本 2020年8月 マガジンハウス刊 文庫版 2024年8月 文春文庫刊 -
桜の木が見守るキャフェ
満開の桜も素晴らしいけれど、散り際にも楽しみはある――。 『今宵も喫茶ドードーのキッチンで。』『伝言猫がカフェにいます』の 著者が贈る、かけがえのない人生の物語。 庭にヤマザクラの大きな古木がある〈キャフェ チェリー・ブラッサム〉。 祖母と母から受け継いできた洋館で、緋桜(ひお)は、 季節の和菓子と茶を提供している。 訪れるのは、犬を連れて散歩にくる老人、 長年連れ添う国際結婚の夫婦、 保育園からの帰り道に通りがかった親子、 自分が進むべき道に迷う少女……。 桜の木は、今日もゆったり、行きかう人々を眺めながら、 各々が抱える悩みや秘めた思いに耳を傾け、静かに寄り添う。 四季の移ろいと人々の交流を、優しくゆったりと描く再生の物語。 文庫書き下ろし。 -
小さな場所
まだ小さな世界しか知らないぼくに、大人たちはこの広い世界の秘密や真実を教えてくれた 台北の猥雑な街、紋身街。狡猾で強欲なだらしない大人たちに囲まれて、少年は世界の広さを知る。切なく心に沁み入る傑作連作短編集。 本書を編集しながら何度も笑いました。気づけば、泣いていました。この物語に出合うために自分は大人になったのかもしれない。ここは温かくて、時に残酷な、生きることへの問いと答えが詰まっています。どうか、現代を生きる子供たちへ、かつて子供だった大人たちへ。この物語が届きますように。――文庫担当編集者 ※この電子書籍は2019年11月に文藝春秋より刊行された単行本の文庫版を底本としています。 -
鑑識課警察犬係
『正義の天秤』(亀梨和也主演)『婚活探偵』(向井理主演)『不協和音』(田中圭主演)など原作が数多く映像化されている大門剛明氏、文春文庫初登場の警察犬小説です。 主人公は鑑識課警察犬係に配属されたばかりの岡本都花沙。念願かなって警察犬係に配属となった岡本は、ベテランの警察犬アクセル号とコンビを組んで、捜査をすることに。岡本の「バディ」となるのは、通称「第二」と呼ばれている民間警察犬訓練施設の訓練士・野見山。野見山は元警察官で、名警察犬レニーとコンビを組んでいました。しかし、あることがきっかけになって辞職。いまは民間の立場から捜査の協力をしています。 本書は五章構成になっています。第一章は、岡本が赴任する前日譚で、主人公は野見山です。レニーに向けられた疑惑の真相と、野見山の決断を描きます。第二章から第五章は、岡本を主人公にして、野見山や先輩刑事の桐谷(第一章では新人犬係として出てきます)など魅力的な脇役を配置しつつ、日々の捜査を描きます。全て読切の短編として読めますが、全体を通じて大きな謎が隠されています。 実際、警察犬の出動依頼が多いのは、行方不明者の捜査で、近年は認知症高齢者の失踪に駆り出されることが多いそうです。当然、そこには認知症を抱える家族の辛さなどもあり、そういう「日常レベル」の捜査を扱うことで、他の警察小説とは違った人間ドラマを描けていると思います。そして捜査官と警察犬が苦労の末に「心を通わせる」ことができた瞬間のなんと愛おしいことでしょうか。 第一章「手綱を引く」は第75回日本推理作家協会賞(短編部門)の候補作になりました。 今後シリーズ化も予定しています。 -
雲を紡ぐ
壊れかけた家族は、もう一度、一つになれるのか? 第8回高校生直木賞(2021)受賞作! 羊毛を手仕事で染め、紡ぎ、織りあげた「時を越える布・ホームスパン」をめぐる親子三代の「心の糸」の物語。 いじめが原因で学校に行けなくなった高校2年生・美緒の唯一の心のよりどころは、祖父母がくれた赤いホームスパンのショール。 ところが、このショールをめぐって母と口論になり、美緒は岩手県盛岡市の祖父の元へ行ってしまう。 美緒は、祖父とともに働くことで、職人たちの思いの尊さを知る。 一方、美緒が不在となった東京では、父と母の間にも離婚話が持ち上がり……。 「時代の流れに古びていくのではなく、熟成し、育っていくホームスパン。 その様子が人の生き方や、家族が織りなす関係に重なり、『雲を紡ぐ』を書きました」と著者が語るように、読む人の心を優しく包んでくれる1冊。 文庫版特典として、スピンオフ短編「風切羽の色」(「いわてダ・ヴィンチ」掲載)を巻末に収録。 文庫解説・北上次郎 ※この電子書籍は2020年1月に文藝春秋より刊行された単行本の文庫版を底本としています。 -
昭和天皇の声
「君側の奸」はどこだ!? 皇道派VS.統制派、二・二六事件、 共産党委員長が天皇主義者へ転身―― 男たちの耳にこだまする、幾つもの「天皇の声」。 感涙の最終話で明かされる「真実」とは? 歴史連作短篇集 純朴な陸軍中佐・相沢三郎が統制派の首魁・永田鉄山に凶刃を振るう場面で始まる「感激居士」。二・二六事件の裏のドラマを描く「総理の弔い」「澄みきった瞳」。ある共産党員の魂の遍歴を辿る「転向者の昭和二十年」、そして実質的表題作ともいえるラストの「地下鉄の切符」。抑制された筆に目頭が熱くなる連作短篇集。解説・杉江松恋 目次: 感激居士 総理の弔い 澄みきった瞳 転向者の昭和二十年 地下鉄の切符 ※この電子書籍は2019年8月に文藝春秋より刊行された単行本の文庫版を底本としています。 -
小隊
★「ブラックボックス」で芥川賞を受賞した作家の衝撃作&デビュー作が合本に。 ロシア軍が北海道に上陸。自衛隊の3尉・安達は敵を迎え撃つべく小隊を率いて任務につく。避難を拒む住民、届かない敵の情報、淡々と命令をこなす日々――。そんな安達の”戦場”は姿を現したロシア軍によって地獄と化す。「自衛隊の戦争」を迫真のリアルさで描く表題作ほか、元自衛官の芥川賞作家による戦争小説3篇。 【収録作】 「小隊」(第164回芥川賞候補) 「戦場のレビヤタン」(第160回芥川賞候補) 「市街戦」(第121回文學界新人賞受賞) ※この電子書籍は、2019年1月刊行の単行本『戦場のレビヤタン』、2021年2月刊行の『小隊』、「市街戦」を収録した文庫版を底本としています -
駐車場のねこ
「オール讀物」新人賞受賞作「姉といもうと」を含む傑作短篇集。 幸田文の『流れる』に憧れる家政婦の姉と、指がないが活動的でラブホテル受付をする妹。 つぶれたスナックの女性店員たちが開いた競馬場での同窓会。 職人気質のクリーニング店主と常識外れの若い女性客。 駐車場の猫に餌をあげている布団屋の妻と、“役者のような美男子”の夫……。 おもわずほほえんでしまうユーモア。人間観察からあふれでる、生きることへの“姿勢の良さ”がにじみ出る。 解説・森絵都「どんな個性も大らかなユーモアをもって包みこむことで、マイナスをもプラスに転化させる。これぞ嶋津マジックだろう」 何気ないやりとりから生れる違和感がクセになる、オリジナリティ溢れる全7篇。 ※この電子書籍は2019年9月に文藝春秋より刊行された単行本『スナック墓場』の文庫版を底本としています。 文庫化にあたり、改題しました。 -
飛族
日本海のはずれ、朝鮮との国境に浮か養生島。 かつては漁業で栄えていた離島で暮らす三人の老女のうち、ナオの死で、いまはイオとソメ子のふたりが取り残されている。 九十二歳でひとり暮らしのイオの娘、ウメ子も六十五歳になった。 イオは海女をなりわいとして、八十五歳までアワビを獲るほど、心身ともに丈夫ではあるけれど、娘のウメ子としては心配でならない。 二十五年前の海難事故で命を落とした夫を供養するイオとソメ子。 異国からの密漁船による侵略や、地球温暖化など、不吉な未来を予感しながら、泰然と暮らしを守り続ける老女たち。 そんな島に、おそろしい台風が近づいてきて……。 名作映画「八月の鯨」のように、海辺での厳しい暮らしとシンプルに生きようとする姿に胸を打たれる。 いまの時代こそ、こんな世界に浸りたくなる。谷崎潤一郎賞受賞作品。解説・桐野夏生 ※この電子書籍は2019年3月に文藝春秋より刊行された単行本の文庫版を底本としています。 -
跳ぶ男
切り立った岩の上で独り稽古を積む、藤戸藩お抱えの道具役(能役者)の長男・屋島剛。15歳の剛は、急逝した藩主の身代わりとして江戸城に送り込まれた。「能」を使った秘策によって、貧しい藩は生き延びることができるのか。 藩の命運を握った剛は、「想いも寄らぬことをする」決意をした――。 天保年間の土地も金もない弱小藩を舞台に、ひとりの少年武家が辿る過酷な運命が、圧倒的リアリティを通して描かれる。 謎と謀(はかりごと)、美と畏れ。研ぎ澄まされた文章と壮大なる謎、唯一無二の武家小説! 「弱冠十五歳の少年が、柳営の棟梁たる将軍に対して、己の能の技量のみを武器に文字通り徒手空拳で命がけの闘いを挑む。しかも与えられた期間は、わずか七ヶ月しかない。これぞまさにミッション・インポッシブル 」 ――川出正樹 (解説より) ※この電子書籍は2019年1月に文藝春秋より刊行された単行本の文庫版を底本としています。 -
神さまを待っている
誰にも「助けて」と言えない。 圧倒的リアリティで描かれる貧困女子の現実。 文房具メーカーで派遣社員として働く26歳の水越愛。 会社の業績悪化で派遣切りに遭い、失業保険を受けながら求職活動をするが どこにも採用されない。アパートの更新料や家賃、住民税、そして食費… あっという間にホームレスになった愛は、漫画喫茶に寝泊まりしながら 日雇いの仕事を始め、前の生活に戻ることを目指していたが、次第に 価値観、自己認識が揺らぎ始める。 同じ境遇の女性たち、「出会い喫茶」に来る客との交流。 生きるために「ワリキリ=売春」をやるべきなのか。 ここまで追いこまれたのは、自己責任なのだろうか。 大学に進学し、勉強や就活に励み、まじめに勤めていた女性が またたくまに貧困に呑み込まれていき、抜け出せなくなる。 著者自らの体験をもとに描いた「貧困女子」長篇小説。 解説は 俳優・佐久間由衣 ※この電子書籍は2018年10月に文藝春秋より刊行された単行本の文庫版を底本としています。
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