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あの子は、どこから戻れなくなったんだろう──
小説家志望の女と、少年犯罪の加害者・元少年Aとの運命の出会い
東京で働きながら小説家を目指していた今日子は、震災が起こった翌年に夢を諦め、母のすすめで実家に戻る。
妹とその夫、娘との二世帯住宅の生活に倦み疲れながらも、小説を諦めきれない。
そんな中、過去に凶悪犯罪を起こした少年Aが地元にいるという噂を耳にする。
そしてパソコンなどを検索して知った少年Aの姿に急速に惹かれていく。
一方、神戸生まれで、東京に住む十七歳の莢(さや)も、少年Aを崇拝し、「聖地巡礼」と称して事件現場などを訪れていた。
また少年Aに当時七歳の娘を殺された母親は、息子、夫とともに同じ場所にとどまり、一見平穏そうに見える暮らしを送っていたが、教会の人間から、Aのファンの話を聞かされる。
少年犯罪の加害者、被害者遺族、加害者を崇拝した少女、その運命の環の外にたつ女性作家……それぞれの人生が交錯したとき、彼らは何を思い、何を見つけるのか。
著者渾身の長編小説!
作家が書くことに固執するのは、「人間の中身を見たい」からなのだ。これは、小説ノンフィクションのジャンルにかかわらず、作家が持つ病理なのだ。その意味で、私もAの同志なのである──佐藤優氏・解説より
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Posted by ブクログ
重く、苦しく、しかし先を見ずにはいられない。そんな小説でした。
心が健康な時に、自室で読むことを推奨します。
まず、この小説には元となった事件があります。しかし、読んでいる間は、敢えてその事件のことを考えずに読んだ方が、この話の伝えたいことに集中できると私は思います。現実には…と考えることは、ノイズになりかねません。
私がこの小説を購入し、読み始めたのが昨年の5月末でしたので、半年もかけて、ようやく読み終えたことになります。
初めから物語に引き込まれ、続きが気になり、どんどん読み進めたくなったのですが、題材も重く、しかも妙に生々しい性描写及びグロ描写を含むため、なかなか外で読むことが難しかったです。
一章一章考えながら、ゆっくりと噛み砕くように読みました。疲れた時には読めないなとも思っていたので、自分の心が落ち着いている時に…、と後回しにしていたらこんなに時間が経ってしまいました。
それでも、初めの方の描写を今でも覚えているほど、鮮烈な物語です。それこそ、人の中身を覗き込むような体験をしました。
物語の展開としては、オムニバス形式で、主に4人の語り手から語られます。私はこの形式が好きでした。本当は交わらないはずの人生が、それぞれの行動によって、交わり、点が線になり、結び、絡まり、そして千切れる。そんなイメージが頭に浮かびました。
後で酷い目に遭うことが想像できるのに、なぜ登場人物たちがそんな行動を取ってしまうのか、ずっとそう考えながら読みました。それでも理解できる点もあり、読んでいて苦しかったです。少年更生について、考えを改めなくては、と思う点もありました。
そして、最後の最後に、タイトルの意味を突きつけられることになりました。
もしも、この小説を気になった方がいれば、ぜひ、この意味を考えながら読んでいただきたいです。
Posted by ブクログ
最後の数行、そして題名
これは作者の決意表明ともいえると思った
4人の登場人物それぞれがニルヴァーナには
たどり着けず
というよりはたどり着いてはいけないようなことをしているのだ
全ては「因果」なのだ
元少年Aは一瞬たりともこれから普通の人生が歩めると思ったこと
莢は犯罪者を愛して一緒に逃げようとしたこと
今日子は、この小説を書いたこと
そうしたらなっちゃんの因果はなんなんだろう
光の存在を莢に重ねたこと?
一瞬でも元少年Aに対してプラスの感情を持ってしまったこと?
なっちゃんがニルヴァーナにさよならしなければいけない理由って何なんだろう…
元少年Aがいくら幼少期に深い傷を負っていたとしても罪を犯してあちら側に行った時点で、何も同情の余地はないと思うけどな
元少年Aは国からこれからの人生のために手厚いサポートを受けているのに対して、被害者家族はある日突然大切なひとを失ったのにほとんどサポートかないように語られていた
少年犯罪の更生についても考えさせられた
Posted by ブクログ
何度も何度も読んでしまう。
私が少年Aに興味を抱いているからだろうか。
うんん、違う気がする。
なぜだかこの小説を読んでいると、私自身の中身も洗い出されているような気がして、苦しくて、たまらなくなる。
普段の倍以上ひとつひとつの文章に感情移入してしまう。
話自体が面白いかと言われたら正直分からない。
ずっと地獄のようなぬめりがまとわりついてくるし、事件のことだけでなく書くということ、夢を見るということすらも地獄なんじゃないかと思うほどずっと暗い。
あとなぜ参考文献に元少年Aの手記がないのかと思ったけれど、これが出版された少し後に出されたからなんだね。
結局は創作だから当たり前なのかもしれないけど、実際の少年Aの方が何倍も恐ろしくてグロくて人間みがある。
※少年Aに興味を抱いているのは、莢や今日子のように恋心のようなものではなく犯罪心理的な面からである。
Posted by ブクログ
ううん…すごく考えさせられた…
視点が変わると事件の見方がこんなに変わる、
登場人物すべてに共感できてしまって、なんだかつらくなった…
実際に起きた少年Aの事件を題材にしているけれど、犯人像はかなり違う印象。
この本だとAにも辛い過去があって、魔が差した、みたいに読めて
同情してしまったし、更生して欲しいと思った。
だけど本当の事件を調べると全くそんなことを思わなくて。
この小説を被害者家族が読んだら、Aが美化されてて辛いだろう
犯人に対して「仕方がなかったんだな」と感じてしまう描き方は、
関係者にとってはあまりにも残酷ではないだろうか
本を読んだ感想だと
皆、しっかり生き抜いてほしいと
他人ながら悲しく願った
家庭環境って大きい
「違う環境だったらこんな事件を起こさなかったか」
と考えると分からないけど、もっと違う選択をできていたと思う
重いなぁ
特に最後。なっちゃん…
題材があるからこそ、小説の心情が重く感じる
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