さよなら、ニルヴァーナ

さよなら、ニルヴァーナ

815円 (税込)

4pt

あの子は、どこから戻れなくなったんだろう──
小説家志望の女と、少年犯罪の加害者・元少年Aとの運命の出会い

東京で働きながら小説家を目指していた今日子は、震災が起こった翌年に夢を諦め、母のすすめで実家に戻る。
妹とその夫、娘との二世帯住宅の生活に倦み疲れながらも、小説を諦めきれない。

そんな中、過去に凶悪犯罪を起こした少年Aが地元にいるという噂を耳にする。
そしてパソコンなどを検索して知った少年Aの姿に急速に惹かれていく。

一方、神戸生まれで、東京に住む十七歳の莢(さや)も、少年Aを崇拝し、「聖地巡礼」と称して事件現場などを訪れていた。
また少年Aに当時七歳の娘を殺された母親は、息子、夫とともに同じ場所にとどまり、一見平穏そうに見える暮らしを送っていたが、教会の人間から、Aのファンの話を聞かされる。

少年犯罪の加害者、被害者遺族、加害者を崇拝した少女、その運命の環の外にたつ女性作家……それぞれの人生が交錯したとき、彼らは何を思い、何を見つけるのか。

著者渾身の長編小説!

作家が書くことに固執するのは、「人間の中身を見たい」からなのだ。これは、小説ノンフィクションのジャンルにかかわらず、作家が持つ病理なのだ。その意味で、私もAの同志なのである──佐藤優氏・解説より

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さよなら、ニルヴァーナ のユーザーレビュー

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感情タグBEST3

    Posted by ブクログ 2023年05月16日

    窪美澄さんの作品の中で1番好き
    少年の持つ異常性癖で感情が顕になった時のシーンが今でも頭に残っている
    狂気じみて哀しい、だがその少年はとても美しい
    少年を崇拝する者がいる
    理解し難いことに魅力される者もいる
    バラバラだけど繋がっている
    こんな世界があるのだと撃ち抜かれた気分

    物語はスピーディーで終...続きを読む

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    Posted by ブクログ 2023年04月08日

    ほんとうに恐ろしいのは、叶ってしまった夢に振り回されることだ。叶ってしまった夢を現実として継続させていくことだ。
    個人の魂を国家が管理して、国家に不都合な世界観や思想を持つ者に関しては、それを徹底的に改造する。これはファシズムの思想だ。本書で描かれているのは、「正常」「人権」という名で、知らず知らず...続きを読む

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    Posted by ブクログ 2023年03月17日

    自分は作家でこそないのですが仕事柄文章を書くことが多く、この作品に出てくる「作家」の心境とリンクするところがすごく多く、共感できて安心する半面、「ああやっぱりそうなんか、そうするしかないんか」と、絶望というか心が抉られるような気持ちにもなりました。題材や話の展開も相まって余計に。でも現実でも、救われ...続きを読む

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    Posted by ブクログ 2022年11月11日

    恐らく、題材となっている事件をリアルタイムで知っているか否か、子を持つ親なのかどうかで捉え方は大きく変わるだろう。また、最後の場面についての解釈も様々で、読後に色々な感情が押し寄せてきた。内容が内容なため、人に対して気軽に薦める事はできないが、息を飲む展開の連続は純粋に面白かった。

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    Posted by ブクログ 2019年06月27日

    3年前か、単行本で読んで、感情ぐっちゃぐちゃになって、だけど本当にすばらしくて、Twitterに感想を書いたら窪さんからお返事いただいたといういろいろと思い入れのある1冊。文庫も買って読み直す。

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    Posted by ブクログ 2018年09月30日

    すごかった。窪さんの物語は中毒性があって抜けたと思うのに数年経つとまた彼女の味を求めてしまうんだよなぁ。
    それぞれの地獄を生きる覚悟の物語というのは言い得て妙だ。
    死ぬよりずっとしんどい道を選んだ彼女はこれからどう生きていくんだろう。

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    Posted by ブクログ 2023年09月17日

    ううん…すごく考えさせられた…
    視点が変わると事件の見方がこんなに変わる、
    登場人物すべてに共感できてしまって、なんだかつらくなった…

    実際に起きた少年Aの事件を題材にしているけれど、犯人像はかなり違う印象。
    この本だとAにも辛い過去があって、魔が差した、みたいに読めて
    同情してしまったし、更生し...続きを読む

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    Posted by ブクログ 2023年07月22日

    誰も幸せにならない辛い辛い話しだった。

    さよなら、ニルヴァーナというセリフは、死をイメージさせる涅槃からの別れ、生きるというメッセージだったのかな?

    と、勝手に解釈した。窪美澄作品の中でも特別異様な作品だったけど、やっぱり読み終わった後に心に残るもやみたいなものがたまらない。

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    Posted by ブクログ 2022年09月23日

    窪さんの作品で初めて読んだもの。

    衝撃でしたね〜

    フィクションと書いてますが、これ本当なのでは?と思ってしまって、息を呑みながら読みました。

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    Posted by ブクログ 2020年12月04日

    すごく読み応えがあった。けれども救いのないラストだなあ、、晴信がすごく美化されてる気がする。
    確かにこの国は、被害者が守られず加害者が守られる不思議な国だと改めて思った。

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