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あの子は、どこから戻れなくなったんだろう──
小説家志望の女と、少年犯罪の加害者・元少年Aとの運命の出会い
東京で働きながら小説家を目指していた今日子は、震災が起こった翌年に夢を諦め、母のすすめで実家に戻る。
妹とその夫、娘との二世帯住宅の生活に倦み疲れながらも、小説を諦めきれない。
そんな中、過去に凶悪犯罪を起こした少年Aが地元にいるという噂を耳にする。
そしてパソコンなどを検索して知った少年Aの姿に急速に惹かれていく。
一方、神戸生まれで、東京に住む十七歳の莢(さや)も、少年Aを崇拝し、「聖地巡礼」と称して事件現場などを訪れていた。
また少年Aに当時七歳の娘を殺された母親は、息子、夫とともに同じ場所にとどまり、一見平穏そうに見える暮らしを送っていたが、教会の人間から、Aのファンの話を聞かされる。
少年犯罪の加害者、被害者遺族、加害者を崇拝した少女、その運命の環の外にたつ女性作家……それぞれの人生が交錯したとき、彼らは何を思い、何を見つけるのか。
著者渾身の長編小説!
作家が書くことに固執するのは、「人間の中身を見たい」からなのだ。これは、小説ノンフィクションのジャンルにかかわらず、作家が持つ病理なのだ。その意味で、私もAの同志なのである──佐藤優氏・解説より
Posted by ブクログ 2023年05月16日
窪美澄さんの作品の中で1番好き
少年の持つ異常性癖で感情が顕になった時のシーンが今でも頭に残っている
狂気じみて哀しい、だがその少年はとても美しい
少年を崇拝する者がいる
理解し難いことに魅力される者もいる
バラバラだけど繋がっている
こんな世界があるのだと撃ち抜かれた気分
物語はスピーディーで終...続きを読む
Posted by ブクログ 2023年04月08日
ほんとうに恐ろしいのは、叶ってしまった夢に振り回されることだ。叶ってしまった夢を現実として継続させていくことだ。
個人の魂を国家が管理して、国家に不都合な世界観や思想を持つ者に関しては、それを徹底的に改造する。これはファシズムの思想だ。本書で描かれているのは、「正常」「人権」という名で、知らず知らず...続きを読む
Posted by ブクログ 2023年03月17日
自分は作家でこそないのですが仕事柄文章を書くことが多く、この作品に出てくる「作家」の心境とリンクするところがすごく多く、共感できて安心する半面、「ああやっぱりそうなんか、そうするしかないんか」と、絶望というか心が抉られるような気持ちにもなりました。題材や話の展開も相まって余計に。でも現実でも、救われ...続きを読む
Posted by ブクログ 2023年09月17日
ううん…すごく考えさせられた…
視点が変わると事件の見方がこんなに変わる、
登場人物すべてに共感できてしまって、なんだかつらくなった…
実際に起きた少年Aの事件を題材にしているけれど、犯人像はかなり違う印象。
この本だとAにも辛い過去があって、魔が差した、みたいに読めて
同情してしまったし、更生し...続きを読む
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