国内小説 - 講談社作品一覧

  • ラノベのなかの現代日本 ポップ/ぼっち/ノスタルジア
    値引きあり
    3.3
    気がつくと、ラノベ出身作家がメジャーシーンで活躍していたり、作品がハリウッドで映画化されたり。日本文化にもじわじわと影響をもたらしている。その巨大で寡黙なラノベ作品群だが、読者層が限られているからこそ、内容の変容をたどっていくと、日本社会の変化が確実に刻み込まれている。その変化とはどのようなものなのか。注目の批評家が読み解く。(講談社現代新書)
  • ラフ・アンド・タフ
    4.0
    ワイルド&エロティック。これぞ馳ノワール!!賞金稼ぎを夢見て無茶ばかりする二人の男。ヤクザの借金を踏み倒した風俗嬢を見つけたが、女は言う。「好きときに、好きな穴を使っていいのよ」。堅い絆で結ばれた二人は何もかも投げ捨てて女と幼い息子を逃がすことを決意する。血塗れの子守歌をききながら、明日なき暴走が始まる。魂の兄弟、そして夢のような女と健気なガキ――死にたいくらい焦がれた幸せが目の前にある!
  • ラブ・スタイルズ
    -
    1巻1,155円 (税込)
    あなたの気持ちがきちんと彼に届くように、愛されるためのルールを教えてあげる!――『彼女がカフェにいる』『ボーイフレンド』『THREE』『MARS』の4作品の主人公をモチーフに、それぞれの愛のカタチを作品の生みの親・惣領冬実がひもとく。あなたが好きになったのは、幼なじみ、年下の同級生、ライバル……? 誰だって、ある日突然思いが恋に変わる瞬間がある。思いがすれ違ったり、激しく切なかったり、そんなもどかしい思いをしているあなたに、漫画の名場面とともに適切なアドバイスをしてくれる恋の参考書。さあ、もっと自分に自信を持って、一歩前へ出よう!
  • ラブファイト 聖母少女(上)
    -
    「稔ちゃんをいじめたら、オレが許さへんからな」。幼なじみの亜紀に、幼稚園入園以前からいつも守られてきた、情け無い失意の日々。弱虫で惨めな自分と訣別するため、稔はボクシング・ジムに入門した。同じ高校に進む亜紀には内緒のはずだったが「稔君の行ってるジム、見つけたからね」と言われてしまう。(講談社文庫)
  • 乱世、夢幻の如し(上)
    3.0
    1~2巻683円 (税込)
    一代の風雲児・松永弾正の生涯! 阿波の三好長慶に目をつけ、その懐に飛び込んだ弾正。戦国乱世を生きる男たちの魅力! ――傑作『下天は夢か』で雄渾な織田信長像を見事に描き切った著者が、信長の原型をなす下剋上の雄・松永弾正の生涯に挑戦! 公方御庭者・久四郎、後の松永久秀は、混沌とした畿内の情勢を窺っていたが、阿波に勢力を張る三好長慶の懐に飛び込み、次第に寵を得ていく……。戦国乱世に生き抜く武将たちの魅力! <上下巻>
  • ランドマーク
    3.2
    大宮の地にそびえたつ地上35階建ての超高層ビル。それはフロアがねじれながら、巨大な螺旋を描くという、特異な構造をもっていた。設計士・犬飼と鉄筋工・隼人、ふたりの毎日もビルが投影したかのように不安定になり、ついにゆがんだ日常は臨界点を超える。圧巻の構想力と、並はずれた筆力で描く傑作長編。(講談社文庫)
  • 蘭を焼く
    4.0
    著者の50年に及ぶ文業のうちでも、第一の傑作短篇集――男女の関係性の善悪は、つねに社会の規範の中にあるが、ここに登場するヒロインたちは、もっとも女性的に生きることで、社会への反逆者となり、そこには満ちあふるるエロティシズムと頽廃とが生と死を越えて、抽象にまで至る愛のリアリティをもって存在する。表題作のほか「公園にて」「予兆」など、8篇を収録。
  • 理科準備室のヴィーナス
    4.0
    1巻1,155円 (税込)
    産経児童出版文化賞受賞作家の甘美な愛の物語。ひこ・田中氏絶賛。──私たちの学年の理科の先生は、洋風の印象的な顔立ちをしている。そして、結婚していないのに、子どもがいるっていうウワサ。私はその先生の真似をして髪を伸ばし始めた。そして、先生をみつめる生徒は、もうひとりいた。先生が理科準備室でくれる美味しくて可愛いお菓子と愛の時間。
  • 理系白書 この国を静かに支える人たち
    3.9
    日本の高度経済成長を支えながらも、文系優位の社会で、その存在がかすみがちな「理系」。深刻な科学離れが叫ばれるいま、その地位、報酬、研究、カルチャー、教育、結婚など、理系のすべてを初めて浮き彫りにした渾身のレポート。はたして、理系は報われているか? 第1回科学ジャーナリスト大賞受賞作品。 ◎養老孟司氏推薦! ――日本人が「なぜ?」という問いかけができなくなったのは、本当の「科学する心」が失われたからではないかと思う。この本は、そのわけを解き明かしている。
  • 離婚
    3.0
    「初めて自分の弱さを表に出すことによって自分自身を乗り越えたかった。私がこの作品を書いたのは、そうしなければ一歩も前に進めない、そう思ったから」。運命的出会い、深き愛、そして別離。2人のアメリカ兵との結婚、そして離婚を通し語られる、真実の思い。赤裸々に綴られた、衝撃の自伝的告白小説。
  • リスキー ラブ
    -
    傷ついても、つらくても愛さずにいられない。黒人とのSEXにしか興味を持てないOL、米軍将校に尽くす保母……傷つきながら愛する女たち――「愛する悦びを知ったから、どんなリスクも乗り越えられる」黒人とのSEXにしか興味を持てない日名子、毎晩クラブ通いをしながらもつらい恋に悩む女子大生・弘美、留学生との初体験以来、日本人に興味を持てない実央、米軍将校に尽くしたシングルマザーの友理子ほか、傷つくことを恐れない、12人の愛と生。
  • 李朝残影
    -
    昭和十五年の京城。日本人画家野口は、李朝時代の宮廷舞踊を舞う美しい妓生を知り、大作のモデルにしたいと懇望するが、彼女の応対は冷たい。彼女の過去に日本軍を憎悪せざるをえない或る出来事が強く刻みこまれていたのだ。元軍人を父にもつ野口の衝撃は大きかった。京城に愛惜の念深い著者の代表作。(103版より、表題作と、同じく朝鮮に材をとった「族譜」の二作品を収録。)
  • リトルボーイ・リトルガール
    5.0
    真っ白なセーラー服。ふんわりと胸元で結ぶ紺色のリボン。中原淳一の描く絵の少女が着ているような白い夏服。それが憧れの名門校・安芸女の制服だ。難関を突破し、安芸女生となったあきえは、同級生とともに、夏服を縫い始める。しかし、戦争の陰は濃くなっていく……。ひたむきに、せいいっぱい生きた少女たちの青春記。白い夏服、花物語、淡い恋心……1945年夏に散った少女たち。
  • 浅水湾の月
    3.0
    玩弄物として貧民窟から拾われた、欧亜混血美女・ロレッタ崔。彼女はいま、捨てられようとしている。リパルスベイに昇った十四夜の月が、かすかにその手の中のものを光らせた――。返還を目前にした香港を舞台に、あたかもゆるやかな死を迎えるごとく、頽廃を生きる人々の絶望的な愛・性・死を描く、魅惑の連作。
  • LIVE LOVE LIFE
    -
    1巻550円 (税込)
    悠々自適の陶芸作家、清司郎の本当の仕事は『添い寝屋』。添い寝をした相手の夢の中に入り、病気を治す仕事である。
  • リベンジ・ホテル
    3.7
    就職氷河期、大学卒業目前になっても就職が決まらない「ゆとり世代」の花森心平(しんぺい)。自信もない、根性もない、もちろん内定もない。そんな心平が入社したのは、支配人も逃げだす破綻寸前の老舗ホテル。売却を持ちかける銀行に「俺が立て直す!」と啖呵を切った新入社員に奇跡は起こせるのか。(講談社文庫)
  • 流域へ 上
    -
    1~2巻1,463~1,562円 (税込)
    共産党一党独裁が終焉を迎えつつあった1989年夏のソ連、在日朝鮮人の小説家・林春洙とルポライター・姜昌鎬は中央アジアを当局の招待で旅している。スターリン体制下の1937年、極東沿海州を追われ中央アジアに強制移住させられた「高麗人」たちを訪ねるのが目的である。2人は故国喪失者の哀切の日々を知る――日本語文学として、世界的視野での表現への挑戦が始まる。
  • 竜が最後に帰る場所
    4.0
    しんと静まった真夜中を旅する怪しい集団。降りしきる雪の中、その集団に加わったぼくは、過去と現在を取り換えることになった――(「夜行(やぎょう)の冬」)。古く湿った漁村から大都市の片隅、古代の南の島へと予想外の展開を繰り広げながら飛翔する五つの物語。日常と幻想の境界を往還し続ける鬼才による最重要短編集。 (講談社文庫)
  • 竜宮の乙姫の元結いの切りはずし
    3.0
    その新聞広告を見つけたのは、ローカル列車の車内でだった。「潜水夫募集。スキューバダイビングのできる屈強な男性求む。委細面談」ーー無職になって1ヵ月。汽車を降りた僕の仕事は、竜宮城捜しだった……。いまとは違う、本当の自分と巡り逢う旅へ。読む人の心を癒し涵養してくれる、講談社文庫創刊25周年特別書下ろし長編。失われた「何か」を求め、彼女とボクは竜宮城をさがす!
  • 流砂
    3.0
    突然の病をきっかけに、仕事一途の人生につまずいた私。不如意な休職中の旅で訪れたのは、奥能登の海沿いの小さな宿だった。結婚に破れて東京から戻り、姉の女将を手伝う志津子は、疲れた男を包む、翳のあるやさしい女。終わりある恋と知りながら、情欲の炎は静かに燃え上がる。冬に咲いたおとなの恋物語。
  • 流砂
    3.7
    1巻1,980円 (税込)
    父は何者だったのか?70代の息子と90代の父親。老いた息子は父の記した奇妙な報告書を見つけた。それは戦前、思想検事だった父親が、「思想犯の保護を巡って」自己の所信を開陳した報告書だった。息子は父の過去にあえて向き合い、己の来し方の輪郭を確かめようとしはじめる……。老いと記憶を巡る小説の冒険。自伝的長編小説。
  • 龍神丸/豹の眼
    -
    1巻1,320円 (税込)
    世界の富の半ば以上と噂される、龍神丸の秘宝。そのありかを記す、「古記録」と「謎の紙片」を巡る、奸計と正義のせめぎ合いを活写する、少年伝奇小説の画期的作品である『龍神丸』。また、大インカ帝国の王統を伝える唯一の人は、日本の少年。王宮の財宝のありかの謎をとく「王位の指環」と、「ツンガ王の碑」をめぐる、虚々実々の駆け引きを描く『豹(ジャガー)の眼』。いずれも、少年の胸を高鳴らしめた少年小説の大傑作。
  • 流星と吐き気
    3.7
    1巻1,881円 (税込)
    ☆『死んだ山田と教室』で2025年本屋大賞にノミネートされた著者が送る”嫌愛”短編集。 登場人物は皆、身勝手でクズ。でも、そこに人間の本質があるーー。 ・偶然の再会を「運命」と勘違いして、安全圏から告白をしようとするアーティスト。――流星と吐き気 ・アニメにもなった作品の主人公のモデルは自分? サイン会で作者が元カレか確かめる高校教師。――リビングデッドの呼び声 ・担当編集者に振られたにもかかわらず、才能は認められていて作品だけで繫がっている人気漫画家。――種 ・昔付き合っていた彼女から独り言のようなLINEが送られてきて、死を仄めかされた編集者。――消えない ・かつて旅行先で意気投合した男性が偶然お客さんとなり舞い上がるレンタル彼女。――プラネリウム 仄暗い気持ちが過去を呼び戻してしまう5人の物語。
  • 竜のいる島
    -
    夏休みに、父のアトリエのある八間島に遊びに来た一郎太は、島の友達のトメ・デンと釣りに行った時、海中を巨大な黒い生物の影が走るのを見た――太古の昔に生存した首長竜の謎をめぐって、海から陸へ、伝説から化石の発掘へと展開する、スリリングで臨場感あふれる、海洋大冒険小説。サンケイ児童出版文化賞大賞・国際アンデルセン賞優良作品賞、W受賞作品。
  • 竜の柩(1) 聖邪の顔編
    4.3
    1~6巻827~838円 (税込)
    龍神伝説を追うために津軽、信濃、出雲と列島縦断して調査を進める九鬼虹人(くきこうじん)たちアクト・ナインのメンバー。『古事記』『日本書紀』や風土記に残る寓話や神話を読み解く九鬼は、独自の論理的考察で、仮説を実証し真実に辿り着く。龍=ロケット、神=エイリアン。著者にしか辿り着けない圧倒的スケールの傑作。
  • 竜の柩 全6冊合本版
    4.8
    龍神伝説を追うために津軽、信濃、出雲と列島縦断して調査を進める九鬼虹人(くきこうじん)たちアクト・ナインのメンバー。『古事記』『日本書紀』や風土記に残る寓話や神話を読み解く九鬼は、独自の論理的考察で、仮説を実証し真実に辿り着く。龍=ロケット、神=エイリアン。高橋克彦の大作『竜の柩』全6冊を、ひとつにまとめてお届けします。
  • 料理沖縄物語
    3.7
    冬至の日のじゅうしぃ(雑炊)、正月に欠かせないなっと味噌、三月三日の女たちの祭りの重箱、折り目の日に食べるそうきのお汁、お墓の前の宴会・清明祭、祝いの席を彩るあんだぎい、一汁・白飯で肉親の野辺送り・・・戦前の沖縄・首里に生まれた著者が語る、記憶のなかの沖縄の味覚と、それを培った沖縄の心。
  • 旅券のない旅
    3.0
    風雲急を告げる中国大陸で、美しい亡命ロシヤ人の娘ソニヤと燃えるような恋に落ちた青年の夢は、“組織”の巨大な魔手によって無残にも打ち砕かれた。青年の手元に残ったのは黒龍江岸の崖に建つ古い碑から取った謎の碑文の拓本のみ。その秘密と失われた愛しい女性の跡を求めて、四十年後、異国へ旅立った男は意外な人物と再会したのだった。
  • 旅愁(上)
    4.0
    1~2巻1,672~1,771円 (税込)
    近代日本人の生き方を根源から問いなおす恋愛思想小説。日本伝統主義者の矢代耕一郎と、対照的にヨーロッパの合理的精神に心酔する久慈、2人が心惹かれるカソリックの宇佐美千鶴子らが織りなす鮮烈微妙な恋愛心理の綾。東洋と西洋、信仰と科学、歴史と民族の根の感情等、横光利一が苦闘した生涯の思索の全てを人物に投影させつつパリ、東京を主舞台に展開させた畢生の大作。(全2冊)
  • 旅情密集
    -
    ここを永住の地と決めている人が、はたしてどれだけいるだろうか。新しい都会生活の様式=団地。10数万人がそれぞれに群がり生きている。鉄筋の壁を隔てて恋人同志が暮していることもあれば、挨拶を交さない隣同志もあろう。職業も生活も千差万別。そして、やがてはまた離ればなれになっていく……。 この巨大なマンモス・ビルの中に住む人々の哀歓を、1話1話にまとめて大きな反響を呼んだ、沢野久雄氏の評判小説。
  • リライトノベル 坊っちゃん
    4.7
    猫カフェを営む家の長男・清田清太は私立松山学園の中学3年生。目下のみんなの関心事は2か月後に迫った体育祭の応援合戦です。3年B組は、ダンスシーンや格闘ゲームの要素を取り入れたステージをつくることになったのですが、松山学園の生徒教職員だけがログインできるSNS「松コミュ」を通じて、赤シャツ教頭の経理上の不正を知ることとなります……。
  • 凜

    4.0
    開拓期の北海道。 命が軽んじられる場所で、生き抜こうとする者たちがいた。 騙されてタコ部屋に送られ、過酷な労働を強いられる男。 貧困にあえぎ、子のため身を売る女――。 旅でこの地を訪れた現代の就活生・上原沙矢は、 彼らの人生に触れ、己の道しるべを見いだす。 時代を超え、生きる意味を問う傑作!
  • リンゴの唄、僕らの出発
    -
    戦争は終わった。しかし、出征した兄は帰ってこない。肩身の狭い疎開の日々は、なお続く。不甲斐ない父と、変節する大人たち。少年は哀しみを抱きつつも、試練を乗り越え成長していく……。教科書に収録され読み継がれてきた、知る人ぞ知る傑作。戦後のあの青空と唄声が鮮やかによみがえる。
  • 林檎の花咲くころ
    -
    出征した夫の留守中、子供を育てながら籍も入れてくれない舅姑に女中のように扱われた3年間の苦しみに耐えたが、夫は戦病死してしまう。2月半ばの吹雪の烈しい日、春枝は三歳の玉夫を背負い家を出ていった。林檎箱の上に戸板を載せ、衣類を売る苦しい生活が続く。戦争は林檎の花咲く里の春枝の幸福を破壊した。しかし戦いは終り、白い花咲く5月、幸福は再び春枝に甦ってくるのだった。……「林檎の花咲くころ」のほか、「手品師ヤッコウ」「冬の歌」「秋風」「ある貞婦の話」「浴みする女」「憎いもの」「私は鑑定人」「妻の経験」の全9編を収録。
  • 隣人
    3.6
    1巻1,463円 (税込)
    いつ部屋に呼んでくれるの? それがここのルールなんだけど――。一児の母でもある注目の女流作家が描き出す衝撃作!! 平凡な幸福に潜む、恐るべき主婦たちの真実。夫を東京に残し、息子と共に札幌に移った菊川操。3LDKの高級マンションで出遭ったのは、地域独特のコミュニティを形成する主婦たちだった。異様なご近所付き合いは家族の生活を脅かしていき、やがて、引き返すことのできない過ちへと、操を誘っていく……。
  • 隣人X
    3.0
    難民問題や異文化交流、同調圧力など現代の世相を作品に昇華した第14回小説現代長編新人賞受賞作。2023年12月1日映画公開! 現代の社会が抱える問題と巧くリンクさせ、登場人物の置かれた環境や心情を通じて難民や移住外国人の受け入れ、違法労働について投げかけてくるところに作者の並みならぬ手腕を感じた。  ――朝井まかて(選考委員) 小説の主軸は三人の女性それぞれの日常にある生きづらさの描写にあり、それが作者と地続きのテーマであるだけに、とてもよく描けている。   ――中島京子(選考委員)
  • 私刑の夏 【五木寛之ノベリスク】
    4.0
    1946年8月、北鮮の大同江近くのH市に結城はいた。終戦後、満州から引き上げる途中に足止めをくらい、たくさんの引き揚げ民とともに倉庫に押し込められていたのだ。結城は200人あまりのグループのリーダーだったが、1年近くも待たされたいまは40人に減っている。ある日、ソ連軍にも通じる伝説の日本人・星賀という男に出会い、結城は南鮮への脱出計画を練る。ソ連軍の軍用トラック11台を駆って、計画は実行に移されたが……。
  • 輪舞
    3.0
    12の愛を鮮やかな糸につなぐ手練の情愛小説――女性編集者・池田真佐子は、利己的な病身の夫にかわって一家を支えていたが、「後くされのない美しい情事をしませんか」という、兄の友人の誘いにのってしまう。そして、女の金を詐取した男は、熱愛する妻のもとに駈け戻り、妻はその金を……。詐取された現金が、形を変え次々と人手に渡る。苦い恋、欲得がらみの騙し合い、切ない純愛など、恋の場面を鮮やかに彩ってゆく情事の金の皮肉な輪転に、多彩な恋愛心理を鮮やかに描く、連作短編集。
  • 指導者の研究
    -
    新しい時代をリードする指導者の条件とは? 指導者とはいかなる人間でなければならないのか。リーダーシップとは何か。指導者への道とは? ――率先躬行とか責任感とか、リーダーに要求される資質はいろいろある。しかし、その中で何がもっとも本質的な要求かといえば、(1)組織の進むべき一般方向を示すこと、(2)組織を運営するために適時に意思決定を行なうこと、以上の2点に集約されるだろう――。新しい時代をリードする指導者像を理論と具体例で考察した力作。13のケース・スタディで具体的に考える!
  • ルイジアナ杭打ち
    -
    父親の仕事の都合でルイジアナ州バトンルージュで暮らす日々を、両親や周囲の人々、風物を、少年の目を通して書きとめた新しい形式の短編集。深南部(ディープ・サウス)に住む異邦人としての非適応感覚を、クールに、しかもユーモアも交えて捉えた意欲作。野間文芸新人賞受賞の表題作に、群像新人賞の「ジパング」を併録。
  • ルドルフともだちひとりだち
    5.0
    小さな黒ねこルドルフの成長を描く不朽の名作児童文学シリーズの第2巻。30年近くにわたって、累計100万部のロングセラーとなり、子どもたちに愛されてきました。2016年8月には、超大型フル3DCGアニメーション映画としして公開も決定。その深い人生哲学とユーモアは、大人が読んでも十分に楽しめるものです。「なつかしい!」という人も、再読してみると新しい発見があるかもしれません。
  • ルパンの星
    値引きあり
    4.0
    シリーズ累計30万部、待望の新作! Lの一族の娘・三雲華は、刑事で夫の桜庭和馬とともに娘・杏の育児に追われていた。 一方、北条美雲は失恋の痛手を負い所轄でくすぶる日々。 ある日、美雲の管内で元警察官が殺され久しぶりに和馬とタッグを組むと、捜査は意外な方向へ――。 ドラマ化でファンが急増した「ルパンの娘」シリーズ待望の第4弾〈文庫書下ろし〉
  • ルパンの娘 映画ノベライズ
    4.0
    代々泥棒の「Lの一族」の娘・三雲華は、警察一家の長男・桜庭和馬と恋に落ち、正体を隠して付き合っていた。やがて和馬は華の正体に気付いてしまうが二人は困難を乗り越えついに結婚。杏という子宝にも恵まれ泥棒一家と警察一家の家族間の問題に振り回されながらも平和に暮らしていた。そんなある日、父・尊があることをきっかけに「泥棒引退」を宣言し、華と和馬に少し遅めの新婚旅行をプレゼントする。しかし、それは史上最大のお宝をめぐる壮大な冒険となるのであった・・・・・・。 <小学上級・中学から すべての漢字にふりがなつき>
  • ルパンの娘シリーズ 3冊合本版
    4.0
    1巻2,200円 (税込)
    テレビドラマで話題沸騰!  「ルパンの娘」シリーズ3冊(『ルパンの娘』『ルパンの帰還』『ホームズの娘』)をセットにした合本
  • ルビィ
    3.9
    同じ痛みを抱いて、俺たちは、生きている。 自ら命を絶った少女・ルビィと出会った、中年作家のダザイさん。 「ねえ、ダザイさん、一緒に行こうよ」 ルビィが誘ったのは、見知らぬ誰かの命を救うための旅だった――。 作家の仕事に疲れて自殺を図ったダザイさんは、一人の少女・ルビィと出会った。三年前に命を絶った彼女は、「七人の命を救わないと天国に行けないの」。ダザイさんは、その義務(ノルマ)を果たす旅に付き合わされ、出会った人たちの心の中に自分と同じ痛みを次々に見つけて……。命の哀しさと尊さに涙する感動長編。 ひとの心の痛みをまっすぐに見つめ、 生きることへの尽きせぬ希望を描く傑作長編!
  • 瑠璃色
    -
    1巻1,265円 (税込)
    ジュエリーデザイナー・るり子が出会う数々の宝石に秘められた宿命とは。才能に溢れながらもどこか不器用な生き方しかできない一人の女性の、美への情熱、心の葛藤、そして波乱に満ちたドラマチックな恋の行方を、“新・恋愛の教祖”蝶々が描く。女性誌「with」の好評連載に大幅加筆して、ついに刊行!
  • ルンタ
    3.5
    1巻1,672円 (税込)
    人間という暮らしにうんざりしたというわたしは、それでも自殺はせずに「わたし」と呼ぶ装置をもう少し観察してみたいと望み、家を出て山へ向かうことに。ユという女性との記憶と死んだはずの友人の中西を道連れに山を目指し、吹雪の中で出会った黒い馬「ルンタ」に乗り、さらに深い雪の中を進んでいく。生と死、現在と過去を行き来する人々が、人間の意識や時間の虚構を疑わせながらもまた確かな生を感じさせる。保坂和志氏絶賛!
  • ルーズヴェルト・ゲーム
    4.4
    大手ライバル企業に攻勢をかけられ、業績不振にあえぐ青島製作所。リストラが始まり、歴史ある野球部の存続を疑問視する声が上がる。かつての名門チームも、今やエース不在で崩壊寸前。廃部にすればコストは浮くが――社長が、選手が、監督が、技術者が、それぞれの人生とプライドをかけて挑む「奇跡の大逆転(ルーズヴェルト・ゲーム)」とは。(講談社文庫)
  • ルーティーンズ
    3.0
    「長嶋さんの書く日常って素晴らしくしみじみ良いなあと思う」犬山紙子(解説より) 「コロナ以後、宙ぶらりんになったままの願いや欲望を、本書が慰めてくれた気がした」綿矢りさ 「不要不急の言葉で、僕の生活も止まった。この本を読んで、あの時期のごたついてた気持ちをひとつ整理してもらえた」藤井 隆 「伝えたい気持ちと、見つけたなにかを言葉にしていくことが、一日一日を支えてくれる」柴崎友香 夫の「俺」、妻の「私」、2歳の娘。 あの年。あの日々。思いが交錯し形をなす傑作小説。 緊急事態宣言で2歳の娘の通う保育園が休園になった。 マスクが店先から消え、プールもドラム教室も休みになり、ありとあらゆるものが静止したコロナ下でも、子どもの成長は止まらない。 作家の夫「俺」と、漫画家の妻「私」は、手分けして育児をしながら非常時の日常(ルーティーンズ)を歩きはじめる。 かけがえのない家族小説。
  • ルート350
    3.9
    僕の前に路(ルート)はある! 越境者・古川日出男、初の短編集。いっぱいの現実、いっぱいのレプリカ ――知的早熟児たちが集った夏期講習キャンプに現れた「狙撃手」。僕たちは次なるスナイプの現場を押さえるべく監視を始めた……という「メロウ」など、現実とレプリカのあわいに立ち上がる圧倒的なストーリー世界が心を捉えて離さない。あらゆるジャンルを超えて疾走する作家がつづった唯一の「ストレートな」短篇集。 ◎「これは、僕としては初めてのストレートな短編集だ。ある意味で、僕はデビュー以来、ずっと同じ小説ばかりを書いている。それが誠実なことかどうかは、判断するのは僕ではないけれど。この本はもちろん、読者に読まれるために書いた。だから、あなたたちに捧げる。」<古川日出夫>
  • レイク・クローバー(上)
    3.4
    1~2巻759円 (税込)
    水道も電気も来ていないミャンマーの僻地で米国最大手のコングロマリットが極秘に行なっていた天然ガス探査。それは企業群全体に莫大な利益をもたらし、米国そのものにとっても対中国戦略の切り札となるはずだった。発症からわずか六時間で死をもたらし、しかも致死率百パーセントの寄生虫が発生するまでは。
  • 冷酷な報酬
    -
    名神高速道路の闇の中に死んだ雨宮義人。彼の自動車は、〈梶原トンネル〉の壁面に激突しての即死だった。太陽産業の気鋭の研究者として、カラーテレビ開発の第一線に立っていた雨宮の死には、不可解な謎が感じられた。 社名をうけて、この事故死に取組んだ野田誠司が、苦心の末に探りあてた死の真相は、激甚な産業の恥部を覗きみるような策謀と非情の世界だった。研究グループごと、ごっそりと競争会社のスカウトの手がのびていたのである。拒否した雨宮を襲った非業の死。――梶山文学の独壇場ともいうべき産業スパイ小説「冷酷な報酬」他5篇を収録。
  • 冷蔵庫探偵 蔵前怜子
    3.3
    1巻2,035円 (税込)
    冷蔵庫を見れば、持ち主のすべてがわかる――。 ミステリー史上、もっともクールで生活感のある探偵、登場! 新人刑事の涼は思慮の浅い行動ばかりして上司に叱られっぱなし。「次に問題があればクビ」と言われて失意のなか、友人の小川が主催するホームパーティーへ参加する。だが、その場で突然小川が倒れてしまう。誰かが意図的にアレルゲンのそばを混入させたようだ。全く手がかりがつかめず途方に暮れる涼だったが、ケータリング業者として来ていた怜子が、冷蔵庫を見てプロファイリングし、たちまち謎を解いてしまう。 その深い洞察力に涼は感銘を受け、彼女に弟子入りを志願するのだった。 二人は仕出し先で次々と事件を解決し、やがて怜子が過去にパワハラの濡れ衣を着せられ退職した「スワンビューティーカンパニー」の闇に挑む! 第1話 ニンジンフライの正体 第2話 不屈のレモンおむすび 第3話 おからケーキの秘密 第4話 ピザ・カプリチョーザの選択 第5話 再生のラタトゥイユ
  • レガッタ! 水をつかむ
    3.9
    飯塚有里が県内有数の進学校である美園女子で、ボート部に入部する。待っていたのは、1年365日ボートにささげる生活だった……。おしゃれして友だちと映画行ったり、他校の文化祭ひやかしにいったり、誰かを好きになったり、デートしたり……思い描いていたそんな青春を全部捨ててインターハイ優勝をめざしていく。
  • 歴史対談 徳川家康
    -
    家康の性格、その戦略と戦術、天下統一の経緯、宗教観、女性操縦術など……。戦国乱世の天下を統一して、300年の泰平を築いた徳川家康について、小説「徳川家康」の著者・山岡荘八、歴史学者・桑田忠親の二氏が、文学・歴史の両面から縦横に語って、英雄の虚像と実像、戦国日本の歴史の真実に迫る、興趣の対談。
  • 歴史について 現代日本のエッセイ
    -
    強靭なる精神漲るエッセイ。情熱溢れる、鋭い思考――運命に対峙して歴史の狭間を主体的に生きる実存は、いかに可能か。ドラマの構造と、それはどう絡むのか。10代に一度は受洗したキリスト教を棄て、しかもなお「精神の極北としての神」を求める求道者・木下順二。民話劇『夕鶴』、『子午線の祀り』の作者が明かす濃密な創作世界の「原風景」。故郷での幼・少年期、漱石『三四郎』にも似た上京以後の「本郷」での生活、趣味の乗馬、歌舞伎・能への深い考察。エッセイの精粋。
  • 歴史へのいざない
    -
    歴史小説ファン必読のしみじみエッセイ集.歴史の魅力にとりつかれるまでの自己の軌跡や作品と取り組む姿勢を魅力的に語る――妖刀・村正、大坂城の贋金など、歴史の秘話を探る、歴史的《時間》への旅。姫路・白鷺城、函館・五稜郭などの、地理的《空間》への旅。樺太生まれの《わたくし》自身の伝記。豊富な資料をもとに新しく光を当てた歴史上の人物の《生き方》。……歴史のおもしろさとは何であるかを、楽しく、しみじみと綴ったエッセイ集。
  • レッスン
    -
    1巻550円 (税込)
    大学の先輩で雑誌編集長の田代のおかげで、ぼくは駆け出しのモーター・ジャーナリストとして何とか生活していた。そんなとき、田代に誘われて参加したゴルフコンペで、佐伯伽耶と運命の出会いを果たす。一目で伽耶に惹かれたぼくは、ゴルフの後の食事会でいろんな意味で彼女の「生徒」になるという約束を取り付ける。香港の富豪の未亡人だという年上の伽耶に、ぼくは溺れていった。一年が経ち、二人でフィレンツェへ旅立つことに。
  • レッスンズ
    3.3
    動物生態学を専攻している大学院生のマリエは、中学三年の少女リコの家庭教師になった。情緒不安定な母と家庭を顧みない父の狭間にあって、リコの心はいつも揺れ動いていた。高校受験を目指して始まった授業は、いつしかマリエにとっても大切な時間となる。人との出会いが奇蹟をもたらす、感動の長編小説。
  • レッドゾーン(上)
    4.1
    1~2巻803円 (税込)
    莫大な外貨準備高を元手に、中国が国家ファンド(CIC)を立ち上げた! 若き買収王・賀一華(ホーイーファ)は日本最大の自動車メーカー・アカマ自動車を標的にする。さらに鷲津政彦を誘い出す。「一緒に日本を買い叩きませんか」。日本に絶望した男はどう動くのか。産業界の中枢に狙いをつけた史上最大の買収劇が始まった。 (講談社文庫)
  • 裂

    3.7
    1巻1,672円 (税込)
    群像編集部の若手編集者羽田御名子のもとに、小説家志望の安良川王爾から持ち込まれた原稿<裂>。登場人物には御名子の名が使われ、穢されていた――。「群像」連載時から注目を集めた作品がついに単行本化。
  • 列人列景 【小田実全集】
    -
    1巻1,100円 (税込)
    1970年代の半ばに書かれた著者初の短編小説連作集。40をすぎた「タダの人」を主人公に、人間にとって切実なテーマである原風景、愛、性、志、生老病死を魅力的なタイトルのもとに描く。性的「見せもの」、いろんな人が来るデモ行進、聖と俗のガンジス河、砂漠の国の不思議、人混みの中の大仏、日本と第三世界交渉史、歴史的陰影をもつ異邦人の在日朝鮮人、人生のほとんどを旅して歩いた西行の景色……。それら人間の列と風景の列が短編のひとつひとつとなって連なっていく絵巻物。
  • レペゼン母
    3.9
    1巻1,463円 (税込)
    マイクを握れ、わが子と戦え! 山間の町で穏やかに暮らす深見明子。 女手一つで育て上げた一人息子の雄大は、二度の離婚に借金まみれ。 そんな時、偶然にも雄大がラップバトルの大会に出場することを知った明子。 「きっとこれが、人生最後のチャンスだ」 明子はマイクを握り立ち上がる――! 『晴れ、時々くらげを呼ぶ』『檸檬先生』などで最注目の新人賞から、今年も文芸界のニュースターが誕生! 第16回小説現代長編新人賞受賞作。 ーーーーーー 選考委員も激賞! こんなにスカッと面白い作品が新人賞なら、いっそ清々しいじゃないか!(中略)おかんのラップが響く今宵、この余韻! ――朝井まかて 「親との戦い」ではなく、親の側から「子との戦い」を力強く描いた、大人の小説であると感じさせられた。 ――宮内悠介
  • 檸檬先生
    3.9
    お前は独りじゃないよ、少年。 これは、「普通」じゃない僕だから出会えた、ある奇跡の物語――。 Z世代の新鋭が放つ、これが令和青春小説の新スタンダード! 小説現代長編新人賞を史上最年少で受賞! 小説紹介クリエイターのけんご小説紹介さん激賞&水野良樹さん(いきものがかり)、茂木健一郎さん(脳科学者)など各界からも絶賛された伝説のデビュー作を待望の文庫化! 小学三年生の私は、音や数字、人に色がついて見えるせいで、クラスメートたちからいじめられ、孤独な日々を送っていた。ある日、逃げ込んだ音楽室で中学三年生の少女と出会う。彼女もまた音に色がついて見える共感覚を持っていた。檸檬色に見える彼女のことを「先生」と慕い交流することで、私の人生は一変する! 第15回小説現代長編新人賞受賞作。 カバーイラスト:山口つばさ
  • レモン・ドロップス
    3.9
    大好きな友達や家族との日常を、「あたしなりの決意」をもって生きている、15歳の美希。恋の予感を遠くに見つけて、三日月形のレモンドロップをなめるたびに、10代だけの特別な時間が結晶に変わっていく――。大人になった"女の子"にこそまっすぐに届く、甘酸っぱいキラキラがたくさんちりばめられた、せつない物語。
  • 檸檬の棘
    4.0
    絶縁して10年――。 私はまだ、父に囚われ続けている。 歌手にして作家、唯一無二の才能がはなつ渾身の私小説。 こんなふうに鮮やかに世界を描写する言葉があったのかと、ページを繰るたびに衝撃を受けました。 澄み切った劇薬のような、忘れ難い物語です。――小島慶子(エッセイスト) 挨拶もなく消えた父。「特別な子供」になりたかった十四歳の栞は、父への怒りを拠り所に青春期を過ごす。十年後、父がもう長くないとの連絡が入る。あれだけ囚われ、憎しみ続けた存在が死ぬ――。空虚な現実を前に、栞の胸に去来するものは。鋭利な筆致で心を抉る、歌手にして小説家の異才が放つ魂の私小説。
  • 恋愛学校
    -
    フレッシュな娘・石村チヒロは、カメラマンにあこがれて、高名な写真家・香露女史の助手になった。そこで彼女が目撃したのは、みにくい大人たちの恋愛ゲームやセックスの姿。これがほんとの人生なの? 一度は失望したチヒロだが、祖母の指南を得て、理想の恋をみつけようと人生に体当り。青春像を軽快に描くロマン。
  • 恋愛さがし
    -
    学生時代に同棲し辛い別れを経た、阿沙子と伸行。一度は傷つけ合い別れた二人が8年後、夕方のラッシュの駅でバッタリ再会した。ビデオ作家として不安定ながら、自分の世界で生きていた伸行。別々の道を歩いていた二人の道がまた重なり合った時、その世界が揺れ始め、阿沙子はニューヨークへと飛び立とうとする。心模様を見事に描いた、長編恋愛小説。再び巡り会い、愛し合う男女の感情を描く!
  • 恋愛小説
    3.5
    23歳の美緒には、大好きな彼の健太郎がいる。かっこよくて、優しくて、結婚するんだろうな、と思っている彼が。――しかし、ついサスケと寝てしまった。健太郎と一緒にいるのが絶対に幸せだし、なにより健太郎のことを美緒は好きなのだ。それでも、サスケのことも好き――そんな身勝手な美緒とサスケの恋は、次第に様相が変わる。あるひとりの女の、身勝手で未熟で生々しくも鮮やかな、恋愛大河叙事小説。
  • 恋愛の解体と北区の滅亡
    3.6
    1巻1,672円 (税込)
    ヤバい世界はもう終わった。宇宙人占領下東京の平穏で危険な日常、僕らのぎりぎりの「今」を描く青春長篇小説。傑作短篇「ウンコに代わる次世代排泄物ファナモ」収録!
  • 恋愛パラドックス
    -
    恋愛にマニュアルなし! 論より過激な実体験40――本当に辛いのは、あなたがいないことではなく、あなたを忘れられないこと……。新しいロマンスが偶然やってくるのは、25歳まで。それを過ぎたら、偶然だって自分でつくらなくてはだめ! 愛情失調症で恋が始まらない、「たった一人の誰か」がほしい、そんなあなたに贈ります。論より証拠、ライブな恋愛実話集。
  • 恋慕奉行(上)
    -
    母の形見の印籠1つを抱いて江戸へでてきたお柳には、正体のわからない、不吉な影がつきまとっていた。大事な印籠は僅かな隙に盗まれ、折角きまった奉公口も次々とこわされ、千住の宿場女郎に身をおとす破目となった。――見えない、呪(のろ)いの糸が、お柳を縛っている。もし、町同心・水木半九郎に夜釣りの道楽がなかったら、お柳はとうに死んでいたろう。半九郎の鋭いカンは、暗闇に嘲笑う覆面の武士の正体を見破った。彼の名は、阪田権太夫。町奉行・大岡越前守に不敵な挑戦を宣し、江戸を恐怖の巷(ちまた)に落とす男。越前守の弱点――恋の過ちを衝くだけに、名判官の苦渋は深かった。<上下巻>
  • 老猿
    5.0
    定年を目前に妻子と別れ、ひとり軽井沢の陋屋(ろうおく)に移り住んだ中里太郎。寂寞に包まれた生活が揺れ動きだしたのは、向かいに暮らす変わった年寄りを「老猿」と名付けたときからだった。老猿、そして瀟洒な別荘で愛人生活を送る中国女の正体は。奇妙な隣人と共にいつしか日常を逸脱した中里は、思わぬ地へと向かう。(講談社文庫)
  • 牢獄
    3.0
    魔性の皇帝太祖の治下、無実の高官が投獄されて受けた鬼気迫る実験とは? 大官の誇りを砕く凄絶な究極の刑! ――異例の大昇進を遂げたその日に、厳徳ビン(ビン=王に民)は、やにわに逮捕され入牢の身となった。明の初め、魔性の初代皇帝治下の中国では、怖るべき政治と粛清が繰り返されていた。才学抜群の能吏・厳は、大官の誇りにかけて無実を弁明しようとするが、待ちうけていたのは洗脳という、傷ましい人間性の破壊であった……。無実の知識人が投獄されて受ける究極の刑。激しい拷問、破壊される人間性。凄絶な傑作、戦慄の悲劇、中国歴史長編。
  • 老人のための残酷童話
    3.3
    昔話の裏側にある摩訶不思議な世界。鬼に変貌していく老婆を捨てた息子と、その嫁の意外な末路とは……。「姥捨山(うばすてやま)」や、織女(おりひめ)と牽牛(けんぎゅう)の「天の川」といった、有名な昔話をベースにしながらも、独特の解釈で綴られた10の物語。大ベストセラー『大人のための残酷童話』の著者が、性欲や物欲、羞恥心といった、人間の奥底にひそむ感情を見事に描きだす。
  • 労働貴族
    3.5
    綿密な取材の積み重ねと作家の洞察が鋭く抉り出す落ちた偶像・塩路一郎氏の真実。労働者の間では「天皇」として恐れられ、「会社の発展」をめざすこと社長以上という、豪華クルーザーで美女と過ごし愛人を囲う「委員長」とは何か? 何が彼をそうさせ、誰がそれを許したのか? その疑問を解く独自の記録小説。
  • 蝋涙
    -
    蝋の雫のような真珠のアクセサリー。それを見るたびに蘇る、密やかな思い……。若き日への感傷をつづる表題作をはじめ、娘の出生に疑問を持つ父親の愛憎を描く「渚にて」や、夫婦の日常を通じて「老い」を語る「冬の月」など。人生の深奥を見つめた、珠玉の名作7編を収録。第38回女流文学賞に輝く、自伝的作品集。この7つの物語の中にきっと、あなたもいる。 誰もが経験する、生と死、愛と性、青春と老い、そして希望と悔恨。
  • ロカ
    4.0
    長らく文庫化されなかった、中島らも、最後の小説。天才が予見した自らの未来は。作家・小歩危ルカ、六十八歳。巨額の印税を得て以来、新宿のホテルで一人暮らし。相棒はWネックのギター「ロカ」。あとは酒と大麻と鮟鱇鍋。「IQが185もあると予知能力が備わる。だから私の予知したことは、ほぼ、九十六パーセント当たるんだ」。著者が急逝直前まで書いていた、問題の近未来の私小説。
  • 鹿鳴館貴婦人考
    -
    鹿鳴館の時代は、男たちにとっては、ファルスであったにすぎないが、共演した女たちにとっては、残酷なドラマであった。井上武子、伊藤梅子、大隈綾子、大山捨松、森常ら、近代日本を形成した若き獅子の夫人たちの、おびただしい汗と涙が、カドリールの曲や、バッスルのドレスのかげから浮かびあがってくる。
  • 路地
    -
    名刹が点在し、高級住宅地が広がる古都・鎌倉。 だが、そんな町にも、様々な人生が交錯する「路地」がある。古書店主、観光人力車を曳く男、図書館勤めの小市民……、市井の7人それぞれが、過去に秘めている罪や愛が、彼らの平穏な日常を波立たせる一瞬を犀利に捉え、人生の細やかな真実を温もりとともに掬いあげる短編連作。谷崎潤一郎賞受賞作。
  • 魯迅作品集
    -
    清朝末から革命期へという混乱の時代に、ペンを執って敢然と立ちあがり、新しい中国文学を切り拓いた、偉大な作家・魯迅の代表作を、その著作『吶喊』『彷徨』『朝花夕拾』から集める。人に食われることを恐れる男を主人公に封建制度と儒教道徳を徹底批判した「狂人日記」のほか、「阿Q正伝」「藤野先生」「小さな事件」「家鴨の喜劇」など13編を収録。中国近代文学の父・魯迅の代表作がいっぱい!
  • 地底獣国の殺人
    3.5
    創世記の謎を追う奇人学者と連続殺人?!――1930年代。創世記の伝説を探るため、アララト山を目指した〈ノアの方舟探検隊〉の飛行船。奇人学者や美人秘書、新聞記者ら一行を待ち受けていたのは、絶滅したはずの恐竜と謎の部族、そしてスパイに、連続殺人。冒険に満ちた古の怪異を、博覧強記の俊英が精緻な論理で解き明かす、奇想天外な傑作本格ミステリ。
  • ロズウェルなんか知らない
    4.0
    温泉もない、名所があるわけでもない、嫁のきてもない。観光客の途絶えた過疎の町、駒木野。青年クラブのメンバーたちは町を再生することで、自らの生き方にも活路を見出そうとするが。地方の現実に直面する人々の愚かしくも愛しい奮闘を描いた胸に迫る長篇。「日本の四次元地帯」として駒木野は再生するのか? (講談社文庫)
  • ロック母
    3.8
    作家としての苦悩のはじまりに"しょぼんとたたずむ"忘れ難い作品、「ゆうべの神様」。シングルマザーになる覚悟で離島の実家に帰った私を待っていたのは、恐ろしいほど変わらない風景と"壊れた"母親だった。――川端康成賞受賞作、「ロック母」など、15年にわたる作家活動をあまさずとらえた傑作作品集。
  • ロッテルダムの灯
    -
    戦地における命あるものの美しさと儚さ――作家・庄野潤三の兄で、数多くの児童文学作品を世に残した著者が、従軍した中国や東南アジアで胸に刻まれた命あるものの美しさ、尊さ、儚さを、異国情緒をまじえて綴った初めての随筆集。戦中の思い出と戦後の日本、欧州とが絡まり、作者自らが「何よりも愛着深い作品」と述懐した、エッセイストクラブ賞受賞の名作。児童文学の大家である著者が、従軍した際の経験をまとめた名随筆集にして、弟の庄野潤三をして「英ちゃんのいちばんの名作」と言わしめた作品。
  • ロミオとジュリエットと三人の魔女
    3.5
    ロミオとジュリエットとフォルスタッフとイアーゴーとヴァイオラとシャイロック……さらにはシェイクスピアまでが一堂に会して、どたばたを繰り広げる。あの世界的名作群の誕生秘話が、今明かされる!?
  • 論語知らずの論語読み
    4.5
    論語をダシに奇人変人作家仲間を独特の文章でつづる名随筆――二千数百年前の中国の古典『論語』。余りにも有名であるけれど、きちんと読んだ人は、どのくらいいるだろう。ならば、孔子にならい、我流の読み方をしてみようと、阿川弘之が、悪友・遠藤周作、三浦朱門、吉行淳之介、北杜夫らとの珍談奇行の交友録をまじえて、世相風俗万般をにがりのきいた独特のユーモアでつづった快エッセイ。論語を知らない人も、ちょっと論語を楽しめる1冊。
  • 論理と感性は相反しない
    3.6
    神田川歩美と真野秀雄は、つき合い始めた頃にときどきケンカした。真野の論理と、神田川の感性は、ぶつかり合いながらも共生の道を探っていくが……(表題作)。男と女、宇宙、音楽と文学、伊勢物語……それぞれの登場人物がオーバーラップして展開していく十四編。意欲に満ちた、著者初の書下ろし小説集。(講談社文庫)
  • ローマ午前零時 【五木寛之ノベリスク】
    -
    私たちはレオナルド・ダ・ビンチ空港からローマへ向かっていた。ニースで行われる国際テレビCMフェスティバルに作品を出品するため、滝社長とその愛人・亜紀の三人で。だが、パリで起こった五月革命でフランスは大混乱。ひとまずローマに滞在することになったのだ。私はCM部門の責任者。傾く社業の一発逆転をねらって、「ドラマチックCM」なるものを制作した。ニース入りの目処が立ち、私は社長に亜紀のことで告白を……。
  • YA! アンソロジー 友情リアル
    4.5
    友がいるからこそ、今の僕がある。講談社児童文学新人賞50周年企画 受賞作家4人が紡ぎ出す、YA世代のための4つの友情物語。■背は低い、力もない。でも野球大好き 「打順未定、ポジションは駄菓子屋前」■1年半ぶりにアイツが帰ってくる!? ■「マリモの携帯ストラップ」■ボクシングにかけた友への思い 「Boy Fight」■10年前、雄風丸のデッキにて―― 「エデンへ……。」
  • YA! アンソロジー 初恋リアル
    3.0
    好きになる気持ちを抑えきれない。講談社児童文学新人賞50周年企画。5人の受賞作家が「初恋」をテーマに描く、ピュアフル・ストーリー! ■初恋のたねが、芽を出したら――。「初恋のたねは、ころんとゆれる。」■マッチの灯りに願う、つかの間の夢 「マッチ売りの少年」■初めて書いたラブレターが行方不明に!? ■「ローリングストーン」■死んだ親友の姉さんが部屋に来て 「東京プリン」■高校生からもらった不思議な石 「恋の石」
  • YA! アンソロジー 卒業
    -
    小林深雪『卒業までの24時間』……東京に住む高校三年生の若葉は、突然彼氏の孝之から、京都の大学に行くと告げられる。勝手な決断に傷つけられ、口を聞かないまま、卒業式前日を迎えていた。このまま離ればなれに!? 残された時間は、たったの24時間! 他にも、福田隆浩『アフロとチビタと青空と/石川宏千花『牛嶋のはなうた/河合二湖『ガラスの教会、銀の竜』/如月かずさ『りんちゃん先生にさようなら』を収録。
  • YA! アンソロジー ハピネス
    -
    YA! ENTERTAINMENT10周年を記念し、「YA! アンソロジー ハピネス」と「YA! アンソロジー エール」を2冊同時刊行! 小林深雪○「覚えたての呪文」魚住直子○「生きているだけでhappiness」吉野万理子○「運命の白い糸」片川優子○「スパイラル&エスケープ」菅野雪虫○「ランチボックス」装画/牧村久実(「泣いちゃいそうだよ」シリーズ)
  • YA! アンソロジー 秘密
    3.5
    いつも廊下ですれ違う名前を知らないあの子にだって、教室で明るく振る舞うあのクラスメイトにだって、秘密はあるのかもしれない--物語が交差する、YA!アンソロジー第3弾。区立四葉中学校を舞台に、「泣いちゃいそうだよ」シリーズの小林深雪と、講談社児童文学新人賞受賞作家たちが、秘密を抱えた少年少女を描きます。誰にも知られたくないと思う一方で、誰かに理解してほしいと願ってしまう秘密の正体とは?
  • YA! アンソロジー ひとりぼっちの教室
    3.7
    「もし、今日、わたしが、死んだら、明日、泣いてくれる人間は、このクラスに何人いるんだろう? 一人もいないかもね」YA!アンソロジー第7弾。「いじめ」をテーマに、加害者、被害者、傍観者の立場だけに終わらない、リアルな学園ドラマを届けます。小林深雪『友達なんかいない』/戸森しるこ『これは加部慎太郎に送る手紙』/吉田桃子『転生☆少女』/栗沢まり『イッチダンケツ』
  • YA! アンソロジー わたしを決めつけないで
    4.0
    「お前、女子力ないな」と男子に言われてムカつきつつも、「このままじゃいけないの?」と、不安にもなる。誰にでもある「男らしさ」「女らしさ」の悩みを描く「女子力なんてない!」(小林深雪)ほか、「兄弟」をテーマにした「兄弟前夜」(落合由佳)、「国籍」をテーマにした「夜の間だけ、シッカは鏡にベールをかける」(黒川裕子)、「自分らしさ」をテーマにした「空、雲、シュークリーム、おれ」(大島恵真)の4作を収録。
  • ワインとヌーディストビーチ あるバイセクシャルの告白
    -
    1巻550円 (税込)
    大事な人のために唯一無二のワインを探す男・・・ 彼には消せない過去があった。 男でも女でもない、ひとりの人間の衝撃告白。 禁断の愛を、マジョルカ島、ワインを絡めながら描くフィクション作品。 数多くのノンフィクション作品を刊行している作家・三上義一が描く新境地。 ワインの銘柄もふんだんに登場し、数多くのマジョルカ島のカラー写真も楽しめる。
  • 若い川の流れ
    -
    川崎専務から頼まれて専務邸に大きな包みを届けた健助は、その娘・ふさ子に出会った。専務にユーモアのある見合いをさせられたことに気づいた二人は、お互いに好意をもつが前後多難――痛快明朗編。映画化、テレビドラマ化もされた。
  • 若い樹々
    -
    快活で美しい立花理々子には、父がない。中学を卒業すると、東京に出て働きながら夜間高校に学ぼうと決心する。上京した彼女はお手伝いさん勤めをするが、慣れない環境で身も心も疲れていった。そういう理々子の心の支えになるのが、洗濯屋のご用聞きをしている戦災孤児の橘悟くん。周囲の無理解と蔑視に傷つき、また悩みながら、しかし希望をもって彼等は生きる……。幸せを願い、明日をさして伸びゆく若い樹々のような若者たち。働く人たちの愛と生活を暖かく描いて定評ある壺井文学の名作長篇。大映映画化。若い世代に贈る話題の1冊。
  • 和解・小僧の神様 ほか十三編
    -
    透徹した人間観察の眼で、生命観にあふれた独自の世界を築き、格調高い近代日本文学の典型を創造した志賀直哉の初期中短編集。表題作のほか「網走まで」「城の崎にて」など13編を収録。原本に、志賀直哉を正しく理解するための数編の短篇と自筆の絵などを加えた完全版。

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