小説・文芸 - 集英社作品一覧

  • 生協のルイーダさん あるバイトの物語
    3.0
    大学生の社本勇はとにかく優柔不断。電車のルートも学食のメニューも、何てことない二者択一にいちいち悩む。そんな勇に、美人生協職員のルイーダが紹介してくれるバイトはレアで怪しいものばかり。新薬の治験、下着モデル、借金の取り立てなど。ただ、勇はどれも失敗続き。そんなバイト生活が意外な展開に。勇が最後に選ぶのは!? 笑いあり驚きありラストはスッキリのブラック“バイト”コメディ!
  • カンナさーん! 小説版
    -
    「こんないい女と別れたいだぁあ!?」離婚を言い渡されてカンナは激怒した。原因は浮気。ごめんと謝る夫を家から叩き出し、四歳になる息子の麗音と二人で生きていくことを決意する。仕事と育児の両立の難しさに加え、のしかかる家計の不安。それでもカンナはくじけない。どんな逆境も愛と勇気で乗り越えるスーパー主婦が周囲を巻き込んで繰り広げる、笑いあり涙ありのポジティブハッピー小説。
  • 凍土の狩人
    2.5
    漆原院長夫妻は、浪人中の息子の性欲処理のため、女性を誘拐する。だが、誘拐した松葉尚子を誤って殺害。スキャンダルを恐れて隠蔽をはかるが、なぜか死体が消えてしまう。一方、尚子の兄・潤一の妻が、多摩川で殺害される。刑事たちは、小さな糸口から二つの事件の繋がりを見つけ真相に迫っていくが……。性、金銭、名誉で心を満たすエリート。大都会の人間たちの激しい欲望と滑稽さを描くミステリー。
  • ファースト・エンジン
    3.6
    エンジンメーカーで超音速エンジンプロジェクトが始動。本庄たち開発チームの奮闘で、国産初のアフターバーナーエンジンは最終の燃焼試験を迎えた。だが、試験終了直前に爆発が生じ、若手技術者が死亡。本庄は左遷され、プロジェクトは中止となる。チームは爆発原因を突き止めようと独自の調査を……。数々の妨害工作を叡智で乗り越え、エンジン完成のため死力を尽くす誇り高き技術者たちの熱き闘い。
  • 世の中それほど不公平じゃない 最初で最後の人生相談
    -
    フランスで金髪美女を彼女にしたい。うつ病が辛い。結婚ってなぜするの? 競馬の極意を教えて。恋愛、家族、仕事の悩みからバクチの極意まで。10代~70代の幅広い層から寄せられた様々な相談を、海千山千の直木賞作家“次郎”と新米編集者“太朗”がズバリ解決。今の世の中では意外とチャンスは平等に与えられている。週刊プレイボーイ誌上で話題を呼んだ、浅田次郎最初で最後の人生指南書!
  • 家出青年、猫ホストになる
    -
    入社前に就職先が倒産した渚。ひとまずバイトに励んでいたが、「どうせお前が就職できるのはうちの会社ぐらいだ」と家族はバカにするだけ。ある夜、すさんだ気持ちで家出した渚は、神社で迷い猫チャーと出会う。入れ替わりを願ったところ、翌朝、渚たちは本当に入れ替わってしまう。チャー(中身は渚)を探しに来た男・上小路に拾われる渚(中身はチャー)だが…?【目次】第一話 オレが猫ホストになったワケ/番外編 チャー子猫物語/第二話 チャーの大好きな人/第三話 上小路のヒミツ/番外編 チャーのジェラシー
  • 卯ノ花さんちのおいしい食卓
    3.5
    突然の失業、おまけに住んでいたアパートが火事になって全焼。身よりもなく、途方にくれていた若葉を仮住まいさせてくれたのは、近所で「薔薇屋敷」と呼ばれている卯ノ花さん一家。気まぐれにカフェを経営している美形兄弟ふたりのほかに、人形のような美少女がいるはずなのに、彼女が見えているのは若葉だけのようで!? 謎めいた住人のそれぞれの事情とは――? ほんのり、あたたかい。不思議な家族の物語。
  • バスケの神様 揉めない部活のはじめ方
    3.2
    誰よりも一所懸命だったせいで、バスケ部内で疎まれてしまった郁は、もう部活には入らないと決め、知り合いのいない高校に進学した。けれど、中学時代の郁のプレイを知っていたバスケ部の部長が、しつこく勧誘してくる。そして、熱意に負けて、つい言ってしまった。もう一度バスケをやりたい、と。目指すは全国。一度はバスケを諦めた少年たちの、熱血青春小説!
  • お坊さんとお茶を 孤月寺茶寮はじめての客
    3.7
    日々の憂さを忘れて、まずは一服。お人好しで要領の悪い三久は、勤め先をリストラされ路頭に迷ってしまう。行き倒れた先は、猫まみれの貧乏寺・孤月寺だった。クールな美形僧侶・空円と、謎の水商売風男・覚悟の二人が営むこの寺で、三久は僧侶見習いとして居候することに。慣れない清貧生活(?)に四苦八苦していた三久だが、突然、近所で起きた強盗傷害事件で犯人扱いされてしまって…!?
  • 天使の柩
    4.1
    家にも学校にも居場所を見出せず、自分を愛せずにいる14歳の少女・茉莉。かつて最愛の人を亡くし、心に癒えない傷を抱き続けてきた画家・歩太。20歳年上の歩太と出会い、茉莉は生まれて初めて心安らぐ居場所を手にする。二人はともに「再生」への道を歩むが、幸福な時間はある事件によって大きく歪められ――。いま贈る、終わりにして始まりの物語。『天使の卵』から20年、ついに感動の最終章。
  • 糸車
    3.9
    深川の長屋で独り暮らしのお絹。三年前までは、松前藩家老の妻だったが、夫を殺され息子勇馬は行方不明。小間物の行商をして、勇馬を探し続けている。商いを通じて、同心の持田、茶酌娘などと親交を深めるうち、様々な事件に巻き込まれ、それぞれの悩みに共感し奔走するが……。船宿の不良娘と質屋のどら息子の逃避行、茶酌娘の縁談、そしてお絹に芽生えた静かな愛。下町の人情が胸に染みる時代小説。
  • 人は一瞬で変われる
    -
    白血病で余命を宣告された女子大生。骨髄移植で助かる可能性は1%と告げられた時、命綱となった姉の言葉。父を憎みぐれた男性。留置場で出会った犯罪者たちが自分の未来に見えて、決意したこと。貧乏な家庭から医師を目指した著者。父の反対を押し切って、選んだ生き方――。変われる瞬間をつかみ、人生を変えた人たち。誰にも何度もある、変われる瞬間を見逃さず、踏み出すための温かなメッセージ。
  • 小説版 スキャナー 記憶のカケラをよむ男
    4.0
    美人ピアノ教師が失踪した。手掛かりは乗り捨てられた自転車のみで、警察はまともに取り合わない。刻一刻と時が過ぎるなか、懸命に行方を捜す教え子の亜美が藁にもすがる思いで捜索を依頼したのは、不思議な能力を持つお笑い芸人だった。触れたモノに宿る思念を読み取る仙石と、とにかく弁の立つ丸山。はみ出し者二人と亜美による予測不能の事件捜査が始まる――。著者初の長編ミステリー。 野村萬斎×宮迫博之のダブル主演で映画公開の話題作!
  • かぐら文具店の不可思議な日常
    3.2
    友人たちの進路が決まっていくなか、就職先が決まらない璃子。そんなとき近所の文具店で、一風変わった青年・遥人と知り合うが、なぜか彼の周りにいる奇妙なモノが見えるようになってしまう。訳がわからないまま、行方不明の父が残した万年筆に合うインクを探してもらうことに。遙人の祖母からは嫁扱いされつつ「かぐら文具店」で働くことになった璃子だったが…?
  • 小説 スミカスミレ
    5.0
    祖母、父、母の介護に追われ、恋もせず、結婚もせず、気がつけば60歳になっていた如月澄。母が亡くなり、独りきりになった澄の前に、黎と名乗る不思議な猫が現れた。黎は「青春をやりなおしたい」という澄の望みを叶えてやると言って…!? 黎の力によって若返った澄は、すみれという名で高校に通うことになるのだが…。高梨みつば原作の、大人気コミックスのノベライズ!
  • 布・ひと・出逢い 美智子皇后のデザイナー 植田いつ子
    -
    昭和51年に拝命してから36年間、専属デザイナーとして皇太子妃美智子様(当時)の一番近くにお仕えし、精魂こめて勤めた日々の思い出。その間3度も世界的なベスト・ドレスドに選ばれた美智子様との心温まるエピソード。直木賞受賞の際、著者のデザインした衣裳を身に付けスピーチした向田邦子さんとの友情秘話。「女性をいかに美しく見せるのか」を追求し続けた孤高のデザイナーの自伝エッセイ。
  • ななつぼし洋食店の秘密
    3.0
    没落華族の令嬢・十和子に新興企業の若社長・桐谷との結婚話が持ち上がる。金が欲しい兄と箔をつけたい桐谷の利害が一致した格好だ。お見合いの席で十和子は「自分に一切干渉しないこと」と条件を出す。なぜなら十和子は下町で洋食店を営んでおり、関東大震災で行方不明になった店主・一哉が戻るまで店を守るつもりなのだ。だが、意外にも桐谷は条件をのみ…?
  • 四つ葉坂よりお届けします 郵便業務日誌
    3.0
    郵便屋が郵便局と呼ばれていたのは昔の話。四つ葉坂郵便屋の窓口で働く春日浦ハルは、厳しくも優しい先輩・六嘉のことが大好きだった。ところがある日、郵便総括局の局員が四つ葉坂郵便屋を訪れ、匿名で手紙が届かないという告発があり、六嘉を疑っているようなことを言い出して――? 「郵便屋」を舞台に巻き起こる、切なく優しい郵便ミステリー!
  • ユーレイギフト 二度目のさよなら、包みます
    4.0
    「届かない贈りもの、承ります――。店主」大学進学を機に上京した鈴歩は、幼いころ大好きだった祖母と疎遠なまま死に別れたことを後悔している。雨が降る度に思い出す、大好きだったおばあちゃんのこと。守れなかった約束…。そんなとき「亡くなった人にプレゼントを届けられる」というひらさか堂の存在を教えられて――!? もう会えない、あなたへ。すこし不思議で、あったかい最期の“贈りもの”ストーリー。
  • 少女は卒業しない
    4.1
    今日、わたしは「さよなら」をする。図書館の優しい先生と、退学してしまった幼馴染と、生徒会の先輩と、部内公認の彼氏と、自分だけが知っていた歌声と、たった一人の友達と、そして、胸に詰まったままの、この想いと――。別の高校との合併で、翌日には校舎が取り壊される地方の高校、最後の卒業式の一日を、7人の少女の視点から描く。青春のすべてを詰め込んだ、珠玉の連作短編集。
  • ホテルローヤル
    3.8
    【第149回直木賞受賞作】北国の湿原を背にするラブホテル。生活に諦念や倦怠を感じる男と女は“非日常”を求めてその扉を開く――。恋人から投稿ヌード写真の撮影に誘われた女性事務員。貧乏寺の維持のために檀家たちと肌を重ねる住職の妻。アダルト玩具会社の社員とホテル経営者の娘。ささやかな昂揚の後、彼らは安らぎと寂しさを手に、部屋を出て行く。人生の一瞬の煌めきを鮮やかに描く全7編。
  • 心

    3.6
    「人はなぜ生まれ、死んでいくのでしょうか」青年は深い悩みを抱えてわたしの前に現れた。一瞬、わたしは息をのみ、思わずあの子の名前を口走りそうになった――。親友の死に直面することで生きる意味を見失った学生と、ある哀しみを胸に秘めた先生。ふたりの濃やかな交流を通して描く、喪失と再生の物語。夏目漱石永遠の名作をモチーフに、自らを重ねて書き上げたベストセラー。
  • 号泣
    2.8
    「ねぇ、知ってる? 日本の女子高生って――。」進学校として知られる天智高校。春休みのある日、人気者だった春日井奈々が校舎から転落死する。自殺と思われたが、転落前、彼女の背後に人影を見たという証言もあり……。奈々が所属していた部活は、部員の名前に偶然、春・夏・秋・冬の文字があることから「四季の会」と呼ばれ、憧れる生徒も多い。だが、奈々の死後、部員たちに異変が起きて…。危うく儚い青春ミステリー。
  • 麦の道
    3.8
    津田尚介は、県立高校の受験に失敗し、創立2年目の“落ちこぼれ救済”の市立高校に滑り込む。最初は「まあいいやどうだって……」とすべてに醒めていた尚介だったが、親友ができ、打ち込めるスポーツをみつけ、気になる女学生が現れ、しかも喧嘩相手には事欠かず――と、その高校生活は徐々に熱くなって行く。喧嘩と柔道に明け暮れた高校時代を、パワフル&爽やかに描く、自伝的熱血青春小説。
  • 君に訣別の時を
    5.0
    中古車販売業を営む元レーサーの立花新太郎。自分のもとから姿を消した悠子からの救いを求める手紙を受け取った。東北、三陸海岸の田舎町に飛び、画家の野口が妻と営むスナックを訪ねるが、野口夫婦は面倒事を抱えていた。立花は何者かに襲われたり、地元の人々に無視されながらも、自分でもわからない何かを確かめるかのように躰を張り、無茶を続けるのだった。疾駆する男の姿が眩しい力作長編。
  • ハナシがちがう! 笑酔亭梅寿謎解噺
    4.0
    1~5巻550~715円 (税込)
    上方落語の大看板・笑酔亭梅寿のもとに無理やり弟子入りさせられた、金髪トサカ頭の不良少年・竜二。大酒呑みの師匠にどつかれ、けなされて、逃げ出すことばかりを考えていたが、古典落語の魅力にとりつかれてしまったのが運のツキ。ひたすらガマンの噺家修業の日々に、なぜか続発する怪事件! 個性豊かな芸人たちの楽屋裏をまじえて描く笑いと涙の本格落語ミステリ。
  • 雨は心だけ濡らす
    3.0
    デザイン事務所に勤めるインテリア・デザイナー、美有のもとに、思いがけない大きな仕事が舞い込む。イタリア製のスポーツカーに乗って現れたのは、憧れの建築家、野木路子。インテリジェント・ビルのインテリアをすべてまかせるという依頼だった。仕事を始めるとなぜか作業の妨害が出始める。野木の工事の依頼主の後ろには、何か隠されているのでは、と美有は感じる。
  • 彼が狼だった日
    3.0
    俺は20歳のバーテンダー。夢はクルーザーを駆って海原を疾ること。バイトはヤバイ品物の運送だ。手伝わせていた哲夫が殺られた。黙ったままで。告げ口。そう思われたくないだけで死んでいった男がいる。ふたり殺して俺は外国に逃げた。それから4年。俺は戻ってきた。傭兵。地獄の訓練を受け、砂漠でもジャングルでも闘ってきた。北方謙三が謳う成長と再会と復讐の詩。長篇ハードボイルド。
  • 林蔵の貎(上)
    3.5
    激動の予兆をはらむ江戸・文化年間、越前の船頭・伝兵衛は謎の武士・野比秀麿を乗せ蝦夷地へと櫓を漕ぐ。そこに待っていたのは測量家の間宮林蔵。彼らの行ったロシア艦との秘密交渉は、徳川幕府とそれに対抗する朝廷・水戸・島津の連合勢力との抗争の口火となった――壮大な北の海にひろがる男たちの野望。
  • 群青 神尾シリーズ1
    4.0
    1~6巻550~660円 (税込)
    一等航海士・神尾修二は、友人の戸山が殺されたことを航海中に知る。神尾の婚約者を自称する教子をめぐるトラブルが原因という。婚約をした覚えのない彼にとっては、不可解な事件だった。職を辞し、横浜に上陸した神尾に、さまざまな男女が接触してくる。そして不可解な暴力が彼を襲う――男の怒り、哀しみを鮮烈に描くシリーズ第一作。
  • 愚者の街
    -
    「社長が殺されたってのは、俺が殺されたってことでもある」村岡は雇い主の高成を殺した男を追う。数億の金をめぐって、ナイフが、匕首が、銃弾が飛びかう。武器は己の肉体。――敵と味方が交錯し、過去のある男と女が愚者の街を走る。老いぼれ犬・高樹がつぶやいた。「けものは勝手に走って死んでゆく」。
  • 危険な夏 挑戦シリーズ1
    4.5
    「金に尻尾を振って集まってくる連中じゃ、勤まりそうもない仕事なんだよ」バイト学生の水野竜一に深江は言った。自室の壁にペルーの地図を貼り、いつかその地にはばたきたいと夢みている竜一は、そのひとことで心を決めた。20億円もの金に目もくれない男たちが、自らの肉体と知恵を武器に巨大企業を追いつめていく。竜一21歳、暑くて危険な夏が始まった。
  • 明日は維新だ
    3.5
    ペリー来航、安政の大獄、桜田門外の変、そして大政奉還。激動の幕末、刻々と変化していく時代に翻弄されながらも、自分の信じる道を貫いた男たち。坂本龍馬、西郷吉之助、高杉晋作、岩倉具視、近藤勇、新門辰五郎、大鳥圭介……。身分も立場も理想も違うが、それぞれが懸命に、自らに課した使命を全うしようと時代を駆け抜ける。鮮烈な志士たちを描く連作短編集。
  • 大奥追放 異聞吉宗と絵島
    -
    正徳四年、奥年寄・絵島と役者・生島新五郎の密通が発覚。だがその裏には、権力抗争に明け暮れる徳川幕府というオトコ社会の思惑が潜んでいた。信濃・高遠に幽閉された絵島は、七代将軍家継から八代将軍吉宗へと移り変わる時代のなか、大奥の歴史に思いを馳せる。そこには、オトコ社会に戦いを挑んだ、たくましき女性たちの足跡が、刻まれているのだった。
  • 記憶の海 おいしいコーヒーのいれ方 Second Season VII
    3.7
    いちばん逃げたくないと思っているのは、勝利自身のはずだ。誰よりも勝利こそが、今の自分を不甲斐なく思っているに違いないんだから……。勝利がオーストラリアに旅立ち、残された傷心のかれんを支える弟の丈。勝利の辛さもかれんの寂しさも、そばでずっと見てきた丈には、わかりすぎるほどわかる。そんなもどかしい日々の中、由里子の思いがけない提案によって、新しい光が差し込み始める。
  • 興亡と夢 1
    -
    1~5巻550~660円 (税込)
    この作品は、日本人の運命と日本の針路を決定づけた「二・二六事件」から十数年間の歴史をつづったもので、執筆に五年の歳月を費した。日本の動きだけでなく、世界史のなかの日本という視点に立って書いた。いいかえれば、ヒットラーやルーズベルトが何を考えたかによって、わたしたち日本人の運命も変わってきた。戦争を知らぬ世代にも経験してきた世代にも読んでいただきたいと思う。 三好徹
  • 青雲を行く(上)
    5.0
    文久2年、薩摩藩士・中村半次郎――のちの桐野利秋は、西郷隆盛の人格に魅せられ上洛する。「邪魔立てする者は斬る!」烈々たるその決意で人斬り半次郎の異名を馳せた。慶応3年、幕府崩壊。しかし、徳川方の権力は健在で、市中に睨みをきかせている。半次郎は西郷らとともに、真の王政復古を求めるならば実力をもって彼らを追い払うべきだと説く。維新回天にかけた男の青雲の客気を描く長編。
  • テロリスト伝説
    -
    アラビア語、ヘブライ語に堪能な外交官が行先を隠して海外へ出た。謎を感じて追うルポ・ライターにいつしか死の匂いが……。(赤い星の伝説) リビアのカダフィ大佐会見記を目論むフリー・ライターが、ホテルにひそむ赤軍派テロリストと見られる男に日本語で話しかけたことから、アッラー神の怒りが……。(暗殺者の伝説) 激動する政治の背後で策動する男たちを描く迫真の国際ゲリラ・サスペンス。
  • 汚れた天使
    -
    1~6巻550円 (税込)
    <私>は大新聞社の横浜支局詰め記者。三十半ばを過ぎて独身。仕事はできるがちょっとニヒルな一匹狼。事件の取材で出会った女たちには、さまざまな<天使>の素顔がある……。表題作ほか6編収録。
  • 牙

    5.0
    ふとしたことで事件に巻き込まれた石本一幸、19歳。謎の女が残したシガレットケース。その中には巨悪の証拠を示すフィルムが! そして祖父が襲われ、死んだ。いまわのきわに残した「牙をなくしちゃなんねえ。いざという時にゃ、牙をむけるのが、男ってもんだ」の言葉を胸に、迫りくる組織の魔手、陰にひそむ大物に、一幸の復讐が始まる。
  • 渇きの街
    4.0
    道ってやつは踏みはずすためにある。踏みはずしたところに、また道がある――川本高志、25歳。横浜の高級クラブ「オリエンタル」のボーイ。気位、男の誇りをバネに、自分しか歩みようのない道を身体ごとぶつけて切り拓いていく。アウトロウの原点を濃密な文体で描く迫真のクライム・ノベル。日本推理作家協会賞受賞作。
  • あれは幻の旗だったのか
    4.5
    「もう檻の中の運動会はやめだ」――全共闘高揚期、茶番劇に飽きた四人の男たちが本物の銃と弾丸を用意して立ち上がった。活動家たちに、いささかヒステリックなジャーナリズムに、そして運動会そのものに“一杯食わせて”やるために……。遊びでもなく、気晴らしでもなく、本物の戦いに命をかけた男たちの鮮烈な思いを描く衝撃のネオ・ハードボイルド。
  • 檻

    4.0
    やくざな世界から足を洗って、今は小さなスーパーを経営している滝野和也。そのスーパーの買収工作をめぐるいざこざから、滝野の野生の血が再び噴き出す。結局は“檻”の中にとどまれず、修羅場に戻ってゆく男の滅びの美学を、鮮烈な叙情で謳いあげた北方ハードボイルドの最高傑作!
  • 第二誕生日
    4.0
    純文学からエンターテインメントに転じ、ハードボイルド小説の旗手となった北方謙三。そして今、初のオリジナル・エッセイが生まれた。小説デビューを第一の誕生日とすれば、それは第二の誕生日なのだ。男の生きざま、旅、おしゃれなど、北方流独特の美学を追及した後味さわやかなエッセイを満載!
  • 弔鐘はるかなり
    3.3
    高崎隆之介が横浜(ハマ)に戻ってきた。4年前の不可解な事件で刑事の職を追われた梶礼二郎。その事件の鍵を握るのが高崎だ。高崎を追う梶……。警察と覚醒剤をめぐっての暴力団同士の抗争が複雑に絡みあう。限りない硝煙と血の匂いの中、梶の復讐が始まった。ハードボイルド小説の担い手、北方謙三のデビュー作。
  • 逃がれの街
    4.5
    愛する女・牧子のために暴力団員2人を殺した。生々しい感触が今も幸二の掌に残っている。自分の行為に対して言い訳などなかった。終わってしまったことからは何もはじまらない……。警察と暴力団の双方が追ってくる。逃げるだけだ。公園で知り合った幼いヒロシを唯一の友に、幸二は今、“逃がれの街”を求めて雪の軽井沢へ……。
  • 花は六十
    -
    「いったいおばあさんは何が楽しくていきているのかしら」と話していた私がなんと還暦を迎えた。隣に住む同い年の静さんは、ひょんなことから、大学生の男の子からデートに誘われる。のろけ話を聞かされる私の心中は穏やかではない。はしたないと思いながら、妬んでいる自分がいるのだ。そんなとき、私にもお見合い話が持ち上がる。女は60歳からが花。いまや、60歳は恋愛適齢期。
  • 凪の光景(上)
    3.5
    1~2巻550円 (税込)
    何の享楽も知らず、己の信念のために戦うことを生き甲斐とする元小学校校長・大庭丈太郎。謹厳実直な夫に仕えて40年。糟糠の妻・信子。庭続きには息子一家が住み、老夫婦は傍目には「幸福」そのものに写るのだが……。ある日、信子は戦中戦後の苦闘の中に埋もれた青春の日々を何とか取り戻すのだと突然、丈太郎に「シルバー革命」を宣言し、次々と企てを起こし始めた…。
  • 不敵雑記 たしなみなし
    4.0
    凄惨な事件を嘆き、世間の腐敗を糾弾し、教育のでたらめぶりに憤怒の炎を燃やすアイコ先生の大音声。「せめて若者よ、まじめにやれぇ!」閉塞感と無力感に満ちた病めるニッポンに贈る、不敵な老後を生き抜くための知恵とユーモアに満ちたエッセイの数々。
  • 死ぬための生き方
    3.5
    「思う通りに運ばれる人生なんて、退屈以外の何ものでもない。負けるもまたよし――」波瀾の多い人生を、我慢を、薬代りに忙しく生きてきたアイコ先生が、文句だらけの世の中を見渡して知る生き方、老い方、死に方。子供を叱らない親にメマイを覚え、弱い男を怒りつつ笑い、若い女の非常識に唸る。愛すべき奇天烈な友人たちのとっておきの話etc.一読、元気の出るエッセイ集。
  • 幸福の絵
    3.0
    それは他人の目からは、幸せに満ち溢れた家族に見えるのだろうか。美しい額に縁取られた一枚の絵のように。男と私と娘たちとが談笑する世界。しかし、男には妻がいる。そして娘には育ての親が別にいる。幸福という名のベールをはぎとれば、そこには残酷なまでの現実がある。私は目を閉じたまま、この絵の一部になるべきなのか、それとも。人気女流作家・藤山立子の生き様を描く女流文学賞受賞の傑作。
  • こたつの人 自讃ユーモア短篇集1
    3.0
    1~2巻550円 (税込)
    芦田家は、一郎・百合子の夫婦と、娘の里子、一郎の妹光枝と祖母の春、5人暮らしである。春は皆から呆けていると疎んじられてはいるが、どっこいある秘密を握っているのだ――表題作「こたつの人」他、じわーっと滲む笑いと悲哀、著者自信の短篇集。
  • 楊令伝 一 玄旗の章
    4.2
    梁山泊陥落から三年。「替天行道」の旗を胸に秘めた同志たちは全土に散って、再起の秋を待っていた。史進、呼延灼、張清は叛徒として局地戦を続け、李俊は太湖の周りに船団を組織して威をはっていた。燕青率いる闇塩の道、戴宗率いる通信の網はいまだ健在。加えて、呉用は梁山泊の底から、軍資金となる銀塊をひきあげさせた。いっぽう、官の闇の組織、青蓮寺の梁山泊の残党狩りは熾烈を極めた。しかし、ついに、元梁山泊勢の希望の星、青面獣・楊志の遺児、楊令が、帰還した。
  • 家鳴り
    3.9
    妻が際限なく太っていく─。失業中の健志を尻目に、趣味で始めた手芸が世間の注目を集め、人気アーティストとなった治美。夫婦の関係が微妙に変化するなか、ストレスとプレッシャーで弱った妻のために健志が作り始めた料理は、次第に手が込み、その量を増やして…(「家鳴り」)。些細な出来事をきっかけに、突如として膨れ上がる暴力と恐怖を描いたホラー短篇集。表題作を含む7篇を収録。
  • 空白の五マイル チベット、世界最大のツアンポー峡谷に挑む
    4.2
    チベットの奥地、ツアンポー川流域に「空白の五マイル」と呼ばれる秘境があった。そこに眠るのは、これまで数々の冒険家たちのチャレンジを跳ね返し続けてきた伝説の谷、ツアンポー峡谷。人跡未踏といわれる峡谷の初踏査へと旅立った著者が、命の危険も顧みずに挑んだ単独行の果てに目にした光景とは─。開高健ノンフィクション賞をはじめ、多くの賞を受賞した、若き冒険作家の野心作。
  • 浪速の女ハスラー 玉撞き屋の千代さん
    -
    南大阪でもっとも古い、小さな玉撞き屋「保名倶楽部」。マダムの千代さんは今なお現役のハスラーだ。一球一球に生活を賭けて、度重なる災難にもくじけず、姑を大往生させ、夫の気ままな人生を許し、四人の子供を育ててきた。次々に起こる事件、家族戦争。「人生、ドラマチックなほど面白い」という千代さんのパワフルな生き方。戦前、戦後の世相をまじえながら描く、抱腹絶倒、感涙必至の物語。
  • ギャップ GAP
    3.0
    一つの身体に五つの人格が共存する小塚原。サイコセラピストと私立探偵を兼業する彼のもとに、大物議員・木佐森公一郎の娘から「本当のパパを捜して」という依頼が入る。調査に乗り出した矢先、次々と違う人格が現れて大混乱に陥った小塚原は、木佐森からも警察からも追われる身に。果敢に真相を追う探偵を待ち受ける、衝撃の結末とは――。新時代の本格サイコミステリー、ここに誕生!
  • 商人
    4.5
    江戸中期、日本橋瀬戸物町の鰹節商、伊勢屋にんべんの次男に生まれた伊之助。父亡き後、兄を支えて家業に精進するが、度重なる不運が伊勢屋を襲う。心身を病んでしまった兄の跡を継ぎ、三代目となった伊之助は「商人は何のために商売をするのか」という父の問いを胸に、大店の意地を捨てて苦難を乗り越え、商いの真髄を極めていく。江戸商人の心意気を描く傑作。第三回舟橋聖一文学賞受賞作。
  • よるねこ
    3.3
    深夜の寄宿舎を徘徊し、出会った者の魂を奪うという巨大な青い猫の噂。どこにでもある「学校の怪談」のはずだったが、母は女学生時代にその猫を見たことがあるのだという…。平穏な日常に潜み、ふいにその姿をのぞかせる恐怖。その本質を描く、著者初のホラー短編集。一度読んだら一生夢に出てくる、そんな物語が詰まっています。本当の怖さを知りたい人だけ、読んでください。
  • 赤目のジャック
    3.4
    十四世紀半ばの北フランス。百年戦争の果てない戦乱に蹂躙され、疲弊しきった農村に一人の男が現れた。人心を惑わす赤い目を持ったその男・ジャックに煽動された農民たちは理性を失い、領主の城館を襲撃、略奪と殺戮の饗宴に酔いしれる。燎原の火のように広がった叛乱はやがて背徳と残虐の極みに達し…。中世最大の農民暴動「ジャックリーの乱」を独自の視点で濃密に描く、西洋歴史小説の傑作。
  • 結婚は人生の墓場か?
    3.7
    小早川正人。大手出版社に勤務し、年収は1000万円以上。二人の娘は有名お嬢様学校に通い、可憐な妻はステキな我が家でレースを編む。一見幸せな結婚生活だが、実態は多額のローンに追われ、仕事に追われ、散歩すらままならず――。みんなに祝福されてゴールインしたはずなのに、どこで間違ってしまったのだろう? シニカルで斬新な結婚論が炸裂する、強烈な夫婦小説。
  • 九つの、物語
    4.0
    大学生のゆきなの前に、長く会っていなかった兄がいきなり現れた。女性と料理と本を愛し、奔放に振舞う兄に惑わされつつ、ゆきなは日常として受け入れていく。いつまでもいつまでも幸せな日々が続くと思えたが…。ゆきなはやがて、兄が長く不在だった理由を思い出す。人生は痛みと喪失に満ちていた。生きるとは、なんと愚かで、なんと尊いのか。そのことを丁寧に描いた、やさしく強い物語。
  • 祝日に殺人の列車が走る(十津川警部シリーズ)
    2.0
    十津川警部に、ラジオ深夜放送のリクエスト葉書を使って、殺人を予告する卑劣な挑戦状が届く。やがて黄金週間(ゴールデンウイーク)最終日、特急「有明」の車内で殺人が起こる。被害者は、不動産業などで莫大な資産をもつ小堀忠男。彼には、二人の息子と五人の愛人がおり、それぞれに遺産を分配する遺言状があった。骨肉の遺産争いかと思われた矢先、第二の殺人が……。時刻表トリックに挑む興奮の長編トラベルミステリー。
  • 殺人列車への招待(十津川警部シリーズ)
    4.0
    十津川警部に「殺人ゲームがしたい」と謎の電話がはいる。やがて、11月7日東京駅発の寝台特急『さくら』の車内で「ア」で始まる名前の女を殺すと、挑戦状が届く。悪戯か、本気か。当日は用心のため、「ア」で始まる女性二人を探し出し、ガードをつけた。だが、車内で別の女性が殺される。さらに、第二の挑戦状が……。窮地に追い込まれた捜査陣に大逆転はあるか!? 傑作鉄道トラベル・ミステリー。
  • 河津・天城連続殺人事件(十津川警部シリーズ)
    -
    新年早々、伊豆・河津七滝の宿に後藤ゆみという女が宿泊した。その二ヶ月前、同姓同名の女が七滝の一つ蛇滝で転落死していた。そして、二人目のゆみが宿泊した日、今度は釜滝で男の射殺死体が発見される。静岡県警が身元を警視庁に問い合わせると、急遽十津川警部と亀井刑事が出張してきた。殺されたのは連続殺人事件の容疑者の一人という。十津川らの手で驚愕の真相が明らかにされる。他三編を収録。
  • パリ・東京殺人ルート(十津川警部シリーズ)
    3.3
    パリ観光に訪れた男が突然失踪、サン・マルタン運河に死体となって浮かんだ。急遽フランスに渡った十津川警部は、留学生水原とパリ警視庁小メグレ刑事の協力を得て捜査を開始する。モンマルトルの似顔絵描きから、事件に関わる謎のブロンド美女の情報を入手するが、独自に調査を進めた水原は得体の知れぬ相手から脅迫を受ける。事件の裏に隠された恐るべき陰謀とは!?
  • 吸血鬼よ故郷を見よ(吸血鬼はお年ごろシリーズ)
    4.0
    神代エリカは、「正統な」吸血鬼の父を持つ女子大生。友人たちと行った年末の混み合うデパートで、突然起こった火事騒ぎに巻き込まれてしまう。どうやら、視線を向けるだけで火をつけられるという恐るべき超能力を持った女性のしわざらしいののだが…!? 花の女子大生になったエリカたちが、怒れるおばさまパワーに挑む!? 全三編を収録した大人気シリーズ。
  • 死者に捧げる殺人
    2.5
    満員の後楽園球場。巨人の劇的サヨナラ・ホームランで興奮の坩堝の中で、1人の老人が絞殺されていた! 12日後、マニラで日本人が絞殺され、続いて……無関係に見えた殺人事件が、1本の線で結ばれていたとしたら──。十津川警部の推理が見事に立証されてゆく、傑作ミステリー集。
  • 日本ダービー殺人事件
    3.0
    競馬専門誌「週刊ホース」の新人記者芦沢は、先輩・松本の強烈な個性に興味を持っていた。日本ダービーを間近に控えた五月、十二連勝を飾る本命馬タマキホープのオーナーとジョッキーのもとに、「出走を取り消せ」という脅迫状が舞い込んだ。十津川警部はその文面に無気味さを感じる。厳重な警戒にもかかわらず、続々と起る怪事件。競馬界内部の不正と仕組まれた罠にいどむ十津川警部の名推理。長編小説。
  • イヴが死んだ夜
    -
    氷雨の浅草寺境内で、若い女性の全裸死体が発見された。太ももには、上品な顔立ちとは不釣り合いな“バラの刺青”が彫られていた。「被害者は岐阜市内の旧家の長女では…」という連絡で、現地へとんだ十津川警部は首尾木家の当主・大造に死体の確認を要請するが、拒否された。家出した良家の娘がなぜイヴと呼ばれ、殺されることになったのか? 空白の3年間の謎を追う、迫真の長篇サスペンス。
  • 震災キャラバン
    3.4
    2011年3月11日、東日本大震災が発生! かつて阪神・淡路大震災で被災して、再建を果たした神戸の中華料理店。そのアルバイト店員・清美は気仙沼近くの出身で、実家とまったく連絡がとれない。店主の長男・勇太は、トランペットのオーディションを諦め、彼女を実家に送るため、支援物資を載せたバンを走らせる。なんとか彼女の故郷にたどり着くが…。復興の思いを込めて綴る長編ロードノベル。
  • 恋愛嫌い
    3.7
    女の世界は恋の話題で溢れている。でも、なじめない人間だっている。恋愛願望がなく、感情に溺れられない29歳の喜世美。猫と同居し、ブログでだけ自分を解放できる26歳の翔子。勤続12年、次長の肩書きもあるベテランだが、「前向き」が嫌いな35歳の鈴枝。男とつきあったことがないわけじゃないけれど、恋愛は苦手――。そんな女性たちの本音をリアルに軽やかに描き、明日へのエールをおくる小説集。
  • 七人の敵がいる
    3.9
    育児と仕事を何とか両立してきた、ワーキングマザーの陽子。息子の小学校入学で少しはラクになるかと思いきや、PTA・学童父母会・地域子供会などに悲鳴を上げる、想像以上に大変な日々が幕を開けた……。●入学早々、初の保護者会はPTA役員決めの修羅場に。空気を読めない陽子は、早速、敵を作ってしまう。「女は女の敵である」●仕事と子育ての両立に不可欠な、義母のサポート。“孫のためなら”の影に押しやられた本音は不満だらけ!?「義母義家族は敵である」など、笑いあり、涙あり、前代未聞の痛快ノンストップ・エンターテインメント!
  • ひと呼んでミツコ
    4.1
    彼女はミツコ。私立薔薇十字女子大英文科在籍中。名高い香水と同じ名前を持つ女――。その盲腸の手術痕がうずく時、不埒なやつらに公衆道徳の鉄槌が下る。強力倫理観と超人的能力をあわせ持つスーパー学生ミツコは今日も行く。荒廃する現代社会を憂うすべての市民、まっとうゆえに切歯扼腕している老若男女必読。文学のジャンルを超越した傑作小説。21世紀はミツコの時代だ。
  • なげださない
    4.0
    チェルノブイリ原発事故で消えた村。いつかみんなが戻ってくる日を信じて、教会を再建するおじいさん。がんのため、痛みと闘いながら歌い続けたジャズ・シンガー。阪神大震災で隣に寝ていた母を亡くし、自分を責めて生きてきた女の子。過酷な状況、深刻な病気でも、ひとつのいのちを丁寧に生きる人々。大切なかけがえのないものを、なげださない姿を、あたたかく見つめる医師の希望と感動のエッセイ。
  • 上海特急殺人事件
    2.5
    東京で女子大生連続射殺事件が発生、手際からプロの殺し屋の犯行と思われた。現場近くで目撃された車の持ち主の芸能プロダクション社長が、海外で不審死を遂げ、“一九三一”というメモを残す。一方、上海で日本人ジャズ歌手の扼殺体が発見される。十津川警部は、中国警察の協力要請を受け上海へ。やがて、双方の事件の類似点を掴むが……。複雑に絡んだ謎を追って、大陸を疾走する決死の捜査行!
  • 十津川警部「ダブル誘拐」(十津川警部シリーズ)
    3.2
    三月三日、東京で七歳の少女鏑木美加が誘拐された。身代金一億五百万円を支払って解放されたが、犯人は逃走。捜査に行き詰まる十津川警部のもとへ、同じ日小樽でも美加という七歳の少女が誘拐されていたと報告が入る。身代金額まで同じという。やがて、第三、第四の誘拐事件が……。少女連続誘拐犯の真の狙いは何か! 奇怪な事件の謎を追って小樽、東京、京都へと飛ぶ十津川警部の推理行。
  • 三月の招待状
    3.6
    8歳年下の彼氏と暮らす充留は、ある日、大学時代からの友人夫婦の「離婚式」に招かれる。昔の仲間が集まるそのパーティで、充留は好きだった男と再会するが、彼は人妻になった麻美とつきあいはじめ…。出会って15年、10代から30代へと年齢を重ねた仲間たち。友情、憧れ、叶わなかった想い――再会をきっかけによみがえるあの頃の記憶と、現在の狭間で揺れる姿を描く、大人の青春小説。
  • パパはマイナス50点
    -
    1996年ロンドンで、映画監督の夫・大島渚が脳出血を起こす。妻として、すぐに駆けつけたい思いは、マスコミ対策のため阻まれた。何もできないことを悔やみ、自らを責め、うつ状態に。それでも、どん底から這い上がり、女優を休業して、介護に専念。やがて、夫は『御法度』を完成させるまで奇跡的に回復したが…。十数年に及ぶ、闘病、介護の現実を赤裸々に綴る。寄り添い生きる姿が共感を呼ぶエッセイ集。
  • 龍の哭く街
    3.3
    暴力と金が全てを支配する街、歌舞伎町。氷室の勤めるバー『ハイランド』でも中国人マフィアの抗争話が絶えない。そんなある日、彼の元を一人の男が訪ねてくる。「入国管理局の第二庁舎に勤務されていましたね?」――にわかに慌しくなる周囲。元同僚の死、恋人の襲撃未遂、自宅の火事。氷室の身に一体何が迫っているのか。捨てたはずの過去が明らかになるとき、組織との孤独な戦いが始まる。
  • 迷宮
    3.5
    24歳のOLが、アパートで殺された。猟奇的犯行に世間は震えあがる。この殺人をめぐる犯罪記録、週刊誌報道、手記、供述調書……ひとりの記憶喪失の男が「治療」としてこれら様々な文書を読まされて行く。果たして彼は記憶を取り戻せるのだろうか。そして事件の真相は? 視点の違う“言葉の迷路”によって、謎は深まり闇が濃くなり──名人級の技巧を駆使して大命題に挑む、スリリングな異色ミステリー。
  • 南極。1/2
    -
    1~2巻550円 (税込)
    丸い肉塊に黒い縦筋が十数本。その不気味な肉質が蛇腹のように縮んで、にゅう、と眉毛が八の字になった──人気最低の四流小説家、南極夏彦(通称・簾禿げ)と編集者たちが繰り広げるナンセンスギャグの極致が、ついに電子化。秋本治とのコラボレーションなど、豪華連作の前半4編を収録。悶絶必至、京極先生のギャグ小説が読めるのは集英社だけ!
  • ベビーベッドはずる休み(南条姉妹シリーズ)
    5.0
    南条家の双子姉妹。顔はそっくりだが性格は正反対。のんびり屋の姉・麗子は結婚して一児の母となったが、妹・美知は相変わらず“暗黒通り”の女ボス。赤ん坊のサッちゃんを囲んで順風満帆の南条ファミリーを狙う不審な影、影、影。ある日、邸の地下室から若い女の死体が発見され、サッちゃんが消えた…。一家を襲う怪事件に立ち向かう双子コンビの冒険がはじまった…。
  • 瑠璃でもなく、玻璃でもなく
    3.6
    美月・26歳・未婚・OL・妻がある会社の同僚と不倫中。英利子.・34歳・既婚・専業主婦・子供なし。バリバリ働く友人を最近眩しく感じている。将来像を描けない不安を抱える美月と、単調な毎日に漠然とした不満を覚える英利子。恋も家庭も仕事も自由な時間も、他人にあって自分にないものは妬ましい。女はどこまで欲張りなのか。結婚という選択はどれだけ女の人生に影響を与えるものなのか。
  • DOG×POLICE 警視庁警備部警備第二課装備第四係
    3.3
    警備課に所属し、爆発物探知や自然災害での被災者救助など、警備全般を担う犬、警備犬。その訓練を行う装備第四係に配属された新人警察官の勇作は、刑事になる夢とのギャップに不貞腐れるが、個性的な同僚や優秀な犬たちとの出会いが彼の心を変えていく。そんな中、勇作は生まれつき体の弱い警備犬シロとバディを組み、巷を騒がせる爆弾魔事件に出動して……。話題の映画、原案小説書き下ろし。
  • 総督と呼ばれた男 上
    4.5
    1~2巻550円 (税込)
    大正の頃、木戸辰也は日本人娼婦を母にシンガポールの日本人街で育った。伯父の孝作にひきとられて、マレーの鉄鉱山で働き始めるが、労働争議に巻き込まれて孝作が殺される。辰也はただちに報復して、矯正院に送りこまれる。出所後シンガポールに戻り、辰也は暗黒街で頭角を現していく。しかし、南国をも戦争の翳が覆い始めた。流転の人生を綴る波瀾の大河冒険小説!
  • 夜を急ぐ者よ
    3.6
    原口泰三。非合法組織に追われる彼は、嵐が接近する沖縄那覇空港に降り立ち、追っ手の目から逃れるためにうらぶれたホテルに投宿する。東恩納順子。ホテル経営責任者。以前は経営に情熱を燃やしていた彼女だったが、夫との死別で今は流されるままに生きている。泰三と順子はかつて愛し合う仲だった。交わることのなかった二人の人生が、緊迫した事態のなかで劇的に交錯する。傑作サスペンスロマン。
  • スクープ(スクープシリーズ)
    3.8
    TBNテレビ報道局社会部の布施京一は、看板番組『ニュース・イレブン』所属の遊軍記者。素行に問題はあるものの、独自の取材で数々のスクープをものにしている。時には生命の危機にもさらされるが、頼りになるのは取材ソースのひとりでもある警視庁捜査一課の黒田裕介刑事の存在だ。きらびやかな都会の夜、その闇に蠢く欲望と策謀を抉り出す。
  • 山嵐
    3.8
    時は明治期。会津の地から、ひとりの若者が上京してきた。五尺に満たない小兵ながら、その才能を講道館創始者・嘉納治五郎に見出された彼は、柔道の修行を始める。独自の技「山嵐」を編み出し、講道館四天王のひとりに数え上げられるほどになるが、かねてから夢を馳せていた大陸への渡航を決意する。『姿三四郎』のモデルとなった天才柔術家・西郷四郎の壮烈なる半生。
  • 東京デザート物語
    3.3
    地方から上京し女子大生になった朱子は、料理研究家の叔母の家に寄宿する。朱子の毎日は刺激の連続で、ひょんなことから女性誌の読者モデルに選ばれ、彼女の生活は一変する。そして秘密の恋も始まる。叔母さんのデザートレシピとアドバイスで、朱子は素敵な恋愛レッスンを積んでゆく。恋愛長編小説。デザートのレシピも一部ついています(文庫版から一部割愛)。
  • ゾラ・一撃・さようなら
    3.7
    気儘な探偵・頸城悦夫のもとに舞い込んだ、謎に満ちた美女からの依頼。それは「天使の演習」と呼ばれる古い美術品を、彼女の母のために取り戻すことだった。頸城は「天使の演習」の在り処を探ろうと、引退した大物タレントに近づく。だが、彼は世界的に有名な伝説の殺し屋・ゾラに命を狙われていて…!? 洒脱でスリリング、ちょっぴりほろ苦い新感覚のハードボイルド!
  • 肩ごしの恋人
    3.9
    欲しいものは欲しい、結婚3回目、自称鮫科の女「るり子」。仕事も恋にものめりこめないクールな理屈屋「萌」。性格も考え方も正反対だけど二人は親友同士、幼なじみの27歳。この対照的な二人が恋と友情を通してそれぞれに模索する“幸せ”のかたちとは――。女の本音と日常をリアルに写して痛快、貪欲にひたむきに生きる姿が爽快。圧倒的な共感を集めた直木賞受賞作。
  • 真夜中のマーチ
    3.7
    自称青年実業家のヨコケンこと横山健司は、仕込んだパーティーで三田総一郎と出会う。財閥の御曹司かと思いきや、単なる商社のダメ社員だったミタゾウとヨコケンは、わけありの現金強奪をもくろむが、謎の美女クロチェに邪魔されてしまう。それぞれの思惑を抱えて手を組んだ3人は、美術詐欺のアガリ、10億円をターゲットに完全犯罪を目指すが……!?  直木賞作家が放つ、痛快クライム・ノベルの傑作。
  • 平面いぬ。
    4.0
    ちょっとした気まぐれから、謎の中国人彫師に彫ってもらった犬の刺青。「ポッキー」と名づけたその刺青がある日突然、動き出し…。肌に棲む犬と少女の不思議な共同生活を描く表題作ほか、その目を見た者を、石に変えてしまうという魔物の伝承を巡る怪異譚「石ノ目」など、天才・乙一のファンタジー・ホラー四編を収録する傑作短編集。
  • 暗黒童話
    4.1
    突然の事故で記憶と左眼を失ってしまった女子高生の「私」。臓器移植手術で死者の眼球の提供を受けたのだが、やがてその左眼は様々な映像を脳裏に再生し始める。それは、眼が見てきた風景の「記憶」だった…。私は、その眼球の記憶に導かれて、提供者が生前に住んでいた町をめざして旅に出る。悪夢のような事件が待ち構えているとも知らずに…。乙一の長編ホラー小説。
  • 蜂蜜色の瞳 おいしいコーヒーのいれ方 Second Season I
    3.4
    何の保証もないとわかっていても、彼女から強い約束を引き出したい。僕だけだ、と。一生、僕以外は愛さない、と。遠距離恋愛で、思うように会えない勝利とかれん。久々に週末を一緒に過ごすが、ちょっとした誤解から、なんとなくギクシャクしてしまう。愛おしすぎて、相手を思いやる気持ちが空回りする。それでも少しずつふたりの歩みはすすんでいく……。人気シリーズ待望のSecond Seasonへ。
  • 聞きたい言葉 おいしいコーヒーのいれ方 IX
    3.8
    介護福祉士をめざすかれんは、鴨川へ移住することをついに決意する。遠く離れてふたりの関係はどうなるのだろう。かれんを応援したいけれど、行って欲しくもない勝利の心は複雑だ。彼女だって同じはず。それはふと触れ合う瞬間にだって、充分すぎるほど伝わってくる。でも確かめたい、彼女の言葉で、その胸の内を。大人気シリーズ第9弾。
  • 坂の途中 おいしいコーヒーのいれ方 VII
    3.6
    恋をすると、人は強くなれるんだろうか。それとも、弱くなってしまうものなんだろうか。一人で部屋を借りさえすれば、いつだって好きなときに彼女と二人きりになれるとばかり思っていた。なのに、思うようにはいかない勝利の一人暮らし。バイト先の「風見鶏」では失敗を重ねるし、勝利への思いを断ち切れずに苦しむ星野りつ子が気にかかる。何よりかんじんの「かれん」が離れていこうとしている……。波乱含みの大人気シリーズ7弾には、星野りつ子の独白を収録。
  • 遠い背中 おいしいコーヒーのいれ方 VI
    3.6
    大人気の「おいしいコーヒーのいれ方」シリーズ第6弾。花村の叔母夫婦がついにロンドンから戻ってくる。勝利はかれんとふたりだけになれる場所を確保するために、周囲を説得して、ひとり暮らしを決意する。男としての強さ、優しさに、磨きをかけるためにも。なのに、かれんは近いようで遠くて。ふたりの甘く切ない恋の行方がますます気になる…。
  • 緑の午後 おいしいコーヒーのいれ方 V
    3.6
    5歳年上のいとこ、かれんと恋におちた大学生・勝利。そうとは知らず、勝利に思いをよせる星野りつ子。追いつめられた勝利は、ついに星野に「秘密の恋」をうち明ける。単身赴任していた勝利の父親も帰京し再婚、勝利の妹も誕生して、かれんとその弟の丈、そして勝利の3人だけの生活が変わろうとしている。番外編、丈の恋物語も収録する好評シリーズ第5弾。

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