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ときがたりデカメロン
悪党、若妻、修道僧、騎士などの多彩な人物がおりなす性と笑いの物語。大胆に官能を楽しむ笑いと愛の物語――機知ある悪党、不倫の若妻、女色にふける修道僧、強情が仇となる人妻、悲恋の王子と王女、復讐された高慢な未亡人、自分に克った聡明な老王など、多彩な人物が、人間の欲望を大胆に肯定し、愛と正義の与える不思議な力で、官能的生を楽しむ永遠の名作。男女のリアルな生活とその美醜をあますところなくとらえ、機智と哀歓に満ちた一幕として明るい笑いとともに、人間性を開放した、ルネサンス期の傑作の楽しい物語。当代随一の作家が、美しい言葉で面白く説き語る愛の物語集。永遠に新鮮な古典の親しみやすい説き語り。 -
どうしようもなく辛かったよ
第17回小説現代長編新人賞受賞作 受賞時高校三年生。現在大学一回生。 選考委員絶賛! 一つずつの感情を丁寧に掬い上げて、かつ容赦なく紡いである。 ――朝井まかて 最後の場面に、時を超えて自分の中学生時代を思い出しました。 ――中島京子 若さの身勝手さ、残酷さ、幼さゆえの気取りまでをストレートに描ききっている。 ――凪良ゆう 思想があると感じさせられる。 ――宮内悠介 この物語には、心に突き刺さる得難いセンスがある。 ――薬丸岳 青春の輝きとそこにのびる影、苦み 「特別になりたい」「ルールを破りたい」少女たちの卒業までの日々が、始まった。 あらすじ 「特別になりたい」と願う中学生の若菜は、日々、バレー部での練習に明け暮れていた。しかし三年生になると、顧問の異動によってチームは大きく動揺してしまう。若菜の「ある提案」によって落ち着きを取り戻したチームは、最後の大会へ向かうのだが――。 夏から、少女たちは「それぞれの最終学年」に直面することになった。学業優秀な真希、学校を休み続ける愛美、裏と表をうまく使い分ける桜、ルールから逸脱することができないくるみ。部活というつながりを失った少女たちが隠してきた本心、我慢してきた関係性。少女たちの卒業までの日々が、始まった。 -
どの口が愛を語るんだ
のたうちまわって超えていけ、愛。 『流』の直木賞作家・東山彰良が新たに挑む、自由でボーダレスな短編集! 九州の温泉街、小さな街の団地、ニューヨーク、台北、東京――。 残酷さとやさしさが隣り合わせるパッとしない世界 それでも生きていくむきだしの人間たち。 「猿を焼く」 さえない温泉街に引っ越してきた中三のぼく。無軌道な不良とよそ者の少年は、なぜ猿に火をつけたのか? 「イッツ・プリティ・ニューヨーク」 クレイジーな同級生カメと、そのアバズレな姉。欲求に翻弄されるぼくと彼らの団地の日常。 「恋は鳩のように」 同性婚が合法化された日、歓声に沸く群衆の中、アンディは詩人の恋人・地下室に電話をかける。 「無垢と無情」 人間じゃなくなった「やつら」から身を潜めるように、おれは画面の中のミーティングルームを訪れた。 -
流旅の花
片山津から京へ出て、バー「きぬがさ」に勤める和江に、じわじわと押し寄せる黒い影……。由緒ある禅寺・燈全寺の老師・碩堂、老師の妾でバーのマダム・歌子、謎の男・竹橋勝弘、彼を追う刑事たち……。疑うことを知らぬ和江の眼にも、次々と腑に落ちない出来事が見えてくる。そして突然、仏像偽造事件や贈賄事件が明るみに出され、雲水の承学に捧げた和江の純愛も、2人の支えとなるはずの天徳院の千手観音像も、虚しいものになってしまう。古都の裏側に繰り展げられる色と欲の澱んだ関係、その渦中に翻弄されながらも強く生きようとする女を、スリラー風に描き上げた力作長篇。 -
那智滝情死考
15歳で、京都五条の遊廓に身を売ったまきは、結核をかくしながら、男たちの相手をしていた。なじみを重ねた政市は、伏見の輜重隊で、けもののようにいじめぬかれていた。……ある日、廓を抜け出したまきと、兵営を脱走した政市の、からだをくくりあった心中死体が、熊野三山の聖域の那智滝で発見された。相擁して飛瀑の底に身を投じた男女の悲運な道に思いをはせて、美しくも哀しい愛の姿を描いた傑作。ほかに「蜘蛛飼い」「赤い毒の花」「真福寺の階段」「雪の下」を収録。 -
女人の館
禁男の館に集った世代の違う女性たちが、封建社会に抗して奔放に生き、様々の人生劇を展開する、現代恋愛白書。読売新聞に連載され、三國連太郎・北原三枝で映画化もされた傑作長編。 -
濡れにぞ濡れし
恐怖と表裏をなしている幼年時代の性の記憶、羞恥に彩られた少年期の性の意識……京都の三高に入学した私は、倉田百三の「出家とその弟子」の恋愛観、ひいては親鸞の「歎異鈔」の倫理観によって、新しい精神の世界にめざめていった。性には罪悪感がつきまとう。私には愛を伴わない情慾は考えられない。東大に進学した年、六本木のカフェで女給の柳とく子に逢ったとき、私は「ここに私の妻がいた」と直感する。彼女と旅に出た私は、宿では手を握り合って寝たが、帰京した夜、彼女の下宿で初めて烈しい性衝動に襲われ……。晩年までの性中心の自伝で、絶筆となった長篇。 -
熱愛者
音楽評論家で大学の講師でもある「私」が、主我的で嫉妬深い歌劇団のプリマドンナ・千坂牧子との生活に疲れ、小悪魔的な室内装飾家・津島頼子に心をひかれ、結婚して家庭生活に耽溺する。しかし、やがてその生活に破綻をきたし、頼子は別の男の許に走り去る。……心憎い程に女性心理を透視する著者が、男の異常なまでに純粋な熱愛がかえって女の愛を動揺させていくという物語を、物やわらかいムードの中に描いた力作。 -
背徳の夏
夫を寝取られた妻の惨めさを、智子は、光子によって味わされた。その光子は、智子の親友だった。ダンスホールで知り合った住田という男と、官能をくすぐり合うゲームのような逢引きを繰返しているうちに、智子の心の中に、光子への殺意が高まっていった。その殺意は、夫への愛の証しでもあったのだが、やっかいなことに、光子を消す計画に、殺し屋の役を引き受けたのは、住田であった。……愛とセックスのメカニズムを、心理的なスリラー・ドラマのかたちで描き出し、孤独な現代人の荒涼たる心の風景をのぞきこんだ、ユニークな長篇小説である。 -
薔薇の木にバラの花咲く
潔癖で清純な心の持主の黎子は、アルバイトをしながら大学で学んでいた。戦災で両親を失い、肉親は姉ひとり。人の負担になるまいと肩を張って生きている彼女の前に、名門の建築設計士の叶が現われる。叶は黎子を愛し、若い直情から、彼女の肉体に愛の烙印を押した。黎子に静かな愛を寄せていた誠実な鳴海は、事情を知ったとき、男らしく耐えて、黎子と叶が結ばれることを願った。が、それは、黎子を蟻地獄のような苦しみと迷いに追いやるのだった。純粋な処女の心理と、愛情の哀しみと美しさを追究した、清爽な抒情あふれる青春ロマン。 -
パンダより恋が苦手な私たち
変人に、恋をした! 仕事のやる気ゼロ、歴代彼氏は1人だけ。 編集者・一葉は恋愛コラムを書くはめになり、「専門家」に取材を申し込むが――!? 雑誌編集者・一葉は悩んでいた。 憧れのモデルに恋愛コラムの連載を依頼するも、原稿を代筆する羽目になったのだ。 交際経験が少なく自信がない一葉は、 「恋愛を研究するスペシャリスト」の噂を聞いて大学を訪れる。 だが、そこで出会ったイケメンはとんでもない変人で!? 恋のヒントが詰まったシリーズ第1作! ☆登場人物紹介☆ 柴田一葉:カルチャー雑誌の編集者。ファッション誌志望で、今の仕事にやる気が出ない。 椎堂 司:大学教員。「野生動物の求愛行動」にしか興味がない変わり者。イケメン。 灰沢アリア:伝説のスーパーモデル。女王様気質で、周囲をたびたび振り回す。 -
非日常の謎 ミステリアンソロジー
今、猛威を振るうコロナウィルスにより、私たちの「日常」が脅かされています。 ですが、そんな「非日常」の中でも、大切な「日常」は続いていきます。 いえ、「日常」を続けていくことこそが、私たちの戦いです。 そこで、ミステリにおける「日常の謎」というジャンルを今回は「非日常の謎」と置き換え、 日々の生活の狭間に突如訪れる、刹那の非日常で生まれる「謎」をテーマとして、 創刊5周年を迎えた講談社タイガが期待する、六人の著者に短編を寄稿いただきました。 物語が、「非日常」を乗り越える力となることを信じて。 創刊6年目となる講談社タイガは、小説を楽しめる「日常」を守り続けます。 「この世界には間違いが七つある」芦沢 央(あしざわ・よう) 「成人式とタイムカプセル」阿津川辰海(あつかわ・たつみ) 「どっち?」木元哉汰(きもと・かなた) 「これは運命ではない」城平 京(しろだいら・きょう) 「十四時間の空の旅」辻堂ゆめ(つじどう・ゆめ) 「タイトル未定」凪良ゆう(なぎら・ゆう) -
開かれたとびら 小説現代特集アンソロジー
*本作品は、「小説現代」二〇二二年五・六月合併号に掲載された「BL出身作家が描く新しい物語 特殊 開かれたとびら」を電子書籍化したものです。 愛とはなに? 幸せはどこに? 私たちは、なぜ、行きづらさを感じるのだろう。 切なさがある限り、物語は生まれ続ける、永遠に。 魂の叫びと、寂しさの根源を書き続けてきたBLジャンル出身の作家たちが描く、新しい文芸小説。 凪良ゆう「汝、星のごとく」(前編) 華藤えれな「アディオス・ノニーノ」 木原音瀬「考察」 砂原糖子「ある世界」 丸木文華「あやか」 ひらりさ 評論BL論「そこはただの温室ではない」 -
夫妻集
結婚して三十年、初めて意識した妻との乖離。 仕事に子育て、中年の夢……。 四組の夫婦が相手に向き合い、乗り越える人生の分岐点。 ***** 娘が婚約者を連れてきた。 他人の分の寿司も遠慮なく口にする、だらしのない男。 娘が選んだ人ならば。自分は、心が広く先進的な父親。そう思っていたはずなのに。 神保町にある出版社、景談社で働く佐原滝郎は、娘の結婚に心が揺らぐ。 「娘が結婚すべきではない」と感じた婚約者は、意外にも滝郎の妻には好印象。 妻もあの婚約者のことは気に入らないと思っていたのに、一体なぜ? 積み重ねてきた夫婦生活の中で初めて見えた、自分と妻の間にあるひずみ。 もしかして、妻と自分はーー。 社内の三組の夫婦の姿を見ていくうちに、滝郎はある決意を固める。 転勤、再婚、中年の夢……。 四組の夫婦が直面する、結婚生活の危機。 連れ添ってきた相手と向き合い、それぞれが出した答えとは? -
二人がいた食卓
良かれと思ったことが、押しつけがましさに。理想を追い求めるあまり、頑なになる。相手への気遣いが、裏目に出る。一番わかってほしい相手に限って自分の努力が伝わらない……。そんな夫婦関係の迷宮に迷いこんだ泉と旺介、きっかけはまさか、食の好みの違い……! ドリア、生姜焼き、ハンバーグ、キッシュ……出てくる料理は、「食の検定」1級を持つ著者だからこそ表現できる、読むだけで美味しそうなものばかり。だからこそ、夫婦のすれ違いのきっかけとして、鋭く鮮やかな物悲しさを湛えています。 おいしさは恋で栄養は愛? 家族として、好きを越えた関係を築いていく覚悟を持てるのか。泉と旺介、二人の選択とは。 -
不貞な貞女
加奈子が地方の素封家に縁づいて、もう5年。夫・浩介は、長い病床にふせったままだ。看病に明け暮れる加奈子も、いつか貞女の幻を心にえがいていた。が、そんな妻に、夫は画廊勤めを勧める。《きみのからだの外のにおいが、僕には爽かな刺激になる……》ーー勤めに出た加奈子は、青年建築家・植木との恋におちた。女心の飢えをみたす、背徳の愛に、加奈子はおののく。が、夫はすべてを知っていたのだ。やがて、臨終の枕もとに妻をよんで、心の葛藤を告げる浩介。美貌の妻に、くらい喪の季節が訪れた……。という表題作など、全10編。 -
閉店時間
華やかな都会の夢をはらむ、白亜の殿堂・東京デパート。そこに働く松野紀美子、藤田節子、牧サユリの3人は、高校のクラスメートで、いまでも仲がいい。だが4年の歳月は、彼女たちをかなり違った色合いに染めあげていた。意地っぱりの紀美子、古風な節子、派手好きなサユリという性格の延長だけでなく、4階の高級呉服売場、地階の食料品売場、エレベーター係といった職場の影響にもよるらしい。そこから三人三様の恋が、そして当然、将来がひらけていくのだった。現代の花形企業であるデパートの内幕と、3人の女店員の恋愛模様を、清新な筆致で描いた長篇。 -
炎の氷河
高校の仲良し3人の女性がたどる、それぞれの波乱の人生と恋と、そして株をめぐる復讐の物語。なにか重苦しい情念に突き動かされる! -
マギの恋
平吉は「夢見る男」だった。この人生に、小説と詩を書くこと以外に、真剣になることはない、と思い込んでいた。マギと呼ばれる小屋の2階で、彼は隣りの娘・トシ子と愛を誓い合った。トシ子は美人ではないが、純粋な心の持ち主だと、平吉は自分にいいきかせていた。しかし、結婚してやがて子供が生まれようとする頃、彼の描いていたトシ子の像が、風化された土人形のように崩れてしまう日がやってきた……。津軽地方の土の香りを漂わせつつ、人生への暖かい眼と鋭い諷刺を識り込んだ、巨匠の名作である。他に、若い愛をテーマにした好短篇11篇を収録。 -
まぼろしの人
初恋の女性との結婚生活に失敗した私は、いまふんぎりの悪い独身生活をつづけている。ある日、私は、既に人妻となっているリキ子と、37年振りに再会した。私とリキ子には、東北のS町で幼い性の遊びをしたという遠い記憶がある。それは異常な老婆の仲だちで行われた暗い彩色画のような、心の歴史の一齣であった。幼い体験から出発した二人は、それぞれに辿った人生の半ばを過ぎた頃、ホテルの一室で語り合う夜がめぐり来るとは、夢にも思わなかった……。人生のたしかな実感に裏打ちされた中年男性の抒情を流露させた「まぼろしの人」ほか4編収録。 -
身がわりの夜
それは少女だけに許された、幻のような記憶かも知れない。下宿人だった画学生の杉浦が、正子の裸体を熱っぽくデッサンし、鮮紅色の乳房に、ふと触れた日の感傷は……。正子は、いま新宿・元青線のバー勤め。マダムの弥生は画家の未亡人で、かつて杉浦を愛した過去をもつ女だ。「杉浦はパリの安宿で病いに臥せている」と耳にした正子は、パリ行きを決意した。彼女は幻影を追って稼ぐ。ある夜、正子がとった男は甘美な肉体の香に酔いながら、奇妙な述懐を始めた……。女の感傷の傷跡を描く表題作ほか、全10篇。 -
未知の界へ
複雑な家族の末子として生まれた桂。兄の友人で新聞社勤めの安彦を家庭教師として大学進学を目指すが、社長令息の透との縁談が持ち込まれる。子を産んだあと赤線に売られていった幼な友達、同じ年頃の温泉芸者との触れ合い、東大受験、そして透と安彦の狭間で、桂は次々と未知の世界を覗いてゆく。病と闘い、離婚を乗り越えて書き続けた北畠八穂の人生観が表れた長編小説。 -
ミルキー
ハマる、落ちる、とける。大人の女の危険な恋。林真理子のビターな恋愛小説――「人妻とのつき合いは、いろいろな味をそのつど男に与える」……産休明けで、諸橋陽子が職場復帰した。広告代理店に勤める奥村裕一は、妊娠前の陽子と、数回関係をもっていた。子どもを産んで、以前より美しくなった彼女を、裕一は誘うが……。という表題作「ミルキー」を含む、女の秘密がぎっしり詰まった12作の短篇集。女の顔は、恋の数だけ何度も変わる、美しく、いやらしく……。恋とセックスのためなら女はどこまでもずるくなる。背徳の恋愛ストーリー集。ハマる! 大人の女の恋愛小説! -
息子の縁談
銀座の老舗ブティックの主人は婿養子で、頑迷なるカミさんには頭が上がらない。その一人息子に、財界巨頭のトンデモ三女、整形美女の外科医、新橋の売れっ妓芸者、横浜商社の社長秘書など、自薦他薦の縁談・艶談が舞い込む騒動のうちに、元戦友の清純な縫い子の妹との結婚に到るまでの、明るく軽快な物語。 -
娘の縁談
祖母に縁談をおしつけられ、18の時、九州から東京へ飛び出してきたおてんばの千栄子さん。それから4年、おっとりとした友人の友子さんと同居しながら、速記者として働きつつ、女優のタマゴとして頑張っている。そして、そろそろ恋愛や結婚のことを真剣に考えるようになり……。映画化もドラマ化もされた傑作。 -
女神出奔
あまり人のいかないハイキング・コースの途中で病気になった楠田は、一軒の草深い古別荘に犬と住む由緒ありげな女に、一夜介抱された。その妖しい魅力にひかれ再び訪ねた楠田と、女は「お茶でものむように」交わる。一方、楠田の恋人・順子は、片貝助教授を知り、その家柄や名声に酔わされる。片貝を取り巻く女性は多い。彼は、財界に名の通った湯浅社長の娘・治子を選び、結婚式を挙げるが、新婚初夜を待たずに、治子は伊豆の別荘から恋人・昭夫と脱走する。そのとき、片貝がそこで幽霊のように見たのは、教え子の楠田に付添われて立つ古別荘の女であった。俗物への諷刺をこめて、愛と真実を追求する長編小説。 -
嫉ける
長嶋薬局の若主人・雄太郎は、若く美しい女・戸倉由里亜に心ひかれ、その親友・野田金次郎は、アパートの隣室に住む奔放なファッションモデル・松宮のり子にのぼせ、そして由里亜は、モデル時代の恋人の推理作家・柾目秋介が、のり子と関係をもったのに激しく嫉妬する。由里亜の夫・戸倉作也は、妻の心をとりもどすため、のり子と一芝居うったのだが……。からみあう男女の妬心を描く推理長篇。 -
やどかりの詩
人工授精に使用する精子を提供するアルバイトをする神立晋の精子で、性交なしに妊娠する、看護師のレン。自分の産んだ子が神立晋の子と分かった、名門家庭の妻・三鈴。そして、レンを愛するようになる晋の友人で路上でヤドカリを売る佐治、三鈴の夫・加瀬、医師・四宮……。彼ら彼女らが織りなす愛憎のドラマと、それを横目で見ている小説家・信夫倫太郎は……。力作感あふれる長篇小説。 -
夜と昼と
静子は過去に一度結婚したが、夫に女ができると自ら身を引いて別れるような、内気なやさしい性質であった。姉の愛子の家に、妹の珠子とともに身を寄せているが、姉たち夫妻のいまだに新婚気分の漂う幸福そうな様子、バレエに打ち込む珠子に較べ、女としての自分の幸福を夢みることもあった。静子は姉の夫の弟の和夫に親しみを感じていたが、和夫の方も共かせぎを続ける妻のさばさばした性格とは違って、いつも「女」を意識させる静子にひかれてゆき、やがて二人は周囲の人々の目を忍ぶ暗い情熱に結ばれてしまう。現代社会における愛のあり方を追求した力作。 -
夜は新しく
香料技術家の夫・毛利直保が、銀座街頭に連れだっていた若く背の高い女は誰だろう……。平穏な日常生活に退屈した28歳の人妻・由美子の心にしのびよる愛の渇き。そして、濃い眉と逞しい胸をした建築家の小泉青年とともに、バア・トレントで乾したジン・フィズの味が、ひとつの危機の重みとなって冷たくのしかかる。傷ついた美しい獣のような由美子が、死を賭してまで捉えようとしたものは何であったのか……。人妻の不倫に内側から照明をあて、大胆な筆致と濃密なムードに浮彫した野心的長編。永遠にかなしく美しい〈女のかたち〉がここにある。
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