中央公論新社作品一覧

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  • 屋根の日本史 職人が案内する古建築の魅力
    3.5
    城郭や寺社を訪れるとき、まず目に入るのは屋根である。遠くからでもキラキラと光って目立つ屋根は、権威や崇高ささえ感じさせる。このような日本の屋根はどのようにして発達してきたのだろうか。葺材の重さに耐え、雨漏りと戦いながら、職人たちの創意と工夫によって素材や構造を進化させ、独自の美を生みだしてきた。国宝等の修復を数多く手がけてきた檜皮葺職人が、自らの経験をふまえて語る屋根の通史。
  • シュテファン・ツヴァイク ヨーロッパ統一幻想を生きた伝記作家
    3.5
    十九世紀末ウィーンに生まれ、ユダヤ系資産家の両親を持ち、華やかな文学的交流の中心に位置していたツヴァイク。第一次大戦勃発に際し、ロマン・ロランを先達として平和主義運動に邁進したが挫折に終わり、戦後のナチス台頭により亡命を余儀なくされ、第二次大戦中に亡命先のブラジルで自殺を遂げた。しかし彼がもろくとも貫き通したヒューマニストの姿勢は、彼が作品に描いた悩める歴史的人物像とともに今なお人の心をうつ。
  • 古地図からみた古代日本 土地制度と景観
    4.0
    古地図は過去の世界への扉である。日本では、世界にほとんど例のない古代の大縮尺の荘園図が現在まで伝わっている。そこに描かれた事象や記入事項を検討することは、開拓や農業経営、荘園管理の在り方を探ることであり、土地制度や村落の景観もがそこからみえてくる。また古代の日本では、荘園図のほかに多くの地図を国家が作製し、使用していた。当時の行政・経済システムと古地図とを照らし合わせ、古代社会の在り方を考える。
  • 韓国のイメージ 戦後日本人の隣国観 [増補版]
    3.5
    今日の日本人の韓国像は、一方に文化相対主義的理解があれば、他方に伝統的蔑視があり、イデオロギー的立場からの賞賛や沈黙の一方に、若い文化的関心層があって一様ではない。それでは、戦後日本の韓国像はどのように変化してきたのか。戦後日本人の韓国観の変遷を二十年ごとの三つの時期区分で論じた名著に、今回新たに四つめの時期となる「韓流の時代」を論じる章を増補し、あの狂騒の時代を歴史のなかに位置づける。
  • 奥州藤原氏 平泉の栄華百年
    3.8
    奥州藤原氏は平泉を拠点として平安末期の東北地方に君臨した。産金をもとに財をなし、京風の絢爛たる仏教文化を花開かせた。初代清衡から三代秀衡へ、支配権はどのように伸長したのか。秀衡の死後わずか二年で源頼朝に攻め滅ぼされたのはなぜか。京都との関わりを軸に、百年の歴史を多角的に検証。併せて、中尊寺金色堂に眠る歴代のミイラの学術調査結果も紹介する。『蝦夷』『蝦夷の末裔』に続く東北古代史三部作完結編。
  • ワインづくりの思想 銘醸地神話を超えて
    4.7
    良質なワインは何に由来するのだろうか。かつては、ボルドーやブルゴーニュだけが永遠に偉大な産地だとする銘醸地信仰があった。第二次大戦後、醸造技術の進歩と品種の世界的拡散によって風土の壁は乗り越えられ、新興産地が続出した。知識と技術を手にしたつくり手たちは、本当につくりたいものが何かを明確化してワインづくりに邁進している。日本のワイン水準を飛躍的に高めた醸造家が、酒づくりの到達点を示す。
  • 山伏 入峰・修行・呪法 [復刻版]
    -
    兜{と}巾{きん}、白衣の結{ゆい}袈{げ}裟{さ}、錫{しゃく}杖{じょう}をつき、笈を背に法{ほ}螺{ら}貝{がい}をふく、いまでも出羽三山、大峰山中に出没する山伏・・。年二回先達に従って入{にゅう}峰{ぶ}し、水断、穀断、懺悔、相撲などの苛酷な修行で体得した験力により、加持祈祷の呪法を行なう彼らのなかには、中世の最盛期を過ぎると修行を忘れ、まじない師に堕するものもあらわれた。本書は、民間信仰に仏教が結びついて完成された修験道の真髄を、山伏の奇怪な行事、生態のなかにさぐる。
  • マグレブ紀行 [復刻版]
    4.0
    マグレブはアラビア語で“日の沈む国”を意味し、モロッコを中心に、ジブラルタル海峡を挟んでスペインと向いあったアフリカの一角である。ここはオリエント、オクシデント、アフリカの接点であり、また十五世紀に始まる、旧世界と新大陸との再会を準備した所でもある。本書は、アフリカ史を専攻する著者が、日本とは地球半周を隔てたこの地方への「旅」の見聞を語りながら、西洋近代や日本を再考しようとした、異色の紀行文である。
  • 保科正之 徳川将軍家を支えた会津藩主
    3.7
    徳川秀忠の子でありながら、庶子ゆえに嫉妬深い正室於江与の方を怖れて不遇を託っていた正之は、異腹の兄家光に見出されるや、その全幅の信頼を得て、徳川将軍輔弼役として幕府経営を真摯に精励、武断政治から文治主義政治への切換えの立役をつとめた。一方、自藩の支配は優れた人材を登用して領民の生活安定に意を尽くし、藩士にはのちに会津士魂と称される精神教育に力を注ぐ。明治以降、闇に隠された名君の事績を掘り起こす。
  • 複合不況 ポスト・バブルの処方箋を求めて
    4.5
    八〇年代半ば以降、米国と日本で起きたバブルの発生と崩壊のメカニズムを実証的に分析し、今回の不況は金融の自由化の帰結として生じた金融部門の経営悪化にリードされて引き起こされた新しい不況であること、問題の焦点が有効需要より信用逼迫に大きく移動したことを明らかにする。したがって従来のような有効需要拡大政策もなかなか効果を現わさない理由が解明され、正確な診断による有効な処方箋の必要に応える労作である。
  • サブリミナル・マインド 潜在的人間観のゆくえ
    3.9
    人は自分で考えているほど、自分の心の動きをわかっていない。人はしばしば自覚がないままに意志決定をし、自分のとった行動の本当の理由には気づかないでいるのだ。人間科学の研究が進むにつれ、「認知過程の潜在性・自動性」というドグマはますます明確になり、人間の意志決定の自由と責任に関する社会の約束ごとさえくつがえしかねない。潜在的精神を探求する認知・行動・神経科学の進展からうかびあがった新しい人間観とは。
  • 文化人類学入門(増補改訂版)
    3.9
    文化人類学とは、社会・文化・経済・宗教をはじめ諸分野にわたって、またそれぞれに異なる世界の民族を比較検証する広範な研究対象を視野に収めた学問である。その方法論として、フィールド・ワークによる具体的でしかも忍耐強い実証的な調査が重視される。本書は、この多岐にわたる学問を系統的に要約整理した入門の書として、一九七九年刊行以来、多くの読者を得て版を重ねてきたものを増補改訂し、学界の新しい情報を提供する。
  • 沈黙の檻
    3.5
    十七年前の殺人事件で犯人と目された男・末松は、自らの無実を証明しようともせず、沈黙を守り続けていた。ある日、末松が何者かに襲われ、警護を命じられた刑事の氷室は、彼が何かを隠していると確信し、独自に調べ始める。そして、末松の共犯だという男が殺された――。「容疑者」に甘んじる男の心の謎をめぐる物語。
  • 羽生善治と現代 - だれにも見えない未来をつくる
    3.7
    将棋界の歴代記録を塗り替え続ける最強棋士。なぜ彼だけが常に熾烈な競争を勝ち抜けるのか。タイトル戦観戦記にトップ棋士たちとの対話、そして羽生本人に肉迫した真剣対談が浮き彫りにする、強さと知性の秘密。ルールがわからない人をも魅了する、天才棋士の思考法とは。既刊単行本二冊を再編集し、羽生善治との最新対談を収録した完全版。
  • 文壇五十年
    3.0
    自然主義文学の泰斗が、日露戦争以降から敗戦までの文芸・演劇・美術の変遷を回想。団菊以後の左団次、島村抱月の活躍、そして新風の如く登場した荷風や花袋へのオマージュ、江戸趣味や洋行の影響を受けた文学者たちの姿を描く。大逆事件や戦時下の言論制約のなかでの揺れ動いた芸術運動を冷徹な視点で描く文学的自叙伝。
  • 鈴木理華画集 α女王
    3.0
    『クラッシュ・ブレイズ嘆きのサイレン~ミラージュの罠』コミック版『シンデレラ』等を収録。電子版のみの「あとがき対談完全版1/3」を特典収録。 『鈴木理華画集 女王と海賊と天使たち』(2011年5月25日刊)の分冊版

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  • 叙情と闘争 辻井喬+堤清二回顧録
    4.3
    元セゾングループ代表にして、詩人・作家。反発していた父のもと実業界に入った若き著者は、二つの名前を往来しながら、大衆社会の幕開けと経済躍進の立役者として時代の渦中を進んでゆく。マッカーサー、吉田茂、本田宗一郎、三島由紀夫など、政治家、財界人から芸術家までの幅広い交遊エピソードとともに、戦後の諸相を描く貴重な半生記。
  • オーケストラ、それは我なり 朝比奈隆 四つの試練
    4.2
    九十三歳で死去するまで、現役の指揮者としてタクトを振りつづけた巨匠・朝比奈隆。自ら「長生きこそ、最高の芸術」と言い切り、存在そのものが日本のオーケストラ史であった生涯。その光と陰を描く決定版評伝。第二六回織田作之助賞大賞受賞作
  • クロワッサンとベレー帽 ふらんすモノ語り
    4.0
    トランク、石鹸、リボン……いつの時代も「舶来品」は人々の憧れの的だった。プロフェッサー・鹿島が綴る、フランス人に愛された品々をめぐるとっておきのエピソード。魅惑の都パリの今昔、フランスの文学・語学に関するエッセイも収録。※『上等舶来・ふらんすモノ語り』を改題。
  • 覇者の戦塵1942 撃滅 北太平洋航空戦 上
    -
    爆撃を受け、敵上陸部隊と交戦中――占守島守備部隊が発した緊急電を傍受した船団に緊張が走る。敵はソ連か米国か? 北太平洋の覇権をめぐり、熾烈な航空戦の火蓋が切られた!
  • 覇者の戦塵1942 反攻 ミッドウェイ上陸戦 上
    -
    遂に開戦を決意した日本海軍は緒戦で米太平洋艦隊を一挙の殲滅すべく、真珠湾とミッドウェイに同時奇襲をかけた。しかし真珠湾奇襲成功に沸く日本海軍に、予想もしえぬ救援要請が!?
  • 覇者の戦塵1942 激突 シベリア戦線 上
    -
    B-24の編隊が来襲、帝都は夜間爆撃を受けた。本土防衛の脆弱さを晒した日本の隙を突くように、米ソが結んで北方から攻勢の機を窺う。陸軍航空隊は北辺への反撃を開始するが?
  • パスカルの隠し絵 実験記述にひそむ謎
    -
    「人間は考える葦である」という言葉で有名な『パンセ』の作者パスカルは、天才的数学者、厳密な実験物理学者としても知られている。とりわけ十七世紀までヨーロッパ自然学の大前提であった〈真空不可能〉説を打ち破る大実験を行い、揺るぎない理論を提出したことで名高い。しかしそこには、謎めいた印象が否めない。パスカルは本当に実験したのか。彼の物理論文には、『パンセ』と同じ文学作品としての仕掛けを読み取るべきではないか。
  • 修理 仏像からパイプオルガンまで
    3.0
    使い捨ての時代が長く続いているが、物を直して使うというかつての日本の精神と技術は、いまでもきっちりと受け継がれている。書籍、眼鏡、靴等の実用品から古文書、茅葺き屋根、赤レンガ建築等の文化財にいたるまでの三十を越える日本各地の修理現場を徹底取材。修理店等の連絡先付き。
  • 記憶に残る作家 二十五人の素顔
    -
    文芸記者、ワイドショーのコメンテーター、そして『婦人公論』編集長を務めた著者が、担当編集者として、あるいは取材対象者として、近しく接した作家たちの意外な素顔を綴る。渡辺淳一、野坂昭如、開高健ら時代の寵児二十五人の知られざる私生活。
  • ロビンソンの家
    3.3
    ぼくは彼女を順子さんと呼ぶ――母の失踪への情熱、性的な身体の記憶……。大藪春彦賞受賞作家がおくる、甘美でせつないミステリ。
  • 陸奥甲冑記
    3.6
    阿弖流為と坂上田村麻呂。陸奥蝦夷と律令国家の抗争の日々。陸奥の蝦夷が造りあげていた、大和律令国家に対立するもうひとつの国・日高見国の倒壊を描く。
  • 法華経 真理・生命・実践
    3.0
    中国隋代に樹立し、最澄によって伝えられた天台思想が大乗経典で釈迦の正説と仰がれ、中核になった歴史過程を明らかにする。信仰対象として、人生の指針として、政治の理念として信奉した高山樗牛、宮沢賢治、尾崎秀実、北一輝などが形成した思想の系譜も辿る。
  • 風のケアル1 暁を告げる鐘
    3.0
    領主の三男坊として生を受けながらも、島人との混血とさげすまれ、居場所がないケアルには、翼を操り空を翔けることだけが、唯一の自由だった。このままどこまでも飛んでいけたら――。いつものようにそんな思いで飛んでいた彼の目に、悠然と大海を征く巨大な帆船の姿が飛び込んできた。ケアルたちの住む閉ざされた世界に、開国と交易を迫るべく海の向こう、未知の国から来訪したこの船こそ、彼を新たなる激動の時代へと導く、運命の使者であった!
  • 覇者の戦塵1942 急進 真珠湾の蹉跌
    -
    巨大化する日本に危惧を抱き、牽制を繰り返す米国。太平洋の二大シーパワー激突の瞬間は刻一刻と迫っていた。昭和一七年四月、戦爆連合約百機が、黎明を衝いて真珠湾に突撃するが!?
  • 天保暴れ奉行(上) 気骨の幕臣 矢部定謙
    -
    旗本の家に生まれ、小姓番組入り後、徒頭、先手頭兼火付盗賊改、堺奉行、大坂西町奉行と順調に出世。その裁きぶりは大岡越前守の再来と言われた、矢部駿河守定謙。大坂東町奉行所元与力の大塩平八郎とも昵懇となった彼は、勘定奉行昇進後に乱を起こした大塩父子の罪状をめぐり、ときの老中・水野忠邦と鋭く対立する。
  • 沈黙の魔都 荒神伝2
    -
    邪悪な魍魎に取り憑かれた芳人を助けるためには、荒神の眠りを醒ますしかない。二つの封印を解くことはできたが、最後の封印の在所は謎のままだった。焦る修司の前に新たなる敵が!
  • 檀流クッキング
    4.0
    「この地上で、私は買い出しほど、好きな仕事はない」という著者は、文壇随一の名コック。日本はおろか、世界中の市場を買いあさり、材料を生かした豪快な料理九十二種を紹介する「美味求真」の快著。
  • 旦那の意見
    5.0
    この頃、電車で席を譲らなくても気が咎めなくなった。志ん生晩年のかすれ声に涙を流す。角栄に義憤を感じつつも父の面影を重ねる。――『男性自身』で大好評を博した著者が「最初の随筆集」と断じてはばからぬ珠玉の自選名文集。
  • 対談 にっぽん女性史
    -
    情熱的な自己を政治に示した古代の女帝たち、文学史上に燦然と輝く清少納言や紫式部ら王朝の女流作家、源平のトップレディ建礼門院と北条政子、戦国乱世を強烈に生きたお市や淀君。金山開発の犠牲とされた佐渡相川の遊女たち……様々な時代や立場におかれた女性の意識や生き方を11人の識者と語る。
  • 太平洋戦争のif[イフ] 絶対不敗は可能だったか?
    3.8
    真珠湾、ミッドウェー、ガダルカナル、レイテ、本土決戦――太平洋戦争の重要な各局面における「イフ」を論じることで歴史の真実に迫る。厳密な史料分析をもとに第一線の研究者たちが挑んだ、意欲的な太平洋戦争史。
  • 戦後の肖像 その栄光と挫折
    3.0
    秩父宮、高松宮、赤尾敏、安岡正篤、伊藤律、坂口弘、田中角栄、藤山愛一郎、武見太郎など、もし、この人物がいなかったら戦後の日本の政治・経済・社会状況は別の局面を迎えていたかもしれないようなキーパーソン十五人を取り上げ、彼らの足跡を検証することにより、戦後日本の栄光と挫折に迫る意欲作。
  • 新世紀日米大戦1 笑顔のファシズム
    -
    西暦2018年。20世紀末の構造改革に失敗した日本は経済破綻寸前で最後の巨大市場、中国東北部へ資本進出。シベリア独立への軍事支援と引き替えに大陸での利権を約束させるが……。
  • 修羅の波濤 外伝1
    -
    二式大挺に刻まれた桜のマークは、生還への希望──死闘が繰り返される中部太平洋最前線グアム島。そこに撃墜機搭乗員の救援活動に専念する部隊があった。二等飛行兵新見正樹は偵察員としての初仕事で見事な成果を挙げるのだが……。裏方に徹し、多大な功績を挙げた907空5号機。その始末記を少年兵の成長と重ね合わせた「生命は我が戦果」。他に「カムヒア、ミッキーマウス」「蒼海の牙」の2編。最前線の将兵たちの視点で見つめ直す「修羅の波濤」世界!
  • 修羅の戦野1 満州大侵攻
    5.0
    対米講和を実現した大日本帝国に平和は訪れなかった。ソ満国境で南進の機会を窺うソ連に備えねばならなかったのだ。昭和20年8月、ついに大侵攻は始まった。九七式とM4混在の戦車部隊、P&W搭載の疾風改、バズーカ装備の対戦車歩兵──旧式装備と米軍供与品で武装した満州派遣軍の防衛線は、圧倒的物量で迫るソ連軍の前に次々分断されていく。米軍の増援なくしてこの赤い津波を押し止めることは出来ないが……。満州の大地を朱に染めるシミュレーション巨篇、出撃!
  • 私の大事な場所
    3.7
    はじめて日本を訪れたときから六〇年。ヨーロッパに憧れていたニューヨークの少年にとって、いつしか日本は第二の故郷となった。京都や東京の思い出の場所、そして大切な友人たち……。日本文学研究に人生を捧げた著者による、変わらないものへの愛情にあふれた自伝的エッセイ集。
  • 黒の十字架
    -
    潜入捜査の密命を帯びて羽代市に単身乗り込んだ土谷刑事を待ち受けていたのは、市内を独裁国家のように統治する大場一族の厚く巨大な壁であった。警察さえ影響下に置かれる独裁都市で土谷の孤独な戦いが始まった……。強大な権力の暗部に鋭く迫る著者渾身の長篇ミステリー。
  • 国連航空軍 最終兵器 上
    4.0
    対馬沖で国籍不明の漁船に火災。空自RF-4Eファントムが確認に向かうが、漁船からのミサイルにより撃墜される。北朝鮮の漁船も自爆するが、すでに工作員は日本に上陸、恐るべき「積荷」を持ち込んでいた……。困窮を極め、国家存亡の危機に乾坤一擲の反攻を企てる北朝鮮。21世紀の覇権をかけアジアへの圧力を強めるアメリカ。不気味に沈黙する中国──一触即発の緊張が高まる中、空軍新田原基地には全国から選りすぐったF-15パイロットが集結! 航空軍事サスペンス巨篇第一弾!!
  • 国連航空軍 イーグル邀撃隊 上
    -
    竹島上空で空自F-15が遭遇した北朝鮮空軍機は日本への亡命を希望。護送されたRF-7Bから降り立ったのは美貌の女性パイロット、コールサインは「カラス」。一方、長崎県西方沖を航行中の米海軍航空母艦インディペンデンスでは、深夜、極秘裏に漆黒の攻撃機の暗視着艦訓練が繰り返されていた。日本の防空レーダー網の「穴」を衝いて飛来した北朝鮮機、その飛行経路の延長線上には米空母……不審な暗合に国防機密流出の危惧を抱く空自幹部に、米軍首脳から一行の暗号電が──インディペンデンスを警戒せよ!
  • 江戸の夕栄
    -
    自身番、辻番、芝居茶屋、芸妓の話など、江戸堀江町に生きた著者が、幕末・明治初頭の江戸生活の実態を生き生きと描く貴重な記録。
  • 原油争奪戦争 上
    -
    領海が複雑に交錯する東渤海の海底油田と中国最奥部ウイグル自治区の塔南油田で、テロリストによるダブル油田ジャックが発生。国際共同開発が進む二大石油プラントが破壊されれば、アジアのエネルギー事情はたちまち逼迫し、日本海は大量の油に汚染される。だが民族問題に神経をとがらす中国は強攻策に固執し、一触即発の事態に。油田開発に資本を投入し技術者を派遣していた日本は、一人のオイルマンと陸自の特殊部隊サイレント・コアの現地投入を決断する。荒海の掘削リグと灼熱の砂漠――二正面作戦の勝算は!?
  • 剣闘士スパルタクス
    3.8
    「スパルタクス、おまえにも先頭をきってもらいたい」仲間の求めに応じスパルタクスは起った。寄せ集めの集団は、やがて奴隷解放の旗印を掲げる反乱軍としてイタリア本土を席巻する。だが、世界最強を誇るローマ軍の反撃が始まらんとしていた――! ローマ帝国に叛いた男を描く歴史大活劇第二弾。
  • 逆撃 第三帝国の崩壊
    5.0
    圧倒的な兵力を擁するジョージ・パットン中将のアメリカ第3軍と、雨中の泥濘戦を繰り広げるフォン=タンネンベルク大佐こと御厨太郎だが、天候の回復に伴い、制空権を有するアメリカ軍の反撃にあい、窮地に追い込まれる。さらに、ソ連はワルシャワに迫り、連合軍もパリに進撃を続ける。この劣勢を逆転するには、一度失敗しているヒトラー総統の奪還しかない。そして、総統の指揮のもと、御厨は起死回生の戦略を練る。ついに、歴史は変わるのか。「逆撃ドイツ篇」クライマックス!
  • 逆撃 ヒトラー奪還作戦
    -
    ベルリンでは、ヒムラー、ボルマンがヒトラー総統を幽閉し影武者を立ててから一年が過ぎ、ロシア戦線では、戦況の不利が伝えられはじめた。このままでは第三帝国の崩壊は必至だ。フォン=タンネンベルク大佐こと御厨太郎は、ついに総統の救出に動き出す。幽閉の地は、ドイツ南部ベルヒテスガーデン。実行の日は、ハロウィン──。ゲシュタポ、SSの警戒を潜り抜けるには、少人数・軽武装での行動となる。地下壕で繰り広げられる息詰まる追跡と逃走。ヒトラーの奪還は成るか!?
  • 逆撃 ノルマンディー防衛戦
    5.0
    1944年に入ると、連合軍の反攻は苛烈を極めた。フォン=タンネンベルク大佐こと御厨太郎は連戦連勝を続けるが、ヒムラーやヒトラー(影武者)の判断が、戦局をいっそう不利にしていた。6月6日に決行される連合軍のノルマンディー上陸は、何としても阻止せねばならない。しかし御厨は、その迎撃作戦でことごとく上層部と対立し、「大西洋の壁」は崩壊の危機に。さらに、7月20日には、史実どおりにヒトラーの暗殺計画が実行され、ベルリン、パリは大混乱に陥る――。
  • 逆撃 スターリングラード制圧戦
    5.0
    アフリカ戦線に参謀として従軍し、ロンメル元帥と共にアレクサンドリアを陥落させたフォン=タンネンベルクこと現代人軍師・御厨太郎は、再びロシア戦線に投入された。しかし、御厨は第6軍のエリート司令官パウルスと対立する。スターリングラードへの電撃進攻を、持久戦を主張するパウルスは認めないのだ。攻防が冬に持ち越されると、史実通り第6軍は壊滅してしまう! さらにヒトラーを幽閉したヒムラー、ボルマンら獅子身中の虫からも目が離せない。第三帝国は風雲急を告げる……。
  • 逆撃 クルスク戦車決戦
    5.0
    ヒムラーらに幽閉されたヒトラー総統の奪還に失敗したフォン=タンネンベルク大佐──御厨太郎は、再び東部戦線に配属された。御厨のいない間に、ソ連軍の大規模な冬季攻勢で戦線は綻びを見せていたのだ。さらにこのクルスクの攻防に、ドイツは新型戦車「パンテル」や未完成のポルシェ「フェルディナント」を投入するという危険を冒そうとしていた。御厨の対戦車戦術は!? 一方、シチリア島には連合軍が上陸し、拘禁されたムッソリーニの救出命令が御厨に下される……。
  • 解放の呪文 荒神伝3
    -
    荒神を甦らせるための最後の力を敵に奪われ、絶体絶命の窮地に立つ修司。たとえ何が起ころうと、芳人を助けてみせる! 追いつめられた修司が下した決断とは? 遂に決戦の刻迫る!
  • 花までの距離
    -
    「私をいくらでも見てください」。女はそう言って衣裳を脱ぎ刺激的なポーズをとるが、目の前にいる男は、見つめるだけで指一本触れることさえ許されない……。“誘惑”と“視線”が交錯する二人だけの密室に立ちあがる透明なエロティシズムを描いた長篇。
  • 火の十字架
    -
    元零戦の操縦士でその日暮らしを送っていた綾瀬勝治は、行きつけの飲み屋で知り合った男から、新会社の社長就任という意外な話を持ちかけられる。しかし綾瀬は数か月後に他殺死体となって発見され……。太平洋戦争で祖国のために戦った三人の男たちの戦後を壮大なスケールで描く、著者渾身の長篇ミステリー。
  • 一枝の桜 日本人とはなにか
    4.0
    日本人の美的世界・倫理的世界を善意な眼差しで概観しながらも、「慇懃と粗暴」「礼儀正しさとモラル破壊」「思慮深さと見栄っ張り」「同情心と冷淡」「慎み深さと思い上がり」といった相反する要素が両立する謎について、言語・風土・社会的要因から解明する。一九七〇年代にベストセラーとなった稀有な日本人論を初文庫化。
  • 異形の封域 荒神伝1
    -
    半年ぶりに故郷に戻った瀧宮修司を出迎えた芳人がおかしい。戸惑う修司に、突如邪悪な影を纏わせた芳人が襲いかかる。一体何が? しかしそれは迫り来る危機の序曲でしかなかった!
  • 阿波の狸の話
    -
    大正から昭和初期にかけ、屈指の郷土史家が阿波・徳島に伝わる狸伝承を綿密な取材により収集し、注釈を付した名著。映画や漫画など数々の作品の一次資料としても多く引かれ、今なお輝きを失うことのない貴重な文献を復刊。さらに著者遺稿を反映し、「阿波伝説物語」を収録した決定版。
  • ぼくが愛したゴウスト
    3.6
    臆病で生真面目だけど、十一歳のごく普通の少年・田之上翔太。生まれてはじめて、ひとりで行った人気ロックバンドのコンサートの帰り、翔太は駅で人身事故発生の瞬間に居あわせてしまう。それを境に彼は、この世界に微かな違和感を抱きはじめるのだが――。残酷で理不尽な世界に立ち向かう少年の、愛と恐怖の旅立ちの物語。
  • そこに薔薇があった
    4.0
    ある春の日、離婚して自由になった正幸の前に、二人の魅力的な女性が現れた。彼女たちの出現で、どこかはしゃいでいる彼に、叔母は「女性がその気になったら、あんたなんか、イチコロなんだから」と語る。それは何かの暗示だったのか。直後、正幸は謎の死を遂げてしまう。それは連綿と続く、残酷で甘美な殺人事件の始まりだった。
  • ごめんあそばせ 独断日本史
    4.0
    奈良時代の律令制度もある意味“押しつけ憲法”/公平な勤務評定があった鎌倉武士団/定家は出世亡者/清盛と田中角栄の日中国交回復/貞奴と一葉は女性史の表と裏――古代から明治へ、小説家としての立場で自由闊達に語り合い、埋もれた歴史の事実を掘り起こす。おもしろさ抜群の日本史。
  • ことばの顔
    -
    パスカル、村上龍など古今東西の哲学者、作家の名文句から、「ソッコー」「キレる」等、最新の流行語にいたるまで、無限の世界をつくり出す「ことば」を自在に読み解いたエッセー集。
  • あの日あの夜 森繁交友録
    -
    名優森繁久彌が語る、あの日、あの夜。かつて同じ舞台で切磋琢磨し、技を競い、スクリーンをともにした原節子、伴淳三郎、三木のり平、山茶花究らとの交友録を中心に、様々なテーマを独特の森繁節で一刀両断する、珠玉のエッセイ集。(東京新聞夕刊に「この道」として昭和61年2月から4月にかけて連載されたものをまとめた)
  • SRO1 警視庁広域捜査専任特別調査室
    3.8
    警視庁に新設された広域捜査専任特別調査室、通称「SRO」。総勢7名の小所帯にもかかわらず5人がキャリアという、管轄の枠を越えた花形部署のはずが、その内実は訳ありだった。山梨で発見された白骨死体をきっかけに、史上最凶の連続殺人犯「ドクター」を追う調査員たち。警察組織の限界に迫る、新時代警察小説の登場。
  • OL現代詩殺人事件 日美子の初タロット
    -
    鎌倉に住むOL章子は、一浪の弟・伸一と二人暮らしだが、伸一はサラ金業者の水上を深く恨み、呪い殺そうという奇矯な幻想に没頭していた。不安になった章子は友人の二階堂日美子に相談を持ちかけるが……。日美子の原点となる、タロット日美子シリーズの第一弾!
  • 四十八人目の男
    -
    吉良邸に討ち入った浪士たちの中に小山田庄左衛門の姿はなかった。主戦論の先鋒だった彼が“義挙”に加わらなかったのはなぜか。脱盟した男の眼を通して武士の不条理を抉った大佛文学の傑作。佐多芳郎初の挿画32点入り。
  • ジェイン・オースティン
    3.8
    世の多くの人達は日常を退屈と見なし、さまざまな形でロマンティックな世界に憧憬を抱く。ところがここにロマン主義の弱点を見抜き、持前の機智とユーモアと皮肉と諷刺で平凡な日常を非凡な喜劇的世界に転じた作家がいる。漱石が「平凡の大功徳」を心得た写実の大家と絶讃し、山本健吉が「世界で一番平凡な大作家の一人」と評した、英国の天才女流ユーモリスト、ジェイン・オースティンである。その生涯と作品の全貌を描く。

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  • ストロベリー・フィールズ
    3.4
    「僕が今、女を感じてるのは、夏子先生だけです」  出版社社長・月川の後妻となった夏子は、夫の連れ子・りえの継母として、そして自らもクリニックを開業する女医として、七年余りの月日を平穏に過ごしてきた。しかし、りえの友人でロック・バーでバイトをする青年・旬と出会い、その危険なまでの若さに触れた夏子は、目を背けてきた己の渇きに気づかされてゆく……。  ひとりの女性の陶酔と孤独を描く傑作長篇。  〈解説〉稲葉真弓 〔著者のことば〕  誰もが、あからさまに「家族」の大切さを叫ぶ時代になって久しい。「家族」は人間にとって、最小単位の砦であり、「家族愛」ほど、愛の深さにおいて意味のある、健全で価値の高いものはないと見なされている。  とてつもなく嬉しいことが起こる。真っ先に誰に知らせたいですか、と聞かれる。誰もが「両親」「夫」もしくは「妻」「子供」と答える。  その健全さは微笑ましく、未来永劫、消えることはないかのように思われて、しかし、同時に、その健全な場所でこそ、人は苛立ったり、憎んだり、絶望したり、孤独の淵をさまよったりするのである。そこに「家族」がはらむ「魔」の部分がある。  (読売新聞2009年1月13日付、連載完結インタビューより抜粋)
  • 持たざる国への道 - あの戦争と大日本帝国の破綻
    3.8
    なぜ日本は世界を敵に回す戦争を起こしたのか? 今の日本人は、その意味を正しく捉えられているか? わかりやすい「欺瞞的な説明」を排し、軍事面や外交面にとどまらず、政府や日銀の政策を軸に「あの戦争」を再考。財務出身官僚が、新たな視点で描く戦前日本の「失敗の本質」。
  • 明治東京畸人傳
    5.0
    谷中・根津・千駄木。かつてこのまちを闊歩した二十五人の物語。お雇い外国人教師ベルツ、本妻と愛人を行き来したサトウハチロー、怪談と幽霊画の三遊亭円朝、昭和恐慌で没落したヂエモンとその一族……。地域雑誌を編集するなかで出会った、不思議な魅力あふれる人物たち。その路上の肖像を掘り起こす。
  • 江戸小咄散歩
    -
    粋な江戸っ子たちは、実際にどんな生活を送っていたのか? 当時の生活風景を映し出す小咄や川柳を引きながら、由緒ある江戸の町名ごとに市井の様子をよみがえらせる。現住所も併記し、江戸に思いをはせながら散歩するのに最適な一冊。
  • 北の秘密
    5.0
    六十歳――還暦という人生の節目を迎えた会社社長が、五千万円を持って失踪。10日後には、大学の同窓生がホテルの一室で絞殺された。ふたつの事件を結ぶ鍵は、35年前の北海道・洞爺湖に。
  • 明治を生きた男装の女医 高橋瑞物語
    -
    明治23年(1890)、横浜港を出航したドイツ汽船に乗っていた唯一の日本人女性、高橋瑞。 ドイツへの女子留学生、それも私費で渡ったのは瑞が最初だった――。  嘉永5年(1852)、西尾藩士の末っ子として生まれた瑞は幼い頃から利口な娘だった。 維新後に家は没落、未婚のまま長兄の家で子守として過ごす。 しかし、「瑞は学問をやるといい」という亡父の言葉を胸に24歳で家を出る。 旅芸人の賄い、住み込みの女中、短い不幸な結婚など、様々な職を経て、明治13年(1880)、前橋の産婆・津久井磯子の内弟子となる。 磯子の後押しで東京に出た瑞は、28歳で念願の学生となり、産婆の資格を取る。 だが、産婆では救えない命がある、医者になりたい―― 瑞は、女にも医術開業試験の受験を許可するよう、内務省への請願を始める。  この頃、荻野吟子(公許女医第一号)や生澤久野(同第二号)、本多銓子(同第四号)らも個別に請願を行っていた。 彼女らの動きが実り、ついに明治17年(1884)、女子受験者を迎えた初の医術開業試験が行われた。 瑞は女学生として初めて済生学舎に学んだ後、2年間の医学実習を終え、明治20年(1887)、公許女医第三号として医籍登録し、翌年、日本橋に「高橋医院」を開く。36歳だった。 医院は繁盛したが、1年半後、「もっと産婦人科学を究めたい」とドイツへの留学を決める。 女には大学で研究する道が閉ざされていたため、外国へ行くしか方法がなかったのだ……。 ドラマチックな高橋瑞の人生とともに、瑞が出逢い、見送った無名の女たちの運命、また、女医誕生への門戸を開いた仲間たちとの友情も感動的である。
  • マカン・マラン 二十三時の夜食カフェ
    4.6
    「苦しかったり、つらかったりするのは、あなたがちゃんと自分の心と頭で考えて、前へ進もうとしている証拠よ」 元エリートサラリーマンにして、今はドラァグクイーンのシャール。そんな彼女が夜だけ開店するお店がある。ここで提供される料理には、優しさが溶け込んでいて――。 仕事一筋の40代キャリア女性へ「春のキャセロール」。 手料理を食べない中学生男子に「金のお米パン」など、心と身体があたたまる四つの物語。 10年愛され続ける名作が、ついに文庫化! 〈解説〉ドリアン・ロロブリジーダ
  • 失われた手仕事の思想
    3.6
    野鍛冶、萱葺き、箕作りなど手仕事に生きる人々を全国に訪ね、技の伝承や職業的倫理観などを考察、「職人」を通して「仕事」の根本を考え直す。 第1章 消えた職人たち 第2章 輪廻の発想ーー尽きない材料 第3章 徒弟制度とは何だったのか 第4章 手の記憶
  • 里親と特別養子縁組 制度と暮らし、家族のかたち
    3.5
    実の親と暮らせない子どもたちはこの国で3万人を超える。彼らの成長を家庭内で支えていくのが、里親や特別養子縁組だ。前者は一時的に育てる公的養育で、後者は生涯にわたり親子関係が持続する。 それぞれの家庭で、親と子はどう暮らし、どんな思いを抱いているのか。血縁なく中途から養育する制度の意義や課題は何か。 子どもの支援のあり方に長年取り組む著者が、当事者へのインタビューなど多くの事例をもとに解説する。 ■本書の目次 まえがき 第1章 暮らしに困難を抱える子どもたち 子どもたちの困難/子どもの思い/親子の支援の充実と社会的養護/里親制度の活用/親との関係形成 第2章 親と別れて暮らす子どもたち 「大人の事情」の内容/子どもたちの育ちづらさ・育てにくさ/成育環境と子どもへの影響/家庭養育の要件/里親・特別養子縁組制度の概要 第3章 里親・養親になる 子どもの受託方法/養親・里親となるには/里親登録後子どもを受託する流れ/里親の種類と想定される家族像/民間機関を通しての受託/不妊治療を経ての受託/子どもを受託した里親/未委託里親の存在とそれへの対応 第4章 里親・養子縁組家庭での暮らし 親元を離れて暮らす子どもたち/里親家庭での安心感/里親の寛容な支え/里親家庭での養育の中断/自身の選択と里親家庭への適応/家庭養育のリスク/里親家庭への固執/生き続けるための思考/里親家庭での過酷な体験/里親夫婦への気遣い/特別養子縁組家庭での体験/養子として育てる意義とその理解/家庭で大切にされた体験/家庭での生い立ちに関する対話/家庭でのさまざまな人生 第5章 「中途養育」の喜びと困難 現代社会における養育の困難/新たな家庭での養育の始まり/実子がいて里親となる場合/「中途養育」への理解/試し行動とそれへの対応/里親養育と養育不調/養育の難しさと里親委託解除/生みの親と里親との間で/生みの親の存在への配慮/過去の関係の維持 第6章 過去とつながる 子どもの出自を知る権利/過去とつながる意義と真実告知/真実告知の内容/養子としての思い/真実告知後の疑問/告知されなかった思い/手記を振り返って/出自を告知されたその先/当事者を支える仕組みの必要性 終 章 里親・特別養子縁組のこれから 子どもの意見表明権の保障/子どもの永続的な暮らしの保障/委託に向けた体制の充実/里親と支援者との信頼関係形成/養育観と養育の社会化/複数の養育者体制の必要性/海外における複数養育体制例/社会的親の創造/これからの取り組み/出自を知る権利保障体制の整備 あとがき
  • 平安京は眠らない わかむらさきの事件記
    -
    元式部丞・藤原為時の娘で二十歳の小姫(のちの紫式部)は、創作の腕を評価され、左大臣源雅信の娘・倫子に「物語の女房」として仕えていた。小姫の書いた「光る君」を主人公とする短編は、貴族社会の一部で評判を取り、回し読みされている。倫子の要望に従い次々と執筆しているうちに創作の「種」に詰まってしまった小姫は、ある日、隣家の中流貴族の娘で幼馴染みの月乃に「取材」へ誘われる。女房たちの間で噂になっている七の宮の恋の真相を知るため、宮が女と逢瀬を重ねているという廃院に行ってみようというのだ。月乃の父の荘園を治める荘官の子・鶴丸を供に、廃院に向かった三人だったが……。 若き日の紫式部が、相棒とともに都大路の「謎」に迫る! 【目次】 第一話 六条の廃院 第二話 尋ねゆく幻術士 第三話 あこがれの草子 第四話 車争い 第五話 鳴滝参り
  • 陽炎の旗 続・武王の門
    3.0
    南北合一前夜、男たちの宿運が火花を散らす! ロマンあふれるもう一つの北方太平記 いまや並ぶ者なき力を手にした三代将軍・義満。しかし、海からやってきたある男の出現で、風雲急を告げる。男は、九州に大きな旗を打ち立てた征西将軍・懐良親王の血を継ぐ水師。さらに世を忍び剣で生きる足利直冬の一子が絡んだことから、三つ巴の宿運が時代のうねりを巻き起こすことに……。『武王の門』次世代による南北朝統一をめぐる壮大なドラマ。
  • ばあさんは15歳
    4.0
    おちゃめな孫娘と頑固なばあさん 2019年と1963年をまたぐ 二人の冒険の行く先は?   高校入学を目前に、ふとした異変で 昭和にタイムスリップしてしまった菜緒。 時はオリンピック前年。 口が悪く愛想なしの祖母を相棒に 東京タワーから始まる物語は 思わぬ出会いと発見にあふれて―― やがて明らかになる、ばあさんの封印された過去。 取り返しのつかない出来事を、菜緒は覆すことができるのか!? 「ひょお、こりゃ面白くなってきた」「まったく、バカまごといると疲れるよ」 愉快爽快、ラストに涙。阿川佐和子の長編小説。 挿絵 石川えりこ
  • 滅びの前のシャングリラ
    4.1
    「明日死ねたら楽なのにとずっと夢見ていた。 なのに最期の最期になって、もう少し生きてみてもよかったと思っている」 「一ヶ月後、小惑星が衝突し、地球は滅びる」。学校でいじめを受ける友樹、人を殺したヤクザの信士、恋人から逃げ出した静香。そして――荒廃していく世界の中で、人生をうまく生きられなかった人びとは、最期の時までをどう過ごすのか。滅びゆく運命の中で、幸せについて問う傑作。 〈巻末対談〉新井素子×凪良ゆう
  • 文豪と女 憧憬・嫉妬・熱情が渦巻く短編集
    3.0
    無垢な少女から妖艶な熟女まで一一。鴎外、花袋、荷風、漱石、谷崎、安吾、太宰たちが、憧れ、翻弄された女性たちを描く。女性は思春期を経て、恋愛・婚約・結婚に。悩みや荒みを抱えながら、やがては倦怠または不倫へと至ることも? 時代の変化に応じて、社会的自立や自覚が芽生えた主人公の生き様からは、近代日本の「女の一生」がみえてくる。 (収録作品) 森鴎外「杯」 田山花袋「少女病」 立原道造「白紙」 永井荷風「庭の夜露」 山川方夫「昼の花火 泉鏡花「雪の翼」 夏目漱石「硝子戸の中」 中島敦「下田の女」 谷崎潤一郎「青い花」 芥川龍之介「なぜソロモンはシバの女王とたった一度しか会わなかったか?」 高見順「強い女」 堀辰雄「辛夷の花」 坂口安吾「いずこへ」 久生十蘭「姦」 太宰治「葉桜と魔笛」
  • 古田織部 美の革命を起こした武家茶人
    3.8
    織田信長に仕えて調略の才を発揮した古田織部は、のち羽柴秀吉に従って天下取りに貢献。他方で茶の湯を千利休に学んで高弟となる。利休死後、特異な芸術センスで桃山文化に多大な影響力を及ぼし、公武にわたる広範な人脈を築いた。だが、大坂夏の陣で豊臣方への内通を疑われ、幕府から切腹を命じられる。その死の背景に、徳川政権の盤石を期す家康の思惑はなかったか――。美の世界に革命をもたらした稀有の茶人の実像に迫る。
  • そこにある山 人が一線を越えるとき
    4.0
    「なぜ本書が、(中略)かような一大傑作論考として結実したのかといえば、それは結婚が全部悪いのである。」(あとがきより) 「どうして結婚したんですか?」 この、デリカシーに欠けた、無配慮で苛立たしい“愚問”がもたらしたのは、人はなぜ冒険するのかという「最大の実存上の謎」への偉大な洞察だった! 人生の下り坂に入ったと自覚する著者が、探検家としての思考の遍歴を網羅した傑作エッセイがついに文庫化。 〈解説〉仲野徹(生命科学者) 目次 序 章 結婚の理由を問うのはなぜ愚問なのか 第一章 テクノロジーと世界疎外――関わること その一 第二章 知るとは何か――関わること その二 第三章 本質的な存在であること(二〇一九年冬の報告)――関わること その三 第四章 漂泊という〈思いつき〉――事態について その一 第五章 人はなぜ山に登るのか――事態について その二 終 章 人生の固有度と自由
  • アダムとイヴ 語り継がれる「中心の神話」
    4.0
    『旧約聖書』に登場する、最初の人間アダムとイヴ。二人の名前は「禁断の木の実」「楽園追放」などのキーワードとともに語られ、日本人にとっても馴染み深い。しかし彼らの物語から生まれた、文化、思想、文学・美術作品の多様さは、私たちの想像を遥かに超えるものがある。本書では、美術史的な解説・解釈にとどまらず、アダムとイヴが歴史上いかに語られ、いかに現代社会に影響を及ぼしてきたかを探っていく。
  • 旧約聖書の謎 隠されたメッセージ
    3.5
    「天地創造」をはじめとして、旧約聖書に描かれた物語は現在、その多くが神話と見なされている。だが、他方で「バビロン捕囚」のように、世界史の教科書で史実として扱われているものもある。本書では「ノアの方舟と洪水伝説」「出エジプト」「ダビデとゴリアトの一騎打ち」など七つの物語を取り上げ、その史実性を学問的に検証。物語に込められたメッセージをも読み解き、聖書が秘めた豊かな世界へと読者をいざなう。
  • 珍品堂主人 増補新版
    4.0
    風が吹かないのに風に吹かれているような後姿には、料亭〈途上園〉に夢を託した骨董屋・珍品堂主人の思い屈した風情が漂う――。善意と奸計が織りなす人間模様を鮮やかに描く。表題作に自作解説エッセイ、珍品堂との買出し紀行を綴った一文を併せた決定版。〈巻末エッセイ〉白洲正子
  • たそがれダンサーズ
    4.0
    1巻902円 (税込)
    今日もスタジオに集うのは、不思議なほど無気力な講師と、下手だが熱いおじさんたち。 出世競争、妻との微妙な関係、町工場の後継者問題など、苦い思いや痛手を負った中高年世代。 そんな彼らが打ち込むのは、男だけで踊る社交ダンス!  職場じゃなくても輝ける。いつもの景色が違って見える。 そのステップが胸を打ち、躍動、爽快、ときどき涙。 おじさんたちの〈もいちど青春〉物語!
  • 感染症の中国史 公衆衛生と東アジア
    3.6
    一九世紀末、列強に領土を蚕食されるなか、中国では劣悪な栄養・衛生状態、海外との交流拡大によって、感染症が猛威を振るう。雲南の地方病であったペストは、香港や満洲に拡大し、世界中に広がることになる。中国は公衆衛生の確立を迫られ、モデルを帝国日本に求める。本書は、ペスト、コレラ、マラリアなどの感染症被害の実態、その対応に追われる「東亜病夫」と称された中国の苦悩とその克服に挑む姿を描く。
  • 法と社会 新しい法学入門
    4.1
    社会においては個人の行動を規制し、秩序を維持していくことが不可欠であるが、これは主として「社会化」および「社会統制」という過程を通じて行なわれる。本書は、法を社会統制のための特殊な技術とみる立場からその社会的機能を論じ、法と他の文化領域――言語、神話、宗教、道徳などとの関係を明らかにする。古代社会や未開社会における社会秩序の問題にも考慮がはらわれており、従来の書とはやや異なった法学入門である。
  • 災害の日本近代史 大凶作、風水害、噴火、関東大震災と国際関係
    3.8
    東北大凶作、関東大水害、桜島大噴火、東京湾台風、そして関東大震災……。百年前の日本は、戦争だけでなく、自然の猛威により膨大な被災者を出していた。この時期は、世界各地でも巨大災害が続発。諸外国との支援をめぐる交渉が活発化し、“一等国”となった日本はその対応に迫られていた。本書は、巨大災害の実態から、対応、復興、影響、国際関係まで、民衆と国家の双方の視点から記していく。戦争で語られがちな日本近代のもう一つの現実を描く。
  • 「徴用工」問題とは何か 朝鮮人労務動員の実態と日韓対立
    3.3
    2018年秋、韓国最高裁は「徴用工」訴訟で韓国人被害者への賠償を日本企業に命じた。日本の最高裁でも、韓国の高裁でも原告敗訴だったが、なぜそれが一転したか――。本書は、日本統治下の朝鮮人労務者の実態から、今なぜ問題が浮上したかまでを描く。この問題は、歴史的事実、総動員体制、戦後処理、植民地主義、歴史認識、国際法理解、司法の性格など多岐にわたる。それらを腑分けして解説、日韓和解の糸口を探る。
  • 六国史―日本書紀に始まる古代の「正史」
    4.8
    奈良時代から平安時代にかけて編纂された歴史書「六国史」。七二〇年に完成した日本書紀から、続日本紀、日本後紀、続日本後紀、日本文徳天皇実録、日本三代実録までを指す。天地の始まりから平安中期の八八七年八月まで、国家の動向を連続して記録した「正史」であり、古代史の根本史料である。本書は、各書を解説しつつ、その真偽や魅力を紹介。また、その後の紛失、改竄、読み継がれ方など、中世から現代に至る歴史をも描く。
  • 憂き夜に花を 花火師・六代目鍵屋弥兵衛
    -
    「飢饉に沈む人々に元気を与えたい」。 男たちの熱い想いがあの花火大会を生んだ。 時は享保。江戸の町は飢饉に沈み、失業者、果ては餓死者までが出る始末。為政者ですら救えないこの町を、文字通り明るく照らそうとする男がいた。花火師・六代目鍵屋弥兵衛。困った人を放っておけないこの男は、江戸中の人を放っておけなかった――! 弥兵衛は自らの小さな工場に仲間を集め、ある計画を練り始める。大川(のちの隅田川)で、将軍の号令のもとに行われる「水神祭」。その場に江戸中の人を集め、一世一代の大仕掛けを披露することであった。
  • 明治維新と幕臣 「ノンキャリア」の底力
    4.0
    明治維新は、西郷隆盛・大久保利通・木戸孝允ら薩長土肥の志士が中心となって成し遂げたというイメージが強い。進取の気風に富む西南雄藩が、旧態依然たる江戸幕府に取って代わったのは、歴史的必然だったとさえ捉えられている。だが本当に幕府は無為無策で、すぐれた人材を欠いていたのか。本書は、行政実務に精通し、政権交代後も継続登用された中・下級の旧幕臣たちに光を当てるものである。明治維新への新たな視座。
  • カンブリア 邪眼の章 警視庁「背理犯罪」捜査係
    3.8
    1~3巻902~1,034円 (税込)
    《能力》って、そんなに役に立つものじゃないんですよ。 物を持ち上げたければ手を使えばいい。 誰かと意思疎通したければ、その相手と話せばいい。 でも、あることに限り絶大な効果があるんです。 それは――犯罪です。 三鷹の賃貸住宅で若い女性が死亡した。当初は急性心臓死と思われたが、尾島警部補と相棒の閑谷巡査は過去にも同じ部屋で女性の突然死があったことを突き止める。だが怪しいと睨んだ大家・水田をいくら調べても、証拠は出てこない。感じたことのない奇妙な感覚を抱く中、尾島はこの事件の鍵を握る青年と出会い……。 虚ろな瞳が見つめる先には、若い女性の標的が。 常軌を逸した犯罪者を、黒ずくめのクールな刑事が追う!
  • 幕府海軍 ペリー来航から五稜郭まで
    4.0
    ペリー来航などの「西洋の衝撃」を受け、1855年に創設された幕府海軍。長崎海軍伝習、勝海舟らによる咸臨丸の太平洋横断航海、幕長戦争などを経て近代海軍として成長してゆく。鳥羽・伏見の戦いにより徳川政権は瓦解し、五稜郭で抵抗を続けた榎本武揚らも敗れて歴史的役割を終えるが、人材や構想などの遺産は明治海軍へと引き継がれた。歴史研究者・現役海上自衛官の二つの顔を持つ筆者が、歴史と軍事の両面から描く。
  • インドの正体 「未来の大国」の虚と実
    4.0
    「ヨガとカレーとガンディーの国」から「人口世界一」「IT大国」「グローバルサウスを牽引する新興大国」へと変貌し、西側と価値観を共有する「最大の民主主義国」とも礼賛されるインド。実は、事情通ほど「これほど食えない国はない」と不信感が強い。ロシアと西側との間でふらつき、カーストなどの人権侵害があり、表現や報道の自由が弾圧される国を、本当に信用していいのか? 日本であまり報じられない陰の部分にもメスを入れつつ、キレイ事抜きの実像を検証する。この「厄介な国」とどう付き合うべきか、専門家が前提から問い直す労作。 まえがき 序章 「ふらつく」インド――ロシアのウクライナ侵攻をめぐって 第1章 自由民主主義の国なのか?――「価値の共有」を問い直す 第2章 中国は脅威なのか?――「利益の共有」を問い直す 第3章 インドと距離を置く選択肢はあるか?――インドの実力を検証する 第4章 インドをどこまで取り込めるか?――考えられる3つのシナリオ 終章 「厄介な国」とどう付き合うか? あとがき 主要参考文献
  • 出張料亭おりおり堂 あつあつ鍋焼きうどんと二人の船出
    完結
    3.0
    全1巻902円 (税込)
    一緒に幸せになってくれるか――? 老舗旅館の開かずの間は、仁と孝、二人の兄弟の秘密の過去に繋っていた。そして山田を排除し仁にすり寄る美女・エリカの目的も……。だが、虎之助やラウルという新たな人物の関与と山田の頑張りにより、仁を絡め取っていた因縁がほどける。そして、久々に振る舞う料理とともに、やっと自分の気持ちを打ち明けた仁に対し、山田の返事は――。 人気シリーズ最終巻!
  • 不倫―実証分析が示す全貌
    3.9
    既婚者が配偶者以外と性交渉をもつことを指す「不倫」。毎月のように有名人がスクープされる関心事だが、日本では客観的な研究がほとんどない。本書では、気鋭の社会学者と経済学者が大規模調査を敢行。実験的手法や海外の先行研究も活用して実態に迫る。経験者は何%か。どんな人が不倫しやすいのか。どこで出会い、いかに終わるか。家族にどんな影響があるか。誰が誰をバッシングするのか。実証分析により解き明かす。
  • 「美味しい」とは何か 食からひもとく美学入門
    3.6
    あるものを「美しい」「醜い」など評価するとき、私たちは何を考えているのか。評価を下す基準となる「センス」とは。こうしたことを考える学問が美学だ。本書は絵画や音楽ではなく、身近な食事からその扉を開く。「美味しい」「まずい」という評価は人それぞれ? レビューサイトの情報があると、純粋に食事を楽しめない?美食の感動は言葉にすべきじゃない? インスタントラーメンは芸術か? やさしくも奥深い美学入門。

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