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大久保家の人びと 天下動乱の父子獅子
天下の御意見番として知られた大久保彦左衛門。 その子孫である直参旗本の彦右衛門は、御書院番頭として、将軍家定に仕え、自身も〈天下の御意見番〉と呼ばれている。 ある日、家族総出で菩提寺に先祖供養に行ったおり、「寄進すれば、救われる」と叫ぶ、怪しげな修験僧たちに遭遇する。 それは、恐るべき陰謀の端緒だった。 黒船の来航で世情が騒がしくなるなか、千石の直参旗本の彦右衛門は、十二人の子供たちと孫たちとともに困難に立ち向かっていく。 各社で人気シリーズを持つ著者による書下し痛快時代小説の第二巻! 第一話 人を欺くなかれ 第二話 慈悲をもって 第三話 悪しき友とは 第四話 まずは民の利 井川香四郎 著作リスト -
観相同心早瀬菊之丞 毒の契り
江戸のシャーロック・ホームズ、同心菊之丞が江戸を駆ける! 好評書下し事件帳シリーズ第四弾! 俺の役目はあんたらの殺しを暴くことさ―― 黙って座ればぴたりと当たる、菊之丞の見立てが事件の鍵を解く! 南町奉行所定町廻り同心、早瀬菊之丞。相撲取りのような巨体に歌舞伎の悪役のような面倒はおよそ同心には見えぬ。 だが実は、上方で観相の大家・水野南北に師事した観相の名人。観相のみならず、骨相で相手の関節を外したり急所を一撃する技も持っている。 神田白壁町の呉服屋、近江屋の主・藤次郎は、女中奉公をしていたお清と深い仲になった。感づいた女房のお房は婿養子である藤次郎を折にふれ責め立て、ついには給金を半分にすると言い出した。 ある日、お房が用意した夕餉の味噌汁を一口飲んだ藤次郎が苦しみ出した。彼女が毒を盛ったのか?相棒の岡っ引「はげ寅」こと薬研の寅蔵とともに駆けつけた菊之丞は、お房に悪意の相が表れていないと見立て……。 第一話 ひょっとこ殺し 第二話 毒の契り 第三話 一炊(いっすい)の捕物 第四話 無礼討ち騒動 -
証言・ミッドウェー海戦 私は炎の海で戦い生還した! 新装解説版
運命の五分間── 太平洋戦争の転換点ミッドウェー海戦。空母四隻喪失という信じられない戦いの渦中で、それぞれの司令官は、艦長は、また搭乗員や一水兵は、いかに対処し行動したのか。”運命の五分間”の戦慄の時を迎えた空母「加賀」「蒼龍」乗組員や伊号潜水艦長など、壮烈な原体験を赤裸々に綴った決定的瞬間二十九篇を収載する。 大和ミュージアム艦長 戸髙一成氏の解説を新たに収録。 -
五峰の鷹
海を奔る男たちの壮大なる戦国叙事詩。 16世紀半ば、朝廷から金掘り御免の認可を得ていた山吹城主・三島清佐衛門は、大内氏から石見銀山の採掘権を得た筑前博多の豪商・神谷寿禎とともに開発を進め.、莫大な収益をあげるようになった。しかし、近隣に勢力を張る尼子氏によって家を滅ぼされ、幼かった清十郎は難を逃れて都で修行生活を送ることになる。やがて成長した清十郎は室町幕府の兵法指南所で頭角を現わし、お家の再興を目指し、海商・王直の知遇を得て貿易商人として才覚を見せ始める。なかでも鉄砲の威力には早くから注目、その扱い方や戦術を学ぶと共に、火薬や弾薬の原料となる硝石や鉛の流通を押さえる必要性も痛感し、戦国大名との交流の中で独特の地位を築いてゆく。その中で、父の敵ともいえる相手と対決、とらわれの身となった母とも再会。将軍・義輝にも重用されるようになり、奉行の役職を与えられるが、足利家の威光はすでに意味を持たなくなっていた。絶体絶命の危機を何度も乗り越え、清十郎は夢に近づいていく。 -
ミッドウェイ
戦争へと突き進む時局に押され、憧れの女性への思慕も個人の夢も捨て去り、戦闘機乗りに身を投じた日米の若者たち。爆撃を受け火だるまになる空母、次々と飛び立つ戦闘機。はからずも同じ女性の影を追っていたとも知らずに、降旗とロバート、それぞれの想いがミッドウェイの空に交錯する……。太平洋戦争の分岐点となった激戦ミッドウェイ海戦に正面から取り組んだ、著者渾身の戦記小説。 -
超高速戦艦「大和」
日本は軍縮条約の期限切れを待って、海軍の軍備拡張を計画。その目玉は新型戦艦だった。 だが、列強各国の関心を同艦から逸らすため、同時に甲型駆逐艦と一等潜水艦の建造予算を申請、同じ予算で水中を20ノットで潜航する新型高速潜水艦と、その潜水母艦の建造も決まる。 昭和16年12月7日、国家機密であった戦艦大和は最後の公試運転に臨み、主砲の発射実験に成功。翌日未明には、山本五十六連合艦隊司令長官が「トラトラトラ」の暗号文を受け取る。 そしてついに、翌年1月、戦艦大和は潜水艦・伊201型4隻と潜水母艦とともに、ボルネオ島沖へ急行し、初陣を迎えるのだった──。 忽然と姿を現した最新鋭の世界最強戦艦!その驚異的な活躍を描く傑作戦記シミュレーション!! この作品は2019年7月に刊行された「技術要塞戦艦大和 姉妹軍艦誕生!」および「技術要塞戦艦大和(2) 米空母撃滅戦!」プロローグ~第3章(ともに経済界刊)を上巻として再編集し、タイトルを改題したものです。 -
帝国時空大海戦
私立大理工学部4年の鳴神武人は、ウイルス・パンデミックの影響もあり就活に失敗する。希望も夢もなくし自殺も考えた鳴神であったが、ある日突然、時空転移能力を手に入れる。 不思議な力を宿した彼は、今の日本の現状を憂い、昭和8年に時空転移して日本改造による歴史の大修正を行い、『第三の日本』を作りあげることを決意する。 戦争を回避し新生日本を誕生させたかった鳴神だったが、日米開戦の時は刻一刻と迫る。米国に負ければ、また同じ道を辿る。歴史を知る唯一の男は、戦いに勝つために最新技術を導入し、日本の軍備増強に取り掛かるのであった! 果たして令和に生きる男は日米大戦を通じ、昭和から日本を変えることができるのか──。時空戦記シミュレーションの大傑作!! この作品は2021年5月に電波社より刊行された『帝国時空大海戦(1)』を加筆訂正したものです。 -
機巧のテロリスト 北のSLBMを阻止せよ
核ミサイルが40発黒潮に乗った! 日本を狙う悪魔の作戦か? 海自機雷処分ダイバー、特別警備隊緊急出動! 元幹部自衛官の著者が送る軍事アクション 弾頭は核か!? 厳寒の秋田に脱北者が漂着。SLBMを40発急造したと証言する。 北朝鮮に十分な能力の潜水艦はない。自衛隊情報部は、ミサイルを発射装置ごと海流に乗せ、日米に接近させると推測。折しも屋久島沖で北朝鮮貨物船からの重量物投下を確認した。 緊急出動した海自機雷処分員大越一尉、特別警備隊三杉一尉らは、日本を悪夢の奸計から守るべく決死行に挑む! -
太平洋海戦史
東条内閣の打倒,終戦工作で大きな役割を果たした高木惣吉少将.戦争終結から四年,本書は,海軍きっての知性派として知られた著者が,当時あたうかぎりの資料と情報を駆使し,太平洋での戦闘の詳細を記録した戦史である.真珠湾攻撃からレイテ沖海戦まで.作戦,戦術での過誤をも厳しく見つめ,冷静な筆致と客観的な分析で描写する. -
太平洋の試練
攻撃か、防御か。戦力か、情報力か 米国の若き海軍史家が“日本が戦争に勝っていた百八十日間”を日米双方の視点から描く。米主要紙絶賛の、まったく新しい太平洋戦史。 【目次】 序章 海軍のバイブル 第1章 真珠湾は燃えているか 第2章 ドイツと日本の運命を決めた日 第3章 非合理のなかの合理 第4章 ニミッツ着任 第5章 チャーチルは誘惑する 第6章 不意を打たれるのはお前だ -
魔王の黒幕 信長と光秀
天正10年6月、明智光秀は1万2000の軍勢を率いて丹波亀山城より出陣した。天下人・織田信長の命で、備中高松城を包囲する羽柴秀吉の後詰をするためだ。波瀾に満ちた我が人生と、亡き妻・煕子の献身に思いを馳せる光秀。思えば、信長に仕えてからの14年余――魔王の如き主の所業の陰には、常に自分がいた。「今は戦国乱世、闇に覆われた世だ。乱世の闇を掃うには、より巨大で濃い闇が求められる」。第六天魔王・信長の先達として駆け抜けた光秀の胸に、今、去来するものは……。 福井新聞好評連載、書籍化。 【目次】 第一章 疑惑 第二章 信長 第三章 魔王 第四章 決別 第五章 惟任 第六章 献身 第七章 決意 最終章 謀反 -
ペリリュー玉砕 南洋のサムライ・中川州男の戦い
戦死者10222名。最後に残ったのは34名。 玉砕から75年、いま明かされるペリリュー戦の全貌。 フィリピンの東、小笠原諸島の南西に浮かぶ島国パラオ共和国。 戦後70年の節目となる2015年4月8日、天皇皇后両陛下(現在の上皇上皇后両陛下)は、この国の南部に位置するペリリュー島を訪問され、日米それぞれの慰霊碑に献花された。 宿泊されたのは巡視船内、移動は大型ヘリという強行軍であった。 そうまでして両陛下が慰霊のために訪問されたのはなぜか。 この島こそ、太平洋戦争でも有数の激戦地でありながら、人々の記憶から消えようとしているからではなかったか。 ペリリュー島にあった大型空港の確保を狙う米軍の総兵力は約4万2000人。 主力は米軍最強ともうたわれた第一海兵師団であった。 いっぽう日本の守備隊は約1万人。寡黙な九州男児である中川州男大佐に率いられた「陸軍最強の精鋭部隊」との声もある水戸の歩兵第二連隊が中心である。 自滅覚悟の「バンザイ突撃」を禁止し、太平洋の防波堤たらんと、守備隊は島じゅうに張りめぐらせた地下壕を駆使して、74日間にもおよぶ徹底抗戦を試みる。 昭和天皇から発せられた「お褒めのお言葉」(御嘉尚)は異例の11回。 米第一海兵師団は史上最悪ともいわれる損害をこうむった。 中川大佐の人生、満洲から転戦した歩兵第二連隊の記録を追いつつ、ペリリューでの壮絶な戦闘を、帰還兵の貴重な証言や現地取材などを通じて描き出すノンフィクション。 -
くせものの譜
武田、北条、佐々……仕えた家が軒並み絶家! 厄神と呼ばれた男・御宿勘兵衛の生涯。 武田の遺臣として、数多の主家を渡り歩いた御宿勘兵衛(みしゅくかんべえ)は、何を求めて大坂城へ入ったのか? 武田家滅亡から、大坂の陣まで――仕えた家が次々と滅びることから、その武勇に反して「厄神」と忌み嫌われた御宿勘兵衛。 そして、時代に迎合することなく己の夢と覚悟を貫いた依田信蕃や久世但馬など、勘兵衛と関わった度し難い男たち。 「天正壬午の乱」「さらさら越え」「小田原征伐」「越前騒動」「大坂の陣」など勝者の側ではなく滅び行く者たちからみた戦を描く。 気鋭の著者が腕をふるった、時代に選ばれなかった曲者たちの物語。 解説・縄田一男 -
不死身の特攻兵 軍神はなぜ上官に反抗したか
太平洋戦争末期に実施された"特別攻撃隊"により、多くの若者が亡くなっていった。だが、「必ず死んでこい」という上官の命令に背き、9回の出撃から生還した特攻兵がいた。その特攻兵、佐々木友次氏に鴻上尚史氏がインタビュー。飛行機がただ好きだった男が、なぜ、絶対命令から免れ、命の尊厳を守りぬけたのか。命を消費する日本型組織から抜け出すには。 -
零戦、かく戦えり! 搭乗員たちの証言集
生命を賭けて大空を飛んだ男たちの証言。 昭和15年、中国大陸での衝撃的なデビュー、真珠湾からラバウル航空戦、そして終戦間際の神風特別攻撃まで。現場にいた男たちが綴る。 「零戦搭乗員会」とは1978年に発足し、2002年まで運営された旧海軍搭乗員の会である。 その後継団体として発足した「零戦の会」が、「零戦搭乗員会」の会報「零戦」に掲載された回想を中心に、会員の私家版、雑誌記事などを加えてまとめたものが本書だ。 【目次】 第一章 零戦前史--海軍戦闘機隊の草創から支那事変まで 第二章 零戦の登場 第三章 大東亜戦争開戦 第四章 珊瑚海からミッドウェーへ 第五章 空と海を紅に染めて--死闘ソロモン 第六章 マリアナ沖から比島攻防戦へ 第七章 沖縄--本土防空戦 付 追悼・開発・復元 資料 海軍搭乗員の養成コース、関連年表ほか ※本書は『零戦、かく戦えり!』(文春ネスコ)を再編集したものです。 -
肉弾 旅順実戦記
日露戦争の激戦から瀕死の重傷を負いながら生還した一将兵による実戦記。戦場の有様と兵士たちの心情を描いた本作品は世界的に評価され、各国で翻訳された。だが、ここから生まれた「肉弾」という造語はやがて精神主義の標語として悲惨な戦争に迎えられていく。稀代の問題作を、百余年を経て新字新仮名にて初文庫化、初電子書籍化した。 〈解説〉長山靖生 -
暁の珊瑚海
井上成美が統率した日米、世紀の海空戦! 史上初めての空母対空母の決戦「珊瑚海海戦」の5日間の攻防。人間井上の戦略観を基底に日米文明の対決を描く。錯誤の海戦の全貌とは -
松本清張への召集令状
昭和18年の秋、家族六人を支える中年の版下職人、松本清張のもとへ突然の召集令状がきた。34歳にして戦場へ送られた体験がこの作家の根底に残した深い傷へ、担当編集者だった著者が迫る。 -
特攻とは何か
自爆テロには断じて非ず、あの戦法の真実を描く 太平洋戦争末期に散った若者たち。彼らの悲劇はなぜ生まれたのか? 特攻の生みの親・大西瀧治郎海軍中将たちの苦悩と葛藤を描きだす -
「昭和天皇実録」の謎を解く
最強メンバーは1万2000ページに及ぶ 激動の記録をどう読んだか? 初めて明らかにされた幼少期、軍部への抵抗、開戦の決意、聖断に至る背景、 そして象徴としての戦後。天皇の視点から新しい昭和史が浮かび上がる。 第一章 初めて明かされる幼年期の素顔 第二章 青年期の栄光と挫折 第三章 昭和天皇の三つの「顔」 第四章 世界からの孤立を止められたか 第五章 開戦へと至る心理 第六章 天皇の終戦工作 第七章 八月十五日を境にして 第八章 “記憶の王”として -
同日同刻――太平洋戦争開戦の一日と終戦の十五日
太平洋戦争中、人々は何を考えどう行動していたのか。敵味方の指導者、将軍、兵、民衆の姿を、著者の蒐集した膨大な資料を基に再現。開戦の日、昭和16年12月8日と終戦にいたる昭和20年8月1日から15日までの、同日同刻の記録が戦争に翻弄された人間の狂気、悲劇、愚かしさを焙り出す。 -
算法少女
父・千葉桃三から算法の手ほどきを受けていた町娘あきは、ある日、観音さまに奉納された算額に誤りを見つけ声をあげた……。その出来事を聞き及んだ久留米藩主・有馬侯は、あきを姫君の算法指南役にしようとするが、騒動がもちあがる。上方算法に対抗心を燃やす関流の実力者・藤田貞資が、あきと同じ年頃の、関流を学ぶ娘と競わせることを画策。はたしてその結果は……。安永4(1775)年に刊行された和算書『算法少女』の成立をめぐる史実をていねいに拾いながら、豊かに色づけた少年少女むけ歴史小説の名作。江戸時代、いかに和算が庶民の間に広まっていたか、それを学ぶことがいかに歓びであったかを、いきいきと描き出す。 -
三国志
日本では卑弥呼が邪馬台国を統治する頃、中国は後漢も霊帝の代、政治の腐爛は黄巾賊を各地にはびこらせ、民衆は喘ぎ苦しむ。このとき、楼桑村の一青年劉備は、同志関羽、張飛と桃園に義盟を結び、害賊を討ち、世を救わんことを誓う。――以来百年の治乱興亡に展開する壮大な世紀のドラマ。その華麗な調べと哀婉の情は、吉川文学随一と定評のあるところである。 -
大あばれ 三人若殿
旗本家の厄介者、三人、何者にもなれぬ明日を自らの手で切り拓く! 由緒正しき血を引きながら、邪魔者扱いされる若殿たち。 部屋住、ヤクザ、女装の三人が出会い、共に闘う! 公事騒動の顛末は? 若月誠太郎は旗本家の厄介者。写本を内職に食い繋いでいる。ある日、手にした白樺の樹皮の裏に書かれた異国の文字が誠太郎を事件に巻き込んでいく。そんな誠太郎の前に現れた公事宿のヤクザ稼業・龍次兄ィと女装のお喝頼政もどうやら御家の厄介者。一方、行方を晦まし悪の手に堕ちた、誠太郎の竹馬の友・津村弥之助は殺し屋の仕事を請け負わされようとしていた…。 『大富豪同心』で人気の幡大介、新シリーズ -
となりの閻魔1 あらたな出会い
「わしは悪人は嫌いだ、だが罪を憎んで人を憎まずじゃ!!」 すずめ長屋の「となりの閻魔」が江戸に涼風を吹かせる! 元火付盗賊改、いかつい隠居老侍が、浪人志願の若侍とともに大活躍! かつて火付盗賊改に「閣魔の龍巳」ありと、江戸中にその名を知られた遠藤龍巳。今は隠居して町場の長屋でのんびり一人暮らし、のはずだった…。浪人志願の若侍の面倒をみたり、人殺しの下手人にされそうな掏摸を助けたり、かどわかされた子供を捜したりと、江戸の町を木刀片手に奔走することに。顔はいかついが心は優しい老侍の、罪を憎んで人を憎まずの爽やか物語の開幕! -
新・小料理のどか屋 人情帖1 再起の灯
大火に襲われたのどか屋が装いも新たに再出発! 悲しみのあとには喜びが、夜のあどには朝が来る。 江戸の人情と味覚が詰まった大好評『小料理のどか屋人情帖』シリーズに続く、新シリーズ第1弾! 江戸の街に火事は付き物だ。のどか屋も炎に呑まれた。泊まり客を逃がそうとした時吉、おちよも犠牲となってしまった……。悲しみの中で途方に暮れる二代目千吉とおかみのおようを支え、励まし、力を与えてれるのは、のどか屋の常連客であり、長年のゆかりの人びとだ。災禍を乗り越え、のどか屋の檜の一枚板や豆腐飯は蘇るのか? 江戸は負けず、だ! 気張れ、千吉!! -
指物師一太郎なりわい帖
「痕跡は必ず残る!」 市井の職人の意地に懸けて、悪事は許さない! 鏡台に映る見知らぬ女の顔。 若き指物師と仲間四人は犯罪の臭いを嗅いで探索を始めた。 やがて明らかになるのは、底知れぬ江戸の闇! 指物に使い手の想いが刻まれ――新シリーズ第1弾 長屋の人気者・一太郎は腕は確かな一介の指物職人。指物を通じて人が幸せになれるよう願う毎日だ。だが、彼の指物にはなぜか使い手の想いが刻まれている。殺された宿屋の女将が鏡台の中から睨んでいる――。事件はそこから始まった! 捨ててはおけぬと仲間たちと立ち上がる。師匠が遺した指物に刻まれた文字から浮き彫りにされる女の不幸な生い立ちとは? 胸の空く全四話。 -
火盗改同心事件帖1 白虎と青龍
生家を離れ立ち上がる縁深き二人の若者。 役目は火盗改同心! 頭の矢部定謙が恃みは、若き龍之介と虎次郎のみ。 辻斬り旗本を追い詰め、博徒・三之助の黒い思惑を暴かんと命を賭ける! 故あって乳兄弟として育った白井虎次郎と青田龍之介。幼き頃は辰吉と呼ばれていた龍之介が御先手同心となったのを機に虎次郎もまた同心となる。出自は共に部屋住の厄介者だが、足りぬを補い合い、悪に立ち向かう覚悟だ。火盗改の頭・矢部定謙の下で、武家奉公を隠れ蓑とする悪党、中間頭の三之助の思惑を叩き潰し、召し捕る密命は果たし得るか? 小柄な美男・白井虎次郎と無骨な大男・青田龍之介、新シリーズ第1弾! -
おてんば剣法ごめんあそばせ
妹は男まさりのお転婆、双子の兄は優しい性格。 誰も驚く妹の大変身! 父は双子兄妹の先を考え、剣術と踊りを習わせるが、入れ替わって妹が剣士に。 大名姫君の剣術指南に抜擢され奥女中となった妹は… 深川の道具屋の娘お光は男まさりのお転婆、双子の兄・清太郎はおとなしく引っ込み思案だった。悩んだ父親はお光に踊りを、清太郎には剣術を習わせるが、気が付いたら二人は入れ替わっていたのだった。剣に秀でたお光は大名家で奥女中として姫様に剣術指南をすることになり、姫様に竹刀を持たせようとするのだが…。ある夜、お光は、屋敷に入り込んだ盗っ人を捕縛して…。 -
忍び同心捕り物控
奉行しか出自を知らぬ謎の若手同心・一之進。 その手には棒手裏剣!! 人を殺め、奉行の娘を拐す、猫目源左の目的とは? 飛び苦無を自在に操る敵を追い詰めることができるか!? 鎖帷子を纏い一之進が疾る! 十三歳の丁稚・伊那が惨殺された。心の臓を一突きにした得物はいったい何なのか? 商家から武家屋敷へと魔の手を伸ばす盗賊を追い詰めるべく、橋場一之進の探索が始まる。昼は南町奉行所に繋がる一介の同心。しかし、その正体は…表に出してはならぬ掟に縛られた素破の生き残り。探索の最中、一味に拐かされた南町奉行の娘・久美を一之進は救うことができるか? 異色の同心が誕生した! 新シリーズ第1弾 -
幕末時そば伝 新装版
井伊大老就任も、公武合体も、大政奉還も!? 熊さん、八つぁんが大活躍!? 粗忽長屋の面々が 歴史を変える!? 爆笑の落語&日本史ミステリ! 公武合体から大政奉還まで 歴史は長屋で作られる!? 藩主の嫡男・熊川吉右衛門は跡継ぎ問題で争う一派から襲われ崖から落下。一命は取り留めたが、着物も奪われ記憶を無くし、江戸の粗忽長屋に流れ着く。 一方、帝の忍びが暗躍する影の組織は、井伊直弼の大老就任を止めようと画策、飛鳥山へ向かうが… 熊公や八五郎ら粗忽長屋の面々が、なぜか幕末の歴史を大逆転、爆笑必至の落語&日本史ミステリー。 目次 第一部 殿と熊 異譚・粗忽長屋 異譚・千早振る 異譚・湯屋番 第二部 陰の符合 異譚・長屋の花見 異譚・まんじゅう怖い 異譚・道具屋 異譚・目黒のさんま 異譚・時そば 解説 有栖川有栖・関根亨 -
鶴は戦火の空を舞った
ライト兄弟からわずか10年、戦闘機は「凧のお化け」から急速に進化し、第一次世界大戦の実践に投入された。日本軍で招集された操縦訓練生の一人、錦織英彦は持ち前の体力と視力で操縦センスを発揮。しかし上司に好かれず任務から外されてしまう。「地上」から自由になりたい! しがらみを捨て、自由に飛びたいと思った英彦は、フランスでピロット(戦闘機乗り)になった先人のことを知り海を渡る。アス(エース)を目指す新たな挑戦が始まった――。近代を舞台にして、ひとりの若者のドラマとして描かれる「航空機事始め」。新時代の歴史小説誕生! -
道連れ彦輔
「道連れ稼業は、冗談抜きの命懸けの仕事でござんすよ」 江戸の旅情あふれる傑作時代小説! この娘はもめごとの種になる―― 素性も分からぬ美少女の道連れ(付き添い)で 中山道を旅する彦輔を数々の難関が待ち受ける。 「この仕事は、ただ剣の腕が立つだけでは、務まらんのよ」。鹿角(かづの)彦輔は、手間賃さえ出れば細かい事は穿鑿しない「道連れ(付き添い)」稼業。江戸小人目付け・神宮より請け負ったのは、口のきけない美少女菊野の道連れだった。目的も娘の正体も知らされぬまま、中山道を進む一行に怪しい影がつきまとう。予測不能の長い旅が始まる! 口絵・挿絵 深井国 -
善意の寺
南町奉行所定町廻り同心、早瀬菊之丞。相撲取りのような巨体に歌舞伎の悪役のような面倒はおよそ同心には見えぬ。だが実は、上方で観相の大家・水野南北に師事した観相の名人。観相のみならず、骨相で相手の関節を外したり急所を一撃する技も持っており、相棒の岡っ引、「はげ寅」こと薬研の寅蔵とともに探索に当たっている。ある日、寅蔵は道端で加藤主水と名乗る浪人に一発十文で殴ってくれと迫られた。相模国三崎藩のお家騒動で国を追われ、困窮の末に殴られ屋となったのだ。数日後、寅蔵は加藤が湯島・東観寺の寺男となったと知る。住職の妙斎が同郷の誼で三崎藩の浪人を救済していると評判の寺だ。だが寅蔵に誘われ、寺を訪れた菊之丞は、寺に悪意が膨らんでいるという……。黙って座ればぴたりと当たる、江戸のシャーロック・ホームズ菊之丞の活躍を描く、好評書下し事件帳シリーズ第三弾! -
海賊とよばれた男
すべてのビジネスマンに捧ぐ。 本屋大賞の話題作、早くも文庫化! ページをめくるごとに、溢れる涙。これはただの経済歴史小説ではない。 一九四五年八月十五日、敗戦で全てを失った日本で一人の男が立ち上がる。男の名は国岡鐡造。出勤簿もなく、定年もない、異端の石油会社「国岡商店」の店主だ。一代かけて築き上げた会社資産の殆どを失い、借金を負いつつも、店員の一人も馘首せず、再起を図る。石油を武器に世界との新たな戦いが始まる。 石油は庶民の暮らしに明かりを灯し、国すらも動かす。 「第二の敗戦」を目前に、日本人の強さと誇りを示した男。 -
雑賀の女鉄砲撃ち 鋼輪の銃
紀州雑賀は宮郷の太田左近の娘・蛍は、射撃術の研鑽に生涯をかける女。 秀吉に太田城を水攻めで落とされ、父母姉妹と一族を失った。秀吉への復讐を誓い、新開発の鋼輪銃を手に戦場を駆ける。義賊・石川五右衛門と大坂城に潜入したり、徹底的に豊家に抗うのだった。義なき朝鮮出兵に立ち向かうため半島に渡った蛍は、帰国後、関ヶ原へ赴く……。戦国を鮮烈に駆け抜けた女鉄砲撃ち再び! (歴史時代冒険長篇) <目次> 序章 忍城水攻め 第一章 往き残りしものたち 第二章 鋼輪の銃 第三章 盗賊石川五右衛門 第四章 伏見築城 第五章 殺生関白 第六章 残火再燃 第七章 玉女略奪 第八章 天変地異人為 第九章 慶長の役 第十章 家康策動 第十一章 天下分け目 第十二章 関ヶ原に踊る 終章 泰平の世 -
ミッドウェー戦記
当時、日本海軍機動部隊は世界最強の実力を誇っていた。太平洋戦線における稼働隻数、戦闘機の性能、搭乗員の伎倆と多くの点で米軍を凌ぎ、米国側も「勝ち目なし」と悲壮な覚悟を固めていたほどだった。にもかかわらず、なぜ日本は敗れたのか? 今となっては貴重な、将兵たちへの直接取材をもとに著す傑作戦記。 -
出星前夜
キノベス1位&大佛次郎賞受賞作! 大佛次郎賞+キノベス第1位の2冠に輝いた、歴史超大作! 寛永14年(1637)、突如として島原を襲った傷寒禍(伝染病)は、一帯の小児らの命を次々に奪い始めた。有家村の庄屋・鬼塚甚右衛門は旧知の医師・外崎恵舟を長崎から呼ぶが、代官所はあろうことかこの医師を追放。これに抗議して少年ら数十名が村外れの教会堂跡に立てこもった。 折しも代官所で火事が発生し、代官所はこれを少年らの仕業と決めつけ討伐に向かうが、逆に少年らの銃撃に遭って九人が死亡、四人が重傷を負った。 松倉家入封以来20年、いっさいの抵抗をしてこなかった旧キリシタンの土地で起こった、それは初めての武装蜂起だった‥‥。 結局は幕藩体制そのものに抗うことになる海民・土豪らの絶望的な戦いがここから始まる。向かう先は破滅にほかならなかったが、それでも彼らが戦うことを選んだのはなぜだったのか? 原稿枚数1200枚! 大部ながら一気に読ませる本作もやはり「飯嶋和一にハズレなし!」である。 -
駆逐艦入門 水雷戦の花形徹底研究
日露戦争で絶大な威力をしめし、第一次大戦でその戦術が確立された駆逐艦―世界の烈強に衝撃をあたえた“特型”艦をはじめ、個艦優越にかけた日本海軍が造り上げた名駆逐艦のすべてを詳解するビジュアル決定版。酸素魚雷・次発装填装置・長十センチ砲など搭載兵器から各国代表艦も網羅。写真図版三百五十点。 -
我、鉄路を拓かん
「日本初の鉄道が、海の上を走る!」明治の初め、新橋~横浜間の鉄道開設は、新政府肝煎りの一大事業だった。用地取得ができず、海上を走らせる部分もある難工事。勝海舟からアメリカの蒸気車の話を聞き、政府の役人・井上勝から頼まれて、芝~品川間の海上に建設する「築堤」部分を請け負ったのが、本書の主人公・平野屋弥市である。工期は二年余りと短く、失敗は許されない。弥市が集めた仲間に井上勝、そしてイギリスからやって来た技師エドモンド・モレルも加わったチームが、至難のプロジェクトに挑んでいく。予想外の事故に翻弄されつつ、夢を実現していった男たちの姿を活き活きと描いた傑作長編。近代化に向けて一歩を踏み出した頃の日本を、庶民の目線から描いた物語である。 ※本書は、2022年9月に刊行された『我、鉄路を拓かん』を文庫化したものです。 -
螢草
NHKでもドラマ化された心温まる名作 16歳の菜々が奉公に上がった風早家には、身分の分け隔てなく接してくれる主の市之進、優しい奥様の佐知と二人の可愛い子供たちが居た。 そそっかしいが、とことん真っすぐな性格の菜々は、失敗しながらも風早家に精一杯尽くしていく。 実は、菜々は武家の出。藩内の不正を明らかにしようとした父が切腹に追い込まれた後、出自を隠し母方の実家に身を寄せていた。 やがて佐知は結核で亡くなり、藩内の不正を正そうとする市之進も卑劣な謀略に嵌められる。 黒幕は無念の死を遂げた父の仇だった。 風早家の幼き二人の子を守るため菜々は孤軍奮闘し、一世一代の大勝負にでる──。 NHKのBS時代劇でドラマ化(清原果耶さん主演)されている痛快な時代エンターテインメント! -
川あかり
藩で一番の臆病者が暗殺を命じられ…… 「何度、泣いたことか。何度、笑ったことか。 生活に疲れた時、ふと気づくとこの本を手に取っている」──島内景二 豪雨で川止めとなった巨勢川の土手に呆然と佇む若侍。 藩で一番の臆病者・伊東七十郎が命じられたのは家老の暗殺。 雨が止み、川明けになれば、勝ち目のない決闘に挑む運命にある七十郎は、 怪しげな宿で、いわくありげな同宿者たちに出会う。 個性の強すぎる面々に戸惑いながらも、やがてそれはかけがえのない日々となるのだった──。 「おじいちゃんがよく言うのです。 日が落ちてあたりが暗くなっても、川面だけが白く輝いているのを見ると、元気になれる。 なんにもいいことがなくっても、ひとの心には光が残っていると思えるからって」(本文より) 人の心を震わせる名手による珠玉の一冊。 単行本 2011年1月 双葉社刊 文庫版 2014年2月 双葉文庫刊 文庫版 2025年7月 文春文庫刊 この電子書籍は文春文庫版を底本としています。 -
東京新大橋雨中図〈新装版〉
第100回(1988年下半期)直木賞受賞作 明治初年の東京を舞台に、「最後の木版浮世絵師」となった 小林清親の半生を描く傑作時代小説。 失われつつある江戸の情景への愛惜、一世を風靡した「光線画」の凋落。 時代の激動に呑み込まれて沈みゆく人々と自身へのやるせなさを噛みしめる清親の、優しさゆえの苦悩と新時代へかける想いが交錯する。 「いかにも好もしい男」――解説・田辺聖子 単行本 1988年11月 新人物往来社刊 文庫版 1991年11月 文春文庫刊 文庫新装版 2025年1月 文春文庫刊 【この電子書籍は文春文庫新装版を底本としています。2022年11月に電子版配信を開始した同タイトル作の表紙を一新したものであり、作品内容に変更はありません。】 -
孤剣の涯て
家康が呪われた。謎の呪詛者を宮本武蔵が追う! 満場一致で第12回本屋が選ぶ時代小説大賞を受賞! 徳川家康にかけられた「五霊鬼の呪い」。 どんでん返しの連続! 謎の呪詛者の正体を宮本武蔵が追う──! 大坂の陣前夜、天下統一を果たした家康を呪詛した「呪い首」が発見される。 呪いをかけた者を突き止め、生け捕りにする依頼を受けた武蔵。 太平の世も近づき、己の剣はもはや時代遅れになったことを痛感し、 依頼を拒んだ武蔵だったが、 たった一人、自分を一途に慕っていた弟子が呪詛者に惨殺されたことを知る……。 乱世が終焉を告げる中、滅びゆく者たちの最後の戦いが始まる。 血湧き肉躍るエンターテインメントにして、読む者の心を震わせる傑作。 五霊鬼の呪いの言い伝えとは── 一、諱(いみな)を刻まれた者は二年のうちに呪い殺される。 二、呪いを解くには、妖かし刀で呪詛者を殺さねばならない。 三、妖かし刀を破壊すると、破壊した者と呪詛者の九族が死に絶える。 -
悪将軍暗殺
片腕を失った少女には、全てを見通す“目”があった 襲撃によって父と生き別れ、片腕を失った少女・小鼓。生き残るために戦う中で、彼女は本当の敵は誰なのかに気づく。渾身の歴史小説! 足軽の父と暮らす少女、小鼓(こつづみ)の日常は、都から来た高僧・義圓(ぎえん・後の足利義教)の襲撃により奪われた。左腕を失い父と生き別れた小鼓は、やがて自分に“軍略の才”がある事に気づき……。数多の戦場を仲間たちと駆け抜けながら、小鼓は京を「万人恐怖」で支配する義教への復讐を誓う。著者渾身の傑作歴史小説! 解説・天野純希 ※ 単行本『千里をゆけ くじ引き将軍と隻腕女』2021年3月刊 文春文庫版『悪将軍暗殺』に改題 2024年2月刊 この電子書籍は、文春文庫版を底本としています。 -
江戸の夢びらき
初代〈市川團十郎〉空前の一代記 〈荒事〉の開祖にして最後は舞台上で刺殺されたカリスマ。謎多き初代團十郎の生涯を元禄の狂乱と江戸歌舞伎の胎動とともに描き切る。 命を燃やすが如き〈荒事〉によって歌舞伎を革新し、元禄の江戸を熱狂させた初代・市川團十郎。民衆から信仰にも近い人気を得て、今なお愛される名演目と斬新な演出を生み出した不世出の天才役者はなぜ舞台上で殺されたのか。謎多き生涯と芸の神髄に迫る圧巻の一代記。巻末エッセイ・岸田照泰(成田山新勝寺中興第22世貫主) ※この電子書籍は2020年4月に文藝春秋より刊行された単行本の文庫版を底本としています。 -
戦場の希望の図書館
2015年、シリアの首都近郊の町ダラヤでは、市民が政府軍に抵抗して籠城していた。政府軍に空爆されるなか、人々は瓦礫(がれき)から本を取り出し、地下に「秘密の図書館」を作った。ジャーナリストの著者は、図書館から彼らが得た希望を記録していく。図書館に安らぎを、本に希望を見出した人々を描く感動のノンフィクション! -
血と炎の京 私本・応仁の乱
行間から血の匂いが立ち上ってくるかのような迫力。 応仁の乱を描いた小説中の最高峰だ。――田中芳樹 応仁の乱――それは地獄の戦さだった。 かつて栄華を誇った都は燃え落ち、縦横に走る塹壕に切り刻まれ、泥と屍に覆いつくされた。 連なる屋敷は高い土壁に守られて砦と化して、中枢は地下の壕内に設けられた。 日が沈めば夜襲が行なわれ、矢が飛び交い、兵どもは無造作に殺されてゆく。 そこにあったのはあたかも近代戦争のごとき総力戦、終わりの見えぬ中で人間がひたすら消費されてゆく戦だった。 行軍中に東軍・細川勝元が拾った瀕死の男。 額に「犬」の文字の刻まれた男は、西軍の山名宗全に虐殺された集落の生き残りだった。 男は宗全への憎悪を胸に、地獄の戦場に血路を切り開く。 しかし敵方には中国渡りの最新兵器たる投石器を駆使する軍師がおり、苦戦を強いられる。 一方、この大戦さの中にあって、これを収拾しようという姿勢もみせぬ将軍・足利義政の妻・日野富子は、 渇いた心の救いを希い、戦火のなかを蓮如に面会すべく動き出そうとしていた。 京を灰燼に帰した応仁の乱とはいかなる戦争であったのか。 その血みどろの風景を壮絶に描きつくす書き下ろし歴史伝奇小説。 -
真田昌幸 家康が怖れた機略縦横の智将
豊臣秀吉なきあと、天下統一をめざす徳川家康を、縦横な軍略と、勇猛な戦いぶりで、さんざん手こずらせ、「信濃の生んだ諸葛孔明」と称された、文武両道の名将・真田昌幸。群雄割拠の戦国の世をしたたかに生き抜いた彼には、「乱世に苦しむ民草のために、天下は統一されるべきだ」という信条があった。彼は、常に、その思いに順じて動いて行く。低い身分からはい上がり、天下統一を成し遂げた秀吉に仕えたのも、朝鮮進出などの野心的暴挙に幻滅したのも、そして、長篠の戦いの際、信長の陰にかくれ、自軍と堂々と戦おうとしなかった家康を、生涯認めず、彼の下に入ることを潔しとしなかったのも、昌幸の、この一途な感性ゆえであった。常に利よりも義に厚かった男。戦うと決めたら自ら先頭に立ち、剣をふるった男。武士とは何かをいつも考え、その理想に一歩でも近づこうと努力を怠らなかった男……そんな武将の生き様を鮮烈に描き上げた、力作長編小説。 -
立花宗茂
筑後柳河十三万石の領主立花宗茂を描く長編小説。秀吉をして「鎮西一の忠勇、天下無双の勇士なり」といわしめた宗茂の生涯は、戦っては義戦多く、常に寡兵をもって大軍を破り、その生きざまは信義一筋、まことに誠実・清廉なものであった。これは実父高橋紹運、養父立花道雪という両父の高潔な生き方を範としており、ゆえに本編は、この三人の父子像が中心のテーマとなっている。ともに大友家の加判衆であった両父は、当主宗麟を守り立てる立場にある。たとえ非道な仕打ちにあったとしても、決して当主を見放さず、己の運命として受けとめ、恥じることのない生涯を終えるのである。この愚直なまでの廉潔な生き方を、著者は現今の知的ノウハウ重視の風潮に対するアンチテーゼとして提示、また自立する女性として描かれる妻ぎん千代と宗茂との葛藤も、今日的なテーマとして見事に描出している。現代人の心を癒し、人間の温もりをほのぼのとつたえる力作である。
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