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Posted by ブクログ
漫画『シグルイ』の原作というので読んでみた。
この本では全部で十一番の真剣試合が描かれているが、漫画の方は最初の一試合を描くのに七年十五巻を要して居る。
この調子で行けば完結に後五十年以上かかるためか、一試合目までで漫画は終わっている。
折角なので全試合描いてもらいたいものだと思いながら原作を読んだ。
非常に面白い。
漫画『シグルイ』では原作の各所に散らばるモチーフや小話を上手く物語に織り込んでいて、見方によっては全十一試合を一試合で表現したと言える。
原作、漫画併せて読み応えがある。
原作が面白く、大幅に脚色された漫画版も面白いなどというものはなかなかない。
それにしても、それぞれの剣士が真剣試合に臨む理由は似た様な物が多く、後半の方は、またこんな理由で、と思わされる。
逆に、それだけに切実で、そういう価値観もあるのかと徐々に感情移入させられてしまう。
Posted by ブクログ
祝!復刊!!
三代将軍徳川家光の実弟忠長が執り行った真剣勝負による「御前試合」の顛末だが、これが実に面白い。対戦者間にわだかまる情念、執念、怨嗟、等等を過不足なく綴り、刹那の勝負に全ての因果を収斂させる構成なのだが、これが十一篇続いても、まったく飽きさせることが無い。
相対する剣士をそれぞれに、ある意味追い詰めている武家の論理は前近代的なものであるが、その根底に流れるさまざまな感情は普遍の原初的なものであり、今日読んでもあまり古びた感じはしない。。。。。のは、やはり俺が時代劇が好きだからかも知れない。
むしろ今日的と言えるのは、その残酷描写であろう。腕が飛び、脚が飛び、体が両断される剣の破壊力は対峙する双方を無傷では終わらせない。『キル・ビル』や『シスの復讐』などが剣豪小説の映画化作品へのリスペクトとして残酷描写を描いており、そういうものと呼応している「愉しみ」であることは否定しない。が、今日的とはそうした表層的な意味合いのみを指すものではない。
駿河城南庭の白砂の上に繰り広げられる凄惨な殺し合いは、生き残った者の魂を更に深く傷つける。酸鼻を極める試合の描写は、達人ゆえの凄みと業を漂わせながら、「無情」の二文字を読む者の心にも刻み込むのだ。だがこれは、血で血を購う事の空しさを説教臭く語り、半端な悟りを錯覚させるものでは断じて無い。むしろ生の業苦とも言える、足掻いて足掻いて生き続ける様を、十一の試合は描いている。だが、十二編目では、いともあっさりと終焉を迎える生の空しさを突きつけるのだ。
「命は等しく無価値」というテーゼが今日的なのか?そうかもしれない。だが、その結論に至る醜いまでのバイタリティがあるから、ニヒリズムは「破滅の美学」に昇華するのである。
Posted by ブクログ
寛永六年(1630年頃)に行われ、あまりに悲惨な内容のため後に開催事実が隠滅されたとしている、架空の「駿河城御前試合」十一戦+後日談一戦の全十二話の短編集。
多くは、「絶対無敵の技を身に着けた」ものの戦いで、現実とは離れているものの、その技を身に着けるに至る時代設定にあったエピソード(多くは女性がらみ)や、全体通しての古風な表現から、「歴史ものを読んでいる」感が高かった。
特に「身替り試合」が、全体と同じ悲劇話しながらも喜劇要素があったり、また、そもそも道場剣法と戦技との差異という、この本の中ではリアリティのあるベースであったことなどから、もっとも面白かった。
全体的に短くまとめられた話の中で、第十一戦はずいぶん冗長に感じた。また、その後の顛末を描く第十二話は、今までの悲惨を総括するために強引に話を進めているように感じ(急に出てきた「車大膳」って・・)、私にとってはかえって興醒めだった。
全体通しては面白かったが、著者の別作品を近日に読みたい、と思うほどではなかった。
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