良かった…。想像以上に素敵な作品。
読後、静かな感動と余韻にひたりました。
「お遍路 × 青春」の本書。「恋」のエッセンスも少し♪
お遍路ツアーで同じ班になった7人は、一癖も二癖もあるメンバーばかり。10歳以前の記憶がない玲、誰とも打ち解けない花凛、ひねくれた態度の剣也、天真爛漫な太陽…。
7人そ
...続きを読むれぞれが事情を抱え、ギスギスした雰囲気でのスタート。
お遍路で1200キロもの道程を歩き続け、自分と向き合い、たどり着いた先に何が見えるのかーー。
記憶を失くした玲の苦悩がひしひしと伝わってきて苦しかった。
人生には思いもよらない事が時としておこる。悲しみや苦しみにどう向き合っていけばいいのかわからず途方にくれてしまうこともある。
登場人物たちとお遍路をしながら胸を打たれたり、ハッとさせられたり、しんみりしたり、ウルウルしたり。
班のメンバーとの心の距離が本当に少しずつ、少しずつだけど縮まっていって、いつの間にか絆みたいなものを感じられるようになった。
ラストは胸がいっぱいで涙があふれました。
苦しいけど清々しい。
いや、苦しいから清々しい。
「青春小説」という言葉で済ませてしまうには軽すぎて違和感を感じてしまうくらい、深く沁みる作品でした。
あまり見掛けないので、もっと広く読まれて欲しい作品。
読みながら、恩田陸著「夜のピクニック」を思い出してしまいました。