関口尚の作品一覧
「関口尚」の「角川つばさ文庫書き下ろし短編集 きみに贈る つばさ物語」「君に舞い降りる白」ほか、ユーザーレビューをお届けします!
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小説・文芸
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Posted by ブクログ
『おくのほそ道』の旅を曽良の視点で記述する。「おくのほそ道」には書かれていない、いわゆる「謎」とされる部分を次々に解き明かしていく。だいたいそうだろうと思うような話もあれば、著者による新解釈が語られる話もある。
新説の例として、曽良と芭蕉の別れがある。芭蕉は、記録に変化を付けるため、曽良と別れることを初めから意識している。曽良もうすうす感じ始め、須賀川で等躬からそのことを教えられる。曽良は曽良で徐々に自分でも意識し始め、最後は山中温泉の地で、「自分の俳諧のため」別れを自分で言い出す。
だいたいそうだろうというのを一つだけあげれば、尿前の関。曽良が経路を変えたため、申告の滞在日数、出る予定の関所と異なってしまったため、番人に隠密ではないかと怪しまれ、結局袖の下によって通過できたという話。こういう話をクリアに次々と語っていく。自然にすっと読めていく。面白い。
曽良と芭蕉の会話も楽しい。なにしろ芭蕉は「わたしはわたしが嫌いだ」と言い放つほど、自分勝手だ。しかし天才ではあり、曽良もそれは認める。特に、自分のあるいは他人のものでも、詠まれた句の改善(読み直し)がすごい。曽良は「作り直しの現場に居合わせられることに、わたしは無上の喜びを感じる」とまで言うのだ。著者の解釈ではあるが、その深い解釈には納得である。驚くのは、最後の解説に、俳人の小澤實が、「驚くべき読みである」としていることだ。すごい。この作者の他の本も読まなければ。