2022/09/03
関口さんの新刊出ると聞いてすごく楽しみにしてました。
やはり読んでみるととても心温まるお話で、昨今の時代背景も盛り込んだ小説になっています。
主人公の眠人(みんと)は、仕事をしなくなってアルコール漬けになった父のいる悲惨な家庭に居たくなくて、地域の公園にいることが多く、その場所
...続きを読むで三線をひく高校生の春帆に三線を教えてもらう弟子入りをお願いすることから話が始まる。
春帆との出会い、竜征との出会い、さくら子との出会いなどを通して、眠人自身が高校、大学、社会人へとなるにつれて成長していく過程が三線と沖縄に対する思い入れと絡めて進んでいく。
竜征も家庭に複雑な状況を抱えていて、さくら子も自分が日ごろ課題としている部分をなかなか克服できないでいたが、春帆から習った三線を続けて3人で過ごしていくうちに、そうした部分がだんだんいい方向へと向かっていく様子が読んでてとても気持ちいいと思う。
ここに出てくる登場人物たちはそれぞれに自分ではどうすることもできない状況へと追い込まれるほどの課題を抱えているにもかかわらず、自分たちで気持ちを強く持って少しでも前向きに過ごしていこうとするそのポジティブというか、決して折れない考え方がすごいなと思った。
関口さんの作品はこうした読後感の気持ちよさがとてもいいのでまた新しい作品も楽しみにしています。