あらすじ
膝の故障で得意のサッカーを諦めた優太は、廃校が決まった田舎の中学に通う3年生。無理やり入部させられた水泳部には、姫と呼ばれる県の記録保持者と、泳げないデブのモー次郎しかいない。3人は、なくなってしまう美里中学のため、優勝すべくトライアスロン大会に挑む。市町村合併を背景にまばゆい青春の葛藤と疾走を描いた少年少女小説。第22回坪田譲治文学賞受賞作。
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Posted by ブクログ
中学生、思う様にいかないことの方が多くて、(大人になれば努力とは言えない単に)ジタバタをして結果が出ないことに、言い訳したり諦めたりマイナスな方法で自身に折り合いをつけていたばかりだったように思う。
優太、姫、モー次郎は半ば強制的に参加することになったトライアスロンを因縁の対決?をきっかけに自分から挑んでいく。
言い訳せずに、何かをとにかく夢中で頑張ってみれば、何かしらの成長に繋がるのだと改めて、爽やかな気持ちで感じられた。
それって中学生でなくても、何歳からでも同じ事だよねーと都合よく解釈して、私は頑張る!笑
Posted by ブクログ
2020/2/18
この人の作品は読みやすくて好きです。
この話は将棋部の部員として入部したのに、水泳部の部員として活動することになり、3人で学校が最後となる歴史に名を残すためにトライアスロンに挑戦することになる、姫(男)とモー太郎と主人公、それから美月という主人公の幼馴染の4人がおりなす青春のお話です。
ただトライアスロンに挑戦するのではなくて、挑戦することになるまでの経緯が結構それぞれ重たいものを抱えています。それを自分なりに、友人の力も借りながら乗り越えていく過程が描かれています。
トライアスロンに向けて練習する前の最初の部分では、半ば崩壊気味の状態からスタートしますが、身近にある色々なことを通して次第に気持ちに変化が起きていきます。
トライアスロンの練習をしているところや、大会中の3人の描写は青春の一ページそのものであると思います。
また、その大会に際して、3人がそれぞれ抱えていた課題も浮き彫りになり、自分なりにトライアスロンを通してそれを乗り越えていこうとする姿がいいなーと思える一冊です。
Posted by ブクログ
まったく興味のないトライアスロンに出場する羽目になった3人の少年たちの、一夏の成長物語。
夏はいいねぇ。青春モノがいっぱいで。
この作者は「パコと魔法の絵本」からドラマツルギーに目覚めたようで、筋立て、道具立てがすごくキチンとしている。そのふたつがしっかりしてるからキャラもちゃんと動くし、作品世界にも入っていきやすい。
物語のあらすじだけを見ても最後までよく考えて作ってあることがわかる。
友情、恋、ライバル。全部詰まった、読書感想文を書きたくなる一冊。
Posted by ブクログ
読み始めたら
どんどんはまっていった1冊。
トライアスロン本番での
モー次郎から優太へバトンタッチするシーン。
「空、広かったよ。地球と遊べた気がしたよ!」
この言葉で
思わず泣きそうになった。
卒業式のシーンは
涙無しでは読めません。
Posted by ブクログ
最後のシーンで泣きました。
ハッピーエンドじゃないかもしれないけど、
最後に頑張って約束を守ったんだ、と思うと…(;ω;` )ブワッ
オススメです!
Posted by ブクログ
廃校が決定した中学校が舞台のトライアスロンの物語。
自治体の合併に伴う廃校で、美里村とか南郷町とか出てきて、少しだけ宮城県風。
そんなわけで、宮城県民は入り込みやすいかも!?
トライアスロンという扱いにくそうな材料だが、分かりやすく描けている。
丁寧な取材をしていることもうかがえる。
ただし、丁寧過ぎてくどい部分もあるけど・・・
たとえば、ブルホーンバーを見て、「水牛の角のような」と思う人は少ない。
題材のせいで、少し発想やメタファーの部分で制約がかかったのかもしれない。
まあ、トライアスロンの認知度を考えると、まだ話が盛り上がる前にある程度説明口調になるのは仕方ない気もするね。
そして、クライマックスシーンはテンポよく描けており、スピード感も十分。
なので、上のような点は大きな問題ではないだろう。
ストーリー展開や、伏線の貼り方も自分にはグッときた。
ジャンプ系漫画のような展開だが、節々でオリジナリティがよく出ている(特に、エピローグがいい)。
また、夏の青春、恋愛、思春期のジレンマ、・・・など共感できるシーンを現代の文脈でしっかり描けてる。
そして、3人で事に当たるという点もとてもいい。
3人いれば、そのうちだれか一人ぐらいには強く共感できる人がいるだろうから、話に入り込みやすい。
俺もトライアスロンやりてぇー!って気分になる。
文庫以外はあとがきや解説を先に読んでもいいと思うけど、文庫は読んでしまうと台無しになることがある。
この本は、解説は後に読んだ方がいい。
青春時代の、淡いけど大切な何かを思い返させてくれる傑作。
Posted by ブクログ
市町村合併で消滅間際の美里村の中学で、友達のできなかった優太、モー次郎、姫こと暁人は、暁人の得意だった水泳部に無理やり入れられる。しかし暁人が水泳をやめたいと言ったことで、廃部に。一度水泳部を諦めた教師の宇賀神は、彼らに、近くの漁村で行われるジュニアのトライアスロンに出るように仕向ける…。
登場人物が表紙に書かれた4人と数人というきれいに絞られた青春小説。水泳と自転車の得意な2人と、一度体育全般を諦めた優人。言われたことを聞けないが能力の高い暁人。猪突猛進で不器用でもと苛められっ子のモー次郎が、それぞれのダメだった部分を改めていくということで、トライアスロンに挑む。
その彼らを触媒的に活性化させる美月、そしてストーリーをグイグイ推し進める鶴じいという、人物の配置をよく配慮されているため、ストーリーは自然に転がっているように見えるのが本作品の魅力であろう。
最後の項は必要だったのかどうかはわからない。無くても成立していたし、ただでさえ救われないモー次郎がちょっと不憫だった。
360ページほどと短くはないが、内容的にも中学生くらいで読めるだろう。シンプルな青春小説として子供から大人まで楽しめる作品である。
Posted by ブクログ
多感な年頃の中学生。その複雑な心理や葛藤、挑戦を通した成長が描かれています。
周囲からバカにされているモー次郎、水泳で県記録保持者の姫、サッカーをやめた優太。その3人に、姫の彼女で優太の幼馴染みでもある美月も深く関わりながらのストーリー展開。
心理描写とストーリーにいつの間にか引き込まれ作品に没頭してしまいました。
バラバラな個性の3人が、ぶつかったり離れたりしながら「トライアスロン大会」という1つの目的に向かっていく。
それぞれの事情は異なるけど、抱えているしんどさはみんな重い。それが更に複雑に絡み合ってしまっている。
『ぼくたちは病んでなんかいない。大人たちに押しつけられた歪みに耐えられないやつが出てきているだけだ。心の闇なんてない。ぼくたちはあと少し考える力が必要なだけだ。言ってることとやってることがちぐはぐじゃない憧れたくなるような大人に、そばで導いてもらえればきっと変われる』
ただ者ではない鶴じいが格好良かったなぁ。
子どもの頃に出会う大人で、将来は大きく変わると思います。
作品の最初とラストでは登場人物に対する印象が変わりました。
子どもたちのこれまでの頑張りはいっぱい褒めて、ひとまわり成長した子どもたちにハグを、
その未来にはエールを送りたい!!
清々しい読後感の青春小説。
おもしろかったです。
Posted by ブクログ
やっぱりこの手の作品にはめっぽう弱い! ただただ感動してしまった。 息子が水泳部で日々練習を頑張ってることもあるし、僕も若い頃はトライアスロンに汗を流してた時代もあり、どっぷり物語に浸れた。 単純な人間はこういったいい意味での単純なストーリーに惹かれてしまう。 あまりダークな展開は無くてもいいかなと、又個人的にはもう少しトライアスロンを深く掘り下げてくれてもよかったんじゃないかと思った。 久し振りに若かりし頃をを思い出させてくれた心温まる作品。
Posted by ブクログ
第22回坪田譲治文学賞受賞作。
水泳部の3人が市町村合併で無くなってしまう中学校の名を残すため、トライアスロン大会に挑む!
希望をつかむことは、空をつかむようなことなのかもしれない。
Posted by ブクログ
主人公の中学3年生の男子3人が
とある機会でトライアスロンに挑戦し、
トライアスロンを通して大人になっていく、というお話です。
主人公の彼らは何も知らない子供でもなく、
また、全てを知っている大人でもなく、まさに思春期真っ只中。
純粋な心や感情を持ちつつも、上手くいかない現実にもがき、
正面から感情をぶつけ合ったりする姿は青臭くもあり、
「こんな時期もあったんだなぁ」という懐かさを思い出させてくれました。
ものごとが上手くいかない時の、
自分より弱いもの・自分を受け入れてくれるものに当たりたい気持ち、
不安なときこそ目に見える確かなものを求めてしまう気持ちが
純粋で繊細なんだけれども、でも少し残酷で。。。
そんな生々しさもシンプルに心に刺さってきます。
それぞれ心に留めておきたい事情を抱えながらも、
正面からぶつかり、また、ありのままの自分や相手(ここでいう友人)を受け入れる。
自分と向き合って、弱さを認めて、初めて強くなれたり大きくなれたりする。
大の大人だって、素直に出来ないことをさらっとしてしまうのも
このくらいの年代なのかもしれません。。
口にしてしまうと"クサイ"言葉や台詞も、
行動が伴うと悪くないなぁ、と思いました(^^)
Posted by ブクログ
主人公には幼馴染の女の子がいて、その女の子と主人公の友人である抜群に水泳がすごいに姫とよばれる少年は付き合っていた。
主人公はいつのまにか幼馴染のことを好きになっているということに気いてしまう。
妙にギクシャクする3人を和ますのがブー次郎というデブな少年。
3人の少年達は先生にうまくのせられてリレー式のトライアスロンに参加することになる。
その過程を通じて、3人と女の子は互いを理解しながら成長していく。
ブー次郎は最後の最後まで優しい少年。
Posted by ブクログ
この本、だいぶ前に新聞で紹介されていたのですが、思っていたよりも良かったです
トライアスロンというスポーツを通した、中学三年生の成長物語
別に競技はトライアスロンじゃなくてもいい、とは思いますが、トライアスロンという競技をあまり知らなかった私にとって、新たな視点をくれたように思います
スイムにバイクにラン
そんな辛い競技をなんでやらなきゃならないんだと思っていましたが、やった人にしかわからない達成感があるんだろうなぁ
私には、できない競技だけど
興味をもてる本でした
Posted by ブクログ
優太、姫、モー次郎たち、美月の歓声や叫び声、そしてひとりのときのひっそりとした泣き声が聞こえてくるようだ。自分の力だけではどうにもできないことがあることを知る時期かもしれない。大人じゃないけど子どもじゃない、子どもじゃないけど大人じゃない。佐野元春は「つまらない大人にはなりたくない」って歌っていた。オイラは優太が言う「憧れたくなるような大人」になってるかな。
「大切なのはイメージだ。もっと高くジャンプして青い空に手を伸ばすようにして、歪んだ大人たちがつかめなかった生きるってことの楽しさを、僕らの世代が手にするのだ。そのための強さを手に入れるには、足を踏み出さなくちゃいけない。それは大袈裟なことではなくて、きっと身近な一歩であってもいい」
解説の川上健一は言う。
「人間という生き物は、前向きであればどんな状況にあっても美しいものと希望を見つけられるものだと私は思う。青春という多感な時期に落ち込んだりもがいたりしている時ほど、美しいものと希望をより多く見つけることができるはずだ。見つけられないのは前向きになれる術を知らないからだけなのだ。例えばジャンプしてみる。例えばスキップしてみる。例えば口笛を吹いてみる。例えば空を見てみる。例えば自分にラブレターを書いてみる」
なんて勇気が出る言葉だろう。優太たちの何倍も生きているけど、その中身はあまり優太たちと変わらない。だから優太のように強くなるために、投げ出さずに走りきること、なにかをやり遂げることはいくつになっても続けよう。
Posted by ブクログ
この手の青春、思春期モノにはある程度のわざとらしさや、
胡散臭さ、押し付けがましさがあるけど、
それをあまり感じさせることなく描いた筆力は流石。
別の作品を読んで、また心をすうっとさせたい。
Posted by ブクログ
荒けずりな三人がぶつかり合いながらも、自信をもち、絆を深め、トライアスロンに夢中になっていく感じが丁寧にかかれていてイイ!ラストまでトラブル続きだけど、卒業式までかかれていてスッキリ。
Posted by ブクログ
合併でもうすぐなくなってしまう中学校に通う男の子3人と、女の子ひとりを書いた青春小説。
挫折を味わってから傷つかないようにしている優太や、水泳の得意な姫(男)、どんくさいモー次郎のキャラクターがよく書かれていて、ゆっくりしたストーリー展開も相まって漫画やドラマにしてもいいかもと思った。
3人がチャレンジするトライアスロンのコーチ役をかってでた鶴じいが大人のロールモデルとなるところもいい。
電車の中で読んでいて、最後の方で「これは涙腺がやられる」と残りを家で読んで正解でした。
<<ややネタバレ>>
鶴じいの正体については早い段階で想像がついてしまうのはご愛嬌かな?
Posted by ブクログ
トライアスロン大会のリレーパートに出る羽目になった中学生の物語。
大会に向けて準備を進めるうちに友情が芽生え、強固なものとなり、
3人は強力なライバルに真っ向から立ち向かうことに。
と、書くとかなり爽やかなスポーツもののようですね。
でも、ちょっと違うんだな~
家族の問題。けがの「後遺症」。過去のイジメ。
そういったものも絡んでいて少し重たい部分もある。
そして、そこに恋も絡んでいく、まさに思春期の青春物語。
視点も描き方も違うけど、小路さんや村山さんに近い部分も感じた。
最後まで読めば分かるけど、トライアスロンはあくまでも物語の中の
ひとつのイベント。タイトルからも分かるよね。
彼らがつかんだものは一体何だったのか。
皆々様にもぜひ読んでもらって、それを共有したいな。
Posted by ブクログ
男の子たちの心理描写が素敵です。
特に主人公のヒロインに対する純粋な想いがとっても綺麗です。
展開は意外なところに落ちましたが、傷つきながらお互いを大切なものにしていく過程がコロコロと読みやすい文章で綴られている作品です。
少し詰め込みすぎなところと結局この話は何が言いたかったんだ?と思ってしまう一番の盛り上がり部分がよく分からなかったのが残念です。
Posted by ブクログ
帯には「トライアスロン小説」とありますが、競技そのものよりも主人公たちの中学生らしい(あるいはらしくない)悩みや葛藤、精神的成長を描くことに主軸がおかれていたように思います。だからなんだかジュブナイルなノリがする。
中学生って頑張ることを格好悪く感じてしまう年頃のような気がします。
他人からの評価が気になって、あいつは駄目だと思われたくないからわざと頑張らない。出来ないんじゃなくてやらないだけなんだよっていうスタンスで居たい。
そんな感覚には覚えがあります。
でも、これって虚しいんですよね。結局守れるのって自分の自尊心だけだし。とゆうかそれすら守れていない気がする。
前半の優太は正にそうで読んでてイライラする部分もあったりなかったり。そんな彼が、好きな子のためと言えど成長しようと自分で考え、実際に一回り成長したことに「こうゆうのいいな」と思いました。
あと話変わりますが、最近の中学生って進んでるんだね…もしかしたら一番びっくりしたことかもしらん。
ご都合主義でつまらんと感じる人もいそうですが、ご都合主義にはご都合主義の良さがある。大人になりきる前に読んでみて欲しい本の一つ。
Posted by ブクログ
中学三年生の優太、姫、モー次郎は、とある理由からトライアスロンに挑戦することになります。優太はもとはサッカーがとても上手だったのに、膝の故障を原因にすべてのことから逃げるような毎日を送っていました。姫も父親の問題を抱え、モー次郎も耳の問題を抱えていました。初めは全くやる気のなかった三人だったけど、最後は協力し一つの目標に向かって頑張っていくようになります。途中で様々な問題にぶつかる場面もあるけど、最後の卒業式の場面はとても感動しました。結構読みやすい本だと思うのでぜひ読んでみてくださいね(^_^)/
Posted by ブクログ
爽やかで爽やかな少年少女小説。
決して、みんながハッピーなエンドではないけれど
こんなに後味が爽やかなのは、多分、それぞれが傷つきながらも、成長して答えを出したからだと思う。
物語に出てきた、鶴じいのような、子供を導いてくれる大人。
そんな大人に私もなりたい。
Posted by ブクログ
>みんなだんだんと大人になっていくうちに、
>いろんなものをやめていくのかなあ。。。
中学生の頃とかって、夢中になっていた何かがあっただろうかな・・・
そんな季節にいる彼らがちょっとうらやましい。
鶴じいの言葉も印象的だった。
「トライアスロンの楽しさは、この地球を体で感じることだよ。
姫くんは海の大きさを、モー次郎くんは空の広さを、
優太くんは大地の強さを感じながらがんばってみなさい。
いいかい、。たくさん感じるんだよ。
そして、地球と遊ぶんだ」
夏の大三角形でも探してみるかな♪
Posted by ブクログ
帯には『きらきらの中学生トライアスロン小説』とあるけど、きらきらなだけじゃない。やっぱり光と闇の部分も書き分けられてて、それでも読後は心の中を爽やかな風が吹き抜けていくような気分になれる本でした。
サッカーに挫折した優太と、姫と呼ばれる県の記録保持者と、泳げないデブ(失礼)のモー次郎の3人しか所属しない水泳部の、ひと夏の物語。ぐいぐいと物語の中に引き込むようなパワーはないけれど、それでも読み始めれば最後まで一気に読み切ってしまえる本です。グッと中身が詰まってる、というよりはサラリと全体をなでながら読めるような本。