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Posted by ブクログ
2020/2/18
この人の作品は読みやすくて好きです。
この話は将棋部の部員として入部したのに、水泳部の部員として活動することになり、3人で学校が最後となる歴史に名を残すためにトライアスロンに挑戦することになる、姫(男)とモー太郎と主人公、それから美月という主人公の幼馴染の4人がおりなす青春のお話です。
ただトライアスロンに挑戦するのではなくて、挑戦することになるまでの経緯が結構それぞれ重たいものを抱えています。それを自分なりに、友人の力も借りながら乗り越えていく過程が描かれています。
トライアスロンに向けて練習する前の最初の部分では、半ば崩壊気味の状態からスタートしますが、身近にある色々なことを通して次第に気持ちに変化が起きていきます。
トライアスロンの練習をしているところや、大会中の3人の描写は青春の一ページそのものであると思います。
また、その大会に際して、3人がそれぞれ抱えていた課題も浮き彫りになり、自分なりにトライアスロンを通してそれを乗り越えていこうとする姿がいいなーと思える一冊です。
Posted by ブクログ
廃校が決定した中学校が舞台のトライアスロンの物語。
自治体の合併に伴う廃校で、美里村とか南郷町とか出てきて、少しだけ宮城県風。
そんなわけで、宮城県民は入り込みやすいかも!?
トライアスロンという扱いにくそうな材料だが、分かりやすく描けている。
丁寧な取材をしていることもうかがえる。
ただし、丁寧過ぎてくどい部分もあるけど・・・
たとえば、ブルホーンバーを見て、「水牛の角のような」と思う人は少ない。
題材のせいで、少し発想やメタファーの部分で制約がかかったのかもしれない。
まあ、トライアスロンの認知度を考えると、まだ話が盛り上がる前にある程度説明口調になるのは仕方ない気もするね。
そして、クライマックスシーンはテンポよく描けており、スピード感も十分。
なので、上のような点は大きな問題ではないだろう。
ストーリー展開や、伏線の貼り方も自分にはグッときた。
ジャンプ系漫画のような展開だが、節々でオリジナリティがよく出ている(特に、エピローグがいい)。
また、夏の青春、恋愛、思春期のジレンマ、・・・など共感できるシーンを現代の文脈でしっかり描けてる。
そして、3人で事に当たるという点もとてもいい。
3人いれば、そのうちだれか一人ぐらいには強く共感できる人がいるだろうから、話に入り込みやすい。
俺もトライアスロンやりてぇー!って気分になる。
文庫以外はあとがきや解説を先に読んでもいいと思うけど、文庫は読んでしまうと台無しになることがある。
この本は、解説は後に読んだ方がいい。
青春時代の、淡いけど大切な何かを思い返させてくれる傑作。
Posted by ブクログ
市町村合併で消滅間際の美里村の中学で、友達のできなかった優太、モー次郎、姫こと暁人は、暁人の得意だった水泳部に無理やり入れられる。しかし暁人が水泳をやめたいと言ったことで、廃部に。一度水泳部を諦めた教師の宇賀神は、彼らに、近くの漁村で行われるジュニアのトライアスロンに出るように仕向ける…。
登場人物が表紙に書かれた4人と数人というきれいに絞られた青春小説。水泳と自転車の得意な2人と、一度体育全般を諦めた優人。言われたことを聞けないが能力の高い暁人。猪突猛進で不器用でもと苛められっ子のモー次郎が、それぞれのダメだった部分を改めていくということで、トライアスロンに挑む。
その彼らを触媒的に活性化させる美月、そしてストーリーをグイグイ推し進める鶴じいという、人物の配置をよく配慮されているため、ストーリーは自然に転がっているように見えるのが本作品の魅力であろう。
最後の項は必要だったのかどうかはわからない。無くても成立していたし、ただでさえ救われないモー次郎がちょっと不憫だった。
360ページほどと短くはないが、内容的にも中学生くらいで読めるだろう。シンプルな青春小説として子供から大人まで楽しめる作品である。
Posted by ブクログ
トライアスロン トライアスロンに挑戦しようとロードバイクを購入して、ロードバイクの小説をいくつか読みましたが、トライアスロンの本を読んでなかったので手に取ったのがこの本でした。
青春ものになっていますが実はトライアスロンはおじさん人口が多いです。自転車にお金がかかるからかもしれませんし、自転車は危ないので自己責任の持てる年齢まではあまりお勧めは出来ないのかもしれません。
それでもトライアスロンは魅力的なスポーツです。トライアスロンの魅力を余すことなく伝えているとは感じませんでしたが、少年達の生きる姿に久々に電車で号泣しました。出会えて良かった1冊です。
歪んだ大人たちがつかめなかった生きるってことの楽しさを、僕らの世代が手にするのだ。こんなことを中学生に言わせる世の中にしてはいけない。自分が中学生の時も大人のせいにして、今はその大人になって子どものせいにしているのかもしれません。自分たちの世代は自分たちでケツを拭く。自分のケツも自分で拭く。当たり前ですね。
僕はまだ姫の悲しみに届かないかい?届いているよ。少なくとも私には届きました。久々に電車で涙腺が崩壊しました。恥ずかしいけど幸せ。
Posted by ブクログ
多感な年頃の中学生。その複雑な心理や葛藤、挑戦を通した成長が描かれています。
周囲からバカにされているモー次郎、水泳で県記録保持者の姫、サッカーをやめた優太。その3人に、姫の彼女で優太の幼馴染みでもある美月も深く関わりながらのストーリー展開。
心理描写とストーリーにいつの間にか引き込まれ作品に没頭してしまいました。
バラバラな個性の3人が、ぶつかったり離れたりしながら「トライアスロン大会」という1つの目的に向かっていく。
それぞれの事情は異なるけど、抱えているしんどさはみんな重い。それが更に複雑に絡み合ってしまっている。
『ぼくたちは病んでなんかいない。大人たちに押しつけられた歪みに耐えられないやつが出てきているだけだ。心の闇なんてない。ぼくたちはあと少し考える力が必要なだけだ。言ってることとやってることがちぐはぐじゃない憧れたくなるような大人に、そばで導いてもらえればきっと変われる』
ただ者ではない鶴じいが格好良かったなぁ。
子どもの頃に出会う大人で、将来は大きく変わると思います。
作品の最初とラストでは登場人物に対する印象が変わりました。
子どもたちのこれまでの頑張りはいっぱい褒めて、ひとまわり成長した子どもたちにハグを、
その未来にはエールを送りたい!!
清々しい読後感の青春小説。
おもしろかったです。
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