あらすじ
「わたしはわたしをやめたい。もう消えてしまいたい」。ネットで見つけた、うつ病女性の日記。高3のぼくは、書いているのが片思いの相手・松下さんではないかと疑い始める。映画館で働く美しい彼女にそんな気配はないけど、証拠は積み重なる。死へ向かう、日記の女性が松下さんなら、ぼくは助けたい。どんなに苦しいことがあっても――。ひたむきな想いを描く青春小説。第15回小説すばる新人賞受賞作。
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Posted by ブクログ
心に訴えかけてくる本です!
映画観賞が好きな2人の少年、植野と今井。
少年2人が行きつけの映画館の受け付けには無愛想ながら魅力的な女性、松下さんがいた。
ひょんなことから少年2人は松下さんに好意を!しかし仲良くなるのは難しく…
そんな時少年達はネットの匿名日記「やめていく日記」を読み始める。その主人公はうつ病で今までやっていたことをやめていくことを書いている日記。
読み進めるにつれて、日記の主人公は松下さんなのではと認めたくないけれど疑い始める…
命を絶とうとしている松下さんを少年達は止めたいけど、どうすれば助けられるか分からなくて…
やはりうつ病など書かれているので気持ちが暗くなって読む気が失せると思ったのですが、それとは裏腹に続きが気になりすぎて後半はスピードアップで読み終わりました。
考え深い本でよかったです!
Posted by ブクログ
そういえば高校時代とかって、一度考え始めたら頭の中が全てその事で埋め尽くされるなんてこと、あったように思う。
二人を見てると、そんなにムキになっちゃぅて…もっとやらなければならない事があるのに…と思うのは少しずつ色んな物を失ってきた大人になったから結果だろうか?
ラストはお互いを丸ごと認めあって、ほのぼのとした素敵なシーンだった。
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今井は箏を、松下さんは命を諦めていく。しかし本当は今井は箏が好き、松下さんは生きたい、そんな想いが心の奥底に強くあるんだろうなと思った。松下さんを救うために奔走する植野と今井。最後、植野は手紙に何を書いたのだろう。陰があるから夏が引き立つ。優しい色をしているのに、とても色が濃い話。切なく、どこか儚く、優しい世界。
Posted by ブクログ
YAは時代を切り取ったものである。それは現実的な話に限らず、ファンタジー色の強いものでもそう思います。
読者対象が狭いため、あっという間に世代交代されていくのですね。10代の頃の1年はとても長く、ちょっと前の世相がとても古く感じてしまいます。
だから昔のYAを今の10代が読むとどう感じるのかは気になります。
今作は2003年に発表されたもの。実にその時代が鮮やかに切り取られています。今からもう16年も前になるのですね。ああ、確かにそうだった。この時代はこんな感じだった。そんな懐かしさがひしひしと迫ってきます。
そこに生きる高3の少年ふたり。将来の夢、別れたばかりの彼女、父親のリストラと精神状態、映画館窓口の年上の女性への憧憬と恋心、個人サイトの日記、夢を諦めること、がむしゃらになること。その時代ならではのものもあります。でもその状況に対してどう感じるのかどう行動するのかは普遍的なものもあるでしょう。
今の若者は無気力だ。全てを諦めて達観したような顔をしている。ここ20年以上ずっと言われ続けている気がします。そう言われていた若者が、次世代の若者に対しても同じように言っている。それが時代を超えた若者らしさであるかのように。
しかしここに出てくるふたりは、達観しているようなそぶりでいながら、がむしゃらになっています。虚無の世界でしかないようなネットに書かれていることを真っ直ぐに受け取り、そこにぶつかっていきます。よく知らない相手に恋心を抱き、よく知らないまま突き進んで行きます。
そんながむしゃらさもまた、時代を超えて存在する若者らしさなのかも知れません。
Posted by ブクログ
プリズム、と聞いて淡く儚い美しさを連想した。読み終えると薄暗い人間らしさと、それゆえの美しさを感じた。二人の少年の葛藤と情熱という青春が眩しくもあった。
プリズムとは光を分散させ、光を構成している複数の色を目で見えるようにさせる道具である。光は複数の色が重なって白色に見えている。
人間もまた同じ。様々な色が重なって一人の人間を創る。他者からはその内の全てを知ることはできない。
この物語では、主人公たちはブログというプリズムにより、ヒロインの心の内の一色を垣間見たのだろうか。その色が何色であろうと、その人を構成し、ともすると自身の気付かぬ内にも隠れているのかもしれない。
自身にもプリズムを翳してみたくなる。そんな一冊だった。
Posted by ブクログ
【あらすじ】
「わたしはわたしをやめたい。もう消えてしまいたい。」ネットで見つけた、うつ病女性の日記。高3のぼくは、書いているのが片思いの相手・松下さんではないかと疑い始める。映画館で働く美しい彼女にそんな気配はないけど、証拠は積み重なる。死へ向かう、日記の女性が松下さんなら、ぼくは助けたい。どんなに苦しいことがあっても―。ひたむきな想いを描く青春小説。第15回小説すばる新人賞受賞作。
【感想】
Posted by ブクログ
映画館で出会った受付の女性に憧憬の念を抱く高校生男子の話。
歪んでいるかもしれないけれど、青春の物語。
おもしろかったのは
鬱病を題材にしているが、当人の視点ではないのと、鬱病に対する見方。
鬱病日記否定派(あくまで鬱病否定ではない)の今井が、松下さんが日記の主とわかって葛藤したところもあったと思う。
自分の考えを曲げる、変えるのは、意外にも悩むことだから。それを植野に話してしまっているから尚更。
筝も捨てていたけれど、彼の悩んだ数日間を詳しく見てみたい気もする。
Posted by ブクログ
関口さんの本、また読んでみたい。
タイトルがずいぶんとしっくりくる作品でした。
どんでん返しも意外な展開も
ないのだけれど(それを求めてたわけじゃなくて)
ただ素直な主人公達に好感が持てます。
Posted by ブクログ
久々に時間に余裕ができ、車内にいながらぼんやりと物語に浸かりたいと思い、夏っぽい高校生の青春ものというイメージに惹かれ読んでみることにした。
主人公の植野とその親友である今井は映画館で出会った受付の女性松下菜那に出会い、その容姿・性格様々なアンバランス具合に心惹かれ、彼女のことをもっと知ろうと探りはじめる。同時にある鬱描写が垣間見えるブログサイトを気になりだす。まあ要するにこのブログサイト書いてるのが松下さんなのではないか、となってくるお話。
親や恋人の影響から将来に対しての不安を登場人物たちは持っており、その影と、年齢ゆえの脆いながらも純粋な真っ直ぐな姿勢とがうまく物語中に融合している。
読もうと思っていたアオハル的な展開ではなかったがこれはこれで自分に合っていたような気がした。
Posted by ブクログ
20180609
年上の女性に憧れる高校生の話。
最後まで読んでみたが少々切なさが残る。
ミステリーかと思ったが、苦手な分野の純文学だったような。
Posted by ブクログ
年上の女性に惹かれる少年の心がわかりやすく鮮明に描かれている
憧れと乖離した現実に悩むけど
無鉄砲な恋ができるのも若さゆえ?いいなぁ
展開は、どうなる?どうなる?とハラハラ楽しく夢中で読めました
2015.11.26
Posted by ブクログ
“救いってなんだろう。”
青年達の若く青く苦しく黒い。
悩みと恋と葛藤と真実の。
そんな生々しい青春の物語。
きっと誰しも苦しみ悩む、そんな時期はあると思う。
それはきっと生きていく上で乗り越えて行かなくてはならない1つの試練なのだろう。
Posted by ブクログ
自分が高校生の頃と比べて読んでしまいました。
すると「高校生ってこんな難しい単語使って物事考えたっけ???」って。
少しずつ社会の理不尽さをわかっていく感じは
青春ですね。
いろいろもがく、琴の少年が好きです。
「アノ人」がどんないい男か気になる。
Posted by ブクログ
関口尚の描く小説は数冊読んだため、本作も爽やかに軽やかに進むのかと思ったが、読み終えるのに随分と長い時間がかかった。
読み進める度に何か重たいものに当たった気がして、それを無視して読み進めると何かを見落としたんじゃないかと何度も同じ頁を読み返した。
同じ高校生という観点からしたら、好きな人に、自分が出来ることなら何でもしたい、という考えがよく分かるものの、電話をしてまで住所や電話番号を探そうなんて行動力は湧かないな、と苦笑いしてしまう。でも真っ直ぐ目の前にある問題に取り組む姿勢は出来そうで出来ない、見習いたい。
惹かれる人物はいなかったけれども、良いなと思える表現が多くて良かった。
Posted by ブクログ
「わたしはわたしをやめたい。もう消えてしまいたい」ネットで見つけたある女性の日記。
高3のぼくと親友の今井、あこがれの年上の女性・松下さん。
ひたむきな想いを描く青春小説。
Posted by ブクログ
内容に重みが出てくるにしたがって、筆が軽くなっている印象。
さっと読むことは出来るし、ところどころ良い表現もある。
しかし、題材に特殊なものやなにか事々しく扱うようなものを選ばない限り、この作家は同じだけ軽やかな作品を仕上げることは出来ないのではないだろうか。
Posted by ブクログ
何年か前に読んだんだけど、登録し忘れていたみたいなので今頃。
この作者は、女性をミステリアスな感じに描くのが好き?
まだ2冊しか読んだことないけど。
「謎」な感じに惹かれるのかな。
Posted by ブクログ
主人公は映画好きの高校生男子二人。
二人でよく行く小さな映画館の受付に居る女性、
松下さんに二人ともなぜか惹かれていく。
一方、個人の映画批評サイトに書かれたうつ病日記の
女性(アンアン)についても二人は興味を持ち、
やがてふとしたことからその女性が松下さんなのでは
ないかと、疑惑を持ち始め・・・
とまぁ、そんな話です。
普通の高校生はそんな難しい言葉使って会話しないよ、、、
ってつっこみたくなるような描写もあったけど、それを除けば
とても人間味のある高校生二人でした。
短い小説ですが、ちょっと展開力に欠けてるのか、なんだか
ページをめくる手は少しおとなしかったな。
でも、「結末はどうなるんだろ?」「松下さんとアンアンは
同一人物なのか!?ただの勘違いなのか?」という部分は
最後まで読者を楽しませるだろうな。
どんでん返しがあるのか、すんなり行くのか、
はたまた全然違う方向に向かうのか。
それはこれから読む人のために伏せておきます。
最後にひとつ印象に残った言葉を。
「本当のことは悲しみに属するんだぜ」
少年が、青年そして大人の男になるまでに一度は
経験するような出来事を描いた物語。
皆々様もぜひ読んでみて下さい。男心が分かるかも。
Posted by ブクログ
男の子はこんなにも単純に人を好きになったり、嫌いになったりするのかな。
一人の女性のために、こんなにもひたむきになれるものなのかな。
うつをどうとらえるかは難しい。
確かに今、薄っぺらくうつ病が持ち出される機会が多くて嫌な気分になる。
けれど、それでも苦しみは当人にしか分からない。
私はうつ病もノイローゼもどれほど人を変えるかをよく知っているから、否定も肯定もしたくない。
それと、女性が好きでもない人に抱かれるのがどれほどのことか、それはやっぱり女性にしか分からないと思った。
どんな心の苦しみに耐えようと、一度でもそうなってしまえば、それをすべて飛び越えて彼女は「汚れた」と言われてしまう。
そして為すすべもなく抵抗をやめたら、「受け入れた」と表現されてしまう。
だって汚しているのは男じゃない。
本当に好きな人だったら汚れないのかな?
男は好きでもない人を抱けるのに?
考えるほど不快感が増すけれど、男性と女性とではとらえ方が根本的に違うのだと納得することにする。
Posted by ブクログ
第15回小説すばる新人賞。
ネットのうつ病女性の日記が、片思いである女性と疑いながら高校生の主人公が駆け巡る。
真実の持つ苦さを感じながら、あえてその苦しさを味わうことで真実を受け入れようとする二人の少年の物語。
Posted by ブクログ
若さ感じる物語。まさに青春小説って感じだった。登場人物は少なく内容もシンプルだけど主人公たちの必死な気持ちがあり生き生きとした人間味がある。読んでいてドキドキした。
Posted by ブクログ
青春小説。
鬱って流行みたくなってるのかな?
鬱になりたい病みたいな話が出てきてたけど。
人って多かれ少なかれ躁鬱の波ってあるじゃないですか。
だから、それ言ったらみんな鬱病っぽくも躁病っぽくもなる時あるんじゃないかな。
その振れ幅の問題なんじゃないのかなって思うのだけれど。
例えば他人にとっては「そんなこと」でも、本人にとっては人生揺るがすような出来事なんて山ほどあるよね。
落ちる時とあがる時の差が激しい人は、それだけしんどいんだよね。
それを他人が診断して名前をつけているだけで。
さらにそれをあぁでもない こぅでもない と
糾弾するのはどうなんでしょうか。
甘えとか 弱い とか そんなの百も承知だと。
自分でもどうしようもない時ってあると思うんだね。
でも何があっても、結局立ち上がるのは自分の意思だし。
そうやって立ち上がった人は、少し強くなって 気高くなる。
それこそが 人間の美しさだと 私は思います。
強くなろうぜ。 と 思いました。
Posted by ブクログ
んー
もちょと深いかなーと思ってたー
案外さらっといってしまった感じ。
君に舞い降りる白ほど
繊細でもなければ綺麗でもなかったかなー
まあこの人の男の子の描き方は
すごくすきなんやけどもー。
んー
あたしが助けられたかったら
読んだ部分も大きかったんやけど。
やっぱりだめよな、
こんな風に誰も助けてくれんよな。
Posted by ブクログ
購入者:Shin 返却:(2008.7.7)
2人の高校生が年上のうつ病の女性を救っていく。
インターネット社会がなければ、彼女はどうなっていただろう。
貸出:堀本(2008.8.4)返却(2008.8.20)
うつ病がテーマなのでもっと暗い話かと思っていましたが、2人の高校生の青春が主体になっている感じで、夏にふさわしいさわやかな1冊でした。
古野:貸出(08/12/10)返却(08/12/19)
なんともいえないもやもや感が残りました。
清水:貸出(2011.9.22)返却(2011.10.14)
二人の高校生が、高校最後の夏休みに年上女性のために必死になる。周りも見えなくぐらい必死になり解決(?)をする。高校生が、何かに必死になることは、共感できたが、途中先が読めた部分もあった・・・