関口尚のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
学校サボっては
昭和な映画館で
三本立てを観てた自分には
かなりツボな作品。
安全性を重視し誘導灯を点けたままの今と違って
昔の映画館は、
完全な闇が支配する密室空間。
それは自分にとって、
日常を忘れ、
映画に浸るためだけにある
優しくて甘い闇でした。
時給1500円に釣られて、
映写技師の助手をすることになった
大学生の恵介。
そこで出会った
21歳の映写技師・杉本ルカは、
3年間も一歩も外を出ることなく
映写室で暮らす
ミステリアスな女性。
恵介は
☆ルカの過去は聞かない。
☆月曜日のルカは
ナーバスになるから
そっとしておくこと。
☆ルカとの恋愛は禁止。
という不可解な約束を守ることを条件に
銀映館で働くことになります。
なぜ彼女は
映写室に閉じこもったままなのか?
淡い恋心を描きながら、
やがて明らかになるルカの過去。
ミステリーの要素を持たせた青春ストーリーだけど、
とにかく映画館好きの自分は
映画館で暮らす少女
という設定だけで食いついたし(笑)、
映写技師という仕事が分かって
かなり興味深かったです。
映写技師は
作り手の思いが詰まったフィルムを、
客に届ける大切な橋渡し役。
だからこそ誇らしい仕事だし
責任重大なんですよね。
実際に映画館で働いていた作者ならではの
映画愛溢れる描写にも
心奪われます(*^o^*)
1秒間に24コマ動く
カタカタと写し出される残像が
記憶として心に刻みこまれるのが
『映画』という表現で、
それはDVDでは
決して味わえない
『生の体験』です。
客層によって
時代の空気をも肌で感じられるし、
映画館特有の
みんなで笑ったり泣いたりを
共有できる感覚(ライブ感)こそが
いつまでも残る記憶となりえるんです。
レイジというキャラが、
辻村深月の『凍りのくじら』の
サイコ野郎に非常に似通っていたり、
ストーリーにも
ツッコミ所は多々あるけど、
この作者の書く
甘く切ない世界観は嫌いではないし、
映画が好きで、
優しいことで損をしたり
傷ついてしまった経験がある人なら、
かなり共感できる小説なんじゃないかな。
そして、
映画が好きであればあるほど
胸に響く感動的なラストは、
是非とも
映像で観てみたいと思いました。
6月の映画化も楽しみ♪ -
Posted by ブクログ
主人公の中学3年生の男子3人が
とある機会でトライアスロンに挑戦し、
トライアスロンを通して大人になっていく、というお話です。
主人公の彼らは何も知らない子供でもなく、
また、全てを知っている大人でもなく、まさに思春期真っ只中。
純粋な心や感情を持ちつつも、上手くいかない現実にもがき、
正面から感情をぶつけ合ったりする姿は青臭くもあり、
「こんな時期もあったんだなぁ」という懐かさを思い出させてくれました。
ものごとが上手くいかない時の、
自分より弱いもの・自分を受け入れてくれるものに当たりたい気持ち、
不安なときこそ目に見える確かなものを求めてしまう気持ちが
純粋で繊細なんだけれども、でも少し残酷で。。。
そんな生々しさもシンプルに心に刺さってきます。
それぞれ心に留めておきたい事情を抱えながらも、
正面からぶつかり、また、ありのままの自分や相手(ここでいう友人)を受け入れる。
自分と向き合って、弱さを認めて、初めて強くなれたり大きくなれたりする。
大の大人だって、素直に出来ないことをさらっとしてしまうのも
このくらいの年代なのかもしれません。。
口にしてしまうと"クサイ"言葉や台詞も、
行動が伴うと悪くないなぁ、と思いました(^^) -
Posted by ブクログ
清々しい読後感の恋愛小説。
幸せな未来を感じさせる余韻がいい。
傷つきながらも、新しい世界へと踏み出す登場人物すべてに声援を送りたくなる。
鉱石店「石の花」のスタッフと、お店を訪れる過去に大きな傷を抱えた人たち。
その誰もがお店に安らぎと居心地のよさを感じているが、やがてはそれぞれが自分の問題と向き合い、未来へと一歩を踏み出す。
鉱物を取り扱うお店「石の花」。
山入水晶、緑鉛鉱、クリソコラ、菊花石、蛍石など、聞いたことのないような名前ばかり。
自然が創りだす造形美ってすごい!
章ごとに描写されている想いに切なく苦しくなる。
相手を思うあまり突っ走る主人公の姿には若者ならではの瑞々しさを感じたし、作品を通して誰かを深く想うことの尊さを感じた。
優しく爽やかな恋愛小説でした。 -
Posted by ブクログ
優太、姫、モー次郎たち、美月の歓声や叫び声、そしてひとりのときのひっそりとした泣き声が聞こえてくるようだ。自分の力だけではどうにもできないことがあることを知る時期かもしれない。大人じゃないけど子どもじゃない、子どもじゃないけど大人じゃない。佐野元春は「つまらない大人にはなりたくない」って歌っていた。オイラは優太が言う「憧れたくなるような大人」になってるかな。
「大切なのはイメージだ。もっと高くジャンプして青い空に手を伸ばすようにして、歪んだ大人たちがつかめなかった生きるってことの楽しさを、僕らの世代が手にするのだ。そのための強さを手に入れるには、足を踏み出さなくちゃいけない。それは大袈裟なことではなくて、きっと身近な一歩であってもいい」
解説の川上健一は言う。
「人間という生き物は、前向きであればどんな状況にあっても美しいものと希望を見つけられるものだと私は思う。青春という多感な時期に落ち込んだりもがいたりしている時ほど、美しいものと希望をより多く見つけることができるはずだ。見つけられないのは前向きになれる術を知らないからだけなのだ。例えばジャンプしてみる。例えばスキップしてみる。例えば口笛を吹いてみる。例えば空を見てみる。例えば自分にラブレターを書いてみる」
なんて勇気が出る言葉だろう。優太たちの何倍も生きているけど、その中身はあまり優太たちと変わらない。だから優太のように強くなるために、投げ出さずに走りきること、なにかをやり遂げることはいくつになっても続けよう。