関口尚のレビュー一覧
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『おくのほそ道』の旅を曽良の視点で記述する。「おくのほそ道」には書かれていない、いわゆる「謎」とされる部分を次々に解き明かしていく。だいたいそうだろうと思うような話もあれば、著者による新解釈が語られる話もある。
新説の例として、曽良と芭蕉の別れがある。芭蕉は、記録に変化を付けるため、曽良と別れることを初めから意識している。曽良もうすうす感じ始め、須賀川で等躬からそのことを教えられる。曽良は曽良で徐々に自分でも意識し始め、最後は山中温泉の地で、「自分の俳諧のため」別れを自分で言い出す。
だいたいそうだろうというのを一つだけあげれば、尿前の関。曽良が経路を変えたため、申告の滞在日数、出る予定の関所 -
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良かった…。想像以上に素敵な作品。
読後、静かな感動と余韻にひたりました。
「お遍路 × 青春」の本書。「恋」のエッセンスも少し♪
お遍路ツアーで同じ班になった7人は、一癖も二癖もあるメンバーばかり。10歳以前の記憶がない玲、誰とも打ち解けない花凛、ひねくれた態度の剣也、天真爛漫な太陽…。
7人それぞれが事情を抱え、ギスギスした雰囲気でのスタート。
お遍路で1200キロもの道程を歩き続け、自分と向き合い、たどり着いた先に何が見えるのかーー。
記憶を失くした玲の苦悩がひしひしと伝わってきて苦しかった。
人生には思いもよらない事が時としておこる。悲しみや苦しみにどう向き合っていけばいいのかわか -
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2022/09/03
関口さんの新刊出ると聞いてすごく楽しみにしてました。
やはり読んでみるととても心温まるお話で、昨今の時代背景も盛り込んだ小説になっています。
主人公の眠人(みんと)は、仕事をしなくなってアルコール漬けになった父のいる悲惨な家庭に居たくなくて、地域の公園にいることが多く、その場所で三線をひく高校生の春帆に三線を教えてもらう弟子入りをお願いすることから話が始まる。
春帆との出会い、竜征との出会い、さくら子との出会いなどを通して、眠人自身が高校、大学、社会人へとなるにつれて成長していく過程が三線と沖縄に対する思い入れと絡めて進んでいく。
竜征も家庭に複雑な状況を抱えていて、さく -
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心に訴えかけてくる本です!
映画観賞が好きな2人の少年、植野と今井。
少年2人が行きつけの映画館の受け付けには無愛想ながら魅力的な女性、松下さんがいた。
ひょんなことから少年2人は松下さんに好意を!しかし仲良くなるのは難しく…
そんな時少年達はネットの匿名日記「やめていく日記」を読み始める。その主人公はうつ病で今までやっていたことをやめていくことを書いている日記。
読み進めるにつれて、日記の主人公は松下さんなのではと認めたくないけれど疑い始める…
命を絶とうとしている松下さんを少年達は止めたいけど、どうすれば助けられるか分からなくて…
やはりうつ病など書かれているので気持ちが暗くなって読む -
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2020/07/31
10年くらい前に読んだことあったけど、借りた本だったので、自分の手元に置いておきたいという意味も込めて買い直し、からの読み直ししました。
佐川ミネラルという鉱物販売店でアルバイトをする修二を主人公にした、彼と彼の周りの人たちの織りなす話。
簡単にいうと、結構修二がリア充。
鉱物販売店で思い浮かべるイメージは地味だったり、静かだったりそんな感じなのに、この本の設定に出てくる人物たちは男女ともにキャラが魅力的。設定も高レベルになっていると思います。
鉱石販売店のアルバイトでこんなこと経験できるなんてあるのかよ…と思いつつ、そのギャップがまたいいのかもしれません。
色々と暗くな -
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2020/2/18
この人の作品は読みやすくて好きです。
この話は将棋部の部員として入部したのに、水泳部の部員として活動することになり、3人で学校が最後となる歴史に名を残すためにトライアスロンに挑戦することになる、姫(男)とモー太郎と主人公、それから美月という主人公の幼馴染の4人がおりなす青春のお話です。
ただトライアスロンに挑戦するのではなくて、挑戦することになるまでの経緯が結構それぞれ重たいものを抱えています。それを自分なりに、友人の力も借りながら乗り越えていく過程が描かれています。
トライアスロンに向けて練習する前の最初の部分では、半ば崩壊気味の状態からスタートしますが、身近にある色々な -
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ずっと昔から好きな本なのですが、感想を書きます。映画化もされてますが、関口さんの本は文章が好きなので(難しい言い回しを使わないのに刺さるんです)、映画は未だ観てません。
大好きなフレーズが、この作品に2つある。
一つ目は、ルカが主人公•恵介に言った言葉。
人との関わりが煩わしかったり不安になることもあるけれど、このフレーズを思い出して、いつも救われている。
家族に遠ざけたい人がいて、でも本当の意味で関係を遮断できない。
その自分の弱さを、選択を、包んで貰えた気がした。
二つ目は、恵介がルカに言った言葉。
私は、人と人が本当の意味で分かり合えることは一生ないんじゃないか?と思っていた。だか -
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2020/2/8
久しぶりに読んだ関口尚さんの本ですけど、相変わらず読みやすかったです。
お遍路というのを題材にした青春小説ということで、スタートからゴールの88番目のお寺まで、ちゃんとこの小説で登場人物たちが巡ります。最初に読み始めた時から恩田陸さんの夜のピクニック感あるわ〜と感じていたので感想とか調べてみたらやっぱり同じように感じていた人が多数いてなんだか安心。
玲、剣也、太陽、花凛、木戸さん、吉田と大学のお遍路サークルの企画に集まったという設定もただでさえ気になるのに、そこに集まった彼ら7班の個性的なことこの上ないと思います。
それぞれに抱えているものがあって、お遍路を一緒にやり遂げるこ