あらすじ
転入したての5年生、みなと。父の仕事の都合で各地を転々、病的に潔癖な継母との毎日に、何かを待ち続けていた。同級生・悟は物知り博士。父が鳩レースにのめり込み、母と離婚していた。そんな二人が鳩を拾う。持ち主のオランダ人に届けにいき、同い年の娘ユリカと出会った。居場所のない者同士、響き合った三人は、自分たちだけで鳩を飛ばしに遠く稚内を目指す。少年たちの冒険と成長を描く傑作長編。
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Posted by ブクログ
2020/2/28
ハトのレースに魅力を感じるようになっていった少年2人と少女1人の成長の物語。
この本を読むと、ハトのことに関してめっちゃ詳しくなることができます。
みなと、悟、ユリカの3人がハトのレースに出るために北海道目指して行ったり、何かと行動力がある3人ですが、それぞれの抱えているもの、特にみなとの過程がすごく複雑な設定で、読んでてかわいそうになります。
ハトの成長とともに、彼ら3人も小学六年生ながら大きく成長していきます。
その後の話では、大人になってもハトレースを続けている悟とみなとの話は描かれています。どうせならユリカのその後にも触れてみて欲しかったなーというのが正直なところ。
子どもの心情やお互いの心情の描写など、この人の作品は機微に富んでいるなといつ読んでも感じます。
Posted by ブクログ
前半に登場する小学生の主人公たちは皆、
家庭環境や学校での生活に「歪み」を持っている。
そのため、登場人物の性格もどこかしら
ダークな感じで、かなり危険なラインまで
捻てしまっているのがわかるけれど、
話が進むに連れ上手く
折り合いをつけていっている。
最初こそお互いの利益や自己保身のために
つきあっていたみなとや悟、ユリカが
結果的に単なるなれあいではない
共有意識を持つようになる流れは、
小学生とは思えない位渋いと思った。
後半の話が単なる後日談のハッピーエンドではなく、
成人した主人公たちがその年に見合った問題を抱えているのが良い。
何も目下の問題は解決できてはいないけど、
読後はすっきりした気持ちになれた。