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赤と青とエスキース
2021年本屋大賞2位『お探し物は図書室まで』の著者、新境地にして勝負作! メルボルンの若手画家が描いた1枚の「絵画(エスキース)」。日本へ渡って30数年、その絵画は「ふたり」の間に奇跡を紡いでいく――。2度読み必至! 仕掛けに満ちた傑作連作短篇。 ●プロローグ ●一章 金魚とカワセミ メルボルンに留学中の女子大生・レイは、現地に住む日系人・ブーと恋に落ちる。彼らは「期間限定の恋人」として付き合い始めるが……。 ●二章 東京タワーとアーツ・センター 30歳の額職人・空知は、淡々と仕事をこなす毎日に迷いを感じていた。そんなとき、「エスキース」というタイトルの絵画に出会い……。 ●三章 トマトジュースとバタフライピー 漫画家タカシマの、かつてのアシスタント・砂川が、「ウルトラ・マンガ大賞」を受賞した。雑誌の対談企画のため、二人は久しぶりに顔を合わせるが……。 ●四章 赤鬼と青鬼 パニック障害が発症し休暇をとることになった51歳の茜。そんなとき、元恋人の蒼から連絡がきて……。 ●エピローグ 水彩画の大家であるジャック・ジャクソンの元に、20代の頃に描き、手放したある絵画が戻ってきて……。 -
赤と灰色のサクリファイス
北信越地方に浮かぶ離島、翡翠島。過疎化に悩む小さな島で、突如、凶悪な事件が発生した。次々に著名な建造物が燃やされていき、最後には死者まで出てしまう。殺されたのは、誰もが憧れていた少年、『ノア』のたった一人の家族だった。父を殺され、親友にさえ別れを告げずにノアが島を去って十年。二十五歳になった真翔と織姫の前に、長く音信不通だったノアが不意に現れる。彼との再会をきっかけに、未解決に終わった連続放火事件の陰惨な記憶が蘇っていく……。哀切の赤い炎が焼き尽くす、新時代の恋愛ミステリー。 -
赤泥棒
町田康さん推し! 言葉に幅があり、しかもそれが的確に使用されている。辛辣な個性とその周囲を無情に描いていてよい。 (文藝賞選評より) 現役慶応大学院生であり、漫画『踊るリスポーン』の著者・三ヶ嶋犬太朗が鮮烈の文芸デビュー! 「捨てられたものを拾うのは泥棒ではない」と嘯き、女装をして女子トイレに侵入し、捨てられた生理用ナプキンを盗む百枝菊人。女装がバレたら心の性別をたてに被害者ぶろうと思っていたところ、同じ学校の明石睦美に目撃される。彼女は百枝が自分と同じく、性別に違和感を抱いていると思い急速に接近してきた。無理解と偏見がマイノリティを利用し、共感と愛情が暴力を肯定する……。表題作「赤泥棒」に加え、文藝賞最終候補に選ばれた「青辛く笑えよ」、「普通」を唾棄する高校生が才能の塊と出会い自我を崩壊させる「寄食のダボハゼ」をおさめた短編集。 -
茜さす
直木賞作家・永井路子氏の作品が遂に電子化! お嬢様大学に通う友田なつみは、自らの名前のルーツでもある吉野を訪ねる。 そこで知り合った会社社長の泉のことが気になりながらも、卒論、就職活動と慌ただしく日常が流れていく。 友人の死を乗り越えつつ、なんとか編集に携わる仕事を得るが、他方で大学のゼミで勉強した万葉集の額田王の生き方に魅かれていく……。 【目次】 優雅なる喪服 むらさき 夏の川辺 斜光 鍵 山茶花 白いコート 霧の夜 沈める寺 行く人なしに 街路樹 【著者プロフィール】 大正14年東京生まれ。東京女子大学国文科卒業後小学館に入社し、『女学生の友』『マドモアゼル』の編集者を務める。 小学館時代から歴史小説を執筆し始め、昭和39年『炎環』で直木賞を受賞。その他にも吉川英治文学賞を受賞した『雲と風と』等多くの素晴らしい作品を世に送り出している。 男性的目線になりがちな歴史人物や歴史事件を解きほぐし、その陰になりがちな女性にも焦点をあて、歴史上の人物、出来事を鮮やかに浮かび上がらせる作風は、歴史小説に新風を巻き込んだものと評価されている。 また、直木賞受賞作品である『炎環』、『北条政子』などは、NHK大河ドラマ『草燃ゆる』(1979年)の原作として、また『山霧 毛利元就の妻』『元就、そして女たち』などは、同じくNHK大河ドラマ『毛利元就』(1997年)の原作としても知られている。 -
茜さす日に嘘を隠して
「誰かに言えるわけない」私がこう思っている時、あなたは。 若者の真実を描く感動共作!! 就活面接でうまく話せず、彼氏とも疎遠な日々に思い詰める皐月、 寂しさを埋めるため、急に人と会いたくなる衝動を抑えきれない愛衣、 自分の経験を切り売りして曲を作り、シンガーとして活動する文、 大切な友達に言えない秘密を抱えながら過ごす智子ーー 誰かに理解してほしい葛藤をひとりで抱える、"大人未満"の4人の物語。 『青く滲んだ月の行方』(青羽悠)と繋がる世界ーー ●カツセマサヒコ(小説家) 教室の隅で捻くれてた自分に、この物語を読ませたかった。 ●本間悠(うなぎBOOKS) 友人でも恋人でもないあやうい関係性。 みんな、誰かと繋がりたくて、もがいている。 <第1話 さんざんな朝> 就活生の皐月は、ある面接で「あなたを売ってください」という質問を受ける。うまく答えられず落ち込んでいると、大学の先輩のSNSで、恋人の浮気場面らしき写真を見つけてしまう。社会人の彼とは最近うまくいっていない。自分の気持ちに正直に生きたいけれど、私だけが、取り残されてしまうのかーー? <第2話 砂が落ちる> 「好き」は終わりの始まりだ。パパもバイト先の先輩も、彼氏も、マッチングアプリで出会った男の子たちも、みんなあたしの元からいなくなった。わかっているはずなのに、愛衣は新たな誰かを探す衝動が抑えられない。砂時計の砂が落ちていくように、人間関係にもタイムリミットがある。それでも、と願う愛衣が出した答えとは? <第3話 手紙> 井ノ坂文は、SNSで人気のシンガーソングライター・ふみとして活動している。自分の経験をひとつずつ切り出して楽曲を作り、誰かの「自分のための曲」を作ることはできても、楽曲を通して誰とも繋がれないことに不安を感じていた。新曲の制作が進まない文は、ふと男子高校生の自殺のニュースを目にして――。 <第4話 あと1歩> 「男女の友情なんて成立しない」。男同士、女同士だって、友情が成立しないことはあるのに、どうして男女の間だけーー? 智子が、愛衣と涼太と飲む場所は、ラブホテルが定番だ。恋バナをしたり、就活の相談をしたり、定番となった三人で飲む時間だったが、その中で智子はある思いを抱えていてーー <第5話 色を変えて> 大学4年11月、先が見えない毎日を送る皐月。キャリアセンターでの面談を終えてスマホを見ると、サークル仲間の奈美から卒業旅行の誘いの連絡が。「私は皐月のこと、大事な友達だと思ってるよ」。友達って何なのか、そして、私って一体どういう人間なんだろうーー? -
赤羽せんべろ まねき猫
ヒット作『妻の終活』の著者が贈る最新の人情ドラマは「親の終活」 父が脳出血で倒れた。 折り合いの悪い父・時次郎と、この10年連絡すら取り合っていなかった42歳の篠崎明日美。実家からは勘当されとっくの昔に母に逃げられている時次郎にとって、一人娘である明日美は唯一の身内である。変わり者の父は16年前から「まねき猫」という立ち飲み屋を営んでいるが、医師には「回復後も麻痺が残る」と言われ、店に立ち続けるのは難しそうだ。「まねき猫」を閉めるしかないと考えていた明日美だったが、時次郎の友人で店の回転資金として300万円貸しているという「宮さん」によると、返済に関しては「『まねき猫』が続くかぎり無期限」ということらしく、簡単に閉店するわけにはいかず……。 果たして、明日美の選択は――。 ※「せんべろ」とは:1000円でべろべろに酔える酒場などの俗称。 -
赤パンラプソディ
「クセつよ」家族の愛おしく波瀾万丈な日々。 長年の夢であった小説家デビューを果たしたものの、担当編集者から「ボツ」をくらい二作目を出せず鬱々とする古都子は、漫画家である娘たちから60歳の誕生日を祝われ、赤いパンツをプレゼントされるがまったく喜べない。運動不足が祟り「脂肪肝」と診断され落ち込む長女・杏菜と、頑固でコミュ障だが天才気質の次女・瑠花、家族中から世紀末的に嫌われている夫と、愛猫のカンちゃん……。個性の強い4人+1匹の暮らしは一筋縄にはいかない。あるとき次女が、夫が建てた家を自分たちで稼いだお金でリフォームすると言い出して!? 46歳で大学入学、61歳で小説家デビューした著者が、自身の波瀾万丈な人生をベースに書いた、たくさん笑ってたくさん泣ける痛快「クセつよ」還暦小説!! -
赤姫秘文
前田家の美貌の息女と瓜二つだったために、貧乏浪人の娘が遭う災難と冒険。赤城山の奥深くに、人知れず住む人たちの秘儀・赤姫秘文の謎と、それにまつわる奇譚を軸に、ふたりの美貌の女性たちの恋と欲とがないまぜになった、伝奇小説。 -
あかりの燈るハロー
言葉に迷ったことのあるすべての方にーー 六年生になる茜は、五歳で母を亡くし吃音となった。思い出の早口言葉を歌い今日もひとり図書室へ向かう。特別な目で見られ、友達なんていないーー吃音を母への愛の証と捉える茜は治療にも前向きになれないでいた。ある日、知らない人物から、「友達になりましょう」というメールがパソコンに届く。差出人は朱里(あかり)、ふたりはすぐに仲良くなった。話すことへの抵抗、思いを伝える怖さーー友だちとの付き合い方に悩みながらも、少しずつ自分を見つめなおし、朱里に対する信頼を深めていく。そんななか、茜は父の部屋で一冊の絵本を見つける……。 【目次】 第一章 バイバイ、お母さん。ハロー、ハンデ。 第二章 ハローワールドの住人 第三章 吃音という証明 第四章 最高の友だち 第五章 うるさい! うるさい! うるさい! 第六章 レインボー薬局 第七章 はーい! せんせー。 第八章 イフ・アカリ 第九章 ハウマッチ 木・木・木 第十章 未来永劫チクワ 第十一章 あたしがやりました。 第十二章 お父さんの恋人 第十三章 アカネ・ゴーラウンド 第十四章 # to the world. epilogue… 【著者】 虹乃ノラン 愛知県生まれ。2024年『そのハミングは7』で第9回カクヨムWeb小説コンテスト〈エンタメ総合部門〉特別賞を受賞しデビュー。喪失と再生を主題に物語を書き、翌年同作で第5回みんなのつぶやき文学賞〈国内篇〉第2位、第1回ずんだ文芸部大賞を受賞。著書に『銀盤のフラミンゴ』など。 -
あかり野牧場
夢は大きく、ダービー制覇! 一頭の馬が人の心を揺り動かし、夢舞台へと駆り立てる―― すべての人を元気にする、感動の競馬小説。 家族経営の零細牧場「あかり野牧場」で生まれた一頭の馬は、「北の大地に灯りがともれば」とキタノアカリと名付けられた。 中央競馬デビュー以来、圧倒的着差をつけて連勝し、いよいよG1に挑む。 広大な町の狭いコミュニティーは、アカリの話題で持ちきりだった。 大牧場が席捲するG1戦線で、世代7000頭超の頂点に立つことなどできるのか? 牧場を営む家族、馬産地の仲間たち、崖っぷちの騎手…… 多くの想いを背に載せて、希望の灯りがターフを駆ける。 -
アカン、先生に叱られる!
50年前の日本、国中に三波春夫の『東京五輪音頭』が流れるなか、東海地方のとある村には、大人たちに見守られながら思いのままに遊び、日々を活き活きと暮らす子供たちがいた。さまざまに繰りひろげられる学校や村の催事、伝統行事。いつもなにかが起きる毎日…。物語の主人公は、小学4年生の勝ちゃんと信ちゃん。『アカン、先生に叱られる!』は、厳しい男先生になにかにつけて叱られながらも、やんちゃな彼らがいい子になろうと一生懸命に頑張る、成長の記録でもある。ときどき泣けてくることもある。かつて日本のどこにもあった子供たちの夏…。こころのどこかに佇む日々。追憶の走馬灯を止めてみる。 -
アカン、先生に叱られる! 単行本版
50年前の日本、国中に三波春夫の『東京五輪音頭』が流れるなか、東海地方のとある村には、大人たちに見守られながら思いのままに遊び、日々を活き活きと暮らす子供たちがいた。さまざまに繰りひろげられる学校や村の催事、伝統行事。いつもなにかが起きる毎日…。物語の主人公は、小学4年生の勝ちゃんと信ちゃん。『アカン、先生に叱られる!』は、厳しい男先生になにかにつけて叱られながらも、やんちゃな彼らがいい子になろうと一生懸命に頑張る、成長の記録でもある。ときどき泣けてくることもある。かつて日本のどこにもあった子供たちの四季…。こころのどこかに佇む日々。追憶の走馬灯を止めてみる。 -
アガタ
『脳男』にも挑んだ超個性的ヒロイン! 被害者の思いがけない接点に隠された謎! 立て続けに起きた殺人事件の被害者となった 若い女性たちは片目を抉りとられていた――。 殺人者はなぜそんな残酷な犯行に及んだのか? 事件に動揺したレイチェルが姿を消した理由とは? 感情は厄介、数学は完璧。 若い女性がサバイバルナイフで刺され、顔を激しく傷つけられたうえに片目を抉りとられるという異様な殺人事件が立て続けに発生した。捜査本部で被害者の接点を探る青木一は何か助言を得ようと鵜飼縣とともに元精神科医のレイチェルの部屋に集まって事件の概要を説明したところ、レイチェルが異常なほどに動揺し、ワイングラスを取り落としてしまう。その時に漏らした言葉が気になってしかたがない縣は、彼女がかつて行った犯罪者の精神鑑定のカルテを調べるよう桜端道に指示して、十年数前に鑑定した凶悪犯が来日していることを突き止めるも、第三の事件の発生とともにレイチェルの失踪を知らされる……。 -
アガタ
「見えているのに見えないもの、それを捜すの」 オシャレすぎる女性警視が新米刑事に突きつけた言葉の意味は? 美大に通う女子学生が背中をめった刺しにされて殺された。しかし、指紋も足跡もなく、防犯カメラの映像も残っていない。警視庁の捜査一課に異動したばかりの青木一は捜査本部に呼ばれ、地元の有力者の息子がストーカーだったという噂を耳にして、無断で本人に接触したため管理官から大目玉を食らう。一方、鵜飼縣は警視庁本部庁舎の片隅であらゆる犯罪情報を収集分析して汎用性の高い検索システムを構築している。スタッフの桜端道が投資詐欺事件の情報をつつきまわすうちにたどり着いた謎の闇サイトには殺人現場の生々しい写真が。縣は秘かに美大生殺害事件の捜査の進み行きを探り始める……。 『脳男』の作者による規格外の警察小説の誕生! -
あがのあねさま
SDGsを掲げた世界は、達成目標1年前の2029年を迎えてもなお目標達成できないでいた。 人類も日本政府も努力したが、結局達成には間に合わないことが確実になり、人々は悲観しつつ、その責任を互いに醜く押し付けあった。 だが、そのとき、3隻の女性形女性サイズ移動要塞が進空した。 阿賀野と能代と矢矧。日本政府が一発逆転の目標達成のために建造した女性形女性サイズ巡洋艦三姉妹である。 その彼女たちが秘密裏に配属されたのは、なんと、阿賀北地域の実験都市。 今、人類の運命をかけたSDGs一発逆転達成計画が開始された! 今時困難な近未来SF小説、無理を承知でテイクオフ! -
秋時雨
秋時雨の中を走って、4人の男女の組み合わせが順番にめぐってくる 吹き付けるような秋時雨の中を 2台のクルマが走っていく。夜もかなり深い時間だ。 2台には男女が2組ずつ。合計4人。 互いに恋人同士と呼んで差し支えない関係で それは女と女においても変わりはない。 やがてホテルにチェックイン。部屋は2つ。今度はクルマでなく部屋だ。 さて、組み合わせはどうなる? 4人いれば組み合わせの数は自ずと決まっている。 が、しかし。実は実現していない組み合わせもあるのだが・・・ 【著者】 片岡義男 1939年東京生まれ。早稲田大学在学中にコラムの執筆や翻訳を始め、74年『白い波の荒野へ』で作家デビュー。75年『スローなブギにしてくれ』で野生時代新人賞を受賞。ほか代表作に『ロンサム・カウボーイ』『ボビーに首ったけ』『彼のオートバイ、彼女の島』など多数。http://kataokayoshio.com/ -
秋の夜長とは
眠ったら、けっして目を覚まさない女性の傍らで 28歳の女性がいる。出張先でさんざんな思いをして疲れ果てた彼女は同い年の友人を呼び出し、食事をし、酒を飲み、息を吹き返す。そこに友人の親しい男友達を呼び出し、宴は3人になった。ところで出張から帰って来た彼女にはお酒が入ると眠ってしまうクセがあった。その日もやはり眠ってしまい、残り二人はようやく部屋に運び込む。一度眠ったら絶対に起きない彼女の隣で二人はセックス。そして戯れに、この眠っている彼女に挿入してみよ、とそそのかす。さあ、男はどうする……という、秋の夜長の短篇小説。 【著者】 片岡義男 1939年東京生まれ。早稲田大学在学中にコラムの執筆や翻訳を始め、74年『白い波の荒野へ』で作家デビュー。75年『スローなブギにしてくれ』で野生時代新人賞を受賞。ほか代表作に『ロンサム・カウボーイ』『ボビーに首ったけ』『彼のオートバイ、彼女の島』など多数。http://kataokayoshio.com/ -
秋葉原オーダーメイド漫画ラボ
連載漫画を打ち切られ失業した漫画家月高歩夢は、女子高生にスカウトされ、なんでも漫画にする会社に就職。そこで変わった案件を担当することに……。JK社長&崖っぷちアラサー漫画家のユニークなお仕事物語! -
秋山好古 明治陸軍屈指の名将
司馬遼太郎著『坂の上の雲』の3人の主人公の1人であり、ビジネスマンを中心に多くのファンを持つ明治陸軍の名将・秋山好古。しかし彼の一生を詳細に追った評伝小説は、これまであまり書かれていない。本書は、手練の作家が様々な資料を駆使しつつ、「日本騎兵の父」と称えられた伝説の将軍の生涯を、正面から描ききっている。伊予松山藩士の家に生まれた好古は、貧しさから軍人の道を選び、創設まもない陸軍士官学校で「騎兵科」に進んだ。「騎兵」という兵種は、当然ながら従来の日本には存在しない。フランス留学を経て研究を重ねた好古は、日清戦争では自ら訓練した騎兵隊を率いて従軍。やがて日露戦争の火蓋が切られると、寡兵をもってロシアの大騎兵団を防ぎ、戦史を飾る激戦を繰り広げることになる。豪胆にして細心、戦場ではつねに前線に立ち、部下を思いやる心を忘れなかった指揮官。その人間的魅力を余すところなく描いた、著者渾身の力作小説である。 -
あきらめません!
結婚して三十数年。共働きかつワンオペ育児を卒業し、節約を重ねて住宅ローンも返済完了。定年退職を迎えた霧島郁子がやっと手に入れた夢のセカンドライフは、夫の田舎へ移住したことをきっかけに音を立てて崩れていく。閉鎖的な地域社会、染み付いた男尊女卑――時代遅れな現実を前に打ちのめされる郁子だったが、ある日出会った銀髪の女性議員・市川ミサオの強烈な後押しで、なぜか市議会議員に立候補することに……!? この土地で生まれ育った落合由香も巻き込み、ミサオ(80代)、郁子(60代)、由香(30代)は世代をこえて「私たち」を取り巻く問題に立ち向かう! -
あくう
狂うか? 壊れるか? 特盛の毒を喰らえ。 二〇二四年、世界中の国際・株式市場において大暴落が起こり、それに伴って金融危機が発生する。そうした折、アメリカのホワイトハウスに、日本刀を手に斬り込む羽織袴にモヒカン刈りの日本人十三人の集団(内一名はモヒカン刈りにできるだけの髪がなく、よって古き良き月代スタイル)が現れる。彼らは、アメリカへの宣戦布告と同時に『ショーワ・ジャパン』の建国を宣言する。ただ、その目的はあまりにも不可解だった。“終わりのない悪夢”の破壊? 終焉? 消滅? その集団の名は『矛(ほこ)の会』。パンクバンド『零和遊戯(れいわゆうぎ)(別称:ゼロサム・ゲーム)』のメンバーを中心に結成された集団である。 よく二〇二五年は昭和百年にあたる都市。この年、“昭和百年問題”によってインターネット文明は崩壊し、金融システムもまた完全に崩壊する。そこで起こるのが『ショーワ・ジャパン』を継ぐ者たちが起こす“東京事変”――。 果たして、“終わりのない悪夢”とはいったい? 毒を喰らわば皿までもーー。彼らはそれはご免だった。 【目次】 萌える闘魂 Fucking Dickless Assholes 1984 パンクス・ノット・デッド アバ世 曇天のユートピア 破滅と娯楽と怠惰と美学 輝ける乱世 昭和維新は地球維新 ワライッポンノカクメイ Go for Broke ゴッド・セイヴ・ザ・ブイィーン 【著者プロフィール】 仁 雅宗(じん まさむね) 1984年7月13日生まれの右投げ右打ち、中卒、非童貞。 チェ・ゲバラや“世界で一番貧しい大統領”ことホセ・ムヒカに憧れる、夢見がちのハゲてしまいかけなオジさん。見習いアナキスト。 かつて日本を訪れたホセ・ムヒカが羽田空港からウルグアイへ帰国する際、テレビカメラに向けて祝儀袋に口づけをし、それを頭上に掲げ、「ムーチョ・グラシアス」と言った。その祝儀袋は、著者がその直前に手渡した手紙(もちろん、現金は入っていない)だったりする。 「Welcome! Never-seeing amigo! Maybe you know that HERO IS COMING or HEY-HO IS COMING by the world’s end.」 -
悪業 小説・東京チャイニーズ
中国人犯罪が増加する「列島チャイナタウン化現象」をいかに捉えるか 日本で多発する凶悪犯罪。その背後に中国人犯罪組織が見えかくれする。 合法、違法含めて、30万人に達する在日中国人。よき隣人であるべき彼らに、何が起きているのか? 彼らは何を求めて日本にやって来て、なぜ凶悪犯罪を犯してしまうのか? 本書は、犯罪に走る在日中国人、その存在を浮き彫りにするノンフィクション・ノベルである。 ※この作品は事実に基づいていますが、登場する人物や団体などはフィクションであり、実在しません。 ●森田靖郎(もりた・やすろう) 作家。1945年、兵庫県出身。文革中に、中国・チベット地区を訪れ、辺境地に下放された都市青年との交流から中国への興味を抱く。その後、シルクロードやロングマーチ(長征)など中国各地への旅を繰り返す。改革開放、天安門事件、香港返還などを常に現場から発信し、中国をフレームにして日本への同時代メッセージを送り続けるルポで定評がある。ノンフィクションを底辺にさらに再構築した小説執筆にも精力的で、ノンフィクションでは表現出来ない中国の暗部を赤裸々に描き出している。主な著書に、『東京チャイニーズ』(講談社)、『見えない隣人 ~小説・中国人犯罪~』(小学館)、『スネーク・シャドウ』(朝日新聞社)、『上海セピアモダン』(朝日新聞社)、『中国「犯罪源流を往く」』(講談社)、『悪夢』(光文社)、『地経学で読む爆走中国』(原書房)、『引き裂かれた街 ~池袋チャイナタウン・プロジェクト~』(ナショナル出版)などがある。 -
悪女公主のはかりごと
栄華を誇る大国・玖に祖国を攻め落とされ、ひとり生き残った小国の公主・魅音。 捕虜として玖の後宮に入った魅音は、禁忌の霊廟に封印された龍神と出会う。龍神は鬼怪の“音”を聴き取る魅音の能力を知り、望みを叶える代わりに彼の巫となって不離一体の契りを交わせと迫る。 「復讐を。この国を亡ぼす復讐の力を、わたしに!」 美しい青年の姿となった龍神・天祐と手を結び、玖の皇帝への復讐を企てる魅音。だが後宮では、鬼怪絡みの不穏な事件が彼らを襲い――。 -
悪声
「ええ声」を持つ「なにか」はいかにして「悪声」となったのか――。 ほとばしるイメージ、疾走する物語。著者入魂の長編小説。 「なにか」は、ある重みをもって、廃寺のコケの上にそっと置かれた――。 京都のはずれの廃寺に捨てられたみどりごは、コケに守られながら生をつなぎ、やがて犬のブリーディングと桜の剪定を生業とする花崎さんに引き取られる。 「なにか」の声は、居合わせた誰もがはっと振り返るような特別なものだった。 長じて歌うことを覚えた「なにか」は、アムステルダムからやってきたサックス・プレイヤーの「タマ」と「あお」の父娘といっしょに、生駒の方舟教会でライブを行う。 奔放な想像力が魅力の、現代を代表する物語作家いしいしんじが、筋立ても分量も、あらかじめ何も決めずに想像の赴くままに書き進めた、少年の一代記。 第4回河合隼雄物語賞受賞作。 解説・養老孟司 ※この電子書籍は2015年6月に文藝春秋より刊行された単行本の文庫版を底本としています。 -
芥川龍之介『藪の中』を読む(文芸漫談コレクション)
「文芸漫談にようこそおいでくださいました。今回は芥川龍之介『藪の中』を読むという、大変な回となっております。」(奥泉)。芥川賞作家と希代の仕掛人が捨て身でおくる“漫談スタイル”の超文学実践講座。本電子書籍は、文芸誌「すばる」2011年3月号に掲載された作品の電子版シングルカットです。
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