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葉子を癌で失ってからというもの、僕はいつもデパートの屋上で空を見上げていた――。万引きを犯し、衆人の前で手酷く痛めつけられた中学の時の心の傷、高校の先輩女性との官能的な体験、不倫による心中で夫を亡くした女性との不思議な縁、客の心を癒すSMの女王……。主人公・山崎が巡りあった心優しき人々と、南仏ニースでの葉子との最後の日々。青春文学の名作『パイロットフィッシュ』につづく、慟哭の恋愛小説。
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Posted by ブクログ
とてもよかった。 文章もうつくしかった。 私が葉子の立場だったらどこに行きたいかなと考えてしまった。
★五つです。しかし・・・。 大崎善生さん、どう捕らえるべきか未だに悩んでいます。 個人的にはビシッと嵌ってしまうのですが、世の中一般から見てどうなのか?純文学なのか大衆文学なのか(余り意味の無いことですけど)、女性から見てどうなのか? 前作「パイロットフィッシュ」と同じ主人公ですが、つながりは...続きを読むありません。アダルト雑誌の編集者を務める主人公・山崎が、水溜りばかり写している写真家・葉子と出会い、恋に落ち、同棲。しかし、葉子が進行性の癌に罹っていることが判り、最後の地として選んだニースで葉子の死を看取る。そんなお話です。 文章は清冽です。そして、主人公の二人はもちろん、葉子を紹介するSMの女王・ユーカも、ライターの高木も、高校時代の先輩・美津子も、登場人物はみな心優しく、そしてどこか哀しい。そこに猛烈に惹かれてしまいます。しかし、どこか騙された感じもあります。 まあ、何はともあれ、自分の感覚を大切にして★5つにしておきます。
泣ける小説として勧めてもらったのだけれど、途中までは泣けるとは思えなかった。 でも「優しい人でいて」辺りから泣けてきて、結局最後まで泣きながら読んでいた。
山崎の物語三部作の最初の一冊(らしい)。 山崎の中学生・高校生時代と、恋人である水たまり写真家、葉子との最後の日々、そしてそれ以降。 死にゆく人の形容しがたい物質的な軽さ、非物質的な重さと、最後まで一緒に過ごすことを引き受ける主人公山崎の凄みに心が動く。
カフェでアイスコーヒーにガムシロップを注いでたらたらとカラメルのような甘くて苦い味を感じながら読んだ。 どうにもならない空虚感と欠落感を持ち合わせている、恋人を亡くした主人公。彼の半生を女性とのエピソードを交えながら進む彼女が亡くなるまでのストーリー。 静かにでも確実に死は近づいていて、彼の無力さが...続きを読む痛いほど伝わって読むのが辛いときもあった。 アジアンタムに水をあげる。=自分のことだったのかと。
大崎善生さんを好きになった切っ掛けの本。とても綺麗で、けれど生々しい文体がとても好きです。フランスの田舎に行きたくなったり、水たまりを見てみたり、アジアンタムを育ててみたり。そんな日々を過ごしたい。 結末は分かっていても、ひたすら泣けます。
透明な文章、哲学的に恋をする主人公。 バラバラになったジグソーパズルのピースを集めるように、過去の様々な場面が語られる。 葉子を、その中の一つとして位置づけ、消化して前へ進むために。 生きることとは、たくさんある憂鬱から抜け出し続けることだ。 その一つ一つの憂鬱が、自分を強くしてくれる。 栄養剤では...続きを読む駄目なのだ。 きちんと片付けて、歩いて行かなくては。
「パイロットフィッシュ」を読んでから少し経ってしまったのですが、良い意味で独立した作品として楽しめました。 愛と死と、孤独と寂しさと強さと清らかさがまっすぐに向かってくる作品。 フィクション故の非現実な諸々も正しく使われていて、違和感がなく、大変美しい作品に仕上がっていると思います。
とても、綺麗で純粋な小説です。 何があっても、人は生きていかなければならない。 体と同じように心もいろいろな物を内包しながら、 少しずつ成長していかなければならない。 それってとても大変な事だと思います。 前を向いて進むって、しんどい事だなぁ。。
最後をバスの中で読んでしまい、失敗。。涙 優しい愛の物語でした。 生かされていることに感謝しなければ。
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