【感想・ネタバレ】アジアンタムブルーのレビュー

あらすじ

葉子を癌で失ってからというもの、僕はいつもデパートの屋上で空を見上げていた――。万引きを犯し、衆人の前で手酷く痛めつけられた中学の時の心の傷、高校の先輩女性との官能的な体験、不倫による心中で夫を亡くした女性との不思議な縁、客の心を癒すSMの女王……。主人公・山崎が巡りあった心優しき人々と、南仏ニースでの葉子との最後の日々。青春文学の名作『パイロットフィッシュ』につづく、慟哭の恋愛小説。

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感情タグBEST3

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とてもよかった。
文章もうつくしかった。
私が葉子の立場だったらどこに行きたいかなと考えてしまった。

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2024年09月06日

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★五つです。しかし・・・。
大崎善生さん、どう捕らえるべきか未だに悩んでいます。
個人的にはビシッと嵌ってしまうのですが、世の中一般から見てどうなのか?純文学なのか大衆文学なのか(余り意味の無いことですけど)、女性から見てどうなのか?
前作「パイロットフィッシュ」と同じ主人公ですが、つながりはありません。アダルト雑誌の編集者を務める主人公・山崎が、水溜りばかり写している写真家・葉子と出会い、恋に落ち、同棲。しかし、葉子が進行性の癌に罹っていることが判り、最後の地として選んだニースで葉子の死を看取る。そんなお話です。
文章は清冽です。そして、主人公の二人はもちろん、葉子を紹介するSMの女王・ユーカも、ライターの高木も、高校時代の先輩・美津子も、登場人物はみな心優しく、そしてどこか哀しい。そこに猛烈に惹かれてしまいます。しかし、どこか騙された感じもあります。
まあ、何はともあれ、自分の感覚を大切にして★5つにしておきます。

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2017年10月30日

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泣ける小説として勧めてもらったのだけれど、途中までは泣けるとは思えなかった。
でも「優しい人でいて」辺りから泣けてきて、結局最後まで泣きながら読んでいた。

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2014年02月05日

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山崎の物語三部作の最初の一冊(らしい)。
山崎の中学生・高校生時代と、恋人である水たまり写真家、葉子との最後の日々、そしてそれ以降。

死にゆく人の形容しがたい物質的な軽さ、非物質的な重さと、最後まで一緒に過ごすことを引き受ける主人公山崎の凄みに心が動く。

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2013年11月02日

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カフェでアイスコーヒーにガムシロップを注いでたらたらとカラメルのような甘くて苦い味を感じながら読んだ。
どうにもならない空虚感と欠落感を持ち合わせている、恋人を亡くした主人公。彼の半生を女性とのエピソードを交えながら進む彼女が亡くなるまでのストーリー。
静かにでも確実に死は近づいていて、彼の無力さが痛いほど伝わって読むのが辛いときもあった。
アジアンタムに水をあげる。=自分のことだったのかと。

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2013年09月16日

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大崎善生さんを好きになった切っ掛けの本。とても綺麗で、けれど生々しい文体がとても好きです。フランスの田舎に行きたくなったり、水たまりを見てみたり、アジアンタムを育ててみたり。そんな日々を過ごしたい。
結末は分かっていても、ひたすら泣けます。

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2013年08月25日

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透明な文章、哲学的に恋をする主人公。
バラバラになったジグソーパズルのピースを集めるように、過去の様々な場面が語られる。
葉子を、その中の一つとして位置づけ、消化して前へ進むために。
生きることとは、たくさんある憂鬱から抜け出し続けることだ。
その一つ一つの憂鬱が、自分を強くしてくれる。
栄養剤では駄目なのだ。
きちんと片付けて、歩いて行かなくては。

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2024年10月26日

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「パイロットフィッシュ」を読んでから少し経ってしまったのですが、良い意味で独立した作品として楽しめました。

愛と死と、孤独と寂しさと強さと清らかさがまっすぐに向かってくる作品。

フィクション故の非現実な諸々も正しく使われていて、違和感がなく、大変美しい作品に仕上がっていると思います。

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2022年10月03日

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ネタバレ

こんな風に純粋に思い出に浸り、人を愛せることの幸せ。そんな風に愛した人を失ってからの空虚な日々。これ以上巻けないねじを巻き上げなければならない苦悩…それでも、前を向いて生きていかなくては、と感じる主人公の苦しみの隙間に、心が少しずつ溶かされていくようでした。言葉や表現が、優しさに溢れていて、じん…っと染み渡る。。

以下、メモ。
・アジアンタム・ミクロソリウム
・概念には定義というものが必要で、そしてその定義は要するに自分が気に入ったり、ある程度納得できればなんでもいいんだということが分かりました。
・キース・ジャレット
フェイシングユー
・言葉が氾濫している
・アジアンタムブルーを乗り越えた株だけが冬を超え、活きいきと生きていく。そうなればこっちのもので、その後は二度と、アジアンタムブルーは訪れない。
・どんなにきつく体を重ね合わせても、埋めることができない隙間。その隙間に思いを馳せることが愛するということなのかもしれない。
・エルトンジョン ユアソング
・シャルルドゴール空港 野ウサギ
・ニース

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2020年04月21日

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とても、綺麗で純粋な小説です。
何があっても、人は生きていかなければならない。
体と同じように心もいろいろな物を内包しながら、
少しずつ成長していかなければならない。
それってとても大変な事だと思います。
前を向いて進むって、しんどい事だなぁ。。

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2019年11月20日

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最後をバスの中で読んでしまい、失敗。。涙
優しい愛の物語でした。
生かされていることに感謝しなければ。

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2019年10月16日

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昔好きだった本。パイロットフィッシュも好きだったけどこっちも好きやわ。
続木葉子のキャラクターが好きなのかも

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2019年04月12日

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愛する人が死を前にした時、いったい何ができるのだろう。
末期癌に冒された恋人と向かったニースでの日々。
喪失の悲しさと優しさの限りない力を描き出す、慟哭の恋愛小説。

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2016年11月07日

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前作「パイロットフィッシュ」より前を描いたお話し
何というか、後出しジャンケン的なものを感じるなぁ
別に同じ主人公でなくともよかったのではとは思わないでもな
これ単体だったらもっと評価が高かったかも

ただ、この話があるからこそパイロットフィッシュにも深みが出るところもあるけどね
そうか、こんな経験をしてたからこそ、パイロットフィッシュでは博愛的な優しい面があったってことか?


ストーリー的には、恋人が亡くなる&その後の傷心っぷりを描いてるんだけど
そこいらにある恋愛ストーリーのような安っぽさを感じないのは、むしろ恋愛要素はサブでメインは死生観について語られているからだろう

性と生についてもちょっと書かれてある

前作同様、描写はキレイ
特に、水溜りの写真のイメージは鮮明に思い浮かべられるただ、実際にそんな写真があったら想像以上のものかもしれない

どうやら、続編3作目で完結のようだ
機会があったら読んでみよう

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2015年02月20日

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泣いた・・・ 
すごくよかった。

前に「パイロットフィッシュ」を読んだのだけれど登場人物や設定が一緒なので「あれ???」とちょっと戸惑った。

でもお話は別のよう。

葉子という女性が最初は名前しか出てこなくて、山崎くんに深い悲しみだけを与えているから ひどい事があったんだろうと思って好感なんて持てなかったんだけど、想い出の中で葉子という人物が出てきてから、私は彼女が大好きになった。
そして彼が何故そんなにも深く悲しんでいるのかが とてもよく理解できた。

最後の方は涙が止まりません。

若い頃の過ちが年を重ねて大人になってからの自分にまだ深く影響を及ぼすって事、多かれ少なかれ誰にでもあるように思う。
目を背けたくなる事。忘れてしまいたい事。

私もちょうど中学生の頃「死んだらどうなるんだろう・・・」とすごく悩んだ覚えがあって、その時の恐怖とかとてもよくわかった。

本当に、よい本でした。

しかし、高木くんは 相変わらずいい人だなぁ~~。(パイロットフィッシュでもいい人だった)

秋の夜長に是非読んでみてください。

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2014年06月13日

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『パイロットフィッシュ』に引き続き・・・山崎と葉子のニースでの最後の日々が切ない。でも、こんなふうに人生の終焉を迎えることができたら・・・。残される方がいつも辛い。それでも人は生きていく。想い出があれば、人は生きていける。まわりの人々の優しさに心打たれる。

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2014年04月12日

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恋人の死を受け入れ、前に進もうという過程は、よくある題材かもしれないけれど、水たまりのような透明感に涙が溢れた。

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2014年03月01日

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ソフトな村上龍の小説のような雰囲気を持った作品。最愛の妻・葉子を失った主人公の山崎の過去と今の瞬間を行き来しながら、巡りあった女性達との思い出、別れの時が柔らかい筆致で綴られる。

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2013年10月10日

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水溜りの写真展に飾られた最後の一枚の写真、涙を誘いますね。アジアンタムブルーに象徴される葉子と暮らした日々が、山崎をばらばらにして、前半の憂鬱な日々に繋がってゆく。(あれ?前半の憂鬱な日々の方がアジアンタムブルーなのかな?)最愛の人を亡くしたら、そりゃ誰だって凹みますよ。自分を見失うでしょう。でも生きている人間は普通の生活を続けてゆくしかないんですよね・・・いつか死ぬ日までその人への想いを心のすみに残して。

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2013年09月24日

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【再読・2016.4.15】
大崎善生さんの小説は、もののたとえが本当に秀逸だ。
『パイロットフィッシュ』では、まるで命の息吹がしないかのような静かで透明な水槽になぞらえた主人公の暮らし。静かで透明な水槽は、いつまでも動かずにそこにあり続ける記憶を表しているみたいな気がする。
そちらが静なら『アジアンタムブルー』は動で、ちりちりと葉が丸まって枯れるまで精一杯生ききるアジアンタムの生命力と儚さが病気で命を削られていく恋人に重ねられている。主人公の感情の動きが生々しい。
主人公の思春期と現在とを行ったり来たりしながら進み、恋人を失うまでが描かれる。王道のストーリーとも言えるのだけど、恋愛小説の甘さはあまりない。主人公はエロ雑誌の編集者という設定なのに透きとおるような物語。不思議です。
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【初読・2006.8.7】
大崎善生さんの本では最初に読んだものですが、すごくこの人らしい、透明感のある物語。
涙が出るのに、読み終わると心がじんわりあたたかい。せつなくて、悲しくて、愛しくて。読み終わると、好きな人に会いたくなります。

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2016年04月25日

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感想
それでも人生は続いてしまう。足は重く前に進む意志は削がれている。一緒に歩いてくれる人はいない。だけれども。前を見て足を上げなくては。

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2023年12月02日

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ネタバレ

一番苦手だ。
慟哭の恋愛小説。
一人称の男性が過去を語る形式の恋愛小説は、間違いなくこれだ。

この作者の『聖の青春』や『将棋の子』は好きでしたし、感動もしましたが、この作品はちょっと…。
主人公の人生に登場する人が、みんなドラマチックなのよね。
だから逆に私の気持がフラットのまま終わってしまいました。

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2021年08月22日

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シリーズ第2巻。
この著者の心の機微を言葉で表現する形が独特で、しかも、たのしいうれしいとかよりも、寂しい、苦しい、辛いっていうのをなんとも言えない言葉で表現しながら進む物語。

ネジを限界までネジあげた後にさらに巻くような、ギリギリとしたこころの感触。そんな言い回しが、主人公の気持ちが痛いほど伝わる。

こう、読んでてこころの奥底が
ぎり、ギリギリ、、ギリ、、、ぎ、ぎ、ぎ、ぎ、

と、ネジを巻かれすぎてしまうようななんとも言えない気持ちにさせられるんだけど、限界の中から気持ちのいい世界が垣間見える、少しの幸せがものすごい幸せに感じる、そんな小さな小さな幸せを一粒一粒丁寧に拾いながら1日を生きる主人公に寄り添いたくなるようなそんな一冊です。

不思議。

ようやくすると、最愛の彼女が病気で死ぬんだけど、なんとも言えない描写で描かれていて、少しづつ少しずつ、読みながら受け入れられるようになって、主人公と一緒に幸せを拾い集めて行くようなそんな本でした!

うまい!

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2020年01月06日

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綺麗な文章で読みやすい。
恋人への深い愛情が伝わる。

真実の愛、思いあうということを教えてくれる本。

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2019年06月09日

Posted by ブクログ

途中、先輩のエピソードのところでありきたりな展開にうんざりして読むのを中断していたけど、もったいないので読み続けた。最後は一気に読み進められた。

大崎さんの小説を読んでいると、生活のそこここで感じる小さな輝きを繊細に文字にして集めたような、小さいけど気の利いた贈り物のような趣を感じる。

諦めずに読んでよかった。
「生きることの意味」が穏やかな筆致ながらも結構突き詰めて綴られているので、人生を投げ出したくなっている人が読むとかなりしんどいのでは。
この物語の主人公には、挫折しそうな出来事が何度も起こっているのだけど、その時々の心情が丁寧に描かれているので、感情移入してしまって辛くなる。
でも諦めずに読み続けてよかった。

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2018年10月07日

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生きているうちに、大切なパートナーと大切なそして濃密な時を過ごすこと。したい事をする。お金と時間はその為に使う。

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2018年05月23日

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ストーリーは『世界の中心で愛をさけぶ』に酷似していて、そりゃ泣くでしょっていう設定が好かない。

けれど、時系列無視の物語展開や、比喩・性描写・グロの表現方法が、ただのお涙頂戴ラブストーリーとは一線を画し、この作品の個性を出しているような気がする。

個人的には話の内容は好きでないけれど、作家さんの技法は好きという纏め。

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2017年05月08日

Posted by ブクログ

爽やかなジャケットに惹かれて平積みからジャケ買い。内容はちーーーとも爽やかじゃない。
人間の死について考えさせられるような作品。
自分は高校卒業後友人を事故で亡くしてて、感覚的にシンクロするものがあって、これまた通勤途中の電車の中で泣きそうになった。
ただし、泣くは泣くでも涙がこぼれる系の泣くではなく、悲惨なことに嗚咽系の泣くだ。

スーツケースに鳥の図鑑を入れるときのシーンがもう駄目だった。泣きたい人は読んでもてもいいんでないかな?ストーリー的には好みじゃなく、小説としてはハズレの部類。

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2016年01月22日

Posted by ブクログ

「憂鬱の中から立ち上がったアジアンタムだけが、生き残っていく」

主人公山崎隆二の恋人葉子が癌で亡くなるときに残した言葉だ。この物語で著者が伝えたいことなのだと思う。

ストーリーは恋人を癌で失った喪失感に沈んだ主人公の回想でよくあるものだ。
主人公の一人称視点で淡々と綴られる文章は「ブルー」を表現しているようで、暗澹たる主人公の気分と二人で過ごす最期の地であるニースの青さの対比が切ない。

目の前で起きる自分ではどうにもできない事柄にうちひしがれるときが人生には幾度も訪れるだろうが、その渦中からも得られるものがあると信じさせてくれる物語だった。

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2015年08月23日

Posted by ブクログ

途中から、癌患者の話か、とわかり、
ああ哀しい話じゃないか、嫌だな、とおもったのですが
ラストシーンには危うく嗚咽がでそうになるほど泣けていました。さらっと読むつもりだったのに。
水溜まりの写真(そこに写りこむ風景)ばかり取り続ける葉子。孤独な中でも強く生き抜こうとする透明感のある葉子の姿はとても愛しかったです。
鳥の描写や、熱帯魚の描写も心洗われて、素晴らしかった。
先入観なく読んで欲しいような作品だと思いました。

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2013年05月05日

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