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頽廃の淵にありながら、一顆のレモンのように涼しい顔をした男、壬生七郎――。その、むごく鮮烈な愛ゆえに、女は自殺をはかり、妻は精神に錯乱を来たした。無明の歳月は流れ、今や悪性の腫瘍を宣告された彼の赴く先は? 仮借ない自己分析と、透徹した美意識のうちに、生と死の凄惨な闘いを映し出し、この世の無常を見据えて、比類なき〈精神の勁さ〉を明かす、立原文学の秀作。
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Posted by ブクログ
読後の満足感が相当なものだった。 表面的なことは今でいう「あり得ない!」ことだらけであるのに、こんなにも人間の強さ、弱さを巧みに描いているということに著者の美学を感じる。 この時代の小説は「男」「女」の立場がはっきりしていて、現代ではもうそれは通用しないが、小説としてはこのはっきり感は逆に気持ち...続きを読むがいいものだ。しかし、それ以上に「人間」としての深みを感じさせ考えさせられるのだからこの著者のもつ世界感には感服してしまう。 「東洋医学」と「西洋医学」をあのように絡ませる手法にも感心するほかない。
壬生七郎。 この男を通した三部作。 むごく鮮烈な愛ゆえに 女 は自殺を図り 妻は精神に錯乱を来たした。。 月日は流れ 【胃に変な塊】を抱えた彼の精神風景を 描く2部、3部は静かな月日の流れに 相反するような 生と死の迫力を感ずる 『頭の中に澄んだ水の流れが一本あり、 彼は...続きを読むいつもそこに妻を沈めていた』 ああ。。成る程。。 それが『妻』であっても、なくとも 澄んだ水の流れ がないと四十男なんて 光と影 の隙間に消えてしまうのかもしれない と四捨五入で五十男の俺は想った(苦)
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