とんでもなく寡作だが、書き上げる1作1作がとんでもなく読み応えある、木地雅映子。本作も期待を裏切らない傑作。
育てるべき親たちにひどい目にあわされた子供たちの物語。
主人公もその弟も、ヒロインもヒロインの弟も、それぞれがツラい育てられ方をして年齢にそぐわない辛い生き方をしてきている。
人の親とし
...続きを読むて、育児放棄や虐待のシーン、駄目クソ親描写、子供の耐え忍ぶ姿を読むのは辛いが、親や読者の想いをこえて子供たちは必死にたくましく、時にはしたたかに生き抜いていく。そこには子供たちを見守り力となり少しでもマシな生活の場を与えようとする大人の姿もあり、それが少し救いになる。
後半、斜に構えた醒めた態度で生きる(ざるを得ない)主人公が、心に秘めた思いをドバっと吐き出すシーンがあるんだが、そのシーンが、もうね凄い涙滂沱で、とにかく応援したくなる。
子供を産むしても育てるにしても、環境がドンドン悪化する現状。少子化になって当然だろと諦念を込めて思うのだが、その少なく生まれた子供たちに少しでも希望ある未来を生きてもらうために、俺たちは何をすべきか、じっくり考えてみたいと思わされた傑作。
「孫の顔がみたい」がジジイのたわごとどころではなく、子供へのハラスメントになっているような現実社会、なんとかならないもんか。ほんまに