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Posted by ブクログ
大島柚子は銭湯「松の湯」を愛する高校生。ある日柚子は松の湯で医大生の福一と出会う。お湯が引き寄せる奇跡の物語。
温泉が引き寄せたぽかぽかシンデレラストーリー。なのですが、それだけに留まらないのがこの作者ならではでしょう。
柚子の家庭は問題大有り。姉は合コンに明け暮れ、その場限りの享楽のみを求める。妹は幼い頃から英才教育を詰め込まれ有名市立中学に行くものの、家では引き蘢り同然の暴君として暴れ叫ぶ。母親は妹にのみ情熱を傾け残業に追われ、他のことを放棄する。父親は我関せずと存在感を消し、全ての責任も消す。そんな中で柚子は家事一切を引き受け、家族とは衝突しないように日々を送る。
解説で「身近な人から尊重されずに生きてきた」人という言葉があり、目から鱗が落ちる思いでした。柚子の自己肯定力の低さ、そして何に対しても執着したりしない性格は、この家庭環境から生まれたものでしょう。
高校卒業後に家を出ることにのみ望みをかけていたのに、母親からは完全に拒否されてしまう。それどころか家事分担はそのままに給料も毟り取られ、一生家から出て行けないぞと脅す姉の声はあながち間違いでもなく聞こえる。
しかしこんな境遇の女性は実際にいるのではないでしょうか。家に縛られ家族に縛られ自分を無くしてしまう。
そんな危機に陥った柚子を救うのは、松の湯で一緒になっていたおばちゃんたちでした。小学生のころからひとりで銭湯に来る柚子を見守っていたおばちゃんたち。そんなおばちゃんたちに救われて柚子は福一に再会することになるのです。
骨格は確かにシンデレラストーリーです。しかしそこに恐ろしいまでの静けさで、現実と言う肉付けが為されています。
柚子は自分とは別の形で縛られている妹に「お母さんのために生きなくていい」と伝えます。それは柚子自身を縛っていたものを解き放つ魔法であり、現実にそんな目に遭っているたくさんの女性(ここでは敢えて女性と書きます)へのメッセージでしょう。
自分のために生きるために、柚子は自分の人生を歩き始めるのです。
Posted by ブクログ
友達と遊ぶより一人で銭湯に行くのが好きな女子校生。
優秀な妹のことしか頭にない母、存在感のない父、合コン命の姉、わがまま放題の妹。
何もぴんとくるものがない将来。
すべてを忘れて幸せになれる銭湯で出会った一人の大学生。
彼との出会いが彼女の人生を大きく変えていく。
居心地が悪いなんてものじゃない家庭環境は、読んでいてしんどくなりました。
なぜここまで押し付けられて黙っていられるのか。
黙っていることが身を守る手段ってことなのか。
家族の問題、恋愛、進路、悩みが尽きない日常で唯一の癒しというか居場所なのが銭湯。
そういう場所があるって、すごく大事。
中盤過ぎて、なんとなく先が読めた気がしましたが、予想以上の展開の早さというか、あれもこれもと詰め込まれた感についていけず。
結末もあれ?これで終わり?という感じでした。
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