木地雅映子のレビュー一覧

  • ステイホーム
    この世で最も10代を正確に描写する作家を一人知ってる。
    その人が木地雅映子だ。

    色んな人に読んでほしいし、色んな人の目にこの本が届いてほしい。
    特に、「自分の正直な気持ちがわからなくなった人」には。
  • ステイホーム
    私はこの本を読んだ時、3年前のコロナ禍のことを思い出しました。友達のみんなとは会えず、まだ知らない、行ったことのないお母さんの会社に行き、暇、暇、暇という日がとても長く続いたことをよく覚えています。この本は私の辛い辛い思いを思い出させてくれた本です。
  • ステイホーム
    なにこれ、大人が読んでもめっちゃいい話だ!コロナ禍でステイホームを余儀なくされたるるこ。でも学校には行きたくないのが本音。魔窟と化した母の実家で2人暮らしで鬱々とした生活を送るが、伯母の出現で生活は一変する。伯母と2人で古い家をリノベーションし、要らないものを捨てて心を整理し将来の夢を見つける。聖子...続きを読む
  • あたたかい水の出るところ
    ぼんやりした女の子のまったり温泉ストーリーかと思ったら怒涛の展開。家庭環境がめちゃくちゃ。そんな環境だから柚子は事を荒げない為に、おバカを無意識に演じていた。辛い現実を突きつけられて、読み手も苦しんだところで幽体離脱…?現実離れしているのに突っかからずに読める、とにかく不思議な話だった。福一との展開...続きを読む
  • ぼくらは、まだ少し期待している
    とんでもなく寡作だが、書き上げる1作1作がとんでもなく読み応えある、木地雅映子。本作も期待を裏切らない傑作。

    育てるべき親たちにひどい目にあわされた子供たちの物語。
    主人公もその弟も、ヒロインもヒロインの弟も、それぞれがツラい育てられ方をして年齢にそぐわない辛い生き方をしてきている。

    人の親とし...続きを読む
  • ぼくらは、まだ少し期待している
    新感覚な読み心地だった。
    町田そのこの帯に惹かれて初めて読んだ作家さん。
    冒頭の前口上の小気味よい文章でグッと掴まれたと思ったら、随所に散りばめられている現実的な事象や問題。それによって単純な読む楽しさだけではなくて、ドキュメントを読んでいるようなリアルさを感じさせて遠い世界の出来事ではないように感...続きを読む
  • ぼくらは、まだ少し期待している
    自分はまだ第三者かもしれない。

    前半は2人の会話のリズムに違和感があって、正直あまり楽しく読み進められなかった。
    でもいつの間にか気にならなくなって、最後はその会話がすごく愛しく思えた。

    分かってしまった事は、自分は今だに大切な人に対して第三者なんだろうと。感情を素直に出せなくて自分の感情を嘘っ...続きを読む
  • ねこの小児科医ローベルト
    子どもが小さかった時には毎年悩まされていた、ノロウイルス、ロタウイルス。家族も必ずうつされた。懐かしいと同時に、辛かったなぁと思い出す。
    あの頃、ローベルト先生がいてくれたらなぁと思う。小さな子を持つ親には本当に小児科の先生というのは頼もしく、ありがたい存在だ。
    本の感じから、小学生くらいから幼稚園...続きを読む
  • あたたかい水の出るところ
    大島柚子は銭湯「松の湯」を愛する高校生。ある日柚子は松の湯で医大生の福一と出会う。お湯が引き寄せる奇跡の物語。

    温泉が引き寄せたぽかぽかシンデレラストーリー。なのですが、それだけに留まらないのがこの作者ならではでしょう。
    柚子の家庭は問題大有り。姉は合コンに明け暮れ、その場限りの享楽のみを求める。...続きを読む
  • ねこの小児科医ローベルト
    緊急事態ではあるけど、子どもを育てている人にはけっこう体験のある吐き下しの風邪。しかもたいてい夜中に起こる。
    そこにこんなお医者さんがかけつけてくれたらいいなあ。

    その「よくある」病気が、まずしく、生活の設備も医療器具も伴わない国で起これば死に直結しかねないことまで書かれていて、短いけれども広がり...続きを読む
  • ぼくらは、まだ少し期待している
    頭脳明晰な高校生の土橋輝明が、異母兄弟の吉川航と共に、失踪した同級生の秦野あさひの行方を追う物語。

    高校生が主人公なので、割と今時のポップな文体で物語が進行していく。しかし話の内容としては複雑な家庭環境で育った登場人物達ということもあり、児童虐待など重いテーマを含んでいる。本来頼るべき大人に頼れな...続きを読む
  • ステイホーム
    この主人公の女の子の気持ち、よくわかります。
    学校なんて意味あるの?
    家で一人でも勉強できるし。

    それと、素敵なおばさん!
    リフォームもわくわくするし、DIYの達人なんてあこがれます!

    自分に子どもがいるので、ステイホームで子どもだけを家に置いておくのが困る気持ちよくわかります。
    面倒な夫もいな...続きを読む
  • ステイホーム
    「ぼくらは、まだ少し期待している 」を書いた木地雅映子 さんの児童書です。
    衝撃を受けました。何故?
    じっくり考えてみてようやく言葉が見つかりました。
    綺麗事をすべて取っ払った作品です。
    特に児童書だと、理想や建前が含まれがちなのですが、この作品には清々しいほどにありませんでした。
    ぶっちゃけの児童...続きを読む
  • あたたかい水の出るところ
    木地雅映子さんの作品は現実世界の中から突然跳躍して別の世界へ飛ばされたようなインパクトを受ける作品が多い気がします。
    「氷の海のガレオン/オルタ」を読んだときも似たような感覚を覚えたのですが、この作品を読んでより強く感じました。
    主人公の人格の中に影があり、その影の中には木地雅映子さんの人格が宿って...続きを読む
  • ステイホーム
    勉強は好きだけど、学校には行きたくない。うるさい子や意地悪な子、それを見過ごす教師、そんなあれこれがストレスで、静かに勉強したいるるこは、コロナ休校で気持ちが楽になる。でも、働いている母の負担になっていることも自覚していて、休みは嬉しいけど、素直に喜べない…
    そんな思慮深くて優しいるるこが、突然実家...続きを読む
  • ぼくらは、まだ少し期待している
    意外や経済のこともわかるラブストーリー。北海道〜東京〜沖縄と舞台が変わり、かつ登場人物も多く複雑だが個性が粒立っており混乱はしない。
    精神疾患の描写がライトで物足りなさを感じなくもない。
  • ぼくらは、まだ少し期待している
    10年近く前、2013年のひと夏の少年少女たちの経験が中心になっている物語。親による身体的やネグレクトなどの虐待を受けてきた彼らが立ち向かい乗り越えていく。
    まったくゲームをやらないんだけど、どこかゲームやアニメのような世界観が気になる。主人公の輝明とあさひの会話もその世界の人たち、あるいはその世界...続きを読む
  • ぼくらは、まだ少し期待している
     先日、『ねこの小児科医、ローベルト』という絵本を読んで、その作者の木地雅映子さんを調べていたら、町田そのこさんがお薦めしている著作があるということで読んでみました。

     それぞれの理由で、親に傷つけられ、もう期待をしていない高校生が、自分の力でもがき、抗い、成長していくお話。暗さも内包されています...続きを読む
  • ねこの小児科医ローベルト
    最近読んだ『氷の海のガレオン』が素晴らしく好きだったので、同じ作者のものを探して読んだ。

    気ままで理知的な猫、という猫が好きな人がもつイメージ通りの猫だった。

    最後の2ページの美しさが際立っている。

    「いいものには終わりがある」というメアリーポピンズを思い出した。終わってしまって寂しいけど、寂...続きを読む
  • ねこの小児科医ローベルト
    弟のユウくんが夜中に病気になりました。あわてて電話帳でみつけた「松田ローベルト」という小児科のお医者さんにきてもらうことに。ところが、バイクに乗ってやってきたのは、なんと猫!でも、テキパキと指示をする猫先生に、驚く暇もなくて…。
    魅力的な挿絵で、より面白く感じます。