あらすじ
書評家 藤田香織氏おすすめ!
「〈子どもは、自分のいる場所を選べない〉という容赦のない事実に、木地雅映子が魔法をかけた――。心の中にローズ先生がいる頼もしさ。さあ行こう。私たちの秘密のはらっぱへ」
秘密の〈魔法使い〉だった先生との
思い出が、今、わたしを支えてる。
長谷川はんなが通う寒々しい保育園に、突如やってきた黒原ローズ先生。彼女は先生、ときどき魔法使い!? その後9年間、はんなを力づけ続けた〈魔法〉とは? 〈本好き〉にこそ読んでほしい、じんわり心ふるえる物語。
名作『氷の海のガレオン』、話題作『ぼくらは、まだ少し期待している』の著者による、待望の書き下ろし長編。
【目次】
ローズ先生
トム・ティット・トット
こどものとも
サミール
パンチング・ギル
穴
光る本
旅 客
魔法の夜
Hannah
蝶々の渡り
感情タグBEST3
Posted by ブクログ
久々の木地雅映子。寡作なのは知っているが、できればもう少し待たずに読みたいぞ。
本作も待たされて損なしの良い小説。凡百の作家なら、家庭環境や保育園の惨状に焦点を当てた社会的問題提議か、ローズ先生の魅力に焦点を当ててファンタジーにするかに傾くんだろうけど、そのどちらでもなく独特の展開と独特の着地点に物語を誘う技はさすが。
登場人物たちも皆魅力的で(サミール一家、父親の兄弟一家、かず子ちゃん…)現実とファンタジーの入り混じった展開も面白い。個人的に一番気に入ったのは、100かいだての家の構想。前後考えても普通はこれいらんやろ?なのに読みいってしまう。こういうところを大事にする小説が減ってるし、なんなら現実の生活もそう。
Posted by ブクログ
大人のための童話
精神年齢が大人なら何歳でも心に響くと思う。
劣悪な環境だった保育園時代の思い出。
本と想像力が、非力な子どもの心を護ってくれた。
個人的には「はいりょのいるこども」の描写に力が入っていると感じた。乱暴で身勝手な少年の言動に垣間見える家庭環境と周囲の接し方がリアル。あまりにも救いのない彼に、謎の保育士ローズ先生がかけた魔法とは?
余韻の残る作品でした。
Posted by ブクログ
6歳のはんなちゃんが保育園当時の記憶を語り、まぁまぁ酷い環境で大丈夫かなとハラハラするが、彼女の内心が結構明るいから笑っちゃうところ多かった。
おばあちゃんに毛嫌いされ、なぜかお父さんしかおらず優しくもない。
後半お母さんのことや、はんな自身の話でなるほどそうだったかと納得。
保育園の人手不足と思いやりが欠けらも無い子供達への発言がどれだけ影響を与えるのか、気をつけないと。
サミールあんたええ子やな、こういう男子キャラめっちゃいいですね〜ほんと好きです。
Posted by ブクログ
大事に大事に読み進めていたのに、読み終わってしまいました。
次の作品が出るまで(気が早い)、木地ファンの皆さまが毎日を健やかに過ごされることを心から願っています。
Posted by ブクログ
保育園児達は、大人の本質を見抜いている。決して彼らの視点を侮ってはいけない。優しいだけの保母さんは自分の弱さに押しつぶされる。でもローズ先生は、優しさと厳しさをしなやかに使い分けていた。ローズ先生、サンタクロースは人智を超えた尊い存在なのだろう。大人には見えないし、ハンナのような子を助けるために降りてきたが大人になったらもう会えない。最後には、宇宙規模でみんな繋がって浄化していく世界があると信じたい
Posted by ブクログ
周りから浮いていて、ぼんやりと生きているように見える長谷川はんな。彼女のアイデンティティの確立を描く。
母親を亡くした娘に対する父親の存在感が希薄。
児童書と勘違いして読みはじめたのと、はんなの視点で語られているのとで、全体を把握できたのは終盤になってから。
Posted by ブクログ
何を伝えたいかよく分からなかったという感想。子供目線での経験は曖昧なことが多い?見てる世界が違うんだなというのは改めて考えるとそうなんだなと思った。後半の方の衝撃事実には驚いたけど、かといってそれに対してどう思うかと言われたら特になという感じだった。保育園の描写は本当に終わってると思った。自分たちの保育園はどうだったのだろう。子供の頃の記憶が何もないから思い出そうにも思い出せないな。
次帰省したら小学校まで歩いて行ってみようかな。
懐かしい気持ちになれる本だった。作者がどんな経歴の人でどんな本を書いてるのかはすごく気になった。
私の感受性ではあまり深く感動できなかったです。申し訳ない。
Posted by ブクログ
保育園に通っていた頃の思い出話という語り口。
人員不足でヒステリックで、ひどい環境の保育園だけれども、新任のローズ先生によって、主人公の日々が暖かく優しく広がっていく。
どこまでが現実でどこからが空想かは分からないけれど、
先生の愛情が主人公を承認し、満たしてくれたことで、生きる力をくれたのだと思う。