あすなろ物語

あすなろ物語

572円 (税込)

2pt

天城山麓の小さな村で、血のつながりのない祖母と二人、土蔵で暮らした少年・鮎太。北国の高校で青春時代を過ごした彼が、長い大学生活を経て新聞記者となり、やがて終戦を迎えるまでの道程を、六人の女性との交流を軸に描く。明日は檜になろうと願いながら、永遠になりえない「あすなろ」の木の説話に託し、何者かになろうと夢を見、もがく人間の運命を活写した作者の自伝的小説。

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あすなろ物語 のユーザーレビュー

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感情タグBEST3

    Posted by ブクログ

    作者の自伝小説『しろばんば』を読んでいると、これも自伝小説でその続きなのかと思いがちですが、著者のいくつかの実体験を活かした創作です(『しろばんば』に連なる続編は『夏草冬濤』『北の海』)。

    タイトルの「あすなろ」は、あすは檜になろうと思いつつ、永久に檜になることが出来ない。それで「翌檜(あすなろ)

    0
    2024年02月11日

    Posted by ブクログ

    明日は檜になろう、という、様々な翌檜の人物が、その願いは叶わないとしても、自分が自分であるために明日への願いを持って生きていく。特に人生のそれぞれの局面で出会う女性たちとの関係の中で、主人公の鮎太の生き方、翌檜が変わりゆく様が、その場面場面を、幼年期の恋慕や青春、競争やニヒリズムなどを切り取った、絵

    0
    2024年01月21日

    Posted by ブクログ

    少年期から成年期まで、感受性豊かな自伝的小説。何歳になってもその頃の想いは残り、懐かしさが込み上げる。

    0
    2022年10月12日

    Posted by ブクログ

    「あすは檜になろう!あすは檜になろうと一生懸命考えている木よ。でも永久に檜にはなれないんだって!それであすなろと言うのよ」(新潮文庫、47p)井上の自伝的小説といわれているこの作品は、あすなろとしての梶鮎太を時系列で描いていた。特に3-5章の出世する友人やライバルへの葛藤をあらわす「あすなろ」や、第

    0
    2022年05月09日

    Posted by ブクログ

    鮎太が出会う人々みんなが鮎太という人をつくっていく。一人一人の存在が愛しく感じました。
    あすは檜になろうと願うがなれない…。何がとは上手く言えないけどこの大きなテーマがやっぱり節々に見えて、切なく、優しい気持ちになりました。

    この物語の登場人物たちはみんな何者かになろうとしていますが、鮎太が所々で

    0
    2021年06月15日

    Posted by ブクログ

    井上靖の本は学生時代によく読んだけど久しぶりに、未読のこの本を読んでみた。手持ちの本が掃けて読む本がなかったので息子の本棚にあったこれを手にした。

    もっと子供っぽい内容かと思ったけど、全然そんな本ではなかった。あすなろ、がそういう意味とも知らなかった。

    この時代を生きた男の幼少期から壮年期までを

    0
    2017年11月15日

    Posted by ブクログ

    様々な生き方をしていく友人、女性に触れながら青年へ成長していく著者の自伝的小説。人々と接する主人公の心の機微が表現されており、自分の感情に強い印象を与えた。

    0
    2016年09月04日

    Posted by ブクログ

    古本屋でたまたま手に取った本で、戦前/戦後の青年の生活と心の移ろいを、なんとも自然に綴った物語。伏線回収とか、特徴のあるキャラクターだったり、ドラマのある話とはある意味無縁で、時代背景やその情景までも、そのまま活字に映しているように思え、読み心地が良かった。
    また、どこかクールで冷静な印象の主人公だ

    0
    2024年08月08日

    Posted by ブクログ

    自伝ではないが、自伝的作品と言えるのだろう。
    『しろばんば』は、情景描写が素晴らしい美しい作品だが、『あすなろ物語』は哀感が作品全体を貫いている。
    成長の過程や社会へ出ていく中で、檜になりたいのになれない現実の自分をもどかしく思いながら、戦争という時代をも生きていかなくてはならない。生きることは、ど

    0
    2024年07月17日

    Posted by ブクログ

    『あすは檜になろう』としてなれない翌檜(あすなろう)の木のように生きる主人公とそれをとりまく人々の生きる様が、叙情的で美しい文章で綴られている。
    主人公の幼少期から壮年期まで各年代毎に影響を与えた女性や友人などの人物たちが、それぞれの個性を持って描かれ、主人公が成長していく。
    戦中戦後、人が抱く志や

    0
    2022年05月03日

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