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ドーキングの戦い: ある英国篤志隊員の回想録
『宇宙戦争』(H.G.ウェルズ)を生んだ、元祖・架空戦記、待望の翻訳! 1870年代、急速に勢力を拡大するプロイセンに危機感を抱いた英国軍人ジョージ・チェスニーは、国家改革の必要性を訴え『ドーキングの戦い』を発表。架空のシナリオで戦争のリアリズムを描き、政府の無策と防衛体制不備を鋭く告発した本作は、当時の英国社会に大きな衝撃を与えた。さらに、この作品は後のスパイ小説やH.G.ウェルズ『宇宙戦争』などのSF小説に影響を与え、「架空戦記」や「侵攻小説」の先駆けとなった。文学史上の重要な作品として、またミリタリーファンからライトノベル読者まで広く楽しめる、必読の一冊! 【ストーリー】 「あの悲劇は容易に避けられたはずだった。 ああ、すべてが遅すぎたのだ!」 ヨーロッパで勢力を拡大する隣国の大軍が、ついに英国本土へ侵攻。 英国軍は兵士をかき集め決死の抵抗を試みるも、敵軍の猛攻に崩壊していく。 静かな田園地帯ドーキングは、祖国の命運を賭けた決戦の地と化した—— 50年後、生き残った兵士が孫たちに語る、祖国崩壊の回想録。 未来を託す者たちに伝えたい「敗戦の真実」とは? -
止まった時計(ジョエル・タウンズリー・ロジャーズ・コレクション1)
◆法月綸太郎氏推薦!! 「探偵役の顕現とともに眠っていた物語が覚醒し、意外すぎる犯人が名指された後もさらなる驚異が読者を翻弄する……。時間と視点を手玉に取る《叙述の曲芸師(パルプ・ジャグラー)》が技巧の限りを尽くしたワイドスクリーン走馬灯ミステリ。」 *** 舞台はワシントンDCの閑静な住宅街。かつて絶世の美人女優として一世を風靡した人妻ニーナ・ワンドレイが自宅で命を狙われ、瀕死の重傷を負った。薄れゆく意識のなか、ニーナは、自分がまだ生きていることに気づいた正体不明の犯人がとどめを刺しに戻ってくるのではないか?と恐怖する。ときあたかも、ニーナに再会すべく偶然にも同時期に訪問しようとする複数の元夫たちがいた。物語は彼らとの波乱万丈の結婚生活を往還し、驚愕の真相へと向かう。稀代の異才J・T・ロジャーズによる、過去と現在が入り乱れる眩惑的サスペンス。世紀の怪作『赤い右手』をも凌ぐ、知られざる最高傑作! ★《ジョエル・タウンズリー・ロジャーズ・コレクション》(全3巻)続刊 第2回配本『赤い月の夜に』(2025年刊行予定) 第3回配本『骰を振る女神』(2026年刊行予定) -
スウープ!
ドイツ、ロシア、中国など、九か国の軍隊がイギリスに襲来(スウープ)! 同日同時刻に諸外国から侵攻されて、足の踏み場もなくなった絶体絶命のイギリス。 祖国の命運を賭けて、ボーイスカウトの若き総長・クラレンスが反撃を挑む―― 〈ジーヴス〉シリーズのウッドハウスが戦争と世相を笑い飛ばす、幻の快作。本邦初訳! 【ストーリー】 ドイツ、ロシア、中国など、九か国の軍隊がイギリスに襲来! 偶然にも、同日同時刻に(・・・前段参照!)そうしたなか、ボーイスカウトの若き総長・クラレンスは仲間とともに祖国を救うべく奔走する。 徒党を組んでイギリス包囲網を作る各国の将官を、偽情報を用いたり、劇場で騒ぎを起こさせるなどして、彼らを仲たがいさせ、軍隊を同士討ちさせる。 そうしてまんまと侵略者たちをイギリスから追い出そうとする―― 戦争小説の一種なのに「人が死なない」という点でも本作は異色。 戦争が起きて、爆弾が落ちても街では誰も死なず(なぜならみな、夏のバカンスに出かけていたから!)、侵略軍の将軍に人気が集まる(なぜなら彼らはミュージック・ホールの舞台に立ち、拍手喝采を集める人気芸人になったから!)。 世界観も設定も、いつもの「ウッドハウス・ワールド」。ウッドハウス作品を読み慣れた読者には、安心安全桃源郷として楽しめる、今こそ読みたい戦争コメディ小説。 -
死体狂躁曲
チェルシーに住む二組の芸術家夫婦が、初めての下宿人であるベンジャミン・カンを隣家から迎えることになった。だがしかし、その隣家とは、クリフォード・フラッシュによって設立された、法廷で無罪放免となった殺人犯たちが生活を営むアスタリスク・クラブの本部であった! ところが、カンが下宿を始めた翌朝、あちこちにネズミが出没する下宿の自身の部屋で息絶えたカンを、芸術家の妻ファンが発見する。カンとの連絡が途絶えたことを不審に思ったフラッシュは、リリー・クルージを新たな下宿人として送り込むが、リリーとも連絡がとれなくなってしまう。下宿人を迎え入れるたびに次々と死体になっていくことで疑心暗鬼となり恐慌をきたした夫婦たちが死体の処分を巡って右往左往の大騒ぎを繰り広げるいっぽう、二人が殺害されたことを知ったアスタリスク・クラブの面々は、秘密裡に死体を取り戻すべく芸術家宅への侵入を企てる…… 熱烈なファンを生み出し、近年再評価の著しいパミラ・ブランチによる、ブラック・ユーモアをふんだんにちりばめたクライム・コメディの傑作! -
氷の城
私はこの誓いを絶対に忘れない。 雪に閉ざされたノルウェーの田舎町。11歳の少女シスの通う学校に、同じ年の少女ウンが転入してくる。ためらいがちに距離を詰め、運命の絆で結ばれたふたりの少女が、それぞれの思いを胸に、森深くの滝の麓につくられた神秘的な〈氷の城〉を目指す……類稀な研ぎ澄まされた文体により、魂の交歓、孤独、喪失からの再生を、幻想的・象徴的に描き上げたヴェーソスの代表作。 凛とした切なさを湛えた、出会いと別れの物語。 【英ペンギン・クラシックス収録の20世紀世界文学の名作】 【1965年度北欧理事会文学賞受賞作】 記憶に残る〈映画の名セリフ〉をイラストレーションとともに紹介する本シリーズは、「キネマ旬報」で1973年から23年のあいだ断続的に連載され、全7巻の単行本にまとまり長年映画ファンに愛されてきた。各巻に書き下ろしエッセイを掲載した栞を付す。 -
【4冊 合本版】高浜虚子 俳論集
『俳句の作りよう』ホトトギス、ひいては今日の俳句界発展の礎となった、俳句実作入門の名著。 『俳句とはどんなものか』俳句にまつわる基本的な問題を、初心者に向けて丁寧に詳述した理論書。 『俳句はかく解しかく味わう』芭蕉・子規ほか46人200句あまりを鑑賞し、言葉に即して虚心に読み解く。 『進むべき俳句の道』計32名のホトトギス俳人たちの雑詠評を通し、ユニークな人物評と俳論を堪能できる名随筆。 ※本電子書籍は『俳句の作りよう』『俳句とはどんなものか』『俳句はかく解しかく味わう』『進むべき俳句の道』を1冊にまとめた合本版です。 -
トム・ソーヤーの冒険
冒険小説の古典として文学史にのこる名作は意外に知られていない? 自由奔放な少年トムとハックを中心に描く本書は、少年少女小説の形式をとりながらも、当時の閉塞したアメリカ社会への批判を根底に秘めた大人のメルヘンであった。 -
ミステリアス・ストレンジャー44号
時代は中世。舞台はオーストリアの古城。超能力を持つ正体不明のストレンジャー44号に「分身」と「本体」に分裂した人間像を与え、その自由奔放な行動を通じて、「無意識」という名の人間の深層心理を浮き彫りにした先駆的作品。 -
中国の古代文学(一・二) 一 神話から楚辞へ/二 史記から陶淵明へ
(一)神話から楚辞へ 中国文学の原点である『詩経』と『楚辞』の成立、発想、表現を、『記紀万葉』と対比し考察する。古代共同体的な生活が破壊され封建制が根付いたとき、人々はそれぞれの運命におそれを抱き、そこに古代歌謡が生まれた。斬新で美しい論の展開、すべてを網羅した知識、知的興奮が味わえる白川静の世界。 (二)史記から陶淵明へ 古い国家の羈絆から解き放たれ、自らの運命に生きはじめた孤独な生活者たち。彼ら「士人」は体制への埋没を拒否し、自然の情感に沿って天の道に合しようとした。「天道是なるか非なるか」と厳しく問うことによる文学精神の成立から、現実を避けて桃源郷を求める創作詩にまでいたる、文化の道筋を探る。 (全二巻) -
ほら話とほんとうの話、ほんの十ほど[新装版]
※この商品はタブレットなど大きいディスプレイを備えた端末で読むことに適しています。また、文字だけを拡大することや、文字列のハイライト、検索、辞書の参照、引用などの機能が使用できません。 鬼才の魅力を多彩な短篇で 『ラナーク』『哀れなるものたち』で知られるスコットランドの伝説的鬼才の短篇集が、待望の復刊! ファンタジーとリアリズム、笑いと哀しみ、アイロニーとウィットが混淆する饒舌な語りに思わず舌を巻くが、目に飛び込んでくる異彩を放つイラストも、作家自身の手になるもの。アリ・スミスをして「現代のウィリアム・ブレイク」と言わしめたグレイの多彩な魅力が存分に詰め込まれているのが本書なのだ。 学校を牢獄のように感じる〈わたし〉が、外へ出る想像上の〈ドア〉を恩師から授かる「ミスター・ミークル」。窒息するような現実から逃れようとする夢や欲望が、本書では多様なジャンルを横断しながら変奏される。コンピュータが導入された会社内でのちぐはぐぶりを皮肉った「内部メモ」。軟派で洒落者の鼻持ちならないイングランド人の男を揶揄した「あなた」。おしゃべりな歯医者に治療される不安と恐怖が迫る「トレンデレンブルク・ポジション」。なぜ靴下にガムがくっついているのか、その原因を綿密に理論化して可笑しい「時間旅行」。囲い込まれた世界に嫌気がさした男が、夢のような新しい移住先で体験する破滅の寓話「新世界」など──粒ぞろい短篇をほんの十ほど。 -
彼女の最初のパレスチナ人
パレスチナ移民たちの心情を描く傑作短篇集。 力によって追放され、世界のどこにいようと「よそ者」として日常を引き裂かれ続けるパレスチナ人たちは、あなたのすぐ隣にもいるかもしれない。ーー安田菜津紀氏(Dialogue for People副代表/フォトジャーナリスト)推薦! 2022年アトウッド・ギブソン・ライターズ・トラスト・フィクション賞最終候補作 母国について教えた恋人が救済活動に目覚めていく姿に戸惑う医師 かつて暮らした国への小さな投稿によって追い詰められていく数学者 ルームメイトたちに溶け込むために架空の恋人をでっちあげる大学生 正規採用と引き換えに違法なミッションを引き受けてしまう司法修習生 妻と娘のために禁断の取引に手を伸ばしてしまうプログラマー…… 安住の地となるはずの国で心揺らぐパレスチナ移民たちの日々が、珠玉の9篇に。瀬戸際に追い詰められながら自らのアイデンティティを探る姿を多彩な筆致で綴る、カナダ発傑作短篇集。 (底本 2025年10月発売作品) -
「正義のセ」シリーズ【全4冊合本版】
下町の豆腐屋育ちの凜々子は、小学生の時のある事件をきっかけに持ち前の正義感を活かすべく検事になることを決意。ところが、交通死亡事故の案件では被疑者の生い立ちを知って悩み、別の恐喝未遂事件ではチンピラ風の取り調べで大失態! 家族や同僚の助けを借りながら、凜々子は手探りで自らの『正義』を見つけ出そうとするが……。新人女性検事が泣き、笑い、決断し、奮闘する――TVドラマ化もされた等身大の成長物語!※本電子書籍は『正義のセ ユウズウキカンチンで何が悪い!』『正義のセ 2 史上最低の三十歳!』『正義のセ 3 名誉挽回の大勝負!』『正義のセ 4 負けっぱなしで終わるもんか!』を1冊にまとめた合本版です。 -
オルロージュ
小川哲版『グレート・ギャツビー』開幕! 佐藤究――起業という“革命”とその“裏側”。あまりに、強烈に小川哲的。 白川尚史ーー起業したあの日の昂揚。ジェットコースターのような狂騒。うなる大金。勝者と敗者。全力で駆け抜けた青春が詰まっていた。この小説に投資したい! 日野瑛太郎--シェアオフィスの片隅で一攫千金を夢見ていた、あの頃の記憶が蘇った。 逢坂冬馬ーー圧倒的面白さに脳を灼かれる500ページ。 宮島未奈--最後の台詞をドヤ顔で真似する会をやりたいです。 「世界一のお金持ちになりたい」君と「ひとり研究を重ねる」僕が再会して、 進み始めた時計の針。 光合成をするコンクリートを武器に、起業することを決めたふたり。 仲間を集め、資金を集め、注目を集め、 10年以内に世界一を目指す。 「二十六歳のとき、スティーブ・ジョブズはアップルを上場させて二億五千万ドルの個人資産を持ってたし、アインシュタインは特殊相対性理論を発見してた」「私がシュートに賭けるの」 世界一の金持ちを夢見るキャピタリストの卵・桐田奈南に「作戦会議をしよう」と呼び出された倉敷秀斗。彼の研究をいかし、光合成をするコンクリートを開発するため、フランス語で「時計」を意味する「オルロージュ」を起業したふたり。プレゼンの巧い経営者、広報に精通したキャリアを仲間に入れ、出資を集め、事業は軌道に乗り始める。しかし、企業価値が膨れ上がるにつれて、なぜか桐田奈南以外の初期社員が姿を消していく――。 -
ふつうの家族
大停電の夜、 玄関で倒れていた見知らぬ青年。 意識朦朧の彼は何者なのか? 招き入れたのは誰? 桜石一家には、全員裏がある。 「あなた」も「私」も、みんな嘘をついている。 「ふつうの家族」に隠された秘密。暗闇の中、照らし出される「過去の記憶」。 湘南の地に一戸建てを構える桜(さくら)石(いし)家。何か特別なところがあるわけではない、絵に描いたような「ふつうの家族」の、はずだった。ある嵐の夜、桜石家に現れたのは一人の若い男。高熱をだして倒れ込んでいた男は家族の誰かが引き入れたに違いない。誰が、なんのためにこんなことをしたのか? 家族が互いに疑念を募らせていくうちに、それぞれ家族には言えなかった「秘密」があぶり出されていく――。 四国新聞、大分合同新聞、愛媛新聞、神奈川新聞、千葉日報、沖縄タイムス、山梨日日新聞、秋田魁新報、北日本新聞、福井新聞に連載され、多くの読者の心をつかんだ、令和の家族のカタチ。 読み終えたとき、あなたも私も、みんな家族に秘密を打ち明けたくなる! -
神都の証人
ここにもある袴田事件、免田事件、財田川事件、足利事件の理不尽。 生きるということは、かくも哀しく美しいものか。照らし出される司法の闇、冤罪の虚構、人間の絆。作家の才能に嫉妬する。―堀川惠子(ノンフィクション作家・代表作『教誨師』) 突然、父親を奪われた少女に救いは訪れるのか? 事件の謎は戦前から令和まで引き継がれ、慟哭の結末は我々に生きる意味さえ問いかける、前代未聞かつ究極の「冤罪」ミステリー。世代を超えて社会の歪みと戦い続ける者たちの行き着く先とはいったい何なのか。 時代を超えて受け継がれる法律家の矜持に心が震えた。―五十嵐律人(作家・代表作『法廷遊戯』) わたしはこれ以上のリーガルミステリを知らない。―染井為人(作家/代表作『正体』) 冤罪と冤罪で翻弄されたものたちが辿る刮目のドラマ。戦中、時局に媚びる社会情勢の中で苦悩する弁護士のギリギリの戦いは、本人が戦場に送られて戦争が終わってからも、正義を信じる弁護士や検事により引き継がれる。彼らが報われる日は来るのか? 社会のひずみを壮大なスケールで活写したリーガル・ミステリーの雄の渾身作。 -
戦火のバタフライ
君に、このバトンを託す。蝶の羽ばたきを受け、彼らは立ち上がる。 太平洋戦争末期。前線も本土も戦場だった。数え切れない命が散った。 南方戦線でただ一人生き残った尾崎、東京大空襲で家族を失ったさくら。前線でさくらの兄に命を救われ、厚生省職員となった尾崎は、大物政治家の助力を得て民間戦争被害者への国家補償の実現を目指す。 そんな尾崎の身辺に次々と不審な出来事が起き、署名運動を始めたさくらも思わぬ妨害に遭う。 何者かの思惑。官僚組織の論理。見え隠れする特務機関の影。立ちはだかる時間の壁。 時を経て、世代を超えて、それでも彼らは命がけで思いをつないでいく。 信じ続けること。伝え続けること 終戦から80年。深い祈りを込めた、著者の新たな代表作! -
死について! 上下合本版 あらゆる年齢・職業の人たち63人が堰を切ったように語った。
“普通の人々”から泉のようによどみなく溢れ出す、強烈な言葉たち――「口述の歴史(オーラル・ヒストリー)」の名手による伝説的インタビュー集、待望の復刊! 救急救命士・元死刑冤罪者・原爆被爆者・退役軍人・物理学者・歌手・HIV感染者・医師・葬儀屋・女優・画家……驚くほど多様な人々が「死」そして「生」について生々しく、切なく、いとおしく語る。 本国2014年刊の新版に寄せられた序文を追加し訳文・注釈を見直した全面改訂版。 「どこまでも読み手の心に突き刺さってくる言葉、言葉、言葉! 人の発する言葉というのは、これほどまでに強烈で、痛烈で、鮮烈で、感動的で、切ないものだったのか」――金原瑞人氏による訳者解説を更新して収録。 ※本電子書籍は、「死について! 上・下」の合本版です。 -
血を分けた子ども
ジャネル・モネイやN・K・ジェミシンらが崇拝するブラックフェミニズムの伝説的SF作家による、ヒューゴー賞、ネビュラ賞、ローカス賞の三冠に輝いた表題作を含む唯一の作品集。 知っているでしょう? 人類は、私たちの卵を宿すことで、生き延びたの―― 強大な力と知性を持つ節足動物「トリク」が支配する地で、トリクの保護を受けて暮らす人間たち。人間は、トリクの卵を男性の体内に宿し、育て上げるという役割を担っていた。 ヒューゴー賞、ネビュラ賞、ローカス賞の三冠に輝いた究極の「男性妊娠小説」である「血を分けた子ども」。 言語を失い、文明が荒廃し人々が憎しみ合う世界の愛を描き、ヒューゴー賞を受賞した「話す音」。 ある日突然神が現れ、人類を救うという務めを任された女性をめぐる、著者の集大成的短篇「マーサ記」。 7つの小説と2つのエッセイを収録する、著者唯一の作品集が待望の邦訳。 -
オペラティオ
真山仁が描く日本崩壊。政治とは約束か? 政治の腐敗、独裁者の台頭、SNSが生む憎悪の連鎖―-。真山仁の最新長編小説『オペラティオ』は、現代日本のリアルな病巣を鋭く抉り出すノンストップポリティカルフィクションだ。金融担当大臣が銀座で刺殺され、遺体に「ざまあ」と書かれたメモが残された一件を発端に、政治家、新聞記者、公安調査庁の調査官、過激な野党党首―-それぞれの思惑が複雑に絡み合いながら、日本社会が少しずつ崩壊していく様が描かれる。 「ざまあ系殺人」が暴く日本の病 物語の中心にあるのは、「ざまあ系殺人」と呼ばれる連続事件だ。腐敗した権力者が次々と刃に倒れ、犯人はその場で自殺、遺体には「ざまあ」のメモが残される。この一連の犯行に、SNS上の民衆は喝采を送り、模倣犯が続出する。 本書の語り手は三人。野党第一党「希道党」の党首特別補佐として政界に関わる政治学者・白石望、大手新聞社「暁光新聞」の記者・神林裕太、そして公安調査庁の分析官・長谷川晶だ。三者三様の視点が交差しながら、事件の背景にある政治の陰謀と、社会に広がる怒りの連鎖が浮かび上がる。 白石はSNSを駆使した新たな選挙戦略「ヘルメス」を胸に秘め、選挙に勝つために「手段を選ばない」覚悟を固めていく。神林は上司である伝説の記者・東條謙介に翻弄されながら、権力の腐敗を暴くスクープを追う。長谷川は職務の建前とルールの狭間で葛藤しながら、事件の黒幕を探り続ける。 政治とは「約束」か、それとも「インパクト」か 作中でたびたび問われるのが、「政治とは何か」という根本的な問いだ。白石は学生たちの前でこう語る。「政治とは、約束―-」と。しかしその一方で、「全てを守る必要はない。なぜなら、大半の人は、すぐに約束の中身を忘れてしまうからだ」という冷徹な本音も、ページの上に刻まれている。理想と現実の乖離、そして権力を手にするために人が払う代償―-そこに本書の核心がある。 物語が進むにつれ、石動という元総理の復活劇と、その背後に潜む真の黒幕の存在が明かされる。独裁者とも呼ぶべき政権が国民の熱狂的支持を集める様は、フィクションでありながらどこかリアルな恐怖を呼び起こす。「民衆は、恐怖に踊る」と作中人物は嘆く。そして、そのような状況を生み出したのは、政治家の失態だけでなく、「怒りをぶつけていい相手を見つけた瞬間、全員が一斉に攻撃的になる」国民の感情でもある。 企業買収や医療、原発など、社会の最前線をテーマに小説を書き続けてきた真山仁。時事的なテーマをエンターテインメントとして昇華しながら、読者に問いかける。「あなたは、欺されていないか」と。一気読み必至の力作だ。 -
Disney Winnie the Pooh くまのプーさん ストーリーアート絵本
※この商品はタブレットなど大きいディスプレイを備えた端末で読むことに適しています。また、文字だけを拡大することや、文字列のハイライト、検索、辞書の参照、引用などの機能が使用できません。 映画『くまのプーさん/完全保存版』の短編3話を収録! 『くまのプーさん』の世界観を、美しいデザインでじっくり味わえる、大人のためのアート絵本。 代表作3話を、映画のアートを用いて大胆にデザイン! 眺めるだけでも楽しい、オリジナルデザインのストーリー絵本です。 2026年10月14日、『くまのプーさん』は原作100周年をむかえます。 長年、多くの人たちに愛されてきたプーのお話や、たくさんの魅力的なキャラクターを、 美しいアートデザインとともに、じっくり味わってみませんか? 大切な人へのプレゼントにもおすすめです。 オールカラー96ページ ※この商品は紙の書籍のページを画像にした電子書籍です。文字だけを拡大することはできませんので、タブレットサイズの端末での閲読を推奨します。また、文字列のハイライトや検索、辞書の参照、引用などの機能も使用できません。 -
筆と槍 天下を見届けた男
情報を制した者は、天下を制す。反りの合わない若き主君・三好義継の奸計によって信長の逆鱗に触れた「槍使い」の和久又兵衛は、すんでのところで秀吉に命を救われる。三好家を見限った又兵衛は、逆に三好家調略の功を立て、取次・交渉を担う「右筆」の和久宗是として信長の配下で働くことに。戦場で槍を振るう悦びに焦がれながら、日々筆を執り、天下人の政務を支える宗是の主君は、やがて信長から秀吉へ移る。そして現れる奥羽の雄・伊達政宗――。信長から秀吉、そして家康の世に至る、血生臭くも華々しい戦国を、信長・秀吉・政宗という3人の英傑のもとで生き抜いた「交渉人」の視点で描き切った大河長編。 -
女の子たち風船爆弾をつくる
少女たちの知られざる戦争体験 日露戦争30周年に日本が沸いた春、その女の子たちは小学校に上がった。 できたばかりの東京宝塚劇場の、華やかな少女歌劇団の公演に、彼女たちは夢中になった。 彼女たちはウールのフリル付きの大きすぎるワンピースを着る、市電の走る大通りをスキップでわたる、家族でクリスマスのお祝いをする。 しかし、少しずつでも確実に聞こえ始めたのは戦争の足音。 冬のある日、軍服に軍刀と銃を持った兵隊が学校にやってきて、反乱軍が街を占拠したことを告げる。 やがて、戦争が始まり、彼女たちの生活は少しずつ変わっていく。 来るはずのオリンピックは来ず、憧れていた制服は国民服に取ってかわられ、夏休みには勤労奉仕をすることになった。 それでも毎年、春は来て、彼女たちはひとつ大人になる。 ある時、彼女たちは東京宝塚劇場に集められる。 いや、ここはもはや劇場ではない、中外火工品株式会社日比谷第一工場だ。 彼女たちは今日からここで風船爆弾を作るのだ……。 膨大な記録や取材から掬い上げた無数の「彼女たちの声」を、ポエティックな長篇に織り上げた意欲作。 -
いろいろな幽霊
失恋した瞬間を永遠に繰り返す幽霊、方向音痴の幽霊、雨となって降り注ぐ幽霊、転送装置が生み出す幽霊……イタロ・カルヴィーノ短編賞受賞作家が贈る、時に切なく、時におかしく、そして時にはちょっぴり怖い幽霊たちの物語を100編収めた、ふしぎな短編集。/【目次】[幽霊と記憶]一 注目すべき社交行事/二 進路指導カウンセラー/三 手斧(ておの)、数本の燭台(しょくだい)、針刺し、シルクハット/四 マイロ・クレイン/五 記憶喪失/六 きのうの長い連なり/[幽霊と運命]七 ヒッチハイカー/八 願い事/九 遊び方/十 運命の天秤(てんびん)/十一 どんなにささやかな一瞬であれ/十二 集まり/十三 ミラ・アムスラー/[幽霊と自然]十四 ゾウたち/十五 白馬/十六 さらなる諸動物/十七 ミツバチ/十八 風景を損なうもの/十九 木々の納骨堂/二十 空から降ってくるもの/二十一 作中で太鼓が鳴る物語/二十二 お砂場計画/二十三 再生可能資源/[幽霊と時間]二十四 十三回の出現/二十五 来世と死の事務処理機関/二十六 死亡記事/二十七 中間地点/二十八 時の巡り/二十九 ヒメハヤ/三十 前後に揺れる物語/三十一 小さなロマンスとハッピーエンドを含むタイムトラベルの物語/[幽霊と思弁]三十二 ファンタズム対スタチュー/三十三 足跡/三十四 乗客たち/三十五 新たな生、新たな文明/三十六 暗黒は震えつつ通り過ぎた/三十七 プリズム/三十八 彼の女性性/三十九 人々がいて、彼らはかつて生きていた/四十 第一一五連隊の兵士たち/[幽霊と視覚]四十一 アクション!/四十二 円(まる)い堀が魚の安らぎとなるように/四十三 スペクトル/四十四 あらゆる家の鍵、あらゆる消火栓、あらゆるコンセント/四十五 壁/四十六 遊びの時間/四十七 生涯にわたって/四十八 いっしょに連れていく/四十九 霧の向こうにちらちら見える物語/[幽霊とその他の感覚]五十 一生分の接触/五十一 二番手/五十二 かくもたくさんの歌/五十三 音響の問題/五十四 香り(ブーケ)/五十五 野原で解けていく雪の泥くさいにおい/五十六 道具学/五十七 陽射しがほとんど消えて部屋が静かなとき/五十八 男のようなもの/五十九 ささやかな感情/[幽霊と信仰]六十 現実の小さな崩壊/六十一 異常派と尋常派/六十二 不動産/六十三 どちらが結晶、どちらが溶液/六十四 無数の奇妙な結合と分離/六十五 携挙(けいきょ)/六十六 666/[幽霊と愛と友情]六十七 失われて見出(みいだ)され/六十八 鏡の中のもう一人の男/六十九 アポストロフィ/七十 鏡の中の男/七十一 回転式改札口/七十二 実話/七十三 弾丸とそれを避けるために必要なもの/七十四 膝/七十五 彼女が忘れようとしている男/七十六 永遠/七十七 遅すぎた/七十八 居残り/七十九 あなたの靴が好き/[幽霊と家族]八十 幽霊の仮の姿/八十一 困惑の元/八十二 見えない、さわれない/八十三 幽霊兄弟/八十四 第二の実話/八十五 人生/八十六 非凡な才能/八十七 遺伝性疾患/八十八 空港のターミナルからの祈り/八十九 孵化(ふか)/九十 左右対称/[幽霊と言葉と数]九十一 インコ/九十二 婉曲(えんきょく)表現/九十三 およそ八十グラム/九十四 幽霊文字/九十五 言語学の問題/九十六 夕暮れとほかの物語/九十七 電話/九十八 数/九十九 人口調査/百 かつて書かれた中でもっとも恐ろしい幽霊譚(たん)/主題の不完全な索引/謝辞/解説=勝山海百合 -
お城の人々
人間の医者と呪いにかけられた妖精の王女の恋を描いたおとぎばなしのような表題作ほか、犬と少女の不思議な絆の物語「ロブの飼い主」、お城に住む伯爵夫人対音楽教師のちょっぴりずれた攻防「よこしまな伯爵夫人に音楽を」、独特の皮肉と暖かさが同居する幽霊譚「ハーブと自転車のためのソナタ」など、恐ろしくもあり、優しくもある人外たちと人間の関わりをテーマにした短編全10編を収録。ガーディアン賞、エドガー賞を受賞した著者の傑作短編集、第3弾。/【目次】ロブの飼い主/携帯用エレファント/よこしまな伯爵夫人に音楽を/ハープと自転車のためのソナタ/冷たい炎/足の悪い王/最後の標本/ひみつの壁/お城の人々/ワトキン、コンマ/訳者あとがき -
TOKYO REDUX 下山迷宮
戦後最大の怪事件、「下山事件」。その闇にイギリス作家が挑む未曾有のミステリー大作。 下山国鉄総裁、変死体で発見。おりしも国鉄は、GHQの方針により大規模な人員整理に着手したばかりで、労働組合や左翼分子による犯行が疑われた。 GHQ上層部のウィロビーらの命で捜査を担当することになったGHQ捜査官スウィーニーは、裏社会とのコネを手がかりに占領都市の暗部へと潜ってゆく。総裁の死は他殺か自殺か。警視庁捜査一課と捜査二課が対立し、マスコミや世論も揺れる中、スウィーニーの捜査線上にGHQの謀略機関〈本郷ハウス〉の影が見え隠れし、彼は徐々に戦後の“黒い霧”に呑み込まれてゆく……。 1964年、6月。初のオリンピックを目前にする東京で、下山事件に関する作品の取材を進めていた探偵小説作家・黒田浪漫が失踪した。編集者を名乗る男の依頼で黒田の行方を追うことになったのは元刑事の私立探偵・室田。だが消えた作家の足跡を追ううちに、室田は東京の暗い半面にひそむ黒い黒い迷宮に少しずつ踏み込んでゆく……。 そして1988年、12月。病床に臥せる天皇の容態を憂えて沈む東京に、翻訳家ライケンバックはいた。かつてCIA工作員として日本に派遣され、やがて日本文学の研究者として東京に住むことになったライケンバックのもとに、戦後の忌まわしい事件の亡霊がやってきた。彼の運命を狂わせた下山事件。その亡霊が、今、ここ、昭和の最後の年に。あのとき、占領下の東京で何があったのか――? 犯罪小説史に異形の刻印を黒々と刻む〈東京三部作〉、完結編にして最高傑作の誕生。 -
イロニアの大和
保田與重郎をめぐる大和文学紀行。――国のまほろば・大和の地に刻まれた、無垢なる魂の悲惨と栄光。悠久と無常の風土に、保田文学の根源をたどる、碩学の傑作評論。 「保田を読み始めた頃は旅を嫌っていた若者が、老境に入って、旅の経験もかなり積み重ねて来たその蓄積の上で、保田の大和を眺めた時どのように見えるか、そのことをたしかめようとしたのがこの本である。いうまでもなく現実にはその土地は行政区画としての奈良県であって、そこにひそむ遠い過去の追想は、所詮幻にすぎぬかもしれない。しかし幻にこそ土地の神髄があると考えれば、現実の相はかえって虚にすぎなくなるともいえる。実にして虚、このイロニーの上に保田の大和は浮んでいると見た所に表題を置くいわれがあった。」(後書より) -
ダーウィン・ヤング 悪の起源
末満健一氏による舞台化で話題! 真実と嘘、愛と像、自由と孤独、罪と罰、善と悪、滅亡と繁栄……人間の究極の葛藤を描いた、壮大にして濃密な人間ドラマ。罪を犯さずして、大人になどなれるだろうか――。 1~9地区まで区分けされた階級社会に生きる16歳のダーウィン・ヤングは、最上位の1区に育ち、トップ校に通う。ダーウィンは官僚の父・ニースに連れられ、ジェイの追悼式に毎年参列している。父の親友であったジェイは、30年前に16 歳で死亡。9地区の人間が起こした強盗被害に遭ったとされているが、犯人は不明のまま。唯一、犯人探しに執念を燃やすのはジェイの姪・ルミだ。ダーウィンは恋心を寄せるルミから、ジェイのアルバムから不自然に消えている写真があり、それが事件の鍵を握ると打ち明けられる。ダーウィンはルミと一緒に謎を解く旅に出るが、そこで明かされたのは、ひた隠しにされていた世界の光景と自身のルーツだった…。 -
小説家のための編集教室
どこを直せばよいかわかる。書き直すたび、うまくなる。 ベテラン小説編集者と学ぶ、自分の手で作品を完成させる〈編集〉のレッスン。 そう、本当に求めていたのは書き方でも稼ぎ方でもない。「磨き方」なのだ。 ——青崎有吾(小説家・『地雷グリコ』) 小説の書き方を教える本はたくさんあります。 でも、書き上げた原稿を「どう直すか」を教える本は、ほとんどありません。 本書は、多くの新人作家をデビューへ導いてきたベテラン小説編集者が、作家が自分の作品を改善し、物語の魅力を引き出すための「セルフ・エディティング」の技法を惜しみなく明かした一冊です。刊行以来30年以上にわたって愛読されてきた、小説家の必携書です。 人物造形、場面描写、会話、モノローグ、動詞の選び方、改行の位置──。 小説編集者が原稿のどこに目をとめ、どう直すのか。誰もが知る名作から新人作家の習作まで、幅広い小説作品を題材に、修正のポイントと添削前後の文章を豊富に紹介します。 また、各章末には「編集のためのチェックリスト」「練習問題」を収録。自分の書いた原稿のどこを見直せばよいか、実践を通じて推敲の技術を身につけることができます。 本書を読み進めるうちに、あなたは自分の原稿を編集者の目で読めるようになるでしょう。 削り、直し、みがき上げる。本当に書きたかった物語の芯をつかみ、自分だけの文体=ボイスを見つけるために。 小説を書く人はもちろん、ライター、編集者、文章を仕事にするすべての人に役立つ一冊です。 -
母校
水面下で何かが進行している学校新聞の検閲、昼休みだけの部活、校則にない暗黙のルール…… この学校、なんか変。 映像化続々! 業界注目度No.1の「名もなきモヤモヤ」を見える化する異色作家、今度の舞台は社会の縮図「学校」 「教師も生徒も保護者も、自分がどういう状況に置かれているのか、わかっていないと思いますね」 「要求をのまなければ生徒に危害を加える」 発端は、市内にあるすべての高校に届いた脅迫状だった。警察は捜査に乗り出すが、一校だけ脅迫状が届いていない高校があった。 なぜその高校だけ届かなかったのか? 刑事が探るうち、その高校で行われている不気味な「教育」が明らかになっていく。 -
烏と孔雀
また、私たちは「津原泰水」に会える 全作品単著未収録。タイトル・収録作・収録順決定=津原泰水。 『綺譚集』『11eleven』に続く待望の第三作品集がついに刊行。 『綺譚集』(創元推理文庫)、『11eleven』(河出文庫)に続く第三作品集『烏と孔雀』。本作は、生前、著者が担当編集者と刊行に向けて進めていた作品集です。『烏と孔雀』というタイトル、収録作品、掲載順にいたるまで、著者本人が決定。1998年発表のものから最晩年(2022年)の作品、さらには書き下ろしまで、全14作品が収録。 ・幻獣たち ・I, Amabie ・北三鷹市の開ヶ町 ・エリス、聞えるか? ・クニヨシ・カネコのキャビネット ・エルビスさんの帽子 ・指輪物語 予告篇 ・SARS-CoV-2の物語 ・恋するマスク警察 ・ボッサ・ノヴァ2020 ・戯曲 中空のぶどう ・おなかがいたいアナグマ *書き下ろし ・カタル、ハナル、キユ ・リサイクル(亀井省吾の場合) コロナ禍にご自身の代表作「五色の舟」を無料公開した際に書かれた文章「『五色の舟』全文公開に際して」も特別掲載。解説はミステリ評論家の日下三蔵氏が担当。「津原泰水の足あと」と冠された解説は、少女小説作家「津原やすみ」時代の話から晩年にいたるまで、小説家・津原泰水の魅力溢れる原稿です。いまだ多くの読者を魅了し続ける唯一無二な物語作家・津原泰水による、唯一無二な「物語」たちをご堪能ください。 -
風車と巨人
彼女は、真実を撮っているつもりだった。 「不老因子」の発見で脚光を浴びるがん研究者・嘉山宗弘。 彼を追う人気ドキュメンタリー番組「十一時の肖像」の撮影を始めた三田紗矢子は、やがて嘉山の成果の根幹を揺るがす研究不正疑惑に辿り着く。 否定する大学と告発する医師で証言は食い違う。 それでもカメラを回し続けるなかで、疑いは次第に“真実”の輪郭を帯びていく。 疑いを抱いたまま切り取られた世界は、どこまで現実なのか。 記録と虚構の境界が静かに崩れていく――。 【著者略歴】 岩井圭也 いわい・けいや 1987年生まれ、大阪府出身。北海道大学大学院農学院修了。2018年『永遠についての証明』で第9回野性時代フロンティア文学賞を受賞してデビュー。多彩なジャンルの作品を発表しており、近著に『サバイブ!』『真珠配列』『あしたの肖像』『拳の声が聞こえるか』がある。 -
シグマフォースシリーズ⑰ ツァーリの蔵書 【上下合本版】
「決して眠りしものを決して目覚めさせてはならぬ、そこに赴いてはならぬ」 ──一七六四年、北極探検隊の墓碑銘より 世界を滅ぼす暗号がいま目覚める…… 歴史の闇に消えた「黄金の蔵書」と「失われた大陸」をめぐり、人類の攻防がいま始まる── 世界35カ国で翻訳、全世界累計2,000万部以上突破のベストセラー・シリーズ最新作! イヴァン雷帝が隠した伝説の書。 エカチェリーナ大帝が暗号に込めた警告。 モスクワでの爆破テロ、そして仲間の拉致── シグマは「第三のローマ」を掲げるロシア正教会の狂気と、 北極圏の地政学を根底から覆す「未知の脅威」に立ち向かう! 〈あらすじ〉 調査のためモスクワを訪れていたヴァチカンの考古学者が殺害された。彼が死の直前に送ったメールには古い書物のページの写真が添付されていた。メールを受け取ったシグマフォースはその写真がイヴァン雷帝によって隠された黄金の蔵書に関連していると判断し、隊員のグレイ・ピアースたちをモスクワに派遣する。エカチェリーナ大帝が仕掛けた謎の解明に取り組むグレイたちの前に、ロシアが第三のローマになるとの運命を信奉するアークエンジェル協会が立ちはだかる。さらにシグマとセイチャンにとっての宿敵ヴァーリャ・ミハイロフ率いるネオギルドも敵に加担する。シグマフォースの存亡をかけた争いはモスクワから極北の地に展開するが、その行く手には「驚異と恐怖」が待ち構えていた。 ◉科学的事実から──「新北極」を巡る資源と覇権の対立 気候変動による海氷の急速な融解は、米国海洋大気庁(NOAA)が「新北極」と呼ぶ劇的な変化をもたらした。これまで通行不能だった北西航路などの新航路が開かれ、海底資源へのアクセスが容易になったことで、北極圏は「搾取から保護された公海」から、国家間が衝突する「新たな冷戦の舞台」へと変貌した。 北極圏には、地球上の未発見石油・天然ガスの約4分の1が眠ると推定されるほか、電気自動車や再生可能エネルギーに不可欠なレアアースの宝庫でもある。その価値はロシアの領海に隣接する海域だけでも2兆ドルを超えると予測されている。この莫大な利権を背景に、ロシアは軍事拠点の再稼働や原子力砕氷船の配備を急ピッチで進め、北極点の海底への国旗設置など領有権の主張を強めている。また、北極圏に領土を持たない中国も「北極シルクロード」構想を掲げ、インフラ開発に巨額の投資を行なっている。現在、ロシアを中心として1兆ドル規模のプロジェクトが動く一方で、砕氷船の保有数で劣る西側諸国との戦力不均衡が顕著になっている。資源確保を巡る国家間の競争と軍事活動の活発化は、些細な誤解が全域の不安定化を招きかねない──「氷の火薬庫」とも言える危うい状況を生み出しているのだ。 -
ドストエフスキー全短篇(Ⅰ・Ⅱ合本)
数々の長篇で有名なドストエフスキーは、短篇の名手でもあった。 デビュー直後の「プロハルチン氏」から晩年の『作家の日記』掲載作まで、19篇を集成。 【収録作品】 プロハルチン氏(1846) 九通の手紙に盛られた小説(1847) 人妻と寝台の下の夫(1848) 弱い心(1848) ポルズンコフ(1848) 正直な泥棒(1848) クリスマスツリーと結婚式(1848) 白夜(1848) 初恋(1849) いやな話(1862) 鰐(1865) ボボーク(1873) キリストのヨルカに召されし少年(1876) 百姓マレイ(1876) 百歳の老婆(1876) 宣告(1876) おとなしい女(1876) おかしな人間の夢(1877) 現代小説から取った暴露小説のプラン(1877) 〈訳者解説〉米川正夫 〈解説〉江川卓 -
こうやって作家は言葉を紡ぐ
直木賞作家・小川哲が贈る、言葉の深淵に触れる一冊! 『言語化するための小説思考』をさらに深めたい読者にとって、まさに待望の内容になっています。 私たちは日々、言葉にできない「モヤモヤ」を抱えて生きています。 悲しいけれど、単純な「悲しい」とはどこか違う…… そんな正体不明の感情を、なぜ作家は鮮やかに言い当て、一つの感動的な物語へとつなげることができるのでしょうか。 その秘密は、決して魔法のようなセンスや才能だけではありません 。 本書の著者である小川哲は、それが「頭の中の組み立て方」にあると説きます。 小川哲が、14人のトッププロたちからその「手の内」を徹底的に聞き出し、私たちが日常生活やビジネスの場で今日から活用できる技術として体系化しました。 一般的な文章術の本が「正しい日本語」や「きれいな文章の書き方」を教えるのに対し、本書の焦点は「書く前の頭の動かし方」にあります。 ・「あの感情」の正体を知る:名もなき感情に言葉を与えるプロセスを公開。 ・日常を設計する:バラバラな出来事を「意味のある物語」へと変える設計図の書き方を伝授。 ・多様な方法論:14通りの異なるアプローチから、自分に合った方法が見つかる。 超豪華な対談ラインナップ PART1 何を書きたいのかは、こう見つける 中村文則、万城目学、飛浩隆、大森望 PART2 だれの目で見るかで、物語は変わる 高瀬隼子、尾崎世界観 PART3 バラバラの出来事を、物語に変える 葉真中顕、京極夏彦、呉勝浩、今村昌弘、佐藤究 PART4 伝わる文章は、こう書く 町屋良平、魚豊 この本を特におすすめしたい方 ・自分の気持ちを言語化したい方:心の中のもどかしさを言葉に変えたいビジネスマンや学生。 ・発信に悩むクリエイター:SNSやnoteで、ネタがまとまらずに悩んでいる方。 ・物語の裏側に興味がある方:プロがどう世界を観察し、設計しているのかを知りたい方。 500ページ超えという圧倒的なボリュームで語られるプロの知恵。 -
半分の半分の半分
韓国日報文学賞受賞! 何歳になっても、泣いて笑って怒って愛して。人生はきっとなんとか大丈夫! あたたかくて生々しい傑作短編集。 ●収録作品 「私たちは私たちの味方となって」――旧友の娘に惹かれインタビューする小説家。 「父親になっておやり」――50年連れ添った父と「偽装離婚」した母の意外な言葉。 「半分の半分の半分」――チョゴリを脱いで水遊びする祖母。人生が輝く瞬間の記憶を描く。 「雲丹」――「おばあさん、すいませんが、この子をちょっと見てくれますか?」花見旅行は思わぬ展開に。 「ミョンジャさんに似て」――アメリカで父に守られてきた母。父を喪った後の人生の旅。 「私のやさしい乳首」――世を去ろうとしているキ・ギルヒョンさんの病室を訪れる女たち。 「春の夜」――老女二人の家に、ある日、赤ん坊を抱いた少女がついてきた。 「他の顔」――異国で暮らして30年、初めて盗難事件に遭って……。 「禁煙キャンプ」――年代も性格も生き方もさまざまな8人は、果たしてタバコをやめられるのか? ※この商品は紙の書籍のページを画像にした電子書籍です。文字だけを拡大することはできませんので、タブレットサイズの端末での閲読を推奨します。また、文字列のハイライトや検索、辞書の参照、引用などの機能も使用できません。 -
分裂蜂起
【改変歴史警察小説三部作、堂々の完結!】 日露戦争終結から12年経った大正6年。 敗戦した日本は外交権と軍事権を失い、ロシア軍の駐屯を許していた。 11月、ロシアで過激派が蜂起し、臨時政府から政権を奪取したとの情報が入る。 一方、警視庁の新堂は水死体の引き揚げ現場に遭遇し、牛込署の中西と事件の捜査を始めた。 ロシアで勃発した革命の影響が、日本にも着実に忍び寄っていたとは知らずに――。 ロシア占領下の東京、矜持をかけた潜入捜査が始まる。 大きな歴史のうねりの中で、特務巡査としての任務を全うする一人の男の物語、ついに完結。 【著者略歴】 佐々木譲(ささき・じょう) 1950年北海道生まれ。79年「鉄騎兵、跳んだ」で第55回オール讀物新人賞を受賞。90年『エトロフ発緊急電』で第43回日本推理作家協会賞長編部門、第8回日本冒険小説協会大賞、第3回山本周五郎賞を受賞。2002年『武揚伝』で第21回新田次郎文学賞、10年『廃墟に乞う』で第142回直木賞を受賞。16年に第20回日本ミステリー文学大賞を受賞。 『笑う警官』にはじまる「道警シリーズ」のほか、『ベルリン飛行指令』『制服捜査』『警官の血』『沈黙法廷』『抵抗都市』『帝国の弔砲』『遥かな夏に』など著書多数。 -
クラクフ・ゲットーの薬局
ゲットーで何が起き誰がどう生きたかを記録 1941年3月から43年12月まで設置されたクラクフ・ゲットー。その地で薬局を営むポーランド人の著者は、退去命令に従わず居座り、ユダヤ人への支援者、ナチの暴虐の記録者として2年半を過ごす。本書はその克明な回想録である。 ※本書は、大月書店刊『クラクフ・ゲットーの薬局』の電子書籍版です。 【目次】 初版まえがき 第二版まえがき 第一章 ゲットーの設置と編成―新しい生活―新しい知人たち 第二章 比較的平穏だった日々―最初の移送行動―ドイツの秘密諜報機関員―九四二年六月二日から四日にかけての移送行動 第三章 陸軍中尉ブスコ―一九四二年六月八日の移送行動―ゲットーの縮小―困難な生活環境―一九四二年十月二十八日の移送行動―迫害された人々の様子 第四章 プワシュフ収容所―ゲットー域の再縮小―プワシュフでの刑執行―移送者の確かな消息―ゲットーAとB―クラクフ以外から入ったゲットー住民―薬局閉店の試み―規則の厳罰化―児童施設の設置 第五章 プワシュフ収容所への移送―一九四三年三月十三日および十四日のゲットー撤収行動―心理的謎―病人および子どもたちの殺害―悪夢の光景 第六章 死者の町―ゲットーの「清掃」―ゲットーの死刑執行人―ユダヤ人警官の運命―一九四三年十二月 第三版あとがき チェスワフ・ブジョザ 訳者あとがき 登場人物一覧 【著者】 タデウシュ・パンキェヴィチ(Tadeusz Pankiewicz) タデウシュ・パンキェヴィチ 1908年サンボル(現・ウクライナ領)生まれ。ポーランドの薬剤師一家の出身。クラクフのヤギェウォ大学薬学部を卒業し薬学修士の学位を取得後、1933年父から “鷲”薬局を引き継ぎ店主となる。1947年本書の第1版刊行(1995年第3版)。1993年死去。 田村和子 たむら・かずこ ポーランド児童文学翻訳家。1944年生まれ。著書に『ワルシャワの日本人形』(岩波ジュニア新書)、訳書に『強制収容所のバイオリニスト』(新日本出版社)など。 -
物語の「森」を抜けて
すべての物語を書きたい人/楽しみたい人に贈る、ストーリーテリングの「虎の巻」。 これまでの脚本術や創作術が教えてくれなかった物語の「なぜ」を探求し、解き明かす。 映画、ドラマ、演劇、小説── 時代を超えて息づく面白さの法則と理由をたどる、新しいストーリーの旅へ。 なぜ子どもの書く物語は、何世紀も昔から語られてきた物語形式をくり返すのでしょうか。 なぜ私たちは過去にあった物語の再発明を続け、それを新鮮で楽しいと感じるのでしょうか。 英国のドラマプロデューサーとして数々の人気作品の物語を仕掛けてきた著者ジョン・ヨークは、物語構造とは何かを探求する旅に出かけました。 これまで何百冊と書かれた脚本術や創作術の本を分析し、仕事をともにした脚本家全員に聞き取り調査を行い、無数の映画やドラマの物語を吟味し……やがてヨークはあらゆるストーリーテリングの真の原型にたどりつきました。それこそが、本書が教えてくれる「森への旅」です。 本書では、物語構造の歴史的な展開をたどり、古今の物語理論が提唱したパターンを徹底的に解明し、その神話のベールを取り去ります。そして、五幕構成を中心とした新しい構造の考え方を提案します。 脚本術の探求はストーリーテリングの歴史的、哲学的、科学的、心理的な旅へと広がりを見せ、私たちがなぜ物語を書き、楽しむのか、その秘密に迫っていきます。 物語構造はどのように機能するのか/主人公はなぜ能動的でなければならないのか/ナレーションはいかにドラマをだいなしにするか/ドラマの最終回直前で、たくさんの登場人物が死ぬのはなぜか/なぜフィクションに出てくる警官や医者は一匹狼ばかりなのか/人物描写がいかに物語の構造そのものに不可欠なものであるか…… 「森への旅」に喩えられるロードマップを通じて、「物語とは何か」そして「人はなぜ物語るのか」を解き明かす、すべての創作者と読者のための「虎の巻」です。 <本書で取り上げるおもな物語理論・脚本術の提唱者・実践者> アリストテレス(『詩学』)、テレンティウス(五つのステージ)、ラヨシュ・エグリ(ドラマティック・ライティング)、ウラジーミル・プロップ(『昔話の形態学』)、シド・フィールド(三幕構成)、デイヴィッド・マメット、ジョーゼフ・キャンベル(英雄の旅)、クリストファー・ボグラー(作家の旅)、クリストファー・ブッカー(七つの基本プロット)、フライターク(フライタークのピラミッド)、ロバート・マッキー(ストーリーテリング)、ブレイク・スナイダー(SAVE THE CATの法則)ほか ストーリーテリングは、人間にとって必須の関心事であり、誰にとってもほとんど呼吸と同じぐらいに大切なことだ。焚き火を囲んで神話を語った時代から、ポスト・テレビ時代の物語の急拡大まで、物語は人々の人生を支配している。それを理解しようとすることは、われわれの務めと言ってもいい。ドラクロワは、知識への恐れを簡潔にこうつっぱねている。「職人になるためにはまず学ぶことだ。学んだからといって、天才になれなくなるということはない」。どの時代の物語においても、必ず登場してくるモチーフがひとつある──人に生命力を与える秘密を隠し持った、暗い森への旅だ。その森に何がひそんでいるか、本書で見つけていこうと思う。すべての物語はここから始まる……。 (本書「はじめに」より)
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