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台湾漫遊鉄道のふたり
炒米粉、魯肉飯、冬瓜茶……あなたとなら何十杯でも――。 結婚から逃げる日本人作家・千鶴子と、お仕着せの許婚をもつ台湾人通訳・千鶴。 ふたりは底知れぬ食欲と“秘めた傷”をお供に、昭和十三年、台湾縦貫鉄道の旅に出る。 「私はこの作品を過去の物語ではなく、現在こそ必要な物語として読んだ。 そして、ラストの仕掛けの巧妙さ。ああ、うまい。ただ甘いだけではない、苦みと切なさを伴う、極上の味わいだ。」 古内一絵さん大満足 1938年、五月の台湾。 作家・青山千鶴子は講演旅行に招かれ、台湾人通訳・王千鶴と出会う。 現地の食文化や歴史に通じるのみならず、料理の腕まで天才的な千鶴とともに、 台湾縦貫鉄道に乗りこみ、つぎつぎ台湾の味に魅了されていく。 しかし、いつまでも心の奥を見せない千鶴に、千鶴子は焦燥感を募らせる。 国家の争い、女性への抑圧、植民地をめぐる立場の差――― あらゆる壁に阻まれ、傷つきながら、ふたりの旅はどこへ行く。 -
ブラッディ・カンザス
グルリエ、フリーマントル、シャーペンの三家族がカンザスのコー・ヴァレーにやってきたのは、1855年のことだった。それ以来、三つの一族は隣人として生活してきた。ある時は奴隷解放に抗う者たちの襲撃を受け、またある時は疫病や旱魃といった大自然の猛威にさらされながらも、大地とともに、愛憎を紡ぎながら。歳月が過ぎ、フリーマントル家の屋敷は当主を失って無人になった。シャーペン、グルリエの両家は信教をめぐって対立を続ける。そして、激動の現代において、農場を営む人々といえども、世界と無縁ではいられない。親子の断絶、男女平等、イラク戦争、マスコミ、インターネット……フリーマントル屋敷にニューヨークから新しい住人が引っ越してきたことをきっかけに、人びとの生活に巨大な波紋が起きてゆく……。V・I・ウォーショースキー・シリーズの著者が自らの故郷を舞台に、現代社会でのさまざまな問題を折りこみ、大地に生きようとする人々を重厚かつ華麗に描く野心作。 -
なぜではなく、どんなふうに
大学で政治学とグローバリゼーションを講じながら子育てをするイタリア系女性ブルーナは、自立心が強く進歩的だ。しかし医師でもある夫もその両親も保守的で差別と偏見に満ちている。両親に逆らえない夫、性同一性障害の幼い息子……。仕事と家庭の板挟みに苦しむブルーナの人生が教え子のムスリム青年の出現で覆る。そして彼の突然のISISへの出立。人種差別、性差別、移民問題……分断化が進む現代アメリカ社会で生きる彼女の人生が、今を生きる私たちすべての人生に重なり、訴えかけてくる。本書は著者のデビュー作で、イタリアの著名なジャーナリスト(イタリアの表現の自由・報道の自由のシンボル的存在で、『死都ゴモラ』や『コカイン ゼロゼロゼロ』といったノンフィクションで日本でも知られる)ロベルト・サヴィアーノ監修のフィクション&ノンフィクションのシリーズ「弾薬庫(ムニツィオーニ)」叢書の第一弾として刊行された作品である。 -
各務原・名古屋・国立
老小説家の父親の出生地、岐阜県各務原市での講演という体で小説は書き始められる。その講演では岐阜近辺出身の文人が次々に召喚され、文化的磁場としての岐阜について語られるかと思いきや、認知症が進行していく妻とのやり取りの場面が挿入される。老小説家が関心を持って接してきた遠い過去からごく最近までの文学者たちの言葉と、日常生活を営むことが困難になりつつある妻の言葉が折り重なるように記されつづけたその奥からぼんやりと見えてくるのは、齢八十代半ばに至り健康体とはいえない老小説家が、どうしようもなく疲労しつつも生きて書くことの闘いをやめようとしない姿である。 -
澁澤龍彦の思考
澁澤の「書く=読む」という行為には、「(仏語の)純粋言語を日本語に よって救い出す」(ベンヤミン「翻訳者の使命」)という運動が働いている。 そのとき、澁澤という「私(わたくし)」性はどこにあるのだろうか。 澁澤の「書く=読む」という行為は「純粋言語」を救出するとともに、 澁澤という「私」性が消滅するのではないかというのが、 筆者が考える澁澤におけるエクリチュール化した「私」の意味である。 このエクリチュール化した「私」は、消滅するとともに 翻訳行為と同様、他者の「純粋言語」にまとわりつく「純粋思考」をも かぎりなくとりこんでいく。 そして最後には、澁澤の博覧強記の「書く=読む」という行為は、 澁澤の「私」性が消滅して、エクリチュールに他者、評者(筆者)まで をもまきこんでいく。 究極的にそこに浮上する澁澤の「思考」とはなにか……それを逐語訳的に 翻訳・抽出していくのが本書の眼目なのである。 【目次】 (第1章)サドの自然 (第2章)『夢の宇宙誌』玩具・天使・アンドロギュノス・世界の終り (第3章)『エロスの解剖』 (第4章)『胡桃の中の世界』 -
三階 あの日テルアビブのアパートで起きたこと
舞台はテルアビブ郊外にある瀟洒な三階建てのアパート。一階の若夫婦は、同階の高齢夫婦に子守りを頼み、良いご近所付き合いをしているつもりでいた。しかし認知症を発症した老人と彼らの九歳の娘に不幸な出来事が襲いかかり、傷ついた夫は一線を超えてしまう――。二階では、不在がちな夫を頼りにできない、若い母親が二人の子どもの育児に追われている。疲労から幻聴や幻覚に悩まされる彼女の前に、義理の弟が現れ、彼女と子どもたちに新しい風を吹き込む。しかし彼は詐欺事件の容疑者として警察に追われていた――。三階には元地方判事の女性が住んでいる。一年前に夫と死別し、若者の市民運動に身を投じるようになった彼女には、人には言えない、断絶してしまった息子との苦い思いがあった――。交わることのなかった一階から三階までの住民が、ある出来事をきっかけに、互いに作用しながら現代イスラエルの大きな変化の波に飲み込まれていく。イスラエルのベストセラー作家が描く、サスペンスフルで、最後には登場人物を解放の光で満たす、感動の物語。 -
我々の星のハルキ・ムラカミ文学
ハルキ・ムラカミの文章はいかにして日本から世界=惑星の隅々まで届くのか。 村上春樹は、日本を舞台に日本語で描かれた作品を、日本から世界へ向けて発信し続けている。その意味では「日本のローカルな」作家ではなく、かといって「米国発のグローバルな」作家でもない。この「惑星的思考」ともいうべき村上春樹の世界観を、国内外の村上春樹/ハルキ・ムラカミ研究者が共に検証する珠玉の論考の集成。 【目次】 はじめに「日本」の村上と「惑星」のムラカミ ◉翻訳◉ 第1章 ヨーロッパに浮かぶ二つの月 第2章 村上春樹『国境の南、太陽の西』の新旧ドイツ語訳 第3章 一九八五年の「相棒」とは誰だったのか ◉歴史/物語(hi/story)◉ 第4章 『海辺のカフカ』における時空 第5章 村上春樹作品にみる「神話的思考」と物語の構造 ◉海外作家◉ 第6章 『羊をめぐる冒険』をめぐるゴールド・ラッシュの点と線 第7章 ここは僕の場所でもない ◉紀行◉ 第8章 村上春樹の紀行文と小説における相互影響について 第9章 『ノルウェイの森』誕生の地 ローマ・トレコリレジデンス探訪記 第10章 『海辺のカフカ』を歩く ◉村上春樹関係年譜◉ おわりに 加藤典洋「的思考」と村上/ムラカミ批評の未来 -
シン・論 おたくとアヴァンギャルド
庵野秀明の「シン・」シリーズは、「おたく」の歴史を踏まえた自覚的な「つくり直し」である。その方法と美学の出自を探る、挑発的芸術論。 戦後の「おたく」表現のフェティシズムや美学の出自は、戦時下に狂い咲いたアヴァンギャルドが、戦後、政治的にウォッシュされたものであるというのがぼくの一貫した主張だが、「シン・」シリーズは、 その美学や方法を「正しく」運用し直し、戦後おたく表現を「修正」する試みなのだ。成田亨ウルトラマンの初期デザインの採用などその際たるものだろう。しかし、それは「特撮」とか「アニメ」とか 戦後のジャンルに必ずしも閉じたものでなく、もう少し広い。その「広さ」が重要だ。 (「あとがき」より) ※本データには、図版・注釈への双方向リンクは含まれません。 -
あさのあつこ 白兎 全4冊合本版
ホテルで行きずりの女を殺してしまった吉行は、車で逃げる雨の山中で少年と幼女の二人連れに出会う。和子という幼女の家に帰る途中だという。近くまで乗せることになった車内で、和子の無邪気な話を聞きながら、ふと吉行は自分の過去を振り返る。夜の闇が迫り、ひどい疲労感に襲われた吉行は親子と偽り宿をとる。穏やかな夕食と温泉。まるで本当の親子のようだ。そう独り言ちる吉行が目にしたのは、和子の首に残る、一筋の赤い線だった(『緋色の稜線』)。他に『藤色の記憶』『藍の夜明け』『白磁の薔薇』と、シリーズすべてが収録。謎の少年「白兎」の時を超えた旅路の中で描かれる、男と女の運命のほころび。物語の名手が紡ぐ大人のサスペンス・ミステリ―、シリーズ4作合本で、一気読み! ※本電子書籍は『緋色の稜線』『藤色の記憶』『藍の夜明け』『白磁の薔薇』全4冊を1冊にまとめた合本版です。 -
「坂の上の雲」もうひとつの読み方
原作のストーリーを追いながら、厖大な資料を駆使して、その背後にある数多くの新事実を発掘!司馬遼太郎の名作『坂の上の雲』をさらに面白くする著者渾身の作! (※本書は2009/11/1に発売し、2022/2/10に電子化をいたしました) -
新編 志樹逸馬詩集
曲った手で 水をすくう こぼれても こぼれても みたされる水の はげしさに いつも なみなみと 生命の水は手の中にある 指は曲っていても 天をさすには少しの不自由も感じない (「曲った手で」) 大きな困難の中にあって、生きることの喜びと光を求め続け、言葉を紡ぎ続けた伝説の詩人。 キリスト教信仰に裏打ちされたひたむきで純粋なことばたち。長く入手困難だった詩作品が、ついによみがえる。 これまでに刊行された二冊の詩集『志樹逸馬詩集』(方向社、1960年)、『島の四季』(編集工房ノア、1984年)に収録された全詩に加え、遺稿ノートから未公刊の詩を選んで編む。 付録の投げ込み栞(若松英輔、込山志保子執筆、8ページ)を電子版では巻末に収録しました。 【もくじ】 詩集『島の四季』 詩集『志樹逸馬詩集』 未公刊詩選 解説(若松英輔) 年譜(込山志保子) 栞(若松英輔、込山志保子) -
昏い水
知的で辛辣、自由を重んじ、七十代のいまも仕事のため遠方まで車を走らせるフランチェスカ、病床にあるどこか憎めない元夫、高級老人ホームで悠々自適の女友だち、恋人を突然亡くした息子が身を寄せるカナリア諸島のゲイの老カップル……。いかにも英国的なユーモアをちりばめながら、人生の終盤を生きる人々を描く長篇小説。 -
ビリー・リンの永遠の一日
イラク戦争のさなか、一時帰国して戦意昂揚のためのショーに駆り出された兵士たち。過酷な戦場の現実と、政治やメディアの滑稽な狂騒の、その途方もない隔絶。テロや戦争の絶えない現代アメリカの姿を、若き兵士の視点から描く傑作長篇。全米批評家協会賞受賞。 -
夜の歌
サンデー毎日に連載された「夜の歌」の単行本化。まとめるにあたり大幅な加筆修正を行う。 本作品は、著者の咽頭がんが再発し、がんの穿孔による大量出血の危機が迫るなかで書き始められ、自らの人生と表現を集大成する「白鳥の歌」の重みを持つとなっている。 3つの時制からなる。病の進行におびえる現在と、著者が歌謡曲の作詩家として栄華を誇った70年代の芸能界と、著者の原体験とも言える満州での戦争と引き揚げの体験と。著者は『赤い月』などでは触れなかった、満州での人倫に背く自らの体験――自分が生き抜くために、他の日本人を犠牲にしたことなど――をも徹底して暴きながら、愛と官能に溢れた歌謡曲の名曲たちが、悪夢のような満州体験から生まれたものであることを初めて明らかにしていく。 70年代の芸能界における著者と安井かずみとの秘められた恋愛もこれまで語られたことがなく、本書のわかりやすい話題性になるだろう。 物語は、著者がレコード大賞二冠受賞の快挙をなしとげたまさにその時に、戦争の落とし子とでも言うべき極端な逸脱者である兄が、莫大な借金を著者に負わせるところで終幕を迎える。著者の戦後の華麗な日々にも、満州の不気味な闇が延々と続いていたのである。 -
父 水上勉
日本の近代文学史上、稀代の私小説作家として知られ、数々のベストセラーを生み出した水上勉の生涯を、実子である無言館館主が書き下ろす、注目の力作。戦前、小説家になることを志し、福井から上京した水上は、食うや食わずの状態で転職を重ねながら、やがてある女性と同棲、彼女は一子を設ける。いろいろな事情で父母は幼な子を他家に養子に出すことになるのだが、その子が著者だったことは、これまで水上の『冬の光景』などに詳しい。一方戦後三十余年を経て、著者は「父」と奇跡の再会を果たす。二十年もかけて実父を捜し歩いた記録はNHKの連続テレビドラマで放映されたこともあり、感動的な物語としてよく知られるところとなっている。早い話、父母から捨てられた形ではあったが、その後著者は「父」を許すどころか、敬意をもって接することとなる。本書は〈わたしは父親の真実を知りたいという欲求におそわれる。その「人」に惹かれる。何とかして、その「人」を知りたいと思う〉という著者の強い意欲がもたらしたもので、丹念な資料収集や作品の精読はもとより、何よりも「父」との対話を通じて、評伝を超えた評伝としての姿を見せている。 -
ドーキングの戦い: ある英国篤志隊員の回想録
『宇宙戦争』(H.G.ウェルズ)を生んだ、元祖・架空戦記、待望の翻訳! 1870年代、急速に勢力を拡大するプロイセンに危機感を抱いた英国軍人ジョージ・チェスニーは、国家改革の必要性を訴え『ドーキングの戦い』を発表。架空のシナリオで戦争のリアリズムを描き、政府の無策と防衛体制不備を鋭く告発した本作は、当時の英国社会に大きな衝撃を与えた。さらに、この作品は後のスパイ小説やH.G.ウェルズ『宇宙戦争』などのSF小説に影響を与え、「架空戦記」や「侵攻小説」の先駆けとなった。文学史上の重要な作品として、またミリタリーファンからライトノベル読者まで広く楽しめる、必読の一冊! 【ストーリー】 「あの悲劇は容易に避けられたはずだった。 ああ、すべてが遅すぎたのだ!」 ヨーロッパで勢力を拡大する隣国の大軍が、ついに英国本土へ侵攻。 英国軍は兵士をかき集め決死の抵抗を試みるも、敵軍の猛攻に崩壊していく。 静かな田園地帯ドーキングは、祖国の命運を賭けた決戦の地と化した—— 50年後、生き残った兵士が孫たちに語る、祖国崩壊の回想録。 未来を託す者たちに伝えたい「敗戦の真実」とは? -
止まった時計(ジョエル・タウンズリー・ロジャーズ・コレクション1)
◆法月綸太郎氏推薦!! 「探偵役の顕現とともに眠っていた物語が覚醒し、意外すぎる犯人が名指された後もさらなる驚異が読者を翻弄する……。時間と視点を手玉に取る《叙述の曲芸師(パルプ・ジャグラー)》が技巧の限りを尽くしたワイドスクリーン走馬灯ミステリ。」 *** 舞台はワシントンDCの閑静な住宅街。かつて絶世の美人女優として一世を風靡した人妻ニーナ・ワンドレイが自宅で命を狙われ、瀕死の重傷を負った。薄れゆく意識のなか、ニーナは、自分がまだ生きていることに気づいた正体不明の犯人がとどめを刺しに戻ってくるのではないか?と恐怖する。ときあたかも、ニーナに再会すべく偶然にも同時期に訪問しようとする複数の元夫たちがいた。物語は彼らとの波乱万丈の結婚生活を往還し、驚愕の真相へと向かう。稀代の異才J・T・ロジャーズによる、過去と現在が入り乱れる眩惑的サスペンス。世紀の怪作『赤い右手』をも凌ぐ、知られざる最高傑作! ★《ジョエル・タウンズリー・ロジャーズ・コレクション》(全3巻)続刊 第2回配本『赤い月の夜に』(2025年刊行予定) 第3回配本『骰を振る女神』(2026年刊行予定) -
スウープ!
ドイツ、ロシア、中国など、九か国の軍隊がイギリスに襲来(スウープ)! 同日同時刻に諸外国から侵攻されて、足の踏み場もなくなった絶体絶命のイギリス。 祖国の命運を賭けて、ボーイスカウトの若き総長・クラレンスが反撃を挑む―― 〈ジーヴス〉シリーズのウッドハウスが戦争と世相を笑い飛ばす、幻の快作。本邦初訳! 【ストーリー】 ドイツ、ロシア、中国など、九か国の軍隊がイギリスに襲来! 偶然にも、同日同時刻に(・・・前段参照!)そうしたなか、ボーイスカウトの若き総長・クラレンスは仲間とともに祖国を救うべく奔走する。 徒党を組んでイギリス包囲網を作る各国の将官を、偽情報を用いたり、劇場で騒ぎを起こさせるなどして、彼らを仲たがいさせ、軍隊を同士討ちさせる。 そうしてまんまと侵略者たちをイギリスから追い出そうとする―― 戦争小説の一種なのに「人が死なない」という点でも本作は異色。 戦争が起きて、爆弾が落ちても街では誰も死なず(なぜならみな、夏のバカンスに出かけていたから!)、侵略軍の将軍に人気が集まる(なぜなら彼らはミュージック・ホールの舞台に立ち、拍手喝采を集める人気芸人になったから!)。 世界観も設定も、いつもの「ウッドハウス・ワールド」。ウッドハウス作品を読み慣れた読者には、安心安全桃源郷として楽しめる、今こそ読みたい戦争コメディ小説。 -
死体狂躁曲
チェルシーに住む二組の芸術家夫婦が、初めての下宿人であるベンジャミン・カンを隣家から迎えることになった。だがしかし、その隣家とは、クリフォード・フラッシュによって設立された、法廷で無罪放免となった殺人犯たちが生活を営むアスタリスク・クラブの本部であった! ところが、カンが下宿を始めた翌朝、あちこちにネズミが出没する下宿の自身の部屋で息絶えたカンを、芸術家の妻ファンが発見する。カンとの連絡が途絶えたことを不審に思ったフラッシュは、リリー・クルージを新たな下宿人として送り込むが、リリーとも連絡がとれなくなってしまう。下宿人を迎え入れるたびに次々と死体になっていくことで疑心暗鬼となり恐慌をきたした夫婦たちが死体の処分を巡って右往左往の大騒ぎを繰り広げるいっぽう、二人が殺害されたことを知ったアスタリスク・クラブの面々は、秘密裡に死体を取り戻すべく芸術家宅への侵入を企てる…… 熱烈なファンを生み出し、近年再評価の著しいパミラ・ブランチによる、ブラック・ユーモアをふんだんにちりばめたクライム・コメディの傑作!
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