若い女性が波乱の半生を告白する形で始まる作品。
名作「ジェーン・エア」の発表後さほどたっていない時代設定で、ヒロインも愛読しているという。
かなりひねったパスティーシュでもあります。
母を亡くしたジェーン・スティールは、意地悪なおば一家に虐げられ、寄宿学校に送り込まれます。
そこは想像を絶する過酷
...続きを読むな環境でした。
「ジェーン・エア」にも似た学校は登場し、それは実際に作者シャーロット・ブロンテが姉妹と共にいた施設がモデル。当時は教育に名を借りたとんでもない虐待があったのです。
そこでどうなったかというと…
ヒロインの名字からして、エアならぬスティール。清楚なジェーン・エアに比べたら、鉄の女?(笑)
親友と学校を飛び出したヒロインは、治安の悪い町を生き抜き、しだいに稼ぐ手も覚えていきます。
子供の頃に過ごした家をいつか取り戻したいと願い、持ち主が変わっているので家庭教師に応募します。
母との思い出深い懐かしい場所で、全く新たな生活が始まります。
インドから帰国した一家の主人は自由な気風に満ち、雇人たちも一風変わっていました。
しだいに惹かれあう二人。
一方、ジェーンを追う警官の影も…
罪悪感を抱えるジェーンは、家を出ようとしますが…?
「ジェーン・エア」ではあまり書き込まれていない部分や、現代の感覚ではちょっとどうなの?と思うあたりに思いっきり変化を加えた、いわばピカレスクロマン。
話の肝の部分は、19世紀英国のこってり感とロマンチックさ満載。
面白く読めました。