南方熊楠の話なら粘菌まみれかと思いきや、ひとつもそんな話がなく、同姓同名の偉人がいたか、自分の記憶が間違っていたのかと思ってしまったほど。
実際のところ、熊楠先生は粘菌だけではなく、むしろ民俗学や妖怪、食用の山菜や七草粥、コウモリによる受粉などめちゃめちゃありとあらゆることを学んでいて詳しい。
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...続きを読む8歳の頃からいろいろな事を考え、文章を残していたようで、60歳くらいまでの文、でも粘菌以外の話が厳選されて収録されている。
結構昔の文章で読むのが難しいところもあるが、100年前の文章が既に現代とだいぶ違うという面白さもある。
18歳のときの江ノ島旅行記もあり、その頃の江ノ島は海岸にウミウシがいたり生き物だらけだったり、その頃でももちろん大仏様はあったりと、今と同じところもあるが全然違ったという当たり前のことを気づけて面白い。
子安貝、燕石についての文章もあり、一見なんのことかわからないが、絵を見るとこれは化石でよく見る唇みたいな形の貝の化石だった。昔は化石というものが理解されていなかったので、燕が石になったとかそういうこととして珍重されていたとか。
人柱の話を日本だけでなく海外からも収集していたり。
海外の学者に英語の論文応酬で勝っていたりと、行動力知識力だけでなく英語力も凄まじかったんだなぁ。