小説作品一覧
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-※本シリーズに使用している原版データは時間が経過している作品が多いため、一部不鮮明な箇所がある可能性がございます。ご了承下さい。 文政6年(1823),長崎出島の医者として来日したジーボルトが,わが国文化史に残した足跡は大きい。本書は,同9年の江戸への旅を軸に,当時の風俗・地理を記した名著の口語新訳。
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4.0「あのひとを死なせるわけにはいかない。ぼくが自分の足で歩いていけば助かるんだ」――重病の親友の快復を願かけて、ミュンヘンからパリへ向かい、雪と氷のなかを彷徨し、魂に呼応するような風景と忘れられたような人びとに出会う……。ニュー・ジャーマン・シネマの鬼才が綴る孤高の幻視行。 最新作『歩いて見た世界』の監督による孤高の幻視行 鬼才ヴェルナー・ヘルツォーク監督は、人間と自然の壮大なドラマをテーマにした映画で広く知られる。『アギーレ・神の怒り』『フィツカラルド』など初期の代表作から最新作『歩いて見た世界』まで、野心的な作品は高い評価を受け、数々の映画賞を受賞している。 一九七四年十一月、ヘルツォークはパリにいる友人の映画評論家ロッテ・アイスナーが重篤と知らされる。自分の足でパリまで歩いていけば、アイスナーの病は治る……と願をかけ、真冬のミュンヘンを発つところからこの日記は始まる。 痛む足をひきずりながら、死んだような小さな村をいくつも通り過ぎ、空き家に泊まり、田舎道を彷徨する。あるときは、自分がまだ人間の姿をしているのを確かめようとガソリンスタンドのトイレに駆け込む。やがて寒さに凍えるカラスを兄弟のような感情を抱くようになり、リンゴの実がすべて落ちるまで木を揺さぶった直後の静寂に、孤独と疲労が頂点に達する…… 研ぎ澄まされた感覚で、魂を震わすような自然に身を投じるヘルツォークならではの眼差し。極寒のなかをひたすら歩く真摯な姿と、狂おしいまでの思いが読者の心を打つだろう。
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5.0中国東北部発世界文学行き。 中国現代工業の一大拠点だった瀋陽市鉄西区は、90年代の改革開放の波に乗れず経営破綻が相次いだ。地元出身の著者が土地に息づく5つの物語を掬った初の邦訳短編集。新文芸誌「GOAT meets」掲載で大反響! 文革の記憶を引き摺る家族と、工場にリストラされた父娘。 連続殺人事件を機に運命は交わる。(「平原のモーセ」) 貧民街に暮らす少年はある日、非行少女と石炭工場に忍び込む。(「グラードを出る」) その冬、僕は父と離れて街外れの教会に住む叔母のもとへ向かった。(「光明堂」) 亡き父の言葉を残し、伯父は闇夜に飛び立った。(「飛行家」) 小説家は、他人の未発表原稿に、自分しか知らぬはずの真実を見た。(「北方は無に帰す」)
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4.0全米批評家協会賞受賞作品 本書は、中国出身の米国作家リン・マーの長篇『断絶』に続く第一短篇集。前作は、移民の女性が米国のミレニアル世代の一員として根無し草的な生活を送るなか、パンデミックとゾンビという物語形式を借りて、グローバル資本主義の制度に組み込まれた人生の虚無感、今世紀の米国社会の空気を巧みに切り取ってみせた。 同様に若い女性を主人公とする本書においても、移民にとっての「ホーム」はどこなのかという問いや、醒めた距離感を保つ一人称の語り口など、マーの作風は前作から連続している。ただし本書では、人間関係における暴力や、存在の孤独という、マーの中核的主題がより前景化され、人と時代に対する鋭い観察眼と、物語を組み立てていく手腕の凄みが際立っている。 本書の評価は非常に高く、〈全米批評家協会賞〉と〈ストーリー・プライズ〉を受賞、『ニューヨーク・タイムズ・ブックレビュー』では、「予測不可能な展開を見せ、読了後も心に残る」と評され、短篇の名手としてもマーの才能を確かなものとしている。「ロサンゼルス」「オフィスアワー」「明日」ほか、不可思議な語り口と冷徹な観察眼が冴える8編を収録。 [目次] ロサンゼルス オレンジ G イエティの愛の交わし方 戻ること オフィスアワー 北京ダック 明日 謝辞 訳者あとがき
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3.0半世紀以上を経て娘が探し当てた亡き母の生 ロシアとウクライナの血を引くドイツ語作家が、亡き母の痕跡と自らのルーツを見いだす瞠目の書。 母エウゲニアは、著者が10歳のとき若くして世を去った。幼い娘が知っていたのは、母がマリウポリで生まれたこと、第二次世界大戦中、両親が強制労働者としてウクライナからドイツに連行されたこと、曾祖父が石炭商人、祖母がイタリア人だったらしいことくらい。母の運命を辿ろうとこれまで何度か試みたが、成果はなかった。ところが、2013年のある夏の夜、ふと思い立ってロシア語の検索サイトに母の名前を打ち込んでみたところ、思いがけずヒットする。ここから手探りの調査と驚くべき物語が始まる。 「ここ一年ほど悲しい姿ばかりが報道されたウクライナのマリウポリだが、その多文化都市としての輝かしい歴史と、そこに生きた作者の親族の運命が、この小説には知的なユーモアと息苦しいほどの好奇心をもって描かれている」(多和田葉子氏) ウクライナの船主、バルト・ドイツの貴族、裕福なイタリア商人、学者、オペラ歌手など、存在すら知らなかった親類縁者の過去が次々と顕わになり、その思いもよらぬ光景に著者は息を呑み、読者もそれを追体験する。忘却に抗い、沈黙に耳をすませ、失われた家族の歴史(ファミリーストーリー)を永遠にとどめる世紀の小説。ライプツィヒ書籍見本市賞受賞作。
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-与太郎は、ほんとうに馬鹿なのか? 馬鹿げた話やデタラメな話を「与太話(噺)」というが、これは古典落語にしばしば登場する〈与太郎〉から来ている。与太郎とは、定職にもつかずブラブラしていつも失敗ばかりの粗忽者、なのになぜかのんきで楽天的なお調子者といったところか。 フランスにも、この与太郎キャラを描くのが抜群に巧い作家がいる。レーモン・クノー(1903-76)である。代表作は映画化もされたスラップスティック・コメディ『地下鉄のザジ』や、たった一つの出来事を99通りの文体で書き分けた『文体練習』など。実験的文学集団「ウリポ」の中心的メンバーとしても知られ、ガリマールの『プレイヤード百科事典』の監修責任も務めた。 深刻ぶったり難解ぶったりするのが大好きなフランス現代小説において、しかも第二次世界大戦前後という切実な時代に、知の巨人のようなクノーは『わが友ピエロ』、『ルイユから遠くはなれて』、『人生の日曜日』といった作品で、「世の中ついでに生きている」ようなのんきな男たちを次々に創り出した。それはいったいなぜか──。クノー小説における愛すべき〈与太郎〉たちを通し、我々の通念を揺さぶる「知」や「真実」を問う。
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-荘子をひもとく、新宗教と自由恋愛の時代! 夏目漱石の「最後の弟子」が愛したのは、平塚らいてうの姉だった──。自由を欣求した前田利鎌の遺稿をもとに、近代日本の思潮をさぐる評伝。 東工大教授になってまもなく32歳で夭折した前田利鎌は、東京帝大哲学科卒。スピノザやニーチェなど西洋哲学、荘子や禅などの仏教哲学を幅広く研究した宗教哲学者だった。 〈利鎌は漱石の門に最年少で入り、学び、書き、淪落の恋を識り、座禅に我を忘れ、生に身を焦がし、燃え盛りながら死んでいった。/孝子とらいてうも同様だ。大正の爛熟したデカダンスの徒花というなかれ。3人は旧弊な社会風紀や硬直した倫理、常識に抗った。自らに由って立つ近代人の肖像、自由と解放、照応と合一、天才と超人、各々がそれらを希求した〉(諏訪哲史「推薦者の言」より)。 らいてふの姉・孝子、漱石ら知識人─日本のフェミニズムと近代文学のはじまりとが画されたところで懊悩した人々を、貴重な資料をもとに書き上げたノンフィクション。
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-1巻2,772円 (税込)花やかな文豪達による<新>ハムレット競演。 収録作品は以下の通り。 巻頭8ページ口絵(4色)「ハムレット」をテーマにした銅版画=描き下ろし 巻頭詩 谷川俊太郎「初夏のハムレット」=書き下ろし * 太宰治「新ハムレット」(長篇小説) 芥川比呂志「ハムレット役者」(「タイツ」「三度目の正直」「太宰治とともに」エッセイ三篇) 志賀直哉「クローディアスの日記」(短篇小説) 小林秀雄「おふえりや遺文」(短篇小説) * ランボオ(小林秀雄訳)「オフェリヤ」*詩 (ランボオの同じ詩を二人の訳者で収録) ランボオ(中原中也訳)「オフェリア」*詩 * 大岡昇平「オフィーリアの埋葬」(短篇小説) ラフォルグ(吉田健一訳)「ハムレット――或る親孝行の話」(中篇小説) 福田恆存「ホレイショー日記」(中篇小説) * 小栗虫太郎「オフェリヤ殺し」(最後に異色ミステリ二作=中篇小説) 久生十蘭「ハムレット」 ※この作品はカラーが含まれます。
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-【ご注意】※お使いの端末によっては、一部読みづらい場合がございます。お手持ちの端末で立ち読みファイルをご確認いただくことをお勧めします。 「まんが」で読み直す世界的ベストセラー。 世界的ベストセラー『星の王子さま』の翻訳まんがです。 原文を読み解き、その作品世界を「まんが」として表現しました。 翻訳・文は、長年この企画をあたためていた奥本大三郎。『ファーブル昆虫記』の完訳でおなじみのフランス文学者です。今回のまんが化にあたり一般に流布されている表現をあらため、より物語世界がわかりやすい自然なニュアンスにしました。 「まんが」は、絵本作家でありイラストレーター、そして本書のデザインも担当した、やましたこうへいです。関連資料にあたっては細部の正確さにこだわり、詩情豊かな珠玉の作品となりました。 文章では読み飛ばされがちな場面も、絵があればこそ、原作者の想いに気づくことがあります。たとえば王子さまは夕陽を見ることが好きで、パイロットと砂漠の夕陽を見に行くという短い章があります。このシーンの美しさや、夕陽を浴びた王子さまの寂しさは、まんがだからこそより伝わり、理解されます。 そのほかにキツネとの哲学的な会話、砂漠から帰ってきたパイロットの日常など、文章ではなかなか想像できない、美しくも切ない新たな「星の王子さま」をお届けします。 ※この作品はカラー版です。
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3.9レイキャヴィク警察の犯罪捜査官シグルデュル=オーリは、友人から厄介な相談を受けていた。妻の姉夫婦がいかがわしい写真を撮られ、それをネタにゆすられている。表沙汰にならないように写真のデータを取り戻してほしいというのだ。恐喝者である女性の家に行ってみると、女性は頭から血を流して倒れており、シグルデュル=オーリ自身も何者かに殴られて昏倒してしまう……。犯罪捜査官エーレンデュルが行方不明のなか、同僚のシグルデュル=オーリが自らが巻き込まれた殺人事件の捜査を進める。北欧ミステリの巨人の人気シリーズ第8弾。
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3.8新型コロナウイルスのパンデミックで隔離生活を強いられた16ヶ月間、イラストレーターにして作家のエドワード・ケアリーは、毎日1枚の画(え)を描き、SNSに投稿していった。偉大な作家や芸術家、歴史上の人物、小説の登場人物、さらに人間だけではなく、動物や鳥、植物や建物、風景に至るまで描きに描いた500点ものスケッチと、それにまつわる36篇のエッセイを収録。ケアリーらしさ満載のスケッチ集としても、時代を切り取るエッセイ集としても楽しめる珠玉の一冊。/解説=マックス・ポーター
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4.2
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-敗戦直後の、精神的、物質的貧困の中で、却て高揚した精神によって書かれたもの。鶏、百舌、雲雀、千鳥…長年作句の対象にした山禽野鳥の姿を、歌、散文で描く書。 (※本書は1994/7/1に発売し、2022/6/9に電子化をいたしました)
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4.0作家デビュー50周年に放つ、至高のクライム・ノヴェル 狙いは決して外さない凄腕の殺し屋、ビリー・サマーズ。依頼人たちには、銃撃しか能がないちょっと抜けた男を装っているが、真の顔はエミール・ゾラを愛読する思慮深い人間であり、標的が悪人である殺ししか請け負わない。 そんなビリーが、引退を決意して「最後の仕事」を受けた。収監されているターゲットを狙撃するには、やつが裁判所へ移送される一瞬を待つしかない。狙撃地点となる街に潜伏するための偽装身分は、なんと小説家。街に溶け込むべくご近所づきあいをし、事務所に通って執筆用パソコンに向かううち、ビリーは本当に小説を書き始めてしまう。 だが、この仕事は何かがおかしい……。ビリーは安全策として、依頼人にも知られぬようさらに別の身分を用意し、奇妙な三重生活をはじめた。そしてついに、運命の実行日が訪れる――。
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4.1【恐怖の帝王、作家50周年を前に王道のSF巨弾が待望の邦訳!】 異能の少年少女を拉致する謎の機関〈研究所〉。 彼らは子供たちの超能力を利用して何を企図しているのか。 冷酷なるくびきから逃れるため、少年は知恵をめぐらせる。 ------------------------ ミネソタ州ミネアポリスに暮らす12歳の少年ルークは、両親こそごく平凡だが、優秀な子供の特待校に通う神童だ。彼にはちょっとした特殊能力があった。ふとしたときに、周りのごく小さな物品をふれることなく動かしてしまうのだ。と言っても、それは他人が気づくほどのことでもない。 一流大学MITの入学内定を勝ち取ったルークだが、ある夜、3人の不審な男女が眠る彼をかどわかす。目覚めたルークが見たのは、自分の部屋そっくりにしつらえられているが、何かが違う一室だった。扉の外は自宅とは似ても似つかぬ、古びた大きな施設。そこには様々な少年少女が拉致され、自室と似た部屋を与えられて戸惑いながら暮らしていた。 目的も知れぬこの〈研究所〉で、残忍なスタッフや医師に、気分の悪くなる注射や暴力的な検査を繰り返される少年少女たち。彼らの共通点は「テレキネシス」か「テレパシー」の超能力を持っていることだった。 ルークは黒人少女カリーシャ、反抗的な少年ニック、幼く泣き虫だが強いテレパシーをもつ男の子エイヴァリーらと知り合うが、一定期間検査を受けた子供はひとり、またひとりと〈研究所〉の別棟〈バックハーフ〉へ連れ去られ、決して帰ってこないのだった。ルークはこの不穏な施設からの逃亡計画を温めはじめる――。
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4.3『WORLD WAR Z』で世界のホラー・ファンを唸らせた才人ブルックスの新作モンスター・スリラー 映画製作進行中! 作家マックス・ブルックスのもとに届いた手記。それはレーニア山噴火後、廃墟となって発見されたエココミュニティの住人が残したものだった。未だ原因が明かされていない集落全滅の真相とは? 武器も食糧もないひとびと。地面に刻まれた人間そっくりの巨大な足跡。闇にひびく咆哮。森の中に散乱した動物の死骸。そして牙を剥いて襲い来る凶暴な群れ。傷だらけになった人間たちの反撃、果たして成るか? 偽ドキュメンタリー形式の衝撃作。
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3.9わが名は〈解錠師〉。 いかなる鍵も錠前も僕の敵ではない。 名探偵ライム、3年ぶりの新作。 ボーン・コレクター、コフィン・ダンサー、ウォッチメイカー、スキン・コレクター、そして……。 名探偵ライムに頭脳戦を挑むのは、密室に煙のように忍び込む怪人〈解錠師/ロックスミス〉。 怪人VS名探偵の興奮に満ちた現代謎解きミステリの新傑作。 〈ロックスミス〉と名乗る男が夜のニューヨークに跳梁していた。厳重に鍵のかかった部屋に侵入し、住人に危害を加えることもなく、破った新聞紙に書いたメッセージを残して去った。犯人はいかにして短時間で錠を破ったのか。犯行は無差別なのか、それとも被害者を結ぶ線があるのか。この奇怪な犯人の真の目的は何か。ニューヨーク市警からの依頼で、四肢麻痺の科学捜査の天才リンカーン・ライムが捜査に乗り出した。だがライムは警察内部の政争にまきこまれ、別件の裁判での失態を機に契約を解除されてしまった。このまま捜査を続行すれば逮捕される危険すら……。 密室を破る怪人〈ロックスミス〉VS現代の名探偵リンカーン・ライム。警察も敵に回り、犯罪組織に命を狙われながらも、名探偵はあくまで知力で戦いに挑む。そしていくつもの事件と謎と犯罪がより合わさったとき、多重ドンデン返しが華麗に発動する! ――ウォッチメイカーを思い出してるでしょ。 ――この二人は似た者同士だ。どちらも利口で、戦術に優れている。いわば闇の芸術家と呼べる点も似ている。それにどちらも機械式の装置に妄執を抱いている……。 “怪人VS名探偵”の興奮に満ちた現代謎解きミステリの新傑作。
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4.5ドストエフスキー生誕200年記念出版。 かつて外務省でモスクワ大使館に勤務した著者は、ソ連邦の崩壊に立ち会うことになった。宗教を否定する社会主義の理想が潰え、ふたたび神を求める時代が始まった。 そうした事態を19世紀にすでに預言していたと著者が考えたのが、文豪・ドストエフスキーである。 『カラマーゾフの兄弟』のかの有名な「大審問官」は、はたして何を示しているのか? 『罪と罰』でラスコーリニコフはなぜ回心したのか? 外交官としての仕事のかたわら、ドストエフスキーを解読する日々が始まった。 尊敬するチェコの神学者・フロマートカや、同じくチェコの哲学者・政治家のマサリクの著作が大いなる手助けとなる。 そして、モスクワとプラハを往還する著者の思索の旅は、ついに終わりの日を迎える?? 現代史の現場から生み出された、これまでにないドストエフスキー論。
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-灼熱の世界と氷の世界―― 人が住めるのはその2つの世界の境界線のみ。 破滅の迫る中、世界を救うための危険な旅が始まる――。 構想十年――〈シグマフォース〉のジェームズ・ロリンズによる大型ファンタジー・シリーズ、遂に日本上陸! 自転が止まった惑星〈アース〉――片側は灼熱の世界、もう片側は暗闇に閉ざされた氷の世界。 生命を維持できる環境はその2つの世界の境界線――星を帯状に取り巻く「クラウン(王冠)」と呼ばれる細長い地域のみ。 そんなクラウンに暮らす盲目の少女が、月が落下して世界が滅ぶ夢を見る。 しかし、戦争の足音が忍び寄りつつある世界では、誰も破滅の前兆の話など聞きたいとは思わない。 彼女の予言が現実のものになるのか――より重要なのは、どうすれば破滅を阻止できるのか…… それを突き止めるのは彼女とその仲間たちの手に委ねられる。 ◉著者――ジェームズ・ロリンズからのメッセージ 「構想に10年、執筆に数年、そして読者の皆さんに長らく辛抱していただいた末に、本書をようやく出版できた。 この壮大な物語を誇りに思うとともに、それが皆さんの手元に届くと考えると胸が高鳴る。 このシリーズの誕生に関して、科学スリラーの作者がどんな経緯で叙事詩的なファンタジーの執筆に手を出したのかを説明しておこう。 この物語は私のルーツへの回帰に当たる。 創作活動を始めてまだ間もない頃、私はジェームズ・ロリンズとしてスリラーを書く一方で、ジェームズ・クレメンスの名前でファンタジー作品も書いていた。 『星なき王冠』はこの2つの人格を融合させたもので、ジャンルにまたがる「科学ファンタジー」とでも呼ぶべき作品だ。 さあ、『星なき王冠』にようこそ。私と一緒に皆さんも新しい世界への第一歩を踏み出してくれることを願う。」 〈あらすじ〉 自転が止まった惑星〈アース〉では、常に太陽の光を浴びる灼熱の世界と永遠の夜が続く氷の世界に二分され、人間はアースを環状に取り巻くその狭間の「クラウン」という地域で暮らしている。ハレンディ王国のブレイク修道院学校で学ぶ盲目の少女ニックスは、ある事件をきっかけに目が見えるようになり、同時に不思議な力を手にする。その力が彼女に見せたのは「ムーンフォール」――月の落下によるアースの破滅という未来。隣国との戦争を控えた王国では、ニックスの予言を巡って国王や側近の思惑がうごめき、軍を派遣して彼女を宮殿に連れてくることに決まる。そんなある日、ニックスは修道院学校に迫る危機を予知する。自らの新たな能力に戸惑いつつ、ニックスは学校と町を脅威から救おうと試みる。
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-アカデミー・フランセーズ賞フランス語文学賞、全アフリカ文学賞、アマドゥ・クルマ文学賞……カメルーン出身のドキュメンタリー監督による、賞総なめの衝撃作! ジェンダーをめぐる差別が根強く抑圧的な社会で「自分」を生きるために闘う人を映しとる! 貧富の格差、女性差別、性的マイノリティへの弾圧。 家父長制と因習に縛られ、権力闘争が渦巻く国ザンブエナ。かつて教師として働いていたカトメは、野心的な政治家の妻として夫を支えるかたわら、親友のアーティスト、サミーの創作活動を支援していた。反体制的な表現者、そして同性愛者であるサミーの個展の幕開け、それは二人の運命の新たな扉でもあった。 私たちは皆、水の底で生きている。
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3.0読みやすく美しい瀬戸内寂聴の現代語訳で甦る、史上最高の恋愛小説。350万部のベストセラー、寂聴訳「源氏物語」が一冊で読める!全五十四帖から再編集した入門書にして決定版。解説(高木和子)、あらすじ、主要人物紹介、主要人物系図付き。 私が源氏物語の現代語訳を手がけたのは、日本が世界に誇る最高の文化遺産であるこの千年前の傑作小説を、すべての人々に読んでもらい、日本人として生れた心の誇りを取りもどしてほしいと願ったからであった。光源氏という絶世のハンサムで、あらゆる才能を生れながらに恵まれた主人公が、次々起すラブアフェアは、二十一世紀の現代でも決して旧(ふる)くはない。どれほど文明が進んでも、人間の心というものは、千年前も今も、根本に於てはほとんど変らないし、人を愛する喜びと悩みもまた、千年をへだてても一向に変っていないからである。 ――瀬戸内寂聴
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3.0オーストリア・シュタイアーマルク州北部に、ヘリアナウという全寮制の学校がある。インディゴ症候群を患う子供たちのための学園だ。この子供たちに接近するものはみな、吐き気、めまい、ひどい頭痛に襲われることになる。新米の数学教師クレメンス・ゼッツはこの学園で教鞭をとるうちに、奇妙な事象に気づく。独特の仮装をした子供たちが次々と、車でどこかに連れ去られていくのだ。ゼッツはこの謎を探りはじめるが、進展のないまますぐに解雇されてしまう。その15年後、新聞はセンセーショナルな刑事裁判を報じる。動物虐待者を残虐な方法で殺害した容疑で逮捕されていた元数学教師が、釈放されたというのだ。その新聞記事を目にした画家のロベルト・テッツェルはかつての教え子として、ゼッツが手を染めたかもしれない犯罪の真相を追いかけていく──軽快な語り口と不気味さが全篇を覆い、独特な仕掛けがさまざまな読みを可能にする。既存の小説の枠組みを破壊して新しい文学の創造を目指した、神童クレメンス・J・ゼッツの野心溢れる傑作長篇。 ◆円城塔氏 ナイフのような思考回路に指を滑らせていく これは人が読んでよい類いの書物であるのか ◆山本貴光氏 私はなにを読んでいるのか? デジタルゲームで遊ぶときのように、 つぎつぎと現れる多様な断片の組み合わせから、名状しがたい意識が創発する これは、近づく者を狂わせる複合現実小説(Mixed Reality Fiction)だ
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4.0本格ミステリの巨匠エラリー・クイーンは、フレデリック・ダネイ、マンフレッド・リーという従兄弟同士の合作作家。プロット担当のダネイと小説化担当のリーは、毎回、手紙と電話で意見を交換しながら作品を創り上げたが、その合作の実際は長く秘密にされてきた。本書は二人の往復書簡によって、二つの異なるタイプの才能が細部の検討を重ね、時に激しい議論を戦わせながら、中期の傑作『十日間の不思議』『九尾の猫』『悪の起源』を完成させていく過程を明らかにした貴重なドキュメント。 「この書簡集を夢中になって読み終えた今、私は、フレッドとマニーがこれだけ争っているのに本が完成して出版されたという事実を、信じることができない。しかし、二人がそれをやってのけたことを神に感謝しよう!」 ――ウィリアム・リンク(本書序文より)
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3.0転落死した男が隠し持っていた紙片に隠された秘密とは? 『新青年』に懸賞付きで翻訳連載された「楽園事件」が89年ぶりに再刊。日本探偵小説界隆盛の礎を築いた天性の才人・森下雨村による名訳が本邦初訳テキストでよみがえる! J・S・フレッチャーの代表作「ダイヤモンド」も併せて収録。
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4.0ロンドンの寂れた商店街に佇む名家の屋敷。教養ある血筋を襲う怪事件! アルバート・キャンピオンが暴く、葬儀屋の“次の仕事”とは……?
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-小さな詐欺事件が国会議員殺害事件へ発展。複雑に入り組む疑惑の人脈に渦巻く謎また謎。アノー探偵、最後にして最大の事件! ロードシップ・レーンの館に隠された秘密とは……。
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-山田太一の戦争にまつわる珠玉シナリオを集成!(すべて初活字化) 戦時中にタイムスリップしてしまう家族を描く衝撃作『終りに見た街』(2005年リメイク版)、 今まで活字化を許可されていなかった 『男たちの旅路 スペシャル〈戦場は遙かになりて〉』、 その他映画のための未発表シナリオなど全4篇+掌篇・講演を収録。 『ふぞろいの林檎たちV/男たちの旅路〈オートバイ〉』に続く 山田太一未発表・未活字化シナリオ集第2弾。 *ある日突然、戦時中の昭和19年にタイムスリップしてしまう平凡な家族。彼らは敗戦間近の食糧不足・国家総動員そして大空襲の時代を生き残ることができるのか……衝撃的な結末が話題となった『終りに見た街』は1981年に小説として発表され、翌年ドラマ化、さらに2005年にリメイクするほど山田太一自身思い入れのある作品である。今回リメイク版を初の活字化。 *鶴田浩二主演の名作ドラマ『男たちの旅路』シリーズの掉尾を飾るスペシャル版〈戦場は遙かになりて〉は、今まで待望されながらも山田太一が活字化を許可していなかった。今回初の単行本収録となる。 *中国残留孤児問題を取り上げた映画シナリオ『唐津湾夕景』(1975年)、アラブ紛争地域に住む日本人を描く舞台作品『砂の上のダンス』の映画化シナリオ(2000年代)はともに未発表作品。 *附録として掌篇「叔父さんの下町」(単行本未収録)、戦争体験を語る貴重な講演(抜粋)を収録。 編・解説 頭木弘樹 はじめに(頭木弘樹) 叔父さんの下町 終りに見た街 男たちの旅路 スペシャル〈戦場は遙かになりて〉 砂の上のダンス 唐津湾夕景 少年期の飢餓体験ーー講演「テレビとわたしーーわたしの作品を通してーー」より 収録作品について(頭木弘樹)
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3.9『ドードーをめぐる堂々めぐり』著者川端裕人が贈る、スリリングで感動的な「絶滅動物小説」! 科学記者の「タマキ」は、ゲノム研究者になった幼馴染「ケイナ」と二十年ぶりに再会した。 ステラーカイギュウ、リョコウバト、オオウミガラス、そして、ドードー鳥と孤独鳥……自然豊かな房総半島南部の町で過ごした小学生の頃から、絶滅動物を偏愛してきたふたり。 カリフォルニアで最先端のゲノム研究「脱絶滅」に取り組むケイナに触発されたタマキは、江戸時代に日本の長崎に来ていたという「ドードー鳥」の謎と行方を追う旅へと乗り出した。 〈もっと知りたいと願った。 ドードー鳥と孤独鳥の秘密を、ケイナちゃんとわたしを結びつける秘密を。〉 日本、アメリカ、欧州、そしてドードーの故郷モーリシャスへ。 やがてふたりの前に、生命科学と進化の歴史を塗り替える、驚愕の事件が待ち受けていた―― 会いに行こう! もう会えない「幻の鳥」に―― 忖度なしの〈堂々たるドードー小説〉 『ドードー鳥と孤独鳥』、堂々刊行! *美麗函入 *挿絵多数収録 ◎装幀・本文設計=山田英春 ◎装画=Dodo/Solitaire, Extinct Birds, Walter Rothschild, 1907, William Frohawk del. より
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3.0『宝島』『ジキル博士とハイド氏』で名高い、英国の文豪スティーヴンソンの知られざる傑作小説。 恐怖の爆弾テロリストたちの暗躍を物語の経糸にして、黄昏の世紀末ロンドン、合衆国の荒野、はたまたカリブ海の小島を舞台に繰り広げられる、怪奇で波瀾万丈な奇談の数々。ドイルやマッケンにも大きな影響を与えた連作小説、本邦初訳なる!!
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3.3ぼくには仲良しの兄・サイモンがいた。でも死んでしまった。ぼくはサイモンに会いたくてたまらない。19歳になったマシュー・ホームズは、統合失調症の治療の一環として、自分自身について書いている。大好きだった兄サイモン、ダウン症だった彼の死は、幼かったマシューの思いつきがもたらしたようなものだった。罪の意識に苛まれるマシュー。彼には「ぼくを忘れないで」というサイモンの声がいつも聞こえている。精神科病棟の看護師だった著者だからこそ書ける、病める青年の苦しみ、不安、喜び、そして家族のこと。サイモンとマシューの兄弟を、あなたは忘れることができないだろう。コスタ賞の新人賞と大賞を同時受賞した傑作小説!
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5.0純文学作家「色川武大」=阿佐田哲也が戦後の焼け野原を舞台に描く、本邦ギャンブル小説の最高峰! 全四篇を集めた合本版です。 【収録作品】 『麻雀放浪記1 青春篇』 終戦直後の焼け野原で、「坊や哲」が「ドサ健」「出目徳」「女衒の達」ら仕事師たちと渡り合う。(解説・先崎学) 『麻雀放浪記2 風雲篇』 いかさまがばれて関西に逃れた「坊や哲」。京都の博打寺でブウ麻雀の鬼たちと激闘を繰り広げる。(解説・立川談志) 『麻雀放浪記3 激闘篇』 肘を壊し、いかさまができなくなった「坊や哲」。闇の組織から高利の金を借りて窮地に陥る。(解説・小沢昭一) 『麻雀放浪記4 番外篇』 無頼の生活から足を洗い、勤め人となった「坊や哲」の前に、ふたたび“あの男”が現れた!(解説・柳美里)
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4.0このミス1位ほかミステリー3冠達成の感動大作 過去へ旅することのできる「扉」の存在を知った男はケネディ暗殺阻止に挑む。キングにしか書けない壮大な物語。落涙保証の感動大作! 解説・大森望 ※この電子書籍は、『11/22/63』上・中・下巻(文春文庫)を一冊にまとめた合本です。
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-黒死病がヨーロッパに暗い影を落としていた1351年--。 領地を奪われたイングランドの騎士ジェラルドは、あてどない放浪の旅を続けていた。その最中、深い森の中でひとりの貴婦人を助けたことで、彼の運命は大きく動き始める。 淑女の名はイザベル。代々守り続けてきた聖母子像「オディギトリア」を狙う許婚に追われ、侍女と従者を殺されたという。ジェラルドは放っておけず、聖像を安全な場所に届けるまで、彼女の警護を買って出た。 このとき、彼は知らなかった。「オディギトリア」を手中に収めようと画策する黒幕が、彼と彼の父を貶めたノートルダムの枢機卿モリノーであることを……。 ベストセラー作家ボイド・モリソンが美術研究者の実妹ベスとタッグを組んだ歴史アクション、堂々開幕!! ニューヨーク・タイムズ紙ほか、全米各紙が絶賛!! 「ペストで荒廃し、イングランドとフランスの抗争が続く14世紀のヨーロッパを舞台に、新たなアクションヒーローが誕生した。ボイド・モリソンとベス・モリソンが創出した本作の主人公である「ジェラルド・フォックス」は、騎士道精神の模範的な存在にふさわしい勇敢さと正義感を兼ね備えている。放浪の騎士である彼は物語の冒頭、窮地に陥った令嬢を救出し、自身の人生が「最悪の殺人、陰謀、そして裏切りに満ちている」と語る。ジェラルドに悲劇をもたらした仇敵はひとりではなく3人、さらに彼らの配下にある騎士や取り巻きたちとも戦わなければならない。時折、現代風な表現を交えながら展開する本作は、独創的で賑やかなプロットで彩られている。全ての読者の胸を躍らせる冒険小説」 --ニューヨーク・タイムズ紙
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-本書はポーの作品をめぐる批評集である。三部立て構成となっており、1つの章で1つの作品をとりあげ、厳密に読み解いてゆく。それぞれの章では異なった作品を扱うが、各部ごとに連関したテーマを含む。第1部は「ゴシック・ホラーの喪とメランコリー」。ポーのゴシック的な詩や小説における「横たわる」ことのモチーフに焦点を絞り、それが有する現世主義に対する「脱中心性」を読み解く。第2部は「SFの時空間」。ポーのSF的な冒険小説を取り上げ、そこにおける時空間や身体の超越の問題について批評し、「いま・ここ・わたし」を起点とする人間中心主義的思考を「脱中心化する想像力」を抽出することを試みた。第3部は「起源のミステリーとミステリーの起源」。一見すれば推理仕立ての小説にみえるポーの作品が、本当に謎解きを本質としたものなのか?その疑問から仮面の下にひそむモチーフに注目し、「脱中心性」をあきらかにする。そして補足補完すべく3つのエセーを付し、ポーの短篇小説を翻訳する。それは、ポー文学の脱中心性を知る上で、格好のものとなるのが小説だからである。 目次 序章 なぜ「脱中心」なのか 第1部 ゴシック・ホラーの喪とメランコリー 第1章 死者と横たわること――「大鴉」をめぐって 第2章 横たわることの詩学――「アッシャー家の崩壊」の謎をとく エセー(1)「夜の訪問者」 第2部 サイエンス・フィクションの時空間 第3章 空気の隠喩――「ハンス・プファールの比類なき冒険」探索 第4章 自我なき海への郷愁 ――「アーサー・ゴードン・ピムの冒険」SF・脱中心 エセー(2)萩尾望マンガの脱中心性 第3部 起源のミステリーとミステリーの起源 第5章 太陽の指針――「黄金虫」と「スタイラス」の図像学 第6章 脱中心の詩学――「モルグ街の殺人」における遊戯の規則 エセー(3)動物好きに捧ぐ 付録 翻訳「楕円形の肖像」「週に三度の日曜日」 「ウイサヒコンの朝」「本能と理性」
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-自然、人間、本当の豊かさとは?「現在の都市文明には限界が感じられる…喜びは金では買えない。自然のなかで暮らし、愛情や友情や隣人愛に包まれ、よく食べ、よく飲み、よく遊ぶことが必要である…現代文明が等閑に付してきたもの…そのことを考え直そうというような心境にさせるような着想が、ジオノ文学には満ちあふれている」(「天性の小説家 ジャン・ジオノ」(彩流社、2014))。本書は、ジオノ作品をこれまで10冊以上翻訳してきた山本氏により描かれた、その物語の魅力を広く紹介しようとする作品論集である。翻訳してきたジオノ文学作品の巻末に付してきた解説を、すでに出版からかなりの時間が経っているため、それぞれの解説文をより的確な表現となるよう練上げ、さらに多角的に、作品相互を論じることで、ジオノ文学に近づけるようにした。何といってもジオノの作品の中では『木を植えた男』が最も知られているので、まずは『木を植えた男』についての文章を冒頭に置き、次いで反響がよかった『青い目のジャン』を2番目に並べることにした。最後は『喜びは永遠に残る』についての文章にしたいため、3番目には、その『喜びは永遠に残る』と密接な関わりを持っている『本当の豊かさ』を配置し、そして、さらには個人的に大いに気に入っている謎に満ちた画家の物語『逃亡者』を4番目に登場させることとした。著者は、今後の読者からの評価次第であるとはいうものの、このジオノ論の第2集、第3集の刊行に向けた準備も始めている。 目次 『木を植えた男』――森林は水を生み出し人々を招き寄せる 『青い目のジャン』――子供の成長の記録 『本当の豊かさ』――鄙びた田舎に潜んでいる豊かさ 『逃亡者』――謎に包まれた画家の生涯 『喜びは永遠に残る』――それは、途方もなく美しい夜だった
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-時代を知ると、文学がもっと面白くなる!魅惑の18世紀フランス文学の世界 18世紀は理性に導かれる啓蒙の世紀であり、かつ19世紀のロマン主義の源流ともなる感傷と感情の発露の世紀でもある。このような世紀の精神は、17世紀末から18世紀初頭の宗教的、政治的、経済的危機を起源とする。フランス革命、マリー=アントワネット、ロココ文化、啓蒙思想……「暴力」と「優雅繊細」、そして「思想」を連結する18世紀フランス文学とはどのようなものなのか。高まる読書熱の中声高に叫ばれた小説有害論、サロンとカフェが文学の発展において果たした役割、厳しい統制の中で作品を発表した哲学者たちの闘いなど、文学をとりまくさまざまな要素をわかりやすく解説。時代を知り、読書をもっと楽しむための教養書。 コロナ禍にオンラインで行われた大阪大学外国語学部の授業の講義原稿をもとに再構成した臨場感あふれる語り口で時代とともにテクストを読み解き、読者を魅惑の世界へいざなう。取り上げるテクストの一部のフランス語原文を文法解説とともに読めるweb付録つき。
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3.8南北戦争下のルイジアナ。戦場での過酷な体験に苛まれ、伯父の農園で無為な日々を送る外科医のウェイド。殺人容疑を掛けられ、ウェイドの助けを借りて農園から脱走した奴隷女性のハンナ。さまざまな運命に翻弄される彼らが、最後にたどり着いた真実とは――。
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-※この商品はタブレットなど大きいディスプレイを備えた端末で読むことに適しています。また、文字だけを拡大することや、文字列のハイライト、検索、辞書の参照、引用などの機能が使用できません。 2009年から活動してきた「後藤明生を読む会」の会員による作品集。 安亜沙(あん・あさ)1996年生まれ。美術家。個展にアンバー・ランド(Gallery PARC・京都/2019年)、ネオ人類研究(Oギャラリーeyes・大阪/2023年)など。 乾口達司(いぬいぐち・たつじ)1971年生まれ。会社員。著書に『花田清輝論』(柳原出版/2003年)、後藤明生著/乾口達司編『日本近代文学との戦い』(柳原出版/2004年)など。 甲木文武(かつき・ふみたけ)1977年生まれ。会社員。 金窪幸久(かねくぼ・ゆきひさ)1957年生まれ。元会社員。2021年永眠。 来多邨平(きたむら・たいら)1950年生まれ。元出版社勤務。 後藤忠彦(ごとう・ただひこ)1933年生まれ。後藤規矩次・美知恵の三男として、旧朝鮮・永興で生まれる。2020年永眠。 後藤明生(ごとう・めいせい)1932年生まれ。小説家。後藤規矩次・美知恵の次男として、旧朝鮮・永興で生まれる。1999年永眠。代表作に『挾み撃ち』(河出書房新社/1973年)、『吉野大夫』(平凡社/1981年)、『壁の中』(中央公論社/1986年)など。 小林幹也(こばやし・みきや)1970年生まれ。教員・歌人・近畿大学文芸学部非常勤講師。歌集に『裸子植物』(砂子屋書房/2001年)、評論集『短歌定型との戦い』(短歌研究社/2011年)など。 竹永知弘(たけなが・ともひろ)1991年生まれ。日本現代文学研究、ライター。おもな研究対象は「内向の世代」。 名嘉真春紀(なかま・はるき)1986年生まれ。出版社勤務。 松井博之(まつい・ひろゆき)1966年生まれ。2003年、「<一>と<二>をめぐる思考―文学・明治四十年前後」で第三五回新潮新人賞評論部門を受賞。2012年永眠。著書に『<一>と<二>をめぐる思考―文学・明治四十年前後』(文芸社/2014年)。 松崎元子(まつざき・もとこ)1966年生まれ。アーリーバード・ブックス代表。後藤明生著作権継承者。 安田誠(やすだ・まこと)1970年生まれ。会社員。
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5.0名脇役の40周年記念イベントに異変の予兆…… リハーサル現場に立ち会った私立探偵・紅門福助の推理は冴える? トリック、ロジック、ギミック満載の本格エフェクト【特殊効果】が炸裂! 数多くの「死に役」を演じ「ダイプレーヤー」と称された役者・忍神健一。その役者生活四十周年を記念するセレモニーを開催することに。それに乗じて役をもらおうと集まる一癖も二癖もある役者の卵たち。イベント準備中、不可解な事象が続くなか足跡のない雪のバンガローで関係者の変死体が発見される。 本格以外の世界にももまれ、未踏の冒険を経てきた霞は、ひときわ逞しく、より自由な破家者となって帰ってきた。その新たな力を得た腕試しといわんばかりに、今までのシリーズ作品以上に丁寧で整備された圧巻の解決編を作り上げてきたが、やはり本書の目玉は紅門が遭う最厄にある。だって誰も自分の代表的な探偵役をこんな最厄な目に遭わせようとは思わないでしょう?(解説より:嵩平何)
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-目 次 第一章 神楽 神も笑い人も笑う 第二章 言の葉 言霊の幸はふ国 第三章 物語 異界からの来訪者 第四章 仮名 日本語の成立 第五章 国風 日本人の美意識 第六章 今様 「日本第一の大天狗」の秘密 第七章 誑惑 だましだまされる 第八章 戯画 宗教画として見る 第九章 凡俗 「達人」と「くらき人」 第十章 御伽噺 浦島説話の変遷 第十一章 禅画 瓢箪ナマズの禅問答 第十二章 同朋衆 笑いを生む社交の場 第十三章 頓智 風狂と栄衒の大喧嘩 第十四章 狂言 救済劇として観る 第十五章 俳諧 連歌から生まれる笑いの文藝 第十六章 寓話 動物に仮託した人間の性(さが) 第十七章 笑話 笑いで教化する 第十八章 浮世 虚の笑いと実の笑い 第十九章 軽口 落語家の三人の祖 第二十章 気質 「気質(かたぎ)」と「気質(きしつ) 第二十一章 遊里 誰もが知りたい「手練手管」 第二十二章 非常 中国笑話の流行 第二十三章 川柳 笑いのシステム化 第二十四章 遊戯 パロディとしての狂詩・狂歌 第二十五章 諷刺 自嘲の笑いが諷するもの 第二十六章 俳画 画俳両道の人 第二十七章 論争 尊大のおや玉vs浮浪士(のらもの) 第二十八章 半可通 色男、金あり、力なし 第二十九章 化物 虚を虚として楽しむ 第三十章 捷才 笑いのない笑い 第三十一章 滑稽 卑俗コンビの人気 第三十二章 漫画 「笑門来福」の教え 第三十三章 日本の笑い
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-暴動が起きた日から、世界は「あたしたち」と「あいつら」のふたつに分かれた―― 1992 年、アメリカ・ロサンゼルス。私立高校での生活も終わりにさしかかり、アシュリーと友人たちは、学校よりもビーチで過ごす時間が長くなっていた。 4 月のある日の午後、ロドニー・キングという黒人男性を半殺しにした4人の警察官に無罪判決が下され、すべてが一瞬にして変わってしまう。激しい暴動・抗議活動が起き、生まれ育ったLA の街が燃え広がるなか、ただの女の子だったはずのアシュリーは「黒人の子」になった。白人の幼なじみとの不協和音、家族のなかの対立、自分への軽蔑……。 ブラック・ライヴズ・マター(BLM)の源流となったロサンゼルス暴動という、じっさいの歴史的事件に着想を得た長編小説。NYタイムズ・ベストセラー選出、ウィリアム・C・モリス賞ファイナリスト。 宇垣美里さん推薦! 「自分自身を知るために、関係ないけど関係なくなんかない、貧富・性別・自分のルーツ。30年前を舞台にしながら、今と何ら変わらない問題を前に、等身大の少女の成長が眩しい」 「ときどき、女の子でいることはきついし、黒人でいることもきつい。その両方だと、二重の負担がかかってるのに、不平は言わせてもらえないようなものだ。自分の在り方について憶えておくべきことが多すぎる――」(本文より)
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-「戦争」に向かっている国家に歯止めをかけることができるのは農民しかいないとジオノは考えた。 ジオノは暮らしていたマノスクという町の周辺で暮らしている農民のことをよく知っていた。自分で判断して行動するようにと何度も念入りにジオノは注意している。あるラーメン屋が美味しいとマスコミが騒げば、たちまち自称「食通」たちが押しかけ長蛇の列を作る。高級と言われているブランド品をみんなが競ってあさる。大型娯楽商業施設に無数の人々が参集する。軽井沢や嵐山近辺が見どころだと観光業界が宣伝すると、すぐそれに乗せられる人々が後を絶たない。政府の高官が、さあ今こそ反撃を開始しようとタイミングよく声をかければ、まるで羊の群れのように人々は「さあ、戦争だ!」と叫ぶかもしれない。私たちは自分が旨いと思うものを食べ、自分の楽しみは自力で発見したいものだ。桜が美しいのは桜の名所だけではない。道端に枝ぶりのいい桜が咲いていたりするのである。ジオノが指摘しているように、「戦争」に反対することは大変な勇気を必要とする。政府やマスコミに簡単に操られることだけは何としても避けたい。どうしたらいいのか、ジオノの著作は貴重なヒントを与えてくれるはずである。
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4.5その日、共謀罪による初めての容疑者が逮捕されようとしていた。動いたのは警視庁組織犯罪対策部。標的は、大手自動車メーカー〈ユシマ〉の若い非正規工員・矢上達也、脇隼人、秋山宏典、泉原順平。四人は完璧な監視下にあり、身柄確保は確実と思われた。ところが突如発生した火災の混乱に乗じて四人は逃亡する。誰かが彼らに警察の動きを伝えたのだ。所轄の刑事・薮下は、この逮捕劇には裏があると読んで独自に捜査を開始。一方、散り散りに逃亡した四人は、ひとつの場所を目指していた。千葉県の笛ヶ浜にある〈夏の家〉だ。そこで過ごした夏期休暇こそが、すべての発端だった――。 自分の生きる社会はもちろん、自分の人生も自分で思うようにはできない。見知らぬ多くの人々の行為や思惑が作用し合って現実が動いていく。だからこそ、それぞれが最善を尽くすほかないのだ。共謀罪始動の真相を追う薮下。この国をもはや沈みゆく船と考え、超法規的な手段で一変させようと試みるキャリア官僚。心を病んだ小学生時代の友人を見舞っては、噛み合わない会話を続ける日夏康章。怒りと欲望、信頼と打算、野心と矜持。それぞれの思いが交錯する。逃亡のさなか、四人が決意した最後の実力行使の手段とは――。 最注目作家・太田愛が描く、瑞々しくも切実な希望と成長の社会派青春群像劇。
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-ジェンダーや階級などの今日的な視点から、暴力をめぐる小説や思想を読み解くことはいかに可能なのか。他者の痛みを描く文学を介して、私たちがそれらの経験を分かち合うことはできるのか。 戦前のアナキズム思想やフェミニズム、プロレタリア文学、戦後の大江健三郎や井伏鱒二、井上ひさしの作品などを「暴力をめぐる記録/記憶」として読み解く。そして、「歴史」「戦前・戦後」などの時間の視点からそれらの作品や思想に介入し、批判的に検証する。 それらの実践を通して、女性への差別や抑圧される身体、歴史の語りとホモソーシャル、異性愛主義体制の再生産、戦争の記憶など、暴力やジェンダーの問題を私たちの目の前に出現させる。忘却に抗い、痛みの経験や暴力の痕跡を分かち持つための想像力を呼び起こす文学研究の成果。
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