今年イチ推しの奇書、偏執狂ともいえるミステリー愛。覚悟をもって挑め! #ポケミス読者よ信ずるなかれ
■あらすじ
田舎のウエストハートの地、狩猟クラブの集いに私立探偵が招待される。会員クラブの運営について不正がされている可能性があるようで、調査を依頼されるのだ。会員メンバーとのやりとりを進めていくうち、湖で死体が発見されてしまう。そしてさらなる事件が発生してしまい…
■きっと読みたくなるレビュー
世界は広いなー、世の中にこんなミステリーを書く変態がいるのか。
私もそこそこミステリーを読んできてますが、自分なんかまだまだ凡人。完全に上級者向けの作品で、はっきり言うと覚悟して読んでください。ただこんな奇抜な本はなかなかないので、読書の経験値をあげるという意味では是非おすすめしたい作品。
できればあまり本書の構成要素は言いたくないのですが、びっくりしないように奇書っぷりだけは認知しておくのがよいかと。まずタイトルが面白いですよね。煽り散らしてるし、早川書房さんの勇気を褒めたい。ただ文庫化する時は改題するの?どうするんでしょうか。
本書で一番に伝わってくるのが作者のミステリー愛。というか愛しすぎて、もはや偏執狂ですね。物語の本筋以外に、様々な古典ミステリーやウンチクやコラムめいたものが挟まれる。その他、人物表、地図、アンケート、尋問などなど、ミステリーにありがちな要素が無責任に放り込まれます。
そして間違いなく作者本人が楽しむことを最優先に書かれています。エンタメに仕上げるなんて二の次で、読者のことなんか置き去りにする気が満々。いやー、自分でも褒めているのか、けなしてるのか良くわからなくなってきた。
ただ後半からストーリー展開が無秩序で愛せるんですよ。イミフなりにも徐々に作者がやりたいことが分かってくるんです(たぶん)。
なんだかんだ言って、最終的には納得感がある収束をするんでしょ~と思われたあなた!まぁ読んでみて下さい。ただ私はこの本を読んでよかったと思うし、最後には作者からのメッセージは伝わってきた…ような気がします。
■ぜっさん推しポイント
この頃は時事ニュースをネットでみることが多いのですが、芸能人のゴシップ記事が目に入ることがある。才能ある俳優や芸人、人を惹きつけて止まない歌声の歌手たちのプライベート。誰それが恋愛関係にあるとか、不倫疑惑とか、離婚したとか、今や様々な情報が溢れていたりします。どうでもいいじゃねーかと思いつつも、つい読んでしまうんですよね。しかも家族や友人とそのゴシップ記事の内容で盛り上がってしまうこともあったりします。
何の話やねん…と思うかもしれませんが、本書を読み終わって感じたことはコレです。
世の中には様々なコンテンツがあって、その内容も、それを作る人も、見る人も、良い悪いの判断や評価も、その後与える影響も、すべて丸ごとコンテンツの一部であるということ。人それぞれが好きに楽しむことが、もはや正義なんだと思いました。