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小説・文芸
Posted by ブクログ
これは本格ミステリであろうとするメタフィクションです。
最初から作者は地の文で読者に語りかけ、本格ミステリとは…、犯人を当てるのか、トリックを当てるのか、動機を探るのか、と読者に考えさせます。
目次も登場人物表も冒頭にはありません。
作中に出て来る登場人物表には、肝心なところが黒塗りで消されています。
なぜなら、その時点で探偵が分かり得たところまでしか書けないからです。
そう言った意味ではフェアなのかもしれませんが、しょっちゅう作者が撹乱しに来るので、本当にフェアなのか?という疑いはぬぐい切れません。
途中で「ウリポ」というフランスの文学グループの話が出て来るので、これは文体も含めたうえでの実験作品なのだなと分かりましたが、作中をアンケート形式で振り返らせたり、容疑者とのたいわがQ&A方式だったり、真相解明が演劇風だったりと、かなり好き放題です。
確かにレーモン・クノーみたい。
思考を行ったり来たりさせながら最後まで読むと、作者が書きたかった(言いたかった)ことがわかります。
なるほど、これが言いたかったわけね、と。
ただ、私は真面目なので、ミステリとしても読んでいたので、最後の犯人は論理的に考えてこの人かな、というのとは違いました。
「あらら、はずれたわ」と作者の主張を読んで思ったのですが、解説者が私と同じような読みをして、同じような結果になったようなので、そういう読み方もありなんだと思います。
それはさておき、作者の主張を呑み込んだうえでの私の感想は、ミステリとしてはあまり美しくない、です。
なぜって、ストーリー上必要のない殺人があるからです。
作品上必要なことはわかりますが、ミステリとしては美しくない。
ミステリは美しくあってほしいのです。
ところで、作中で先住民族所有の土地にカジノを作って儲けるという話がありました。
別の作品でもそういう話を見たことがあるので、実際アメリカでは先住民族用の土地をどんどんカジノにしているってことなんでしょうか。
治外法権だからやりたい放題みたいに。