未明の砦

未明の砦

2,860円 (税込)

14pt

その日、共謀罪による初めての容疑者が逮捕されようとしていた。動いたのは警視庁組織犯罪対策部。標的は、大手自動車メーカー〈ユシマ〉の若い非正規工員・矢上達也、脇隼人、秋山宏典、泉原順平。四人は完璧な監視下にあり、身柄確保は確実と思われた。ところが突如発生した火災の混乱に乗じて四人は逃亡する。誰かが彼らに警察の動きを伝えたのだ。所轄の刑事・薮下は、この逮捕劇には裏があると読んで独自に捜査を開始。一方、散り散りに逃亡した四人は、ひとつの場所を目指していた。千葉県の笛ヶ浜にある〈夏の家〉だ。そこで過ごした夏期休暇こそが、すべての発端だった――。

自分の生きる社会はもちろん、自分の人生も自分で思うようにはできない。見知らぬ多くの人々の行為や思惑が作用し合って現実が動いていく。だからこそ、それぞれが最善を尽くすほかないのだ。共謀罪始動の真相を追う薮下。この国をもはや沈みゆく船と考え、超法規的な手段で一変させようと試みるキャリア官僚。心を病んだ小学生時代の友人を見舞っては、噛み合わない会話を続ける日夏康章。怒りと欲望、信頼と打算、野心と矜持。それぞれの思いが交錯する。逃亡のさなか、四人が決意した最後の実力行使の手段とは――。
最注目作家・太田愛が描く、瑞々しくも切実な希望と成長の社会派青春群像劇。

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未明の砦 のユーザーレビュー

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感情タグBEST3

    Posted by ブクログ

    久しぶりの太田愛さん

    「犯罪者」「幻夏」「天上の葦」
    このシリーズと同じような重厚で
    読みごたえ満点の群像劇です。
     
    登場人物が多い…が全く気にならない
    キャラクターが生き生きと描かれているからだろうと思う。

    そして、情報量の多さに圧倒される
    労働組合の歴史、日本だけではなく諸外国の労働組合の

    0
    2025年10月25日

    Posted by ブクログ

    非正規として自動車メーカーの工場で働く四人の若者。寮から離れて過ごした夏休みが、彼らを“使い捨て”の駒から、尊厳と個性を持った逞しい大人に成長させる。
    特攻隊のチョコレートの行に、忘れてはいけない痛みを感じた。未来の日本から、過労死を産み出す構造が消えてほしいと願う。
    ネトフリでドラマ化してほしいな

    0
    2025年07月16日

    Posted by ブクログ

    久しぶりに、読み応えのある内容だった。 
    それぞれの人物が丁寧に描かれていて、映像的だった。 
    希望を捨てないことが、人間としての何よりの強さだと思うが、これもまた日本人的、日本の歴史そのものだ。
    文中、「衰退途上国」の文字にしばし固まった。
    魚は頭から腐るの諺通り、組織は頭から腐る。
    日本ばかりで

    0
    2025年06月28日

    Posted by ブクログ

    とても感動的な物語でした。
    大きな組織に立ち向かって行く若者たちの直向きさや、力強さに勇気をもらいました。
    悲しい出来事を乗り越えて、友情を築き上げた彼らの強い絆が、周囲を動かしていったんだなぁと熱くなりました。

    一方で、こう言った現実は確かに自分の側に在るし、折り合いを付けながら、日々生きていく

    0
    2025年06月18日

    Posted by ブクログ

    大手自動車会社の製造ラインで働く非正規の若い4人の男性。劣悪な労働環境を当たり前のように受け入れて日々を生きてきた。そんな彼らが共謀罪の疑いで逮捕されようとしている。何があったの⁈と引き込まれ読み進めたら、労働者を低コストに抑えることに余念のない大企業と、それに都合良く法律を作っていく政治、それに従

    0
    2025年05月17日

    Posted by ブクログ

    サスペンス小説としてページを捲る手が止まらないだけでなく、労働とは?規則、法律とは何か?、そして現代社会での生き方を考えさせられる一冊。

    後半につれての怒涛の展開、膨大な下調べが支える社会課題の記述、ささやかな希望を感じるラスト、全てが素晴らしかった。
    現代の日本人が読むべき一冊。

    0
    2025年03月22日

    Posted by ブクログ

    久々の読書、そして久々の骨太な社会派小説。さすが太田愛。

    労働とは、規則とは。それを当たり前のように受け入れてしまう恐ろしさと、それに気づかせる考えや振る舞いがとても良く表現されていたと思う。
    後半は山崎豊子を思い出させるような書きっぷりで、今の政治や社会に物申す内容にもなっていたと思う。

    スト

    0
    2025年03月22日

    Posted by ブクログ

    骨太の社会派ミステリーだった。

    悩ましいテーマを扱ってるだけに
    希望が持てる終わり方だったのが救いと感じた。

    0
    2025年03月20日

    Posted by ブクログ

    面白かった。期間工の仕事はかなりきついって聞きますよね。ストライキでいえば競馬の件を思い出しました。

    0
    2025年02月24日

    Posted by ブクログ

    第26回大藪春彦賞受賞作! 希望と成長の社会派青春群像劇。

    その日、共謀罪による初めての容疑者が逮捕されようとしていた。動いたのは警視庁組織犯罪対策部。標的は、大手自動車メーカー〈ユシマ〉の若い非正規工員・矢上達也、脇隼人、秋山宏典、泉原順平。四人は完璧な監視下にあり、身柄確保は確実と思われた。と

    0
    2025年02月05日

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