福永光司の作品一覧
「福永光司」の「荘子 古代中国の実存主義」「荘子 内篇」ほか、ユーザーレビューをお届けします!
- 作者をフォローする
- フォローすると、この作者の新刊が配信された際に、お知らせします。
無料マンガ・ラノベなど、豊富なラインナップで200万冊以上配信中!
「福永光司」の「荘子 古代中国の実存主義」「荘子 内篇」ほか、ユーザーレビューをお届けします!
ビジネス・実用
Posted by ブクログ
中国古代の思想家として知られる荘子の思想を「実存」の観点から解き明かした本。
荘子は春秋戦国時代の政治闘争が人を狂わせることを激しく認識していた。生者の世界は絶望、不自由、侵略、飢餓に満ちているのだ、と。彼の哲学はそんな悲惨な時代に「それでも生きていかなければならない」ということを前提に成り立っている。
だから、孔子など儒家とは異なり、相手が凡愚、小人であっても彼らが有意義に生きることを肯定し、人間のありのままを捉えようとした。
そんな彼が理想としたのは「真人」、「至人」という存在。何ものにも囚われない知恵は「真知」であり、それを会得した人間のこと。
自分が、相手がどうであれ現状をありのままの形で受け止めて確信を持つ。他人と共にありながらも、他人に流されず、一切を受け容れる。まさにニーチェの「超人」思想の先駆けと言える思想である。
他にも、
・道徳は人間存在の実存に立脚し、機微を洞察していかなければ形骸化し、偽りとごまかしを強要するようになる。
・「世俗の人はみな己に同じきを喜び、人の己に異なるを悪(にく)む」=世間の人は、人と同じであることを喜んで、違うことを嫌う。だからこそ異なる者同士の対立と闘争がやまない。
・「兵を偃(や)めんとするは、兵を造(おこ)すの本(もと)なり」=戦争否定の議論は裏返された戦争肯定である。こういう「好戦的な平和主義」という矛盾した思想が生まれるのは、結局妄想である。
ここまで世界と、人間と真摯に向き合った思想家も史上稀有ではないだろうか。このような素晴らしい、一生をかけて体現したい思想に出会えたことに感謝する。