超絶★5 スウェーデンで発生した女性殺害事件の背景に何があるのか、憐憫と憤怒と怨恨と… #黒い錠剤
■あらすじ
スウェーデンの首都ストックホルムで女性が殺害された。一番の動機がある容疑者は、刑務所に服役中の身であったが、事件当時は仮釈放で出所をしていたのだ。主人公である女性刑事ヴァネッサが捜査を進
...続きを読むめていくが、彼は犯人ではないという女性が現れる。警察内部で捜査方針が混沌とする中、さらなる殺害事件が発生してしまい…
■きっと読みたくなるレビュー
超絶★5 この本はもっと話題になって欲しいなぁ~
ただ事件の描写や背景がドギツイので、不愉快な気分になる人もいるかもしれません。しかしそこが一番の魅力なので、ぜひ毒を飲む覚悟で読み進めてください。
本作は事件を中心に大勢の視点で物語が進行する群像劇です。しかもテンポよく次々場面展開していくので止まらなくなるんですよ。いやーおもろい。登場人物が多くて困惑しがちですが、そんな時は何度も何度も人物表を見ましょうね。(めくりやすいように、人物表ページに大きめの付箋を付けときましょう)
群像劇はいかに人が魅力的かが大事なんですが、これがしっかり書けてるのよ。主人公の女性刑事ヴァネッサなんて、超クールなんよ。真のしっかりしたギャルよろしく鬼美人で色気抜群。頭も切れて行動力もあるし腕っぷしも強い。でも、時折見せる背中が寂しい。
新聞記者のジャスミナも勇気がある女性だし、元軍人のニコラスと少女セリーヌの関係性なんて何度胸がキュンキュンしたか。
忘れちゃいけないホームレスの男女。様々な人生を経て劣悪な環境にまで落ちた二人のエピソードなんてもうっ…
そうそう、犯罪者や悪者もしっかり描けてますよ。久しぶりにこんなハッキリとしたクズを見ましたよ。クズofクズですね。
彼ら人物像もそうなんですが、なによりひとつひとつの場面で、しっかり情念が突き刺さってくるんですよ。強い単語が使われているだけでなく、センテンスの塊として厚みがありまくり。
本作メイン一番の謎解きは動機、そして犯人とそれぞれの結末。後半まで、まるで見当もついていなかったのですが、徐々に真相が見えてくると…こわっ
私には全く考えられない動機。ただ現代の優しいふりをした厳しい世の中を見てみると、なんとなく理解できてしまう。欧米で発生した事件は、数年後に日本で発生すると言いますが、本当にやめてね。
■ぜっさん推しポイント
それにしても本書のタイトル「黒い錠剤」ですか、なるほど… そして章ごとの導入に挟まれる一文の意味が分かった時、マジ怖かった。日本に住んでると平和ぼけしちゃいますね、海外ミステリーを読むといつも勉強になることばかりです。
そういえば昔、サンボマスターが主題歌を歌っていたドラマがあったなぁ。みんなに手を差し伸べてあげられる、優しい世の中になって欲しいですね。世界はそれを愛と呼ぶのでしょう。