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アナベル・リイ
一九七八年、久保田悦子はアルバイト先のスナックで、杉千佳代と出会った。舞台女優を目指す千佳代は所属する劇団で、『アナベル・リイ』のアナベル役を代理で演じるが、その演技はあまりに酷く、惨憺たるものだった。やがて、友人となった悦子に、千佳代は強く心を寄せてくる。フリーライターである飯沼と入籍し、役者の夢を諦めた千佳代は、とても幸せそうだった。だが、ある日店で顔面蒼白となり倒れ、ひと月も経たぬうちに他界してしまった。やがて、悦子が飯沼への恋心を解き放つと、千佳代の亡霊が現れるようになる。恋が進展し、幸せな日々が戻って来る予感が増すにつれて、千佳代の亡霊は色濃く、恐ろしく、悦子らの前に立ち現れるようになり――。 -
逢魔宿り
元編集者で現ホラー・ミステリ作家の「僕」のもとに、昔仕事をしたデザイナー・松尾から連絡が入った。「小説 野性時代」に連載している連作怪奇短篇について、話したいことがあるという。各短篇は、それぞれ他人から聞いた体験談を基に小説化したもので、松尾とは何も関係がないはず。訝りながら家を訪ねた「僕」に、松尾は三十年前の出来事を語りだした。それは、日課の散歩中にある四阿で出会った、怪異譚を語りたがる奇妙な一家の話であった。子供時代に山小屋で遭遇した怪異、障子に映った奇妙な影絵、宿直していた学校で起きた異変。彼らが怪異譚を語るたび、なぜか松尾の近隣で事件が多発し……。(「逢魔宿り」) ほか、「お籠りの家」「予告画」「某施設の夜警」「よびにくるもの」の4編を収録した、珠玉のホラー連作短編集。 -
忌名の如き贄るもの
忌名は、いわば生贄だと? 「この忌名は、決して他人に教えてはならん……もしも何処かで、何者かに、この忌名で呼ばれても、決して振り向いてはならん」 生名鳴(いななぎ)地方の虫くびり村に伝わる「忌名の儀礼」の最中に起きた殺人事件に名(迷)探偵刀城言耶が挑む。 人気作家の小説家を、豪華声優による朗読で楽しませてくれるライブ配信「STORY × LIVE」。今作は人気声優、大原さやかさんに朗読していただいた書き下ろし短篇「忌名に纏わる話」をきっかけに生まれた物語です。朗読劇とはまったく違う、長篇ならではの展開を、文庫でもお楽しみください。 -
ウロボロスの環
【現代文学の名手が贈る心理小説の白眉】 人生を狂わせるほどの秘密ではなかった。 ――そのはずだった。 1989年5月、彩和と俊輔の結婚を祝う会が開かれた。 前の夫を若くして亡くし、必死で幼い娘を育ててきた彩和にとって、それは人生の安泰が約束された幸福な瞬間だった。 後に、俊輔の思わぬ一面を知ることになろうとは夢にも思わず――。 綻びゆく人生における、僅かな安息。 不意におとずれる、密やかな邂逅。 廻り続ける「生」への不安を克明に描ききった、原稿1100枚に及ぶ傑作大長編。 【著者略歴】 小池真理子(こいけ・まりこ) 1952年東京都生まれ。1989年「妻の女友達」で日本推理作家協会賞(短編および連作短編集部門)を受賞。以後、95年『恋』で直木三十五賞、98年『欲望』で島清恋愛文学賞、2006年『虹の彼方』で柴田錬三郎賞、11年『無花果の森』で芸術選奨文部科学大臣賞、13年『沈黙のひと』で吉川英治文学賞、21年に日本ミステリー文学大賞を受賞。 そのほか、『無伴奏』『瑠璃の海』『望みは何と訊かれたら』『神よ憐れみたまえ』など著書多数。 -
エロスの記憶 文藝春秋「オール讀物」官能的コレクション2014
小説誌の雄『オール讀物』編集部がお贈りする、文藝とエロスの豪華絢爛コラボレーション! 近年オール讀物が掲載した、性とエロスの香り漂う創作や特集記事を再編集し、一冊にまとめたのがこの『エロスの記憶』です。まずは創作。小池真理子、桐野夏生、村山由佳、桜木紫乃、林真理子さんの女性作家陣が妍を競う一方で、野坂昭如、勝目梓、石田衣良、山田風太郎という重量級の男性作家陣も、練達の筆でときに熱く、ときにねちっこく性を描きます。 特集記事は、女優の岸惠子さん、サッカー元日本代表監督フィリップ・トルシエ氏、池田満寿夫・佐藤陽子夫妻といったバラエティ豊かな人選。渡辺淳一×弘兼憲史、東海林さだお×鹿島茂など対談も充実。「飛田新地の『写真屋』」(井上理津子)、「『フランス書院』の秘密」(北尾トロ)など、性の深淵に肉薄するルポものも満載です。 かつて小説雑誌が全盛だった昭和40年代、その一翼を担ったのが他ならぬ官能特集でした。それから半世紀近く経ちましたが、いかなる世であっても男女の仲に秘められた情理を描くのが小説の真髄。本書には、歴代オール讀物編集部がエロスの深淵を追求してきた、その熱気が横溢しています。『エロスの記憶』、どうぞお楽しみください! -
おとどけものです。―あなたに届いた6つの恐怖―(新潮文庫nex)
ある日、あなたのもとに届いた一つの箱。その中に潜むのは――わざと炎上を起こした女性の末路/隣の家に祀られた“幸せになれる”神様/部署に異動してきたいわくつきの彼女/眼球の裏側にいる何か/歯を捧げることで願いを叶えてくれる■■/謎の宗教施設で少年が見たもの……。読後、訪れるのは幸か不幸か、それとも――。時代を牽引するホラー作家たちが織り成す、無制限の恐怖。 -
怪と幽
※電子化に伴い、一部省略されたページがございます。あらかじめご了承ください。 ― 特集 横溝正史 物語を牽引する恐怖 ・インタビュー 映画『八つ墓村』新作 金田一耕助役・尾上松也+監督・清水崇 ・「怪奇好きに薦める 横溝作品案内20」若林踏 ・「横溝正史が生んだ〈名探偵〉&〈ヒロイン〉」木魚庵 ・金田一俳優インタビュー 関智一 ・エッセイ「この横溝作品が怖い」芦辺拓、綾辻行人、大槻ケンヂ、桜木紫乃、白井智之 ・寄稿「「生きうつし」への怖れ」山口直孝 ・怪談作家座談会 川奈まり子×夜馬裕×蛙坂須美×織部泰助 ・対談 中山七里×木魚庵 ・ブックガイド 木魚庵 表紙:杉本一文 特別企画 追悼 鈴木光司 ・年譜&ブックガイド 朝宮運河 ・追悼のことば 安曇潤平、綾辻行人、荒俣宏、岩井志麻子、貴志祐介、京極夏彦、澤村伊智、真藤順丈、東雅夫、牧野修 ・寄稿 『リング』編集者 堀内大示 ・遺稿 鈴木光司「一瞬の光をつかめ」 ◆特集のほか連載など多数 小説新連載:京極夏彦、梨 小説:小川洋子、有栖川有栖、月村了衛、澤村伊智 漫画:諸星大二郎、高橋葉介 論考・エッセイ:東 雅夫、村上健司×多田克己 怪談実話:加門七海、春日武彦、篠たまき、チビルマ グラビア:稲成、芳賀日出男+芳賀日向、佐藤健寿、怪食巡礼 情報コーナー:寺内康太郎×神島大輔×マライ・メントライン、押切蓮介×黒史郎、梨、大槻ケンヂ、永井紗耶子、横手夢奈(東洋文庫ミュージアム)、大石秀斗(私設図書館「夜に歩けど」)、天野行雄(日本物怪観光)、藤澤仁(第四境界)、化け通『鬼武者 Way of the Sword』 etc.… -
角川ホラー文庫ベストセレクション
1993年4月の創刊以来、わが国のホラー・エンターテインメントとともに歩んできた無二の文庫レーベル、角川ホラー文庫。その膨大な遺産の中から、時代を超えて読み継がれる名作を厳選収録したベストセレクションが登場。大学助教授の〈私〉が病院で知り合った美しい女性、由尹。ミステリアスな雰囲気をたたえた彼女は、自分の体は呪われていると告げる。ともに暮らし始めた二人だが、やがて悲劇的な事件に見舞われて……。ミステリとホラーの巨匠・綾辻行人90年代初頭に執筆した傑作「再生」をはじめ、『リング』の鈴木光司が東京湾のクルーズ船を舞台に戦慄の一夜を描いた「夢の島クルーズ」、故・今邑彩が角川ホラー文庫のために書き下ろした不穏な物件ホラー「鳥の巣」、の第72回日本推理作家協会賞に輝いた澤村伊智の学園ホラー「学校は死の匂い」など、バラエティ豊かに、ホラージャンルの面白さと可能性を示す全8編。最高にして最恐、これが日本のホラー小説だ。ホラー評論家・ライターの朝宮運河セレクション。 収録作は以下の通り。 綾辻行人 「再生」(『亀裂』、『眼球綺譚』) 鈴木光司 「夢の島クルーズ」(『仄暗い水の底から』) 井上雅彦 「よけいなものが」(『怪奇幻想短編集 異形博覧会』) 福澤徹三 「五月の陥穽」(『怪談歳時記 12か月の悪夢』) 今邑彩 「鳥の巣」(『惨劇で祝う五つの記念日 かなわぬ想い』) 岩井志麻子「依って件の如し」(『ぼっけえ、きょうてえ』) 小池真理子 「ゾフィーの手袋」(『異形のものたち』) 澤村伊智 「学校は死の匂い」(『などらきの首』) -
きみはサイコロを振らない
――人生なんて、しょせんはゲームだ。 中学時代の友人の死が忘れられず、そんな信条で日々を淡々と過ごす高校生の志崎晴(しざきはる)。 「遊ぶと死ぬ」ゲームを探しているという同級生・莉久(りく)に頼まれ、彼女と、呪いの研究をしている大学院生・葉月(はづき)と共に、不審な死を遂げたゲーマー男性の遺品を調べることに。 大量に残されたゲームをひとつずつ遊んで検証する三人。するといつのまにか晴の日常に突然〈黒い影〉が現れるように――。 〈晴くんって、実はもう呪われてない?〉 呪いのゲームはどこにあるのか? その正体と晴の呪いを解く方法は――。 -
首無の如き祟るもの
本格ミステリ×ホラー、刀城言耶シリーズ屈指の名作を初コミカライズ! 怪異“首無”の言い伝えが残る、奥多摩の因習深き郷・媛首村。一守家の使用人・斧高は、一族の嫡子・長寿郎の“十三夜参り”の儀礼を見届けようとしていた。だが、一族の安寧を祈るその夜、村に異変が起こる。それは、媛首村を恐怖に陥れる連続首無し殺人の序章に過ぎなかった――。【連載時のカラーページを完全収録!】 -
寿ぐ嫁首 怪民研に於ける記録と推理
大学生の瞳星愛は、友人の皿来唄子に誘われ、彼女の実家で行われる婚礼に参加することになる。「山神様のお告げ」で決まったというこの婚姻は、「嫁首様」なる皿来家の屋敷神の祟りを避けるため、その結婚相手から儀礼に至るまで、何もかもが風変りな趣向が施されていた。婚礼の夜、花嫁行列に加わった愛は、行列の後ろをついてくる花嫁姿のような怪しい人影を目撃する。そして披露宴を迎えようというその矢先、嫁首様を祀る巨大迷路の如き「迷宮社」の中で、奇怪な死体が発見された――。作家であり民俗学研究者、そして名探偵としても知られる刀城言耶の怪異民俗学研究室、通称「怪民研」に出入りし、言耶の助手にして素人探偵の天弓馬人と共に数々の怪異譚の謎に挑んできた愛は、皿来家分家の四郎と共に事件の謎解きに挑むことになるのだが……。 -
極楽に至る忌門
四国の山奥にある小さな村。そこには奇妙な仏像があり、大切に祀られていた。 友人・匠の帰省に付き添い、東京から村へ訪れた隼人は、村人たちの異様に冷たい空気に違和感を抱く……。 匠の祖母に優しく迎えられ、和やかな夕食の最中、「仏を近づけた」という祖母の言葉を聞いた瞬間、匠が顔色を変え、家を飛び出し――その夜、失踪。 隼人はそこから立て続けに起きる奇妙なことに巻き込まれていく。 恐ろしい土地の因縁と、怪異。 匠の祖母の言った「仏」とはなんなのか? その正体が顔を出す、第一章「頷き仏」のはじまりはじまり…… -
極楽に至る忌門
四国の山奥にある小さな村。そこには奇妙な仏像があり、大切に祀られていた。帰省する友人・匠に付き添い、東京から村を訪れた隼人は、村人たちの冷たい空気に違和感を抱く。優しく出迎えてくれた匠の祖母の心づくしの料理が並ぶなごやかな夕食の最中、「仏を近づけた」という祖母の言葉を聞いた瞬間、匠は顔色を変える。その夜、匠は失踪し、隼人は立て続けに奇妙なことに巻き込まれていくが――。東京での就職を機に村を出て、親族の死をきっかけに戻ってきた女性が知った戦慄の真実。夏休みに祖父の家にやってきた少年が遭遇した恐るべき怪異。昭和、平成、令和と3つの時代の連作中篇を通して、最強の拝み屋・物部斉清ですら止められなかった、恐ろしい土地の因縁と意外な怪異の正体が浮き彫りになっていく……。ホラー文庫30周年記念、書き下ろし作品。 -
極楽に至る忌門【分冊版】
四国の山奥にある小さな村。そこには奇妙な仏像があり、大切に祀られていた。 友人・匠の帰省に付き添い、東京から村へ訪れた隼人は、村人たちの異様に冷たい空気に違和感を抱く…。 匠の祖母に優しく迎えられ、和やかな夕食の最中、「仏を近づけた」という祖母の言葉を聞いた瞬間、匠が顔色を変え、家を飛び出し――その夜、失踪。 隼人はそこから立て続けに起きる奇妙なことに巻き込まれていく。 恐ろしい土地の因縁と、怪異。 匠の祖母の言った「仏」とはなんなのか? その正体が顔を出す、第一章「頷き仏」のはじまりはじまり…… 分冊版第1弾。 ※本作品は単行本を分割したもので、本編内容は同一のものとなります。重複購入にご注意ください。 -
午後のロマネスク
Romanesque…小池真理子の不思議な愛の物語。夜になると来訪する死んだ友。母の密やかな不倫の光景。闇に監禁される声の美しい女――懐かしさや切なさ、失われたものへの哀しみ、激しい恋が淡い色彩とともに甦ってくる、幻想とファンタジーに満ちた17篇の掌篇小説集。 -
「さあ、どんでん返しだ。」(キャンペーン8作品無料試し読み)
自信をもっておすすめできる入魂のミステリー8作品、無料試し読み版! 読み逃すのはもったいない! というミステリーが、2021年7月から10月にかけて、講談社文芸第三出版部から刊行されます。あなたがご存じの作家も、まだ読んだことのない作家も、全員入魂の8作品!全作、自信をもって、おすすめできます。 お時間少しだけいただけませんでしょうか? (収録順) 五十嵐律人『原因において自由な物語』(7月15日) 三津田信三『忌名の如き贄るもの』(7月29日) 潮谷験『時空犯』(8月19日) 似鳥鶏『推理大戦』(8月25日) 周木律『楽園のアダム』(9月3日) 麻耶雄嵩『メルカトル悪人狩り』(9月17日) 東川篤哉『居酒屋「一服亭」の四季』(9月30日) 真下みこと『あさひは失敗しない』(10月21日) *刊行日は変更の可能性もあります。 -
死相学探偵
人間に憑いた死の影を見抜く「死視」を武器に、弦矢俊一郎が世にも恐ろしい複雑怪奇な難事件に挑む! 探偵事務所を開業したばかりの俊一郎のもとを、最初の依頼人・内藤さやかが訪れる。アイドル顔負けの容姿を持つ彼女は、俊一郎に「死神の呪いを解いてほしい」と懇願する。 さやかは急逝した婚約者の遺産を巡る骨肉の争いに巻き込まれており、俊一郎が「死視」すると、彼女の体は死相に取り憑かれていた――。 「呪い」の手を借り殺人を繰り返す犯人を、 死相学探偵・弦矢俊一郎はどう追い詰める!? オカルト×本格推理。大人気ホラーミステリ、初コミカライズ第1巻! -
死の島
大手出版社を定年退職後、カルチャースクールで小説講座を持つ澤登志夫、69歳。 女性問題で妻子と別れて後も、仕事に私生活に精力的に生きてきた。 しかし、がんに侵されて余命いくばくもないことを知るとスクールを辞め、人生の終幕について準備を始める。 講座の教え子・26歳の宮島樹里は、自分の昏い記憶を認めてくれた澤を崇拝し、 傍にいることを望むが、澤はひとり冬の信州へ向かった。 澤は、最後まで自分らしく生きることができるのか。「ある方法」を決行することは可能なのか…。 プライド高く情熱的に生きてきた一人の男が、衝撃的な尊厳死を選び取るまでの内面が描きつくされ、 深い問いかけを読者に与える傑作長編。 解説・白石一文 ※この電子書籍は2018年3月に文藝春秋より刊行された単行本の文庫版を底本としています。 -
昭和史の10大事件
昭和史研究家・半藤一利氏と、ベストセラー作家の宮部みゆき氏が、「日本を変えた昭和の10大事件」を選ぶ、昭和史回顧本の決定版。 『日本のいちばん長い日』『昭和史』などで知られる半藤一利氏と、二・二六事件に材をとった歴史ミステリー『蒲生邸事件』の著者・宮部みゆき氏とが、「日本を変えた昭和の10大事件」を巡って徹底討論! 異色の顔合わせは、同じ都立隅田川高校(都立七中)の先輩後輩という間柄から 下町育ちのおふたりならではのザックバランな、歴史をネタにしたおしゃべりです。 二・二六事件や新憲法発布から、半藤氏が参加しそびれたヘルシンキオリンピック、ゴジラ出現、はては日本最初のストリップショーなど、議論は白熱、紛糾。 楽しく読むうちに、「私の10大事件はなにか?」と考えさせられます。 【目次】 1 昭和金融恐慌 2 二・二六事件 3 大政翼賛会と三国同盟 4 東京裁判と戦後改革 5 憲法第九条 6 日本初のヌードショー 7 金閣寺消失とヘルシンキ・オリンピック挑戦 8 第五福竜丸事件と『ゴジラ』 9 高度経済成長と事件――公害問題・安保騒動・新幹線開業 10 東京・埼玉連続幼女誘拐殺人事件(宮崎勤事件) -
ストロベリー・フィールズ
「僕が今、女を感じてるのは、夏子先生だけです」 出版社社長・月川の後妻となった夏子は、夫の連れ子・りえの継母として、そして自らもクリニックを開業する女医として、七年余りの月日を平穏に過ごしてきた。しかし、りえの友人でロック・バーでバイトをする青年・旬と出会い、その危険なまでの若さに触れた夏子は、目を背けてきた己の渇きに気づかされてゆく……。 ひとりの女性の陶酔と孤独を描く傑作長篇。 〈解説〉稲葉真弓 〔著者のことば〕 誰もが、あからさまに「家族」の大切さを叫ぶ時代になって久しい。「家族」は人間にとって、最小単位の砦であり、「家族愛」ほど、愛の深さにおいて意味のある、健全で価値の高いものはないと見なされている。 とてつもなく嬉しいことが起こる。真っ先に誰に知らせたいですか、と聞かれる。誰もが「両親」「夫」もしくは「妻」「子供」と答える。 その健全さは微笑ましく、未来永劫、消えることはないかのように思われて、しかし、同時に、その健全な場所でこそ、人は苛立ったり、憎んだり、絶望したり、孤独の淵をさまよったりするのである。そこに「家族」がはらむ「魔」の部分がある。 (読売新聞2009年1月13日付、連載完結インタビューより抜粋) -
ソナチネ
生と死とエロス――。著者の真骨頂! 刹那の欲望、嫉妬、別離、性の目覚め……。 著者がこれまで一貫して描き続けてきた人間存在のエロス、 生と死の根幹に迫る圧巻の短篇集。 ピアニストの佐江は、教え子の少女のホームコンサートで、 少女の叔父だという男と出逢う。 音楽堂の暗い客席で、少女の弾くソナチネのメロディに合わせるように、 佐江と男は視線を、指先をからませていく……。(「ソナチネ」) 「鍵」「木陰の家」「終の伴侶」「ソナチネ」「千年萬年」「交感」「美代や」の7編を収録。 「恋愛とはきっとこういうものなのだ。人生のあらゆる出来事に繋がっている。」(千早茜、解説より) -
月夜の森の梟
作家夫婦は病と死に向き合い、どのように過ごしたのか。残された著者は過去の記憶に苦しみ、その後を生き抜く。大反響を呼んだ朝日新聞連載のエッセイ。文庫化に際し、夫の藤田さんが亡くなってから3年10カ月、現在の心境を加筆。解説は林真理子氏。