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Posted by ブクログ
映画がよかったので原作に興味を持った。
尾行をめぐる一連の流れは映画とほぼ同じだが原作には桃子という女優が登場する。彼女と卓也の関係を疑う主人公の姿は、尾行対象者である石坂と妻、恋人の三角関係と二重写しになる。他人の秘密を覗き見るうちに自分の周囲の秘密に意識的になっていく。映画だと意味がわからなかったタイトルの意味はこれか、と合点がいった。
一方で、主人公が第二の対象者として教授を尾行するのは映画オリジナル。このエピソードのおかげで彼の孤独が浮き彫りになったと思う。原作、映画、どちらにもそれぞれのよさがある。
終盤、見る側にいた主人公が見られる側に回る、という展開はどちらも同じ。原作は恋人に、映画では教授に?
大層に聞こえる「文学的・哲学的尾行」を石坂が、生活に困らない娘の道楽的な物言いで見下すのは作品のバランスがとれていてよかった。俺にはその面白さがわからない行為だったが(自分も小学生の頃に友だちと、通りすがりの誰かを事件か何かの関係者に見立てて尾行するという探偵ごっこをした記憶はあるが)主人公は取り憑かれたか覚醒したかのようでラストは性懲りもなくまたやるのだろうことが暗示される。
石坂にせよ卓也にせよ、主人公があれこれ妄想するより現実はずっと陳腐だった、というのがいい。
Posted by ブクログ
「文学的・哲学的尾行」の物語。
この話を読んで、実際に全く知らない人を、
ただただ尾行する楽しさは確かにありそうだなと感じた。
人の生活の一部を安全な場所で覗き見ることは
好奇心をそそられ、若干の優越感を得られると思う。
「結局のところ、人は秘密が好きなのだ。
彼が失いたくないのは、特定の誰か、ではなく、秘密そのものなのではないだろうか。」
このフレーズは、秘密を抱えた人間は誰しも少しは考えることではないかと思った。
秘密を抱えている人間は相手に対して猜疑心を持ちやすくなったり、
尾行相手と自分の取り巻く環境の共通点を見出すと、自分は同じルートを辿っているのではないかと不安にかられるという点は、納得できるものがありました。
結末がどうなるかハラハラして最後まで一気に読めました。
人間の知りたいという好奇心をついた興味深い作品でした。
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