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水面の弔花
イングランド北東部、ノーサンバーランド州。ある夏の夜、楽しい外出から帰宅したジュリーが見つけたのは、死体となった息子ルークだった。絞殺された彼の亡骸は浴槽の中に沈められ、水面には野の花々が浮かべられていた。友人を水難事故で喪って心を病み、数週間前に退院したばかりの少年がなぜ? 頑固で偏屈だが有能な地元署の名物警部ヴェラ・スタンホープが捜査を進めるうち、海辺で新たな他殺死体が発見される――大人気ドラマ「ヴェラ~信念の女警部~」原作にして、著者クリーヴスの名を一躍高めた傑作ミステリ・シリーズ、ついに邦訳。/解説=三橋曉 -
水面の花火と君の嘘
【電子版巻末にはフライ先生によるカバー用イラストをそのまま収録!】 大学1年生の早瀬瑞希は、久しぶりに帰郷する。 温かく迎えてくれる旧友に囲まれる瑞希だったが、彼には4年間抱き続ける後悔があった。 それは幼馴染の夏帆、大好きだった兄・千尋と三人で交わし、果たされなかったある約束……。 あの日、自分が素直であれば、と悔やみ続ける瑞希は中学生の頃に先生から聞かされた『とっておきの秘密』を思い出す――。 大切な人の笑顔を懸けたタイムスリップの果てに、瑞希が手に入れるものとは!? ちょっとした不思議な出来事が大きな奇跡を引き起こす! この夏、大切な人と読むべき感動のストーリー。 -
見習い園長のもふもふ日誌 ペンギンとはじめる動物園経営
物心ついた頃から動物の言葉がわかる矢守朱音は、その不思議な力に悩まされることも多く、動物と触れ合うことを避けて生きてきた。しかし体調を崩した祖父に代わり、期間限定で動物園「モリモリアニマルパーク」の園長代理を務めることになる。出勤初日、事務所で待っていたのは、なぜかソロバンを抱えたペンギン。しかも現在大赤字で、「半年で十五万人の来園がなければ、この動物園は終わりだ」と告げられて――。ドSなペンギンに気の弱いライオン、のんびり屋さんのイヌワシや風来坊のチンチラなどなど、個性豊かな動物たちと見習い園長が贈る、笑って泣ける動物園再生ストーリー! -
見習い神主と狐神使のあやかし交渉譚
七ツ星稲荷神社で見習い神主として家業を手伝う水主村勉――通称トムはどこにでもいる普通の高校生。だが、「わし、狐だったんや」という言葉を遺して亡くなった祖父のせいで、トムの平和な日常は脅かされることになる。ある晩、トムがあやかしと呼ばれる不可解な存在に襲われかけたとき、不思議な雰囲気の少女に出会う。彼女は神社入口にあるペアの狐像の片割れだと言ってきて――。 謎の事件に見習い神主とケモミミ神使が挑む! -
見習い警官殺し
死体の第一発見者は、早朝の犬の散歩から戻ってきたマンションの住人だった。被害者の名はリンダ、母親のマンションの部屋に滞在していた警察大学の学生だ。彼女は強姦されたうえ絞殺されていた。県警本部長は腕利き揃いの国家犯罪捜査局の殺人捜査特別班に応援を要請する。それに応じて派遣されたのはエーヴェルト・ベックストレーム警部、伝説の国家殺人班の中では、少々外れた存在だ。現地に入ったベックストレーム率いる捜査チームは、早速捜査を開始する。CWA賞・ガラスの鍵賞など5冠に輝く『許されざる者』の著者の最新シリーズ第1弾。 -
見習い巫女と不良神主が、世界を救うとか救わないとか。
◆◇◆◇◆謎の美青年・神威との出会いから、お守りの“鳴らない鈴”が警告の音を響かせ…? 少女・世莉の運命が巡る!◆◇◆◇◆ 世莉(せり)の高校に転校してきた美青年・御巫神威(みかなぎ かむい)。彼に憧れる女子生徒が多い中、世莉だけは違和感を感じ取る。銀髪なんて怖い……。 しかし、友人は彼を黒髪だと言い、お守り代わりの”鳴らない鈴”は警告するように鳴り響く。 その神威が世莉の暮らす神社に現れた夜。ご神体として祀られていた剣の鞘が、事故で世莉の身体に同化してしまう! 実は神々を鎮める”神主”だという神威。剣と共鳴する世莉は、その力を狙う者から保護されるかわりに、神威が求める神剣のカケラ”玉鋼(たまはがね)”集めに協力することに――。 【少女・世莉は仮そめの巫女となり、神話の剣と運命を見出す!】 -
みにくいふたり
異国の地で出逢った美しい少女。だが、憧れの彼女は人ではなかった。 この恋は、人を殺す。 最注目の気鋭が放つ、異形の恋愛ホラー長編! 交換留学で台湾を訪れた女子高生・緑川芽衣。優等生の詠晴に学校を案内され、 クラスメイトとも打ち解け始めた矢先、無人の教室で怪しい気配に遭遇する。 その夜、自室に現れたのは、美しい容姿を持ちながら、強烈な不快感を与える不思議な少女、恵君だった。 彼女との交流を始めた芽衣は、ある事件に巻き込まれて帰国を余儀なくされる。 時が経ち、辛い結婚生活を送る芽衣の元に、台湾にいるはずの詠晴から「気を付けて」と書かれた手紙が届き……。 【目次】 第一章 虫がいい話 第二章 悪い虫がつく 第三章 虫を起こす 第四章 虫が起こる 第五章 飛んで火に入る夏の虫 第六章 虫を殺す エピローグ 装画/たけもとあかる 装幀/円と球 -
ミニシアターの六人
上映最終日前日、午後四時五十分の回の奇跡。 銀座のミニシアターで、二年前に亡くなった末永静男監督の追悼上映が行われている。二十一年前に公開された『夜、街の隙間』、上映は一週間だけ。最終日前日、午後四時五十分の回。天気は雨、観客は六人だった。 この映画館で働いていた三輪善乃は、公開当時にチケット売場の窓口にいた。山下春子にとっては、大学の同級生と成り行きで観に行った作品だ。自主映画を撮っていた安尾昇治は、末永のデビュー作でその才能を目の当たりにし、道を諦めた過去がある。沢田英和は、この作品に元恋人との苦い思い出があった。誕生日デートのはずだった川越小夏は、一人でスクリーンを眺めている。映画監督を目指す本木洋央は、生物学上の父親が撮った作品を観に来ていた……。 観客たちの人生と、『夜、街の隙間』のストーリーを行き来しながら、出会いとすれ違い、別れを繰り返す日々の中にある奇跡を鮮やかに描く。 『ひと』『まち』『いえ』の著者が、銀座という街とミニシアター、そこに集う人々、そして映画への愛を描き切った渾身の人生讃歌。 限られた人生の中で「映画」と出会えた幸福を、この小説はあらためて教えてくれた。 ──脚本家・向井康介さん(解説より) ※この作品は過去に単行本として配信されていた『ミニシアターの六人』 の文庫版となります。 -
ミニチュア作家
1686年秋、アムステルダム。18歳のネラは、裕福な商人ヨハンネス・ブラントの妻としてこの繁栄する都市へやってきた。新生活への期待に胸をふくらませつつも、待っていたのは、婚家の富に戸惑い、辛辣な年上の義妹マーリンに反発し、不在がちの夫に落胆する日々だった。しかし、夫からの結婚祝いである豪奢なドールハウスがそんな生活を変えた。なぜか新しい家族に生き写しの人形たちに導かれるようにして、屋敷が抱く秘密を知ったネラは、行く手にひそむ危険に気づくが…。黄金時代のオランダの光と影を描き上げ、刊行前から世界の出版界の話題を独占した驚異のデビュー作。全英図書賞受賞作。 -
ミネルヴァの梟
人生の激流に身を投じても、誠実に生きようとした男の物語。 高度経済成長期、祖父が教育者と政治家という華々しい家系に生まれた渉太郎。しかし父の事業失敗を機に、裕福な暮らしは一変してしまう。 「自分で商いをせず、企業人として成功を収めてほしい」。そんな母の願いを胸に刻んで勉学に励み、世界的なメーカーに就職した彼は、あるとき各国要人ともつながりのある会長に見い出され、秘書まで昇りつめる。そしてついには、その有能ぶりから政界進出の打診を受けることに――。 目まぐるしく変化する境遇を受容し、努力を続けてきた男の選んだ道の先には、一体何が待ち受けているのか。ひたむきな生き方に心揺さぶられる自伝的小説。 〈筆者紹介〉 御田観月(みたかんげつ) 横浜市出身。早稲田大学大学院法学研究科修了。企業勤務の後、教育界に転身。茶道裏千家淡交会所属。学校茶道に精通し、茶道の振興に尽力する。オルゴールと世界のホテル、エアラインの便箋・封筒収集が趣味。読売教育賞など受賞。 -
ミネルヴァの報復
20年ぶりに会う大学の先輩である辻堂から、妻が離婚に応じないと相談された弁護士の横手皐月。辻堂は愛人のマンションに転がりこみ、ヒモ同然の暮らしをしていた。妻の弁護士からは、愛人が妻に嫌がらせをしてきたとの連絡が。愛人からは妻から損害賠償請求が来たため、正式に横手に弁護依頼をしてきた。ところが、裁判の直前に依頼人である愛人が失踪。さらに妻が弁護士会館で何者かに殺されてしまう。辻堂と妻と愛人の三角関係。二転三転する事件。弱った横手は友人である弁護士・睦木怜に相談する。果たして彼女は真相にたどり着けるのか。 元弁護士の著者だからこそ描ける弁護士業界の奥の奥。読者の予想を裏切り続ける作家・深木章子の最高傑作がついに文庫化。推理作家協会賞候補作、傑作本格ミステリ。 -
美濃淡墨桜殺人事件
巨大企業となった道浦食品では、創業家の道浦家と叔父で社長の多岐川濤一郎とで、後継者を巡る派閥争いが静かに勃発していた。 その大きな原因は、道浦家のひとり娘・碧が、家業を継ぐべき立場にもかかわらず、工業デザイナーになるといって、3年前イタリア・ミラノにひとりで勝手に行ったためだった。 そんな折、母であり道浦食品会長の真佐子が末期ガンに冒されていると、ミラノまでわざわざ知らせに来た者があった。 そして間もなく、母の死を知らせる電話が日本から届いた。 ところが、死因はガンではなく、毒殺の疑いが濃厚ということだった……。 碧は急きょ、帰国したが、数々の罠が待ち受けていた。 -
ミノタウロス現象
近い将来、人類はこの怪物に駆逐されるのか。そんな世界で、不可能犯罪が起こった。 目の前には三メートル超えの怪物、背後には震える少年。好感度を何よりも重視する史上最年少市長・利根川翼は、人生最大のピンチに陥っていた。だが、その危機からの脱出直後、「異様な死体」が発見される――。容疑者の一人になってしまった翼は、自身の疑惑を晴らすために謎解きを始める。『スイッチ 悪意の実験』『時空犯』で話題の新鋭が挑む、渾身の本格ミステリ。 〈著者・潮谷験さんからのメッセージ〉 この現代に突然、ファンタジーに登場するような怪物が現れたら、社会はどんな風に変わるだろう? しかも一体や二体ではなく、とんでもない数だったら? そんな空想を膨らませて書き上げた作品です。楽しんでいただけましたら幸いです。 -
ミハスの落日
スペインはミハスに住まう大富豪に突如呼び寄せられた青年、ジュアン。面識もない老紳士が語るのはジュアンの亡き母との苦い記憶だった。三十年の月日を隔てて密室殺人の謎が明かされる表題作の他、青年と警察の視点で綴るストックホルムの悲劇的な殺人、疑惑の未亡人を探るサンフランシスコの保険調査員、ジャカルタで発生した連続娼婦殺人事件、カイロを訪れたアメリカ人美女の秘密など、ストーリーテリングの名手が異国を舞台にその土地で生きる人々の悲痛な叫びをすくい取る。あまねく襲う衝撃の結末が深い余韻を残す、至高のミステリ全5編。/解説=村上貴史 -
見果てぬ王道
孫文を支え続けた日本人実業家の、スケール感溢れる一代記 映画事業で大成功をおさめ、その資金で革命家・孫文を支援し続けた梅屋庄吉。その情熱と葛藤、国境を越えた友情を直木賞作家が描く。 長崎の貿易商・梅屋商店の跡継ぎとして育った庄吉は、香港で写真館を経営する。そこで出会ったのが、清朝を打倒し、西洋の武力支配からの自立を目指す若き孫文だった。西洋列強による東洋の侵略に理不尽を感じていた庄吉は、孫文の情熱を知り、革命を支援することを約束する。庄吉はやがて、日活の前身となるMパテー商会を創立。黎明期の映画事業は大成功を収め、その資金で革命を支援し続ける。 実業家・梅屋庄吉の熱き生涯! -
未・フレンズ
「心きれい」なんて言わないで! 『非・バランス』の著者が描く「友だちって何?」――もし私だったら、そんなふうに生き残りたくないと深澄(みすみ)は思う。自分からまっすぐに矢のように落ちていく……。小さいときから「仕事ニンゲン」の両親に自立を強いられて育ち、15歳になった深澄。お嬢様学校になじめず、いつも不機嫌な毎日を送っていたが、ある日、街はずれの崖の上で不思議な異国の少女に出会う。友だちになろうとする二人の前に、お金、親子、学校、仕事……大人たちの世界が冷たく立ちはだかる。 ◎「自分は、やっぱりひ弱なんだろうなと、ちょっと恥ずかしい。でも、ひ弱な人間も、生きていかなくちゃいけない。だからこそ、もう少し重なりたい。もうちょっとだけ、つながりたい。」<あとがきより> -
身分帳
映画監督西川美和が惚れ込んで映画化権を取得した、 『復讐するは我にあり』で知られる佐木隆三渾身の人間ドラマ! 映画『すばらしき世界』(2021年2月公開)原案。 復刊にあたって、西川美和監督が書き下ろした解説を収録。 人生の大半を獄中で過ごした前科10犯の男が、極寒の刑務所から満期で出所した。 身寄りのない無骨者が、人生を再スタートしようと東京に出て、職探しを始めるが、 世間のルールに従うことができず、衝突と挫折の連続に戸惑う。 刑務所から出て歩き始めた自由な世界は、地獄か、あるいは。 伊藤整賞を受賞した傑作ノンフィクション・ノベル。 -
ミミズクとオリーブ・シリーズ
八王子の郊外に住む作家のぼくのもとへ、大学時代の友人が相談にやってきた。謎めいた文言の並ぶ書き置きを遺して、奥さんが家出したという。自慢の手料理を供しながら友人の話を聞いていたぼくの妻は、たちまち奥さんの所在を突き止めてしまった。さらに、高校時代の友人で刑事をしている河田の自慢話を聞いているうちに、女社長殺しの捜査のミスを見つけたばかりか、事件の真相をも言い当ててしまう……。ひょっとしてぼくの妻は、料理の腕前ばかりでなく、推理能力にも長けているのだろうか?! 直木賞作家が安楽椅子探偵ものの歴史に新しい一ページを切り拓いたシリーズ第一弾!/【目次】ミミズクとオリーブ/紅い珊瑚の耳飾り/おとといのおとふ/梅見月/姫鏡台/寿留女/ずずばな/*本電子書籍は『ミミズクとオリーブ』(創元推理文庫 新装版 2025年1月30日初版発行)を底本としています。 -
ミミズクと夜の王 完全版
紅玉いづきデビュー15周年記念・3か月連続刊行【第1弾】 伝説は、夜の森と共に――。完全版が紡ぐ新しい始まり。 魔物のはびこる夜の森に、一人の少女が訪れる。額には「332」の焼き印、両手両足には外されることのない鎖。自らをミミズクと名乗る少女は、美しき魔物の王にその身を差し出す。願いはたった、一つだけ。「あたしのこと、食べてくれませんかぁ」 死にたがりやのミミズクと、人間嫌いの夜の王。全ての始まりは、美しい月夜だった。それは、絶望の果てからはじまる小さな少女の崩壊と再生の物語。 加筆修正の末、ある結末に辿り着いた外伝『鳥籠巫女と聖剣の騎士』を併録。 15年前、第13回電撃小説大賞《大賞》を受賞し、数多の少年少女と少女の心を持つ大人達の魂に触れた伝説の物語が、完全版で甦る。 -
「耳読(ミミドク)」で、もっと読めるようになる! あなたにそっと教える、読書時間を3倍に増やす方法
「本を読むのが面倒くさい」 「たくさんの文字を読むのが疲れる」 「忙しくて本を読む時間がない」 本書でご紹介する「耳読」は、これらの悩みを解消できるまったく新しい読書方法です。 「耳読」とは、読んで字のごとく「耳で本を読むこと」です。つまり、音声化されたコンテンツを聴くことで、目で読むのと同じ情報をインプットすることができるのです。 ●すき間時間を活用できる! 満員電車での通勤や車での運転中、ランニングなどの運動中、入浴中など、目や手はその作業でふさがっています。でも、耳は空いています。こうした一見何もできないようなすき間時間に「耳読」をすることによって、読書時間はあっという間に3倍に。 ●目を休めることができる! テレビを観たり、新聞や書類を読んだり、わたしたちは一日中目を使っています。パソコンやスマートフォンの普及によって、さらに目を酷使する時間は増えています。目をいじめるのはそれくらいにして、もっと耳を活用しましょう。目を閉じて本を読みましょう。 ●「耳読」ツールや利用方法満載! でも、どうやってはじめればいいの?という方向けに、本書では、音声コンテンツの種類、入手方法、使い方、便利なツール、オススメのコンテンツなど、初心者が必要とする情報を網羅しています。巻末資料には図解付き解説も。 日本最大のオーディオブック(音声コンテンツ)サイト配信サービスの若き会長が教える「耳活用術」超入門! -
耳なし芳一のカセットテープ
なんで誰も、この話(怪談)を知らないんだ? これは、実話を元にしたホラー……。 1980年代、人気ラジオ番組を録音していた男子高校生のラジカセから突然流れてきた、「耳なし芳一」の琵琶語り。その後このカセットテープを聞いた人には、次々と不幸が訪れた――。【耳なし芳一のカセットテープ】は、テレビでも取り上げられたほど有名な実話怪談のはずだった。なのに、誰も知らない。不思議に思い調べ始めた怪談師・馬代融が出会うのは、奇妙な偶然、とある冥婚の風習、そして強烈な悪意。果たして、この物語の行きつく先とは? 現実と物語が交差する、最恐の読書体験。 -
耳に棲むもの
耳の中に棲む私の最初の友だちは 涙を音符にして、とても親密な演奏をしてくれるのです。 補聴器のセールスマンだった父の骨壺から出てきた四つの耳の骨(カルテット)。 あたたかく、ときに禍々しく、 静かに光を放つようにつづられた珠玉の最新作品集。 オタワ映画祭VR部門最優秀賞・アヌシー映画祭公式出品 世界を席巻したVRアニメから生まれた「もう一つの物語」 「骨壺のカルテット」 補聴器のセールスマンだった父は、いつも古びたクッキー缶を持ち歩いていた。亡くなった父の骨壺と共に、私は親しかった耳鼻科の院長先生のもとを訪ねる。 「耳たぶに触れる」 収穫祭の“早泣き競争”に出場した男は、思わず写真に撮りたくなる特別な耳をもっていた。補聴器が納まったトランクに、男は掘り出したダンゴムシの死骸を収める。 「今日は小鳥の日」 小鳥ブローチのサイズは、実物の三分の一でなければなりません。嘴と爪は本物を用います。 残念ながら、もう一つも残っておりませんが。 「踊りましょうよ」 補聴器のメンテナンスと顧客とのお喋りを終えると、セールスマンさんはこっそり人工池に向かう。そこには“世界で最も釣り合いのとれた耳”をもつ彼女がいた。 「選鉱場とラッパ」 少年は、輪投げの景品のラッパが欲しかった。「どうか僕のラッパを誰かが持って帰ったりしませんように……」。お祭りの最終日、問題が発生する。 -
未明の闘争 オーサーズ・カット
1990年、日本のバブル景気崩壊と前後して、これまでの文学作品と一線を画した作風の『プレーンソング』で出現した小説家保坂和志。 その後芥川賞など数々の文学賞を受賞しつつ、小説とはどのようなものかを思考しつづけた作家が2013年に満を持して世に問うた長篇『未明の闘争』は野間文芸賞を受賞。 この作品で、作者は底流としてある「思考の流れ」に思いつくかぎりのエピソードを乗せ、たゆたわせている。 それらを読んでいくことはとても楽しく気持ちが良い。しかし、読みすすめるうちになにかを深く考えざるをえない気持ちになってくる……。 そのような稀有な体験を読者に味わわせてくれる小説である『未明の闘争』の本質を損なうことなく、そのエッセンスを再構成したダイジェスト版をここに刊行する。 -
未明の砦
その日、共謀罪による初めての容疑者が逮捕されようとしていた。動いたのは警視庁組織犯罪対策部。標的は、大手自動車メーカー〈ユシマ〉の若い非正規工員・矢上達也、脇隼人、秋山宏典、泉原順平。四人は完璧な監視下にあり、身柄確保は確実と思われた。ところが突如発生した火災の混乱に乗じて四人は逃亡する。誰かが彼らに警察の動きを伝えたのだ。所轄の刑事・薮下は、この逮捕劇には裏があると読んで独自に捜査を開始。一方、散り散りに逃亡した四人は、ひとつの場所を目指していた。千葉県の笛ヶ浜にある〈夏の家〉だ。そこで過ごした夏期休暇こそが、すべての発端だった――。 自分の生きる社会はもちろん、自分の人生も自分で思うようにはできない。見知らぬ多くの人々の行為や思惑が作用し合って現実が動いていく。だからこそ、それぞれが最善を尽くすほかないのだ。共謀罪始動の真相を追う薮下。この国をもはや沈みゆく船と考え、超法規的な手段で一変させようと試みるキャリア官僚。心を病んだ小学生時代の友人を見舞っては、噛み合わない会話を続ける日夏康章。怒りと欲望、信頼と打算、野心と矜持。それぞれの思いが交錯する。逃亡のさなか、四人が決意した最後の実力行使の手段とは――。 最注目作家・太田愛が描く、瑞々しくも切実な希望と成長の社会派青春群像劇。 -
宮尾登美子 電子全集
宮尾文学の原点ともいえる2作品を収録。付録は檀ふみインタビュー、川村湊の解説、プライベート写真ほか創刊を飾る企画満載! 『櫂』は大正から昭和初期にかけての土佐の花街を舞台にした、自伝的作品。宮尾が恥としてきた家業、生い立ちをモチーフに土佐の風土や気質を織り交ぜながら、練り上げられた文体で情愛を込めて書き上げた。 『岩伍覚え書』は父親の死後に見つかった日記を基に書かれた短篇集で、「三日月次郎一件について」「すぼ抜きについて」「満州往来について」「博徒あしらいについて」の4作品を収録。 付録は、著者と親交のあった女優・檀ふみインタビュー、当全集の監修者でもある文芸評論家・川村湊の解説、特集・写真で見る 高知の今昔、連載・宮尾登美子写真館、高知観光案内、DVD紹介などの企画で人気女流作家の根幹を探っていく。 ※この作品にはカラー写真が含まれます。 -
宮城の怖い話―杜の都に魔が巣食う―
新たな怪異を収集するために、杜の都に降り立った二人の怪談作家。芋煮、すずめ踊り、ずんだ餅のお供え物……、宮城の日常習慣に潜む恐怖を一挙収録! 【あらすじ】 ●ご利益(三居沢不動尊) 宮城を代表するパワースポットに参拝に向かった二人のOLは奇怪な出来事に遭遇する。街に戻って安心を得ようとした彼女たちだが、その後さらなる恐怖を体験するのだ。 ●空白(葛岡墓園) 霊園に伝わる怪異を実証するために集まった数名の中学生。実験を行った一人の少年は、帰宅後に自らが異界に迷い込んでいたことを知った。 ●母娘(与兵衛沼) 湖を優雅にただよっていた白鳥たちが突然飛び立った!その光景を目にした女性は、母娘の姿を目撃する。鳥たちは霊気を感じることができるのかもしれない……。 -
都に夜のある如く
第一回芥川賞候補にもなった、昭和を代表する作家高見順による長編小説。 (※本書は1985/7/1に発売された書籍を電子化したものです) -
宮崎怪談
神々が住まい怪異が蠢く宮崎県の怖い話 地元の怪談作家が宮崎県各地の〈怪〉を徹底取材! かつて神々が降り立った神話の里・宮崎県に潜む不思議と恐怖譚を集めたご当地怪談集 高千穂の空に浮かぶ未確認飛行物体 宮崎市内のトンネルで憑く怪異 怪奇現象が多発する延岡の家 都城各地でも目撃される光球・火柱の謎 県内各地で頻発する河童・妖怪目撃談 日向市に実在する最恐心霊スポット 天孫降臨の地であり神々が住まい妖怪蠢く宮崎県。その怪異譚を地元在住の怪談作家がまとめあげる宮崎のご当地怪談集。 ・高千穂のとある橋から谷底へ生者をいざなう怨霊「境」 ・宮崎市の繁華街ニシタチで拾った呪物の正体「原因」 ・綾町の某所で謎の異界に迷い込む「その日は朝から」 ――などに加え、県内各地の河童伝承と目撃談や神話伝承地に伝わる怪異譚のほか、親族の墓の手入れを頼まれたことを契機に数奇な運命に翻弄される男性に密着した長編「墓を守る」を収録した特別章など宮崎の怪談を余すことなく収録した決定版! -
宮沢賢治きのこ文学集成
とりて来し 白ききのこを見てあれば なみだながるる 寄宿のゆうべ “日本を代表するきのこ文学者”宮沢賢治の短歌・詩・小説・童話を集成! 『泉鏡花きのこ文学集成』に続く、「きのこ文学」シリーズ第二弾! その魅力を説く「編者解説 きのこ文学者としての宮沢賢治」付! 楢夫(ならお)は夕方、裏の大きな栗の木の下に行きました。其(そ)の幹の、丁度(ちょうど)楢夫の目位高い所に、白いきのこが三つできていました。まん中のは大きく、両がわの二つはずっと小さく、そして少し低いのでした。 楢夫は、じっとそれを眺めて、ひとりごとを言いました。 「ははあ、これがさるのこしかけだ。けれどもこいつへ腰をかけるようなやつなら、ずいぶん小さな猿だ。そして、まん中にかけるのがきっと小猿の大将で、両わきにかけるのは、ただの兵隊にちがいない。いくら小猿の大将が威張(いば)ったって、僕のにぎりこぶしの位もないのだ。どんな顔をしているか、一ぺん見てやりたいもんだ」 そしたら、きのこの上に、ひょっこり三疋(さんびき)の小猿があらわれて腰掛けました。(「さるのこしかけ」より) 【内容目次】 短歌四首 詩:何をやっても間に合わない/休息/おい けとばすな/スタンレー探検隊に対する二人のコンゴー土人の演説/秘境/林と思想 小説・童話 さるのこしかけ/三人兄弟の医者と北守将軍/あけがた/車/ビジテリアン大祭/税務署長の冒険(抄録)/谷/二人の役人/どんぐりと山猫/狼森と笊森、盗森/鹿踊りのはじまり/土神ときつね/朝に就ての童話的構図 編者解説 きのこ文学者としての宮沢賢治 飯沢耕太郎 【著者プロフィール】 宮沢 賢治 (ミヤザワ ケンジ) (著) 1896年岩手県花巻生まれ。盛岡高等農林学校(現岩手大学農学部)卒業。1921年から花巻農学校で教諭を務める。1926年に退職し、羅須地人協会を設立、農業技術指導などを行なうが、1928年に過労で倒れ、以後は療養生活を続けながら執筆活動を行なう。1933年9月21日没。享年37。生前に刊行された単著は、詩集『春と修羅』(1924)、童話集『注文の多い料理店』(1924)のみであったが、1934~35年には文圃堂から全3巻の全集が、1939~44年には十字屋書店から全6巻+別巻1の全集が刊行された。戦後も筑摩書房から数次にわたって全集が刊行されている。 飯沢 耕太郎 (イイザワ コウタロウ) (編) 1954年生まれ。写真評論家、きのこ文学研究家。きのこ関連の著書に、『世界のキノコ切手』(プチグラパブリッシング、2007)、『きのこ文学大全』(平凡社新書、2008)、『マジカル・ミステリアス・マッシュルーム・ツアー』(東京キララ社、2010)、『きのこのチカラ きのこ的生き方のすすめ』(マガジンハウス、2011)、『フングス・マギクス 精選きのこ文学渉猟』(東洋書林、2012)など、編書に、『きのこ文学名作選』(港の人、2010)、『きのこ文学ワンダーランド』(共著、DU BOOKS、2013)、『世界のかわいいきのこデザイン』(共著、DU BOOKS、2016)、『きのこ漫画名作選』(Pヴァイン、2016)、『泉鏡花きのこ文学集成』(作品社、2024)など、監修に、玉木えみ『少女系きのこ図鑑』(DU BOOKS、2013)、玉木えみ『増殖・少女系きのこ図鑑』(DU BOOKS、2015)などがある。
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