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Posted by ブクログ
連作の7篇。それぞれ、世界が滅亡に向かいつつある時に、世界のどっかで起こった小さなドラマを語る。各作品の冒頭には、よく知られた日本昔話の梗概。最初はなんで?と思うが、これがのちのちボディブローのように効いてくる。
7篇の間には、登場人物の名前が似ていたり、状況が酷似していたりと、通底する部分がある。でも、完全につながるわけではない。そのすれ違いが、もどかしさとも懐かしさとも愛おしさともつかない不思議な余韻を醸し出している。
たとえば最後の章はいかにもSFらしいタイトル、「懐かしき川べりの町の物語せよ」。なぜ主人公は神保百助、助っ人は、僕、有馬、鳥子の3人なのか。ストーリーテラー、三浦しをんの力量を見せつけられる。
Posted by ブクログ
ラブレス (かぐや姫)
ロケットの思い出 (花咲か爺)
ディスタンス (天女の羽衣)
入江は緑 (浦島太郎)
たどりつくまで (鉢かづき)
花 (猿婿入り)
懐かしき川べりの町の物語せよ (桃太郎)
の7編から成っていて「現代ならこんな話に成り得る」といった感じで書かれている(と思って読み始める)。
それぞれが独立した短編集と思いきや、なんとなく関連した背景思想がある長編小説ともいえる。
これらの昔話を知らなくても最初の1ページで概要が示されているので心配ない。
私は、天女の羽衣、鉢かづき、猿婿入りの3つは知らなかった。
知ってるつもりの話も実は曖昧な記憶しかないが、昔話と本作品のつながりは殆どないので知らなくても良い。
あと数か月で死ぬことが分かった時、人はどのように振舞うか?
この問いを自分に当てはめて考えてみるのも良いと思う。
「3か月後に巨大な隕石が地球に衝突する」場合、死ぬのは自分だけでなく地球人全員。
他人は元気だが自分だけ死ぬのではないし、その逆でもない。
だれも生き残らない。
こうなると、働くことに意味がなくなるので、あたりまえにできていた日常生活ができなくなるだろう。
バスも電車も動かないし、飛行機やトラックやタクシーも止まる。
物流が止まるので、すぐに物資が不足し買い物ができなくなる。
水や電気も供給が止まるかもしれない。
これは大変だ。
社会のそこら中で暴動が起きそうだ。
巨大な隕石が地球に衝突する前に、人間社会はボロボロになりそう。
現実の日常は、いつでも電車は動いているし、のどが渇いたらお茶でもコーヒーでも飲める。
汗をかいたらシャワーを浴びて、エアコンで部屋を涼しくして寝ることもできる。
昨日も今日も変化の少ない日常が繰り返されることは幸せなのだな。
当たり前で普通にできることだと思っていることは、実はいろんな人がそのために働いているからなんだ。
三浦しをんさんの小説は、現実の社会の中で生きる人たちの葛藤を描いたものが中心だと思うが、本作品には非日常的な要素がある。
かぐや姫にせよ浦島太郎にせよ桃太郎にせよSF的な設定だから、この「むかしのはなし」もそうしたのだろう。
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