「ここも一応、東京なんだがな」と言われてしまう“まほろ市”は、東京のはずれの大きな町だ。まほろ駅前で、ひとり便利屋を営む多田啓介のもとに、高校の同級生・行天春彦が転がりこんだ。高校時代、教室でただ1回しか口を開かなかった、ひょろ長い変人だ。ペットあずかりに子どもの塾の送迎、納屋の整理…ありふれた依頼なのに、行天が来てからは、やたらきな臭い状況に追い込まれるハメに。さて、本日のご依頼は? 多田・行天の魅力が全開の、第135回直木賞受賞作。
Posted by ブクログ 2023年04月23日
かつて熱く燃え、いつの日か冷たくなってしまったものでも、私たちの中に刻み込まれている。痛みは時間が経てば消えるのに、どうしても傷跡は消えない、そういう類の哀しみが生きていく上ではつきまとう。でもそれが生きることの意味なのかもしれない。なにも起こらず進めることが幸せなんかじゃない、絶望から生まれる希望...続きを読む
Posted by ブクログ 2023年02月04日
なんでも屋を営む主人公とその相棒が様々な事件を解決するというありきたりなストーリーだが、それを超える面白さがあった。
文章、ストーリー、キャラクターの全てが快活で、物語の随所に散りばめられたちょっとした謎がアクセントになってドンドン読み進められる。
登場キャラもいい意味で小説らしくなく、非常に個...続きを読む
Posted by ブクログ 2023年01月22日
まるで、長いようでいて、あっという間の旅、ロードムービーを味わった感覚になりました。
主人公は、便利屋を営む多田。職を失い住むところもなくした行天。ひょんなことから再会した高校時代の同級生2人に、次々と舞い込む仕事は、
母親の見舞いの代理、ペットの預かり、庭と納屋の掃除、塾の迎え、身辺警護に、身...続きを読む
Posted by ブクログ 2022年11月19日
三浦しをんさんの文章が本当に好きすぎるー
誰かに必要とされるってことは誰かの希望になるってことだ、と人と関わらない高校生活を送った行天が言って。
でも誰かと共に生きる選択をすることは時に残酷や悲しみ、絶望にも繋がると多田の過去が物語ってて。
やり直しはできないけどそれでも幸せは再生できる、知ろうとせ...続きを読む
Posted by ブクログ 2022年09月22日
なんとなく点けていたテレビで、なんとなく観てしまった深夜ドラマの原作。独特の世界観は、映像でもよく表現されてはいたが、できれば自分の頭の中だけのものにしておきたかったと残念に思うほど、知らないうちに引き込まれ、いつの間にか同じ空間・同じ時間に存在しているかのような感覚になっていた。巻き込まれているの...続きを読む
Posted by ブクログ 2022年07月30日
まほろシリーズ第一弾。第135回直木賞受賞作。東京の外れに位置する都市南西部最大の町「まひろ市」便利屋を営む多田のもとに高校時代の同級生の行天が転がり込む。ぶっきらぼうだけどどこか心優しい便利屋の二人によるワケありだがユーモア溢れ、心温まる「幸福の再生」のお話。
ドラマと映画では多田を「瑛太」、行...続きを読む
過去に悲しみを抱える二人のおじさんが一緒に住んだり働いたりする話です。
ちぐはぐなバディものでもあり、寄せ集めの家族のような雰囲気もあり、とにかく二人が穏やかに生きられると良いなと思いました。