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まほろ駅前多田便利軒
過去に悲しみを抱える二人のおじさんが一緒に住んだり働いたりする話です。
ちぐはぐなバディものでもあり、寄せ集めの家族のような雰囲気もあり、とにかく二人が穏やかに生きられると良いなと思いました。
Posted by ブクログ
今更説明するまでもない作品だが、まほろ市の駅前で便利屋を営む多田。そこに転がり込んでくる居候の行天の奇行によって様々な事件に巻き込まれていく。直木賞を受賞しドラマやマンガにもなった三浦しをんの代表作。
この小説の舞台であるまほろ駅のモデルが町田駅ということもあって、最寄りの町田市内の本屋には常備されている。このいつでも買える状況のせいで、いつか読もうと思っているけど後回しになっている本の一つだったが、知人からお勧めされたので時は来れり。いざ、まほろ駅。
時代的には平成初期くらいなので、今の綺麗になった町田からはあまり想像できないけれど、当時は怪しげな店が立ち並ぶ「駅裏」と呼ばれる区画があり、本作のタバコの紫煙を燻らせるアウトロー達の絶好の舞台となっている。魅力的なキャラクターとテンポの良い会話で読んでいてずっと楽しい。何より、少し前の作品は古く感じるものだけど、そんなことは全く感じなかった。名作は時代を超えるのだ。
「アウトローのバディもの」というイメージから男臭いハードボイルドを想像していたが、ハリウッド映画のように日常から極端に逸脱することは全くない。それどころか端々から優しさが滲んでいるし、悪い人も(悪い人の定義によるが)出てこない。
ともすれば拍子抜けしそうになるが、実に巧妙に軽くなり過ぎないバランスで最後まで描き切っていると感じた。多分リアリティを演出する描写が丁寧なので、しっかりとした存在感の重みを感じるのだ。読んでいてとても気持ちが良い。
町田駅の周辺は綺麗になったけど、人間は変わらないのだろうなと思う。タバコの煙がなくなって、次はスマホとコーヒーに変わっただけなのだ。便利屋はまだまだ忙しいだろうな。
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