西加奈子のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
こういう小説だと思わず手に取ったのですが、まるで今のTV業界を予言していたかのような内容でした。
ネット社会になる前の、誰も声を上げられなかったTV業界の闇が、ここまで生々しく描かれているとは。
ページをめくりながら、ふと昔の知り合いを思い出しました。前職は芸能人のマネージャーをしていた男。彼が語っていた話が、この小説と重なるのです。
小説ではAD、彼はマネージャー。立場は違えど、下っ端には人権がない世界。生き延びる道は「上に上がるか、辞めるか」しかない。理不尽を飲み込みながら、心も体もすり減らし戦い続けなければならない世界でした。
そんな話を読むと、私は自分の「根性のなさ」を突きつけられます。主人公のように追い込まれてリストカットするほどの気力もなく、私はきっと逃げ出す。…いや、そもそもそこまでして得たいものが私にはないから。
でも、だからこそ救われているのかもしれない。根性がない自分に、意外と助けられてきたのかもな、と。
普段なら、理不尽を描く物語を読むと怒りがこみ上げてくるのに、この小説ではそうはならなかった。「TV業界はそういうもの」とどこかで決めつけていたからでしょう。
けれど森さんのセリフが胸を突きました。
「(前文略)今何年ですか?2016年ですよ?」
――そして今は、もう2025年。
昭和、平成と比べれば社会の価値観は大きく変わったはずなのに、古い風習に縛られたままの業界はいまだに存在する。変わらない方が、都合のいい人たちがいるから。
以前のTV業界では、下っ端から抜け出すには理不尽な世界を這い上がるしかなかった。
でも今は違う。自分の撮ったもの、伝えたいことを広げるための道はいくつもある。理不尽を飲み込まなくても、別の選択肢がちゃんと用意されているのです。
社会って、本当に大きく変わりましたよね。
その時の俺はまだ知らなかった。
フ〇テレビの風習が、日本中に知れ渡り、世間を揺るがすことになるなんて。 -
Posted by ブクログ
ハンサムで人気者の長男、恐ろしいほど美人だがワイルドすぎる妹に挟まれた薫と両親の幸福な生活はあまりにも順調に過ぎていくが一つの事故が彼らの暮らしを奈落に落とし込む。
それは誰の人生にも起こりうる事なのだが人はそこでうずくまってしまって前に進めなくなってしまうかもしれない。あるいは強く立ち上がって人生を取り戻すかもしれない。
愛犬「サクラ」はそんな一家の運命、生活を静かに冷静に見守っている。
著者が書きたかったことは主張したかった事は何なのだろう?
私には彼ら長谷川一家の人生が人々の中に包括されているすべてが現れた物なのかもしれないと思うのだが答え合わせができない。
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Posted by ブクログ
出産入院中に読むか〜と購入。
スカート履くのが嫌で泣いてた自分が出産か〜、、、という気持ちにマッチするエッセイがいくつか。
自意識についてがテーマなので当然っちゃ当然なんだが、「こういう私、どう?」が何気ない振りして3日目の経血くらい滲んでる文章も結構あったなかで、(そのヤンキーという修飾語いるか?みたいな)藤原麻里奈、すごすぎる。
女を捨ててるのに"女なのに"のリングの中で評価されることに気持ちよさを感じる、ってところ、こんな素直に自分の欲求捉えられるのすごすぎる。(2回目)
自分も自分しか見ないような日記ですらすぐ滲ませちゃうので、ああいう文章を書けるようになりたい。文章というか、自分の考えとか心の動きをカッコつけずにそのまま捉えられる力?
2024/10に読んだのを電子の方で書いてたので転記 -
Posted by ブクログ
ネタバレ両親から愛情たっぷりに育てられたきりこは自分がとんでもないブスだと思っていなかった。しかし大好きなこうた君からブスだと振られてしまってから塞ぎ込むようになる。
そうやって猫のように眠って暮らしていると予知夢を見る。それは他人の目や評価に縋って生きている人たちの「中身」の怒りや悲しみの声だった。
私が私であること。
私がしたいことをするのは私しかいない。
当たり前だけど、ハッとさせられるのは私自身どこか他人の目や評価を気にして生きているからだろう。
というより、気にしないで生きていけるほど強い人間ではないのだ。
モテたい、ちやほやされたい、認められたい。
この欲求も間違いではないけれど、長い時間が経ってからどこか満たされない気分になってしまうのだろう。
猫はシンプルな世界で全て「分かって」いる。
だから賢そうで気ままに生きていけるのだ。
私自身生まれ変わったら中国の富裕層が飼ってるようなデブ猫になりたい、と日頃から思っている。
それは他人の目がどうしても気になってしまったり、必死に働いて生活していかなきゃいけないプレッシャーからの願望だけれどラムセス2世が言うには人間から猫に生まれ変わるのは難しいらしい。
ひとまず、私自身のやりたいことや声に耳を澄まして忠実に生きていくことから始めてみようか。
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