あらすじ
『さくら』で彗星のように華やかなデビューを飾った西加奈子の第4作にあたる長編小説。冬の大阪ミナミの町を舞台にして、若々しく勢いのある文体で、人情の機微がていねいに描かれていく。天性の物語作者ならではの語り口に、最初から最後までグイグイと引き込まれるように読み進み、クライマックスでは深い感動が訪れる。このしょーもない世の中に、救いようのない人生に、ささやかだけど暖かい灯をともす絶望と再生の物語。この作品で第24回織田作之助賞を受賞している。
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生きるって楽じゃないけど意外とオモロイことも多い。誰にも必要とされてない?そんな毎日にも笑えることがあって、恥をかくことがあって、その結果思いがけず誰かを助けることもあって、また生きようと思える。少し頑張ろうと思える。頑張ってどうにもならなくても、しゃーないわ、そんなもんや、とまたしょーもない日々を繰り返すのも、人間らしく、哀しく、尊い。
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私も生まれ育ちは大阪ですが、『通天閣』のあるミナミとは縁がなかったために、すこし怖い印象だった新世界。そこで生きる何者でもない、むしろ底辺と蔑まれそうな人々が生きていることが克明に描かれているお話です。
決してきらきら輝くような人生でなくても、価値がなくても、「誰もが生きてていいんや」と、読み終わった後にじんわりと感動しました。
東京タワーやスカイツリー、あべのハルカスにはもうとっくに登ったことがあるというのに、大阪出身のくせして通天閣にはまだ登ったことがなかったので、今度登ってみたいと思います。
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良かった。
自分が大学生の時読んだが、全然内容を覚えていなかったので20年近くたった今、再度読んでみた。
たぶん当初読んだ時よりも感動した。
社会人になって、色んな人や世界を見てからの方が沁みる物語だと思った。
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登場人物2人とも、自分のことを棚に上げて文句ばっかり言ってました。笑 だけど、ぶつぶつ言いながらも側から見ると実は素直で、少しだけ人に優しくて、何より精一杯生きていて、とても愛らしい2人です。通天閣の周りにはこんな些細な人情劇がほんとに溢れてそうです。作者のリアルな書き振りに感心しました。
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愛されるためには愛すること。
遠くにいる他人を幸せにするんじゃなく
身近にいる人を大切にすること。
現実はドラマみたいに派手じゃないし
突然奇跡が起こって何もかも変わる!
なんてことはないけど
毎日コツコツ生きていくことも悪くないなあと
そんな私の毎日を肯定してくれる小説でした
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大阪ぽさというか、この小説に出てくる人物はとても面白かった。普通に声を出して笑った。
その中でも、バイトの新人の出産、マメに振られること、オタク風男の自殺未遂など、嬉しさ、悲しさ、むなしさなどの感情が揺さぶられた。最後のわずかな希望を残す感じもとても良かった。
個人的に「疲れたら自転車降りて歩こうな。」という言葉を素敵だと思った。
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4.2/5.0
大阪を舞台に巻き起こる実にリアルで温かい物語。
人生なんてそんなもん。だけど時たまちょっといいことが起こったり、なんとなく感動したりすることもあるよね。
そんな小説。
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何度読んでもじわっとくる通天閣
通天閣には2回しか行ったことがないけれど、あの雰囲気、わかるわかる。
よし、なんでもいいや、とりあえずまた今日も頑張ろう、と思える
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輝いていない人々に、夢も希望もない淡々とした日常がなぜこんなに面白いのか。すごくリアルですべて実在する人物のようだった。
太字で書かれた夢の話が、絶妙に本人の状況や不安を言い当てていて、怖くて面白い。
だんだん明かされていく主人公二人の人生が、実は過去に同じ日々を共有していたのがたまらなかった。近くにいるのにお互いがお互いを気づくことはなく、でもあの瞬間は確実に影響を与え合った。
この自殺未遂事件が起きて、特に何かが前進したり解決するわけではない。でも日々がそうやって続いていくリアルを書いていて、男は自転車泥棒ということになってしまったし、たぶん店員の女とも何もない。でもそういう人生もある。孤独で自由。その自由を欲していようといまいと、それは続いていくのが慰めのように感じた。
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複数視点の物語としては最小の二人という設定。その人生が微妙に交錯するのかしないのか、というところに物語の肝があるのだが、個人的には夢の描写が、心模様を微妙に反映していて、上手いなあと思った。
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2人の登場人物の視点から、交互に物語が展開していく。最近の小説に多用されているパターン。
40歳台独身で工場勤務の男性と、20歳代で恋人と遠距離恋愛をする女性。
自分が大阪で生まれ育ったので、登場する大阪弁が親しみを産み、楽しく読み進めることができた。
自分のことで精いっぱいで、思い通りにいかず、満たされることのない数々の人生を描いていて、自分に重なるところがあって興味深かった。
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どうしようもない人達だなと穿った見方をしそうになるが、それぞれの人生であり他人がどうこうつけ入る必要なんてないなと思わされた。特にジジイの存在が良いなと思った。
通天閣にしか醸し出せないあのチープさというか生々しさがあいまってよかった。
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薄汚れた街で惰性で一日を過ごす二人の主人公。この手のストーリーは読むスピードが遅くなったり読むのをやめてしまうこともあるが、気がつけば主人公の目線になって薄汚れた街に立っている錯覚に陥る自分がいる。西加奈子さんの独特な表現力にぐいぐいと引き込まれてしまうのだろう。「今、窓から見る夕暮れは、だらりとだらしない色をして、もう少しで終わる一日を、一刻も早く忘れたがっている。そして早く黒にバトンを渡したいと、そう思っている。すぐにやってきてぐんぐん速度を増し、地上に降りてくる。そしてあっという間に、昼間の何もかもを隠してしまう。」
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スナックのチーフをしている若い女と「ライト兄弟」という100均の商品を作る工場勤めの男の話が交互に描かれる。若い女は同棲していた彼氏がニューヨークへ行き、「私たちは別れたわけではない」と日々呪文のように唱えながら、彼氏に哀れんでもらうために、クソのようなスナックで、泥のように生きている。
男は、若いときに結婚していたものの、その連れ子に愛情表現ができなくて、必要最低限以外の人間関係を避けて 生きている。二人に接点はなく、それぞれ話は進んでいく。どちらの回りにも、個性的な人がいて、スナックのママだったり、行きつけの店の大将だったり。通天閣の下で、生きている。夢がなくてもきらきら輝いてなくてもみんな生きている。
通天閣にのぼったら、坂道を汗をかきながら上がっていく私に出会うかもしれない。いろんな人に出会うかもしれない。
男にフラれたチーフの雪は、工場のおっちゃんの昔々の血の繋がらない娘だったなんて……
二人の出会いはなかったけれど、なんか わかってよかったような。
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タイトルを聞いたことがあって、西加奈子さんの他の作品を読んだことがあったので、期待値高めでした。
関西弁のテンポの良い会話が読みやすかったですが、終着点が。。。
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大阪旅行に持っていくと決めていた『通天閣』
通天閣の近くで暮らす人々の物語
人生に楽しみもなく、やるせない思いを抱えながら生きる男と女
淡々と過ぎていく日常の中、最後には温かい何かを心に残してくれます
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2人の主人公 冴えない日々を淡々と生きる40代の男と、場末の水商売でチーフをやっている女性の交互に語られる話。
実は2人は遠い昔に縁があって数年一緒に暮らしたことがある。
でも、ニアミスはあれど再会はない。
希望が持てない日々でも、人は立ち上がれるし歩いて行くしかないんだな。
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「夢に向かって頑張ってないと駄目なのか。」
「愛してくれるのだろうか、ではない。愛そう。」
誰にも知られず、泥臭く日々を生きる全ての人に力をくれる物語。
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ディープな大阪を舞台にする登場人物像たちにリアリティがあって、自分も大阪に迷い込んだような感覚になりました。キラキラ要素がゼロの男と女の物悲しい人生。雪の降る日に出会った2人が、偶然、雪の降る日に、同じ通天閣を眺めるやや滑稽なシーンでは、まぁでも生きなしゃーないしなぁ、といった前向きさと物哀しさがごちゃ混ぜになったような気持ちになりました。
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大阪の下町で、不器用に生きていく人達の生活を、これまた生きる価値を見失いつつある2人の主人公のを目を通して描く。織田作之助賞。混沌を秩序に変えて行く、西さんワールドの2006年作品。
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大阪、ミナミのパワー。
グリコと道頓堀がお出迎え。
・・・
20を越えてから初めて踏んだ大阪の地は、東京生まれ・東京育ちの私にとってはおよそ「異世界」という言葉では尽くしきれない、尋常ならざる世界でした。
・・・
天王寺公園の青空カラオケ。
週末に行くたびにお祭りが多い町なのかと勘違いしました。
その先の露天では靴片方とかが売っており、売り子のおっちゃんに理由を聞くのすら怖い笑
そばには朝っぱらから男性が倒れている。酔っ払っているのかか死んでいるのか・・・
そんな場景を見下ろすのが、通天閣。
・・・
本作は、そんな通天閣の横にすむうらぶれた40代の男性と、そんな通天閣付近の場末のスナックの黒服を勤める女性の話であります。
・・・
巻末の津村記久子さんが、絶妙で的を得た解説をしているのですが、本作結局なんなのかといえば、世の厳しさを描写をしつつ、ほんのわずかな希望も描く、という文学作品です。
・・・
男性主人公、彼の行き先は暗い。
フリータとして40を過ぎ、バツイチ。この先人生は変わらない。それでもいいと思っている。
とんがっていたのに何となく新人バイトに優しくし、新人が盗んだ蕎麦屋の自転車を代わりに乗って危うく罪を着せられそうになる。通天閣で自殺未遂をおこした赤の他人の隣人に偶然遭遇し、自分がピエロになり全力のアピールで自殺を食い止める。
どうにも締まらず、空回りする。なんだかなあ、という人生。
・・・
かたや主人公女性。
同棲していた男性は米国に留学し、彼を待ちつつ黒服として働く。彼とつながる国際電話の頻度は次第に少なくなり、自分の心が徐々に不安定になる。
最後の電話は別れの電話。
わたしの何がダメなのか、惚れた女のどこがいいのか。なんでアメリカくんだりまでいって日本人の女なのか。
自分の恋愛もうまくいかず、男にだらしなかった母親を思う。
・・・
でそんな文学文学した作品、じめじめしてばかりかというと、軽妙な関西弁に乗せられ、いかにも大阪的なユーモアがちりばめられています。
主人公男性が勤務する工場で作られている懐中電灯の「ライト兄弟」。そのネーミング! またこの男性が可愛がってしまった新人。ドモりなのだが、どもるのが「ア行」だけ。何だそれ?笑
女性主人公の勤めるスナックのママ。
スナックという喧騒に包まれた勤務地にもかかわらず、致命的に声量が小さい。語尾が聞き取れない。それを生かしてスナックのオーナーがぼったくると決めたら会計に立つのはママ。何しろ色々応えている(無視はしていない)のに声が聞こえない。
そう、つっこみ所満載なのです。
きっと関西圏出身の方だと突っ込みながら読むんではないかと思います。ある意味親切設計、でありました。
・・・
ということで西作品でした。
本作は彼女のキャリア三作目、割と初期のものですが、(普段印象的な)言葉のたおやかさより、ストーリ展開がスムーズであったという点が印象的でした。
関西を感じたい方、大阪にゆかりのある方にはお勧めできるかもしれません。
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大阪通天閣の足元の場末に暮らす関係のない男と女のたわいない日常を描いた不条理と笑いの物語。大小2つの懐中電灯がセットになった「ライト兄弟」は最高だ。
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「40代の男と20代の女が主人公で交互に視点が切り替わりながら物語は展開していく。男は工場勤めでいつも他人を見下す節があるが、自分の人生のコンプレックスを自覚しているからこその八つ当たり的なものをその行動から感じる。多分自分のことが嫌い。女はマメという彼氏と同棲していたが、彼氏が映像家の夢叶えるとのことで、ニューヨークへと単身で留学してしまう。おいていかれたという事実を受け入れられず悲しみを背負いながら、スナックでアルバイトをしている。最終的に男も女も自分の人生を受け入れ、前に進む決意をする」というのが大まかな内容。ありふれた日常を特別なものに感じさせる書き方のできる西加奈子だからこそかけた作品だと思います。
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西加奈子さん、ずーっと前に読んだ「サラバ!」が面白かったので、他の小説を読みだしました。なんか…違う。
巻末の解説で…
「この世に生きるどうしようもない人々を輝かせることに成功している。」と、書かれていた。
そうですね。ちょっと、いい加減にしてよと思う感じの世界観。切ないなぁ…この人達と思いながら読み進め…交互に物語が進むので読みやすい。
後半に感動ポイントもあり、読後感は悪くないかもです。
大阪を舞台に、44歳男性と、20代女性の物語が交互に語られる。二人とも、自堕落に淡々と日々を過ごしている。20代女性は、アップダウンのある生活かな。
この二人、昔、義理の親子として過ごした時期があったのね…。
愛されることじゃなく、
自分から愛すること、
それが大切。
自分の幸せは、人に与えられるものではない。
そんなことを気付かせてくれるお話でした。
Posted by ブクログ
大阪ミナミの街を舞台に、2人の主人公の物語が交互に語られていく構成。年齢も性別も違う2人の語り口をしっかり書き分けられていてすごい。
女の子の語り手が、アルバイト先のお店の掃除をしながら店の内装を詳述している場面の記述がものすごく印象に残った。店の様子と同時に女の子の機微が事細かに描かれていて、さらにオーナーがいかに変わった人かということが読者に伝えられていた。
おっさんの語り手は、初めは人付き合いの悪い人物に見えるけど、物語が進むにつれてとても優しい心を持った人であることが明らかになってくる。
世間や人生の厳しさや切なさを鮮明に描くと同時に、きらきら輝いていなくても、1日をただこなしているだけでも、私たちの人生は進んでいくし、なんとか生きていけるものだと感じさせてくれる作品。
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前半はイマイチでしたが後半からはまずまず面白かったです☆ただ、あれくらいの感じが西加奈子さんらしいとは思いますが、ラストはもうちょっとだけ違った展開だったらより良かったかなあ。
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今まで読んだ西加奈子さんの「さくら」「サラバ!」は人生の回想のような感覚で読んでいたけれど、こちらはむしろ今現在ちょっとずつ生きているイメージ。クライマックスの通天閣での掛け合いは疾走感があった。
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通天閣の近くのアパートに住み、100円ショップで売られるライトのパッケージ詰めをして生活する40すぎの男。一方で、同棲していた恋人がニューヨークに旅立ってしまい、日銭を稼ぐためにキャバクラのようなスナックの黒服で生活する女。それぞれが毎日を同じ様に過ごしているのだが…。
それぞれの何のこともない日々、具体的な景色が浮かぶような生々しい日常は、何があるわけでもないのだが読ませる。二人の視点を交互に切り替えてストーリーは進んでいき、いつか出会うのか…。
この手のストーリーで、書き手として悩むところである、固有名詞については、早々にシーフードヌードルやUFOなんていう言葉をどんどん押し付けてくるので、個人的には安心して読むことができた。これがぼんやりした架空の商品名であれば、この作品は生きない。固有名詞は物語の深みを出すだけでなく、具体的な主人公や街の形を描き出すことに繋がる。
平坦で生きているのか日々を乗り切っているだけなのかわからない男と、現実は見えているのに見えないふりをしてなんとか乗り切っている女。妻が妊娠中というどもりの同僚、何を喋っているか聞こえないスナックのママ、まともに接客できないコンビニの名前の読めない店員。なにもないのにスリリングに感じるのは、大阪という土地がベースにあるからなのか。
一方で、以前に読んだ西加奈子作品にもあった、なんだかよくわからない別のストーリー(夢日記?)のようなものが挟み込まれるのは、個人的には大きくマイナスである。いずれかの作品で、編集者が「こういうのいいね」とか言ってしまったんだろうか?メインのストーリーが面白いだけに、本作ではまともに読む人はいないだろう。
変なストーリーを挟むのが西加奈子スタイルです、というのかな?別に本筋に影響が出るわけでもないし、何がしたかったんだろうね。