【感想・ネタバレ】ふくわらいのレビュー

\ レビュー投稿でポイントプレゼント / ※購入済みの作品が対象となります
レビューを書く

感情タグBEST3

Posted by ブクログ

西加奈子の剥き出しの人間を描き出す、生々しい描写が、あまりにも濃厚で気持ち悪さを感じる時もあった、そして内容が単純にグロテスクと感じることもあったが、読み進めるのをやめられず一気に読んでしまった。

愛することを知った定とその定を取り巻く人との愛が、定を祝福するようなクライマックスに涙が出た。
「愛する」ということ、自分以外の人をそして自分自身を。

0
2023年11月08日

Posted by ブクログ

自分の語彙力がないあまり言葉に表す事を拒んでしまうほど圧倒的で熱い力を持った文章でした。
西加奈子さんの「白いしるし」を読んだ時、20歳にして人生で1番の本に出会ってしまったと思いましたが、また違う1番に出会ってしまったと感じました。
間違いなく、読み進めずにはおれない強さが、ありました。

0
2023年09月14日

Posted by ブクログ

西加奈子ワールド全開の作品だと思います。西さんが描かれる女性は個性的という形容詞に治まりきれないところに魅了される。クラスにいればからかわれたりいじめをうけたりするかもしれないが、それを凌駕する個性で近寄りがたい雰囲気を醸し出しているのではないだろうか。プロレスラーとの言葉のキャッチボールは読み手を引き込みます。当分西加奈子さんの作品から抜け出せない気がします。

0
2023年08月19日

Posted by ブクログ

妖気ただよう特異な体験をした人にまつわる物語として、感動しました。
しかし、この本は、 第一回の物語賞としては、 選考ミス、選考委員の人選ミスだったのではなかったのではないでしょうか?
わたしは河合さんの文章に数多く触れてきた河合隼雄ファンです。 そんな中で、 河合さんは読後感の悪い本は嫌う、と思うようになりました。

物語性のある小説とは、一言で言うなら、意味のある偶然をどう脚色するかだと想います。
そして、読者に宗教性を浸透させていくのが河合さんが目指した文学だとおもいます。

この本、あまりに奇をてらうストーリーと表現が目立ちすぎませんか?僭越ですが、河合隼雄さんの奥様が読まれたら、これは違う?と感じるはずです。

「河合隼雄が選考委員じゃないから良いのでは?」
そうなんでしょうか?

選考委員は、著名な人だとは思いますが、この賞がポスト河合になっているようで、河合隼雄ファンとしては残念です。それに、ポスト河合の先陣をきっているのが、息子さんのチームです。息子さんはもう父とは違う未来を描いているのです。息子さんが頭脳明晰なのは、いろいろな活躍でわかります。ただ私は、息子さんが西洋近代科学の権化に見えてなりません。NHKで見た息子さんの顔を思い出すと、「この河合隼雄が脚色した日本の心理学は私が終わらせてやる!」の形相に見えます、まさに守口廃尊。
それに、息子さんは、河合さんが亡くなってから、急に河合隼雄を世間に語り始めたのも、妙に鼻につきます。

わたしとしては、ひとつの時代が終わったと了解するべきなんでしょうか。

仮にそうなら、私は2007年以前までは存在した河合隼雄の心理学をもう少し探求して、その真髄に近付きたいです。
「やられたー」と歓心する河合隼雄物語賞が読みたかった。
でも、2回目、3回目の物語賞も読んでみたいです。異次元を受け入れられないのは、私が歳をとりすぎているからかもしれないので・・。

(本が、この本があまりに過激で、こうゆう感動は欲しくなかった。なので、私の感想も辛辣に、日頃のうっぷんをはらすような表現になりました。申し訳ありません。
でも、読み終わってすぐの魂が熱いうちの言語化なので、訂正はしません。)

後付け
河合隼雄さんは存命中に、この賞が設立されて、どんな本が選ばれるか、わかっていたはずです。
息子さんの影響力が増し、自分を踏み台にして、あの子なりの、このような啓蒙活動をしていくだろうと、予見していました。
そして、それはそれで、是非もなし、と思ったはずです。
それなら、この賞は、河合隼雄が河合俊夫に委任した 物語賞と考えればよかったんです。
わたしはそう考えて、自分のこころの腑に落としました。

0
2021年08月09日

Posted by ブクログ

ネタバレ

最初の方はあんまりハマらないかもな〜と思ってましたが、乳母が体調悪くなったところくらいから、面白くなってきてどんどん読み進めていきました。
定が生い立ちからなのか、あっさりとした人だったのが守口との会話で感情が芽生えてくるところ(?)は一緒に熱くなりました。

0
2024年05月05日

Posted by ブクログ

西加奈子さんの力強くて激情的な文章が好きだ。
************************************************
常に他人の顔で福笑いをする癖を持つ、鳴木戸定。
幼い頃から冒険家の父に連れられ様々な国を放浪し多くの特異体験を経て、エキセントリックに育つ。
編集者になった定は機械的に送る日常の中で、
奇人変人、個性的な人達との出会いによって、
自分への意識を、世界への見方を変化させてゆく。
************************************************
偏屈な作家、奇天烈なプロレスラー兼作家、
美人な同僚、定に猛アタックする盲目の男。
特にレスラーの守口廃尊と定のやりとりは、
豪快で痛快なのにどことなく繊細で胸を打つ。

日本生まれ日本育ちの我々の物差しでは計れない、
幼少期の定の体験は驚かされるしとても興味深い。
大人になっても行われる他人の顔での福笑い癖は、
自分と他人、世間とのズレや不明確、不安定さを
表しているし、そんな不器用で純粋な定は可愛い。

人との関わりの中で、少しずつ心が動いてゆく定。
常に自問自答し続ける廃尊や、
見えないからこそ見えてくるもの、信じるものを
素直な視点で語る武智、初めての友達の小暮さん、
母によって父によって乳母によって与えられた愛、
少しずつ噛み砕いて受け入れてゆく定の愛らしさ。
そんな定を受け入れ、肯定する世界の眩しさよ。

武智次郎の真意と、武智に向き合った定の心境は
今の私には全部はまだ捉えきれないが、
今後読み返す中で少しずつ反芻出来ればなと思う。

センシティブでグロテスクでかなり過激な描写や
下品な表現も多いので万人受けはしないだろうが、
読んでいて力が漲るような、毛穴が開くような、
体内の血の巡りが良くなり飛び回りたいような、
そんな力強さを感じられるこの作品が好きだ。
何度も読み返したくなる不思議な魅力がある。
-----------✂︎-----------✂︎-----------✂︎--------
定は中学高校の思春期には、
価値観が変わるような経験はなかったのかな。
-----------✂︎-----------✂︎-----------✂︎--------

0
2024年03月12日

Posted by ブクログ

ネタバレ

守口廃尊がいい
定とのやりとりがいい

定の海外での経験や父母悦子との話、もっと聞きたくなった
定のエッセイが読みたいと思った

最後のシーンは笑顔のまま涙がじんわり

雨をやませてほしいという担当作家の要望に対して、まっすぐに儀式という選択をした定がこころに残った
定の選択は定にとって今自分にできるいちばんの方法を選んだだけ、それが大変とかそんなことは置いといて
当たり前とか普通とか常識ってなんだろう、周りからどう映ろうと、きっとすべての言動にはその人が選択した事情や理由があって、それは他人がどうこういうことじゃないよなって、そんなこんなを考えてしまいました

0
2024年01月28日

Posted by ブクログ

変わり者の多い物語ですが
その人たちとの関わりによって定の世界がだんだんと広がっていくのが素敵でした。

水森康人が定の心の中の「純粋」を見たいと言っていましたが
何も知らない少女が、どんどん知識や刺激を吸収して1人の人間になっていくような感覚です。

なにより、定が「自分」を楽しむようになってよかったです。

0
2023年12月23日

Posted by ブクログ

特殊な環境で生きてきた主人公の定はとても変わっているが、私の周りにいないキャラクターで目が離せなくなってしまった。
言葉に対してとても誠実に生きているが、物語の初期は自分の感情にも周りの感情にも疎いことから少し冷淡に感じる。
それが、顔のパーツがありえない配置のプロレスラー守口廃尊や、見た目の良い編集の後輩 小暮しずく、イタリア人と日本人のハーフで目が見えない武智次郎と交わることで、胸が温かくなったり、吐き気がしたり笑顔を浮かべるようになったり世界への扉が開いて行くと、定の魅力もどんどん増して行った。
守口廃尊のキャラクターも良かったし、小暮しずくと仲良くなれたことも読んでいて嬉しかった。
ただ、武智次郎はちょっと気持ちが悪くて受け入れられなかった。
父との回想も圧倒されたが雨乞いのシーンも面白かった。
守口さんが言う様に定は「天才側」だなと私も思いながら読んだ。
この世界に引き込むのがうまい作家さんだなと思った。

0
2023年10月16日

Posted by ブクログ

平和そうなタイトルと壮絶な内容のギャップが素晴らしい。どうすればこんな発想が出来るのか?西加奈子の頭を割って見てみたいと思わせる変態小説。

0
2023年07月07日

Posted by ブクログ

バイソン!さよなら息子!
先っちょだけしかわかってない、人生のバックグラウンド。
父親の肉を食べる。

0
2023年06月24日

Posted by ブクログ

ネタバレ

文庫版あとがきにも記載があったが、物語としておもしろい作品であると思う。どういうシーンであれ心が意図せずに動かされるのは、快不快どちらであっても読書体験としては良いものと感じた。カフェでの発言であったり、旅先での出来事、血みどろの守口など、ちょっとな…と思いつつ、生きていることを体験できているというか、西さんに体験させられているというか、揺さぶられる物語であった。主人公の定が何事も受容していく姿勢であるのが、読書と同じ目線に見えるのかもしれない。上手いとか下手とかじゃなく圧倒された気がする。守口みたいな人には会ったことないけど、ことばの紡ぎ方に独特の雰囲気が出せることが素晴らしいと思った。

0
2023年01月02日

Posted by ブクログ

定さんの仕事や人に対する接し方がすてきです。仕事に取り組むこと、人と話すこと、定さんのやり方で向き合う姿に、定さんが現れていて、それはとても魅力的でした。

0
2022年11月29日

Posted by ブクログ

西さんらしい力強さを感じる。
友情も恋愛も知らなかった定が20代後半にして気付いた愛の形は、本当に真っ直ぐで綺麗で輝きに満ちてると感じた。
エネルギッシュな小説だった。

0
2022年09月28日

Posted by ブクログ

ネタバレ

主人公の生い立ちと感性が不思議で、彼女がどうなっていくのか気になって気になって、一気に読み進めてしまった。
廃尊の生命力に触れたことで、彼女が人間らしい感情を発露するようになって、これから世界とどんな風に関わっていくのか、と楽しみにしていたら…
なぜこんな行動になるのか理解できなかった。
とても面白かったです。

0
2022年06月10日

Posted by ブクログ

特異な幼少期を過ごした女性の物語

以下、公式のあらすじ
---------------------
マルキ・ド・サドをもじって名づけられた、
書籍編集者の鳴木戸定。
彼女は幼い頃、紀行作家の父に連れられていった旅先で、
誰もが目を覆うような特異な体験をした。
その時から彼女は、
世間と自分を隔てる壁を強く意識するようになる。
愛情も友情も知らず不器用に生きる彼女は、
愛を語ってくる盲目の男性や、
必死に自分を表現するロートル・レスラーとの触れ合いの中で、
自分を包み込む愛すべき世界に気づいていく。
---------------------

私の区分ではこれは純文学なのではなかろうかと思う

読み手によって深くぶっ刺さる系の作品
そう、例えば村田沙耶香さんの作品群のような感じ
ただ、残念ながら私は傍観者的視点でしか読めなかった


世間の常識と自身の認識のズレ
多分、世の中にはそれを感じている人は程度の差こそあれ感じている人は多いと思う
でも、それを何とかして生きていくのが人生だと思うんですよね

まぁ、確かに定の境遇はかなりぶっ飛んでいるけれども


一番のツッコミどころは雨乞いのところかな
「俺の雨乞いは絶対に降る
何故なら、降るまで辞めねぇからだ」
を地で行く方法だからなぁ

あと、西加奈子さんがプロレス好きな面がかなり出ている
プロレスは、若い頃に見ている事を前提にしたノスタルジーという意見もまぁわからないでもないけど
大人になってからの劇的な洗礼パターンもあると思う

0
2024年04月22日

Posted by ブクログ

西加奈子氏はいつも1人の人間を追求していくストーリーな気がする
と、言葉にすると簡単になってしまうが、紆余曲折を経て
この方は人肉を食べたことがあるのか…?
と思わせるくらいの生々しいストーリー
宗教とかとはまた別の次元の西加奈子氏の信念を感じる。

0
2023年11月16日

Posted by ブクログ

ネタバレ

鳴木戸定
1月1日生まれ。マルキ・ド・サドから名付けられた。編集者になる。

多恵
定の母親。腎炎が悪化し、定が5歳のときに命を落とした。

栄蔵
定の父親。紀行作家だほとんど家にいない。定が12歳のときに死んだ。

岸田悦子
多恵が嫁いだ時にいたお手伝いの婆や。

之賀さいこ
作家。定が担当編集者

あにた博
作家。定が担当編集者。

六本木大
作家。定が担当編集者。

小暮しずく
定より1年後に入ってきた編集部員。


男性社員。

米永
40代の男性社員。急に仕事を無断で休み、そのまま会社に来なくなった

守口廃尊
守口譲。プロレスラー。1965年生まれ。米永が書籍の担当していた。

若鍋
『週刊事実』の守口担当。20代後半の男性。

水森康人
定の担当作家。

吉永亜紀
編集部員。バツ3。

武智次郎
新宿で迷子になっているところ、定に助けられる。

真紀
悦子の娘。

0
2023年11月08日

Posted by ブクログ

見えているものが全てではないし、自分が感じていることが全てでもない。その上で自分に正直に生きていくことも時には素敵だなと感じさせてくれた。グロテスクな表現があったり、やや分かりづらい不思議な物語。

0
2023年05月18日

Posted by ブクログ

すごい西加奈子の世界観だなあという感じがした。

主人公は事実を正確に捉え、本当の言葉しか言わない。だから周りとの関係性も限定的なものだったけど、少し世界が崩れた時に感情に気づいていく。

人生の尊さに気づいて全力で感じようとしているシーンが良かった(カオスで理解はできないけど)

0
2023年04月20日

Posted by ブクログ

ネタバレ

冒険家の父と体の弱い母に育てられた、少し変わった女性編集者の話。幼い頃母を亡くし、小説家の父と海外に冒険に行く。ある部族のお祈りに参加したり人の肉を食べたりした。その事を父が小説に書いたため、周囲から忌み嫌われるが本人は感情の起伏がなく嫌と思っていない。そんな主人公が同じ職場の女性編集者と仲良くなり、プロレスラーの作家さんと出会い、目の見えない人にアプローチされ、感情を少しずつ得ていく。

0
2023年04月04日

Posted by ブクログ

幼い頃から世界各国で様々な経験をした主人公。  
そのため、世間一般の他者とあまり関わりなく 
友情や恋愛を知らなく唯一の趣味が幼い頃からの
福笑い遊び。しかし、ある人物との出会いで新しく込み上げる感情に気づき自由に駆ける最後のシーンが良かったです

0
2023年03月23日

Posted by ブクログ

読みながら気持ち悪くなったのは初めての体験で
今になって思うといい経験だった。
定さんの個性は「恥じらいを感じないこと」かもしれない。誰のこともフラットでニュートラルな形で受け入れてくれるからこそ、依存することもない。
この感覚を少しでも持っていたいと思った。

0
2023年03月02日

Posted by ブクログ

読み始めてから、あ、これ読んだことあった、となった。
小暮さんが正直でいい。このやろう!って私も言いたい。
私たちは今、さきっちょで、すべてだ

0
2023年02月25日

Posted by ブクログ

ネタバレ

様々な人との出会いが、自分を世界を人を大きく変えていくのだとこの物語を読んで感じた。
定は、まっすぐでとてもいい人物だと思った。
不快になる場面もあったが、読み進めることができた。

0
2023年01月11日

Posted by ブクログ

ネタバレ

西加奈子さんの書く物語は救われるような気持ちになります。どんな人であろうと多面的に見るのを忘れずにあたたかい面をありのまま書いているような気がして、奇抜で自分の人生からは共感し得ない人でもどこがで繋がっている1本の糸を感じました。各パーツを動かす福笑いと人のありのままを受け入れる定。守口と次郎と小暮との交流によって定は心が揺れ動くというのを理解すると思っていましたが、読み返してみれば彼女にまつわる全てが彼女を少し豊かにしたんだなと思います。
あの子になれない私、私になれないあの子。その違いこそが私を私、あの子をあの子たらしめているのかなと思います。

0
2022年12月07日

Posted by ブクログ

ネタバレ

西加奈子さんらしい、アクの強い作品。
主人公の鳴木戸定は編集者。紀行作家の父をもち、日本とはかけ離れた文化に多く触れた影響もあり、日本人離れした感じの様子。愛着関係、友人関係をほとんど築かずに育ってしまった定は、初めはあまりに人間味が薄く、ずれた反応をするので、薄気味悪く感じてしまっていた。
色々な出会いの中で、成長してゆき、語彙や表現や考え方が変わっていく様子がよかった。
守口廃尊が初めて見せてくれたプロレスの試合、最後のスピーチ、部屋でのシーンが好き。それから、小暮しずくと仲良くなっていくところは、一生涯の友人ってこんな感じで全く違うタイプの人と、ひょんなことから仲良くなるよなと思って、面白かった。

ただ、型にはまってしまった自分の感覚では、カフェでのやり取りとか、最後の終わり方をアブノーマルに捉えてしまって、あまり腑に落ちずに終わってしまった。
力強い生の話だなと思うし、定の考え方は面白いなと思う反面、どの登場人物も並々ならぬ感性を持っているが故に、誰にも感情移入できなかった。
もう少し人生経験を積んでから、また挑戦したい一冊。

0
2022年11月10日

Posted by ブクログ

「生きる」とはどういうことか、「知っている」とはどういう状態かということを改めて問いかけてくる小説。
特殊な家庭環境で育った主人公の定。彼女は周囲の人々の価値観や感覚が全く理解できず、「恋すること」がどういうことかもわからない女性だったが、個性的な人たちとの交流を通じて、他人との感覚のズレによって生じていた世界からの疎外感を解消していく。
「ふくわらい」というキーワードが小説のテーマとどう関係があるのか、中盤を過ぎる辺りまでわからなくて少しもどかしかった。だけど読み終わった今、「ふくわらい」という行為は「そこにある価値観を一旦壊して再構築する」というこの小説のテーマとうまくハマっていることに気が付いて、西加奈子の発想力とか目の付け所はやっぱりすごいなあ、と痛感しています。

0
2022年09月04日

Posted by ブクログ

ネタバレ

これまでに読んだ西加奈子さんの作品の中でも群を抜いてエキセントリックな登場人物が多かったですが(笑)、自分の愛するものに愛してもらえない、不器用な自分に嫌気がさしているような人が読むと勇気づけられるような作品なのかも知れません。

ラストがちょっと賛否に分かれる気がしますが、それはさておきとして、とりあえず僕は、プロレスラーの話が全体を通して良かったかな~☆
---------------
p59
「ああ、ああ、いいよ。いいよう、だめだよ見ちゃ。若い頃に見なかったら、もうだめだよ、一生好きにはなんねえよ」「そうなのですか」「そうだよ。音楽とおんなじ。若い頃に見ねえと入ってこないもんなんだ。大人の頭は、理解しようとするだけで、体感しねえから」
p216
「自分なりの、個性っつうか、特においらたちの世界じゃ、キャラを作って、生きていかなくちゃならねえ」「はい」「でもおいらは、」「はい」「猪木さんになりたい」

0
2022年06月07日

Posted by ブクログ

他人の顔のパーツで遊ぶ定の趣味は想像できなかったが、顔をいじってくる1歳の息子の行為と何だか似てるなと思ったら、純粋なおもしろい感覚なんだと可愛らしく思えた。
特殊な体験云々はあまり抵抗なく読めたけれど、最後の定の行動は面食らう。上手く説明できない強烈な違和感…最初から読んできた彼女像とどうも合わない。守口のマイクを通してバーンと胸に炸裂した熱い熱い直球がシュッと萎んでしまった。
西さんの著作は数を重ねるごとに深く掴み所がなくなっていく印象。それでも読みたい魔力が上回るから離れられない。

0
2022年09月04日

「小説」ランキング