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Posted by ブクログ
西加奈子さんの小説は『通天閣』が最初で、初めて読んだ時、剥き出しの人間の感情とか、臭いとか、湿度とか、グイグイくるなあと感じて面白かった。今回読んだ「ふくわらい」もその時と同じくらいグイグイくるなあと感じられた。
幼少の頃の体験から、人との距離を掴めない、自らの感情を表現できない主人公の定は会った人々の顔を、自分の頭の中で、ふくわらいのように顔のパーツを置き換えて感情を表現している。そんな定がさまざまな人との関係を通して、自らの感情を自身の表情や言葉で表現できるようになっていく。
10代の頃、自分のアイデンティティを模索していた頃、そんなモヤモヤした状態ってこんな感じだった気がする。模索しながら時にぐちゃぐちゃにしながら、形を作っていく。
西加奈子さんの作品は変な奴に対して優しい。見捨てないところがあって、そこが好きです。
Posted by ブクログ
西加奈子さんらしい生命力とエネルギーに溢れた作品。この方はきっと人間が好きなんだと思う。
どんな人物を描いても必ずエネルギーを感じるから、社会的には成功していない人を描くときの方が何も持っていないからこその人間本来の生命力、エネルギーというものが伝わってきて、とても良い。プロレスラーの守口廃尊のキャラクター、よかった。
本作はストーリー自体は淡々と静かに進んでいくけど、静けさの中に力強さを感じるからか、先を読みたくなってしまう。
美人同僚の小暮が居酒屋でギャグみたいな「先っちょだけ」を哲学的に解釈してるところ、よかったな。
あと定は世界に恋をしていた。のところ好き。世界に恋して世界を愛して生きていきたいね。
「定は、世界に恋していた。…(中略)…それを恋というのなら、こんなにも美しい感情はない、と定は思った。」
Posted by ブクログ
妖気ただよう特異な体験をした人にまつわる物語として、感動しました。
しかし、この本は、 第一回の物語賞としては、 選考ミス、選考委員の人選ミスだったのではなかったのではないでしょうか?
わたしは河合さんの文章に数多く触れてきた河合隼雄ファンです。 そんな中で、 河合さんは読後感の悪い本は嫌う、と思うようになりました。
物語性のある小説とは、一言で言うなら、意味のある偶然をどう脚色するかだと想います。
そして、読者に宗教性を浸透させていくのが河合さんが目指した文学だとおもいます。
この本、あまりに奇をてらうストーリーと表現が目立ちすぎませんか?僭越ですが、河合隼雄さんの奥様が読まれたら、これは違う?と感じるはずです。
「河合隼雄が選考委員じゃないから良いのでは?」
そうなんでしょうか?
選考委員は、著名な人だとは思いますが、この賞がポスト河合になっているようで、河合隼雄ファンとしては残念です。それに、ポスト河合の先陣をきっているのが、息子さんのチームです。息子さんはもう父とは違う未来を描いているのです。息子さんが頭脳明晰なのは、いろいろな活躍でわかります。ただ私は、息子さんが西洋近代科学の権化に見えてなりません。NHKで見た息子さんの顔を思い出すと、「この河合隼雄が脚色した日本の心理学は私が終わらせてやる!」の形相に見えます、まさに守口廃尊。
それに、息子さんは、河合さんが亡くなってから、急に河合隼雄を世間に語り始めたのも、妙に鼻につきます。
わたしとしては、ひとつの時代が終わったと了解するべきなんでしょうか。
仮にそうなら、私は2007年以前までは存在した河合隼雄の心理学をもう少し探求して、その真髄に近付きたいです。
「やられたー」と歓心する河合隼雄物語賞が読みたかった。
でも、2回目、3回目の物語賞も読んでみたいです。異次元を受け入れられないのは、私が歳をとりすぎているからかもしれないので・・。
(この本があまりに過激で、こうゆう感動は欲しくなかった。なので、私の感想も辛辣に、日頃のうっぷんをはらすような表現になりました。申し訳ありません。
でも、読み終わってすぐの魂が熱いうちの言語化なので、訂正はしません。)
後付け
河合隼雄さんは存命中に、この賞が設立されて、どんな本が選ばれるか、わかっていたはずです。
息子さんの影響力が増し、自分を踏み台にして、あの子なりの、このような啓蒙活動をしていくだろうと、予見していました。
そして、それはそれで、是非もなし、と思ったはずです。
それなら、この賞は、河合隼雄が河合俊雄に委任した 物語賞と考えればよかったんです。
わたしはそう考えて、自分のこころの腑に落としました。
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