あらすじ
恋人同士が一緒に暮らしたことから出会った2匹の雌猫。彼女たちの喧嘩だらけの日々、そして別れを綴る表題作。子供が嫌いな私が恋人の娘を一日預かることになった。作り笑顔で7歳の子供に機嫌をとろうとしてもそう簡単にはうまくいかない……。二人のやり取りを、可笑しく、そして切なさを込めて描く「木蓮」。直木賞作家が贈る、「女ふたり」をめぐる6つの極上の物語。
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雫の感想
見栄を張って訳のわからないことを言ったり、話し方がおかしかったり、さっきのことをすぐ忘れてしまったり‥‥
猫の言葉や気持ちがわかればほんとこんな感じなんだろうなぁと思った
最後2匹離れ離れになってしまって、そのこともすぐ忘れちゃったけど、心の芯では何か覚えてて、っていうのが切なかった
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友情、恋愛、家族、色々な関係性の人々を描いた短編集。
最近は母親のことを考えると泣きそうになる癖があるから、『シャワーキャップ』はグッときちゃった。
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西加奈子さんの作品を作品を順番に読んでて、これは5冊目。
本作は短編集で、今までの作品よりはちょっと切ないものも多めかなぁという印象。
どれも素敵だけど個人的に好きなのは「灰皿」。少し「きいろいゾウ」に通じるものがあった印象。
好きな人の要求を全て受け入れようとしたり、逆に秘密から目を逸らしたり。でもそれは全て愛故に起きたこと。
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西加奈子の短編集
ランドセル・灰皿・木蓮・影・しずく・シャワーキャップ
少し前に読んだ作品なので、短編集はいつも中身を忘れてしまうけど、タイトルだけで思い出せるような強烈な作品ばかりだった。
面倒くさがりな自分がもう一度読みたいと思える稀有な短編集。
この人はやっぱりセンスの塊だ
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女ふたりが出てくる短編集。西加奈子の描く母娘はあったかくて泣けるので、最後に「シャワーキャップ」を持ってきてあるのも納得。表題作「しずく」とともに、胸がじわっとあたたかくなるような幸せな読後感がある。「影」は周囲からの見られ方と本当の自分自身とのギャップに悩む一番西加奈子らしい話だなって思った。ちょっと下品でその笑わせ方は反則だよって思うところもちょこちょこあるのだが、色んな意味でちぐはぐな女ふたりがたしかな友情やつながりを育んでいくさまはまぶしい。日々、思いのよらないところに人との出会いがあり、そこから学ぶことが多々ある。
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とてもいいです。
生きていくと、辛いこともあるよね。
でもなんとかなるさ。
それでもいろんなことあるよね。
奥が深くて一言では言えないけれど、西さんの小説にはいつも驚かされます。
もっといろいろ読んでみたいです(サラバ!も買いました。近いうちに。。。)。
同時に読もうと思って買っていた、映画にもなった本が(西さんの本と比べて)あまりに浅くて挫折しそう。比べるものではないのかもしれないけれど。
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4.0/5.0
温かくて優しいんだけど、決して楽観的なわけではなく、「いろんなことをひっくるめて人生だよね」と肩に手を伸ばしてくれるような感じ。
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6つの話からなる短篇集 どの話も良かった。どれも人間のちょっと嫌なところが垣間見える。あと、人との心がちょっと繋がる瞬間だったり、離れる瞬間だったり。さいごのシャワーキャップが特に好きだった
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好きだなぁこの作品。
『木蓮』『しずく』『シャワーキャップ』がお気に入り。
自分に正直に、自分のペースで、自分を好きになって、自分を大事にして生きていきたいなって思えた。
いい時間だった。
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「女二人の物語」 根底にずっと優しさがある。
ランドセル
ピンクのランドセル同士仲良くなったくみちゃんとみっちゃんは、久々再会してロスへ旅行へ行き変なパーティに呼ばれ、子供の時くみちゃんが引っ張って小学校まで行ってくれたように、パーティを抜け出す。くみちゃん 離婚するねん。
灰皿
亡くなった夫と一緒に住んだ家を小説家の女性に貸した。小説家は「あなたのうんこを食べるまで」で賞を取ったが、俺に恥をかかせて、と振られた。もう書けない。夫は昔から小説家になるのが夢で、好きな小説家が自殺したのに妻の知らぬ所でショックを受け、一日家を空けた。灰皿が書斎にあった。夫は帰ってきた。妻は小説を読むのが怖かったが、愛する気持ちを共有した小説家に夫の話をして今日夫の小説を読もうと思った。
木蓮
恋人の前妻との子供を預かることになった私は、子供が嫌いだ。子供のマリは素行が悪い。動物園でセックスについて知りたがるマリに全部ぶちまけると、そのことも木蓮についても極楽に行ったばあさんが教えてくれたとマリは喜んだ。私は自分が子供の頃両親が不仲で、二人が何かと子供に隠し事するのが嫌だったと思い出した。マリが普段禁止されているケンタッキーを二人は食べにいく。
影
私は婚約者のいる同じ会社の男と関係を持ち、それがばれ退社した。私の影は薄かった。「田畑さんがそんな人だと思わなかった。」いつも私は私を演じてきた。一人で島に旅行する。島の影は濃い。みさきという島で嘘つき呼ばわりされる女の子に出会った。彼女は最後にいつも「その宿には長男の霊が出るよ」と言う。その男とみさきは付き合っていて、本当に男は死んだ。それだけは本当だった。そのみさきを見て、私はどんな自分も自分だ、男を愛していたと思った。
しずく
サチとフクはシゲルとエミコの飼い猫で、二人の同棲きっかけに一緒に住む。二匹は喧嘩ばかりで蛇口からポタポタと落ちる雫を舐めるのが好き。二人は脚本家とイラストレーターで、貧乏だったが徐々に二人とも売れ始め忙しくなり仕事に追われ仲違いしていく。二人は引越し、サチとフクも別れる。なんでも忘れる二匹だが、シゲルとエミコが泣いた涙で、互いのことを思い出す。
シャワーキャップ
私のんちゃんは三十で彼氏と同棲するため引越し作業中。母が手伝いに来ている。ある日彼氏が別の女と歩いてるのを見てしまった。神経質な私と違い、母は呆れるほど呑気で明るい。それに苛立つようなこともあったけど、母は十九で私を産んで、父が帰らず泣いたこともあった。それをのんちゃんは慰めてくれた。私は母の子で良かった、何も解決してなくても大丈夫と思える。
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女同士の間に発生した不自由を、巧みに乗り越えてゆく、心温まる短編集です。読みやすいけど、自分に当てはめて、色々と考えさせられる本です。「おまじない」にも近い。
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様々な関係の女2人の物語が面白い視点で描かれていて良かった。特に「シャワーキャップ」が気に入った。子供のように無邪気なお母さんが印象的だった。お母さんの「大丈夫」ほど安心できるものは無いと思った。
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初めての西加奈子さん。
巻き起こる事象もそうなのだが、表現方法が大胆だなと思った。「デブ」「うんこ」「えす、いー、えっくす」などなかなか小説でお目にかかれない文字が並ぶ。
そんな恐れを知らない書き方で生活の不確実さを描き、救済していく。
「シャワーキャップ」は泣けたし、「灰皿」、「木蓮」は切れ味鋭くて特に良かった。
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西加奈子
短編集
共通テーマは「女性2人」
義理の母にオススメされて読んでみた本書。
西加奈子先生の短編が6作品も収録されているなんて…贅沢である。
6つの作品に女性が主人公ででてくるが、女性作家さんならではの
女性の心情の描き方はアッパレである。
私のオススメは、「木蓮」「シャワーキャップ」でした
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6編の「女ふたり」の短編集。
どの物語も読んだ後にぎゅっと愛おしさが湧いた。
今は「木蓮」と「シャワーキャップ」が好き。
読む人生の時期によって、心を掴まれる作品が変わりそう。
仲の良い友達に贈りたくなった一冊。
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西加奈子さんの表現は情景が浮かびいつのまにか物語に引き込む力があります。6つの物語の主人公は女性ですが、男性が読んでも共感するところが多いと感じました。「木蓮」と「シャワーキャップ」をお薦めします。
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勿体無くて読み終わりたくない気持ちと、続きが気になり読み進めたい気持ちが入り混じりながら、結果的にあっというまに読み切ってしまった。
短編小説集。
どのお話も良くて、あーーー西加奈子大好きだーーー!となりながら読んでいたけど、特にぐっときたのは、「木蓮」と表題作の「しずく」。
バツイチの恋人の娘に嫌悪感を抱きながらも、恋人に好印象を抱かれたくて距離を詰めようとする話、木蓮。
エッセイ漫画などでは、連れ子との関係づくりに主人公はさめざめと悩む、という描写を時々目にする。
だけどこの主人公は、心の中で「くそ、餓鬼が」と暴言吐きまくりなのが、思わず笑ってしまう。
読者はページを捲る際にどんな結末になるのか想像しながら読むが、いつも西さんは予想を裏切り、期待値をぽん、と超えてくる。
表題作の「しずく」では、思わず涙がこぼれてしまった。小説家のシゲルとイラストレーターのエミコに飼われる、2匹の雌ねこの物語。
ねこであるフクさんとサチさんの、ねこっぽい絶妙な思考回路が、ねこを飼ってる人ならクスリとしつつも、なんかわかるな〜と思ってしまう。
そしてシンプルに、読者をねこに感情移入をさせる、泣かせる西さんが凄すぎる。
せきしろさんの解説も面白くて、読後の余韻が気持ちよかったです。
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潔い気取らなさが読みやすい短編集。
この先どうなるんだろう‥と気になるお話も多いですが、白黒ハッキリとは行かないのも人生かな。
本音が炸裂の「木蓮」、好きです!
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西さんの作品は、なんというか、「癖のある」感じの印象。
いつも関西弁の女性主人公が出てきて、ちょっと繊細だったり、あるいは男勝りのユーモラスなキャラだったり。
その一方で擬態語や擬音語のチョイスが読者をはっとさせ、唸らせるところも多い作家さんです。
・・・
そしてこの短編集。
いい意味で、何だかマイルドに感じました。曰く言い難いのですが。
いつも通り、関西弁と突き抜けた女性キャラは出てきますが、他の西作品対比、マイルドかな。
あとがきを読むと、何でもプライベートで辛い状況にあり、それを支えてくれた友人たちに捧げる本という位置づけの作品だそう。そうしたことも関連しているのかな。
・・・
一応、簡単に短編の内容をご紹介
「ランドセル」・・・小学生の時の幼馴染に久方ぶりに会い、ノリで旅行を計画。さっそく気まずい旅行のなかのどさくさを描く。
「灰皿」・・・思い出の戸建てを貸し出す老オーナーと、これを借りることになった新進作家とのご近所づきあい。遠慮のない若者と気をもむ老人のやり取り。
「木蓮」・・・結婚相手にと見定める彼氏。その彼氏の連れ後を預かることになった「私」。この「私」、大の子供嫌い。爆発しかけるのを必死で抑えるも最後は・・・。
「影」・・・ワケありの「私」が逃げるように訪れた島。その「私」にちょっかいを出すみさき。みさきの過去を徐々に理解してゆく私の心象を描く。
「しずく」・・・作家の彼氏とイラストレーターの彼女。それぞれの連れ子(猫)それぞれ一匹。猫の視点で一家屋根の下の様子を描く、楽しくも悲しい短編。
「シャワーキャップ」・・・女の影がちらつく彼氏。その彼氏と同棲を目前にする女性(めっちゃナーバス)と引っ越しを手伝う母親(めっちゃポジティブ)。明るい母親に次第にイラつく女性の心の変化をビビッドに捉える。
こんな感じです。
・・・
ということで西さんの作品はこれで13作目でした。でも本作は実は結構初期の作品。
相変わらず軽妙な関西弁と擬態語・擬音語が光ります。彼女の作品を全部読み切ったら、次はどの方面にターゲットを絞りますかねえ。。。
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木蓮としずくが好き。
どちらもどんでん返しのような感覚におちいる。木蓮は終盤にかけて急激に爽快に、しずくは急激に悲しくさせられる。
全編女二人の話だとあとがきを読むまで気づかなかった。。。
恥ずかしいというかなんというか。
でもそれも西加奈子の自然さ、素直さのせいなのかもしれない。。。
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しずく、名前じゃなかった
どれも地味な日常の話
ぎょっとするような事ばかりは起こらないのです
いつもすこーし悲しかったり諦めたり希望を持てたり、の繰り返し
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木蓮という恋人の子供を預かる話が好きだった。
私も他人の子供はあまり好きじゃない。煩いし空気も読めない。でも子供って思ったよりもずっと大人を見ていて、「この人本気で思ってないな」とすぐ気づいてしまう。
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六篇いずれも佳作揃いだが、敢えて選ぶと、「灰皿」、「木蓮」、「シャワーキャップ」の三篇がよかった。
「灰皿」に登場する作中作『わたしがうんこを食べるまで』は、設定が強烈で、身体は拒否反応を示すが、(作中作の)作者の悲しみは想像できるような。。(スカトロ趣味の彼氏から、表題の要求を受けて、好きな余り何とか実行できた喜びをその彼に向けて綴った作品の出来がよかったため、つい世に出してしまい、その彼が怒って別れた、という筋書き。。)
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女性2人の関係性を描く短編集。大家と店子、OLと彼氏の連れ子、偶然再会した幼馴染、等々。女性同士にある(?)微妙な距離感ともやもやした感情を、一人称の視点から忖度なく描く。キレイにさせてないことが、真骨頂。
短編なのだが、設定がおもしろく、それぞれで長編を読みたくなる。また、短編なので物語の途中で話は切れるのだが、ハッピーな余韻がここちよい。